ほむら「グルメ細胞の力でワルプルギスの夜に勝つわ!」(155)

ほむら「カロリーメイトのおかげで細胞は適合したわ」

ほむら「学校に転入するまでの数日間、武器集めを今まではしてたけど今回は食材を集めましょう」

ほむら「…って言ってもここは見滝原だからグルメ細胞持ちの生物なんか居ないけど…」

ほむら「まぁ、何とかなるわよ!まずはスーパーのタイムセールね」

~スーパー~

ほむら「こ…これは…!?」

ほむらが見たのは何処にでもあるただの食材だった。

他の主婦り料理人が見てもただの食材にしか見えないであろう。

しかし、グルメ細胞を手に入れたほむらの目には食材が光り輝き、耳からは食材の声が聞こえてきた。

ほむら(よ…よだれが止まらないわ…)

ほむらは輝きが強く語りかけてくる食材を買い漁りスーパーを後にした。

家に帰ってきたほむらは、まだ夕飯の時間には早いが食材を取りだし調理を始める。

ほむら「わかる…分かるわ!!これら全て私の適合食材!!」

ほむらは華麗な包丁捌きで食材を切り炒め盛り付けをする。

肉入りモヤシ炒めの完成!!

丁度炊き上がったご飯をどんぶりに豪快によそい、テーブルに並べる。

ほむら「この世の全ての食材に感謝を込めて…いただきます」

ほむらが肉入りモヤシ炒めを一口食べる。

シャキシャキのモヤシにジューシーな肉が、シンプルに塩コショウで味付けされることによって一体感を産み、ほむらを笑顔にさせた。

するとその瞬間、ほむらの体が輝き…





服が弾けとんだ…





ほむら「女でもマッチョになってしまうの…?」


程なくして体の輝きと共に体系も戻ったが、一張羅だった私服は破れたままだった。

ほむら「グルメ細胞が進化したようね…」

ほむらは変身し、盾の中からバーベルを取りだし変身を解き素の力で持ち上げてみた。

バーベルは50kgあり、魔法少女の力が無ければ中学生しかも、女子には到底持ち上がらないであろう重さだった。

ほむら「確実に強くなってるわ…このままいけばワルプルギスにだって勝てるわ!」


しかし、ほむらはここで大きな過ちを犯していた。

ほむら「あれ…?力が抜けていく!?それにお腹も…食べたばっかしなのにもう空いてる?」

そう、ほむらはご飯は何時もより大盛りだったものの、一般人が食べる程度のカロリー数しか摂取していなかったのだ。

何故これが過ちかと言うと、グルメ細胞持ちの人間は一日中何もしなくても数万カロリーと新陳代謝で消費してしまうのである。

今食べた食事は全部合わせても700キロカロリー程度しか無く、何もしないでもこれを3食程度ではとても補えるものでは無い。

ほむら「うぅ…とにかく体が動くようになった今のうちに食材を食べないと!!」


ほむらは無意識のうちにオートファジー(自食作用)を発動していた。

今日スーパーで買ってきた食材を殆ど食べ尽くした頃、やっとお腹が膨れてきたほむらだった。

ほむら「ふぅ~…まさか今日買った食材が一食で無くなるなんて…」

冷蔵庫の中には調味料が少しばかり残ってる程度だった。

ほむら「またスーパーに行かないと…さっき行ったスーパーはとてもじゃ無いけど行けないから、隣町まで行かないと…」

ほむらが隣町のスーパーでさっきの所の数倍の食材を買い漁り、かさばるので盾に入れ歩いていると甘く美味しそうな匂いがしてきた。

ほむらはつられるように匂いの元に進み5分位歩くと、そこには鯛焼きの屋台があった。

匂いから察するに焼きたてなのは間違いない。

ほむら「すいません?焼きたては今何個位あります?」

「丁度焼き上がったのが30個はあるよ!!お一つどうだいお嬢ちゃん!」

ほむら「えぇ…なら30個全てください」

「ええっ!?お嬢ちゃんそんなに食べるのかい!?」

その時、ほむらはやっと自分の頼んだ鯛焼きの数の異常さに気付いた。

ほむら「いっいえ!…ほら!…私の家って家族が多いので!!しかも鯛焼き大好きな家族ですし!!

「そうかい!鯛焼き好きなのか!!なら30個分の値段で、少し冷めてるけど作り置きの鯛焼きもおまけに3個つけちゃう!!」

ほむら「あっありがとうございます!!」

「良いってことよ!!大体ここでやってるからまた来な!!焼きたてご馳走するからさ!」

ほむら「ありがとうございました!また来ますね!」

ほむらはその場を後にした。

しばらく歩いていると、30メートル後方にほむらをつける様な足音が聞こえた。

ほむら(なにが狙いか分からないけど万が一の事もあるし、捕まえて聞き出すしか無いわね)

ほむらは少し先の曲がり角まで走りをすぐのところで待ち伏せをした。

つけてた人物も走ってきてほむらの居る角を曲がってきた。

すかさずほむらはその人物を取り押さえた。

ほむら「こそこそつけ回って何の用かしら?」

「わっ悪かったって頼むから離してくれ!!」

取り押さえた人物は赤い髪の少女、佐倉杏子だった。

ほむら「杏子っ!?」

杏子「んあっ!?あんたあたしの事知ってんのかい?」

ほむら「えぇ…私もこれなの」

ほむらは指輪になったソウルジェムを見せる。

杏子「おっと…あんたも同業者って訳か…もしかして私をヤりに来たのかい?」

杏子から殺気が立ち込める。

ほむら「いえ、その気は無いわ。ただ、こっちには食材を買いに来ただけ」

杏子「そのわりにはその鯛焼き以外は手ぶらだが?嘘はよくねーぜ」

ほむら「嘘じゃ無いわ!手ぶらなのは私の能力の内の一つに何でも収納出来る物があるからよ!!なんなら変身して見せてあげるわ!」

杏子「確かにそんな能力も探せばあるかも知れねーが、変身するための嘘かも知れねーしな…」

ほむら「お願いよ…鯛焼き一つあげるから…」

杏子「良いのか!?」

ほむら「えっ…えぇ良いわよ」

杏子「やったね!!金無くて何も食ってなかったんだよ!!万引きしようにもここら辺の店、盗みすぎて殆どセコムしちゃってさ!ATMに手をつけようかと思ってた所に来たのがお前だったんだよ!!」

ほむら(私が来たって言うか貴女が着いてきたが正しい気がするわ…)

ほむら「どうせなら私の家でゆっくり食べない?別に一つとは言わずに何個でも食べて良いから」

杏子「本当か!?ありがとう!!お前命の恩人だよ…」

ほむら(命の恩人って…杏子キャラ変わってない?)

鯛焼きをくれると言う魔法少女のの家に着き、テーブルに座ると出て来たのは鯛焼きだけでなく数多くのお菓子、ジュース。

杏子は生きてきた中でこれ程にまで素晴らしい桃源郷の様な世界を見たことがなかった。

しかし、その桃源郷は今正にここにあり手を伸ばせばたどり着く距離にあった。

ほむら「どうかしたかしら?」

杏子「はっ!?いや…あまりの光景に少しトリップしてたようだ」

ほむら「そ…そう…」

杏子「それはそうと…」

ほむら「なにかしら?」

杏子「あんた…この量食べきれるのかい?私は奢ってくれたことには感謝はするが、残して捨てたりしようもんならあんたを許さねー」

ほむら「大丈夫よこの程度なら一人でも食べきれる量ですもの」

杏子「ほぅ~おもしれぇ見せてもらおうか!」

杏子は感動していた。

鯛焼きを食べて感動したのではない。お菓子を食べジュースを飲み感動したのでもない。美味しい事に間違いは無いのだが、杏子は別の事に感動していた。

そう、ほむらにである。

ほむらは食べる前にはいただきますをし、沢山食べながらも一つ一つを大切そうに食べ、杏子には食べれることに感謝、食材にも感謝をしながら食べているように見えていた。

杏子(日々食い物に困ってる私ですらまだこんな食いかたは出来ねぇ…)

杏子(食に対する感謝…あたしももっと見習わねーとな…)

ほむら(さっきからこっちをじっと見つめてるけど、私の鯛焼きの食べ方変なのかしら?背ビレからっておかしかったかしら?)

テーブルに置いてあった食材を食べきった頃には既に外は暗かった。

杏子「もうこんな時間か!んじゃあたしは帰るとするよ」

ほむら「貴女が良ければ泊まっていっても良いのよ?貴女、寝るとこ無いんでしょ?」

杏子「なっ!?よく知ってるな…てか、お前誰だよ!?」

ほむら(今さら!?)

ほむら「私は暁美ほむらよ」

杏子「ほむらかよろしくな!」

ほむら「ええ…よろしく」

ほむら(やけに友好的だけど…餌付けしたことになるのかしらこれ?)

杏子「所でお前の能力はなんなんだ?」

ほむら「あんまり言えないけど今のところはこれといった武器は無いわね」

杏子「は?魔法少女なら一つはあるもんだろ?」

ほむら「あるにはあるけど、私のは盾だし…強いて言うなら私の肉体が武器かな?」

ほむら(グルメ細胞で強くなってる筈だし…)

杏子「肉体ね~…」

杏子(確かに全体的に綺麗な身体はしてるが、胸がな~…でもそれはそれで需要あるのか?)

