後輩「……どんな人なんですか」ﾄﾞﾖﾝ

男「お、おう？　知りたい？」

後輩「教えてください」

男「えーと……口が悪くて、背は高くて、胸は小さい……かな」

後輩「私とは正反対ってことですか。そんな……先輩のバカー！」ﾀﾀﾀｯ

男「まあほんとは彼女なんていないんだけどな……って、人のこと馬鹿呼ばわりして走っていきやがった……」

――翌日

後輩「おっす男ァ！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

男「お？　この声は後輩か。おは……!?」

後輩「ンだァ？　人のことじろじろ見やがって」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

男「どしたんその口調。それに何それ厚底ブーツ？　胸もサラシ巻いてんの？」

後輩「ちがいますゥ！　口調はもともとこンなだし背は伸びたし胸は縮ンだンですゥ！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ　ﾌｩﾌｩ

男「いやいやいやいや」


みたいなね

つづけてぇ

後輩「どうして今まで黙ってたんですか！」

男「いう理由がないからね」

後輩「そんな！ひどいです先輩、私はもう生きて行けません！」

男「そう」

後輩「いいんですか！私自殺しちゃいますよ！」

男「そう」

後輩「信じてないですね！私は本気ですよ！」

男「そう」


後輩「…… 」




後輩「どうしてそんなに冷たくするんですか！」

男「毎日毎日同じようなこといってたらそりゃあ……」

後輩「まったく、ダメですね先輩は」

男「そうだね」

後輩「そうですダメダメです、まずその空返事を治すことから始めないとですね」

男「そうだね」

後輩「聞いてますか先輩」

男「そうだね」

後輩「……」



後輩「まったく、本当にダメダメですね先輩は。仕方ないので私が矯正してあげることにしました」

男「そうだね」

後輩「それにはまず、先輩の実生活から見直す必要がありますね」

男「そうだね」

後輩「だから今から先輩の家n男「だめ」

後輩「……聞いてるじゃないですか！」

後輩「……それで、その…先輩の彼女のことですが……」

男「ああそれ、嘘だよ」

後輩「……何故さらっと嘘を言うんですか！嘘を！」

男「ごめんね」


後輩「………少しほっとしたの同時に先輩の私との会話へのやる気のなさで泣きそうになってきました」

男「ごめんね」

後輩「……本当に反省してますか」

男「してないよ」


後輩「……」ｹﾞｼｯ

男「痛あぁっ！？」

後輩「これはまずいですね先輩、手遅れになる前に本当に矯正が必要なようです」ｹﾞｼｹﾞｼ

男「いた……いたい、痛すぎるよ後輩ちゃん」

後輩「知りません、先輩がちゃんと反省して私の話を聞いてくれるまでは」

男「ごめん！あやまる！あやまるからもうやめて！」

後輩「だめですね、今までこのパターンを何度繰り返してきたことか、先輩もよくご存知でしょう」

男「本当だよ！本当にもうしないから！これが最後だから！もう許して！」


後輩「……もう、仕方ないですね」

男「それにしても、もう12月か……ついこの間後輩ちゃんが入学してきたような気がするんだけど、時が流れるのは早いね」

後輩「唐突に話題を変更してきましたね、別にいいですが、ちゃんと話す気になってくれたのなら」

男「もう時期人類も滅亡しちゃうんだね」

後輩「何いきなり物騒なこと言い始めてるんですか先輩、滅びませんよ。先輩はそういうのを信じる派ですか」

男「夢があっていいじゃないか、多分滅亡を願ってやまない人たちはたくさんいると思うよ、この学校にも」

後輩「いやいやいや、そんな自ら進んで死にたがるようなことを誰が……」

