千種「目覚める女」 (22)
アイドルマスターの如月千種さんのエロSSです。18禁です。それでも良ければ、ご覧ください。
「……やだ、水漏れ?」
仕事から帰ってきて、晩御飯を済ませた後の食器洗い。いつも通りに手早く済ませて終わりかと思った所で水が止まらない事に気が付いた。どれだけ閉めても水は止らず、さりとて水を止めない訳にも行かないのだから修理してくれる業者を探さなければいけない。
とはいっても、このマンションに引っ越してきてからという物、そういった業者を呼んだ試しも無く、管理会社に電話はつながらない。
どうしたものかと思っていた時、新聞とチラシの束の間に、淡い青色のチラシが挟まっていることに気が付いた。
「便利屋BLUE BIRD……水道修理他、各種作業請け負います、か……」
初回ご依頼キャンペーン、出張費無料、作業料金10%オフというのも気になるところではあったげあ、24時間対応、女性からのご依頼実績多数というのは1人暮らしの女としては有難いのかもしれない。
電話番号を携帯電話に打ちこみ、コールをして3コール目で電話がとられた。
『便利屋BLUE BIRDです』
「あ、あの……チラシを見て、お電話させていただいたんですが……」
『ありがとうございます!どういったご用件でしょうか』
予想以上に若い青年の声が私の耳朶に打ち付ける。普段は耳慣れない声質に若干のくすぐったささえも感じながら私は今の状況を伝えた。
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『水漏れですね。分かりました、直ぐに向かいます』
「あ、あの、初回の依頼なんですが……」
『はい、えーと如月千種さんですね。ご住所と電話番号を教えて頂いても?』
人が訪れる事のない私の家だけに、他人に住所を教えるのは久しぶりの事かもしれない。
娘でさえ、近づかないのだから。
『はい、畏まりました。それでは約15分ほどで到着しますので』
「よろしくおねがいします。それでは失礼します」
電話を切ったあと、水がそのままでは勿体無いと感じたので、浴室の風呂桶を持ってきて、水が溜まればそれを洗濯機に移すなどしていると、あっという間に15分以上経っていたようだ。この時間なら普段は鳴る筈のないドアチャイムの音に若干の驚きを感じながら玄関に向かう。のぞき穴から外を見ると、予想していたよりも若い青年がドアの前に立っている。紺色の作業着は周囲の暗がりに溶け込みそうだったけれど、真っ白な顔だけは、薄暗い廊下の照明に照らされてハッキリと見えた。
「どちら様でしょうか」
『便利屋BLUE BIRDです。如月千種さんのお宅でよろしいですか?』
「はい……今開けます」
ドアチェーンを外して扉を開くと、私よりも頭1つほど高い青年がそこに居た。声からすると、電話に出たのもこの青年の様だ。
「本日はご利用ありがとうございます。担当させていただきます高井勇です」
漢字違い、とはいえ息子と同じ「ゆう」か。などと場違いな感傷にとらわれていた私をよそに、彼は仕事を始める。
「蛇口の水漏れという事でしたが」
「ええ、これなんですけれど」
少し蛇口を捻ったりしてみて、分かりましたと言った青年はキッチンシンクの下の荷物を出しても良いですか?と聞いてきた。
ここまで来たらもう、断る理由も無いのでどうぞ、と応えて置くと青年は調味料のボトルなどを全て取り出し、シンクの下の配管を弄っている。作業の邪魔になるのか、そでを腕まで捲っているのをじっと見てみる。顔立ちの割に、がっしりとした体つきではある。こういった商売柄、身体が資本という訳か。
「水はこれで止まりました。多分蛇口の中のパッキンが切れてるんでしょう。直ぐに交換できますよ」
「お願いします」