ほむら「杏子?さっきからなに私の胸をじろじろ見てるのかしら?」

杏子「いや、小さくても需要はあるもんだな~てさ」

ほむら「はっ!?」

杏子「へっ!?」

ほむら「貴女は何を言ってるのかしら?」

ほむらはすかさず杏子の後ろに回り込み首を極める。

杏子は首を絞められながらも思う。後頭部に当たる柔らかさが一切無いと。

杏子「ほ…ほむら…つら…かったん…だな…」

杏子は息が儘ならない状態でありながらも、ほむらの事を思いほむらを慰めた。

ほむら「杏子…」

ほむらは突然の事に絞めていた腕を緩めてします。

すると杏子が立ち上がりほむらを抱き締める。

杏子「もう良いんだよ…だから私の胸で泣きな…」

ほむら「杏子…」

ほむらは杏子に抱き締められ思う。

なんだこの状況はと。

その後、杏子がやけに優しくなりほむらの家に住み着く様になり、遂にほむらの転入の時期がやって来た。

ほむら「それじゃあ行ってくるわね杏子」

杏子「ああ、マミに宜しくな」

この数日間でほむらから話せた事はワルプルギスが来る事だけだった。

しかし、杏子はそれでもほむらを信じ、自分がやっていた使い魔を意図的に逃がす事をやめ、巴マミとの和解を約束した。

そして今日、ほむらは巴マミとの対話に試みる。

ほむら「」

>>21ミス


ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

いつも通りの挨拶をしていつも通り質問攻めを受ける。

ほむら「ごめんなさい。お薬飲まなきゃいけないから保健室に案内してくれるかしら?」

いつも通りまどかに頼み案内してもらう。

ただ、いつも通りでは無いことと言えば警告をしなかったこと。

ほむらは巴マミに何て言って呼ぶか考えていたら、まどかに警告する前に保健室に着いてしまったってだけの話なのだが。

まどか「ここが保健室だよ暁美さん!」

ほむら「えっ!?えぇ…ありがとう。それと私はほむらで良いわよ」

まどか「うん、わかった!なら、私はまどかで良いよほむらちゃん!」

ほむら「えぇ…ありがとうまどか」

まどか「またねほむらちゃん!」

まどかが教室にかえって行く。

ほむらが保健室に入るとそこには誰も居なかった。

ほむら(誰も居ないのは不思議だけど都合が良いわね…)

ほむら(巴マミさん巴マミさん。魔法少女がお越しになられています。至急保健室まで来てください)

~マミの居る教室~

マミ(えっ!?何急に!?ドッキリ!?」

「巴さん?授業中にいきなりどうしたの?」

マミは急に聞こえてきたテレパシーに驚き声を出してしまった。

はっと気付いた頃には、先生やクラスの皆がマミに視線を向けていた。

マミ「あっ…あの…どうやら体調悪くて寝てしまった様なので、保健室に行ってきても良いですか?」

「あら珍しいわね。分かったわ、気を付けてね」

マミ「ありがとうございます」

マミは教室をでて、保健室に向かった。

ほむら「この足音はマミね。やっと教室から出たのね」

保健室からマミが居る教室までの距離は定かではないが、常人なら分からないであろう距離からほむらは足音を聞き取る。

ほむら「遂に来たわね」

足音は保健室の前で止まり、扉が開かれマミが姿を現す。

マミ「貴女かしら?あのふざけたテレパシーを送ったのは?」

ほむら「ええ。分かりやすい内容で良かったと思わないかしら?」

マミ「分かりやすかったわね。分かりやすすぎて皆の前で声を出しちゃうほどにね」

ほむら「それはそれは…今後の貴女は電波系路線で行くのね。キャラ作りはしっかりしとかないとボロが出るわよ」

マミ「ご忠告どうも!生憎、今回は寝言で済んだから大丈夫よ!」

ほむら「あらそう」

マミ「所で私に何の用かしら?」

ほむら「前もって言っておくと此方に争う意思は無いわ」

マミ「そう、ならこの呼び出しは私に協力を求める為かしら?」

ほむら「ほぼそうね。ただ他にも貴女に伝えたいこともあるわ」

マミ「他の事はなにかしら?」

ほむら「佐倉杏子と言えば分かるかしら」

マミ「!?…えぇ、彼女なら知ってるわよ。それが?」

ほむら「今、彼女と手を組んでいるの」

マミ「そうなの…あの子がね…」

ほむら「それで彼女から貴女の話を聞いたの」

マミ「何て言ってのかしら?」

ほむら「とても強くて優しい厨二病おっぱいが居るって」

マミ「後半は悪口じゃない!!」

マミ「まぁいいわ!所で私は貴女達の関係と使い魔はどうしてるのか気になるわね」

ほむら「使い魔も倒しているわ。勿論、杏子も倒してくれてるしそれに対して何も言ってこないわ」

マミ「あの佐倉さんが…珍しいわね」

ほむら「そもそも、私達が出会ったのも偶然で仲間になったきっかけも私にはあまり分かっていないわ」

マミ「そう、その時の事を聞かせて貰えるかしら」

ほむら「ええ、勿論」

ほむらはマミに杏子と出会ったときの事を話した。

マミ「はぁ~…ごめんなさいね。佐倉さんが何か迷惑かけちゃったみたいで」

ほむら「いえ、私としてはまだ武器も無いですし助かってます」

マミ「暁美さんはどうして武器が無いのかしら?」

ほむら「私の場合少し特殊でして、あんまり人に話したく無いんです」

マミ「そうなの。少し怪しくもあるけど…佐倉さんも和解したいって言ってることだし、今は不問にしといてあげるわ」

ほむら「ありがとうございます。では放課後に私の家に行きましょう。そこで杏子が待ってるわ」

マミ「ええ、良いわよ」

ほむら「後、お昼一緒に食べないかしら?」

マミ「あら良いわね!なら屋上で良いかしら?」

ほむら「分かったわ。授業が終わり次第行くわ」

マミ「ふふ、待ってるわ!それじゃあ私はそろそろ教室に戻らせてもらうわ」

ほむら「ええ、また後で」

マミ「また後でね」

マミが保健室から出て行く。

ほむらはベットに少し横になり、マミとの対話が上手くいったことに喜びを噛み締めていた。

保健室の一件から少し時間が経ち、昼休みの時間になった。

まどか「ほむらちゃんっ!」

ほむら「あらまどか?どうしたのかしら?」

まどか「いやね、ほむらちゃん一緒にお昼どうかなーって」

ほむら「ごめんなさいね。お誘いは嬉しいんだけど今日、保健室で知り合いの先輩と先に食べる約束してしまったの」

まどか「そうなんだ…」

ほむら「ごめんなさいまどか。また誘ってくれるかしら?」

まどか「うん!じゃあ明日は一緒に食べようね!」

ほむら「分かったわ。私も楽しみにしてるわ。そろそろ行くね」

まどか「うん!またね!」

ほむらを見送ったまどかの後ろからさやかが顔を出しまどかに問いかける。

さやか「転校生は何だってー?」

まどか「さやかちゃん!?ほむらちゃん今日は知り合いの先輩と食べるんだって!」

さやか「そっかー。じゃあ私達もお昼食べちゃいますか!」

まどか「そうだね!」

ほむらが屋上に着くと、既にマミが備え付けの椅子に座って待っていた。

ほむら「待たせちゃったかしら?」

マミ「いいえ、私も丁度来たところよ」

ほむら「そう、良かったわ。さっそく食べましょう」

マミ「そうね」

マミがお弁当箱をテーブルに置いてほむらの方を向くと、いつの間にか彼女は魔法少女に変身していた。

マミ「暁美さん!?いったいどういうつもりかしら!!」

ほむら「大丈夫よ。ただこの盾からお弁当を取り出すだけだから」

ほむらが盾に手を入れると、五重の重箱が出て来た。

マミ「凄い盾ね…それとその重箱はお弁当?」

ほむら「ええ、こう見えても私けっこう食べるの」

ほむらはそう言うともう一つ重箱を取り出した。

マミ「そ…それは…?」

ほむら「さっきの重箱が全部ご飯で今のはおかずよ」

マミは杏子とほむらが仲良くなる理由がわかった気がした。

それから、マミとほむらはおかず好感をしながらお昼を食べていった。

マミ「この煮物味が染みてて美味しいわ!」

ほむら「貴女の作った玉子焼きも甘くて美味しいわよ」

ほむら「そうだ。これもどうぞ」

ほむらが取り出したのは、スポーツをやってる人が持つようなドデカイ水筒だった。

マミ「それはなにかしら?」

ほむら「これはね…」

マミには白いコップみたいのを渡され、水筒の中身を注がれた。

野菜や肉がゴロゴロと入った豚汁が湯気をあげ、美味しそうな匂いがマミの鼻を刺激する。

マミ「美味しそうね…頂くわ!」

マミが豚汁を一口啜る。

口に流れてきた豚汁はマミの舌を、丁寧に取られた出汁と味噌と具材の旨味で満たし、里芋を入れたことによってできたとろみが喉に心地よく、胃にたどり着く頃には全身を暖めていた。

そして、マミは…

マミ「ほっ…」

至福の笑みで一息ついていた。

お弁当もあらかた食べ終わった頃、ほむらはまた変身をした。

マミ「あら?もうお片付けかしら?」

ほむら「いいえ、今からデザートよ」

ほむらが盾から取り出したのは、マミも先程まで見ていた重箱だった。

マミ「えっ!?暁美さん重箱を2つに大きい水筒豚汁を食べたのに、まだそんなに食べれるの!?」

ほむら「勿論よ」

ほむらが重箱を開けると様々なケーキとフルーツが綺麗に盛られていた。

それを見たマミは、お弁当を食べたにも関わらず唾を飲み込んでいた。

ほむら「貴女もどうかしら?」

マミ「頂きます!」

この日、マミは体重が1kg以上増えていて悲鳴をあげたのは別のはなし。

昼休みからまた時は過ぎ、放課後になった。

ほむらはクラスの人達と挨拶を交わし、マミと待ち合わせの校門まで急ぐ。

待ち合わせ場所にはまだマミは来てなく、ほむらは乱れた髪を軽く整えた。

マミ「暁美さん。今度は私が待たせちゃったかしら?」

ほむら「いいえ、今来た所よ」

マミ「そう」

ほむらはクールに言っていたが、マミはほむらが急いではや歩きで校門に向かった所を目撃しており、可愛い所もあるのねと顔には出さないように 微笑んだ。

そうして二人で歩いて居たもつかの間、使い魔の気配とQBの声が聞こえてくる。

マミ「急ぎましょう!」

ほむら「ええ!!」

二人は走りだし使い魔の結界を見つけ入ると、ボロボロになったQBと二人の少女が使い魔に囲まれて、今にも襲いかかられそうになっていた。

マミ「助けないと!!」

マミが変身をしてマスケット銃を召喚しようとした頃には、ほむらは既に二人の少女の所に居た。

使い魔達はほむらに標的を絞り、一斉に襲いかかるも、ほむらが大きく薙ぐ様に蹴ると使い魔達は吹っ飛び弾け散った。

その光景を見てマミは、その強さとストッキング越しに見えたパンツに見惚れてしまう。

ほむら「魔女はもう居ないようねマミ」

マミ「はっはい!!白ですね!!」

ほむら「?何を言ってるのかしら?」

マミ「あっ…ななんでも無いわよ!魔女は逃げたようね!」

QB「マミの言っていた白と言うのは、暁美ほむらのパンツの色の事じゃないのかな?」

いつの間にかQBがほむらの足下からスカートの中を覗いている。

ほむら「なっ…!?死ね淫獣が!!」

QB「いた…マ…ミ…助…け…」

QBはほむらに足でグリグリと踏まれているのを見て、何時もだったら助けるはずのマミがそれから目を反らし、少女達には冷たい目で見られている事に気付いた。

QB「まっ…たく…わ…けわか…らなキュップイ!!」

結界が解けほむら達も変身を解く。

ほむら「取り敢えず使い魔も倒したことだし、私の家に行きましょう。杏子も待っている事だし」

マミ「そうね…貴女達も気を付けて帰ってね。それと私達の事は内緒ね」

ほむら達は先に行こうとするもそれを許さない者が居た。

QB「待ってくれないかマミ」

マミ「どうしたのQB?」

QB「どうしてマミはそこに居る暁美ほむらと、行動を共にしているんだい?」

マミ「それはどういう事かしら?」

QB「僕達は彼女と契約した事がない。つまりイレギュラーな存在なんだ」

マミ「そうなの…」

QB「それに見滝原は魔法少女にとっては絶好の狩り場だからね」

QBは表情は変わらないもののその言葉からほむらに対する不信感が伺えた。

マミ「QB?つまりあなたは何が言いたいのかしら?」

QB「実はねマミ。暁美ほむらの様な怪しい存在より、今ここに居る二人が魔法少女の素質を持っているから、ここで関わった以上二人を魔法少女にして仲間にした方が僕は良いと思うよ」