男「あれ？さっき後輩ちゃん自殺するとかなんとか……」

後輩「しないですよ！っていうかちゃんと聞いてるじゃないですか！」

男「はは、まあ僕も滅亡説を願ってやまない人たちの一人なんだけどね」


後輩「そんな……先輩、そんなに辛い思いを……私が慰めてあげます」



男「冗談だけどね」

後輩「分かってましたけどね」

男「相変わらず暇だね」

後輩「二人だけですからね、まあ私はその方がいいし暇じゃないですが」

男「え？」

後輩「だ、だから人が入ってきたらまともに活動しなきゃいけなくなるかもしれないじゃないですか」

男「やる気なしだね」

後輩「先輩は活動したいんですか？」

男「いいや、別に」

後輩「先輩もやる気ないじゃないですか、どうしてこんな所に……」

男「生徒会の勧誘から逃れるためだよ、そのためにここを立ち上げたんだ」

後輩「まさか、ここにそんなやる気のない生い立ちがあったとは……」

後輩「となると、この名前のチョイスは人を寄せ付けないためですか、楽するために」

男「よくわかったね、こんなの普通だれも寄って来ようなんて思わないよ」


男「壁殴り代行同好会」

後輩「よく、学校に許可もらえましたね、そんな名前で」

男「生徒会の友達に頼んだだけだよ、この学校、部活や同好会がものすごく多いから先生もこんな同好会知らないんじゃないかな」

後輩「え……大丈夫なんですか？結構大きく廊下に名前書いちゃってますが……」

男「そうしないと間違えて人が寄ってきちゃうかもしれないじゃないか」

後輩「でもこんなのすぐに先生に見つかるんじゃ……」

男「大丈夫だよ。ここは旧校舎、それに三階。完全に物置と化しているこんな所に人なんてそうそうこないよ」

後輩「それもそうですね」

男「まあ、万が一ここが見つけられて潰されてもまた新しい同好会作るからノープロブレム」

後輩「こんな同好会もあるくらいだし探せば、もっと訳の分からない部活や同好会が見つかりそうですね」

男「そうだね、探さないけど」

後輩「私も先輩とこうして話してる方がいいですね」

男「ん、そろそろ帰ろうかな」

後輩「うわ、いつの間にこんなに暗く……この時期は暗くなるのが早いですね」

男「そうだね。よいしょっと」ｶﾞﾀｯ


ｶﾞﾗﾗｯ

後輩「う、さむっ！ちょっと昼と気温変わりすぎじゃないですかこれ」

男「ほんとだ、まあ僕はマフラー持ってるからいいけど」

後輩「へえ」ｼﾞｰｯ

男「備えあれば憂いなしってね」

後輩「朝からは想像もできないような寒さですしね｣ｼﾞｰｯ

男「こんなこともあろうかと、常にバッグの中にマフラーを忍ばせておいたんだ」

後輩「……」ｼﾞｰｯ

男「……」

男「か……貸せと？」

後輩「半分正解ですが、多分半分間違いです」

男「やっぱりそうか、僕を凍死させるきなんだね。僕が寒がりだということを知りながら」

後輩「……やっぱり半分間違えでした」

後輩「……」ｼﾞｰｯ

男「ど、どうしろと…」

後輩「……」ｼﾞｰｯ


男「……」 ｵﾛｵﾛ


後輩「……本当に先輩はダメですね」 ｸﾞｲｯ

男「え？どうしたの？｣ ｵﾛﾛ

後輩「……いえ、なんでも」



男「ああ、そういうこと、後輩は甘えん坊だなー」

後輩「……」


男「一緒にマフラーに入りたかったんだね、そんなことくらい早く言ってくれれば僕は喜んでいれてあげたのに」

後輩「先輩まs……いや、それはないですね、何でもないです」

男「？」

男「ここまでだね、また明日、後輩ちゃん」

後輩「はい、さようなら先輩」

ｶﾞﾗﾗｯ

後輩「こんにちは！先輩！」

男「ん、今日も早いね」

後輩「はい！もう少しで先輩に会えると思ったら居ても立っても居られなくなって………何言わせるんですか！」 ﾊﾞｷｨｯ

男「いやあっ！？え！？なに！？どゆこと！！？？」

