勇者「お前らはここで俺が殺す」(45)

チュンチュン ピョ 

勇者「…………」パチ

勇者「朝か……」

勇者「……魔王討伐遠征の日だ」




衛兵「勇者殿ーーっ」ドンドン

勇者「……今行こう」

迎えの衛兵が来たみたいだ

玄関の戸を開ける

衛兵「迎えに参りました。そろそろ出発のパレードが催されます。どうぞ馬車へお乗りください」

勇者「……どうも」

そして荷台へ乗る

自分の家を見上げた

勇者(もう二度と戻ってくることはないだろうな)

衛兵「では、馬を走らせましょう」







ここはSSシンヤ王国

勇者御一行、出発日

ワー キャー

荷台のカーテン越しから市民の歓声と熱気が伝わってくる

衛兵「勇者殿、御到着致しました」

勇者「ご苦労」

衛兵「あちらのアーチにて待機願います」

勇者「…………」ザッ

荷台から降りる

ワー ワー! ユウシャサマー

勇者(大した群衆だ)

アーチ前に今回の遠征に同行する者が見える

勇者「あいつらがパーティーの……」

???「……あいつが勇者か」

???「えらくヒョロいわね」

???「ち、ちょっと! 二人とも!」

衛兵「勇者殿、こちらが……」

剣士「俺は剣士。名門の剣術アカデミーを卒業した者だ、よろしくな」

魔使「あたしは魔法使い。……特に言う事はないわ。……そうね、最古の魔女の末裔とだけ」

僧侶「あ……、私は僧侶って言います。歴史ある僧の家系出身……です。よろしく……お願いします」

一呼吸置く

勇者「ああ、よろしく願おう」

魔使「……何よ、スカしてるわね」

剣士「おい、やめておけ」

僧侶「もう……」

暫くして、パレードが開かれた

この王国の出口の門まで、レッドカーペットの上を歩く……というものだ

途中、合奏団や民衆が並走してくる

紙吹雪の舞う中、いよいよ門に到着した

国王「勇者殿……魔王討伐、御健闘を祈ります……」

生気の無いジジイだ

きっとこの老いぼれは魔王軍侵略の前にくたばってしまうだろう

勇者「任せてください。必ずや魔王の首、討って見せましょう」

衛兵「旅の馬車には一通りの必需品が入っております」

国王「旅費の資金には三億ジェニーが充てられておりまする。不足する事はないと思いますが、倹約してくだされ」

勇者(……三億、ね)

魔使「……何を笑っている勇者」

勇者「……いや、何でもない」

剣士「……うし、じゃあ」

僧侶「出発……ですね!」

衛兵「門を開けろーーっ」

ガラガラガラ  ドンッ

この王国を守る巨大な門が開かれる

衛兵「御武運を」

そして出発となった






一行は馬車に揺られている

振り返れば王国は豆粒程に小さく見える

剣士「ここらはまだ魔王の支配が及んでいない、魔物は現れないだろう」

魔使「まだしばらくは戦闘にならない……て事ね」

僧侶「…………」

魔使「はははっ、あんた緊張してんの?」

僧侶「えっ……そのぉ……」

剣士「おい、勇者……。寝てんのか……?」

魔使「ふん、随分と余裕ね」

そろそろ……か。

体を起こす

剣士「へっ、お目覚めか」

僧侶「……勇者様?」

瞬間、荷台から飛び降りる

魔使「えっ?」

着地する

周りは何も無い、赤土の荒野

勇者「お前ら、降りろ」

剣士「勇者、お前何を」

魔使「……?」

僧侶「え、え? 敵ですか」

異変を察知した馬は停止する

三人は馬車から降りる

沈黙が流れた

勇者「お前らはここで……」

剣士「!」

勇者「俺が殺す」

僧侶「へ……? え!?」

魔使「勇者! 気でも違ったか」

剣士「訳が……分からねえ……」

当たり前の反応だ

勇者「俺の計画には邪魔だって言ってんだ。……ここで死んでもらう」

腰の剣に手を回す

勇者「打倒魔王なんて知ったこっちゃねえ」スゥー

剣士(来る!)

キィィィン 

勇者「俺に反応出来るんだ」

剣士「勇者、テメーー!」ギリリ

日付跨ぎそうなので一応酉付けます

剣士「目的は……。金か! 三億ジェニーだな!」

勇者「ご名答」キンッ

剣士「ぐぅ……」ドサ

競り負けた剣士は斬り飛ばされる

剣士「ガハッ……ま、魔法使い!」

魔使「分かってる!」

僧侶「え? ええ!?」

剣士「死にてぇのか! 下がってろ!」

魔使「〝火炎魔法〟!」

魔法使いの杖から火の玉が出現し、勇者に飛んでいく

勇者「効くかよォッ」

ザン

魔使「んな……!?」

勇者は剣を掲げる

勇者「魔法で鍛えられた聖剣だ。そこらのチャチな魔法なんぞ効かねえ」

魔使「馬鹿な! ……〝電撃魔法〟!」

杖から稲光が放出され、勇者に襲いかかる

勇者「効かん効かん!」

僧侶「勇者様! 何を……!?」

まだ状況が飲み込めないらしい

勇者「次はお前だ」

ダッ

魔使「逃げ……!」

ザクゥ

僧侶「え……あ……?」

勇者「ふんっ」

ゲシッ ドサ

僧侶「…………」

魔使「あ……ああ……」

勇者「降参しな、そうすれば……」

魔使「いやああああ!!」

錯乱した魔法使いは適当な呪文を唱えては飛ばしていた

勇者「ッチ、……死ね」

ズッバァァアアア

魔使「がッ……」


勇者「……これで全員死んだな」





勇者「よっしゃ。馬よ、行けーー」

パカッパカッ

勇者「あっはっはっは、早い早い」

勇者(そうだな、直に夜になる。そこの森で野宿だな……)







僧侶「ケホッ」

ゴホゴホ

僧侶「……生きてる」

地図によるとこの森を抜け、しばらく歩けば小さな村があるらしい

勇者(今日はこの森で休んで、明日……)

パキッ ガサガサ

勇者(……動物か?)



僧侶「ハア、ハァ……勇者様、見つけました」

勇者(仕留め損ねたか)「生きてたんだ」

僧侶「御あいにく、致命傷は免れたみたいです……ケホ」

勇者「治癒魔法で回復して追いかけて来た……って感じか」

勇者「……剣士達は?」

僧侶「…………」

勇者「助からなかったか、はは」

勇者「まあ、生かす気なんてハナから無いけど」

僧侶「そう……ですか」

勇者「さて、お前もトドメを刺すかな」

僧侶「………!」

勇者「待った……。ただ殺すのもなあ……」

僧侶「……? ……!!」

焚き火が弱々しく燃えている

勇者「……はは」

ザッ スタスタ

僧侶「勇者、様……?」

勇者「お前、鈍いな」

僧侶「えっ……?」

後ずさる僧侶

勇者「怖がんなって」

僧侶「やめ……勇者様っ……?」

バシィ

僧侶の足を蹴り上がる

転び、尻もちをつく

中学生ですがSS書いてみました  [転載禁止]?2ch.net
1 :以下、転載禁止でVIPがお送りします[]:2014/12/03(水) 12:20:39.98 ID:BOnp+OHT0
勇者「お前らはここで俺が殺す」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1417403672/)

この後の天界に困ってます
VIPPERのみなさん知恵を貸してください

ペ・ヤングン「呼んだ?」 [転載禁止]?2ch.net

享年(じゅんねん)

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