男「観葉植物買いに行こう」 (153)


男「というワケで、ホームセンターに来た」



男「念願叶って喫茶店を開店出来るし、お客さんがリラックス出来るように、せっかくなら観葉植物置きたいわけだが……」



男「あっ、観葉植物のコーナー見つけた」



男「どれどれ……」


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男「へぇ……。色々あるなぁ……」



男「ん?初心者向け観葉植物コーナーか」



男「オーガスタ……シュフレラ……ドラセナ……」



男「バキラ……ベンジャミンに……」

「アルラウネ」

男「アルラウネか……」


男「……ん?……アルラウネ?」

アルラウネ「はい、こんにちは。アルラウネですが、何か?」



男「し……」

アルラウネ「し……?」



男「植物が喋ったぁ?!」

アルラウネ「それはそうです。アルラウネですから」


男「あ、あのさ、アルラウネってあれだよね……。よくファンタジーに出てくる人型の植物だよな……?」

アルラウネ「そうですね」

男「なんで普通にホームセンターいるの……?」

アルラウネ「話すと長くなりますが、宜しいですか?」

男「じゃあ、遠慮します」

アルラウネ「そうですか……」シュン


男「そんな凹まなくても……」

アルラウネ「植物は繊細な生き物なのです……」

男「解ったよ……。じゃあ、手短になら聞くよ」

アルラウネ「ありがとうございます。店長さん曰く、仕入れた球根の中に見慣れない球根があって、育ててみたら私になったとか」

男「そうでしたか……。あなたも店長さんも大変でしたね……」

アルラウネ「いえいえ。おかげで私はこの世に生を受けたので、店長さんには感謝感激雨嵐です」

男「なら良かった。では失礼するよ」


アルラウネ「お待ち下さい」

男「何ですか?」

アルラウネ「お見受けしたところ、観葉植物をお探しで?」

男「そりゃあね。そうじゃなかったら、ホームセンターにわざわざ観葉植物を見に来ないよ」



アルラウネ「宜しければ、私を買いませんか?」



男「何これ、新手の売春か詐欺……?」

アルラウネ「違います。至って私はまともで一般的なアルラウネです」

すいません
早いですが、今はここまでで
書き溜めあるんで、続きは適当なペースで投下していきます


男「てか、あなたは売り物なの……?」

アルラウネ「はい、この前から並んでます。お買い得ですよ」

男「ちなみに買うかは別にして、あなたはお幾らなの?」



アルラウネ「5万……」

男「残念ながら円だと予算越えてるし、ドルとユーロなら高級車買えるくらいなので失礼します」



アルラウネ「……ウォンならどうでしょう?」

男「んと……。5000円くらいか……」


アルラウネ「なんだったらジンバブエドルで手を打ちます」

男「あなたさ、50000ジンバブエドルが円だと幾らになるか知ってる……?」

アルラウネ「1円にも満たないみたいですね。ハイパーインフレーションって超怖いですよ」

男「俗世にお詳しい植物さんですね」

アルラウネ「ありがとうございます。もっと褒めて下さい」

男「調子には乗らない方が良いと思うよ」

アルラウネ「はい……」シュン


男「でも、植物ならリラックス効果とかある香りを出せたりするの?」

アルラウネ「モチのロンです。色々な香り出せますよ」

男「へぇ。便利そう」



アルラウネ「便利ですよ。この前、私に気持ち良くなる香りを試しに嗅がせてと言った人に嗅がせてみたら、泡吹いて倒れて幻覚見るくらいに気持ち良くなってました」



男「ダメじゃん、それ……」

アルラウネ「その方に十分注意したのですが、もっとと言うので断れず……。すみません……」

男「そうだったのね……」


アルラウネ「というワケで……。すぐ買いますか、悩んでから買いますか、どっちですか?」

男「買う以外の選択肢が無い件について」

アルラウネ「良いじゃないですか、アルラウネ」

男「良いのか……?」

アルラウネ「ウォンもジンバブエドルでもダメ。リラックス効果があってもダメ。どうしたら良いのです?」

男「いやいや、買われないという選択肢が残ってるじゃない」


アルラウネ「え?」

男「そりぁそうでしょうよ……」

アルラウネ「え?」

男「だから……」

アルラウネ「え?」



男「……」


アルラウネ「……黙らないで下さいよ。私も困ってしまいますから」

男「いや……。もう買え買えオーラにマイッチングしたんだもの……」

アルラウネ「売れ残って困ってる格安な鉢植えの花を買う感覚でどうかダメでしょうか?」

男「それは無理ある気もするけど」

アルラウネ「なんとかオナシャス」

男「急に緩いお願いになったね
……」


アルラウネ「なんとかお願いします。何でもしますから」



男「……ん?」



男「今、何でもするって言った?」



アルラウネ「はい、言いました。ただ、私は一応メス側に分類されるので、ホモネタは無理ですよ」

男「それ言ったら、自分もホモじゃないから」

アルラウネ「安心しました。では、お願いの内容とは?」



男「喫茶店に置いてあげるから、お店のお手伝いしてよ」


アルラウネ「専門的な事は出来ませんが、大丈夫でしょうか?」

男「大丈夫だよ。注文取ったり、品物運ぶくらい出来れば」

アルラウネ「なるほど。それなら私でも大丈夫です」

男「じゃあ、決定ね。宜しく頼むよ」

アルラウネ「はい。宜しくお願いします」

ひとまずここまでです
今夜か明日の午前中にまた来ます


男「んじゃ、残りの飾る用のヤツも選ばないとなぁ」



アルラウネ「え?」

男「え?」



アルラウネ「早速浮気してしまうのですか……?」

男「えっ、浮気?何で?」

アルラウネ「私という存在がいながら、他の植物(こ)を選ぶなんて、浮気ですよ」

男「そんな事言われても困るな……。観葉植物はあなたを入れて三つ買う予定だし……」


アルラウネ「日本は一夫一妻制です。多妻なんてダメです」

男「それは人の決まりだし、俺は植物を性の対象として見ないし、浮気自体する気は更々無いから」

アルラウネ「うむぅ……。なら致し方ないですね……」

男「理解がある植物で助かるよ」

アルラウネ「ありがとうございます。ぜひ、もっと褒めて下さい」

男「うん、えらいえらい」


男「なら、どうせだし、あなたがお店に置く植物選んでよ」

