地獄先生ぬ~べ~vsリング (262)

タイトル通り地獄先生ぬ~べ~×リングのクロスssです

よろしければ読んでみてください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418481716



この世には、目には見えない闇の住人達がいる。


奴らは時として牙をむき、君達を襲ってくる。


彼は、そんな奴らから君達を守る為、地獄の底からやってきた、


正義の使者…なのかもしれない…



~童守小学校~


[10月5日(水曜日)/AM8:30]


全ての始まりはある噂話しからだった…


美樹「ねぇアンタたち、最近騒がれているあの噂について知ってる?」


郷子「噂?」


広「そんな事いきなり言われてもわかんねーよ!大体噂って何だよ?」


朝のHR前。

郷子、美樹、広の三人が何気ないオカルト話で盛り上がっていた。

その話の内容とは…



美樹「まったくあんたたちはこれだから…
今騒がれている噂って言ったらあれよ!呪いのビデオ!!」


郷子、広「「呪いのビデオ!?」」


美樹「そう、観たら最後!一週間後に必ず死ぬと言われる呪いのビデオ!
今中高生の間じゃ結構噂になってんのよ!
いずなお姉さまの学校じゃその話で持ちきりだっていうのに小学校じゃ全然なんだもの…」


郷子「観たら一週間後に必ず死ぬ…?」


広「けど呪いのビデオって言われてもどんな物かわからないしな?
一体どんな内容のビデオなんだよ?もしかしてエロいヤツとか?」


美樹「そんなのわかるわけないでしょ!私だって観た事ないんだし!」


郷子「けど…もしそんな呪いのビデオを観たら一週間後に必ず死んじゃうんでしょ?
ちょっとやばいかも…」



美樹「フフ、そう思いでしょ♪
けどご心配なく、実は…呪いのビデオを観ても…たったひとつだけ。
ある方法を行えば死の呪いから助かる方法があるの!」


郷子「死の呪いから…?」


広「助かる?なんだよ!それなら安心じゃん!早く言ってくれよ!」


美樹「でもね…その方法は…」


郷子「その方法は?」


美樹「その方法は!」


広「勿体ぶらずに早く言ってくれよ!」



美樹「ごめ~ん!実は私もわかんないの!」


広「ハァッ!?ここまで勿体つけておいてそれはないだろ!?」


美樹「だって~、この話いずなお姉さまから聞いただけで…
肝心のいずなお姉さまもその呪いを解く方法については何もわからなかったって言うんだもん~!」


郷子「もうっ!驚かせて!大体呪いのビデオなんてただのインチキに決まってるでしょ!」


呪いのビデオなど出まかせだと決め付ける郷子。

しかし美樹は…



美樹「チッ!チッ!チッ!残念だけどインチキじゃあないのよね!
いずなお姉さまの話じゃ既に何人か呪いのビデオの所為で殺されたって話なんだから!」


郷子「嘘…」


広「マジかよ…」


その時であった。



((ベシッ!))


美樹「痛っ!?」


ぬ~べ~「バカモン!いい加減に席につかんか!もうHR始まってんだぞ!?」


郷子、広「「ぬ~べ~!?」」


郷子「あ、本当だ。もう朝の8時半!美樹の話に夢中になってすっかり忘れてたわ!?」


広「ところでぬ~べ~は今の話どう思う?」


ぬ~べ~「今の話だと?」


美樹「呪いのビデオよ!どうよ?霊能力者として興味津々じゃないのぉ~?」


ぬ~べ~「くだらん!確かに俺は霊能力者だが自分から危険を冒す気にはならん!
大体今の俺には呪いのビデオがどうのこうのと言う前にさっさとHRを始めなきゃならんのだ!
お前たち早く席に着きなさい!」


郷子、美樹、広「「ハ~イ!」」


ぬ~べ~がHRを開始しようとした時であった。

ドアをノックする音が聞こえてきた。



((コンコンッ!))


ぬ~べ~「まったく…朝のHRをさっきから邪魔してくれて忌々しい!今度は一体誰だ!?」


教室の扉を開けて確かめようとするぬ~べ~。

だが扉の前にいたのは…


校長「ワシじゃよ、鵺野くん。HRの途中だったかね?」


ぬ~べ~「おわっ!校長先生でしたか!?けど一体どんな用事で?」


校長「うむ、実はこの人がキミに依頼したい事があらしくてな。」


ぬ~べ~「ハァ、一体何の用だろ?」


教室の扉をノックしていたのは校長先生であった。

その校長先生はある人物を連れてぬ~べ~のクラスを訪れていた。

この人物こそ、この後、童守小学校に厄介な災いを招く張本人なのだが…

この時はまだそんな大事になるとは誰も予想すらつかなかった…



~宿直室~


郷子「ちょっと!押さないでよ!」


広「うるせーな!狭いんだからしょうがねえだろ!?」


美樹「アンタたち黙りなさいよ!私たちが覗いてる事がバレたらどうすんのよ!!」


ぬ~べ~「なんか外がうるさいな…?」


ぬ~べ~はとりあえずその人物を連れて宿直室で対応をする事に。

しかしその様子を郷子たちが覗き見している事などまったく気づかずにいた。



ぬ~べ~「え~と…それであなたは?」


岡崎「初めまして、私新聞社に勤めている岡崎という者です。
鵺野先生のお噂は予々お耳にしています。なんでも教師でありながら除霊もなさっているとか。」


ぬ~べ~「新聞社というと…もしかして俺の取材とか?
あの…出来ればそういうのはちょっと勘弁してもらいたいんですけど…
ほら、人気者になると困るし…」


岡崎「あ、誤解なさらず。実は今回こちらを尋ねたのは取材ではなく…その…
鵺野先生はご存知でしょうか…呪いのビデオを噂を…?」


「「「呪いのビデオ!?」」」


ぬ~べ~「うん?今廊下で大声が?」


美樹「バカッ!何で大声で叫んでんのよ!?」


郷子「だって…」


広「でも一体どうなってんだ?」



岡崎「一応説明します。観たら一週間後に必ず死ぬという呪いのビデオ!
その取材を今から一ヶ月前に当社の浅川和之という記者が調べていたんです。」


ぬ~べ~「なんですって!?」


岡崎「浅川さんは呪いのビデオを独自のルートで入手してそれを元に取材を行っていいたんです。
けど…取材を続けていく内に一週間が経過したんです。
そしたら浅川さんは…」


ぬ~べ~「まさか…亡くなったんですか?」


岡崎「いえ、生きてたんですよ!」


ぬ~べ~「生きてた!?」



岡崎「はい。浅川さん自身は何事もなかったみたくケロッとしてましたよ。」


ぬ~べ~「何だ…それなら呪いのビデオなんてただの出まかせって事じゃ…?」


岡崎「いえ…けどそれから暫くして浅川さんは休職届けを出して連絡が取れなくなって…
それで気味が悪くなってこうして鵺野先生を尋ねたんですけど…
どうですか?何か感じられませんか?」


ぬ~べ~「感じるかと言われても…」


とりあえず水晶玉を手に霊気を探るぬ~べ~。

だがビデオテープからは悪霊どころか霊気の欠片すら感じられなかった。



ぬ~べ~「その…これはただのビデオテープですな。今のところ何も感じませんよ?」


岡崎「じゃあやっぱり噂は嘘っぱちだったんですね!
いやぁ~、よかった!実はこのビデオテープは知り合いの女子高生から渡されましてね。
その子が観てくれと言うんですけど気味が悪くてこうして鵺野先生に相談したんですが…
それならこんなモノもう要らないのでよろしければ先生にお譲りしますよ。どうぞ♪」


ぬ~べ~「いや…どうぞと言われても…
まあ…しょうがない…生徒たちが悪戯でもしないようにこの部屋のロッカーにでも入れておくか。」


響子「やっぱり呪いのビデオなんて単なる噂だったのね。」


美樹「なんだ、ガッカリ~。」


広「じゃあ俺たちもバレないように教室に戻ろうぜ!」


岡崎「それじゃあ私もこれで失礼します!お騒がせしてすみませんでした!」


呪いのビデオに悪霊がとり憑いてないと知ると岡崎は呪いのビデオをぬ~べ~に渡しさっさと帰った。

同じく話を盗み聞きした広たちも呪いのビデオに関心を無くして教室に戻った。

だがぬ~べ~は…


ぬ~べ~「呪いのビデオか…」



[10月5日(水曜日)/PM16:00]


~職員室~


校長「…であるからして…来週の木曜日に…」


ぬ~べ~「…」


律子「あの…鵺野先生…職員会議中なのに何をボ~っとしているんですか?」


ぬ~べ~(呪いのビデオ…確かに霊気は感じなかった…
恐らく悪霊の類はとり憑いていないはず…だが何故だろうか?
あのビデオから何かを感じるんだが一体何だろうか?)


先程岡崎から渡された呪いのビデオの事を考えていたぬ~べ~。

そんな時…



校長「鵺野くん!!」


ぬ~べ~「ハ…ハイ!?」


校長「キミ!さっきからボ~ッとしているがちゃんと聞いているのかね!?」


ぬ~べ~「え…え~と…何でしたっけ?」


校長「バカモン!?
来週の木曜日に我が校の卒業生でもある名医の長尾城太郎先生が来られるんだよ!
その卒業生の方が今回特別に公演を開いてくれるとさっきから説明しておるだろうが!!」


校長「まったく、弛んどる!鵺野くんにはこの書類仕事を全部やってもらうぞ!!」


律子「ほら、やっぱり怒られた…」


ぬ~べ~「トホホ、律子先生にカッコ悪いとこ見られてしまった…」


こうして職員会議は終わり、夜…



[10月5日(水曜日)/PM23:59]


~宿直室~


ぬ~べ~「うへぇ…校長にドヤされて面倒な書類仕事を全部やらされた…
もうこんな時間か、もうじき日付が変わるか。さてと…」


職員室で書類仕事を宿直室で泊まろうとしたぬ~べ~。

それからぬ~べ~はTVを付けてビデオのスイッチを入れた。それは勿論…


ぬ~べ~「呪いのビデオ。確かに悪霊の類がとり憑いている気配はない。
だがこのビデオには何かを感じる。もしもこれが危険なモノならば…」


((カチッ!))


ぬ~べ~はビデオデッキのスイッチを入れた。そしてTVから映し出される映像は…



『終いまできけ、さもないと亡者に喰われるぞ。』


((ドォォォォンッ!))


ぬ~べ~「か…火山!?」


メッセージとともに最初に映し出されたのは火山の噴火のシーン。


『うぅ…た…助けて…』


ぬ~べ~「白い頭巾を被って苦しんでいる…何だこれは…?」


『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。
いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。
あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』


ぬ~べ~「お婆さんのシーンだ。しかし…方言で意味がわからん…?」


火山の噴火シーンの次に出てきたのが苦しむ人々と白い頭巾を被った男。

そして老婆の謎の方言…



((コロッ!コロッ!))


『命中!命中!』


『これは…イカサマだ!』


ぬ~べ~「サイコロ?」


サイコロを振るう音、そして『命中』『イカサマだ!』という発言が…


『貞』


ぬ~べ~「貞…?この文字は一体?」


人の眼、何度か瞬きをしてその瞳に映る『貞』という文字。


『う…うおおおっ!?ハァ…ハァ…』


ぬ~べ~「何だ…この男は…?肩に傷を負っているのか?」


まるで何かに怯え苦しむ半裸の男…左肩には出血した奇妙な傷が…


丸く映る奇妙な月と古ぼけた井戸。

そして最後に奇妙なメッセージが浮かび上がる。



『これをきいた者は、1週間後の この時間に死ぬ運命にある、死にたくなければ…』


ぬ~べ~「死にたくなければ…どうすればいい…?」


次のシーンに集中するぬ~べ~、だが出てきたシーンは…


『アッハハハハハ!御見逸れいたしやした!』


『邪悪なギタリストは増えるばかり、頑張れジャミ子!』


ぬ~べ~「な…何だ…これ!?」


なんと最後の肝心なシーンはバラエティ番組によって上書きされていた。



ぬ~べ~「ハハ、タチの悪い…悪戯…なわけないな…これは…このビデオは…」


このビデオは普通のビデオではない。

ぬ~べ~の中でそんな疑惑が強まった時であった。


((トゥルルルル!)) ((トゥルルルル!))


真夜中の学校だというのに電話のコール音が職員室の方から響いてきた。



~職員室~


ぬ~べ~「はい、こちら童守小学校ですけど…?」


??『あ…あの…ぬ~べ~先生はいますか?』


ぬ~べ~「え…?あぁ…俺がぬ~べ~ですけど何か御用ですか?」


香苗『よかった…私…香苗…沢口香苗って言います!
童守高校に通う高校生です!お願い………助けて!?』


ぬ~べ~「助けてだって!一体何があった!?」


真夜中の童守小学校に掛かってきた一通の電話。

それは沢口香苗と名乗る女子高生から掛かってきた助けを請う電話であった。

その緊急の要件は…



香苗『私…一週間前のこの時間に見ちゃったんです!』


ぬ~べ~「見たって…何を見たんだ?」


香苗『呪いのビデオですよ!!
でも私…その呪いを解く方法を知っていたから大丈夫だと思っていたのに…それなのに…』


ぬ~べ~「呪いを解く方法を知ってる?それなら何で俺に掛けてくる必要があるんだ?」


ぬ~べ~の言う通り、

香苗が呪いを解く方法を知っているのならそもそも連絡をしてくるはずはないのだが…?



香苗『だって…だって…さっきからTVに変な画像が出てるの!?
TVのスイッチを消しても全然消えないの!一体どうなってんのよ!?』


香苗『まさか…あの人…見てくれなかったんじゃ…だから呪いが…!?』


ぬ~べ~「おい…さっきから一体何を言ってるんだ…?」


少女はぬ~べ~の声などまるで聞く耳持たずに何やらブツブツと呟いていた。

だが…次の瞬間…!?



香苗『『『いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』』』


ぬ~べ~「おい…おい!しっかりしろ!?大丈夫か!!」


『…』


受話器越しで聞いた沢口香苗の断末魔の叫び。

だが…そのすぐ後に声が聞こえてきた。

それは沢口香苗…ではなく…別の人物の声…

まるで今にも途絶えそうなか細い不気味な声が受話器から聞こえてきた…



『ツギハ…オマエノ…バンダ…』


ぬ~べ~「!?」


その言葉を最後に電話は切れた。

ぬ~べ~は内心恐怖と混乱で今にも取り乱すのを抑えて、

先程まで見ていた呪いのビデオのテープを眺めた。


ぬ~べ~「やはり…こいつは本物だ!呪いのビデオ…紛れもなく本物なんだ!
この呪いを解かない限り…俺は…1週間後の…木曜日に死んでしまう!?」


そう、噂の呪いのビデオは本物だった。時刻は…

[10月6日(木曜日)/AM0:07]

ぬ~べ~、死の予告時間まで…あと7日…

とりあえずここまで

さぁ、どうなる事やら…

いっそ現時刻にリンクさせて7日後完結にすれば良かったんじゃね

あれか、相棒書いてた人のリスペクトか本人か?

