>>2から>>10のレスで物語を書く (107)


長くなるか短くなるかは気分で




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「はぁ・・・」

ふとため息が漏れた
大学時代の友人が結婚するという事で、私は東京から地元に戻ってきた。
しかし何たるドジか・・・結婚式は今日から1週間後だとか・・・。

オカマ「なによあけみちゃん、友人目の前にして溜息なんて・・・」

この人は私の友人のオカマさん、現オカマバー店主で元軍人という異色の経歴を持つすごい人。
家が隣同士だったっていうだけの付き合いだったんだけど、なんでかいつの間にか一番の友達になってた。
軍人時代はなんかすごく強かったとか言ってるけど私はよくわかんない・・・
ただ「この世で一番恐ろしいのは蚊よ!!」とか言ってるから南米、アフリカとかにいたんじゃないかな

あけみ「別にぃ・・・結婚なんて望んでないしー男とかオカマさんだけで十分だしー」

おかま「そんなこと言ってるうちに羊水腐るわよ」

あけみ「うっさいばか」

おかま「なら失礼なこと言うんじゃないわよ。」

あけみ「だぁってー」


こんなこと言ってるけど実際結婚したい・・・
旦那と愛のある営みをして子供授かって幸せに暮らしたい・・・

あけみ「しあわせは~あるいてこない~」

あけみ「むかえにいったるげんきもな~い!」

おかま「夢の無い歌ね。」

あけみ「ぶあーくしょい!!チクショウ!!」

おかま「なんか・・・もう見てらんないわ・・・」

あけみ「うるせーおかまー!!もうかえれう!!」

おかま「はいはい、おばさんによろしくね」



暗い夜道をとぼとぼと歩く独身の私・・・
自分で言うのもあれだけど・・・みじめだわ・・・
折角結婚式とその後の飲みのために有給とったのに、無駄になったし・・・
生まれてこの方彼氏もいない、いまだにヴァージン・・・

あけみ「まるで半額シールの張られた惣菜ね・・・」

あれ・・・?
惣菜は・・・買ってくれる人がいる・・・
むしろ貧乏人の味方じゃない・・・

あけみ「対して私は・・・・」

あけみ「うへ・・・・うへへへへへへ・・・」


笑いながら空を見上げるとお月様が雲に隠れた

(なんか・・・もう見てらんないわ・・)

オカマの言葉をそっくり言われたような気がした

あけみ「うるせーチクショウ!!」

あけみ「べくしょん!!!あ゙ぁ゙~」

あけみ「・・・・・」

あけみ「・・・・・帰ろう」


帰って寝よう・・・
起きたらお母さんに抱きしめてもらおう

私の帰省一日目はそんな感じで終わった


あけみ「よーしグスタフ!よし!」

帰省して二日目の朝、私は飼い犬のグスタフと遊んでた。
結局、お母さんに抱きついたら、振りほどかれた。

駄目よ!この体は正治さん(父)だけのものなのとか言って

くたばれ発情期と心の中で言ってやった
お父さん帰ってきたらお父さんに抱き着く・・・
抱きしめてくれるもん・・・たぶん・・・

あけみ「今の私の心をいやしてくれるのはあんただけよ~」

抱き着こうとしたら、グスタフにサッと避けられた

あけみ「この・・・雑種・・・」

グスタフ「ガッルルル」

あけみ「今日という今日は主従関係を明らかにせねばなるまい・・・行くぞ!!」

グスタフ「バウ!」

グスタフは私が高校生の頃に家に来た。
お父さんが会社の前で震えているこいつを拾ってきたのだ。
散歩はいつも私がしてたから一番私になついてたのに、東京に行って私が目を離した隙に母さんに浮気した。
柴っぽい見た目のこいつの中で、私はカースト最下層にまで落ちてしまっていた。

あけみ「まて!この駄犬!!」

グスタフ「ハッハッハッ!!」

玄関から出てくグスタフを追いかける
こいつは交通ルールをわかっているのか、昔から歩道から出たことも、赤信号で飛び出たこともない。
だから散歩のときはいつも紐はつけていなかった。
こういった追いかけっこもいつもやっていた、ゴールは決まって近くの公園。
そこである人とまったり過ごすのが、グスタフとの散歩の習慣になってた。