腰に下げていたスパナで手早く蛇口を分解すると、彼は私の前に小さな黒いゴムパッキンを差し出した。その顔は、何となく子供が母親に講演で拾ってきた、ちょっと変わった石や草木を見せる表情に近かったのが、妙に私の心を揺さぶった。
「大分古くなってましたね、ほら、新品こっちなんですけど、大分固いでしょう?」
「ええ」
「パッキンも古くなると、こうやって固くなってヒビが入っちゃうんですよ。新品に交換すればすぐに止りますよ。他の部分のパッキンも、固くなりはじめてますからサービスで替えておきますね」
「あ、ありがとうございます……」
交換をして、またシンクの下を弄ると……シンクの下には、蛇口の水を止めるための止水栓があるそうだ……蛇口をひねって見せる。
「はい、これでもう大丈夫ですよ」
「ありがとうございます、こんな夜遅くに」
「いえいえ、うちは24時間対応がウリですから」
「そうですか……」
「作業代金の方は、えーと出張費が無料で作業費が10%オフなんで……」
腰の道具入れから取り出した電卓をはじいた彼は、こちらに画面を向けて見せる。
思っていたよりも安いので、大丈夫ですか?と思わず聞いてしまったがこれで良いと彼は言った。
財布を取り出して、釣り銭が無いようにぴったりと渡すと、彼は領収書を出すついでにもう一枚何かを取り出した。
「うちの、更に細かい対応作業のメニューです。もし何かお困りの事があればいつでもどうぞ」
チラシの束に入っていた物よりも少し厚みのある3つ折りのメニュー表と領収書を受け取ると彼は一礼して部屋を出て行った。
何はともあれ、水漏れが直って一安心ではあったが、メニュー表を見ていると、少し小さな文字で左下の方に【女性の身体的欲求の解消も承ります】という文言が見えた。
「……そういう事、か」
チラシにあった女性からのご依頼多数、という謳い文句はこの事も含めてなのだろうか。何とも下衆な商売を思いついた物でもある。
とはいえ、それは結局偶にチラシに紛れ込む男性向けのサービスと大して変わりは無い訳で、それの女性向けがあること自体は何ら不思議な事ではないだろう。
「バカバカしい……」
今更欲におぼれるような歳でも無い、とチラシをテーブルの上に放り投げて私は風呂に入る事にした。明日も朝から仕事なのだから。
「おはよう、如月さん」
「どうも……」
先月の臨時の人事異動で隣の席の男性が地方支社へ転勤になった事に伴って、私の隣は暫くの間空席だった。しかし、今日からは違う。総務課一番の噂好きとも言われる女性が隣に来てしまったのだ。
「やぁねぇ千種さん、朝から元気がないじゃない」
「いえ、私は」
「経理の金子さんなんて、昨日も女の子4人も侍らせて飲んでたのよぉ、しかも2人もお持ち帰りですって」
正直言って、煩い。仕事に集中したいのに、と思いながらもそれを口に出して言う事は出来ない。もし変な尾ひれ背びれが付いてしまえば社内中に悪評を流されるに決まっているのだ。周辺の同僚たちも、何となく憐みに似た目線を送ってくるのも気持ちが悪い。
「そういえば、聞いた?営業の尾畑課長、あの人一昨日、自分とこの若い男の子食べちゃったんですって」
下世話な、無責任な噂だ。当の本人も同じフロアに居ると言うのに肝の座ったものだ。
垂れ流される噂話を右から左へ素通しにしながらキーボードに数字を打ちこんで行くが、どうにも集中できない。途中、その当の本人達の一方、俗な言い方をするなら「喰われた方」の若手社員がちらりとこちらを見たのもその遠因かも知れない。端正な顔立ちの青年だが、果たしてそう言う趣味があったのかと要らない想像を働かせてしまう。
ようやく噂のマシンガンが途切れたのはこの島の監督者である課長が午前の打ち合わせから戻って来た時だった。静かになったと思いながら仕事を続けるが、どうしても先程の話が頭に引っかかっていた。