アルラウネ「良いのですか?」

男「植物の事なら、植物の方に聞くのが良いかと思ってね」

アルラウネ「解りました。私に任せて下さい」



アルラウネ「……では、ガジュマルとシュロチクにします」ヒョイ



男「木みたいな感じだから、店でも映えるし良いかも。でも、何でそれにしたの?」

アルラウネ「お店に置くと聞いたので、多少大きくても大丈夫そうでしたし、日陰に強い子たちにしてみました」


男「そっか、色々考えて選んでくれてありがとね」

アルラウネ「いえ、植物として当たり前の事をした迄です」

男「じゃあ、お会計に行こうかな」

アルラウネ「では、私は店長さんにお別れの挨拶してきます」

男「そっか。じゃあ、先に会計して待ってるよ」



アルラウネ「お待たせしました」



男「いえいえ。きちんと挨拶出来たかな?」

アルラウネ「はい。買い手がつくか心配したけど、いざ離れるとなると寂しいと言ってました」

男「その割に安売りしてたよね……」

アルラウネ「まぁ、あくまで私の意思で何処行くか選べと言ってたくらいですし、私自身が値段も決めてましたから」

男「でも、50000ジンバブエドルはどうかと思う」

アルラウネ「やはり、50000ウォンくらいにはしておくべきでしたね」


男「じゃあ、車で来てるから行こうか」

アルラウネ「そうですか。では、お願いします」

男「今、トランク開けるから、こっちに乗ってくれ」



アルラウネ「え?」

男「ん?」



アルラウネ「私、車のトランクに乗らないとダメですか?」

男「ダメというか……。あなたの足(?)というか、体の作りだと足元がキツいだろうし、シートベルト締めて座席に座れないでしょ……」


アルラウネ「レディをトランクに乗せるなんて失礼だと思います」

男「人間ならね……。あなた一応は植物だからね……?」

アルラウネ「まぁ……。でも、確かに足元キツいなら仕方ないですし、それなら私も諦めます」

男「そうしてくれ。店も近所で時間かからないから」

アルラウネ「では、着くまでガジュマルとシュロチクとお喋りしてます」

男「話すなら植物同士も結構だけど、俺とも話してくれよ……」



男「ほら、着いたぞ」カラーン

アルラウネ「はい、失礼します。よいしょ……っと」ヒョイ

男「ここが店だよ」

アルラウネ「ほうほう。こちらがあなたの……」

男「とりあえず、買った植物をどっかに置いてやってくれ」

アルラウネ「解りました」


アルラウネ「この辺りで大丈夫ですか?」

男「別にもう少し日なた側に持ってきても良いぞ?」

アルラウネ「では……。この辺りにします」

男「うん。バッチリだな」

アルラウネ「はい。シュロチクとガジュマルも日当たり良くて喜んでます」

男「なら良かった」


男「ところで、一つ良い?」

アルラウネ「何でしょう?」

男「あなたを何て呼べば良い?名前は無いの?」

アルラウネ「そうですねぇ……。私は別にあなたの好きな呼び方で呼んで頂いて構いませんが」

男「そっか。なら、アルラウネもじって、アルルにする」

アルラウネ「もしや、パズルゲームがお好きだったり?」

男「そうでもないな」


アルラウネ「では、私はあなたを何とお呼びすれば?」

男「男って呼んでくれれば良いよ」

アルラウネ「では、私は男さんと呼びますね」

男「うん、それで良いよ」

アルラウネ「はい。あの、男さん」

男「ん?何、アルル?」


アルラウネ「そのぉ……。不束者といいますか、不束植物ですが宜しくお願いします///」ペコリ



男(照れながら話すアルル可愛い)



アルラウネ「あのぉ……。微笑んでいますが、何か変でしたか……?」

男「いやぁ、告白された女の子がOKの返事した時みたいな挨拶だし、照れてて可愛いなぁと思ってさ」

アルラウネ「そのぉ……他意は無いと言いますかぁ……何と言いますかぁ……///」

男「はははっ。大丈夫だよ、解ってるから」

アルラウネ「うー……。男さん、意地悪ですぅ……」


アルラウネ「ところで、今日お店はお休みなんですか?」

男「いや、休みじゃなくて開店は明日なんだ」

アルラウネ「ほうほう。では、お仕事は明日からと?」

男「そうだね。まぁ、店の中でゆっくりしてくれれば良いよ」

アルラウネ「ちなみに、男さんはこの後のご用事は?」

男「必要な物はあらかた買ったし、ゆっくりする予定だよ」

アルラウネ「じゃあ、一個お願いが……」



男「はい、どうぞ」コトッ

アルラウネ「ありがとうございます、男さん」

男「でも、コーヒー飲んだ事無かったのかぁ」

アルラウネ「はい。でも、どんな物か気になってましたし、店長さんもよく飲んでいたので、一度飲んでみたかったんです」

男「熱いのは駄目だろうし、アイスにしたから飲んでみて」

アルラウネ「はい。では、頂きます」チュー


男「どうかな、初コーヒー?」

アルラウネ「はい……。香りが口一杯に広がって……」



アルラウネ「苦くて不味いです……」



男「あらら、アルルはブラックは駄目なタイプか」

アルラウネ「うぇぇ……。まるで口の中一杯に除草剤を入れられた如く、口の中が酷い事にぃ……」

男「酷い言いようだなぁ……。なら、そこのガムシロップとミルク混ぜれば、飲みやすくなるからやってみ?」


アルラウネ「では……。このガムシロップって物を三つ入れてみます」カパッ

男「そ、そんなに入れる……?」

アルラウネ「はい。では、頂きます」チュー



アルラウネ「お……」

男「お?」



アルラウネ「美味しいです。苦い風味はまだ感じますが、まるで栄養たっぷりの肥料を味わっているようで、美味しいのですね」

男「その例えは人間的にキツいかなぁ……」


男「それにさ、そんなにガムシロップ入れて美味しいもんなの……?」

アルラウネ「美味しいです。男さんも飲みますか?」ヒョイ

男「えっと……。じゃあ、ちょっとだけ……」チュー



男「あのさ……」

アルラウネ「はい」



男「砂糖水になっちゃってるよ、コレ……」

アルラウネ「でも、私はこれが美味しいのです」


男「んー……。アルルは甘党なのか……?」

アルラウネ「甘い蜜とかは好きです。よく蜂に集めた蜜を強請って貰ってましたから」

男「そうか、蜂も大変なんだな……」

アルラウネ「あの、男さんに一ついいですか?」

男「何?」



アルラウネ「コーヒー飲む時に私と間接キスしちゃってましたね」

男「へ?」


男(間接キス……?)