後輩「知りません、今日もダメダメですね先輩は」

男「僕から見ると後輩ちゃんが意味不明なんだけど、客観的に見てもそうなんじゃないかな」

後輩「さすが先輩、人類の最先端を行くダメダメさですね、もうそこから飛び降りちゃってはどうですか。私が悲しんであげますから」

男「いつになく後輩ちゃんが毒舌だ！あれ……いつものことかな？……あ」

後輩「？どうかしましたか、ダメ先輩」

男「分かったよ後輩ちゃん」

後輩「？」

男「あれでしょ、明日地球が滅亡するからそれが不安で」

後輩「またそれを掘り起こしますか、滅びませんよ。っていうか全然違います」

男「あと数時間だね、楽しみ」

後輩「何がですか？」

男「人類滅亡まで」

後輩「とことん引っ張りますね、まさか本当に滅亡するなんて信じてる訳じゃ……」

男「まさか。でも夢があると思わない？遥か昔の人が今僕たちが生きているこの時のことを予言してるなんてさ」

後輩「滅亡するのに夢も何もないと思う んですが……」

ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｯ

後輩「風強いですね、とても寒そうです」

男「あぁ、今からこの寒い中を歩いて帰らないといけないなんて考えるともう……」 ﾄﾞﾝﾖﾘ

後輩「な……そこまで暗くなるようなことですか。そんなに寒いの嫌いですか」

男「嫌いだよ、もうここから出たくないくらいにね。…………ふむ」


後輩「…先輩まさか……」

男「決めた、僕今日はここに泊まることにするよ」

後輩「……マジですか」

男「マジです」

後輩「お家と比べるとこっちの方が寒くないですか」

男「外に出るよりはマシだよ、それにね」ｺﾞｿｺﾞｿ

後輩「……」

男「ほら、寝具は完璧に揃えてあるよ」

後輩「なんと……」

後輩「でも見回りの人に見つかったらどうするんですか、隠れる場所なんてないですよこの部屋」

男「だから、ここは旧校舎、しかも三階。見回りの人もさすがにこんな所までは来ないよ」

後輩「そうでしたね……忘れてました」

後輩「……そうですか、今日先輩は学校に一人で……」

男「？どうしたの？」

後輩「ですか、ですか……なるほどなるほど…」

男「ちょっと怖いよ後輩……何をブツブツと…」

後輩「いえ、なんでもないですよ。ただ私も偶然、本当に偶然ですが今日は学校にお泊まりしたいと思ってたんですよ」

男「こ、後輩？」

後輩「偶然ですよ、なにも深い意味なんてないです」

男「…えと、お家の人が心配したりとか……」

後輩「既に友達の家に泊まると連絡済みです、準備万端、完璧です」

男「はやっ！手回すのはやっ！」

男「……はっ、そうだ後輩」

後輩「どうしましたか先輩、偶然ですよ？」

男「それはもう分かってるから……」

後輩「それで、どうしたんですか？先輩」

男「うん、それなんだけどね、後輩は寝具とか持ってきてないよね」

後輩「はい、もちろん持ってきてないですよ」

男「僕も二人分も寝具持ってきてるわけじゃないし、今回はちょっと無理じゃないかな」

後輩「……」ｼﾞｰｯ

男「な、なに？」

後輩「……」 ｼﾞｰｯ

男「………泊まりたいの？」

後輩「はい」

男「……寝るとこないよ？」

後輩「……」 ｼﾞｰｯ

男「……」

後輩「……」 ｼﾞｰｯ

男「………一緒に寝る？」

後輩「！ はい！」

男「まあいいか、後輩小さいしね」

後輩「なんですか先輩、また蹴られたいですか」

男「嘘ですごめんなさい」

男「でもいいの？後輩、お風呂とかないし歯も磨けないよ？」

後輩「不本意ですが一日だけならうがいで済ませるので大丈夫ですよ、お風呂もキャンプにでも来たと思えば一日くらいどうってことないです。それにこんな機会、もう二度とないかもしれないですし……」