どっちにしろ期待



[10月6日(木曜日)/AM5:00]


~童守病院~


ぬ~べ~「朝早くからすみません!
ここに沢口香苗という少女が搬送されてきませんでしたか!?」


看護師「え…えぇ…確かにそんな名前の少女が搬送されましたが…けど彼女は…」


ぬ~べ~「ま…まさか!?」


早朝、ぬ~べ~はさっそく童守病院を訪ねて沢口香苗という少女が搬送されなかったかと聞き出した。

それからぬ~べ~は看護師によりある場所へ案内される。

その場所は…



~遺体安置室~


香苗の母「香苗ぇぇぇっ!?」


香苗の父「何故だ…昨日はあんなに元気だったのにどうして!?」


ぬ~べ~「やはり…」


看護師「ここに搬送された時は手遅れでした。恐らく即死の状態だったはずです。」


ぬ~べ~「一体何でこんな事に…死因は!死因は何なんですか!?」


看護師「ちょっと…騒がないで!ていうかあなたは何なんですか…?」


ぬ~べ~「あ、俺は…その…」


まさか呪いのビデオで人が死んだなどと言えないぬ~べ~。

するとそこへ助け舟が…



玉藻「大丈夫ですよ。彼は私の知り合いですから。あとは私に任せなさい。」


看護師「あ!玉藻先生♡わかりました!玉藻先生がそう仰るなら…あとはお任せしますわ♡」


ぬ~べ~「ぬぅぅ!あの看護師さんめ…玉藻と俺とで偉い対応の違いじゃないか!?」


[玉藻京介]

この童守病院に勤める医者である。

だがその正体は齢400歳の妖狐。

以前に人化の術を完成させるために広を殺害しその髑髏を得ようと企てたが…

ぬ~べ~との戦いに敗れて以来人間の愛に興味を抱くようになり、

その研究のために人間界に住み着いている。



玉藻「まあそんな切羽詰まった顔で問い詰められたら不審に思われても致し方ないと思いますがね…
それで鵺野先生、あなたも沢口香苗の死を聞きつけてやってきたわけですね。」


ぬ~べ~「そうだった!それで彼女の死因は一体何だ!?」


玉藻「死因は…急性心不全です。」


ぬ~べ~「急性心不全だと!?」


玉藻「そうです。
通報を受けて駆けつけた救急隊員の証言だと発見した時点で既に心肺停止状態だったとか。
私も心肺蘇生を試みましたが…結果は…」


ぬ~べ~「…」


玉藻「ですがただの急性心不全ではありません。その証拠に…彼女の顔を見てください。」


ぬ~べ~「彼女の顔だと…?」


玉藻に言われ沢口香苗の死に顔を覗くぬ~べ~。だが…その顔は…



【!?】


ぬ~べ~「何だ!この顔は!?」


玉藻「こればかりは皆目検討もつきません。
医学的な見解では急性心不全でこんな死に顔になるという事は絶対にありえない…」


ぬ~べ~「…」


沢口香苗の死に顔…それは…口を大きく開き白目を剥いた苦悶の表情であった…

明らかに普通ではない状態での突然死である。



玉藻「先程親御さんから話を聞きましたが、沢口香苗は生まれてからずっと健康そのものです。
先程検査も行いましたが心臓に持病があるといった症状は見受けられませんでした。
ですからこんな健康体である10代の少女が急性心不全になるという事はまずありえない。
一体何が起きたのか原因がわかりません…」


ぬ~べ~「いや、既に原因はわかっている。恐らく沢口香苗が死んだ原因は呪いのビデオにある…!」


玉藻「呪いのビデオ…?何ですそれは?」


ぬ~べ~「玉藻、お前に見てもらいたいものがある。」


そしてぬ~べ~は玉藻に呪いのビデオを見せた。



玉藻「なるほど、これが呪いのビデオですか。」


ぬ~べ~「そうだ、しかしこのビデオテープからは霊気は感じられなかった。」


玉藻「ですがこの映像は…」


ぬ~べ~「あぁ、お前も気づいたか。そうだ、これは『念写』だ!」


『念写』

それは心の中に思い浮かべた映像を写真や絵に画像として焼き付ける事を言う。

俗に言う超能力の一種である。



玉藻「この映像の3秒に一回黒い幕が現れる。恐らく人間の瞬きによるものでしょうね。」


ぬ~べ~「これはこの念写を行った人間が、
自分の一生の中で特別な出来事を思い浮かべたものだろう。
だが…正直何もわからんな…ハッキリ言ってお手上げだ…」


玉藻「フフ、鵺野先生らしくもない。珍しく弱音を吐きますね。
この手の分野は霊能オタクの鵺野先生の領分だと思いましたが。
それに呪いの謎を解かないと1週間後には死んでしまうのでは…?」


ぬ~べ~「あのなあ…俺は確かに霊能力者だが…こんなわけのわからない映像をどうしろと…
大体それを言うなら玉藻!お前だって!?…まあ巻き込んだのは俺の所為だが…」


玉藻「まあご心配なく、私は人間ではなく齢400歳の妖狐ですから。
人間の呪いで死ぬ事はまずありえませんよ…
ところで、ヒントだけならいくつかこの映像から得られそうな気がしますよ。」


ぬ~べ~「本当か!?」


玉藻の言うビデオから得られるヒントとは…



玉藻「まずはこの噴火。これだけ大規模なら何処かの大きな山での噴火でしょう。
この山の近隣に能力者が住んでいる可能性があります。」


ぬ~べ~「確かに、苦しむ人々を目撃している事から大規模な噴火だった事は間違いない。」


玉藻「それにこの老婆。」


『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。
いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。
あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』


玉藻「恐らく何処か田舎の地方の方言でしょう。
民俗学に詳しい者に聞けば何か手掛かりが得られるかもしれません。」


ぬ~べ~「あぁ…だがこの最後の苦しむ男…こいつの正体がわからんな。」


玉藻「この男…恐らくこの念写を行った人物に危害を加えたのだと思いますよ。」


ぬ~べ~「何故そんな事がわかるんだ?」


玉藻「今までの念写のシーンは全て念写を行った人物の視点で撮されたものです。
つまりこの男の肩の傷は恐らく念写を行った能力者が抵抗して出来た傷だと思いますよ。」


ぬ~べ~「なるほど、だがそうなると最後の井戸らしきシーン…これはわからんな。」


玉藻「私もこればかりは…見たところ古い井戸ですがこれだけではどこの井戸なのか断定出来ませんね。」



ぬ~べ~「とにかくこれで謎を解くヒントが得られた!すまんな玉藻!」


玉藻「気にしないでください。
私としてもライバルがこんな呪いで死なれては納得がいきませんからね。」


そしてぬ~べ~は童守病院を後にしてある場所へ向かった。

残った玉藻は自分のデスクに戻りある資料を漁る。

それは昭和の古い新聞記事を切り抜いた資料、そこに書かれていたのは…


玉藻「伊熊平八郎…それに…山村志津子…」

とりあえずここまで

>>32
さすがに1週間でこの内容のssを書き上げろとか筆が遅いので無理です
ちなみに何でこんな中途半端な時期なのかというと
実はドラマ版が放送され始めたにこのss書き始めたのですがちょっと構想練るのに時間が掛かってこのありさま…
日付はその時の名残です

>>37
相棒×リングは確かに去年作者が書いたものです
今見ると中盤の設定が結構雑だったので改めてぬ~べ~クロスで再チャレンジしてみようかなと思ったまでです



[10月6日(木曜日)/AM8:00]


~童守中学校~


ぬ~べ~「おい!いずな!?」


いずな「ゲッ!ぬ~べ~!?朝から校門で待ち伏せとか一体何の用よ?」


ぬ~べ~「お前、美樹たちに呪いのビデオの事を教えたそうだな。
一体あの噂の出処はどこからのものなんだ?」


いずな「ハァ?別に悪い事じゃあるまいし何でそんな事教えなきゃ…」


ぬ~べ~「いいか、その呪いのビデオの所為で今とんでもない事になっているんだ!」


[葉月いずな]


童守中学校に通う女子中学生で秋田から上京してきたイタコ見習い。

過去に何度かぬ~べ~に助けられたりもした少女である…

それからぬ~べ~はいずなに呪いのビデオが本物であり、

また既に死人が出ている事を説明した。



いずな「嘘…あの噂マジだったんだ…」


ぬ~べ~「俺も直で見たが沢口香苗という女子高生が呪いのビデオで死んだ。
彼女の死に顔はまるで何か得体の知れない恐怖に怯えた顔で死んでいた…
このままでは確実にビデオによる被害者は増える。
そうなる前に何か手を打たなければ…」


いずな「……沢口香苗ってそんな!?私もその人から呪いのビデオの噂を聞いたのに…」


流石のいずなも死人が出たとなれば他人事ではいられなくなってしまう。

それからいずなは沢口香苗から聞いた呪いのビデオの出処についての話を始めた。



いずな「事の発端は今から1ヶ月前、ある4人の男女がどっかの別荘に泊まった時に起きたんだよ。」


ぬ~べ~「伊豆の別荘?」


いずな「どこの別荘かまでは知らないけどそこで彼らはあるビデオを見つけたんだ。それが…」


ぬ~べ~「呪いのビデオか…!」


いずな「そう、4人はそのビデオを見て最初はただの悪戯かと思ったんだ。
だから4人も同じくビデオにある細工をしてしまったの。」


ぬ~べ~「なるほど、ビデオテープにあった最後のバラエティ番組の上書き。
あれはそいつらがやったのか!?」


いずな「それから1週間後、4人は死んだ。同じ日、同じ時刻、そして同じ死因で…」


ぬ~べ~「全て同じ…なるほど。全員同じ時刻に見たから…」


いずな「でもまさかその話が本当だったなんて…」


いずな「そういえば…彼女この噂を話した後に妙な事を言ってたんだ。」


ぬ~べ~「妙な事だと…?」



いずな「『私はある人から呪いを解く方法は教えてもらった。
けど教えてもらう条件として決して他の人間にその方法を教えるな!
もし教えたらこの世界がとんでもない事になる!』…ってそう言われたらしいよ。
まあ香苗さんもその言いつけを守って呪いを解く方法を私には教えてくれなかったんだけどね…」


ぬ~べ~「話はわかった。いずな、お前はこの件にこれ以上関わるな。」


いずな「ちょっと!舐めないでくれる!
私だってイタコの端くれ!自分の身くらい自分で守ってみせるっての!」


ぬ~べ~「いや、今回の事件を甘く見るな!
恐らく今回の事件の犯人は俺やお前と同じ能力者の仕業だろう。
しかも類まれない強力な能力を持った人物が犯人だ。」


いずな「能力者って…妖怪じゃなくて!?」


ぬ~べ~「そうだ。念写なんて生半可な力を持って出来る事じゃない。
下手に関わればお前の命が危ない。わかったな?」


いずな「アハハ…うん、今回ばかりはアンタの言う事を聞いておくよ…そ…それじゃ!」


ぬ~べ~の話に恐怖を感じたいずなはそのまま学校へと走って行った。

それからぬ~べ~は童守小学校に戻り昼休みを利用して図書室の新聞記事からある事件を調べた。



[10月6日(木曜日)/PM13:00]


童守小学校(図書室)


ぬ~べ~「あった、この記事だ!これがいずなが言っていた事件だな!」


ぬ~べ~が新聞から探していたのは今から1ヶ月前のある事件。

若者4人が場所は違うが同じ日、同じ時刻、同じ死因で死亡した奇妙な事件であった。


大石智子:17歳、○月×日、横浜の自宅で急性心不全で死亡


岩田秀一:19歳、○月×日、交差点でバイクで信号待ちをしていた際に事故により死亡
(なお事故死する直前に急性心不全に見舞われてた模様。)


辻遥子:17歳、○月×日、恋人の能美武彦とドライブ中に急性心不全で死亡


能美武彦:19歳、○月×日、辻遥子と同くドライブ中に急性心不全で死亡


ぬ~べ~「やはりいずなが言っていた通り、
みんな同じ日、同じ時刻、同じ死因で死んでいる。これが呪いのビデオの仕業なら…うん?
この記事を書いた記者の名前…これは!?」


記者の名前の欄。そこにあった名は『浅川和之』と記されていた。


ぬ~べ~「浅川…岡崎が言っていた男の名前だ。
ひょっとしてこの男が呪いのビデオを…世に広めたのか?」



[10月6日(木曜日)/PM18:00]


~沢口家~


香苗の母「鵺野先生ですか。お通夜に出席なされてありがとうございます。」


香苗の父「娘もきっと喜んでいるでしょう。」


ぬ~べ~「いえ、教師として当然の事です。どうか気にしないでください。」
こんな時にお伺いするのも難ですが最近香苗さんに何か変わった事はありませんでしたか?」


香苗の母「変わった事…?
そういえばあの子…先週浅川とかいう記者に取材を受けたと言っていました。」


香苗の父「浅川…?俺には違う記者の名前を言ってたなような…?」


ぬ~べ~「なるほど、ところでちょっと御両親にお願いがあるのですがよろしいですか…?」


香苗の母「えぇ、一体何でしょうか?」


その日の夕方、ぬ~べ~は沢口家のお通夜に訪れていた。

亡くなった香苗の身辺を調べるためだ。



~香苗の部屋~


ぬ~べ~「こういう時、教師であると怪しまれずに生徒の部屋に入れるっていう利点があるよな。
さてと…部屋の中は特に変わった物はないな。
霊的なモノも感じられないし…ていうか今時の高校生はリッチだなぁ…
部屋にビデオデッキの付いたTVまで置いてあるとは…おや?」


ぬ~べ~はTVの前である疑問を抱いた。それはビデオデッキが何故か二つある事だ。


ぬ~べ~「何でビデオデッキが二つもあるんだ?
二つともちゃんと動くから片方壊れた訳じゃないし…
ていうかこの接続だとダビングでもやってたのか?
いや、普通の女子高生がビデオをダビングしてどうする気なんだか…」


結局霊的な発見を得られずにぬ~べ~は部屋を去った。

だがこの時ぬ~べ~は肝心な事を見落としていた。

まさかこの部屋の形跡が既に呪いを解く答えになっていたとは…

この時のぬ~べ~には知る由もなかった。

とりあえずここまで

意外と答えは近くにあったのに見逃したりします…



[10月7日(金曜日)/AM10:00]


~職員室~


ぬ~べ~「…ですからさっきから言っているでしょう!
そちらの記者である浅川さんかもしくは岡崎さんと大至急連絡を取りたいんですって!」


ぬ~べ~「え…?何ですって!?
………わかりました。えぇ、何かわかったらこっちにも伝えてもらえますか?」


律子「鵺野先生…さっきから血相変えてどこに電話しているんですか?」


ぬ~べ~「アハハ、ちょっと知り合いに電話を…」


ぬ~べ~(今朝から新聞社に浅川と岡崎の二人に連絡を取ろうとしているが…
肝心の浅川は一昨日の岡崎の話通り既に行方不明…
俺に呪いのビデオの相談に訪れた岡崎も昨日から連絡が取れなくなっている。
これは一体どういう事なんだ?)