まどか「私達も魔法少女になれるんですか!」

QB「うん!とくにまどか君は凄い素質を持っている。もし契約したならマミ以上の魔法少女になることだって可能さ」

まどか「そうなんだ…何も取り柄のない私が魔法少女に…」

QB「そうだよまどか!しかも何か叶えたい願いを一つだけ言ってくれれば、契約は成立だよ!」

まどか「何でもって本当に何でも叶えてくれるの?」

QB「勿論だよ!まどか程の素質なら大概の事は叶うよ!」

さやか「わっ…私は!私はどの位までなら叶えてくれる?」

QB「うーん…例えが欲しいね」

さやか「なら!例えば事故で動かなくなった幼馴染みの腕を治すとかは!?」

まどか「さやかちゃん…」

QB「その程度なら可能だね」

さやか「なら!!」

ほむら「少し待ちなさい」

さやか「なんだよ転校生!!私達の邪魔をする気!?」

ほむら「邪魔も何も、貴女達QBから契約のいい部分しか聞いてないじゃない」

さやか「どうせ今居た奴等を倒すだけなんでしょ?それなら私達にだって出来るわよ!!それにまどかは凄い素質があるんだから!!」

ほむら「貴女ね…今回のは…」

マミ「待って暁美さん。私から話すわ」

ほむら「マミ…分かったわ」

さやか「マミさんでしたっけ?マミさんは私達の契約に反対しないですよね!?」

マミ「反対も何も暁美さんだって反対はしてないのだけれど…」

マミ「それよりしっかり聞いてほしいの」

さやか「何ですか?」

マミ「今倒したのはね使い魔って言って、勿論倒さなければいけない相手だけど、魔女って言う親玉みたいなのが居るの」

さやか「魔女…ってあの三角帽子を被った得たいの知れない薬を作るあの魔女ですか?」

さやか「それじゃあ魔法少女の敵って、同じ人間なんですか?」

ほむら「!?」

マミ「えっと…人間ではない筈よ多分…それに魔女は絶望から産まれる存在なのよ」

さやか「そうだったんですかー。てっきり昔見たアニメみたく、魔女見習いが魔女に成るように、魔法少女も魔女になっちゃうのかと思いましたよー」

マミ「えっ…魔法少女が魔女…確かに昔からソウルジェムが濁ると、グリーフシードと似た色になるなとは思って…」

ほむら「マミ!!」

マミ「あ暁美さん!急に大声だしてどうしたのかしら!」

ほむら「こんな所に居るのもなんだし、取り敢えず場所を移しましょう」

ほむら「杏子も待ってるわ」

ほむら「貴女達も着いてきなさい。ついでに説明するから」

QB「僕も着いてっていいかい?」

ほむら「好きにしなさい」

ほむらの家に向かってる間、誰も喋ろうとしない無言の状態が続く。

ほむらがマミの様子を見ると、明らかにさっきさやかが話した内容について、考えている感じがする。

ほむら(この時間軸のマミは魔女化の事を薄々気付いてるのかしら?)

ほむら(もし、少しでも気付いているのなら全て言ってしまい、まどか達に魔法少女にならないように牽制をかけれるのだけど…)

ほむらは次にさやかを見る。

さやかはまどかと魔法少女になったらどんな格好になるのかと話していた。

ほむら(正直な話、私は貴女にも魔法少女になってほしくないのよね…)

ほむら(このままではさやかは確実に契約するだろうし、さやかが契約すればまどかが契約するのもほぼ確実)

ほむら(もう言うしか無いのね…)

ほむら(まさかこんなに早く魔法少女の秘密を話すことになるなんて)

ほむら(巴さん…)

ほむら達が家に着く。

杏子「お帰りほむらー」

杏子「それとひさしぶりマミ…」

マミ「佐倉さん…!」

杏子「悪かったなマミ…あの時出て行っちまって」

マミ「良いのよ佐倉さん!貴女の気持ちを考えなかった私も悪かったの!」

杏子「マミ…さん…」

マミ「佐倉さん…これからはまた一緒ね!」

杏子「あぁ…一緒だ!」

二人は抱き締めあう。

今まで離ればなれだった時間を埋めるように…

まどか「ほむらちゃん…マミさんとあの子はどんな関係なの?」

ほむら「後で話してあげるわ。だから今はあのままにしておいてあげましょ?」

まどか「うん」

杏子「なんか待たせたようで悪かったな…」

マミ「ごめんなさいね私達だけで」

あれから5分位は抱き合っていた二人は、少し気まずそうにほむら達の元に戻ってきた。

ほむら「いいえ、久々の再会ですもの、少し位抱き合っていたっておかしくないわ」

まどか「私も事情は分からないけど良かったと思います!」

さやか「まぁ、いきなり!?とはなったけどね」

マミ「もぅ…」

恥ずかしさからかマミが顔を真っ赤にする。

杏子「てか、お前ら二人は誰だ?」

ほむら「今さらなのね…まぁいいわ紹介するわね…」

それぞれ挨拶を済ませ、山積みになったお菓子が置かれているテーブルに誘う。

まどか「こ…これは凄いね…向かいに居る筈のほむらちゃんがお菓子で見えないよ」

さやか「何でこんなにお菓子あるのさ」

マミ「まさかこれも一食分なのかしら?お昼も沢山食べてたようだけど…」

ほむら「ええ、杏子と食べると一時間位で無くなるわね」

QB「これ全部となると君達体のキャパシティを大きく上回ると思うけど、どうなってるんだい?」

ほむら「私は少し特殊なのよ」

ほむら「それよりあなたはいつから居たのかしら?インキュベーター」

QB「何故その名を暁美ほむらが知っているんだい?」

ほむら「後で話してあげるわ。まずは魔法少女についてマミさんに話して貰おうかしら」

マミ「ふぁふぁふぃ!?」

ほむらが椅子を少しずらしマミの居る所を覗き込むと、ケーキを口一杯に頬張り頬がハムスターの様になっているマミが居た。

ほむら「貴女…別に食べていいけど、その食べ方は先輩の威厳としてどうなのよ」

マミは手元にあった紅茶を流し込み誤魔化すように笑う。

マミ「ごめんなさいね。お昼頂いたのがあまりに美味しかったから…」

ほむら「もう…まどか達も好きに食べていいからね」

まどか「ありがとうほむらちゃん」

さやか「んじゃ、私も頂きまーす!」

杏子「あっ!?それあたしが狙っていたやつだぞ!!返せ!!」

さやか「はぁ!?同じのがそこら辺にもあるでしょ!?」

さやか「てか、この砂山のトンネルみたいな空洞は何よ!?あんたどんな食べ方してるのよ!!」

杏子「それを食べればトンネルが完成なんだ…その最後を盗るなんて横暴だ!!」

さやか「何で私のせいなのよ!?」

さやか「てか、話に加わんないなと思ってたらずっとお菓子なんか食べてたの!?」

杏子「お菓子をバカにするな!!殺すぞ!!」

さやか「あんたをバカにしてんのよ!!」

ほむら「二人ともその位にしておきなさい」

ほむら「杏子もそこに同じお菓子があるから、それで今回は我慢してちょうだい」

杏子「分かったよ…そんかわり次は全部あたしんのだからな!」

ほむら「はいはい…崩れない程度にね」

杏子がほむらからお菓子を受け取ると同時に、トンネルから同じお菓子が出て来た。

杏子「これは!?」

杏子がトンネルを覗き込むとその先にはさやかの顔が見えた。

さやか「そのお菓子杏子が食べて」

さやか「ごめんね。楽しみにしてたんだもんね」

杏子「良いのかさやか?」

さやか「うん!その代わりほむらから貰ったやつと交換ね!」

杏子「おう!」

さやかの元にさっき送ったお菓子と同じ商品のお菓子が届く。

杏子・さやか「「これで仲直りだな(ね)!!」」

QB「魔法少女話はしないのかい?訳がわからないよ」

ほむら「そろそろ場も纏まった事だし、まどかも待っていることでしょうから話していいわよマミ」

マミ・まどか「「ふぁ!?ふぁい!!」」

ほむらは山の向こう側を見なくてもどういう状況か察し、ため息をついた。

ほむら「マミはともかく貴女もなのねまどか」

まどか「えへへ…美味しすぎてつい」

ほむら「まぁいいわ…マミ今度こそ説明を初めて」

マミ「分かったわ!それじゃあ、鹿目さん美樹さんしっかり聞いててね!」

まどか「はーい」

さやか「ふぁい」

さやかから先程の二人と似た声が聞こえる。

ほむら(さやか貴女もなのね…)