男(そういえば、ストローで吸ったな、俺……)



男(あぁ、確かに…………)



男「すまん、わざとじゃないからな?」

アルラウネ「本当ですかぁ……?」


男「本当だぞ」

アルラウネ「でも、間接キスなんて不純です。許しません」プイッ

男「機嫌直してくれよ」

アルラウネ「じゃあ……、目を瞑ってて下さい」

男「目か?あぁ、解った……」



……



アルラウネ「良いですよ」


男「アルル……。何か目を瞑ってる間に、口に柔らかい物がぶつかったんだが」

アルラウネ「お返しです」

男「そうか……。接吻がお返しか」

アルラウネ「せ、接吻って……///」



男「……アルル、焦るって事は違う事したのか?」



アルラウネ「ば、バレましたか……。キスと勘違いさせてビックリしてほしかったのですが……」

男「顔に出てたから仕方ないな」


アルラウネ「さっきの正体はこれです」ニョコ

男「あぁ、その蔦というか、触手みたいなヤツか」

アルラウネ「はい。私の意思で動かしたり出来ますし、軽い物なら持てますから便利ですよ」

男「確かに便利かもな」

アルラウネ「いきなりお客さんが沢山来ても、一度に運べるのできっと役に立ちますよ」

男「そんな一度に沢山のお客さんは来ないだろうけど、頼もしい限りだな」


アルラウネ「何でそんなにお客さんが来ないと言えるのですか?」

男「だって、大々的に宣伝してないし。それに、有名コーヒーショップには負けるでしょ?」

アルラウネ「打倒、ドトー○やスターバック○、とは思わないのですか?」

男「いやぁ、スタ○やドトー○は近所だと店舗ないし、宣伝とかはそこまでしなくてもいいかなぁって」

アルラウネ「男さん、意外と適当なんですね」

男「そうかもね。でも、無駄に忙しすぎても逆に困るから、ぼちぼち近所の人らが来てくれれば良いよ」


男「それはそうと、アルルはご飯ってどうしたら良いんだ?」

アルラウネ「食べ物は食べられますが、別に要らないですよ」

男「遠慮はしないでな?」

アルラウネ「はい。ですが、基本的に植物の体なので、水と二酸化炭素と光があれば、どうにでもなるんですよ」

男「なるほどね」

アルラウネ「あとは……。栄養はこれで補ったりも出来ますよ」ヒョイ

男「んと……。なんか、壺みたいなそれは……?」


アルラウネ「私が出す香りで虫を集めて、これに入れて溶かして栄養に替えられます」

男「食虫植物の要領か……」

アルラウネ「はい。必要になれば自分でなんとか出来るので大丈夫です」

男「今も入ってるのか、虫……?」

アルラウネ「今は溶解液だけです。店長さんが肥料くれてたので、全く虫を取る必要が無かったので」

男「そうか……。なら、良かったわ……」


アルラウネ「もしや、男さんは虫がお苦手ですか?」

男「あぁ……。どうも姿や形が苦手でな……。カブト虫とかも、あまり触りたくないな……」

アルラウネ「私には可愛いくらいな物ですが、人間の方は苦手なんですね」

男「好きな人もいるが、俺は無理だ……」

アルラウネ「そうですか。では、虫取りはしないようにします」

男「そうしてくれたら助かるよ」

アルラウネ「いえいえ。これからお世話になるので、きちんと合わせないといけませんから」


男「ならさ、水は何でもイケるのか?」

アルラウネ「除草剤とか毒物が入ってないなら大丈夫です」

男「そうか」

アルラウネ「ただ……。好きな水はありますね」

男「どんな水?やっぱり高い飲料水だったり?」

アルラウネ「いえ、お米の研ぎ汁が一番です」


男「研ぎ汁って……」

アルラウネ「侮るなかれ。水の無駄遣いにならず、美肌効果もありますから、アルラウネには最適なのです」

男「アルルのお肌、確かに綺麗だよな」

アルラウネ「はい。店長さんが毎日研ぎ汁持ってきてくれてたので、お陰様でプルルンお肌です」

男「んじゃ、研ぎ汁保管するようにしとくか」

アルラウネ「ありがとうございます。そうして貰えると嬉しいです」

今日はここまでです
また明日投下します
ではでは


アルラウネ「……って、それについてはまず置いておきまして。お店の事はどうするんです?」

男「えっと……。宣伝の事?」

アルラウネ「そうです。やっぱり何かしら自分で動かないとダメですよ」

男「そうかなぁ……。食べ■グやってる人らが、勝手に評価を投稿してくれるから、大丈夫だと思うけど?」

アルラウネ「そんな受け身では植物以下です。やはり、人間らしく動いてみるべきです」

男「目の前に自分で動ける可愛い植物がいると、人間らしさって解らなくなる」


アルラウネ「もう、男さん、ふざけないで下さい///」

男「可愛いのは事実だから仕方ない」

アルラウネ「はぁ……男さんは口が達者過ぎます……///」

男「じゃあさ、どうせだしアルルがお店の宣伝してきてよ」

アルラウネ「私がですか?」

男「うん。アルルが宣伝したら目立つし、印象に残るから良いと思うけど」


アルラウネ「うーん……。大丈夫でしょうか?」

男「大丈夫だよ。アルルしっかりしてそうだし」

アルラウネ「でも、宣伝って提案はしましたが、私自身どう宣伝すべきかよく解らないですし……」

男「喋る植物とお話出来る喫茶店とかで良いんじゃない?」

アルラウネ「喋る植物がいるお店って怖がられないですか……?」

男「そういうの好きな人もいるから良いんじゃない?」


アルラウネ「んー、でも……」

男「アルルは心配性だなぁ」

アルラウネ「それはそうです。男さんにご迷惑をかける訳にはいきませんし」

男「俺はアルルの事を迷惑だと思わないし、アルルの事を気に入ってくれる人もいると思うよ」

アルラウネ「そうでしょうか……?」

男「そうだよ。だから、自信持って宣伝しておいでよ」


アルラウネ「……解りました。やってみます」

男「ありがと。じゃ、お願いするよ」

アルラウネ「はい。では、行ってきます」カラーン



男「送り出したものの、アルル一人でちゃんと出来るかな……?」



男「ま、どうにでもなるか……」





男「んー……」



男「アルル、遅いなぁ……」



男「……あっ、帰ってきた」

アルラウネ「すみません、遅くなりました」カラーン

男「大丈夫、大丈夫。しっかり宣伝出来た?」

アルラウネ「はい、大丈夫だと思います」


男「でも、宣伝ってどこでやってきたんだ?」

アルラウネ「ご近所の公園から始めて、道を聞いて駅前にも行って、やってきてみました」

男「そっか。手応えはあった?」

アルラウネ「珍しい植物を見るような目で見られた以外は大丈夫かと」

男「アルラウネが喫茶店の宣伝してれば、やっぱりそう見ちゃうよね……。色々と大丈夫だった?」

アルラウネ「はい。それに、色々な人と交流出来て楽しかったです」


男「なら良かった。じゃ、明日の開店に備えて、今日はゆっくりするか」

アルラウネ「では、私も久々に動き回って疲れたので、もう休みますね」

男「俺はこれから家に帰るけど、アルルも来るか?」

アルラウネ「私は男さんが良ければ、お店でガジュマルとシュロチクと、一緒にいたいのですが」

男「俺は別に良いけど、本当に大丈夫か?」

アルラウネ「はい。大丈夫です」


男「じゃあ、俺の携帯電話番号のメモ置いとくから、何かあったら店の電話からかけてくれ」

アルラウネ「はい」

男「一応聞くけど、電話の使い方は大丈夫だよね?」

アルラウネ「日常的な物の使い方は教えて頂いてますから、勿論大丈夫です」

男「なら、大丈夫だな。じゃ、また明日な」カラーン

アルラウネ「はい、男さん。おやすみなさい」ペコッ


アルラウネ「ふぅ。今日は色々あって疲れました」

(……)

