ー海面上昇後の日本ー
少年「パパー、今日はパパの仕事を教えてくれるんだよね?」
パパ「父さんはな、昔あの水底の小さなビルで働いてたんだよ」
少年「嘘つけー!あんなとこ、息が出来ないじゃ無いか!」
パパ「そうだ。。そうなんだよ。。。」
少年「パパ?」
パパ「あの建物にも、いっぱい人がいてな。。。」
少年「どうしたの?」
パパ「みんな死んだんだ。。。」
少年「パパ、震えてるの?」
パパ「静かな浸水だったよ」
少年「浸水?」
パパ「みるみるうちにね、ビルの一階、二階、三階と、水浸しになり」
パパ「みんな窒息したんだ」
少年「ふ~ん?」
パパ「はは、想像出来ないだろうな」
少年「で、パパのお仕事は?」
パパ「父さんはね、浮いてくる死体を拾って、」
少年「ええーっ!?」
パパ「死体からでるガスを収集するんだ。」
少年「うげーっ!」
パパ「昔はね、エネルギー不足なんて言ってたんだが」
パパ「今や人口は減少し、死体がエネルギーを精製してるんだ」
パパ「エネルギーは高値では売れないんだけどねー。」
少年「このボートはそのガスで動くんだ?」
パパ「ははっ、物分りがいいな。」
少年「パパは、そんなヤバい仕事やってたんだ?」
パパ「こらっ、立派なお仕事なんだぞ」
少年「やだよ~、死体処理だなんてー!帰る!」
パパ「ボートのエンジンの鍵はパパが持ってるんだぞ?」
少年「ひどいや!いいよ!だったら水底観察してるからさ!」
パパ「はははっ、ほんとお前は勉強熱心だな」
少年「ねぇパパ、どうして水面が虹色のところがあるの?」
パパ「それは油が浮いてるだけさ」
少年「ねぇねぇ、あの看板の人は誰?」
パパ「あれは、、、かつての秋葉原を席巻したアイドルだね」
少年「パパパパ!あきはばらえき!あそこらへんは家電製品が水面に浮かんで塊になってるよ」
パパ「ははっ、あれは引力が働いて集合してるんだよ」
少年「ねぇねぇ」
パパ「本当にお前は知りたがりだな。ママに似ているよ」
少年「ママはなんでいないの?」
パパ「ママはね、死んだんだよ」
少年「えぇーっ!?いや、知ってたけど!」
少年「あっ!なんか浮いてきたよ?」
パパ「水死体が浮いて来る。パパの仕事の時間だ」
ぶくぶく
少年「わ~!水死体だ!人間が浮いてきたよ~」
パパ「いいかい?死体が浮いてきたら、ボートで拾いに行く。」
パパ「このチューブをお尻に差し込む」
少年「オェーッ!」
パパ「そして身体を押すと、お尻からぶくぶくガスが出るんだ」
少年「オナラやないかー!」
パパ「まぁまぁ、みてなさい、パパが拾ってくるから、そこで待ってなさい」
ぶくぶく。。。
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