そこからはマミが魔女について、ソウルジェムとグリーフシードについて、ゆっくり話した。

そして、マミが話終わる頃には山程あったお菓子がその姿を消し、全員の顔が目視できる程度になっていた。

マミ「こんなところかしら魔法少女については」

杏子「そうだな。私からしたらなる必要が無いならならない方が良いと言いたい所だが…」

マミ「何かあるのかしら?」

杏子「あぁ…ほむらが言うにはワルプルギスの夜が来るらしい」

マミ「ワルプルギスの夜ですって!?」

杏子「あぁ…約一ヶ月後には来るらしい」

マミ「そんなっ…暁美さんその話は本当なの!?」

ほむら「ええ、本当よ」

さやか「すいません…ワルプルギス?の夜って何です?」

マミ「あっ!ごめんなさいね。私達だけで話を進めて…」

さやか「いえ、なんか深刻そうですけど…そいつそんなに強いんですか?」

杏子「強いなんてもんじゃねーよ…言い伝えによればそいつは結界にこもる必要がなく、一度現れたら何千人とも死者が出るとか」

マミ「佐倉さんの言う通りよ。ワルプルギスの夜は見えない人達からしたら、ただの自然災害としか捉えられないから結果…」

杏子「あぁ…気付いた頃には町ひとつが滅び大漁の死者が出るって訳だ」

さやか「そっそれだったら早く契約しないと!!」

まどか「そっそうだよ!!私達も町を守るよ!!」

まどかとさやかは立ち上がり、場の空気は二人の契約となっていたが、それを許さぬ者が居た。

ほむら「少し私の話を聞いて貰えるかしら?」

ほむら「それにQBも私に聞きたいことがあるだろうしね」

QB「君にはいくつか聞きたいことがあるね。まぁ、僕としては契約が先でも良いんだけれどね」

ほむら「ふふ…焦らないのQB」

ほむら「さて…魔法少女の真実について話しましょうか」

ほむら「マミは薄々気付いてるようだけどね」

マミ「っ!?」

杏子「なんか知ってんのかマミ?」

マミ「まだ推測の域だったのだけれど…」

マミ「暁美さん…もし、私が考えている事が真実だとするなら…」

ほむら「するなら?」

マミ「私…いいえ、私たち魔法少女に救いはあるのかしら」

ほむら「残念だけど…なってしまった時点で救いは無いわ」

杏子「おい!!救いが無いだか知らねーが私達に分かるように説明しろよ!!」

ほむら「そうね…ごめんなさい」

ほむら「マミ、杏子…お願いだから自分を見失わないで」

ほむら「まどか、さやか…自分の命を大切にして」

ほむら「そしてQB…皆をしっかり見てて」

ほむらは魔法少女の魂がソウルジェムであり、濁りきると魔女になってしまうことを丁寧に話した。

マミ「やっぱりそうだったのね…」

杏子「そんなの…魔法少女に希望なんて一切無いじゃないか…」

さやか「それじゃあゾンビじゃん…」

まどか「そんなのって無いよ!!」

ほむら「でも、それが真実なの…」

ほむら「だから、魔女になりたくなかったら、ソウルジェムを割るしか無いの」

QB「僕としては割られるのは困るんだけどな」

マミ「QB…」

QB「それより、何故君がその情報を知ってるのかが気になるな」

ほむら「あなたにはまだ教えてあげないわ」

ほむら「あなたが少女達に、意図的に教えなかったようにね」

QB「心外だなー。僕は聞かれなかったから言わなかっただけなのに」

ほむら「マミ、杏子…気分は悪くない?大丈夫?」

杏子「大丈夫ではねーな…ただ、受け入れるしかねーだろ今は…」

マミ「そうね…受け入れるしかないのよね…」

ほむら「マミ……」

マミ「私わからないよ…魔女は怖いし、辛いし、元は私達魔法少女だし…」

マミ「もう魔女倒したくない、もうひとりぼっちは嫌だ…」

マミの目から大量の涙がこぼれ落ちていた。

ほむら「マミ…」

ほむらはマミを後ろから優しく抱き締める。

ほむら「大丈夫よマミ。これからは貴女には私達がついてるから!!」

ほむら「魔女と戦うのが嫌なら戦わなくたっていい!グリーフシードは貴女の分も私がとってくるから!!」

杏子「そうだよマミさん。あたしだってマミさんの分のグリーフシードを、取ってきてやる!一緒に居てやる!!だから泣かないでくれよ」

杏子もマミにつられてポロポロと泣き出す。

いつの間にかまどかやさやかも泣いていた。

マミ「ありがどう゛暁美さん佐倉さん…でも、私も魔女はだおさないと…」

マミ「だって…この町を守る魔法少女なんだもん」

マミの健気さにほむらも涙が出て来た。

ほむら「だったら一緒に暮らしましょ!杏子と私とマミの三人で!!」

ほむら「貴女をもうひとりぼっちにさせない!!」

杏子「そうだよ!!マミさんも一緒に住もうよ!!」

マミ「いいの?後輩の前で泣いちゃうような駄目な先輩だけど、私と一緒に居てくれるの?」

杏子「当たり前だろ…だから自分をそんなに卑下すんなよ!」

ほむら「そうよ!誰もマミの事を駄目だと思っていない!!」

マミ「ありがとう……本当にありがとう…」

マミは後ろから回されてほむらの腕を握りしめ、嬉しそうに呟いた。

× マミは後ろから回されてほむらの腕を握りしめ、嬉しそうに呟いた。

○ マミは後ろから回されたほむらの腕を握りしめ、嬉しそうに呟いた。

少し時間が経ち皆泣き止んでくる。

マミ「もう大丈夫よ。ありがとうね」

ほむらは腕を解き自分の席に戻る。

ほむら「マミ、今日は止まっていきなさい」

ほむら「そして、明日から貴女の荷物を持ってこないとね」

杏子「しょうがねーから私も手伝ってやるよ!」

マミ「ふふ、ありがとうね」

さやか「なんだか泣いたらお腹空いてきちゃったね」

まどか「もーう!!さやかちゃんたら!!」

マミ「そうね…私もお腹空いちゃったっ!」

杏子「そうだな!あたしも腹減ってきたよ!」

まどか「マミさんや杏子ちゃんまで!?」

まどか「ほむらちゃんはそんなこと無いよ…ね?」

ほむらは既に席には居らず、冷蔵庫から特大のケーキを出していた。

まどか「ほむらちゃん…?それは…なに?」

ほむら「私もお腹すいたから皆で食べようと思って」

ほむら「まどかは要らなかったかしら?」

ほむらは既にお菓子の無くなったテーブルに特大ケーキを置き、他の三人に切り分けていく。

まどか「やっぱり私も食べる!!」

QB「僕の分のケーキはあるかい?」

ほむら「あら?QBまだ居たの?」

QB「君が見てろって言ったじゃないか」

QB「それに君達だけで話を進めて、僕達の言い分を全く話させてくれなかったじゃないか」

ほむら「私達からしたら、あなたの言い分なんて蛇足でしかないのよ」

QB「それは非道んじゃないのかな?遠い目でみれば人類にも関係することだよ」

ほむら「私達は今を生きてるのよ。生憎、遠い未来の事を考えている暇なんて無いわ」

マミ「まあまあ、QBの言い分を聞いてみましょうよ」

QB「ありがとうマミ!」

マミ「全てを知った今だと、素直に喜べないわね…」

マミは複雑そうに笑う。

そしてQBは何故魔法少女のシステムを作ったのか話始めた。

QB「ってことで分かってくれたかい?」

マミ「宇宙の寿命を延ばすね…」

QB「そうだよマミ。まどかが魔女になってくれればこの問題も解決だけれどね」

まどか「私が魔女になれば…」

ほむら「やめときなさいまどか」

ほむら「貴女が魔女になれば確かに宇宙は助かるかもしれないけど、地球上の生物は全滅するわよ」

ほむら「勿論、魔法少女が何人集まろうが貴女を倒すことは無理」

ほむら「つまり、貴女の契約イコール地球滅亡なのよ」

まどか「そうなんだ……」

ほむら「それより貴女達、時間は大丈夫なの?」

まどか「ふぇ?もうこんな時間!?」

さやか「やっば!?親に怒られる!!」

ほむら「それじゃあ送っ―」

マミ「私が送っていくわ」

ほむら「あなた一人で大丈夫?」

マミ「大丈夫よ!それにこの家には私が入りそうな服が無さそうだしね」

ほむら「ええ、分かったわ…まどか達をたの自慢かモギモギするぞコラッ!むわね」

杏子「苛つくのは分かるが、考えている事が駄々漏れだぞほむら」

ほむら「いけないいけない……マミは後で覚えときなさい」

マミ「私なにされるの!?」

ほむら「さてね。私は今から夕飯を作るから、早めに帰ってきなさい」

マミ「!!……うん!」

まどか「おじゃましましたー」

さやか「またねー」

マミ「それじゃあいってきます!」

ほむら「まどか、さやか、また明日。マミいってらっしゃい」

まどか達は走っていった。

杏子「マミ嬉しそうだったな…」

ほむら「マミは一人だったからね」

ほむら「家族ができて嬉しいのよ」

杏子「家族…か……」

ほむら「勿論、私は杏子も家族だと思ってるわよ」

杏子「へっ……ありがとよ」

ほむら「どういたしまして」

ほむら「さて、今から夕飯を作っちゃうから貴女はテーブルの回りを片付けといて」

杏子「わーたよ」

杏子はテーブルを見る。

喋っていたときには気付かなかったが、お菓子のから箱や袋があっちこっちに散乱していた。

杏子「おいおい……あたしもマミについていけば良かったかもな」

しばらく時間が経ち、玄関の開く音がする。

マミ「ただいま!あら?いい匂いがするわね!」

ほむら「お帰りなさいマミ。もう夕飯出来てるから食べちゃいましょう」

マミ「分かったわ……って佐倉さんなに床に寝転がってるのかしら?」

杏子「お前らが食い散らかしたお菓子のゴミの山を片付けてたんだよ!!」

マミ「そうだったの、ごくろうさま!」

杏子「おっ…おう…」

ほむら「ふふ…自分の所が一番多かったなんて言えない状況ね」

マミ「そうだったの」

杏子「ほむらお前だって、あたしと変わらない量だっただろ!!」

ほむら「はいはい、それより今日の夕飯はカレーよ」

杏子「おっ!やったね!」

マミ「カレーなんて久々に食べるわね」

ほむら「たっぷり作ったから好きにお代わりしてね」

杏子「んじゃいただきまーす!」

マミ「私もいただきます」

まず、杏子が一口食べた。

初めて食べたはずなのに懐かしい味、噛むごとに思い出される家族との記憶、家族が居なくなり一人で食べていた時の味気なさ。

色々な記憶と感情が込み上がる。

スパイスから作ったわけでもない、市販のルーをただ溶かした何処にでもあるようなカレー。

それなのにどのカレーより美味しく、涙が止まらない。

横を見るとマミも泣いていた。

ほむら「あ…貴女達どうしたの!?まさか辛すぎたとか?」

杏子「いや、違うんだ…」

マミ「辛くは無いわ…ただ」

ほむら「ただ?」

杏子「すごく懐かしくてすごく美味しいんだ」

マミ「私もよ…家族を思い出しちゃったわ」

二人はベテランの魔法少女とは言えまだ中学生。

普通であるなら、家族でご飯を食べそれぞれの家庭の味を受け継ぐ筈だった。

しかし、彼女達にはもう家族は居ない。

甘えられない、誉められない、泣き付けない、そして家族のご飯が食べられない。

それはまだ幼い彼女達にとって、どれだけ辛いことだろうか。