何の変哲もない小さな公園、昔と何一つ変わらない。

あけみ「おじいちゃーん!」

そう、ベンチに座る人物も変わらずそこにいた。

じいさん「Zzz・・・・」

このおじいちゃんはいつも寝ている、でも私が強引に起こすのだ。
おじいちゃんはどんなおこしかたでも、微笑んで私の話を聞いてくれる。

あけみ「おじいちゃーん!私が来たよー!!」

じいさん「zzz・・・」

あけみ「おじいちゃ・・・こら!グスタフ!お前も寝るな!!」

これも昔から変わらない光景。
ここに来るといつもグスタフは寝てしまう・・・
飼い主の愚痴も聞かずにだ。
本当に駄犬。

おじいさん「おぉ・・・あけみちゃんじゃないか・・・」

あけみ「おじいちゃんやっと起きた!ちょっと愚痴聞いてよ!」

おじいさん「うんうん・・・・」


それから私はいろんなことを話した。
友達が結婚すること、彼氏ができない事、東京での仕事の事などなど・・・
でも一番盛り上がるのは野球の話!
おじいちゃんも、わたしも、グスタフもたぶん!野球が大好き!

あけみ「それでおじいちゃんはどう思う?」

おじいちゃん「何がじゃ?」

あけみ「金子千尋はメジャーで通用するのかについて!」

おじいちゃん「ふむ・・・」


あけみ「私はこう思うの。彼の持ち味はやっぱり四球の少なさからわかるコントロールよ!150を超えるストレート精度のある縦カーブもいいんだけど近年のメジャーで活躍している黒田投手を見るに、絶妙なコントロールで入るか?外れたか?ってとこに投げ込んで少し変化して打者の芯を外す投球が今のメジャーで通用するのよ!あっちの人はまっすぐに見えたら、多少外れてても手を出してくるわ!そこで力負けしないのが理想なんだけど・・・彼にそれは・・・」

野球談議は日が暮れるまで続いた・・・

寝る
明日完結させる

鮮やかな夕日が地平線に沈み、あたりが暗くなってきた。
おじいちゃんと久々にあったからだろう・・・・時間が過ぎるのが酷く早く感じた。

あけみ「そろそろ帰ろうかな・・・ごめんねおじいちゃん、こんな遅くまで・・・」

おじいちゃん「いやいやいいんじゃよ、またいつでも来なさい。」

あけみ「ほらグスタフ!帰ろう!」

いくらゆすってもグスタフは起きない、これも昔と変わらない。
おじいちゃんの近くがよほど心地よいのだろうか・・・それはグスタフにしかわからない・・・

おじいちゃん「いいよあけみちゃん、起きるまでわしがそばにいよう」

あけみ「そう?それじゃあよろしくね!おじいちゃん!」

グスタフが家を飛び出し、公園にいるおじいちゃんと話して、おじいちゃんにグスタフを任せて先に帰る。
私がここで学生やってた時代、暇な日はいつもこんな日々が続いていた。
グスタフが来た日から・・・ずっと・・・

おじいちゃん「そうだ、あけみちゃん。最近この辺が物騒なのは聞いたかい?」

あけみ「そういえば・・・なんかお母さんが言ってた気がする・・・」

なんでもここから二駅ほど行った町で連続殺人があったとか言ってたっけ・・・
まぁでも・・・対岸の火事と言いますか・・・遠くの事にしか思えない・・・

あけみ「ダイジョーブ!こんなとこまで来ないって!」

あけみ「それに家も近いんだし・・・おじいちゃんこそ気を付けてね!」

おじいちゃん「そうかい・・・」

あけみ「ばいばーい!」

私はおじいちゃんと別れて家路を急ぐ


公園からまっすぐ歩いて数十分の所に私の家がある。
なのでどれだけあたりが暗くとも迷うことは無い・・・はずだった。

何かがおかしい・・・まるで見覚えのない場所を私は歩いている・・・
私の家は何ら変哲のない普通の住宅街にある。
コンクリートで舗装された道端に並ぶ街路樹は四季の訪れを知らせてくれる。
それが私の家の近くの景色だ。
今の私の歩いている道はそんな風情のある道ではない。
苔の生えた石畳の上を歩いている、見上げれば街灯は無くどこかうすら寒い風が肌を刺す。