アルラウネ「えぇ。良い方が私を選んでくれて嬉しいです」

(……)

アルラウネ「そうね。あなたたちと一緒に来れて良かったです」

(……)

(……)

アルラウネ「そうですね、明日から頑張ります。じゃあ、あなたたちもおやすみなさい……」ワサワサ





男「おはよう、アルル」カラーン



アルラウネ「……Zzz」コロン

男「蕾になって寝るんだなぁ……。てか、店にでっかい蕾あるって凄いかも……」



男「おーい、アルル。朝だから起きろー」ツンツン

アルラウネ「ふぇ……?朝ですかぁ……?」ワサワサ


男「あぁ、朝だぞ、起きてくれ」

アルラウネ「そうでしたかぁ……。朝は苦手なんですぅ……」ポー

男「植物って朝に強そうなイメージなんだけど、アルルは苦手なのか?」

アルラウネ「朝が苦手なアルラウネだっていますぅ……」ポー

男「そうか。植物も色々なんだな」

アルラウネ「そうですよぉ……。色々あるんですぅ……」ポー





男「というワケで、眠り姫がようやく本調子になったな」

アルラウネ「はい。男さん持参の研ぎ汁で、今日もお肌もプルプルです」

男「だね。今日から喫茶店オープンだから、二人で頑張っていこっか」

アルラウネ「はい。私も微力ながら、男さんと頑張ります」

男「じゃ、開店前にまずはコレだ。はい、アルル用のエプロン」


アルラウネ「これ、私用ですか?」

男「そうだよ。アルラウネでも喫茶店で仕事なら、エプロンは着けないと」

アルラウネ「ありがとうございます、男さん」

男「そんな高いもんじゃないし、ガシガシ使ってやってくれ」

アルラウネ「はい。でも、可愛いですし、大事に使いますね」

男「でも、痛んできたら教えてな。それじゃあ、喫茶店開店するぞ!」

アルラウネ「はい、男さん。札を回してきますね」



『OPEN』カタッ



アルラウネ「宣伝もしましたし、早くお客さん来てくれませんかね?」ウズウズ

男「まぁまぁ。まだ午前中だし、昼近くにならないと人は来ないんじゃないかな?」

アルラウネ「そうですか……。まだ、お昼までありますから、当分来ないかもですかぁ……」

男「ま、焦らないでやろ?」

アルラウネ「はい、そうします」

今日はここまでです
また明日にでも


アルラウネ「あっ、今入り口に人が来ましたよ、男さん」

男「おっ、早速初めてのお客さんが来店か」



カラーン……



男「いらっしゃい」

アルラウネ「い、いらっしゃいませ」



「待ち合わせしたいんですが、大丈夫ですか……?」


男「大丈夫ですよ」

アルラウネ「えっと……。お客様、お好きな席へどうぞ」

「ありがとう……。あと、コーヒーのブラックお願いします……」

男「解りました」

「でも、人外のアルラウネがここにいると聞いたけど、本当だったのねぇ……」

アルラウネ「は、はい。その……、失礼でなければ、お客様はどのようなお方ですか……?」



魔女「私は魔女よ……。勿論人間だけど、あなた側のような人外と言われてる人たちとも縁があるわね……」


男「魔女って本当にいるのか……。アルル、昨日の宣伝は異世界にでも行って、わざわざやってきたのか?」

アルラウネ「そんなはずないですが……」

魔女「店長さん、アルラウネさんの事は風の噂で聞いたのよ……」

男「そうでしたか」

魔女「私は用事があったのは勿論だけど、あなたが気になったから来てみたのよね……」

アルラウネ「わざわざ、ありがとうございます」ペコリ


魔女「ふふふ。礼儀正しいアルラウネさんだこと……」クスッ

男「人外と言いますか、アルルみたいな存在って、どんな感じなんですか?」

魔女「人間と一緒よ……。高飛車だったり、謙虚だったり……。とにかく種族だけじゃなく、性格によって色々よ……」

アルラウネ「私、まだ同族や他の種族の方と会った事無いんですよ」

魔女「あなたはまだ若いし、色々とあたしみたいな存在と、これから会うかもしれないわよ……」

男「お待たせしました、ブラックコーヒーです」コトッ


魔女「ありがとう、店長さん……」ゴクッ



魔女「うん……。美味しいわ……」



アルラウネ「魔女さん、ブラック飲めるなんて大人ですね」

魔女「あら……。アルラウネさんはブラックが駄目なのかしら……?」

男「アルルは甘党ですよ。昨日初めてアイスのブラック飲ませたら、ガムシロップ三つも入れてましたから」

アルラウネ「お、男さん、そんな情報は魔女さんに教えなくて大丈夫ですよ……///」


魔女「まぁ……。でも、あなたももう少し年を重ねたら、ブラックで飲めるようになるかもね……?」

アルラウネ「私は甘党なので、甘いコーヒーでいいです」

魔女「でも、そのうち美味しさが解るようになるかもしれないわよ……?」

アルラウネ「その時が来たとしても、男さんや魔女さんが既にヨボヨボのご老人になっているかもしれませんね」

男「じゃあ、死ぬまではアルル用にガムシロップを切らさないようにしないといけないな」

魔女「それだと、在庫確認を怠れませんね、店長さん……」クスッ


アルラウネ「うぅ……。男さんもですが、魔女さんも意地悪ですぅ……」

魔女「ごめんなさいね……。店長さんに釣られて、つい、ね……」

アルラウネ「もう、男さんのせいですよ」

男「俺かよ。まぁ、そうだけど」

魔女「ふふふ……。あなたたち、本当に羨ましい位、仲が良いわね……」

アルラウネ「男さんは意地悪なので、そんな事ありません」


「こんにちはー」カラーン



魔女「OLちゃん、待ってたわ……」

OL「お待たせ、先生」

アルラウネ「いらっしゃいませ。魔女さんと待ち合わせの方でしたら、こちらにどうぞ」

OL「おー!本当にアルラウネがいるー!可愛いー!」

アルラウネ「は、はぁ……。あ、ありがとうございます……///」


男「あなたが魔女さんの待ち合わせ人?」

OL「はい、そうですよ」

アルラウネ「ご注文はどうしますか?」

OL「ごめんなさい。あまり時間無いから、注文出来ないんだ」

男「そっか、残念。また、ゆっくり出来る時は注文お願いするね」

OL「はい。また機会があれば、その時に」


魔女「課題の薬は出来た……?」

OL「大丈夫ですよ。私の父に試しましたが、効果もバッチリでしたよ」ヒョイ

魔女「なら、オッケー……」

アルラウネ「そちらの方も魔女なんですか?」

OL「会社員だけど、先生から色々教えて貰ってるよ」

魔女「OLちゃんは素質ありそうでスカウトしてみたのよ……。働きながらなら良いって話してくれたのよね……」

男「会社員で魔女って……」


アルラウネ「これで結婚したら、本物の奥様は魔女ってヤツですね」

男「そうだな……。ところで、その作った薬って何なんです?」



OL「ハゲが治る薬」



魔女「OLちゃんのお父様が髪でお悩みみたいだから、課題でハゲを治す薬を課題にしたのよね……」

OL「大変でしたよ。色々な材料を集めないといけませんでしたから」

男「ハゲが治る薬って凄すぎ……」


OL「でも、苦労の甲斐があって、父さんも喜んでましたよ」

アルラウネ「良かったですね」

OL「ただ……」

魔女「どうしたの……?」



OL「父さんはいつも使ってる育毛剤のお陰と思ってるのが、ちょっと申し訳ないというか……」



男「お父さんには魔女で薬を作った事とか言ってないの?」

OL「色々な意味で言えないですよ……。魔女の見習いとか、ハゲが治った理由とか……」


魔女「まぁ、仕方ないわね……」ゴクゴク

男「色々大変なんだなぁ……」

アルラウネ「ですね」

魔女「ふぅ……。店長さん、コーヒーご馳走様……」

男「はい、お粗末様です」

魔女「では、お代です……。じゃあ、行きましょうか、OLちゃん……」

OL「はい、先生。じゃ、お邪魔しました」


カラーン……



アルラウネ「ありがとうございました」

男「なぁ、アルル……」

アルラウネ「何ですか?」



男「初めてにしては、濃ゆいお客さんが来たもんだなぁ……」



アルラウネ「そうかもしれませんねぇ……」


男「あの人たちみたいなお客さん、また来るのかなぁ?」

アルラウネ「解りかねますが、もしかしたら……?」

男「まぁ、アルルも解らないよなぁ」

アルラウネ「あの……。もし、ご迷惑なら私……」



男「俺は無銭飲食されなきゃ、お客さんは選ばないから、アルルは変な心配しない」



アルラウネ「……はい。ありがとうございます、男さん」

男「さて、もうすぐお昼時だし、忙しくなるかもしれないから、覚悟しとけよアルル」

アルラウネ「はい、頑張ります」


用事でサボってましたが、今日はここまでです
また明日以降に投下します


カラーン……



アルラウネ「ありがとうございました」



男「お昼時最後のお客さん、帰ったか」

アルラウネ「はい。それにしても、結構な人が来ましたね」

男「だな。しかし、アルルは老若男女問わず人気だったな」

アルラウネ「頭を撫でさせてほしいとか、握手してほしいとか、触手触らせてとか、色々言われました」


男「アルルの宣伝効果かねぇ」

アルラウネ「そ、そんな事は無いと思いますが……///」

男「またまたぁ。どうせだし、コーヒーで一息入れる?」

アルラウネ「はい。あっ、アイスコーヒーにはガムシロップ三杯お願いしますね」

男「了解。俺もコーヒー煎れながら、軽く昼食食べるかな」

アルラウネ「では、私はガジュマルとシュロチクにお水やってきます」


アルラウネ「♪」ジョーロ

(……)

(……)