律子「あの…鵺野先生?」


ぬ~べ~(こうなれば一度新聞社の方に乗り込んで…)


律子「鵺野先生!!」


ぬ~べ~「うわぁっ!律子先生どうしたんですか!?」


律子「どうもこうもありませんよ!早く次の授業の準備をしないと間に合いませんよ!
そちらは確かビデオの教材を見せるんでしょ?
ビデオテープとデッキは宿直室にあるから急いで取ってきた方がいいんじゃないんですか!」


ぬ~べ~「ハハ、すいません…ちょっと考え事をしていたもので…やばい!忘れてた!?
え~と…ビデオは宿直室の方にか…あわわ…急がないと!!」


律子「まったく…」



[10月7日(金曜日)/AM11:00]


~教室~


ぬ~べ~「…というわけで今日はちょっとビデオを使っての授業だぞ!」


克也「ビデオなんて機械音痴のぬ~べ~にちゃんと操作できるのかよ?」


美樹「ちょっと不安よね~?
ビデオの接続だって満足に出来そうにないのに大丈夫なの~?」


ぬ~べ~「バカにすんな!ビデオの接続くらい簡単に…
え~と…このケーブルがここで…こっちがあれで…AV端子が…」


響子「ダメっぽいわね…」


教室ではぬ~べ~が早速ビデオの教材を準備するのだが…

実はぬ~べ~、かなりの機械音痴で四苦八苦しながらの作業が続いていた。



広「だからそれじゃないって!」


ぬ~べ~「え…?これでいいんだろ?えいっ!」


((カチッ!))


克也「あれ?何か動作おかしくないか?」


美樹「ちょっと!これダビングしちゃっているんじゃないの!?」


響子「えぇっ!大丈夫なの?教材のビデオを上書きしたら弁償よ!?」


ぬ~べ~「そりゃ大変だ!
今月の給料まだなんだぞ!弁償なんて出来んから急いで止めなきゃ!?」


広「相変わらず貧乏だなぁ…」


教材のビデオテープを上書きするわけにはいかないとビデオデッキを急いで止めようとするぬ~べ~。

だが間違えてダビングしたテープの再生ボタンを押してしまう。

そしてダビングしたテープの画像が再生される。だが再生された画像が…



響子「何…この画像…?」


美樹「変な画像よね…」


まこと「なんなのらこれ?」


晶「意味がわからないや…」


広「なぁ…もしかしてこれが噂の呪いのビデオなんじゃ!?」


ぬ~べ~「嘘だろ…何でこれが…おいみんな!やめろ!見るな!?」


なんとそのダビングしたテープには呪いのビデオの画像が入っていた。

ぬ~べ~は急いで元となったテープを確認する。

だがそれは教材のテープなどではない。

ぬ~べ~が宿直室に保管しておいたはずの呪いのビデオであった。



ぬ~べ~「なんという事だ…
まさか俺の…ぬ~べ~クラスの全員が死の呪いを…クソッ!」


晶「ねぇ、この噴火のシーンだけどこれは伊豆大島にある三原山の噴火じゃないかな?」


ぬ~べ~「伊豆大島だと?」


晶「うん、間違いないよ。
以前図鑑で見た事あるけどこれは昭和31年に起きた三原山の噴火の光景だよ。」


広「さっすが晶!クラス一の秀才は伊達じゃないな!」


ぬ~べ~「そうか、三原山か。そこにこのビデオを作った能力者が…」


これは偶然なのかそれとも故意なのか?

ぬ~べ~クラスの全員が呪いのビデオを観てしまった。

だがそこで得た唯一の手掛かりである伊豆大島の三原山…

果たして伊豆大島にぬ~べ~が探す能力者はいるのだろうか?

とりあえずここまで

この辺りの事をよく覚えていてください

後半で重大な伏線となります



[10月8日(土曜日)/PM14:00]


~伊豆大島~


ぬ~べ~「ふぅ、やっと着いた。」


響子「片道だけで半日近く掛かったわよね。」


美樹「道中フェリーの船旅だもんね。飛行機だったらひとっ飛びだったのに…」


ぬ~べ~「喧しい!大体何でお前たち付いてくるんだ!?」


広「まあまあいいじゃん!どうせ土曜日だし休日なんだしさ!」


玉藻「ですがみなさんの旅費は私持ちですからね。その事を忘れないでください。
まったく、本来なら重病の患者さんを診ていなければいけないのに私まで付き合わされるとは…
しかも子供たちを引率するなんて聞いていませんよ?」


ぬ~べ~「ハハ、旅費の事を言われるとちょっと弱いな…」


響子「ジャンプ漫画の主人公がライバルに旅費をせがむとか情けないわよぬ~べ~…」


翌日、ぬ~べ~は玉藻(それと何故か付いてきた生徒たち)と一緒に早速伊豆大島へやってきていた。

その目的は勿論呪いのビデオを念写した能力者を探すためだ。



美樹「ていうかわざわざこんなところまで来なくても、
鬼の手でその呪いのビデオを壊しちゃえばいいじゃん!そうすれば解決でしょ?」


ぬ~べ~「そんな簡単にできればとっくにやっている。
そもそもこのビデオは単なる呪いを送っているモノでしかない。
これだけを壊してもどうにもならん。」


玉藻「その通り、このビデオは謂わば無線機みたいなモノです。
大元である発信者をどうにかしないと何の解決もできないでしょう。」


ぬ~べ~「大体なぁ…危険だから絶対について来るなとあれほど言っていただろう!」


広「俺たちだって呪いのビデオ観ちまったわけだしこうなりゃ一蓮托生だろ!」


美樹「そうよ!こんな面白い事を私らが見逃すはずがないでしょ!」


響子「ちなみに私はぬ~べ~が心配だから付いてきただけだからね!」


玉藻「なんとも頼り甲斐のある生徒ですねぇ。」


ぬ~べ~「まったく…とにかく勝手な行動はするなよ。何かあったらすぐに俺に知らせろ!」


郷子、広、美樹「「「は~い!」」」


こうしてぬ~べ~一行は伊豆大島のある場所へと向かう。

そこは…



[10月8日(土曜日)/PM14:00]


~山村家~


玉藻「着きました。ここが私たちの本日の宿です。そして目的地でもあります。」


美樹「ここが今日泊まる宿~?うわっ、ボロっちい!」


響子「ちょっと美樹!失礼よ!?」


ぬ~べ~「玉藻、今確かにここが目的地と言ったな。それはどういう意味だ?」


玉藻「そうですね、そろそろお話しましょうか。」


玉藻の案内で山村という旅館に連れてこられたぬ~べ~たち。

玉藻は何故この旅館にみんなを連れてきたのか説明を始めた。



玉藻「以前から人間界において超能力者についての資料を調べていたのですが、
この島出身の興味深い人物がいましてね。
昭和30年、その人物を対象にしたある公開実験が行われました。」


ぬ~べ~「昭和30年?随分と昔の話だな?」


玉藻「その実験の被験者はこの島の出身者である山村志津子。つまりこの家の人間です。」


美樹「それじゃあその志津子って人があの呪いのビデオを作ったってわけ?」


広「なら話は早いや!この家にいる志津子さんに呪いを止めてもらえばいいわけだろ!
お~い!志津子さん!!返事してくれ!!」


ぬ~べ~「おいバカ!やめろ!?」


響子「そうよ!さすがにそんな不躾じゃ失礼よ…」


玉藻の話を聞いた広と美樹は、

この家にいると思われる山村志津子に会おうとさっそく呼びつけようとする。

だが家から出てきた人物は…



?「今…お前たち…何と言った!?」


美樹「あら?変な爺さんが出てきたわ!
ちょっと、私らは志津子って人を探してんのよ!
この家にいるのはわかってんだからさっさと出しなさいよ!!」


ぬ~べ~「あ、すみません!子供たちがとんだ失礼をして…
え~と…俺たちは東京から来た者で…
突然で申し訳ありませんが志津子さんとお会いできませんか?」


?「志津子…また志津子を探しに来たとは…何故俺を放っておいてくれないんだ!?」


((ピシャッ!))


家から出てきたのは一人の老人であった。

だが老人は山村志津子の名を聞くと何故か強ばった表情を見せて家の玄関を閉めた。

それ以後、家から出てこようとはしなかった…



美樹「何あの態度!失礼しちゃうわね!?」


広「だよな!お客を追い返すなんて気分悪いな!」


響子「いや、最初に失礼な事したのはアンタたちだから!あとでちゃんと謝んなさいよ!」


ぬ~べ~「だがあの老人の態度はそれだけではないな。何かに怯えてたような気がする…」


玉藻「まあ無理もないでしょう。あのような事があったのですから…」


ぬ~べ~「あのような事…?」


それから玉藻は語り始めた。

それはこの山村家に纏わる悲しい物語であった…



玉藻「今から40年以上前に山村志津子はこの島で異能な力を発揮した。
その噂を聞きつけてやってきた伊熊平八郎という学者が山村志津子に注目したのです。
そして山村志津子を被検体としたある実験が行われました。」


ぬ~べ~「ある実験…それがさっき言っていた公開実験か。」


響子「その実験ってどうなったの?」


玉藻「失敗に終わったそうです。」


広「失敗?超能力者なのに何で実験に失敗したんだよ!?」



ぬ~べ~「そんな公開実験の場でモルモットみたいな事をされたら当然だ。
たとえ山村志津子が本物の超能力者だったとしても恐らく極度のストレス状況下であったのだろう。
だから実験に失敗したんだ。」


美樹「それってよく学校の発表会みたく緊張して声が出なくなるみたいな感じ?」


玉藻「簡単に言えばそういう事です。
山村志津子は見ず知らずの衆人の前でそれは酷い罵声を浴びせられたそうですよ。
ですがその後すぐに事故が起きたのです。」


ぬ~べ~「事故!?」


響子「一体何があったの…?」


玉藻「人が死んだのですよ。」


美樹「えぇっ!?」


玉藻「死因は突然の急性心不全。
ですが当時現場に居た記者たちによると、
これは山村志津子が呪い殺したのではないかと疑ったみたいです。」


ぬ~べ~「急性心不全…ビデオの呪いで死んだ沢口香苗と同じ死に方だ…」


玉藻の話を聞き静まりかえる一同。

結局この日は山村家の人間からろくに話も聞けずに一泊する事になる…

ここまで

旅費は玉藻持ちです

気になるんだけど、ぬ~べ~は香苗がダビングしたビデオを見たんだから、一応香苗はビデオをダビングして見せたことになるから、死なないはずじゃないの?
ぬ~べ~も、事故とはいえ、ダビングしたビデオを生徒に見せたから助かったんじゃない?(その前に玉藻に見せたから、その時点で呪いが解けたと思うけど)

それから、「浅川和之」って、誰?
「浅川玲子」じゃないの?

>>131
一つ目はぬーべーは「浅川が持っていたテープ」を見たのであって香苗の物は生きてる内には見てない(テープはすでにいくつもある)
二つ目は「妖怪に見せることは有効かどうか」以前に「浅川のテープを見せたのであってダビングをしてない(感染源の増殖をしてない)」ので無意味
また今までに出た人物で解呪条件を知ってるのは香苗だけで、後は誰も解呪条件を知らないからまだ呪いがかかってると考えるのは当然
だから物語はそのタイミングまでは「ぬーべーは呪いにかかっててやがて死ぬ」として進むのは当たり前
これは映画、小説の両方で浅川でもやってるギミック
最後に
ビデオの内容でも解るけど、このリングは原作小説版ベースで、原作の浅川は「和行(かずゆき)」って言う「男」



[10月9日(日曜日)/AM8:00]


~神社~


敬「ハァ…志津子…」


翌日、ここは大島の神社。

山村家の当主である山村敬はこの大島の海辺にある唯一の神社に居た。

するとそこへ…



ぬ~べ~「すいませ~ん!あの…山村敬さんですよね!
昨日はうちの生徒が失礼な事を言って申し訳ありませんでした…
ほら、お前たちも謝らんか!」


広、美樹「「昨日は本当にごめんなさい!」」


敬「…」


広「なんだよ!俺たちちゃんと謝ってるのに…」


美樹「そうよね、無愛想にも限度があるっての!」


響子「アンタたち…言ってるそばから…本当に反省してんの?」


玉藻「山村さん、もうあなたもご存知のはずですが我々がここに来た目的は…」


敬「フンッ、わざわざワシなんぞを訪ねてくる理由は…貞子だろう。」


ぬ~べ~「貞子…?」


美樹「あれ?私らが探しているのって確か…志津子って人じゃ?」


響子「そうよね、貞子なんて名前じゃないはずよ?」


寡黙であった山村敬老人の口から出た貞子という名の女性。

果たして彼女は何者なのか?