あけみ「まったく状況が読めない・・・なんなのよこれ・・・」

いつもの道をいつも通り歩いたはずなのに

あけみ「・・・」

私は歩く、あたりを見回しても道は前にしかない。
しかしなぜだろう・・・前にもこんなことがあった気がする・・・
たしかな記憶ではない・・・
そこにあるはずなのに霧に阻まれて見えないという感覚だ・・・

そんな物思いにふけっていると、後ろから人の声がした。
何と言っているかまではわからない、しかし人の声がするのは間違いない。

立ち止まる・・・ゆっくりと後ろの人間は近づいてくる・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・」


何を言っているのかまだ聞き取れない。



「・・・・・・・・・・・・・イ」



まだ聞き取れない



「・・・・・ノシイ?・・・・・・」



まだ





「タノシイ?タノシイ?」


あけみ「たのしい?」













タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?タノシイ?

あけみ「!!!???!?!?!?!??」

奴がつぶやく言葉を私が声にした瞬間だ、奴はその距離をあっという間に縮めてきた。
逃げなければ
視認した奴の姿は赤、ただその一言に尽きる
髪、目、体の隅に至るまでが真っ赤。

あけみ「あああぁあああぁっぁぁぁぁ!!!!!!」

走る、走る、走る
ただひたすらに走る。
奴との距離はわからない、しかし今の速度を少しでも落とせば奴に追いつかれる。
確証はない、しかしそうなのだ。
それは直感、私の中に眠る危機察知能力がガンガンと警報を鳴らす。

あけみ「っっ!!!!!?ぁ!!」

言葉にならない、叫ぶことができない。
緊張か?恐怖か?確実に言えることは奴に追いつかれれば死ぬという事だ。

あけみ(助けて・・・お父さん!お母さん!)




ワンッ!




あけみ「グスタフ!?」


聞き覚えのある鳴き声
私の目の前をグスタフが走っている
これは幻だろうか・・・先ほどまでいないものが今目の前にいる


こっち・・・こっち・・・



幻聴まで聞こえる始末、私の頭の処理能力が追い付いていない
しかしグスタフは私に向かって吠えている


こっち・・・こっち・・・


私はワラにもすがる思いでグスタフを追いかけた

どれだけ走っただろう・・・奴はまだ追いかけてきているのだろうか・・・
ちらりと後ろを振り返る・・・
奴の姿はもう無かった・・・

あけみ「はぁ・・・はぁ・・・」

息が切れ、足ももつれる。
しかし歩みは止めない、

だが張りつめた緊張感が安堵に変わると共に前方への注意を怠った。

あけみ「!!!」

穴に落ちた

あけみ「はぁ・・・はぁ・・・もうなんなのよ・・・うぅ・・・」

何か自分が情けなくなり、涙がこぼれた
電話を取り出しオカマに電話をかける・・・


・・・・

・・・・


オカマ『ちょっとあけみ!?今どこにいるの!』

あけみ「うぅ・・・オカァマァ!!」

オカマ『なに!あんた泣いてんの!』

あけみ「はやくごいていっで・・・あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」

オカマの声を聞いて涙腺が決壊する

オカマ『わかったから!あんたどこいんのよ!』

あけみ「わがんない・・・穴に落ちた・・・」

オカマ『・・・わかったわよ』

あけみ「うぅ・・・早く来てよ・・・」

オカマ『はいはい・・・』



オカマの事だからすぐに私を見つけてくれる
いつだってあいつは私の味方だった
こういうのはあれだが、私は昔から運が悪い
運が悪いというか・・・よく今日みたいな恐ろしい出来事に巻き込まれる


小学校の頃は森で異世界みたいなところに足突っ込んで迷子になったり、海で足引っ張られておぼれたり
恐ろしい何かに追いかけられたりと散々だった
中学校に上がってもそれは変わらず。そんな時に助けに来てくれたのは、まだ男らしかったオカマだ。

高校生になってグスタフと暮らす様になってそういうのはめっきり減った。
けれども私の不運は続く・・・
男子に告白しようとしたら次の日に彼女ができてたり
一日一回クロネコが横切ったり


