憧「真夜中2時すぎ」 (20)

晴絵「それでは、我々阿知賀女子の健闘を祈って」

一同「かんぱーい!」チンッ


晴絵「灼、どうだった抽選は。緊張した?」

灼「緊張、は特にしなかったけど……」

穏乃「さすが灼さん!」

憧「やっぱり部長だねえ」

玄「灼ちゃんにしか出来ない役だったねっ!」

灼「だからおおげさ……」

灼「……まあでも」

灼「実感、は湧いてきた。全国に来たんだ、っていう」

憧「うん」

宥「そうだねー」


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玄「それに、なんだか怖い人もいたし……」

憧「あー、清澄の」

穏乃「宮永、咲……!」

玄「全国にはあんなヒトがごろごろいるのかな」ガクガク

宥「うぅ……」


晴絵「まあ、いるかも知れないね」

晴絵「でも考えてたってどうしようもない、結局は戦うことになるんだから。景気づけて行かないとね」

穏乃「そのための決起集会ですもんね!」

晴絵「そういうこと」ニヤッ

玄「そうですね……がんばらなきゃ!」

憧「和のところと当たるまではぐずぐずしてられないしね」

玄「そうだね。決勝まで行かないとだね!」

憧「もちろん!」

晴絵「そういうわけで、今日の皆の飲み物はウーロンハイにしておいた。景気づけしないとね」ニヤッ

憧「う、うそっ!?」ガタッ

宥「ウーロンハイ……?」

晴絵「焼酎をウーロン茶で割ったお酒さ」

憧「し、信じられない!なんでそんなコト……!」

晴絵「気持ちを昂らせる時に大人は酒を飲むんだよ」ニヤニヤ

憧「……!」

憧「ちょ、ちょっとトイレ……!」スタタタ

灼「……」ゴクゴク

灼「いや、これ普通にウーロン茶……」

玄「あっ、やっぱりそうだよねー。違いが分からなかったもん」

穏乃「そうか、それによく考えたら赤土さんがそんな事するわけない!」

晴絵「ま、いちおう教師だしね」

宥「ど、どうしてこんな……」

晴絵「ちょっと皆のリアクションを見てみたかったのさ」ニヤッ

灼「ハルちゃん、タチわる……」

玄「びっくりしました……」

晴絵「いや、ごめんごめん」テヘッ

晴絵「ま、誰も引っかからなかったからリアクションも何もないわけだけど」

晴絵「……ん?」

憧「……」スタスタスタ

穏乃「憧……?」

憧「ハルエ!あんたなんてことすんろよー!」

晴絵「!」

穏乃「ちょ、憧!」

憧「こーこーせーにおさけのませるなんてありえらいわよ!」ヒック

灼「これは……」

玄「憧ちゃん、あれがお酒だと信じ込んじゃってる」

晴絵「ありゃりゃ」

穏乃「落ち着け憧!これはお酒じゃない!」

憧「なにいってんのしず!あんたものんじゃったなら「どうざい」よ「どうざい」!みせいねんがおさけのんじゃだめなんだからねー!」ヘラヘラ

穏乃「憧……」

宥「憧ちゃん、ほんとの酔っぱらいみたい……」

晴絵「ふふっ、憧は純粋だねえ」

灼「ちょっと度がすぎ……」

晴絵「しず。明日も早いからもう憧を寝かしつけてやって」

穏乃「そ、そうですね」

穏乃「ほら、憧!行くよ」

憧「うるさいー!しずー!」バタバタ

穏乃「わかった、わかったから……」ズルズル

宥「憧ちゃん、大丈夫かな……」

玄「しずちゃんがついてるから大丈夫だよ」

晴絵「ちょっといたずらが過ぎたかな」

灼「反省して……」

晴絵「すいません」テヘッ

晴絵「……さ、私達もお開きにしようか!本当に明日も早いしね」

玄「そうですね」

灼「うん……」

宥「はい」

晴絵「玄。一応、明日ミーティングの前にふたりの部屋に寄ってみて。寝てたら起こして連れてきて」

玄「わかりました」

晴絵「それじゃあまた明日。今日はお疲れさん」

一同「はいっ!」

穏乃「もうー、しっかりしてよー」

憧「うるふぁい!ひっかりひてるわよ!」ヒック

穏乃「部屋着いたよ。ほら、歩いた歩いた」

憧「ベッドーベッドまでつれてってー」

穏乃「まったく……」ズルズル

穏乃「ほい、ベッドだよ!」ドサッ

憧「ちょっとー!もっとやさしくおろひてよー!」バタバタ

穏乃「もう寝るよ?明日も早いんだから」

穏乃「ほら、ちゃんとシーツかぶって」パサッ

憧「!」ドキッ

憧「なっ……じ、じぶんでできたわよこれくらいー!」ドキドキ

穏乃「そりゃそうだよ……」ハァ

穏乃「じゃ、電気消すよ?」

憧「い、いいわよ……」

穏乃「よし」パチッ

穏乃「じゃおやすみ。また明日!」ガバッ

憧(……)

憧(ね、寝れない……)

憧(酔いはまったく抜けないし、やけに目が冴えちゃってる)

憧(そ、それにこの状況……)


穏乃「」グオーッ


憧(し……しずとふたりっきりじゃないの……!)カァァァ


憧「」ドクン


憧(な、何!?この感じ……!)