家庭の味はどんなに美味しい料理よりも美味しく、食べた者の心を安らがせる。

そう、家庭の味とは人々にとって最高の調味料なのである。

マミ「私達、今日は泣きっぱなしね」

杏子「あぁ…こんなに泣いたの初めてじゃねーかな」

ほむら「ふふ…泣きながらもしっかりと食べたのね。お皿に何も無いじゃない」

ほむら「お代わり持ってこようか?」

マミ・杏子「「お願いします!!」」

ほむら「はいはい」

それから夕食の時間は楽しく過ぎていった。

ほむら「さて、お皿洗いも終わったし、お風呂入ろうかしら」

杏子「風呂は入れといてやったぜ」

ほむら「ありがとうね杏子」

マミ「暁美さん私は最後でいいから、最初に入ったら?」

マミ「今日一番がんばってたのは、暁美さんだし」

ほむら「そうね、一番に入ろうかしら」

ほむら「さっきの罰としてマミと、ついでに杏子も連れてね」

マミ「あれ?服が無いってまだ根に持ってたの!?」

ほむら「ふふふふ…隅々まで調べてあ げ る!」

マミ「いゃあああ!!誰か助けてぇぇええ!!」

杏子「私は関係無いだろ!?」

ほむら「だから、貴女はついでよついで」

杏子「そんなぁー…」

マミ「イヤアアアア-!!」

ほむら「マミー。叫んでないで早く入ってきなさい!」

杏子「ふぅ…あったけぇ……んで、何叫んでんだかマミは」

マミ「そんな……1kgも……」

ほむら「そんなことはどうでもいいから、早く私の背中を流してちょうだい」

マミ「貴女は良いわよね…スレンダーで……」

マミ「私だって貴女みたいになりたいわよー!!」

ほむら「ひゃっん!?マミ!!あっ!…貴女どこ触ってるふぅん!のよっ!?」

マミ「暁美さんが悪いのよー!!このお腹が!!このないちちが!!羨ましいよー!!」

ほむら「もう私も怒ったわ!そのメロンパイ私に寄越しなさい!!」

マミ「そこはダメぇぇええ!!」

ほむら「ふふふふふふ!!」



杏子「はぁ…何遊んでんだか…」

ほむら「お風呂も入ったことだし、そろそろ寝ましょうか」

杏子「そうだなー」

マミ「ええ、そうね」

ほむら「予備の布団は無いから、マミも一緒のベットで良いわよね?」

マミ「私もって事は佐倉さんも一緒って事よね」

マミ「三人も一緒に寝れるのかしら?」

ほむら「大丈夫よ。病院生活が長かったせいか、シングルだと少し狭く感じたから」

ほむら「キングベットを買ったのよ」

マミ「なんでキングサイズ!?」

杏子「そんなのどーでも良いだろー」

杏子「早く寝よーぜー」

ほむら「そうね、マミ貴女が真ん中ね」

マミ「本当にキングベットだわ……」

朝、美味しそうな匂いが鼻を刺激し、ほむらは目覚める。

起きようとするが何かに抱きつかれているようで、起き上がれない。

大きく柔らかい感触が、見なくてもほむらは誰だか分かった。

ほむら「マミ起きなさい」

マミ「後5分~」

抱き締める力が少し強くなる。

ほむら「マミ!寝起きのテンプレみたいなことを言ってないで、早く起きて私を離しなさい!」

マミ「もうちょっとだけ~」

ほむら「分かったわ。マミがその気なら私だって……」

ほむらは指で何かを握るような動作をする。

マミ「おはよう暁美さんっ!!今日もいい天気ね!!」

マミは急いでほむらから距離をとる。

ほむら「おはようマミ。今日もいい天気ね」

ほむら「私を抱いて離さなかった事について、なにかあるかしら?」

マミ「えっと……ごめんなさいね」

マミ「誰かと寝るのが久しぶりだったもんで……」

ほむら「まったく……」

杏子「おーい!!起きたなら早くこーい!」

杏子「折角の飯が冷めちまうぞー!!」

ほむら「いきましょうかマミ」

マミ「そうね暁美さん」

ほむら「マミ…寂しかったら何時でも抱き締めてきて良いのよ」

ほむら「勿論、それは私だけじゃなく杏子も思ってる筈よ」

マミ「ふふ…ありがとうね暁美さん!」

マミ「それだったら暁美さんが寂しいときは、私に抱きついてきても良いのよ!」

ほむら「検討しておくわ」

杏子「やっときたか!」

ほむら「ごめんなさいね。マミが駄々こねちゃって」

マミ「そんな言い方酷くない!?」

杏子「それよりもほら、お前らの為に作ったんだ食ってくれ」

テーブルの上には親子丼が並べられていた。

マミ「佐倉さんって料理出来たのね…意外だわ」

杏子「意外ってなんだよ」

杏子「まぁ…そんなにレパートリーは無いんだけどな…」

杏子達が何かを話していたが、ほむらは一切聞こえてなかった。

何故なら、ほむらは親子丼の匂いを嗅いで直感していたからだ。

これが自身のグルメ細胞のレベルを上げる料理だと。

いつのまにか黄金色に輝き、出汁のいい匂いのする親子丼に体が無意識の内に近付く。

そして、ほむらが親子丼目の前にしたとき異変が起こる。

ほむら「うっ!?」

突如、ほむらの体の中から何かが出かけたような感覚がした。

ほむら(何かしら今のは?)

違和感は一瞬で終わり、体に変わったところはなかった。

杏子「どうしたほむら?」

ほむら「いいえ…なんでも無いわ」

ほむら(本当に何だったのかしら…)

杏子「そうか、それじゃあいただきまーす」

マミ「いただきます!」

ほむら「いただきます…」

ほむらが親子丼を一口食べる。

鶏肉が柔らかくジュシーで、濃厚な玉子がお肉と絡み合い、出汁の効いた汁がそれらをまとめ、ご飯を噛むごとにでる甘味によりより一層旨味がます。

ほむら「!!」

飲み込むと同時に、体が輝き服が弾けとんだ。

杏子・マミ「「ブハッ!?」」

杏子「なんだよお前それ!?」

マミ「暁美さんがいきなりマッチョに!?」

杏子「しかも、なんか光輝いてるじゃねーか」

マミ「佐倉さん、なんか変なもの入れたんじゃ無いでしょうね?」

杏子「そんな変なもの入れてねーよ!!」

ほむら「こうなったのは杏子のせいじゃ無いわ」

杏子「ほら!!ほむらだって違うって言ってるだろ!!」

マミ「それなら、暁美さんはどうしてマッチョなんかに?」

ほむら「それは私に、特別な細胞が入ってるからなのよ」

杏子「特別な細胞だ?」

マミ「その細胞について説明してくれるかしら?」

ほむら「ええ、分かったわ」

ほむらはグルメ細胞について、杏子達に話始めた。

杏子「つまりはだ」

杏子「旨いもん食ったり、適合する食材を食うと、強くなったり怪我が回復したりする細胞なんだなそれは?」

ほむら「ええ、それで間違いは無いわ」

マミ「そして、その細胞さえあればどんなに食べても肥らないのよね!」

ほむら「それは違うわ」

ほむら「勿論、食べた分だけ体重も増えるわ」

マミ「残念……」

ほむら(ただし、体重だけが増えるのは黙っておこうかしら)

杏子「その細胞は私達にも入れられるのか?」

マミ「そうね…そんな万能細胞があれば、魔女退治も楽になるだろうしね」

ほむら「申し訳ないけどそれは厳しいわね」

杏子「それはどうしてだ?」

ほむら「確かに私の中にはグルメ細胞があるから、それだけ取り出して貴女達に入れることも、可能なのかもしれない」

ほむら「ただ、元々私に入っていた細胞だから、貴女達に適合するかは分からないのよ」

マミ「もし、適合出来なかったらどうなるの?」


ほむら「もし、適合が失敗したら……」

マミ「失敗したら…?」

ほむら「死ぬわ」

杏子「まじか……」

マミ「ハイリスクハイリターンって訳ね」

ほむら「ええ、それじゃあ体も元に戻った事だし、ご飯も食べたことだし、お昼のお弁当の支度をするわね」

マミ「えっ!?いつの間に食べ終わったの!?」

ほむら「ふふ…秘密よ」

ほむら「それと杏子…」

杏子「んお!?どうした!?」

ほむら「親子丼美味しかったわ」

ほむら「作ってくれてありがとうね」

杏子「!!……へへっ、どういたしまして」

ほむら「さて、お弁当も完成したわ」

ほむらは出来立てのお弁当を盾に入れていく。

マミ「相変わらず便利ねその盾」

ほむら「まぁ、どんなに重いものでも入るし、重宝しているわ」

ほむら「それより、そろそろいきましょうか」

マミ「ええ、分かったわ」

マミ「それじゃあ佐倉さん行ってくるわね」

杏子「いってら」

ソファーでダラダラしていた杏子が、手だけを挙げてそれに答える。

ほむら「そうそう、杏子これを受け取って」

突然、ほむらはあるものを杏子に渡した。

杏子「んあ?なんでこんなもんを私に?」

ほむら「いいから」

マミ「暁美さーん!行くわよー」

ほむら「今いくわ」

杏子「まてよ!これって……」

杏子は渡された物を持って立ち上がるが……

ほむら「待ってるわね杏子」

ほむらはそれを待たずして、家から出ていってしまった。

杏子「まったく…好き勝手言いやがって」

杏子は渡された物を眺めながら、ほむらに後で文句でも言ってやろうと決心した。

ほむら達が歩いていると、まどか達が前の方に見えた。

ほむら「まどか、さやかおはよう」

マミ「おはよう鹿目さん、美樹さん」

まどか「あっ!ほむらちゃんにマミさん!おはようございます!」

さやか「ほむらにマミさん。おはようございます!」

「あら?まどかさん達、暁美さんといつの間にか仲良くなられていたんですね」

緑でウェーブのかかった髪が印象的な女の子が、まどか達に話しかける。

まどか「うん!放課後に仲良くなったんだ!」

さやか「そしてマミさんが、昨日ほむらが昼に会ってた先輩なんだ!」

仁美「あらあら~そうでしたの」

仁美「あっ!私、志筑仁美と申します」

マミ「私は巴マミよ。よろしくね志筑さん」

ほむら「分かってると思うけど、暁美ほむらよ。改めてよろしくね志筑さん」

仁美「よろしくお願いしますね」

仁美「後、私の事は仁美と呼んでください」

ほむら「分かったわ仁美。私もほむらって呼んでくれていいわよ」

マミ「私もマミで良いわよ仁美さん!」

仁美「分かりましたわ!ほむらさん!マミさん!」

さやか「自己紹介はいいけど、早くしないと遅刻しちゃうよ!」

ほむら「そうね、少し急ぎましょうか」

午前の授業を終え、お昼。

ほむら「さて、屋上にいきましょうか」

まどか「うん!皆でお昼楽しみだったんだ!」

仁美「本当に私もご一緒して宜しかったのですか?」

ほむら「全然構わないわ」

ほむら「それに、私もマミも貴女ともっと仲良くなりたいと思ってるから、来てくれないと逆に寂しいわ」

仁美「まぁ~!ありがとうございますほむらさん!」

ほむら「それじゃあ私は、マミを呼びに行ってくるわね」

まどか「分かった!場所は取っとくね」

まどか「それじゃあ行こっか!さやかちゃん、仁美ちゃん」

さやか「また後でほむら」

仁美「ほむらさんまた後で」

ほむら「ええ、また後で」

まどか達が屋上に向かったのを確認したほむらは、マミの居る教室に向かった。

ほむら「確かここね」

ガラス張りの教室を覗き込むと、クラスメイトと楽しそうにお喋りするマミが居た。

ほむら(よく仲間を求めていた割には、クラスには友達が居るのね)