玉藻「失礼ですが私たちは志津子さんを訪ねてきたのですが?」


敬「志津子なんてとうの昔に死んじまったわい!
そう、三原山が噴火した年に…火口の中に身投げして…自殺じゃ…」


響子「自殺…けど何でそんな事に?」


ぬ~べ~「なるほど、例の公開実験の所為ですね。」


敬「そうじゃ。あの公開実験の後、志津子は気狂いになってしもうた。
あんな衆人の前で見世物にされたんじゃ。当然じゃろうて…」


玉藻「山村さん、その時に死人が出たとの事ですがそれは志津子さんが呪い殺したのでは?」



ぬ~べ~「娘…?志津子さんには貞子という娘がいたんですか!?」


敬「あぁ、伊熊と志津子の間に出来た一人娘の貞子だ。
貞子には昔から母親と同じ不思議な力が備わっていた。いや、母親以上だったのかもしれん…」


玉藻「母親である志津子以上の能力者、その貞子さんが記者たちを呪い殺した。
なるほど、母親を侮辱された怒りが発端だったというわけですね。」


敬「貞子は志津子に随分懐いておった。
なんせ貞子は生まれてからずっと妙な力の所為で同い年の子供らに気味悪がられてたからのう…
そんな貞子を理解していたのは母親だけじゃった…」


ぬ~べ~「妙な力の所為で…気味悪がられていたか…俺と同じだな…」


響子「ぬ~べ~…どうかしたの?」


ぬ~べ~が微かに呟いた一言。

しかしぬ~べ~は自分の心境を隠して山村老人の話を続けて聞く事に…



敬「志津子は元々この大島の海女じゃった。
貞子が生まれる前はよくこの神社でお参りして海に潜っておったわ。」


美樹「ねぇ、海女って何?」


ぬ~べ~「海に潜って海産物を取る女性の事だ。
しかしそんな志津子さんがどうして異能な力を発揮したんですか?」


敬「さぁ、ワシにはわからんな。
じゃが志津子はいつもこの神社に奉られている海の神さまに祈りを捧げておった。
もしかしたらじゃが…いや…なんでもない。」


志津子の力に何か思う所がある山村老人。

それから三原山が噴火した日について語られた…



敬「…三原山の噴火があった日…
貞子はその前日にそれを予知していたかのようにワシらに何度も山が噴火すると言っておった。
島の者たちの大半は子供の戯言だと誰も本気にせんかった。
だがワシら山村家は貞子の言う通りに山から避難しておいた。
そしたらあの大噴火じゃ…」


玉藻「貞子は三原山の噴火を事前に予知できたのですか?」


敬「そうじゃ。だが逃げ遅れた島の者たちは噴火によるガスでバタバタと死んでいった…
当時はガスマスクなんぞなかったから白い布を頭に被せて避難しておったわい。」


ぬ~べ~「なるほど、ビデオにあった噴火。それに白い布を被って逃げ惑う人々…
あれは貞子が子供の頃予知した出来事だったのか。」


美樹「そりゃぁ確かに酷い話だわ…」


敬「いいや!酷いのはこの後じゃった!」


響子「え…?まだ何かあるの?」


山村老人は思い出すのも恐ろしいという程に表情を強ばらせた。

その理由は…



敬「幼い貞子はガスで苦しんどる光景を見て笑っておったんじゃ!
まあ貞子にしてみれば当然だったのじゃろう…
ガスで苦しむ者たちの中には貞子を虐めていた子供らがおった。
いい気味だとでも思ったんじゃろう。
しかしそんな貞子を見た志津子は我が子に恐怖を抱いた。そして…」


ぬ~べ~「三原山の火口に身投げをしたんですね。」


敬「貞子は泣きながら『お母さん!』『お母さん!』と呼んでおった。
ワシは志津子が貞子の憎しみを戒めるために敢えて身投げしたと今でも思っておる。
それから貞子は中学を卒業すると父親の伊熊のいる東京へと行った。」


広「じゃあ貞子さんはそれ以来この島に帰ってこなかったの?」


敬「いや、貞子が二十歳くらいになって一度だけこの村に帰ってきた。
まるで母親の志津子の生き写し見たく美しく成長し黒く長い髪が特徴でなぁ…
その時は飛翔とかいう劇団の一員でそこで知り合った遠山とかいう男を連れて来たわい。
将来はこの男と結婚するんだと言っていたが病弱な男じゃった。」


玉藻「遠山…ですか?」


ぬ~べ~「どうかしたか玉藻…?」


玉藻「いえ、なんでもありません。恐らく他人でしょうから。」


ぬ~べ~「?」


敬「それを最後に貞子とはもう30年も会っておらん。今はどこでどうしておるのやら…」


海を見つめて当時の貞子の姿を想う山村老人。

そんな中、山村老人がある方言を呟いた…



敬「しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ…か…」


響子「それって確かビデオにあったお婆ちゃんの方言!」


敬「当時里帰りしとった貞子に島の年寄りが言っておった言葉じゃ。今でも覚えとる…
『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。
いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。
あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』
…とな…まあ大した意味はないがのぅ…」


ぬ~べ~「大した意味がないって…そのお婆さんは貞子さんに何と言ったんですか?」


敬「本当に大した意味はないんじゃよ。お前さんたちにわかりやすく言うと…
『その後、身体の具合はどうだ? 水遊びばかりしていると、お化けがくるぞ。
いいか、よそ者には気をつけろ。 お前は、来年子供を生むのだ。
娘っこだから、お婆ちゃんの言うことはよく聞いておけ。
地元の者で構わないじゃないか』とこう言っておるんじゃ。
ただの年寄りの忠告だったのじゃろう。」


玉藻「忠告ですか…」


山村老人から一応の話を聞いたぬ~べ~たち。

だが話を聞く限りではこの島にあの呪いのビデオを作った、

山村貞子という能力者は既に不在だという事が判明しただけであった。



広「けどさぁ、つまりはこの島にあのビデオを作った張本人はもういないって事だよな?」


響子「そうね、志津子さんは死んじゃって娘の貞子さんが呪いのビデオを作った事になるけど…」


美樹「その貞子って人もどこにいるのかわかんないわけだし?」


玉藻「ですがビデオの謎の解明については大きく前進した事だけは確かですよ。
ビデオにあった三原山の噴火、白い布を被り逃げ惑う人々、それに貞という文字…」


ぬ~べ~「山村貞子。その女が俺たちが追っている呪いのビデオを作った張本人か!」


[山村貞子]

伊熊平八郎、山村志津子との間に生まれた娘。

母である志津子と同じく異能の力を秘めた女性。

その異能な力で呪いのビデオを作り一体何を行う気なのだろうか?

とりあえずここまで

やっと犯人判明です

>>139>>140の間抜けてない?

>>148

本当だ!それじゃあ>>140修正



敬「いいや…志津子じゃない!あの記者どもを殺したのは志津子の娘の貞子だ!!」


ぬ~べ~「娘…?志津子さんには貞子という娘がいたんですか!?」


敬「あぁ、伊熊と志津子の間に出来た一人娘の貞子だ。
貞子には昔から母親と同じ不思議な力が備わっていた。いや、母親以上だったのかもしれん…」


玉藻「母親である志津子以上の能力者、その貞子さんが記者たちを呪い殺した。
なるほど、母親を侮辱された怒りが発端だったというわけですね。」


敬「貞子は志津子に随分懐いておった。
なんせ貞子は生まれてからずっと妙な力の所為で同い年の子供らに気味悪がられてたからのう…
そんな貞子を理解していたのは母親だけじゃった…」


ぬ~べ~「妙な力の所為で…気味悪がられていたか…俺と同じだな…」


響子「ぬ~べ~…どうかしたの?」


ぬ~べ~が微かに呟いた一言。

しかしぬ~べ~は自分の心境を隠して山村老人の話を続けて聞く事に…

修正終了

>>145から続けます




((ビュォォォォォッ!))



美樹「キャッ!何か突然吹雪いてきたわね?」


敬「いかんな、こりゃ荒れるぞ…」


ぬ~べ~「なんですって!?」


話の最中、急に天候が崩れ始めた。

それから1時間もしない内に大雨となり、波は大荒れフェリーは運行休止となってしまう。



[10月9日(日曜日)/PM20:00]


~フェリー乗り場~


広「大荒れになっちまったな…」


響子「あれから一日経っちゃったけどフェリーが再開する目処が立たないし…」


美樹「もーっ!私たちの死の予告まであと5日しかないのよ!
こんなところでチンタラしていられないっての!?」


響子「怒鳴ってもしょうがないでしょ…あ、ぬ~べ~と玉藻先生が戻ってきたわ!」


ここはフェリー乗り場。

時刻は既に夜の20時、だが船は一向に出る目処が立たなかった。

そこへ様子を見に行っていたぬ~べ~と玉藻が戻ってきたのだが…



広「ぬ~べ~、どうだった?」


ぬ~べ~「ダメだ、船はこの悪天候じゃ出せないと言っていた。」


玉藻「それどころじゃありませんよ。
この嵐は最悪、2~3日は続くらしくてそれまで我々はここで足止めを食わされるかもしれません。」


美樹「え~っ!!それじゃあ私たち大ピンチじゃん!?
このままわけのわからない呪いで死にたくないわよぉぉぉぉぉ!?」


ぬ~べ~「美樹、落ち着け!だが…一体どうすれば…」


とんだ足止めを食らうぬ~べ~たち。

これも呪いのビデオによるモノなのかと疑いたくなるほどの不運…

だがそんな時、思いもよらぬ助け舟が。



敬「お前ら…船ならワシが出してやる!」


ぬ~べ~「山村さん!?」


広「やった~!これで本土に戻れるぜ!」


玉藻「ですがよろしいのですか?
この悪天候の中で船を出せば最悪の場合水没するかもしれないのですよ?」


敬「フンッ、構うものか!
どうせワシの命なんざとうの昔から貞子に狙われておる。今更命が惜しいものか!」



~船~


((ザッパーン!))


美樹「キャァッ!?ねぇ…もっと安全運転できないの…?」


敬「これでもまだ安定している方じゃ!まあこれからもっと酷い事になるがのぅ…」


響子「一応船には乗れたけどやっぱり大荒れよね。」


広「つーか俺たち無事に本土にたどり着けるのか?
その前にこの船…沈没しちまいそうなんだけど…!?」


ぬ~べ~「文句言うな、山村さんだって命懸けで船を出してくれたんだぞ!」


山村老人の勧めでなんとか船に乗れたぬ~べ~たち。

だがこの大海原でしかも夜で視界が満足に利かない、

さらに大荒れとなれば船がいつ沈没してもおかしくない状況下であった…



敬「貞子が生まれた日も海が大荒れしておったな…やはりあの娘は…」


ぬ~べ~「あの…山村さん、聞きたい事があるんですけど…
さっきあなたは貞子に命を狙われていると言っていましたよね。
あれはどういう意味なんですか?」


敬「簡単じゃ、ワシが伊熊に志津子を売ったんじゃからなぁ…」


響子「そんな…酷い…!?」


敬「仕方が無かった、あの時は漁に出てもろくに魚が釣れん有様…
家族全員飢え死にするわけにもいかなかった…だから…」


ぬ~べ~「だがそれだけであなたが俺たちを助けてくれるとは思えない。
そういえば俺たちと最初に会った時、『また志津子を探しに来たとは』と言いましたよね。
もしかして俺たちの前に誰か志津子さんかもしくは貞子を探しに来た人がいるんじゃないですか?」


敬「…」


荒れ狂う大海原で冷静に舵を取りながら山村老人はぬ~べ~の質問に答えた。



敬「今から1ヶ月ほど前の事じゃった。
アンタらと同じように呪いのビデオがどうとか言っとった二人の男が現れた。
一人は浅川、もう一人は高山と名乗っておった。」


ぬ~べ~「浅川…?やはり彼も大島に来ていたのか!?」


敬「ワシから貞子の話を聞いた二人はその後伊豆の別荘に行くとか言っておった。
確か伊豆パシフィックランドとかいう別荘じゃ。」


玉藻「伊豆パシフィックランドですか。もしかしたらそこに貞子が…」


敬「たぶんあの二人もお前さんらと同じ目的でワシを訪ねてきたんじゃろう。
それとこれはワシの勘じゃが…あの二人は貞子の怒りを沈められなかったはずじゃ…
だから頼む、アンタたち…貞子の怒りを鎮めてくれ!後生じゃ…」


ぬ~べ~「山村さん…わかりました!
よしっ!みんな、本土についたら早速伊豆パシフィックランドへ向かうぞ!!」


そして船は一路、伊豆の港へ…

伊豆パシフィックランド、そこでは何が待ち構えているのだろうか?



[10月10日(月曜日)/AM9:00]


~港~


美樹「よかった~!生きて本土に帰って来れたぁ~!」


広「つーかあの嵐が嘘のように晴れてるぜ…」


響子「本当…私たちよくあの嵐の中を生きてられたわね。これってまさに奇跡じゃ…」


ぬ~べ~「さぁ、それじゃあ出発するぞ!」


玉藻「グズグズしていると置いていきますよ。」


美樹「ちょっと待って…船酔いが酷いんだけど…」


ここは港。

あの嵐を抜けて船は無事本土へとたどり着けた。

山村老人の船から降りたぬ~べ~たちはこれから伊豆パシフィックランドへ向かおうとするのだが…




((ガッシャ―――ンッ!!))



美樹「今度は一体何!?」


響子「見て、交通事故よ!」


広「酷えや…車がペシャンコだぜ…」


ぬ~べ~「そんな事言ってる場合か!急いで助けないと!?」


玉藻「ここは医者である私の出番ですね。」


突然のトラックと乗用車の衝突による交通事故。

乗用車の方には三人組の家族が乗っており妻と子供は即死。

夫も意識不明の重体で急いで処置をしなければいけない状況であった。

ここで玉藻はこの夫である男性を処置するためにぬ~べ~たちと別行動を取る事に。

玉藻と別れたぬ~べ~たちは伊豆パシフィックランドへ向かう。



[10月10日(月曜日)/PM13:00]


~伊豆パシフィックランド~


ぬ~べ~「遂に来たぞ、ここが伊豆パシフィックランドか!」


美樹「ここまで長い道中だったわね…」


広「ところでさっきの家族だけど酷かったな…」


響子「奥さんと子供さんが亡くなったなんて…
旦那さんが目覚めたらショックでしょうね。可哀想だわ…」


ぬ~べ~「一応玉藻が残って処置してくれていたが…
まあ向こうは玉藻に任せて俺たちはこの周囲を調べてみよう。」


美樹「けどここ…真新しい建物なのに随分と寂れているわね…」


響子「本当に、何があったのかしら?」


ようやく伊豆パシフィックランドにたどり着いたぬ~べ~たち。

だがその別荘は真新しい建物だというのに利用客がろくにいない状況であった。

不審に思いながらもぬ~べ~たちはこの別荘地の管理室へと向かう。

そして管理室にあった台帳を見てある名前を発見する。それは…



~管理室~


ぬ~べ~「この名前…やはりそうか!」


響子「何かわかったの?」


ぬ~べ~「ここ書かれているあるグループの名前だ。
大石智子、岩田秀一、辻遥子、能美武彦、の4人の名前がある。
恐らく4人はここで呪いのビデオを観たんだ。間違いない!」


