少年「わ~!水死体だ!人間が浮いてきたよ~」 (14)

ー海面上昇後の日本ー

少年「パパー、今日はパパの仕事を教えてくれるんだよね?」

パパ「父さんはな、昔あの水底の小さなビルで働いてたんだよ」

少年「嘘つけー!あんなとこ、息が出来ないじゃ無いか!」

パパ「そうだ。。そうなんだよ。。。」

少年「パパ?」

パパ「あの建物にも、いっぱい人がいてな。。。」

少年「どうしたの?」

パパ「みんな死んだんだ。。。」

少年「パパ、震えてるの?」

パパ「静かな浸水だったよ」

少年「浸水?」

パパ「みるみるうちにね、ビルの一階、二階、三階と、水浸しになり」

パパ「みんな窒息したんだ」

少年「ふ~ん?」

パパ「はは、想像出来ないだろうな」

少年「で、パパのお仕事は?」

パパ「父さんはね、浮いてくる死体を拾って、」

少年「ええーっ!?」

パパ「死体からでるガスを収集するんだ。」

少年「うげーっ!」

パパ「昔はね、エネルギー不足なんて言ってたんだが」

パパ「今や人口は減少し、死体がエネルギーを精製してるんだ」

パパ「エネルギーは高値では売れないんだけどねー。」

少年「このボートはそのガスで動くんだ?」

パパ「ははっ、物分りがいいな。」

少年「パパは、そんなヤバい仕事やってたんだ?」

パパ「こらっ、立派なお仕事なんだぞ」

少年「やだよ~、死体処理だなんてー!帰る!」

パパ「ボートのエンジンの鍵はパパが持ってるんだぞ?」

少年「ひどいや!いいよ!だったら水底観察してるからさ!」

パパ「はははっ、ほんとお前は勉強熱心だな」

少年「ねぇパパ、どうして水面が虹色のところがあるの?」

パパ「それは油が浮いてるだけさ」

少年「ねぇねぇ、あの看板の人は誰?」

パパ「あれは、、、かつての秋葉原を席巻したアイドルだね」

少年「パパパパ!あきはばらえき!あそこらへんは家電製品が水面に浮かんで塊になってるよ」

パパ「ははっ、あれは引力が働いて集合してるんだよ」

少年「ねぇねぇ」

パパ「本当にお前は知りたがりだな。ママに似ているよ」

少年「ママはなんでいないの?」

パパ「ママはね、死んだんだよ」

少年「えぇーっ!?いや、知ってたけど!」

少年「あっ!なんか浮いてきたよ?」

パパ「水死体が浮いて来る。パパの仕事の時間だ」

ぶくぶく

少年「わ~!水死体だ!人間が浮いてきたよ~」

パパ「いいかい?死体が浮いてきたら、ボートで拾いに行く。」

パパ「このチューブをお尻に差し込む」

少年「オェーッ!」

パパ「そして身体を押すと、お尻からぶくぶくガスが出るんだ」

少年「オナラやないかー!」

パパ「まぁまぁ、みてなさい、パパが拾ってくるから、そこで待ってなさい」

ぶくぶく。。。

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