まさか、羨ましいのか。その行為が。
「……まさか」
「どうしました?如月さん」
声に出さない積りだった呟きは、今度は向かいの席に座る主任に聞こえていたようだった。慌てて何でもありません、と誤魔化すと、私はことさら集中してモニターを睨み付けるようにしていた。
あるはずが、無いではないか。
「如月さん、今日は一杯、付き合って貰えるわよね?」
「あ……いえ、私は今日は遠慮しておきます……それじゃあ」
「あっ、如月さん!」
金曜の夜だというのに、呑み屋に連れていかれてまで噂話を聞かされたのではたまった物では無い。未練がましく声を掛けてくる同僚の声を振り切り、エレベーターに乗り込むと昼間の噂の彼まで一緒に乗ってきたではないか。しかも、もう一方の当事者である営業課長も一緒に。
「お疲れ様です」
努めて冷静な声を出したつもりだったがはたしてどれほどの物だっただろうか。
当の二人は私を気にするでもなく、仕事の話をしているのだが昼間の噂話ばかりがちらついてそれを真に受ける事が出来ない。しかも金曜日の今から何をしにいくのかなどと考えていたら、どうやら2人は地下の駐車場に向かうらしい。私だけが1階で降りていくが、営業課長は普段電車通勤だったはず。という事は。
「バカバカしい……」
あの2人がどこで何をしようが勝手だ。私が気にする事では無いと思いつつも、既にあの2人が一夜の過ちというだけでなく、男女の仲にあるのではないかという想像を働かせてしまった。
「ただいま……」
誰が居るわけでもない家になってからも、必ずただいま、と言うのはそこに優の位牌があるからだ。
どんなに忙しい時でも、毎朝と毎晩の蝋燭と線香だけは忘れずにあげている。その位しか、もう私があの子にしてあげる事は出来ないのだから。
「……さて、晩御飯ね」
たまの金曜日くらい、自炊せずにコンビニ弁当だけで済ませても良いだろう。既に温められている弁当を食べ終わり、コップを洗おうと洗い場に持っていくときに、ふと先日の事を思い出した。
『もし何かお困りの事があればいつでもどうぞ』
テーブルの上に置きっぱなしにしていたメニュー表を見て、私は暫く考え込んだ。
こんな、得体のしれないサービスを利用するなんて事はあってはならないと思う一方で、純粋な興味もわいてきた。
「……」
『はい、便利屋BLUE BIRDです』
1時間後、と時間を指定したのは自分の中でも気持ちの整理を付けたかったのかもしれない。もしその間に気が替わればキャンセルをすればよし、でなくとも部屋を片付け、シャワーを浴びる時間が必要だろう。
こんな感覚は何年振りだろうか。夫……いや、「元」夫との時でもこんな事は無かったのかもしれない。特に優を産んでからという物、元々淡泊だったあの人は私の体に触れる事も無かった。それが彼なりの生真面目さでもあっただろうが、寂しくもあった。
ここ数年は自分で触れる事すらなかった秘部に、僅かな疼きを感じながら、単に汗を流す訳では無く男と肌を合せる為に、身を清めている。
シャワーを浴びて部屋の中を整え終わった頃、まるで測ったようなタイミングでドアチャイムが鳴る。
胸の鼓動が高まるのを感じながらのぞき穴を見ると、やはり彼がここに来たようだ。
「本日はご利用ありがとうございます。高井勇です……まさかご利用いただけるとは思っていませんでした」
電話口の声よりも柔らかい声で、彼は名乗った。
以前は作業着で来た彼だが、今回のサービスではスーツを着てきていた。着やせをするタイプなのかもしれない。作業の時見えていた腕の太さは、今は感じられず、ほっそりとした体を紺のスーツの中に隠していた。
「それでは……シャワーを借りても……?」