美樹「じゃあ呪いのビデオって元々はここにあったわけ?」


ぬ~べ~「それにもうひとつ、4人が泊まった1週間後にある男が同じ部屋に泊まっている。
その男の名は浅川和之!」


広「浅川ってぬ~べ~が探してる記者だよな。え~と…つまりどういう事?」


響子「たぶんだけど4人組は初めてビデオを観た後に呪いで死んで、
その後にやってきた浅川さんが呪いのビデオを調べるために外に持ち出したんじゃ?」


美樹「何よそれ!傍迷惑な話ね!?おかげでこっちは苦労してるってのにさ…!」


ぬ~べ~「まあそう言うな。彼だってこんな事態になるとは想定しなかったんだろう。」


台帳を調べていたぬ~べ~たち、するとそこへ管理人らしき男が現れた。



管理人「あの…お客さん今日は泊まるんですか?だったらやめた方がいいっすよ。」


ぬ~べ~「やめた方がいいってどういう意味ですか?」


管理人「俺…バイトなんで今月でここ辞めるんですけど…
今から1ヶ月前くらい前に妙な二人組の男たちが別荘の下にある井戸で白骨死体を見つけてね。
それ以来薄気味悪くてお客が来なくなったんですよ。」


広「井戸に死体…?」


美樹「一体誰の死体だったの!?」


響子「まさか…」


管理人「発見した二人組が言うには山村貞子っていう女らしいですよ。
なんでも今から30年前に死んだ女だって話ですけど…」


ぬ~べ~「やはり山村貞子は既に死んでいたのか。」


響子「やはりってどういう意味?」


ぬ~べ~「最初からある程度予想はしていた。あんな禍々しい呪いを仕掛けるなんて…
たとえどんな能力者でも生きている者では不可能だろう。だが死人ならそれが可能だ。」


驚くべき事実が判明した。

ぬ~べ~たちが探していた山村貞子は1ヶ月前に白骨死体となって発見されていた。

それも既に死後30年経過していたという…



美樹「でも相手が幽霊だったら話は簡単じゃん!
ぬ~べ~がその幽霊を成仏させちゃえばそれで解決ってわけでしょ♪」


広「そっか!いざとなれば鬼の手もあるしな!頼むぜぬ~べ~!」


ぬ~べ~「そう簡単にいけばいいんだがな…
ところで管理人さん、この建物は結構新しいけどその前は何が建てられていたんですか?」


管理人「あぁ、なんでも30年くらい前は南箱根療養所ていう療養所が建ってたんですよ。
その跡地をここのオーナーが買い取って別荘を作ったんですけどね。
でもまさか封鎖されていた井戸に女の死体があったとは…
そしたらオーナーもこんな土地かわなかったでしょうけど…」


ぬ~べ~「南箱根診療所か…」


それから管理人から井戸のある場所を教えてもらい、

ぬ~べ~たちは死体が発見されたという井戸の前までやってきた。



~井戸~


ぬ~べ~「これが山村貞子の死体があった井戸か。」


広「あのビデオの画像にあった井戸と同じだぜ!」


響子「けど貞子の死体は何で井戸にあったのかしら?」


ぬ~べ~「恐らく彼女は30年前に既に死んでいたんだ。
それもただ死んだのではない。恐らく何者かに殺害されてな!」


美樹「えぇっ!?貞子って殺されちゃったの!?」


ぬ~べ~「さっきの管理人の話によれば井戸は30年前に封鎖されていた。
つまり貞子は30年前に何者かに殺されその死体をこの井戸に隠して逃げたのだろう。
そして現代になり呪いのビデオを使い人々に復讐を果たそうとしているんだ!」


山村貞子は既に30年前、何者かによって殺害されていた。

それから30年の歳月が流れ井戸の上に別荘が建てられる。

その別荘にあったビデオに呪いのビデオを念写し、人々に復讐を果たそうという…



ぬ~べ~「これより除霊を開始する。
南無大慈大悲救苦救難…広大霊感白衣観世音菩薩…
白衣観世音よ、この哀れな山村貞子の霊を成仏させたまえ…」


響子「ぬ~べ~が除霊を始めたわ!」


広「よーし、これで解決だな!」


美樹「結構あっさり解決しちゃうのね。なんだかつまんな~い…」


経文を唱えるぬ~べ~。

響子たちが見守る中、山村貞子の除霊が始まった。

だが…




(( ド ド ド ド ド ド ド ド ! ! ))



ぬ~べ~「うん…?これは…!」


広「ぬ~べ~!一体どうしたんだよ!?」


ぬ~べ~「離れろ!こいつは強力だ!」


美樹「嘘!マジで!?」


井戸から感じられる悍ましい邪悪な気配。

それはぬ~べ~がかつて感じた事がないほどのモノであった。



『…』


ぬ~べ~「何だ?俺の心に直接語りかけてくる!?」


『…』


ぬ~べ~「なんだと?今すぐ手を引けだって?そんなわけにいくか!」


『…』


ぬ~べ~「山村貞子、あなたもう死んでいるんだ!大人しく成仏してくれ!」


広「ぬ~べ~が貞子の霊に語りかけているぞ!」


美樹「けど…どう見ても難航してるわよね…」


響子「頑張って!ぬ~べ~!」


貞子の魂に語りかけるぬ~べ~。だが…



((ゴキッ!)) 


ぬ~べ~「ぐわぁぁぁぁっ!手…手がぁ…!?」


響子「大変!ぬ~べ~の手が変な音鳴ってる…これってまさか骨が砕ける音じゃ!?」


美樹「嫌だ…ちょっとこれやばいんじゃないの?」


広「チクショー!ぬ~べ~今助けに行くぜ!」


ぬ~べ~「やめろ!お前たち…危険だから絶対に俺に近づくな!
頼む…貞子…この子たちはお前が死んだ後に生まれたんだ。
あなたを殺したヤツとは何の関係もないはずだ。だからこの子たちの呪いを解いてくれ!」


必死に貞子の霊に語りかけるぬ~べ~。

だが貞子はぬ~べ~の言葉に耳を傾ける事はなかった。それどころか…



((ベキッ!)) ((ボキッ!))


ぬ~べ~「うわぁぁぁぁぁっ!?」


郷子、広、美樹「「「ぬ~べ~!?」」」


広「そんな…酷え…全身の骨が折られてる…」


響子「とにかく急いでここから連れ出さないと!」


美樹「あ~もう!こんな時こそ玉藻先生がいてくれたら!?」


貞子の除霊に失敗し重傷を負ってしまったぬ~べ~。

その頃、玉藻は…



~救急車~


??「うぅ…私は一体…?」


玉藻「どうやら意識を取り戻したようですね。
私は医師の玉藻です。あなたは交通事故に合ったのです。覚えていますか?」


??「交通事故…?そうだ…妻と子供は…二人はどうなったんですか!?」


玉藻「残念ながら二人共お亡くなりに…即死でした…」


??「そんな…なんという事だ…
せっかく呪いから解放されたのにこんな関係ない事で死ぬなんて…」


玉藻「呪い…?失礼ですがあなたのお名前は?」


浅川「私は…浅川…浅川和之です。」


玉藻「浅川…確か鵺野先生が探していた新聞記者の名前では!?」


なんと奇妙な偶然なのだろうか…

交通事故に合ったのはぬ~べ~が山村貞子の他に探していた人物、

呪いのビデオを伊豆パシフィックランドから持ち出した浅川和之であった。





……

………


『やーい!化物!』


『お前は人間じゃない!』


『気味が悪い!あっちへ行け!』


ぬ~べ~(やめろ!やめるんだ!?)


そこは見なれぬ場所。

数人の子供に囲まれた一人の黒髪の長い少女が虐められていた。

ぬ~べ~は急いでこの少女を助けようとするのだが…



『シンジャエ…』


『ぎゃぁぁぁぁぁっ!?』


ぬ~べ~「なっ…やめろ!そんな事をしたら死んでしまうじゃないか!?」


『ナンデコロシチャイケナイノ?アナタダッテムカシ…ワタシトオナジメニアッタハズナノニ…』


ぬ~べ~「それは…」


『ナゼワタシノコトヲダレモワカッテクレナイノ?』


少女はぬ~べ~に問い詰めた。だがそこでぬ~べ~の意識は途切れてしまう…



響子「べぇ…」


響子「ぬ~べ~…」


ぬ~べ「…?」


響子「ぬ~べ~…!ぬ~べ~!しっかりして!!」


ぬ~べ~「響子…か…?」


広「よかった!ようやく目が覚めたんだな!」


美樹「もう~!心配させるんじゃないわよ!死んだかと思ったじゃない!?」


ぬ~べ~「ここは…どこだ…?病院みたいだが…?」


響子「ここは童守病院よ。あの後玉藻先生に頼んでここに搬送してもらったの。」


広「なんせあれから二日近く寝込んでたからな!」


ぬ~べ~「二日もだって!教えてくれ…今日は何月何日の何時だ!?」


美樹「何時って…え~と確か10月12日の水曜日の夜23時59分よ。」


ぬ~べ~「なんだって!?」


貞子の除霊に失敗して眠り続けていたぬ~べ~。

だが起きたのはなんと10月12日の水曜日の夜23時59分。

ぬ~べ~が呪いのビデオを見た日からちょうど1週間が経とうとしていた。



[10月12日(水曜日)/PM23:59]


~童守病院~


ぬ~べ~「なんという事だ…俺は貞子を除霊できずに二日も眠っていたとは…」


広「まだ起きちゃダメだって!ここに担ぎ込まれた時はかなりの重傷だったんだぜ?」


響子「そうよ、二日でそれだけ回復できただけでも奇跡なんだから!」


ぬ~べ~「そんな事よりお前たちすぐに俺から離れていろ!
俺はもうすぐ呪いで死んでしまう…すまん…あとの事は玉藻に…」


死を覚悟したぬ~べ~は子供たちから離れるように警告する。

1週間前、ぬ~べ~が呪いのビデオを見た時刻になった。



ぬ~べ~「…」


ぬ~べ~「あれ…?」


ぬ~べ~「何で俺は死なないんだ?」


美樹「あぁ、玉藻先生が言ってたわよ。ぬ~べ~はもう死の呪いが解けたって!」


響子「これでもう安心よね。」


ぬ~べ~「呪いが解けた…そんなバカな!?」


貞子の除霊に失敗したぬ~べ~の呪いが解けるはずがない。

一体どういう事なのかぬ~べ~にはさっぱりわからなかった。

そこへ玉藻が、手にはファイルを持って病室にやってきた。



玉藻「おや、鵺野先生。ようやく目覚めましたか。
それではあとは私が看ておくのでキミたちはもう帰りなさい。」


広「OK!じゃあおやすみぬ~べ~!」


響子「ちゃんと安静にしてなきゃダメよ。」


美樹「玉藻先生もじゃあね~!」


ぬ~べ~「子供たちが出て行ったか。
玉藻、教えてくれ。俺の呪いが既に解けているとは一体どういう事だ?」


玉藻「わかりました。
私もある人物から呪いを解く方法を教えてもらったもので正直確信がなかったのですが…
今のあなたを見るとどうやら彼の言っていた事は本当だったようですね。」


ぬ~べ~「彼…だと?」


病室から子供たちがいなくなったと同時に真剣な表情を見せるぬ~べ~。

本来なら呪いは解かれて一安心できるはずなのに何故か嫌な胸騒ぎがあった…



玉藻「あの伊豆の港で起きた交通事故。
その被害者は鵺野先生が探していた浅川和之とその一家でした。」


ぬ~べ~「なんだって!浅川は今どこにいるんだ!?」


玉藻「残念ながら浅川は病院に搬送された直後に死亡しました。
ですが死に際、私は彼から呪いのビデオの解き方を教えてもらいましたよ。
まったく…これほど単純で、尚且つ恐ろしい方法とは恐れ入ったと言うべきか…」


ぬ~べ~「教えてくれ玉藻!
呪いを解かなければ俺の生徒たちは間違いなく死んでしまう!」


玉藻「いいでしょう。
ですが後悔しないでください。ろくでもない方法である事は間違いないのですから…」


それから玉藻は浅川が死の間際に言い残した呪いのビデオの謎をぬ~べ~に教える。

だが…それは…あまりにも残酷な方法であった…



玉藻「ビデオのメッセージにあった、
老婆が言っていた『うぬは、だーせん、よごらをあげる。』この意味をご存知ですよね。」


ぬ~べ~「確かお前は来年子供を生むという意味じゃ…それがどうしたんだ?」


玉藻「子供…つまり子供を生めばいいんですよ。
まあこれは比喩的な表現で実際にこれをビデオに置き換えればいいわけです。」


ぬ~べ~「ビデオに置き換える?待てよ…それってつまり…まさか!?」


玉藻「そうです。子供を生む。つまり、ビデオをダビングして他の者に見せる事です!」


ぬ~べ~「なんだと!?」


なんとも単純な呪いの解き方であろうか…

呪いのビデオをダビングしてそれを他の者に観せれば呪いが解けるという方法であった。



ぬ~べ~「だがそんな方法で…待てよ…そういえば…あぁっ!?
沢口香苗の家に行った時、彼女の部屋でダビングする機材があった!
じゃあ彼女は呪いのビデオをダビングしていたのか!」


玉藻「ですが彼女は呪いのビデオにより死亡した。」


ぬ~べ~「恐らくそれは彼女が死ぬ間際に呟いた…『あの人…見てくれなかったんじゃ…』
この言葉が正しければ恐らく誰かに呪いのビデオを見せようとしたが、
その相手はビデオを見なかったのだろう。だから彼女は呪いに掛かり死んでしまった…」


玉藻「なるほど、それなら辻褄が合いますね。
ちなみに浅川から聞き出したのですが、
彼も同行者であった高山の死でその答えを知ったそうです。
その後、浅川は自分の妻と子を守るために何人か周り、
そしてたどり着いた沢口香苗に呪いのビデオを観せたとか。
ダビングしたビデオを第三者に観せなければ意味がありませんからね。」


ぬ~べ~「そして浅川は自責の念に駆られたのか、沢口香苗に呪いを解く方法を教えた。
だから沢口香苗に呪いを解く方法を教える代わりに他人には絶対に教えるなと警告したのだろう。」


一連の謎が辻褄が合うように解けていった。

だがひとつだけわからない事があった。何故ぬ~べ~の呪いは解けたのだろうか?