ほむら(正直、意外だったわね)

マミがほむらに気付き、クラスメイトと別れ教室から出てくる。

マミ「待たせちゃったかしら?」

ほむら「いいえ、貴女に友達が居てほっとしていたところよ」

マミ「それって酷くない!?」

ほむら「一割は冗談よマミ」

ほむら「さぁ、いきましょうか」

マミ「一割が冗談ってほぼ冗談じゃ無いんですけど!?」

ほむら達は屋上に出る扉の前までたどり着いた。

ほむら「それじゃあマミ。人が来ないか見ててね」

マミ「分かったわ」

ほむらはすぐさま変身し、盾からお弁当を取り出した。

マミ「相変わらず凄いわね…その重箱達……」

ほむら「沢山食べないと、餓死してしまうから仕方ないわ」

マミ「三食食べてるのに、餓死なんてお笑いものだものね」

ほむら「別にマミの分のお昼も、余裕で食べれるのよ?」

マミ「ごめんなさい!もう言いません!」

ほむら「それでいいのよ」

ほむら「さてと、そろそろ来る頃だし私達も出ましょうか」

マミ「?……ええ、分かったわ」

まどか「ほむらちゃん!マミさん!こっちです!」

ほむら「お待たせまどか」

さやか「うおっ!?その重箱はなに!?」

ほむら「お弁当よ」

仁美「重箱4つですか…思っていたよりほむらさんって、食べる方だったんですね」

ほむら「まぁ、食べるのは私だけではないのだけれどね」

ほむら「ちょっと他からもうひとつ、椅子を取ってくるわね

まどか「あれ?足りなかった?」

ほむら「足りたけど、もうすぐ足りなくなるのよ」

ほむらが椅子を持ってきたと同時に、フェンスをよじ登る杏子の姿が見えた。

まどか「きょっ!?杏子ちゃん!?」

さやか「なんでフェンスから!?」

仁美「あらあら。運動神経が良いのですね彼女」

マミ「仁美さん?その反応は少しずれてると思うわよ」

杏子「おいコラ!ほむら!!言われた通りのルートで来たら、梯子一本もねーじゃねーか!!」

ほむら「当たり前よ、だって人通りの少ない死角になるルートを書いたんですもの」

ほむら「そんなところに梯子なんて付いてたら、物騒だわ」

杏子「なるほど、喧嘩を売ってんだな買ってやるよ」

ほむら「あら、貴女の好きなおかずとデザートを、用意したのだけれど……」

杏子「しかたねーな!許してやるよ!」

杏子「んっ?あんたは誰だ?」

仁美「あっ、私は志筑仁美と申します。よろしくお願いしますわ」

杏子「おう、あたしは佐倉杏子だ。よろしくな!」

杏子「あんたはまどか達の友達かい?」

仁美「ええ、そうですわ佐倉さん」

杏子「そっか、あとあたしの事は杏子で良いよ」

仁美「まぁ~!では杏子さん。私の事は仁美で構いませんわ」

杏子「よろしくな仁美!」

ほむら「自己紹介はそこまでにして、お弁当食べちゃいましょうか」

杏子「おっ!待ってました!!」

マミ「お行儀悪いわよ佐倉さん!」

まどか「今日は大人数で楽しいねさやかちゃん!」

さやか「ちょっと騒がしい気もするけど、楽しいねまどか!」

仁美「今日はお友達が増えて、とても良い1日ですわ!」

ほむら「それじゃあ」

全員「いただきます!!」

さやか「ほむらー卵焼き貰っても良い?」

ほむら「良いわよ」

さやかは重箱から卵焼きを一つ取り出す。

その卵焼きは焦げ目が一切なく、しっかり白身の処理をしてあり、白い部分もない。

さやかは、綺麗な色をした卵焼きを一口食べる。

さやか「んん!?甘くて美味しい!」

さやか「どうやったらこんなに、美味しい卵焼きを作れるの?」

ほむら「別に特別なことはしてないわ」

さやか「ほむら家は甘い卵焼きなんだね!私の家はだし巻き派だから、甘い卵焼きなんて久々だよ」

ほむら(甘い卵焼きの方が、砂糖を使うからカロリーを取りやすいって理由で)

ほむら(甘い卵焼きを作ってるなんて言うのは、止めておきましょう)

ほむらが不意に横を見る。

マミ「ん~!甘い卵焼き美味しい!」

甘い卵焼きを沢山頬張るマミが見えた。

ほむら(今日も叫ぶことになりそうね)

さやか「ふぅ~、お腹一杯だー」

さやかはベンチで横になる。

まどか「さやかちゃんたらー。お行儀悪いよ」

さやか「まぁまぁー…ってそう言えばほむら?」

ほむら「なにかしら?」

さやか「重箱開けてないのあるけど、中はなに入ってるの?」

ほむら「ふふ…丁度開けるとこだったから自分の目で確かめてみなさい」

さやか「んじゃ!どれどれ~」

さやか「ってうお!?」

さやかが重箱を開けると、様々な種類のケーキが所狭しと入っていた。

他の段を開けるも、結果はケーキかフルーツか以外の違いはなく、テーブルには大量のデザートが占領することになった。

さやか「おおぅ…これにはさやかちゃんも予想外だぜ……」

ほむら「食後のデザートよ」

仁美「失礼ですがほむらさん?」

ほむら「どうしたの仁美?」

仁美「とても沢山食べてらっしゃる様ですが、太ったりはしないんですか?」

ほむら「そうね……体型は変わらないわね」

ほむら(体重は食べた分だけ増えてるけど……)

仁美「羨ましいですわ!!」

ほむら「!?どっどうしたの急に」

仁美「あっ失礼しましたわ。でも、ほむらさんそんなに食べても太らないなんて、羨ましすぎますわ!」

マミ「本当よねー」

杏子「あたし的にはもう少し太りたいから、その気持ちわかんねーなー」

まどか「杏子ちゃんはどうして太りたいの?」

杏子「別にデブになりたい訳じゃないが、肉をつければその分力も付くし」

杏子「ガリガリよりは体力も付くからだな」

杏子「ほむら自体は特殊だけど、ほむらみたいな体つきの奴見ると」

杏子「触っただけでも折れそうで怖くなるよな」

まどか「確かにほむらちゃんはスリムだよね」

さやか「あー!?杏子ケーキ勝手に食べてる!!ずるい!私も食べたい!」

杏子「なんだよ勝手に食べりゃ良いじゃねーか」

さやか「いいのほむら?」

ほむら「ええ、勝手に食べて良いのよ。貴女達も遠慮せずに食べて良いからね」

まどか「ありがとうほむらちゃん!それじゃあ一つ貰うね!」

仁美「それでは、お言葉に甘えてお一つ頂きますわね」

杏子「あっ!マミ!それあたしが狙ってたやつだぞ!」

マミ「同じのが貴女の目の前にあるじゃない!?」

マミ「なんでわざわざ遠い所にある物を狙うのよ!?」

杏子「それが美味しそうだったんだから仕方ないだろ!」

さやか「うぉおお!うめぇ!!」

まどか「本当だ!とっても美味しい!」

仁美「こちらのケーキも美味しいですわよ」

ほむら(私ってそんなに貧相な体つきに見えるのかしら……)

ほむら(まぁ…マミに比べたら慎ましい体つきかも知れないけど……はぁ……)

杏子「はぁ~食った食った!」

ほむら「食べたことだし、教室に戻りましょうか」

まどか「もうそろそろお昼休みも終わるもんね」

ほむら「私は杏子の脱出を手伝うから、先に戻ってて良いわよ」

マミ「分かったわ。それじゃあね佐倉さん」

さやか「またなー杏子」

仁美「またお会いしましょう杏子さん」

まどか「ばいばい杏子ちゃん」

杏子「おう、じゃーな」

まどか達が屋上から出て行く。

ほむら「さてと……」

ほむらは変身して空の重箱を仕舞う。

杏子「相変わらず便利な盾だな」

ほむら「ええ、正直この能力が使えなくなったら、絶望で魔女化する自信があるわ」

杏子「そこまで言うか……」

ほむら「それはそうと貴女には夕方まで、風見野で魔女を狩ってくれないかしら?」

杏子「別に良いが、なんで急に風見野なんだ?」

ほむら「なるべくグリーフシードか欲しいのよ」

ほむら「私達は放課後から探索するから、あんまり遠くには行けないから」

ほむら「隣町は時間に余裕がある貴女に任せたいの」

ほむら「勿論、貴女の命が大事だから、もし危ない場合は私達を呼んで」

ほむら「授業中でも行くわ」

杏子「おう、でも連絡手段がないぞ」

ほむら「私の携帯を貸すわ」

ほむら「マミの番号が入ってるから、もしなんかあったらそこに連絡して」

杏子「ありがとなほむら。それじゃあ、そろそろ行くわ」

ほむら「分かったわ。流石に飛び降りる訳にもいかないから、ロープを出すわ」

ほむらが盾の中に手を入れる。

杏子「ロープなんて入れてて何に使うんだよ」

ほむら「もしもの時の為よ……っとあったわ」

ほむらの盾から、綱引きで使うようなしっかりとした綱がでてきた。

杏子(ロープ…なのかそれ?)