就職してからも後輩から


「私の彼氏が~で~・・・えーあけみさん彼氏いないんですかぁ~もったいな~い」キャピキャピ


あけみ「死ねばいいのに・・・」

あ~あ・・・なんかしらけちゃった・・・早くオカマこいよなぁ~



オカマ「あけみ、穴に落ちたって」

おじいちゃん「ほう・・・それは大変じゃな・・・はよう迎えに行かねばな・・・」

オカマ「その前にこいつ警察に突き出すわよ」

オカマの下には男がぐったりとしていた。
その手には刃物が強く握られている。

オカマ「まったく・・・世の中物騒になったものね・・・」

おじいちゃん「ほっほっほ、元気なことはよいことじゃ」

オカマ「元気って・・・ほらあんたも行くのよ、さっさと移っちゃいなさい。」

オカマがそう口にする前に、おじいさんはそこから消えていた。
代わりにそこにいたのは、柴っぽい犬、グスタフ。

グスタフ「さぁいくぞい」

オカマ「何度見てもこの世のものとは思えないわね・・・」

グスタフ「貴様も内面はこの世から去ったものだがな」

「「はっはっはっ」」


オカマ「ちなみに・・・今日あけみを襲ったのもこの男の生霊なの?」

グスタフ「うむ、憎悪、憎しみ、などの強力な思念が霊道に入り込み悪霊化したのじゃろう・・・」

グスタフ「なぜあけみちゃんが霊道に入ってしまうのかは・・・前に説明したじゃろう?」

オカマ「あけみがその魂に持つ負の遺産・・・ですね・・・」

グスタフ「そうじゃ、悪霊たちがそれを食らうためにあけみちゃんを霊道に誘い込む・・・そして襲うのじゃ・・・」

グスタフ「しかしそれを繰り返せば繰り返すほどあけみちゃんの負の遺産は徐々に霊道に溶けていく・・・何故か?」

オカマ「・・・」

グスタフ「霊道に移動するのはあけみちゃんと言えどもその魂のみが誘い出される・・・負の遺産は魂を包むように外側にある・・・」

グスタフ「霊道の存在意義は魂の浄化と導きにある・・・その作用によって、負の遺産を霊道が優しく食むのじゃ・・・」

オカマ「あと何度・・・あけみはこんな目に合えばいいの・・・」

グスタフ「わからぬ・・・繰り返し繰り返し続けることが肝心じゃ・・・負の遺産が消える日、あけみちゃんには必ず幸福が訪れる・・・」

グスタフ「その日が来るまで・・・神であるわしが悪霊を殺し、転生の末に肉体を得たおぬしが現世であけみちゃんを守るのじゃ・・・」

オカマ「・・・・・・・」

グスタフ「辛かろう・・・実の娘に気付いてもらえぬというのは・・・もう少しの辛抱―」

オカマ「馬鹿言わないで神様、辛くなんかないわよ。」

グスタフ「なんじゃと?」

オカマ「父親っていうのはね、娘の為ならそれこそ血の池にでも、針山にでも突っ込むのよ、あんたも見たはずよ。」

グスタフ「そうじゃな・・・」

オカマ「妻の事もあけみの事も正治が守ってくれるって約束したもの、だからあたしは何も辛くないわ」

オカマ「さぁ!早くあけみを迎えに行くわよ!」


その時の彼・・・彼女の背中は、一人の親としての背中であったと神は語る。

その後、無事にあけみは救出されて、以前と変わらぬ日々を送っている。
見事に不幸や怪奇は続くが、彼女の知らぬところでそれと闘う者がいることを彼女は知らない。

彼女の悲運に満ちた喜劇の影で活躍するオカマや神の活劇は・・・またいずれ。

人が語る物語は終わっても、彼女たちの日々はその世界で続いてく・・・



~fin~

>>31>>41の内容で物語書く

長いか短いかは気分で

肉便器

あと一つが埋まらぬな…
支援age

>>1はデブ、故にこれから走る
23時ころにまた来る

>>41
支援age感謝

時は3378年
人類は地球温暖化、水不足、食糧難などの諸問題を科学の力で解決し、ひと時の繁栄に酔っていた。
しかし翌年3379年、突如飛来した触手型の宇宙生物によってわずか1年で滅亡の危機に瀕していた。
不思議なことに触手型の宇宙生物による直接的な死者は0人、滅亡の原因は自殺。