アルラウネ「……あっ、霧吹きで水が欲しいんですね。解りました」シュッシュ

男「昨日、車乗ってる時も思ったけど、アルルは植物と本当に話せるのな」

アルラウネ「勿論です。人間が人間と話すのは当たり前ですし、それみたいなモノですよ」

男「それもそうか」


男「ほい、アイスコーヒー。ガムシロップ三杯のな」

アルラウネ「はい、ありがとうございます。水やり終わったので頂きますね」

男「おう。俺も軽く食べるかね」モグモグ

アルラウネ「そういえば、次に忙しくなるっていうと、やっぱり夕方でしょうか?」チュー

男「昼ほどじゃないが、夕方に帰宅前の学生さん辺りが来たり、晩御飯時に帰宅ついでで寄る人くらいじゃないかな」

アルラウネ「では、夕方まではボチボチお客さんが来るくらいですね」チュー

男「だな。ま、ゆっくりまったりやってれば大丈夫だよ」モグモグ


カラーン……



「すいません、今大丈夫ですか?」ヒョコ



男「あっ、すみません。勿論、大丈夫ですよ」

アルラウネ「あ、えっと、い、いらっしゃいませ」アセアセ

「あっ、二人ともそのままで大丈夫です」

男「二人ともお昼がまだだったのですみません」

アルラウネ「お客さん、中にどうぞ」


「で、では……。失礼します」シュルル



男「なんで体見せないか解らなかったけど、お客さんは下半身が蛇だから気にしたかな?」

アルラウネ「所謂ラミアですね」



ラミア「は、はい。アルラウネの店員さんがいると聞いて、ここに来てみたんです」



男「そうでしたか。どうせだし、アルルが話し相手になってあげたら?」

アルラウネ「では、男さんのお言葉に甘えさせて頂きます。ラミアさん、こちらにどうぞ」


ラミア「ありがとう、アルラウネさん」

アルラウネ「いえいえ、ラミアさんはご注文どうしますか?」

ラミア「えっと……。エスプレッソを一つ」

男「はい、エスプレッソですね」

ラミア「あっ……。あと、カツサンド一つお願いします」

男「解りました。アルルと話をしながらお待ち下さいね」

ラミア「はい」


アルラウネ「そのぅ……。今日はわざわざありがとうございます」

ラミア「いえ、その……。こっちこそ、いきなりお邪魔してすみません」

アルラウネ「それは、大丈夫ですよ。男さん……喫茶店の店長さんが問題無いと言っているので」

ラミア「そうでしたか。店長さん、ありがとうございます」

男「ただ、無銭飲食だけは勘弁して下さいね」

ラミア「勿論ですよ」


男「あと、アルルは初めて人間以外の種族に会えたみたいだから、ラミアさんが良ければ、これからも仲良くしてやってくれないかな?」

ラミア「そうなんですか?」

アルラウネ「はい。前はホームセンターにいたのですが、他の種族の方とは会えなかったので……」

ラミア「そうでしたか。私で良ければ、仲良くしてくれると嬉しいです」

アルラウネ「本当ですか?ありがとうございます、ラミアさん」パアァ

ラミア「えぇ。宜しくお願いします、アルラウネさん」

アルラウネ「こちらこそ。ありがとうございます、ラミアさん」


男「知り合い出来て良かったな、アルル」

アルラウネ「はい、良かったです♪」

ラミア「アルラウネさんは店長さんにアルルと呼ばれてますし、私もそう呼んでもいいですか?」

アルラウネ「はい。ラミアさんはどうお呼びすれば?」

ラミア「知り合いにはミアと呼ばれてるから、アルルにもそう呼んで貰えると嬉しい」

アルラウネ「では、ミアさんとお呼びしますね」

ラミア「別にさん付けは要らないけど、アルルや店長さんにお任せするよ」


男「じゃ、俺はミアちゃんで行こうかな」

ラミア「ちゃん付けであまり名前言われないせいか、ちょっと照れくさいですね……///」



男「という所で、ご注文のエスプレッソとカツサンドです。どうぞ」



ラミア「ありがとうございます、店長さん」

男「いえいえ。自分もマッタリしてるから、ゆっくりしてってね」

アルラウネ「ところで、ミアさん。今日は私を見るだけでわざわざこちらに?」


ラミア「えぇ、散歩のついでと思って」ゴクッ

アルラウネ「散歩というと、お住まいはお近くですか?」

ラミア「隣町になるけど、ここまでそんなに時間はかからないよ」

男「ちなみに、ミアちゃんは一人暮らしなの?」

ラミア「いえ。人間の方と一緒に住んでます」

アルラウネ「じゃあ、私と似た感じなんですね」

ラミア「そうなるね。ルームシェアしてくれる人を探してたら、その方が良ければと言ってくれて」


男「へぇ。でも、人間と一緒に暮らすのって大変だったりする?」

ラミア「私はあまり無いかなぁと。ただ……」

アルラウネ「ただ……?」



ラミア「その……。同居している人のスキンシップが……///」



男「ミアちゃん可愛いし、同居してる人は蛇が好きな人なのかな?」

アルラウネ「男さん、軽々女の人に可愛いとか言わないで下さい」プー

男「可愛い方に可愛いって言わない方が失礼じゃないかな?」


ラミア「ま、まぁ、その……。同居してる人、無類の爬虫類好きみたいで……///」

アルラウネ「ミアさん、顔赤いです。同居してる方は男性だったりしますか?」

ラミア「大学生の女性だよ」

男「女の人かぁ……。確かに、爬虫類好きだったりするかも」

アルラウネ「そうなのですか?」

男「爬虫類に抵抗無い女性がいるんだよ、身内にね」


男「それに、TVでも男の人は怖がったりするけど、女の人は抵抗無く蛇を首に巻いたりしない?」

アルラウネ「あー。ホームセンターにあったTVで、そんなシーン見た事あるかもしれません」

ラミア「私もTVで見たありますね」

男「なんで女の人って大丈夫なのかな……?」