「……そのままで、良いわ」
「はい?」
「……そのままで、来てください」
「……そうですか、それがお望みなら……!」
その瞬間、彼の目つきが鋭くなったように感じた。
肩に手を居たかと思えば、そのまま強引にベッドに押し倒される。
「こういう事でしょう?」
「あっ、いや、その……」
ネクタイを緩め、ジャケットを脱ぎ捨てた彼は私の唇に強引に口づけをして、舌を私の唇の中に割り込ませる。私よりも少し熱い彼の下が、私の口の中で暴れ回る。
今まで、したことのない接吻に私は戸惑いながらも舌を彼の動きに合わせて絡みつける。
「っ……ぁっ……」
「……お客さん、大分ご無沙汰ですよ、ね?」
「?!」
図星を突かれた。
表情にまで出ていたのだろう、彼は少し面白そうに笑っていた。
「キスした瞬間、強張ってましたから……」
「……息子を産んで、離婚をしてから……」
「そう、ですか……」
「……それと、その……千種、と呼んでください」
「……千種、ですか」
「……ええ」
「分かったよ、千種」
耳元で囁かれ、私は思わず身震いした。夫もこんな事はしてくれなかった。
「どっちがいいですか、千種、と千種、さん」
「……千種」
「もう少し……大きな声で、言ってごらん?」
「千種、と呼び捨てに……呼び捨てで、呼んでください」
「ん……良く出来ました」
私の頭を、彼の思ったよりもごつごつした手が撫でる。
額にキスをした彼は、一方でその手を徐々に私の胸元に差し込む。
「いつもこんなキッチリした服装なの?千種」
「え、ええ……」
「そう……きつそうだから、脱がすよ」
「あっ」
彼が私のブラウスのボタンを一つ一つ取り外し始める。その感にも彼は私の首筋を嘗め回す。生暖かい舌が首筋を這う度に、甘美な刺激が私を襲う。彼の吐息が、私の首筋を流れる。私はもう彼の表情をうかがい知るだけの余裕は無かったが、彼はまだ私の反応を見て次の動きを決めるだけの余裕が残っているようだ。
「千種、次は、どこがいい?」
「えっ……?」
「次は、どこを触って欲しい……?」
私は、もう我慢が出来なかった、いちいち指示をするだけの余裕が残っていないのも事実だ。
「あ、あなたの……あなたの好きにして……私の身体を……」
「……分かりました」
その瞬間、彼はブラウスを引き継ぎる様にして引きはがすと、私の胸に吸い付く様にして嘗め回してくると同時に下の方にも手を伸ばしてくる。
男に慣れていないとはいえ、やはり手慣れていると言った感は受ける。
それだけに、その手つきは既に私が弱い所を掴んでいるように、的確なポイントを突いてくる。
内腿、横腹、首筋、耳元……弱い所の突き方は、まるで私と何度も肌を重ねて来たかのようだ。しかもその手つきは決して強い快感を私に与える者では無く、物足りなさを感じさせるものだった。
「あ、あの……」
「ん、どうしました?」
「……その、もっと……」
「もっと?」
彼は絶対に私に言わせようとする。私がそれを苦手とする事を知っているからだ。
私よりも一回りは下だろう青年に、既に手玉に取られていることに気が付いた。
「その……下の方を、もっと……」
「……ここか……なっ?」
「あっ!?」
突然節くれだった指が私の陰部に差し込まれた。まだ触られても居ないのに、私の膣内は彼の指を悠々と受け入れていた。
「へぇ……千種、子供を産んでるとは言っても、キツいんだね」
「……!」
「中も凄く熱いし……これなら、弄らなくても入りそうだね」
そう言いながらも、彼は私の膣壁をこする様に指でこね回す。ゴリゴリとした感触が私の背筋を伝い、脳を揺さぶる。自分でもほとんど触らなくなった場所が、まるで10代の生娘の様に熱を帯びている。
「そっ、そんなに強っ……ひぁっ!」
「ここかな?ここが良いのかな?千種は」