ぬ~べ~「だが…そうなると…何故俺の呪いが解けたんだ?」


玉藻「呪いを解くにはテープをダビングして他の者に見せる事ですが…」


ぬ~べ~「そうか、俺は玉藻にビデオを観せたから…
いや、ちがうぞ!俺はあの時ビデオをダビングして観せてはいない…
待てよ…ビデオ…ダビング…他人に見せるだと…?…俺は…あの時…確か!?」


その時、ぬ~べ~の脳裏に5日前の記憶が過ぎった。

授業でビデオの教材を使用する際に起きた些細なミス。

その時に誤って呪いのビデオをダビングし…

あろう事か…己の命よりも大事な生徒たちに見せてしまった事を…



ぬ~べ~「それじゃあ…俺は…生徒たちにダビングした呪いのビデオを観せたから…」


玉藻「広くんたちから話は聞きました。
教室で起きた些細な出来事がこうしてあなたの命を救うとはまさに奇跡というべきでしょうか。」


ぬ~べ~「何が…何が奇跡だ!?
俺は…俺は…生徒たちに呪いのビデオを見せて生き延びてしまったんだぞ!!」


玉藻「鵺野先生…?」


ぬ~べ~「これから…俺の生徒たちが全員呪いを解くとしてどうなると思う?
俺のクラスだけで24人いるんだぞ!
子供たち全員を助けるには最低でも24人の人間に呪いのビデオを見せなきゃならない…
だが一体誰に見せればいい?見れば1週間後に必ず死ぬ呪いのビデオだぞ!
いや…沢口香苗と同じくビデオを見ない相手だって現れる…
この負の連鎖がいつまでも続くんだ…!まさに終わりのない迷路だ…キリがない…」


ぬ~べ~「こんな事になるなら死んだ方がマシだ…」


玉藻「なるほど、浅川は沢口香苗に呪いを解く方法を教える時に…
『他の人間に教えたらこの世界がとんでもない事になる』と言っていましたが、
あながち大袈裟というわけでもなかったのですね。」


呪いを解く方法は解明した。

だがそれは他者を犠牲にしなければ解けない負の連鎖であった。

さすがに落胆するぬ~べ~、最早これまでなのだろうか?



玉藻「それで鵺野先生、あなたはこれからどうするおつもりですか?」


ぬ~べ~「どうするか…だと…?俺はこんな方法で子供たちを救いたくはない…!」


玉藻「何故…?子供たちが助かればそれでよいのでは?」


ぬ~べ~「そんなわけにはいくか!
もしこんな方法で呪いを解いてみろ!この次はどうなると思う?
今度呪いに掛かるのは一体誰だ?あの子たちの親?兄弟?友達?
親しい者に呪いを掛ければあの子たちはその罪の意識に一生苦しむのかもしれんのだぞ!
俺は教師として子供たちにそんな事をさせるわけにはいかない…」


玉藻「なるほど、そういうお考えですか。」


子供たちのためにもなんとか他人を犠牲にせずに呪いを解く方法を模索するぬ~べ~。

そんな時、玉藻が手にしていたファイルをぬ~べ~に見せた。



玉藻「あなたが呪いのビデオを今の方法で解決するのなら、
このファイルを見せる気はなかったのですが…これをご覧なさい。
もしかしたらそんな事をせずとも子供たちが助かるかもしれませんよ。」


ぬ~べ~「玉藻…ていうか何だこれ…?微生物の写真か?」


玉藻「それは亡くなった沢口香苗の心臓部から摘出したウイルスです。
それが彼女を死に至らしめたんですよ。」


ぬ~べ~「この微生物が!?」


玉藻から渡されたファイルを間近で見つめるぬ~べ~。

その微生物はリング状の形をした自然界には存在しない生物であった。



玉藻「恐らくこれは天然痘ウイルスの一種でしょう。
それが何らかの突然変異を起こしてこのようなリング状の形態になったと思われます。
このウイルスを名付けるなら、リングウイルスとでも呼ぶべきでしょうか。」


ぬ~べ~「リングウイルス…これがみんなの身体の中に…だがこんなのは俺の専門外だ…
玉藻、これをワクチンでどうにか駆除する事はできないのか?」


玉藻「それが出来れば苦労しませんよ。
あなたが目覚めるまでの間、あらゆる手段を用いてこのウイルスの駆除を行いましたが…
結果は残念ながらうまくはいきませんでした。」


ぬ~べ~「なんという事だ…万事休すか…」


玉藻「ですがたったひとつだけ、手があります。」


ぬ~べ~「それは本当か!?」


玉藻が告げる最後の手段、だがそれはわずかな可能性であった。



玉藻「恐らく山村貞子はこのウイルスをなんらかの方法で体内に取り入れてしまったはず。
つまり誰かが発症したウイルスに二次感染された。
山村貞子にウイルスを感染させた人間からワクチンを作り出せるはずなのですが…」


ぬ~べ~「貞子にウイルスを感染させた人間だと…?
貞子はが井戸に突き落とされてから既に30年が経過しているんだぞ!
そんな人間の消息をどうやって調べろというんだ!?」


玉藻「そもそも貞子は一体どこで誰から天然痘ウイルスを感染されたのか、
それがわからないと対処できませんね…」


ぬ~べ~「待てよ!呪いのビデオは貞子の一生の中で大きな出来事を取り上げていた!
あ…わかったぞ!あいつだ!あの男だ!あいつが貞子にウイルスを感染させたんだ!?」


玉藻「あの男?」


ぬ~べ~「呪いのビデオに写っていた貞子を襲おうとした男!あいつから感染したんだ!」


ビデオにあったメッセージ。

方言、火山、貞の字、井戸、殆どが解明されたがまだひとつだけ解明されていない謎…

貞子に危害を加えようとした肩に傷のある男。

ぬ~べ~はあの男から貞子はウイルスに感染したと推理する。

だがあの男が今はどこにいるのか、それがわからないのでは手の打ちようがなかった…

そんな時であった。



??「ゴホッ!ゴホッ!あなた…今確かに山村貞子と言いましたよね?」


ぬ~べ~「あの…あなはた一体…?」


真夜中のぬ~べ~の病室へ一人の男が訪ねてきた。

男はこの病院の入院患者らしく病の所為か弱々しい姿の中年であった…



玉藻「遠山さんいけませんよ。こんな夜中に出歩いては…あなたは絶対安静なのですよ!」


ぬ~べ~「遠山だと…?まさかあなたは遠山博か!?」


遠山「そ…そうです…私は…遠山博…ずっと貞子を探していたんです…ゴホッ!ゴホッ!」


玉藻「遠山さんは先週入院したばかりの患者でしてね。
私も大島で遠山さんの名前を聞いた時は別人かと思いましたがまさか本人だとは…
それにしても長年結核を患っていて余命幾ばくもないのに無理をなさらないでください。」


ぬ~べ~「結核…?」


遠山「私は若い頃に病に掛かって…あと数日の命だと既に宣告されているんです…」


ぬ~べ~の病室を訪ねた男はかつての貞子の婚約者である遠山博であった。

貞子と遠山、30年前…二人の身に一体何があったのだろうか?



ぬ~べ~「遠山さん、あなたは貞子さんの婚約者だったと伺いました。
教えてください。30年前にあなたたちに一体何があったのですか?」


遠山「30年前…私は南箱根療養所で療養していた。
そこで看病してくれたのが貞子だった。私と貞子は深く愛し合っていた…
だがある日、突然貞子がいなくなった。
それ以来、私は各地を探し回った。
だが結局貞子は見つからず私ももうすぐこの世を去るとは…」


ぬ~べ~「なんと不幸なめぐり合わせだ…
山村貞子は30年間ずっと療養所跡の井戸の底に居たのに…」


玉藻「遠山さん、療養所で変わった事はありませんでしたか?
どんな些細な事でも構いません。気づいた点があったら教えてください。」


遠山「変わった事なんて何もありませんでしたよ。
当時私の主治医であった長尾城太郎先生には本当によくしてもらえましたし…」


ぬ~べ~「長尾城太郎?この名前…どこかで聞いたな…?」


この遠山の証言を得て物語は意外な方向へ向かう…

果たしてぬ~べ~は生徒たちの呪いを解く事ができるのだろうか?



[10月13日(木曜日)/PM14:00]


~童守小学校~


校長「いやぁ~!先生の講演は最高でしたなぁ!」


??「ハッハッハ!まあ母校で講師を大船に乗った気でいてくれたまえ!ほれっ!」


律子「キャッ!?さっきから何度も私にセクハラして…一体何なんですか!?」


??「いやぁ~、すまんねぇ!
その昔、療養所での禁欲生活の反動か若い女性を見ると無性にムラムラして…」


童守小学校の職員室。

ある一人の名士が講演のために母校である童守小学校を訪れていた。

その講演も終わり職員室で休憩を取っていたのだが…

そこへぬ~べ~が玉藻を連れてやってきた。



校長「おや、鵺野くん?もう退院できたのかね?」


律子「ていうかそんなに血相変えてどうしたんですか?」


ぬ~べ~「おい玉藻、見ろ!あの男の顔を!」


玉藻「えぇ、どうやら間違いないようですね。」


??「なんだねキミたちは?いきなり失礼じゃないか!?」


いきなり職員室に入るなり名士である男の顔を確認するぬ~べ~たち。

この男の正体は…?



ぬ~べ~「長尾城太郎!アンタ30年前に山村貞子に何をした!?」


長尾「えぇっ!?何故…何故お前みたいな若造が彼女の事を知っている!?」


玉藻「その反応、どうやら間違いないようですね。
長尾城太郎さん。先程、当時の関係者の方に確認を取りましたが、
30年前あなたは天然痘ウイルスに感染されていたために伊豆にある南箱根診療所で治療を受けていた。
そこで当時出会った山村貞子という女性を襲った。
そして…」


((ビリッ!))


律子「キャッ!玉藻先生が長尾先生の上着を引きちぎったわ!?
あら…?でも長尾先生の…その肩の傷は?」


長尾「これは…その…」


ぬ~べ~「その肩の傷は当時抵抗した山村貞子にやられたものだな。
もう言い逃れはできんぞ!アンタは30年前、山村貞子に一体何をした!?」


ぬ~べ~と玉藻に追い詰められる長尾。

それから遂に観念したのか長尾は当時の山村貞子との事についての話を始めた。



長尾「30年前、私は天然痘ウイルスの治療のために南箱根療養所で治療を受けていた。
だがウイルスに感染した人間は当然ながら外部と隔離される。
私はこのまま孤独に死ぬのかと毎日悩んでいた…
そんなある日、あの女が現れたんだ!」


ぬ~べ~「それが山村貞子か。」


玉藻「遠山さんから聞きましたが、
貞子は当時、遠山さんの付き添いで南箱根療養所に訪れていたそうです。」


長尾「そうだ!私にはそれが許せなかった!
私は天然痘ウイルスに感染していつ死ぬのかわからな身だというのに…
あの遠山は美貌ある貞子を連れて愛し合っていた!私は二人に嫉妬し憎悪した!
そしてこう思った!
このまま孤独に何もせず朽ち果ててたまるか!
せめて最後はあの若くて美しい女である貞子を手篭めにとな…」



律子「酷い…なんて事を…同じ女として許せないわ!」


長尾「酷いだと?そうだ、貞子もあの時そう言っていた!
今から30年前、あれは夏の暑い日だった…
私は医師という立場を利用して遠山と貞子に近づきその信頼を得ていた。
そして人気のない枯れ井戸に彼女を呼び出し…そこで襲った!」


玉藻「だが抵抗された。」


長尾「そうだ!貞子に拒まれた私は怒りで…貞子を…井戸に突き落とした…
あの時は無我夢中だった…井戸を封鎖して…遠山にも彼女が失踪したと告げ…
そしてあの療養所は閉鎖されて私もようやく忘れられたと思ったというのに…!?」


律子「酷すぎるわ…」


校長「ワシはこんな男を子供たちの前で講演させたのか…」


30年前に山村貞子を襲った事を白状する長尾。それはあまりにも身勝手な行いであった…



ぬ~べ~「いい加減にしろ!アンタ、それでも医者か!?
そんな事をすれば貞子が傷つく事くらい…アンタはわからなかったのか!?」


長尾「黙れ…!当時の私の孤独を誰が理解して…」


ぬ~べ~「孤独だと…ふざけるな!
アンタはその後も30年間こうやって生き続けていたじゃないか!
だがなぁ、山村貞子の人生は30年もなかった…
その間、普通なら愛する人と結婚して…子供を産み幸せな生活を送れるはずだった。
だが彼女はこの30年間…誰にも知られず…暗い井戸の中に居たんだ!
それがわからないアンタは最早医者でもなんでもない!ただの殺人鬼だ!!」


長尾「うぅ…」


ぬ~べ~に追い詰められ反論できない長尾。最早この男に医師としての資格などなかった。



玉藻「では来てもらいましょうか長尾さん。
事情はどうあれ今はあなたに協力してもらわないと子供たちの命が危ないのでね。」


ぬ~べ~「子供たちといえば教室に誰もいなかったんですけど今生徒たちはどこにいるんですか?」


律子「どこって…長尾先生の講演のために全校生徒を体育館に集めたんですけど?」


校長「プロジェクターを使って長尾が持ってきた自前のビデオを長々と見とるはずだが…
そろそろ各クラスに戻る頃じゃないのかね?」


ぬ~べ~「そうですか、さてとこれで無事解決できるとみんなに知らせなきゃな!」


玉藻「ビデオ…何か嫌な予感がしますね…」


子供たちが体育館にいると聞いたぬ~べ~。

早速この事を伝えようと思った矢先であった。




「「「キャァァァァァァァッ!?」」」



ぬ~べ~「悲鳴だと!?」


玉藻「これは体育館から聞こえてきましたよ!」


体育館から聞こえる子供たちの悲鳴。

急いで駆けつけるぬ~べ~と玉藻、そこで彼らが見た光景は…



~体育館~


「何この映像…?」


「もしかしてこれが呪いのビデオ…?」


「じゃあ僕たちもこれから1週間後に死んじゃうの!?」


ぬ~べ~「なんという事だ…これは…こんな事が…
まさか呪いのビデオを童守小学校の全校生徒が見てしまうとは!?」


玉藻「これはあまりにも想定外ですね…」


恐るべき事態が起きた。

呪いのビデオはぬ~べ~クラスだけではなく童守小学校の全校生徒が目撃してしまう。

ビデオを見た子供たちはパニックに陥った。



「僕たち死んじゃうんだ!」


「嫌よ…どうしたらいいの!?」


響子「みんな…落ち着いて!」


広「おい…やばいぞこれ!?」


美樹「私たちはぬ~べ~クラスだからこんな事は慣れっ子だけど…
このパニックどうしたら静まるのよ!?」


パニックに陥る童守小学校の全校生徒たち。

だが、そんな時であった。

誰かがこんな一言を漏らした…



『呪いを解く方法はあるよ。』


「え…?」


『1週間以内に呪いのビデオをダビングして他の誰かに見せればいい。』


『そうすれば生き残れるよ。』


「生き残れる…?」


「本当に…?」


「でも…一体誰に見せればいいの?」


「それよりもビデオはどこにあるの?」


「あそこだ!あそこにビデオはある!?」


「ビデオ!ビデオを寄こせー!?」


1週間以内に呪いのビデオをダビングして他人に見せれば生き残る事ができる。

それを聞いた全校生徒は我先にとビデオの奪い合いを始めようとする。

その光景はまさに地獄絵図であった…



ぬ~べ~「やめろ!やめるんだ!みんな!?」


玉藻「これは酷い…ですがこれこそが山村貞子が望んでいた光景かもしれませんね。
自分を死に追いやった人間を誰も信じられない疑心暗鬼に駆り立て苦しめた後に死に至らしめる。
これぞまさに生き地獄…」


ぬ~べ~「感心している場合か!この子たちはまだ小学生だぞ…
こんな呪いのビデオをいきなり見せられればパニックになって当然だろう。
クソッ…どうしてこんな事に!?」


長尾「ハハハ…これも貞子の呪いだ…貞子の…」


そこへぬ~べ~たちのうしろからフラフラと現れる長尾。

だが長尾を見た子供たちは…



「ねぇ、あの人…ビデオに出てなかった?」


「本当だ…ビデオに出てきた襲っている男の人と同じ顔だ…」


「もしかして僕たちがこんな目に合ったのはあの長尾って人の所為じゃ…?」


「じゃあ…あの人が死ねば…呪いは解かれるんじゃ…?」


長尾「何だ…?ガキどもが私に向かってくるぞ…?おい…やめろガキども!?」


子供たちの視線は長尾に向けられた。

それはまるで何者かに操られているかのような感覚。

長尾は直感する。これは間違いなく山村貞子の仕業だと…

山村貞子が自分を殺すために子供たちを仕向けたのだと…殺されるわけにはいかない。

こうなればこの子供たちを殺して生き延びなければ…

30年前、山村貞子を井戸で殺したあの時みたく…!