アルラウネ「女には属しますが、アルラウネには解りかねます」

ラミア「女に属するラミアも同じく」

男「そっか……。まぁ、結局は個人の趣向の問題なのかな」


ラミア「あっ、もうこんな時間か……」

男「何か用事かな?」

ラミア「はい。同居の方が帰ってくる前にお買い物とかして、家事をしないといけないので」モグモグ

アルラウネ「ミアさんも大変ですね」

ラミア「当番にしてるから、そうでもないよ?」ゴクゴクッ

男「当番でやってるって、学生寮みたいだなぁ」

ラミア「相手の方は大学生ですし、強ち間違いじゃないかなぁと。ご馳走様、店長さん」


ラミア「じゃ、お代です」

男「はい、確かに。ありがとうね、ミアちゃん」

ラミア「いえいえ。じゃ、またね、アルル」

アルラウネ「はい。ありがとうございました、ミアさん。また来て下さい」

ラミア「次は同居人と一緒に来たいから、その時にね」

アルラウネ「解りました。お待ちしてます」

ラミア「じゃ、またねー」


カラーン……



男「変わったお客さん、第二号だったなぁ」

アルラウネ「でも、良い方で良かったです」

男「だな。仲良くなれて良かったな」

アルラウネ「はい。ありがとうございます、男さん」

男「別に俺は何もしてない」

アルラウネ「ミアさんとお話する時間作ってくれましたから、男さんのお陰です」


男「じゃ、そういう事にしておくよ」

アルラウネ「そうして下さい」

男「でもさ。流石というか、半身が蛇だからなのか、カツサンドの頬張る姿は、まるで獲物食べてる蛇に通づるモノがあった気がする」

アルラウネ「ですが、食べるのが可愛い女性は素敵と、男性はよく言うのでは?」

男「まぁね。ミアちゃんもそうだったけど」

アルラウネ「ふむ……。普段それほど食事をしないアルラウネのせいか、その価値観が解りにくいです、私」


男「俺はアルルのストローでコーヒー啜ってる姿も可愛いと思うけどな」

アルラウネ「な、なんでそんな姿が可愛いんですか///」

男「可愛いから可愛いとしか言いようがない」

アルラウネ「もう……。男さん、からかわないで下さい///」

男「からかうとか無いんだが……」

アルラウネ「だったら、尚更質が悪いですね」

男「これは女心というヤツか……」

すいませんが一回離れます
お昼辺りにまた投下します


アルラウネ「とりあえず、次に飲み物飲む時は、ストロー無しでグラス飲みにします」

男「それはアルルに任せるよ」

アルラウネ「そうします。……そういえば、もう夕方ですし、学生さんが帰宅する頃でしょうか?」

男「そっか、もう夕方か……。多分、帰宅部の学生が思い思いの場所に行く時間だな」

アルラウネ「帰宅部ですか?」

男「まぁ、運動したりする部活に何も入ってない人たちだよ」

アルラウネ「帰宅部員って、学生版のフリーターとか、派遣社員みたいなモノですか?」


男「うーん……。まぁ、漫画とかでハイスペックな帰宅部員が、運動部の助っ人やったりするなら、外れでもないような……?」

アルラウネ「じゃあ、その他はニートですか?」

男「それだと酷過ぎ……」

アルラウネ「ちなみに、男さんは部活やってたんですか?」

男「俺?……俺は文化部だった」

アルラウネ「文化部ですか?」


男「茶道とか、花道とか……。ようは、運動しない部活全般な」

アルラウネ「なるほど。では、男さんのやってた部活って何ですか?」



男「……美術部」



アルラウネ「男さん、絵画とか描くんですか?柄じゃないですね」

男「いや……。それに、普段は絵画ってより、イラストとかを描く人が多かったな……」

アルラウネ「じゃあ、男さんはイラストとかがお上手だったり?」

男「上手くない……。ただ昔は絵を描くのが好きだったから、上手くなりたくて入ったけど、結局最後まで下手だった……」

隣町も書いてください






オネシャス


アルラウネ「その……。なんか、よく解らないですが、ごめんなさい……」

男「いや、良いよ……。でも、部活は先輩や後輩に恵まれて、三年間楽しかったしね」

アルラウネ「楽しい学生ライフを送ってみるのも、良いかもしれませんね」

男「宿題あって大変だがな」

アルラウネ「でも、大人はいつも宿題だらけとか言いませんか?」

男「それ、俺には耳や頭が痛くなる言葉だからやめようか、アルル……」


男「……おっ。噂をすれば、次は学生のお客さんか……」



カラーン……



アルラウネ「いらっしゃいませ。お二人ですか?」

「はい。男学生くん、ほら。僕の言った通り、本物のアルラウネでしょ?」

「そうだな。僕っ娘の話、本当だったんだなぁ」



僕っ娘「そりゃそうだよ。僕は君みたいに嘘はつかないからね」

男学生「だな。でも、よく言うのは嘘じゃなくて、冗談だからな」


男「いらっしゃい。好きな席に座ってくれ」

僕っ娘「はい。男学生くんは何処にしたい?」

男学生「んー……。奥のテーブルにしよっか」

アルラウネ「では、奥のテーブル席どうぞ」

男学生「ありがと、アルラウネの店員さん」

僕っ娘「どうもです。あっ、メニューゆっくり見たいので、僕たちの注文は後ででもいいですか?」

アルラウネ「勿論ですよ。注文が決まったら、呼んで頂ければ大丈夫ですので、ごゆっくりどうぞ」


男「注文は後だって?」

アルラウネ「はい。メニューをゆっくり見てから決めたいそうです」

男「にしても、学生のカップルかぁ……。初々しくて良いねぇ……」

アルラウネ「男さんは学生時代にお付き合いとかは?」

男「無かったなぁ……」

アルラウネ「そうですか……。でも、所謂片想いというヤツは無かったんですか?」


男「片想いはあったよ」

アルラウネ「実らなかったのですね」