ほむら「これを下まで垂らすから、貴女は滑り降りてくれれば良いわ」

杏子「ああ…ありがとう」

ほむら「気を付けてね杏子」

杏子「分かってるよ」

杏子「んじゃ、行ってきまーす!」

学校から出ていった杏子を見送ったほむらは、教室に戻った。

そして午後の授業は終わり、放課後を迎えた。

まどか「ほむらちゃん帰ろ!」

ほむら「ええ 、分かったわ」

ほむら「あれ?仁美はどこに行ったの?」

さやか「仁美ならお稽古があるって言って、先に帰ったよ」

ほむら「そう…仁美も大変なのね」

ほむら「私達もマミ待ってることだし、いきましょうか」

まどか「うん!」

ほむら達は、マミとの待ち合わせの場に移動した。

ほむら「マミはまだ来てないようね」

まどか「マミさん上級生だし、何かあるんだよきっと」

待ち合わせの場所で数分待っていると、マミの姿が見えた。

さやか「おっ!マミさん来たよ!」

マミ「あら?待たしちゃったかしら?」

ほむら「いいえ、私達もさっき来たところよ」

マミ「それは良かったわ」

ほむら「それより今日は、昨日逃がした魔女を追うわよ」

マミ「分かったわ!」

マミ「それで、鹿目さん達も連れていくのかしら?」

ほむら「勿論よ。魔女がどんなもんか見せておきたいしね」

ほむら「本来なら危険だから連れていきたくはないけど、魔女を知ってもらうにはこの手しかないのよ」

マミ「分かったわ。早速、始めましょうか!」

ほむら「お願いするわね」

マミとほむらがソウルジェムの光を頼りに歩き出す。

マミ「こっちに反応があるわね」

ほむら「ええ、この反応は昨日の魔女ね」

さやか「どうしようまどか……私達、武器持ってないよ」

まどか「大丈夫だよ。ほむらちゃん達が守ってくれるよ」

ほむら達の少し後ろで、二人は震えながら歩いてる。

マミ「この辺りね……」

ほむら「!?マミ!!上!!」

マミが上を見上げると、屋上から飛び降りようとするOLが居た。

マミ「いけない!!」

OLが屋上から飛び降りると同時に、黄色いリボンが彼女を受け止め、最悪の結末を回避した。

ほむら「ナイスキャッチよマミ」

マミ「ええ、でも少しでも遅れていたらと思うと……」

ほむら「そうね…間に合って良かったわ」

さやか「なにこれ?OLの首に変なマークが……」

ほむら「これは魔女の口づけね」

まどか「魔女の口づけって?」

ほむら「魔女の口づけは、魔女に狙われた証」

マミ「そして、口づけを受けた人は自殺をしたり、魔女に取り込まれてしまうの」

さやか「怖っ!?」

ほむら「彼女は気を失ってるみたいだから、ここに寝かせて先に進みましょう」

マミ「ええ、早く倒さないと他にも犠牲者が、出てしまうかもしれないものね」

現実とは異なる空間が辺りを埋め尽くす。

そして、使い魔達が既にほむら達の周りを取り囲んでいた。

マミ「なるほど、随分なご挨拶の様ね」

さやか「いやいや!!ふざけてる場合じゃないですよこれ!?」

まどか「私……怖いよ~……」

ほむら「なら私の後ろに隠れてなさい」

まどか「ありがとうほむらちゃん!」

さやか「ありがとうほむらちゃん!」

マミ「ありがとうほむらちゃん!」

まどかの他にも、さやかとマミが後ろから抱きついてくる。

ほむら「さやかは未だしも、マミふざけてるとお仕置きするわよ」

マミ「えー…使い魔ならもう終わってるから良いじゃん!」

いつの間にか、使い魔達はリボンに拘束され、そのまま絞め殺された。

さやか「おおぅ…全部潰れたよ……

まどか「うぅ…見なきゃ良かった……」

ほむら「なにも絞め殺さなくても、他にやり方があったでしょうに……」

マミ「使い魔倒して引かれるなんて初体験!?」

ほむら「ふざけてないで行くわよ」

マミ「折角良いとこ見せたのにな~」

ほむら「それなら、マスケット銃でパンパン撃ってた方が、良かったと思うわよ」

ほむら「浮かれてると早死にするわよ」

マミ「浮かれたって良いじゃない!」

マミ「魔法少女の仲間に不仲だった佐倉さんの和解」

マミ「それに、魔法少女に理解のある友達」

マミ「これって魔法少女にとっては、とーっても恵まれてるのよ」

マミ「だから、一分一秒でも多くそんな時間を過ごしたいのよ」

さやか「マミさん……」

ほむら「それなら、一分一秒でも早く魔女を倒しなさいよ」

ほむら「魔法少女でも死の危険がある結界内で、一般人までいるのに」

マミ「まぁまぁ、私がサクッと魔女を倒しちゃうから」

マミ「暁美さんは二人を守ってて!」

ほむら達は魔女の所にたどり着く。

ほむら「はぁ…へましないようにねマミ」

マミ「分かってるわ!」

マミは魔女の元へと跳んだ。

ほむら「見てなさいまどか、さやか。魔女と魔法少女の戦いを」

マミはマスケット銃を召喚する。

マミ「すぐに楽にしてあげるからね……」

マミは召喚したマスケット銃を魔女に向けて撃つ。

魔女「 !? 」

椅子に座っていた魔女が勢いよく飛び上がり、弾丸を避ける。

マミ「図体の割には速いのね……なら!!」

マミはマスケット銃を大量に出し、撃っては次のに持ち変え絶え間なく撃ち続ける。

しかし、魔女は弾丸を避け続ける。

まどか「マミさん頑張って!!」

さやか「いっけー!!マミさん!!」

マミ(鹿目さん達ったらあんなに大声出して……)

マミ(これ以上カッコ悪い所見せられないわね)

後ろから飛び掛かってきた使い魔を、使い終わったマスケット銃で打ち飛ばし、マスケット銃を投げ槍の様に投げ倒す。

魔女「!?!!!?!!!?!!」

使い魔を倒したと同時に、逃げ回っていた魔女は逃げるのを止めた。

魔女は怒りを顕にし、物凄いスピードで触手を伸ばしてくる。

マミ「速い!?でも一本だけなら!!」

触手を避けたマミはマスケット銃を魔女に向けるが、何かによって弾かれてしまう。

マミ「なっ!?銃が!!」

マミはマスケット銃を召喚しようとするが、次々と触手が襲い掛かってきてマスケット銃を召喚する隙を与えない。

マミ「なかなかやるわね」

マミは触手を掻い潜りながら隙を伺う。

魔女「!!!!!!」

触手が当たらない苛立ちからか、魔女が触手をまとめて伸ばしてきた。

マミはそれを避けると、マスケット銃を取り出した。

マミ「そろそろ終わらせる……なっ!?」

照準を魔女に合わせると同時に、地面から触手が飛び出しマミを捕まえた。

そして、触手は大きくうねりマミを壁に叩き付ける。

マミ「うっ!!」

マミ「これはなかなか効くわね…」

巻き付いている触手を引きちぎろうとするがびくともせず、マスケット銃も取り出せないで居た。

何もかもが止まった世界。

魔女の触手があと数メートルでマミに刺さろうとしている。

マミは泣き顔で笑っていたまま止まっている。

もう少し自分が早く時間を止めていれば、躊躇しなければマミに怖い思いをさせることはなかった。

QBに能力がばれることを恐れ、マミを見殺しにしかけた自分自身が憤ろしい。

ほむらは怒りで強く握り締められた右手を開く。

握りすぎたせいか血が流れ落ちていたが、ほむらは気にせずに手を開いたまま上げる。

ほむら「もう迷わない。QBに能力が知られたって良い」

ほむら「QBが何を仕掛けてきても構わない、この手で振り払ってやる」

ほむら「絶対に誰も死なせるものか!!」

ほむらが右手を勢いよく降り下ろす。

降り下ろされた腕の延長線上の触手は全て切り落とされ、触手は時間停止により宙に浮いている。

その奥にそびえている結界の壁は、大きく深い切り傷ができ破片が飛び散った状態で止まっている。

ほむらはマミの元に向かう。

ほむら「待たせたわねマミ」
まマミの体に巻き付いた触手を右手で切り払い、お姫様抱っこでまどか達の元に戻る。

そして時間停止を解除する。

触手がばらばらと落ち、壁を削る轟音が鳴り響く。

マミ「キャッ!?」

マミ「って私生きてる……?」

まどか・さやか「マミさん!!」

マミ「えっ?えっ?私、暁美さんにお姫様抱っこされてるの!?」

腕の中でマミは狼狽えている。

そんな姿にほむらは笑ってしまう。

マミ「暁美さん?」

ほむら「何でもないわ…あの魔女は強いから一緒に倒しましょうか」

マミ「ええ…分かったわ」

マミ「取り敢えず、お姫様抱っこは恥ずかしいから下ろしてくれると嬉しいわ」

ほむら「ふふふ…そうね」

ほむらは笑いながらマミを下ろす。

マミ「ありがとうね暁美さん」

ほむら「お礼は後で良いわ。魔女が再生してきてるから、さっさと倒しちゃいましょ」

マミ「ええ、そうね!!」

マミはマスケット銃を取りだし構える。

ほむら「奴はスピードがあるから私が引き付けるわ」

マミ「分かったわ。あの様子ではリボンで縛り付けても数秒しか持たないでしょうから、必要な時に言ってね」

ほむら「頼むわね」

ほむらが魔女の元に飛び降りる。

そこには完全に元に戻っただけでなく、前より明らかに強くなった魔女がほむらを睨み付けていた。

ほむら「さぁ始めましょうか」

まずはほむらが魔女に向けて右手を降り下ろす。

しかし、魔女はそれを大量の触手で防ぐ。

ほむら「むっ……触手が固くなってる」

ほむらがもう一度右手を降り下ろそうとする。

魔女「!!!!」

それよりも早く触手がほむらに襲いかかり、上に飛び回避する。

ほむら「固いし速いし多いし厄介な触手ね」

空中にいるほむらに新たな触手が襲い掛かる。

ほむら「またしても!」

だが、銃声と共に触手は弾け飛び失敗に終わる。

マミ「援護射撃は任せて!」

ほむら「ありがとうマミ!」

ほむらは右手を降り下ろす。

だが、結界の壁は削れるものの、魔女はガードしていて傷一つつかない。

マミもガードしている触手に撃ち込んでいるが、弾は弾かれている。

ほむら(困ったわね……あの状態ではリボンで拘束しても、意味が無いだろうし……)

ほむら(一か八か殴ってみようかしら……今の力なら多少は効く筈)

ほむらは魔女の元に走り始める。

それをよしとしない魔女は、ほむらを貫こうと触手を大量に繰り出す。

マミ「暁美さんの邪魔はさせないわ」

マミはほむらに迫る触手を正確に撃ち抜く。

マミ「攻撃してくる触手は軟らかいままなのね……」

ほむらが魔女の目とはなの先まで詰め寄る。

魔女は攻撃を一旦止め、全ての触手を防御に回す。

ほむら「ガード上からでも!!」

ほむらはおもいっきり魔女を殴る。

その速さは音にも勝るに劣らず、威力も自分の想像を遥かに上回った。


かし、ほむらはそんなことには気にも止めず何度も何度も繰り返し殴った。

ほむらが殴りはじめてから、殴り終わるまで約1秒。

なんとその1秒間の間に、ほむらは15発ものパンチを魔女に与えていた。

ほむら「我ながらよく打ち込めたわね」

ほむら「まだそんな気力があるのね」

ほむらは右手を軽く降り下ろす。

出てきた触手は全て切り落とされ、魔女は遂に地に落ちる。

ほむら「やっとこさね」

ほむらは肩を回しながら魔女の元に歩いていく。

魔女はもう飛ぶ程の力も無いのか、ただただ身を丸くしている。

ほむら(ん?何か変ね……まさか!?)