長尾「うわぁぁぁぁっ!死んでたまるか!?」


((ブンッ!))


「うわっ!?」


「キャァッ!?」


玉藻「長尾が子供たちを…危ない!?」


長尾を囲む子供たち、だが恐怖に駆られた長尾が凶器を手に子供たちに襲かかろうとした。




((ドガッ!))



長尾「ハァ…ハァ…あれ?」


ぬ~べ~「このバカ野郎!いい加減にしろ!」


広「ぬ~べ~だ!」


響子「ぬ~べ~が身体を張ってみんなを守ってくれたわ!」


美樹「さっすがぬ~べ~!」


まさに一触即発になる寸前。

だがそこへ間一髪、ぬ~べ~が両者の中間に入った。

長尾の凶器で傷つくぬ~べ~、その姿に子供たちは冷静さを取り戻した。



「ぬ~べ~大丈夫?」


「僕たちは一体…?」


ぬ~べ~「みんな…俺の話を聞いてくれ。
呪いのビデオは…確かに本物だ…隠していてすまなかった…
だが、今俺と玉藻先生が必死に対抗策を考えている。それもあと少しで解決できる。
それまで…少しの間だけ待ってくれないか?
そうすれば誰も傷つく事なくこんな呪いは解決できるんだ!」


「本当に…?」


「本当にみんな助かるの!?」


ぬ~べ~「当然だ!俺が今までお前たちに嘘をついた事があったか?
お前たちはみんな俺の可愛い生徒たちだ。何があろうと全員必ず救ってみせる!!」


ぬ~べ~の正直な気持ち。その言葉に子供たちは…



「僕は信じる!ぬ~べ~が言うんだから間違いないよ!」


「私も信じるわ!」


「俺も!」


「僕も!」


ぬ~べ~「みんな…ありがとう…!」


先ほどの殺気に囚われた子供たちはぬ~べ~の説得により呪いのビデオの争奪をやめた。

まるで先ほどの光景が嘘かのように落ち着きを取り戻した。



ぬ~べ~「おい…いい加減にしろ!アンタみたいな性根の腐ったヤツでも…
俺は子供たちに復讐や他人を犠牲にして罪の意識に囚われてほしくなかっただけだ。
それとアンタがやった行いも世間に公表させてもらう。
それがアンタが山村貞子にできるせめてもの罪滅しだろう!」


長尾「そんなぁ…」


玉藻「フッ、一時はどうなる事かと思いましたが…
さすがというかなんと言うべきか、案外捨て身でやればなんとかなるものですね。」


広「やっぱぬ~べ~はいざという時頼りになるよなぁ~♪」


響子「私たちのぬ~べ~だもん!当然よ!」


美樹「ま、普段からこれだけ頼りになれば申し分ないんだけどね…」


落ち着きを取り戻した全校生徒たち。

その時であった…



((ガシッ!))


広「むぐっ!?」


響子「何…?」


美樹「ちょっ…何この展開!?」


??「…」


突然背後から何者かに襲われた広、響子、美樹の三人。

それから三人は人知れず姿を消した。



玉藻「それでは私はこれで一旦失礼します。
この長尾の身体からリングウイルスの抗体を作らなければいけませんからね。」


ぬ~べ~「頼むぞ玉藻。俺のクラスの生徒たちは明日がタイムリミットだ。
それまでにワクチンができなければ…生徒たちは…」


玉藻「安心してください。
これでも私は齢400年の妖狐、人間の呪いなどに遅れは取りませんよ!」


ぬ~べ~「まったく心強いというか…負けず嫌いというべきか…とにかく任せたぞ!」


玉藻は長尾を連れて病院へ。

残ったぬ~べ~はクラスのみんなのところへ戻るのだが…



ぬ~べ~「あれ?広たちはどうした?」


克也「そういや三人ともいねえな?」


まこと「そういえばさっきから姿を見かけないのら?」


晶「一足先に教室に戻ったんじゃ?」


ぬ~べ~「いや、もしかしたらこれは…
そういえば…これまでおかしな事ばかり起きている。
クラスのみんなが呪いのビデオを目撃したり…それだけじゃく今度は全校生徒が…
まさか…他にも何かあるのでは…?」


この事件にはまだ何か裏がある。

ぬ~べ~が直感したその時であった。



校長「おや、鵺野くん。ここにいたのか。
実はさっきあの人を見かけたからてっきりキミが呼んだのかと思ったよ。」


ぬ~べ~「あの人…?」


校長「なんじゃもう忘れたのか?ほれ、あの人じゃよ。1週間前に…」


ぬ~べ~「そうか!そういう事だったのか!?いかん!広たちが危ない!!」


校長の言葉に何かを察したぬ~べ~。

急いである場所へと向かう。



~宿直室~


美樹「ちょっとロープ外しなさいよ!これじゃ身動き取れないでしょう!?」


広「そうだ!こんな事してタダじゃ済まないぜ!」


響子「何でこんな事するの!?」


??「…」


ここは宿直室、先程体育館から連れ出された広たちは身体をロープで縛られ監禁されていた。

犯人の顔はよく見えないが体格からして大人の男。

それから男は何やらブツブツと呟き始めた…



??「何故だ…何故…こんな事に…私の時は助けてくれなかったのに…」


美樹「ちょっと…アンタ一体何ブツブツ言ってんのよ?」


響子「助けてくれなかったってどういう事?」


広「何言ってるのかわけがわかんねーよ!?」


??「何で…何でお前たちだけがぁぁぁぁぁぁっ!!」


そして男は突然広たちに襲いかかる。

するとそこへ…



ぬ~べ~「させるか!白衣霊縛呪!!」


??「ギャァァァッ!?」


美樹「ぬ~べ~!よかった…助かったわ…」


響子「けど…どうしてこの人に経文が効いたの?」


広「まさか…こいつ妖怪じゃ?」


ぬ~べ~「いや、この男は妖怪ではない。普通の人間だ。そうだな!」


((バサッ!))


白衣霊縛呪により倒れた男の正体を確認するぬ~べ~。

その正体はなんと…



岡崎「うぅ…」


ぬ~べ~「やはりアンタだったか。岡崎さん!」


響子「この人って確か…」


美樹「間違いないわ!最初にぬ~べ~に呪いのビデオの相談に来た岡崎って人よ!?」


広「けど何でこの人が…?」


ぬ~べ~「彼は単にとり憑かれていただけだ。彼女によってな!
南無大慈大悲救苦救難…この男にとり憑いた哀れな霊よ。その姿現したまえ!」


((ズォォォォッ!))


??『あ…あぁ…』


美樹「女の幽霊?もしかしてこれが貞子!?」


ぬ~べ~「違う!彼女は貞子ではない…そうだ…彼女は…」


岡崎の身体から誰かの霊魂が姿を現した。

それは…ぬ~べ~が救えなかったある少女の霊であった…



香苗『うぅ…』


ぬ~べ~「やはりキミだったか、沢口香苗。
キミが岡崎にとり憑いて俺のクラスの生徒やそれにさっきの全校生徒に呪いのビデオを観せたんだな。」


美樹「けどどうして私たちにこんな事をしたのよ!?」


ぬ~べ~「それは恐らく…俺が彼女を救えなかったからだろう…それを恨んでこんな事を…」


響子「そんな…でもぬ~べ~が連絡を受けた時はもう間に合わなかったじゃない!
それなのにぬ~べ~を恨むだなんてそんなの筋違いよ!」


香苗『…』


ぬ~べ~「いや、俺にも責任の一端はある。
何故なら俺が見たビデオこそが沢口香苗がダビングしたビデオだからだ。」


広「どういう事だよぬ~べ~!?」



ぬ~べ~「沢口香苗に取材をしたのは浅川だけではなかったんだ。
浅川の後に岡崎が香苗の取材をした。
そして香苗はその時にダビングした呪いのビデオを岡崎に渡した。
浅川に言われた通りに他人に呪いのビデオを見せて助かる算段だったのだろう。
だが…そうはいかなかった…」


響子「そういえば!岡崎さんは呪いのビデオを見てなかった!だから…」


美樹「でも代わりにぬ~べ~が呪いのビデオを見たはずよね!
それなのに何でこの人死んじゃったの…?」


ぬ~べ~「それは恐らく、俺がビデオを見た時刻に原因があるのだろう。」


広「時刻?」



ぬ~べ~「俺が呪いのビデオを見たのは先週の木曜日に日付が変わる時だった。
たぶんビデオを見始める時に丁度日付が替わってしまい…
彼女が見た時間に間に合わなかったのが最大の原因なのかもしれん。」


香苗『ソウダ…アンタガモットハヤクビデオヲミテクレタラ…ワタシハ…シナナカッタ!』


ぬ~べ~「すまない、まさか度重なる偶然がこんな結果を招くとは知らなかったんだ。」


香苗『ウルサイ!オマエノセイデワタシハ…ワタシハ!?』


ぬ~べ~に怒りを向ける香苗の霊。

だが子供たちは…



響子「そんなのあなたの勝手じゃない!」


広「そうだよ!もっと早くぬ~べ~に相談すりゃこんな事にはならなかったんだ!」


美樹「正直自業自得よね。」


ぬ~べ~「お前たち言い過ぎだ。
確かに俺にも責任があるがキミもこの岡崎を利用して死の呪いから逃れようとした。
まあ岡崎はビデオを見なかったが…こればかりは俺も擁護できん…
悪いがキミにはこのまま成仏してもらうぞ。
南無大慈大悲救苦救難…沢口香苗の霊よ、成仏したまえ!」


香苗『ア゛アァァァ…』


響子「沢口香苗の霊が成仏するわ!これで解決ね!」


香苗『イイエ…モウオマエタチハ…ニゲラレナイ…』


不気味な一言を残し成仏する香苗。

一体どういう意味なのだろうか?



ぬ~べ~「これで沢口香苗の霊は成仏できた。
残る問題は玉藻がリングウイルスのワクチンを完成してくれる事だが…」


響子「ちょっと…何よこれ…?」


美樹「おかしいわよねこれ?」


広「おい、二人ともどうしたんだよ?」


響子「だって…宿直室のTVが勝手に付いてるのよ!電源押しても全然消えないしどうなってるの!?」


美樹「しかもこの画像って…呪いのビデオの画像じゃないの?」


ぬ~べ~「なんだと!?」


響子の言う通り宿直室のTVが突然映りだした。

そこに現れたのは井戸、呪いのビデオにあった井戸の映像だ。

その井戸から何かが…いや…誰かが出てこようとしていた…



響子「女の人…長い黒髪の女の人が井戸から出てこようとしているわ…!?」


美樹「こんなのビデオの映像にはなかったわよ…!」


広「何だよこれ…まるで俺たちのところに近づいているみたいじゃないか…?」


ぬ~べ~「みんな!急いでTVから離れろ!?」


急いで子供たちをTVから遠ざけようとするぬ~べ~。

だが…既に手遅れだった…



((ズォォォォォッ!))


響子「そんな…TVから出てきた…」


美樹「嘘よ!こんなのありえないわ!?」


広「ぬ~べ~!もしかしてこいつが…!」


広がこの女の名前を言おうとしたその時であった…



((ガシッ!))


ぬ~べ~「広!?」


広がTVから出てきた女に腕を掴まれた。

それだけではない。

響子、美樹も一緒にこの不気味な女に掴まりそして…


響子「嫌だ…私たち…」


美樹「TVに引き込まれていくわ!?」


広「ぬ~べ~!助けてー!?」


ぬ~べ~「みんな!行かせてたまるか!」


そしてぬ~べ~もTVの中に引き摺りこまれた。

残ったのは先程沢口香苗にとり憑かれてたまま気を失った岡崎だけであった…



~??~


響子「痛た…ここはどこ?」


美樹「私たち…確か…TVから出てきた女に捕まったのよね」


広「つーかここ水たまりじゃんかよ?」


ぬ~べ~「あぁ、とりあえずみんな無事でよかったが…ここは一体どこなんだ?」


響子「ねぇ!天井を見て!丸く映る月が見えるよ!
あれってビデオにあった映像とまったく同じじゃないの?」


ぬ~べ~「そういえば…全体が円形に出来ているな。まさか…ここは井戸の中なのか!?」


TVから這い出た女に引き摺り込まれたぬ~べ~たち。

そこはなんと井戸の中であった。




(( ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ! ))



ぬ~べ~「ムッ!この気配は!」


美樹「ひぃぃぃっ!?正面に誰かいるわよ!?」


響子「あれってさっき私たちを井戸に引き摺り込んだ髪の長い女の人よ!」


広「なぁ…ぬ~べ~!もしかしてあれが!?」


ぬ~べ~「あぁ…間違いない…あの女こそが…
長尾城太郎に殺され、その後30年間ずっと井戸に閉じ込められていた…山村貞子だ!」


貞子『ウゥゥゥゥ…』


遂にぬ~べ~たちの前に姿を現した山村貞子の霊。

だがその姿は最早当時の美貌など微塵も残ってはいなかった。

あるのは…恨み…自分をこんな薄暗い井戸へ捨てた全ての人間たちの恨みだけであった…



美樹「フンッ!残念だったわね!
アンタの呪いなんてぬ~べ~や玉藻先生がもう解決したんだからね!」


広「そうだ!大人しく成仏しやがれってんだ!」


貞子『…』


響子「悪戯に刺激しちゃダメよ!」


ぬ~べ~「そうだ、彼女もまたこの一連の事件の被害者でしかない。
山村貞子、あなたはもう死んでいる。
それにあなたを死に追いやった長尾は既にその社会的地位を失ったも同然。
もうあなたがこの世を恨む理由は何もない。どうかこのまま成仏してくれないか?」


ぬ~べ~は再び貞子へ説得を続ける。

だが返答は…



貞子『ナガオ…アンナオトコハモウドウデモイイ…
ワタシハコレカラモアノビデオヲヨニヒロメタイ…ソレダケデイイ…』


ぬ~べ~「やめろ!あんな呪いのビデオを世間に広めてどうする!?
この学校ですら危うく子供同士で傷つけ合うところだったんだぞ!
もし世間に広まれば大惨事になるのに…」


貞子『30ネン…イドノナカニズットイタ…
ケドソノアイダ…ダレモワタシノコトヲオボエテイテクレナカッタ。
ダカラコンドハズットオボエテモラウ…ノロイノビデオヲツカッテネ…』


美樹「そんな…そんな理由でビデオを作ったの?」


響子「井戸の中に閉じ込められて誰にも忘れられて…」


広「確かに可哀想だけど…それでも関係ないヤツまで巻き込むのは…」


貞子『ダマレ!ワタシノコトヲワスレタセケンナンテシッタコトカ!』


((シュバッ!))