男「それは……」



僕っ娘「すいませーん。注文お願いしまーす」



男「……ほれ、看板娘さんや。お客様がお呼びだぞ」

アルラウネ「あ、はい。行ってきます」


アルラウネ「お客さん、ご注文は?」



男学生「俺はアイスコーヒー。僕っ娘は?」

僕っ娘「僕はオレンジジュースをお願いしたいな」

アルラウネ「アイスコーヒーとオレンジジュースですね。少々お待ち下さい」



僕っ娘「あの、アルラウネの店員さん……!」

アルラウネ「はい、何でしょうか?」


僕っ娘「その……。僕と握手してくれませんか!?」

男学生「おい、僕っ娘。アルラウネの店員さんは仕事中だし、迷惑かもしれないだろ?」

アルラウネ「構いませんよ。今日は色々な人にお願いされましたし、私も嬉しいので」ギュッ

僕っ娘「アルラウネさん、ありがとうございます!」ギュッ

彼氏「僕っ娘がすみません。ありがと、アルラウネの店員さん」

アルラウネ「いえいえ。では、失礼しますね」

>>122
間違えた
彼氏じゃなくて男学生です


アルラウネ「アイスコーヒーとオレンジジュースだそうです」

男「はーい。やっぱ、アルルは人気者だねぇ」

アルラウネ「そんな事は無いですよ……///」

男「ご謙遜を。ほい、アイスコーヒーとオレンジジュース」

アルラウネ「早いですね」

男「注文内容はここからでも少し聞こえたし、握手会中に取り掛かってたからね」

アルラウネ「なるほど。では、運んできます」


アルラウネ「アイスコーヒーとオレンジジュースです」コトッ

僕っ娘「ありがとう、アルラウネさん」

男学生「どうもです」

アルラウネ「ごゆっくりどうぞ」



男「お疲れ、アルル」

アルラウネ「これくらいなら疲れませんよ」

男「かもしんないけど。ま、俺たちは若人たちをカウンター側から見守りますかね」



僕っ娘「男学生くん。君はよくその黒い液体のまま飲めるね」

男学生「ん?別に飲めるからブラックで飲んでるだけだしなぁ」ゴクッ

僕っ娘「ブラック飲めるアピールなんて、君は中二病かい?」

男学生「中二病て……」

僕っ娘「ふふふっ、図星?」

男学生「いや、違うけど。なら、僕っ娘も一回飲んでみる?」


僕っ娘「僕はオレンジジュースがあるから不要だよ」

男学生「ブラックで飲めないのか?」

僕っ娘「そ、そんな事はないんだよ……」

男学生「いや、別に馬鹿にしたりはしないからさ……」

僕っ娘「じゃあ、君のアイスコーヒーを飲ませてくれても、僕は構わない……。むしろ、頂きたいくらいだよ……」

男学生「そ、そこまで言うなら……。はい」


僕っ娘「……」ゴクッ

男学生「どう?」



僕っ娘「ぼ、僕にかかれば……、ぶ、ブラックコーヒーなんて……、み、水みたいだよ……。う、うん……」ブルブル



男学生「よく解ったから、オレンジジュース飲みな……?」

僕っ娘「うん……。そうさせて貰うよ……」チュー



男「どうやら、あの女の子とアルルは気が合うかもな」

アルラウネ「逆にあんなに苦いモノを平然と飲める人の方が変わってますよ」


男学生「大丈夫か、僕っ娘?」

僕っ娘「勿論、大丈夫だよ。死ぬ訳じゃないからね」

男学生「そっか。それはそうと、受験勉強は順調か?」

僕っ娘「その質問、そっくりそのまま返すよ」

男学生「まぁ、なんとか……。とは、言っておく」

僕っ娘「頼むよ。一緒の大学に行くって、二人で決めたんだからね?」

男学生「おぅ、そりゃ勿論。俺は約束守る男だから、安心してくれ」


僕っ娘「じゃ、約束を破る時が春の前に来ちゃうかもしれないね」

男学生「えー……。僕っ娘、酷くないか、それ?」

僕っ娘「じゃあさ、約束お互い守れるように、この後は勉強会でもしよっか」

男学生「良いな。じゃ、飲んだら俺ん家来るか?」

僕っ娘「うん。そうさせて貰うよ」



アルラウネ「お二人仲が良いですね」

男「だな」


僕っ娘「ふー、ご馳走様」

男学生「お粗末さん。じゃ、行くか」

僕っ娘「だね。すいません、お会計良いですか?」

男「はーい。ちなみに、会計は別にしとく?」

男学生「あっ、一緒で良いです。はい、ちょうどです」

男「うん、ありがとね。また、二人で来てね」

僕っ娘「はい、ご馳走様でした。じゃ、男学生くん、僕たちは行こうか」

男学生「だな。ご馳走様でした」


カラーン……



アルラウネ「ありがとうございました」



男「あー……。店出てすぐに恋人繋ぎとは、あのお二人はお熱いこって」

アルラウネ「そして、彼氏の家で保健体育の実技勉強を開催ですね、解ります」

男「……それは下品だから、やめとこっか?」

アルラウネ「はい……。自分でもそんか気がしてきました……。ごめんなさい……」

男「まぁ、あの二人はどう思うか別として、俺は大丈夫だけどね……」


アルラウネ「そういえば、あのお二人は同じ学校に行きたいみたいですね」

男「そう言ってたな。大変だろうが、受験生には頑張ってほしいな」

アルラウネ「ですね。私たちも負けないように、お仕事頑張りましょう」

男「もう幾ばくかで帰宅ラッシュだし、もう一踏ん張りだな」

アルラウネ「はい。最後まで頑張りますね」

男「じゃ、俺も最後まで頑張るかな!」



カラーン……



男「ありがとうございましたー」



アルラウネ「ふぅぅ……。最後のお客さん、帰りましたかぁ」

男「アルルは慣れない仕事ですっかりクタクタみたいだな」

アルラウネ「喫茶店のお仕事もなかなか大変なんですねぇ」

男「まぁ、日による落差はあるだろうけどね。今日は開店だったから尚更だろうし」

アルラウネ「でも、色々な人とお話出来たりしたのは良かったです」

男「ま、アルルが楽しく仕事出来たなら良かったよ」