触手生物による攻撃はそのぬめぬめとした触手による洗浄という名の凌辱。
彼らは人類の男女の下半身にある穴を洗浄することに執着する。
出しては入れ、出しては入れ、真水で中を洗浄する。
その洗浄力は驚異的、HIVやあらゆる性病を完治させた。

一見よいことの様に思える、しかし彼らのやり方は人類から様々なものを奪った。
自尊心、誇り、男の女に対する興味、女性の処女。
大多数の被害者は死を選び、あるものは同性に走った。

出生率は下降を続け、同性婚ばかりが増える世界に犠牲者・非犠牲者を関わらず絶望した。

しかし世界は諦めなかった。
国籍や人種、軍人、学者、八百屋、などあらゆる職種を超えた対触手戦闘組織が生まれた。
「Celestial Being」通称CB

彼らの構成のほぼ9割が非犠牲者の人間で構成されている。
触手宇宙人に対して現行兵器は通用するが殲滅に至るまでの効果を発揮しない。
人類の武器はただ一つ・・・彼らを殲滅するためだけに作られた対触手用特化外攻殻。

これを纏い戦う男をヘラクレス。
女をヴァルキリーと呼んだ。

戦況は日に日に悪化していく中、彼らは決して諦めない。
失われた光のために




「俺・・・この戦いが終わったら・・・・あいつの処女・・・もらうんだ・・・」


散るぞ悲しき枝桜



「いやぁ!!やめて!!あぁ」



さよならだけの人生か



「早く行け俺も後で追いつく・・・親友の言葉を信じろって・・・」



それでも若者は運命にあらがう



「帰ったら・・・優しくしないと・・・お、怒るからね・・・・」



守るべき少女は背に




「君を・・・・抱き・・・・たかった・・・・」



少年は戦う


これは人類の生存をかけた性戦を駆け抜けた少年と少女の物語




The Syokusyu War
~性人達の鎮魂歌~

ここはかつてブリテンと呼ばれた島。
各国に触手が飛来してからほとんどの国はインフラや食糧生産以外の機能を停止し徹底抗戦のためにCBに残力を集めました。

この島の今の名前はヴェールヌイ、未来のヘラクレスとヴァルキュリーの育成機関として機能してます。

ボクはセイジ・ヤブキ。この島で暮らす15歳。
CBからは遠距離砲撃型攻殻を与えられた、未来のヘラクレスなのです。

「セイジー!何やってんだよ」

おっと、僕の親友が来たようです。
彼も紹介しておくよ、彼は僕のバディのケイン・アイギス。18歳。近距離斬撃型攻殻の使い手だ。
彼の斬撃は宮廷剣術?だか何だかを応用した細剣型で、他を寄せ付けない圧倒的な速さを誇っています。
わかりやすいよね?僕が敵を遠くからの砲撃で蹴散らして、彼が残りをババーンと掃除する。僕らの実力は折り紙つき。

あ!あとバディっていうのは・・・

ケイン「セイジ!授業始まるぜ!早く行こう。」

セイジ「あ、ごめんねケイン今行くよ。」

みなさんごめんなさい、説明はまたあとで。
僕の友達はあと二人います!それはまたあとでに紹介しますね。


「あ!ケイーン!セイジー!こっちこっち!」

空席の多い教室の一角に彼女達はいた。
今大声を上げている人はリサ・ガルシア。小麦色の肌に金髪のラテン系。19歳。近距離斬撃型攻殻の使い手。
彼女の武器はちょっと変わった武器で、シャムシールとか言うらしい・・・なんでも普通の剣より切れ味がいいとか。
攻撃力よりも手数で稼ぐタイプ。

リサ「もう!先生に怒られるのあたしなんだからね!」

ケイン「まぁ間に合ったんだからいいじゃないの♪な!セイジ!」

セイジ「えぇと・・・テレーゼ・・・怒ってる?」

テレーゼ「・・・・」

怒っていそうな彼女はテレーゼ。17歳。中距離突型攻殻の使い手。
彼女は鈍重なハルバードを軽々と振り回すヒュペリオン体質の少女。
一応突型に分類されているけれど・・・彼女のはもはやz