貞子長い黒髪が子供たちの身体を拘束した。

身体の自由を奪われ、徐々に苦しめられる子供たち…



広「く…苦しい…」


響子「助けて…ぬ~べ~…」


美樹「うぐぐぐぐ…」


ぬ~べ~「広!響子!美樹!やめろ貞子!
あなたの事を誰も誰もが忘れたといったな。だがそれはちがうぞ!」


貞子『エ…?』


ぬ~べ~「遠山博。この男の名を覚えているな。
いや、忘れたとは言わさないぞ!かつてあなたが愛した男の名前だ!」


貞子『トオヤマサン…』


ぬ~べ~「彼はあなたがいなくなった後も病気の身体でありながら…あなたを探し回った。
彼から伝言を預かっている。『貞子、見つけられなくてすまなかった…』とな。」


貞子『アァ…』


ぬ~べ~「確かにあなたのこれまでの一生は不幸の連続だった。
だがそんな中でこの世でたった一人、あなたを愛した男がいた。
それだけでもあなたの生涯は無駄じゃなかったはずだ!!」


ぬ~べ~の言葉、それに遠山からの伝言がこれまで暗い井戸の中で荒んでいた貞子の心に、

わずかであるが暖かな光が射し込んだ。



貞子『ワタシハ…ワタシハ…』


広「貞子が苦しんでる…?」


響子「きっとぬ~べ~の説得が貞子の心に影響してるんだわ!」


美樹「よっしゃ!ぬ~べ~今よ!」


ぬ~べ~「あぁ、南無大慈大悲救苦救難…広大霊感白衣観世音菩薩…
我が左手に封じられし『鬼』よ!今こそ、その力を示せぇぇぇぇぇッ!!」


((カッ!))


ぬ~べ~が片方だけしている左手の手袋を開けた。

それは以前ある生徒を強力な鬼から救うために自らの体内に封印。

それ以来、説得に応じない妖怪や悪霊を倒すためにのみ使う最強武器。

その名も『鬼の手!』



広「出た!ぬ~べ~の鬼の手だ!」


ぬ~べ~「山村貞子、その忌まわしき力の所為で苦しんだ事には同情する。
だがそのために呪いを撒き散らし、大勢の若者たちを死に至らしめたのは許されない!」


貞子『ウゥゥ…!』


ぬ~べ~「山村貞子の怨念よ!無に………還れ!!」


((ズバァッ!))


貞子『ギャァァァァァッ!?』


鬼の手により引き裂かれる山村貞子の怨念、そう…切り裂かれたのは怨念であった。



広「ぬ~べ~…貞子はどうなったの?」


響子「まさか…消滅しちゃったわけ?」


ぬ~べ~「いや、俺は鬼の手で彼女の怨念のみを切り裂いただけだ。魂は…ほら!」


((パァァァァァッ!))


美樹「嘘!あの化物みたいな顔が普通に美人の顔に!?」


貞子『うぅ…』


ぬ~べ~が鬼の手で切り裂いたのは山村貞子の怨念のみで魂は無傷であった。

そして目覚めた貞子の魂がぬ~べ~に語りかけた。



貞子『何故…こうまでして私を助けたの…?
一歩間違えばあなただって死んだかもしれないのに…』


ぬ~べ~「それは…あなたが俺と似ていたからだ。」


貞子『似ていた…?』


ぬ~べ~「俺も幼い頃、自分の力を制御できなくて他の子たちに化物扱いされて虐められた。
その事で今でもたまに悩んでいる事がある。
だが…その時の俺には支えてくれた恩師である美奈子先生がいた。
貞子、あなたにもそういう出会いがあればもしかしたらこんな事にはならなかったのかもしれない。」


貞子『そう…私も幼い頃にあなたのような教師に出会いたかった…』


ぬ~べ~「さぁ、もう行くんだ!白衣観世音があなたをあの世まで導いてくれる。
そして…来世ではどうか幸せになってくれ…」


そしてぬ~べ~の言葉通り井戸の天井から光が射し込んでくる。

それこそ貞子をあの世へと導く光であった。その光の中には一人の男の姿があった…



遠山『貞子、待たせてすまなかった。』


貞子『遠山さん…!』


遠山『もう離れない!今度こそずっと一緒だ!』


貞子『そうね、ずっと一緒よ!』


ぬ~べ~「遠山さんの霊だ。二人の霊があの世へ導かれたんだ…」


響子「これで何もかも終わったのね…」


広「あの二人…天国で幸せになれるのかな?」


美樹「なれるに決まってるでしょ!この手の話は大抵ハッピーエンドで終わるんだから!」


ぬ~べ~たちが見守る中、山村貞子は遠山博と共に成仏した。

こうして一連の事件は無事解決された。



[10月16日(日曜日)/PM15:00]


~伊豆大島~


敬「そうか…やはり貞子は死んでおったか…」


ぬ~べ~「えぇ、貞子さんは30年前に既に亡くなっていました。」


玉藻「これが貞子さんのお骨です。
それともうひとつ、こちらは貞子さんの恋仲であった遠山博さんのお骨です。
そちらがよろしければ二人のお骨を同じ墓に入れてもらえますか?」


敬「あぁ、いいとも。ワシに出来る事はもうそのくらいしかなかろうて。」


広「爺ちゃん元気出せよ。」


響子「そうですよ、お爺さんが悪いわけじゃないんだから!」


美樹「ほら、また来るからね!」


それから三日後、童守小学校を騒がせた呪いのビデオの事件は終わった。

ぬ~べ~たちは再びこの伊豆大島を訪れ、山村老人に山村貞子と遠山博のお骨を渡していた。

そして帰り道…



広「これで事件は無事解決だよな!
リングウイルスってのも玉藻の作ったワクチンで治ったわけだし!」


響子「今回ばかりは感謝しなきゃね!」


美樹「ありがとう玉藻先生!」


ぬ~べ~「あのなぁ…俺も頑張ったんだけど…」


玉藻「礼には及びませんよ。
ですが…鵺野先生が貞子の霊を鬼の手で倒した同時刻に遠山博が息を引き取っていたとは…」


ぬ~べ~「死んだ後に再会できるとは、恐らくあれこそ愛のなせる力だったのかもしれんな…」


事件の経緯を語り合うぬ~べ~と玉藻。そんな二人に広はある質問をした。



広「なぁ…結局今回の事件って一体誰が悪かったんだ?」


美樹「誰って…そりゃあ山村貞子でしょ!呪いを振りまいたわけだし!」


響子「けどその貞子だって長尾って人が井戸に閉じ込めなきゃこんな事をしなかったわ。」


美樹「じゃあ…一体…誰…?」


ぬ~べ~「誰が悪かったか…そうだな…
今回の事件は言ってみればこれは…運命のすれ違いが引き起こしたのかもしれん…」


郷子、広、美樹「「「運命のすれ違い!?」」」


玉藻「確かにそうかもしれませんね。
山村貞子がこうなった原因は幼少時に人々が自分の力を理解してくれなかったから…
あの当時、誰か一人でも貞子を理解できる者がいたら彼女は孤独にはならなかったはず。」


ぬ~べ~「それは沢口香苗にも言えるな。
俺が諸々の理由で呪いのビデオをもっと早くに観ていれば少なくとも彼女は死なずに済んだ。
まあ今更こんな事を言っても何も解決せんがな…」


この事件の根源が誰かが悪いという事ではなく運命のすれ違いだというぬ~べ~と玉藻。

だがその答えに子供たちは首を傾げる。



広「おい…二人が言ってる意味がよくわかんねえんだけど?」


響子「つまり誰かが悪いってわけじゃないって事じゃないの?」


美樹「なんかスッキリしないわねえ…」


ぬ~べ~「まあお前たちにはまだわからないかもしれんな。
もっと大人になったら今言った事がわかるかもしれんが…
ところで玉藻、今回は助かったぞ。正直お前の協力がなければダメだったかもしれん。」


玉藻「まあ、ひとつ貸しという事にしておきますよ。
今回は馴れ合い過ぎましたね。私はここで失礼します。アディオス、鵺野先生…」


別れの挨拶を一言残して立ち去る玉藻。



ぬ~べ~「まったくキザなヤツ…」


響子「まあいいじゃないの!今回は玉藻先生のおかげでたすかったわけだし…」


広「だよな、いい加減仲良くしろって!」


ぬ~べ~「いや、仲良くって…あいつ最初はお前の髑髏狙ってたんだが…」


美樹「「あぁ――――――――――――!?」」


響子「どうしたの美樹!?」


美樹「私たちここまでの運賃玉藻先生持ちだったじゃない!帰りどうすんのよ!?」


ぬ~べ~「しまった!玉藻~!戻って来~い!!」


広「最後締まらねえなぁ…」


響子「まあそこがぬ~べ~らしいけど…」


こうして一連の事件は終了した。

それから二ヶ月後…



[12月24日(水曜日)/PM18:00]


~童守センター街~


広「世間はクリスマスだなぁ。」


響子「そりゃそうよ!今日はクリスマスイブなんだから!」


美樹「聖夜のクリスマス!こういう日は恋人と二人で一夜を過ごすものよねぇ♪」


ぬ~べ~「何がクリスマスだ!恋人がいない独り身の事も考えろってんだ!」


響子「ぬ~べ~…そういう考えだから彼女できないのよ…」


センター街にいるカップル連れを妬ましく見るぬ~べ~。

そんな時、あるひと組のカップルの声がぬ~べ~の耳に入った。



『遠山さん、今度こそ幸せになりましょう…』


『そうだな、貞子…』


ぬ~べ~「貞子だと!?」


急いで振り返るぬ~べ~、

だがそのカップルは既に人混みに紛れ誰であったのか判別出来なかった。



ぬ~べ~「今のはまさか…
いや…ひょっとしたら…まったく神さまってのは味な真似をするもんだな。」


響子「ぬ~べ~…どうかしたの…?」


ぬ~べ~「いや、大丈夫さ。それよりせっかくのクリスマスだ!今日は俺の奢りで…」


美樹「ひょっとして豪華レストランでディナー!?」


ぬ~べ~「バカモン!俺がそんな金持ってると思うか?ラーメン屋でラーメン奢ってやる!!」


響子「ぬ~べ~、本当にいつも給料何に使ってんのよ?」


広「ま、いいや!早く行こうぜ!!」


聖夜のクリスマス・イブ。

童守センター街に雪が降るホワイトクリスマス。

ぬ~べ~は思った。この祝福が全ての人々に伝わるようにと…



エピローグ


~沢口家~


香苗の母「娘の霊がまだ成仏できていない気がして…」


いずな「まっかせなさ~い!この霊媒師いずなが解決してみせるわ!」


さて、諸君は何か忘れていないだろうか?

ダビングとは本来元になったマスターテープが必要である。

では呪いのビデオ、つまり今回の場合は沢口香苗が岡崎に見せようとして…

偶然にもぬ~べ~が見てしまったテープ。

しかしそれはダビングしたテープである。

そのダビングされたテープはあの後、ぬ~べ~が全て処分しておいた。

だが元になったマスターテープはまだ沢口家の…香苗の部屋のビデオデッキの中にあった。



いずな「まったく…ぬ~べ~のヤツ…私には除霊は無理とか言って半人前扱いして…
そんな事で引き下がる私じゃないっての!
見てなさいよ!私だってやればできるところを見せてやるんだから!
というわけでさっそく香苗さんの部屋に来たんだけど…霊気は欠片もないし…
あのおばさんの勘違いじゃ…?」


いずな「あれ…?ビデオデッキに何か入っている?これはビデオテープ?
ちょっと何が入ってるのか見ちゃおっと~♪」


今回、ぬ~べ~先生と玉藻先生の活躍で呪いのビデオに纏わる事件は解決できた。

だが、キミたちの周りに何か怪しいビデオがあったら絶対に見ないでほしい。

もしも見てしまった場合は…直ちに童守小学校のぬ~べ~先生に連絡を…


地獄先生ぬ~べ~vsリング【完】

…というわけでこれでこのssは完結です

終盤の展開を今日に間に合わせたくて、

今まで書き溜めていた分を全部ageてしまったので読むの大変だと思いますが何卒ご容赦ください。

ちなみに今更ですが時代設定はぬ~べ~連載時を想定しているので90年代。

ビデオテープが普通に普及していた時代です。

まあ素人が作ったssなので設定色々とおかしいとこあるんじゃねとか

ドラマ版の方が最高だったわとか思われるかもしれませんが…

でも久しぶりにぬ~べ~原作を読み返すとやはりぬ~べ~は面白かったなと…

またいずれぬ~べ~でss書いてみたいです。


随分あっさり解決したな……
メリーさんの時みたいに引き分けみたいな結果になると考えていたが

>>247
たぶん実力じゃ間違いなく貞子の方が上です
だから貞子をメンタルを攻めたわけで…(遠山の伝言とか)
それに生徒を守る時のぬ~べ~は120%の力発揮できるし…

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