憧(……)ドクン

憧(……)ドクンドクン

憧(……)

憧(そ、そりゃしずと一緒の部屋なんて正直……嬉しかったけど……)カァァァ

憧(だからと言って昨日は全然意識しないように出来たのに……なんなの、お酒のせい?)

憧(ハルエ、ほんとに許さないんだから……!)

穏乃「」グオーッ


憧(……)

憧(ダメだ。どうにかして寝よう)ガバッ

憧(……)

憧(……)

憧(ほ、ほんとに寝れない……)

憧(そうだ、羊数えてみようかな)ハッ

憧(正直効果あると思わないけど……なんでもやってみなくちゃ)

憧(えーと、羊が一匹、羊が二匹……)

憧(……)

憧(……)

憧(……ダメ!ぜんぜん無理!)ガバッ


憧(……)チラッ


穏乃「」グオーッ


憧(……)

憧(しず……)ドクン

憧(……)ドクン

憧(ま、またこの感じ……)ドクンドクン

憧(……)ドクン

憧(な、なんでこんなドキドキしてんの……わけわかんない)

憧(いや、なんでってそりゃそういうことなんだけど、でも)

憧(……)ドクン

憧(こんなとき、しずならどうするだろう……)

憧(しずはいつも突拍子もない行動に出るからな)

憧(きっとこんな状況でも、しずならわけのわからないことをするのかな……)

憧(……私は、どうしたいんだろう)

憧(……)

憧(……)ドクン

憧(……ああーもうわけわかんない!)

憧「しず!」ガバッ

憧「しず!起きて!」ユサユサ

穏乃「んあ……」

憧「しず!」

穏乃「なにー……どうしたの……」

憧「星見に行こう!星!」

穏乃「えー……?もう夜中だよ……?」ボケーッ

憧「いいから!」グイッ

穏乃「ちょ、まっ……」

………

……




穏乃「もうーいつまで酔っ払いなんだよー」

憧「いやー、やっぱ夜中だと綺麗に見えるわ」

穏乃「眠いよー戻ろうよー」

憧「しずも顔上げて、見てみなよ」

穏乃「ん……」

穏乃「!」

憧「でしょー?」

穏乃「すごい……思ってたより全然綺麗に見える」

憧「でしょでしょー?」エッヘン

穏乃「えらそーだなー」

穏乃「……でも、確かに綺麗だ。都会の夜景も馬鹿に出来ないかも」

憧「ふふ……」

憧「……」

憧「……」ドクン

穏乃「でも」

憧「?」

穏乃「こんな時間に外に出てふたりで星を見てるなんて、私達カップルか何か?」ニヤニヤ


憧「……!」


穏乃「なんてね」

憧(……)

憧(……ダメ)

憧「いいじゃない、別に」

穏乃「?」

憧(それじゃダメ)

憧「そんな風に見えてもいいじゃない」

穏乃「あ、憧……?」

憧(『みたい』じゃ、足りない)

憧「だって私は」

憧(ほんとじゃなきゃ)

憧「……私は」



憧「私はしずが好きなんだから!カップルに見えたって良いでしょ!問題ある!?」



穏乃「!?」

憧「……」

憧「」ヒック

穏乃「……憧、まだ酔ってるのか」

憧「う、うるさい!ぜんぜんよってなんか……」フラフラ

穏乃「わかった。わかったから、戻ろう?」

憧「うぅ……」ヒック

憧「……!」ハッ

憧(うそ……あたししずに何言って……!)ガバッ

憧「……しず」


穏乃「」スースー


憧(……夢)

憧(なのかな……)


穏乃「」スースー


…………

……


玄「おはよー!あと5分でミーティングだよっ」

憧「おわーまじだ、シャワーあびらんない」

穏乃「なに……ここどこ……」

憧「ホテルだよ東京の」

穏乃「……」

穏乃「インハイだ!」

憧「忘れちゃだめそれ!」


憧(……)ドキドキ

憧(しずはいつもの調子みたいだ)

憧(やっぱり、あれは夢だった……のかな?)

憧(でもしずが特に動じてないから……きっと、そうだったんだよ……ね)ホッ




穏乃「……」


穏乃(……)ドクン




カンッ

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