ほむらはあることに気付く。

魔女の傷が治ってることに。

ほむら(くっ……回復するなんて!?)

魔女「アアアアア!!」

魔女が突然叫びだす。

ほむら「なっ!?足が!?」

ほむらの足にいつの間にか触手が巻き付き、しっかりと地面に固定されていた。

ほむら「こんなもの!!」

ほむらが右手を触手に向かって降るも、薄皮を切る程度で切断には至らない。

ほむら(右手の切り裂き対策は完璧)されてしまった様ね、だからと言ってパンチを打ち込んだとしても、ダメージが私の所にまで来てしまうし……)

触手が切れず無防備なほむらを魔女は見逃す筈もなく、彼女に向かって物凄い勢いで飛ぶ。

マミ「私の事を忘れちゃ嫌よ」

ほむらと魔女の丁度中間位に、リボンが蜘蛛の巣の様に展開する。

魔女「!!!!」

既に飛んだ魔女は自分の力では止まることが出来ず、マミが展開したリボンに呆気なく突っ込む。

ほむら(流石はマミね!……って魔女まだこっちに来てるのだけど!?)

魔女はリボンに阻まれても尚、ほむらの元へ飛び続け。

ほむら(やばいやばいやばいやばい!!)

ほむらと数cmの所で魔女は止まった。

ほむら(ほっ……危なかったわ)

マミ「止まったわね」

マミ「貴女のような馬鹿力には、抑え込むことは難しい」

マミ「だからその力を利用させてもらうわよ」

限界まで伸びたリボンが魔女を連れ急速に戻って行く。

魔女「っ!?!?」

魔女は勢いよく壁に叩き付けられ怯む。

ほむら「今がチャンスの様ね」

ほむらは緩んだ触手を強引に引き千切り、魔女の元へ駆け出す。

ただ、魔女もそれを黙って見ている筈もなく、再び飛び掛かろうとするがマミも黙って見てはいなかった。

マミ「残念だけど貴女はもう、一歩たりとも動くことは出来ないわ」

魔女が気付いたときには既に、体の至るところにリボンが巻き付けられていた。

マミ「貴女がどんなに馬鹿力だろうが、この特別なリボンからは逃げられないわ」

マミ「暁美さん最後は任せたわよ!」

ほむら「えぇ、勿論!」

ほむら「これで終わりよ!!」

ほむらが魔女を殴る。

その数、一瞬にして18発。

ほむら「くっ……明日は筋肉痛になりそうね」

破裂音が響く中ほむらは地べたに座り込む。

ほむら「まぁ、魔女を倒して筋肉痛だけならよしね」

18回目の破裂音と共に魔女が弾け飛ぶ。

マミ「やったわね暁美さん」

横には既にマミが、その後ろにはまどかとさやかが居た。

ほむら「ええ、そうね」

ほむらは足元に転がってきたグリーフシードを拾い、立ち上がる。

ほむら「それじゃ帰りましょうか」

ほむら達は崩れ行く結界から抜け出し、その場を後にした。

スーパーに寄り夕飯の買い物を済ませたほむら達は、雑談を交えながら家に帰宅した。

ほむら「ふぅ……やっと帰って来れたわね」

マミ「あれ?佐倉さんは?」

ほむら「杏子なら隣町の方に行ってもらってるけど…少し遅いわね」

ほむらとマミの頭の中で今日の魔女が思い出され、不安がよぎる。

まどか「だ、大丈夫ですよきっと!」

さやか「そうそう、杏子みたいな野蛮人はそうそうと死にませんって!」

着いてきていたまどかとさやかが、ほむら達を励ます。

ほむら(野蛮人って……)

杏子「誰が野蛮人だって?おっ?」

ほむら「杏子!?」

杏子「ったく…本当ならボコしてやったところだが、今日だけは許してやるよ」

ほむら「!?酷い怪我をしてるじゃない!!」

杏子は身体中傷だらけで頭からも血が止めどなく流れていた。

杏子「ああ…ちっとドジっちまってな」

杏子「白と黒の魔法少女が助けてくれたからなんとかこの程度で済んだが」

杏子「今までの魔女と比べても、遥かに強かった」

マミ「そんなことより治療するから早く!!」

杏子「わりーなマミ」

杏子「おっと、使い掛けだがこれがその魔女のグリーフシードだ」

杏子から使い掛けのグリーフシードを受け取る。

使い掛けと言う割にはグリーフシードは綺麗なままだった。

ほむら「杏子?その2人はグリーフシードを使わなかったの?」

杏子「いや、あたし達3人共グリーフシードを使ったぜ」

ほむら「なら何故……」

QB「その事なら僕から話そう」

いつの間にかQBがテーブルの上に座っていた。

ほむら「QB貴方が魔女に何かしたのね」

QB「まぁ、間違いでは無いね」

マミ「QB?いったい魔女に何をしたの?」

QB「簡単な話さ」

QB「ほむらのもつ特殊な細胞。グルメ細胞を魔女にも植え付けただけさ」

ほむら「!?」

まどか「グルメ細胞?」

さやか「ほむらが持ってるの?」

杏子「お前らには後で説明してやるよ」

杏子「それよりもだ」

マミ「QB?そのグルメ細胞はどこで手に入れたの?」

杏子「後、植え付けたってのもきになるな」

QB「細胞をどこで回収したかについては、ほむらの至るところの細胞回調べて収させてもらったよ」

マミ「どっ……どうやって?」

QB「?マミも変なことを聞くね」

QB「当然、なめキュップイ!!」

QBは既にテーブルの上から消え、壁に頭がつぶれた状態で張り付いていた。

ほむら「ハァ!!ハァ!!……」

杏子「あれだほむら……ドンマイ」

QB「酷いなほむらは」

ほむら「あなたはこの話が終わったら、この家には出入り禁止にさせて貰うわ」

ほむら「もし無断で入ってきたら即潰すわ」

QB「ふむ……嫌われたもんだね」

QB「何故嫌われたか、到底理解できないよ」

全員((その位は理解しろよ……))

QB「とりあえず、グルメ細胞は全ての魔女に移植されたよ」

ほむら「移植とは言うけど、魔女って生き物なのかしら?」

マミ「そうよね…魔女の中には明らかに生物と言うよりは機械寄りのも、見たことあるし」

QB「君達は魔女が魔法少女から産まれることを忘れたのかい?」

QB「そもそも、僕たちの技術力で君達を魔法少女にしているけど」

QB「使っている素材は君達の物だから、魔女だって君達と同じ生物じゃないか」

杏子「でもよー、魔女はグリーフシードから産まれるんだぜ?」

杏子「とても人間と一緒とは思えねーよ」

QB「確かに人間は女性から産まれるものだが、僕たちにとっては卵から産まれるのも、子宮から出てくるのもたいした違いではないと認識しているよ」

ほむら「もう良いわ」

ほむら「つまりは、魔女達にもグルメ細胞を入れて、グリーフシードの使える回数が増えた代わりに魔女も強くなったわけね」

ほむら「ワルプルギスの夜も同様にね」

マミ・杏子「っ!?」

QB「ご名答だよ暁美ほむら」

ほむら「どうやってワルプルギスの夜に細胞を植え付けたか知らないけど、厄介なことをしてくれたわねQB」

マミ「ワルプルギスの夜って確か、一夜で国を滅ぼしたとも言われているのよね?」

ほむら「ええ、ワルプルギスの夜は規格外の強さよ」

杏子「おいおい…そいつが更にパワーアップしたんだろ?勝てんのかそんなやつに」

ほむら「勝てるかではないわ 」

ほむら「勝たなければ町程度の騒ぎでは済まされない」

ほむら「日本……いや世界中が滅びることになるわ」

ほむら「勿論、こうなってしまった以上はさやか、まどか、貴女達が契約しても無意味よ」

さやか「なっ!?なんのことかな~」

まどか「うん!!私たち契約しないよっ!?」

ほむら「まったく……貴女達が今更契約しても、初心者が生き残れる世界じゃ無くなったの」

ほむら「私達ベテランですら、ただの魔女に一人では勝てないまでに強化されてしまったの」

杏子「そうだな、たとえまどかがどんなに途方もない力が有ろうが、当たらなければ敵は死なねえ」

杏子「ベテランの魔法少女ですら、攻撃を与えるのに苦労するんだ」

杏子「お前らが魔法少女になったところで、お荷物が増えるだけだ」

さやか「そんなっ!?」

まどか「マミさん…!!」

マミ「ごめんなさいね鹿目さん。私も二人の意見に賛成だわ」

マミ「私達が苦戦する相手が、初心者の手に負える相手では無いもの」

まどか「マミさんまで……」

ほむら「とりあえず、貴女達二人は契約しないこと!」

ほむら「私は夕飯の仕度をしちゃうわね、貴女達寛いでて」

ほむらは立ち上がりQBを窓から放り投げた後、台所に向かった。

QB「わけがわからないよ~……キュプッ!?」

QBの断末魔を四人は聞こえないふりをした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月06日 (日) 20:10:46   ID: Dtgn-60N

これじゃあ完全にトリコじゃないか

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