アルラウネ「では、私はお掃除しておきますね」

男「あぁ。俺は食器とか片付けするから宜しくな」

アルラウネ「はい、お任せ下さい」

男「んじゃ、俺は店の奥いるから、何かあったら呼んでな?」

アルラウネ「はい、解りました」


アルラウネ「おっそうじぃー、おっそうじぃー♪」



アルラウネ「……あれ?男さんの車がお店の前に?」



カラーン……



「こんばんは!」

「おねーちゃんが、アリュラのおねーちゃん?」

アルラウネ「ア、アリュラ……?」


「いきなりごめんなさいね、アルラウネちゃんよね?男はいるかしら?」

アルラウネ「は、はい。奥にいますが……」



男「アルル、誰か来たのかー?」



アルラウネ「あっ、男さん。女性と男の子と女の子が来ましたけど……」

男「……ん?あぁ、みんなでわざわざこっちに来たのか」

「もう閉店時間だし、買い物帰りのついでだけどね」

アルラウネ「あの、男さん。こちらの方々は?」


男「あぁ。そいえば、アルルに教えてなかったな。妻と俺の子供らな」



アルラウネ「……え?」



男「え?って何だよ……」

アルラウネ「いや、そのぉ……。てっきり、男さんは独身かと思っていたので、驚いてしまって……」

妻「初めまして。私が妻で、息子と娘よ、アルラウネちゃん」

息子「宜しくー!」

娘「アリュラのおねーちゃん、よろしくー」

アルラウネ「ど、どうも、アルラウネです」ペコリ


妻「男ったら、きちんと家族の事は教えないとダメじゃない」

男「すまん。忙しかったし、話すの自体忘れてた」

息子「パパ忘れん坊ー」

娘「ぼー」

アルラウネ「は、はぁ……」


妻「お店の片付けはまだかかるの?」

男「店の奥のは殆ど終わってるけど。アルルの方は?」

アルラウネ「私の方も殆ど終わりですが……」

息子「じゃ、僕たちのお家行こう、アルラウネさん!」

娘「アリュラのおねーちゃん、行こー」

アルラウネ「えぇと……。男さんのご自宅にですか?」


妻「えぇ、もしアルラウネちゃんが良ければ。二人とも、あなたに会いたいとか、お話したいって聞かなくてね」

アルラウネ「家族団欒の時にお邪魔じゃないですか、私……?」

男「んな事ない。むしろ、息子と娘が来てくれないと、駄々こねるから今日だけでも来てほしいくらいだ」

アルラウネ「ですが、悪いようなぁ……。それにぃ……」



((……))



アルラウネ「うぅ……。……では、今日は男さんのお家にお邪魔させて頂きます」

男「それで良し」

妻「じゃあ、私たちは先に帰ってるから、二人とも片付けが終わったら早く帰ってきて頂戴ね?」



アルラウネ「それにしても、いきなりご家族が来たのでビックリしましたよ、男さん」

男「ごめんって。言い忘れてたんだよ」

アルラウネ「まぁ、良いですけど……」

男「ちなみに、さっき話した片想いの人の話は覚えてる?」

アルラウネ「学生の時のお話でしたね。それが何か?」

男「俺がその片想いしてた女の子が妻ちゃんだよ」

アルラウネ「えっ、そうなんですか?」


男「あぁ。学校卒業してからたまたま会って、話してたら意気投合してな」

アルラウネ「男さんは時間がかかりましたが、学生時代の片想いを実らせてたんですね」

男「そうなるのかな……。ま、昔の話だ、終わり、終わり///」

アルラウネ「そんなに照れなくても良いじゃないですか、お父さん」

男「いつからアルルの親になったんだよ、俺は」

アルラウネ「冗談です。それに、お子さんも可愛かったですね」

男「やんちゃというか、我儘放題な時期だし大変だがな」


男「んじゃ、片付け終わったし、家に行くか」

アルラウネ「はい、お邪魔させて貰います」

男「そうそう、家行っても変に気は使わなくて良いからな?」

アルラウネ「解りました。それに、息子くんと娘ちゃんと、お話するの楽しみです」

男「あんくらい小さい子は、色々な意味で遠慮無しに話してくるから、覚悟しといてな?」

アルラウネ「望むところです」


カラーン……ガチャ



男「じゃ、行くか、アルル」

アルラウネ「はい、男さん」



アルラウネ「あっ……」



男「どうした?」

アルラウネ「一つ、忘れてました」



『CLOSE』カタッ



アルラウネ「これで良いですよ」

男「あぁ、すっかり忘れてたわ。ありがとな、アルル」

アルラウネ「いえいえ」

男「子供が待ちくたびれてるだろうから、早く行こうか」

アルラウネ「はい。それに、奥さんから色々馴れ初めを聞きたいので、早く行きましょう」

男「それはやめてくれ、照れくさいから……///」



アルラウネ「ダメです、たっぷり聞いちゃいます♪」



終わり

以上になります
部屋整理したら、久々に吉永さん家のガーゴイル見つけて、オシリスさん思い出してアルラウネのSS書いてみたくてやってみた



次は>>115さんの希望通りにという訳ではないですが、隣町のラミアちゃん編考えて書いてみたかったんで、また適当なタイミングでスレ立てるかもです
ではまた!

乙面白かった
アルルのルートはかかないの…?

>>149
どもです
書きたいと思ってるんで、ちょっと考えてます!
まずは、ラミアちゃんスレ考えて、アルルにも出したいなぁと思ってる

えっ既婚とかどうすんだよ

えっ
アルル……

次も期待

>>151
すまんな……
アルラウネを子供が観察日記つけたら面白そうとか考えて、オチを妻子有りにしてしまったんよ……

>>152
ラミアちゃんストーリー考えてる最中なので、また立てたらアルルも出ると思うんで、その時にまた宜しくです

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