男「まさか後輩ちゃんがそんなに学校にお泊まりすることに憧れてたとは」


後輩「……先輩、そんなだから皆にダメダメ言われるんですよ？」

男「後輩ちゃん以外にそんな風なことをいってくる人なんていないんだけど……」

男「………何も起きないんだけど」

後輩「え？」

男「12月21日、今日だよね」

後輩「……ああ、そういえばもう日付変わってますね。って本当に期待してたんですか」

男「まあまだ今日は始まったばかりだしね、気長に待とう」

後輩「はぁ……もう寝ませんか？」

男「そうだね」

>>27
男「まあいいか、後輩小さいしね」
を
男「まあいいか、後輩ちゃん小さいしね」
に訂正
細かいけど

後輩「…………ぱい……きて………さい」

後輩「…………ぱい」


男「んー……？」

後輩「先輩起きてください、早くしないとホームルーム始まってしまいますよ」

男「………んぁ？」

後輩「ちょ、なに寝ぼけちゃってるんですか。しっかりしてください」

男「なんてことだ……まさか僕が幻覚を見るほど後輩ちゃんのことを思っていたとは…」

後輩「え？……ひゃっ！」 ﾌﾟﾆｯ

男「あれ……触れるぞ………まずいな、僕の後輩ちゃんを思う気持ちがついに後輩ちゃん本体まで召喚してしまったのか……｣ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ

後輩「ちょ、やめて！良い加減しっかり起きてください先輩！！」

男「おお、ちゃんと話せるのか。これはすごい……｣ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ

後輩「んっ……ぁ……」ﾋﾟｸｯ

男「………」ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ

後輩「…………」ﾋﾟｸﾋﾟｸｯ

男「……」ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ

後輩「………」 ﾋﾟｸﾋﾟｸｯ

男「………｣ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ


後輩「………ってこんなことしてる場合じゃない！先輩ホントしっかりしてください！！」

男「………いやー、惜しかったね」

後輩「どこがですか、結局30分も遅刻しちゃったじゃないですか」

男「ははは、でもそういう後輩ちゃんも起きるの遅かったじゃないか。ここはお互い様ってことで」

後輩「私はちゃんと8時前には起きてましたよ！先輩が起こしても全然起きてくれないから」

男「あ、起こしててくれたの………っていやいや」

後輩「どうしたんですか？」

男「8時前から起こし始めてどうして教室に到着するのが9時過ぎるんだ。後輩ちゃん嘘ついてるだろう」

後輩「だから先輩が寝ぼけてて大変だったんですよ！8時過ぎにはもう起こしてましたよ！」

男「ますますおかしいよ、確かに僕は寝起きが良い方ではないけど、流石に一時間も起こされ続けるようなことはないよ、後輩ちゃんも寝てたんでしょ」

後輩「う……それは………」

男「？」

後輩「……いえ、やっぱりなんでもなかったです。忘れてください」

男「ところで後輩ちゃんは正月三が日空いてる？」

後輩「話題変えるの唐突すぎでしょ……一日は親戚の集まりみたいなものがあるのでそれ以外は空いてますが」

男「そっか、じゃあさ、一緒に初詣に行かない？」

後輩「え…？私が、先輩と、ですか…？」

男「そうだよ」

後輩「まさか先輩から誘ってくれるなんて、今夜は隕石でも降るんじゃないですか」

男「……後輩ちゃん、実は地球滅亡してほしいと思ってたでしょ」

後輩「まさか、それでどこにお参りに行くんですか？」

男「この学校の近くにある神社にしようと思ってるんだけど、後輩ちゃんの行きたいところがあるなら他のところでもいいよ」

後輩「あの神社ですか、わかりました、そこにしましょう」

男「よし、じゃあ二日の朝9時くらいに学校の前で待ち合わせでいいかな」

後輩「はい、楽しみにしてますね」

男「うん、じゃあ今日はこの辺で解散にしようか」