「そっ、そこ、あ、いいっ!」
「ふふっ、そんなに気持ちいいんだ。淫乱なんだね、千種は」
「あっ、やっ、そんな……」
彼の顔を見られない程、私の顔は熱く火照っていた。自分淫乱などとは認めたくなかったが、彼の指でw掻き混ぜられる私の中からは、ぐちょぐちょという湿った音が部屋いっぱいに聞こえている。
「そういえばさ……ここ、防音は大丈夫なのかな。もしかすると、聞こえちゃうかもよ、千種の声」
「んっ……隣は空家……だから、上は今まで物音ひとつ聞こえた事はな……んんっ!」
私の答えを待つことも無く、彼は更に私のクリトリスも弄り始めた。勿論空いている左手は私の右胸を、左の胸は先程から口に含まれて弄ばれている。もう私の頭には声を抑えるとか、気を使うという事は無くなって、ただただ快感に身を支配されるしかない状態だった。
どれくらいの時間、そうされているのかも分からないまま、喘ぎ続けた後、唐突に愛撫が止まり、私の脳はようやく平静を取り戻しつつあったが、そこで私はまた、後頭部を殴られたような衝撃を受けた。
彼が徐に抜き出したズボンの中に、私は目を奪われていた。
「ははっ、いや、そんなにみられると恥ずかしいですよ」
「ははっ、いや、そんなにみられると恥ずかしいですよ」
そういった彼の股間には、真っ白な肌には似合わない浅黒いモノが屹立していた。
「旦那さんのよりも大きいですか?」
「な、何を」
「ほら、触ってみて」
彼は強引に私の手を握ると、脈打つそれに手を添わせる。ドクン、ドクンという力強い脈動と焼けるような体温が私の手に直に伝わってくる。シャワーを浴びていないせいもあるだろうが、噎せ返る様な「男」の匂いが私の鼻腔をくすぐる。
「俺の事も、少し気持ち良くして……ね?」
私はたどたどしいて手つきで、彼の脈打つ物を上下にこすり始める。先端部から根本、そしてゴロゴロとした睾丸を片手にして、私は徐々に顔を近づけていく。近づけば近づくほどに、血管の浮き出て、ゴツゴツとした表面に目を奪われる。
彼の小さな喘ぎ声に、思わず私は女が刺激され、腹の奥深くが疼きだす様な感覚を覚える。
徐々に彼の鈴口から透明な粘ついたカウパーが漏れ出すと、私の手の動きはより一層スムーズになった。鎌首をもたげ、更に太さと熱さが増し、熱した鉄杭の様になっているそれは、息苦しそうに脈動を繰り返している。
「ねえ、千種……」
彼の物欲しそうな表情から、私はどうするべきかを本能的に察した。口に含むには大きすぎる鎌首を口いっぱいに頬張る。息苦しささえ覚える程の太さに、私は思わず口を放しそうになるがそれよりも早く彼の手が私の頭を抱え込んだ。
「ね……もっと、奥まで……」
腰を突きだされると同時に、私の喉奥まで彼の熱棒が突き入れられる。口の中で猛り狂う猛牛の様なそれを、私は懸命に下と唇でなだめようとする。しかしそれさえもこの猛牛相手では、煽っているような物なのかもしれない。更に太さを増した様な気がするそれを彼は乱暴に、まるで私の口を使って自慰をするように抜き差しを繰り返す。
目線を上にあげれば、快感に顔を歪める白皙の顔が紅潮している、一瞬目線があった瞬間、猛牛は動きを止め、咆哮するかのような勢いで私の口の中で果てた。
「んっ……!ぐふ……げほっ、ほっ……あっ……」
喉奥に直接浴びせられた粘度の高い白濁に驚き口を話したのが最後だった。脈動する鉄杭の先端から、火傷をしそうなほどの熱を持って吐き出される粘つく液体を、私は顔に、胸に、浴びせかけられることになった。
「はっ……はっ……千種、ごめん」
「良いのよ……熱い……」
熱を持った濁った粘液からは、青臭い男の香りが立ち上り、私の牝の部分を刺激する。
こんな事、結婚している時は全く経験をしたことが無かった。
「ねえ……そろそろ、良いでしょう」
私は、何をやっているのだろう。
便利屋の男に、恥じらいも無く自分の秘めた部分を見せている。
もうこの数年は何物も受け入れる事が無かったそこに、あの熱い物を受け入れようとしている。彼は自分の武器ともいえる肉の刃を薄いゴムの鞘に納めていく。はち切れそうなゴムの表面を見ていると、更に太さも大きさも強調されて見えた。
一瞬、息子の移る写真の事が気にかかった物の、それさえも一瞬で吹きとんでしまう衝撃を、私は感じた。
内臓を突き上げられた。
そんな表現が一番しっくりくるであろう、彼の物が私の子宮を突き上げる。悲鳴も出ない私をよそに、彼は私の膣内を蹂躙し、自分の形になるまで動く事を止めない。
「指を入れた時もそうだったけど、やっぱりキツイ……お子さん産んでから、全然ご無沙汰だったんじゃないの?」
「やめっ……!今は、子供の、事は」
「あの写真、息子さんでしょう」
一番、触れられたくないところだった。
一番、思い出したくない事だった。
写真とは言え、私は今、父親でも何でもない男の前で、女をさらけ出している。
そして、その快楽に溺れている。
「優、って言うんでしょ」
一旦動きを止めた彼は、少し悲しそうな表情で私を見ている。
やめて、そんな目で見ないで。
「寂しかったんだね、千種」
「やっ……」
「良いんだよ……今は……」
彼の物の熱さを感じながら、上半身を強く抱きしめられた瞬間、私の中で何かが切れた。
1人暮らしの女の寂しさと言えばそれまでなのかもしれない。
40を過ぎた女の侘しさを癒やそうとしてくれただけなのかもしれない。
だけれども、私は今、もう彼の事を愛さずにはいられなかった。
それが粘膜の生み出した妄想だとしても。
「……ねえ、もう良いの、私の事を、今は私の事だけを見てください……そして、滅茶苦茶にして……私の事を」
「……」
彼は軽くうなずいただけで、また腰を動かし始めた。肉同士が打ち付ける湿った音が部屋の中に響くだけでなく、私の声と、彼の低い唸り声、ベッドの軋み。そのすべてが私の耳朶を打ち、更に快楽を高める麻薬の様になっていた。
「あっ、あっ、ああああっ!」
乾ききっていたはずの私の女の部分は、今また熱く熱を帯びて男を迎え入れるだけの肉壺と化している。私がこれほどまでになるという事も始めて分かった。それ程までに彼の猛烈な攻め方に私は堕ちて、何が駄目なのかもわからない状態で、私は彼の身体を受け止めつづけた。
「ダメ、ダメっ!これ以上はぁ!」
「っ…!くっ!」
何度目か分からない絶頂の後、彼の物も同じように脈打っていた。ゴムに堪る白濁の量は一回目と変わる気配も無く、ベッドの上にはそれらが散乱していた。
何度達したのかも分からない、何度彼が達したのかも分からない。
ようやく彼が私の中から出て行ったが、それでもなお、まだ膣内にモノが入っているような感覚は消えず、腰は砕けて立つこともままならない。
「……千種、良かったよ」
「……っ」
彼は優しく私の髪を撫でると、体中に飛び散った白い粘液をティッシュでふきとると、手早く自分の服を着込んで行く。
「今回はお代は結構です。もし……またご用命なら、こちらまでどうぞ」
先日のメニュー表では無い。小さな名刺が私の顔のすぐそばに置かれる。
「もしあなたが望むなら、この番号までお電話ください。私が、もっと楽しませてあげますよ……」
それがどういう意味なのか私にはその時点では分からなかった。
ただ、これだけは言えた。
もう、私は戻れない道に、進み始めたのかもしれない、と。
薄れゆく意識の中、彼が家を出て、ドアが閉まる音と同時に私はそんな事を想いつつ、眠りについた。
終
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