テレーゼ「なぁにセイジ?私はあなたが遅れたことに対して全然怒ってないわよ?」

セイジ「嘘つけ」ボソッ

テレーゼ「あら?悪いことを言うのはこのお口かしら?」

セイジ「あだだだっだ!!」

彼女は片手で僕の頭をわしづかみにすると軽々と持ち上げる。
そう、これがヒュペリオン体質というものだ。生まれつき全身の筋肉が以上に発達しやすい体質。

「テレーゼ!ヤブキ!何をやっている!授業を始めるぞ!」

リサ「あ!先生おはよー!」


我らが恩師ガイ・リットン先生。32歳。
ケガによって戦線を離れているが、かつてはCBの英雄的存在であった。

セイジ「テレーゼごめんなさい・・・」

テレーゼ「それだけ?」

セイジ「なんでもいうこと聞きます」

テレーゼ「よろしい。」ドサッ


やっと解放されると長机に座る。
横からリサ、テレーゼ、ボク、ケイン。
教室にはこの四人だけ。
他の人はいわゆる殉職。

つまりこのヴェールヌイにいる特化型戦闘員は僕たちだけである。





先に説明しましたが・・・触手型宇宙人による犠牲者は0です。
ではなぜ殉職なのか?
それは戦場で凌辱されたヘラクレスやヴァルキュりーが互いに殺し合いを始めてしまうからです。

それは彼らの出す粘液が関係してると言われています。
彼らが人類の秘部に出すのは通常は真水と言われる洗浄液です、これには害はありません。
しかしそれは非戦闘員に限った話です。
彼らを殲滅せんとする戦闘員に対して、その戦意を感じ取った場合には別の物質を出します。

それを僕たちはK-モルヒネと呼んでいます。

KはKill、モルヒネはその作用がよく似ているという事でつけられました。

K-モルヒネを注入された人間は数分意識を失います、再び起き上がった時にその人の意識は無くなっています。
完全な殺戮人形になってしまうのです。

次に級友の殉職についてです。
先日、CBによる大規模作戦が実施されました。

オペレーション”FATE”

その名の通り人類の運命を決する大規模作戦、地上に根を張る触手の巣の殲滅。
結果は失敗、僕たちの想像以上の数の触手に人類の戦闘員はなすすべがありませんでした。
僕たちの級友は皆戦地に駆り出され、誰一人戻っていませんでした。

何故僕達は行かなかったのか・・・簡単なことです、その日は休日だったのです。

予想の上では、主力を温存しても殲滅できたのです。
主力には後日行われる最終決戦があった。敵の親玉は宇宙、そいつらを狩るという仕事が。

全滅の報を聞いたとき、ボクは取り乱しました。
自らの攻殻で自爆してやると叫ぶと、テレーゼにぶたれたのを今でも覚えています。

泣いて泣いて、泣き叫ぶ僕を
テレーゼはただ抱きしめてくれました。

それでも夜には悪夢を見ます。

お前らのためにまず地球を平和にしないとな
奴等のいない地球で待ってるからね
奴等の親玉殺したら祝杯を挙げようぜ!
未成年だよ!


笑いあった級友たちの最後の姿が出てきます

何が言いたいかというと
このヴェールヌイではもう一人しか殉職者は出ないという事です。

僕にはリサ、ケイン、テレーゼには内緒の秘密の作戦があるのです。


誰一人死にません。全部僕が守るのです。







セイジ・・・セイジ・・・


ガイ「セイジ!」

セイジ「は、はい!!」

ガイ「今の話をちゃんと聞いていたのか!!」

セイジ「ジェルムの話ですよね!」

ガイ「そうだ!説明してみろ!」


ジェルムとは毒を持って毒を制すという目的で作られた劇薬だ。特化型戦闘員に一本渡される身体強化薬と言ってもいい。
その実態は奴らの血液、これを摂取すると脚力や腕力強化、なんかの効力を得られる。
副作用として摂取すれば寿命を縮める、廃人化するというリスクを伴う。
また、このジェルムは生きた触手からしか採取できなくてその採取も難しい。
そのため、各隊員に一本しか渡らないのです。
非常に貴重かつ使いどころの難しい薬であると言えます。


ガイ「その通りだ、明日に殲滅作戦を控えるお前らにも渡しておくから、あとで取りに来い。以上、終了」

ちゃんと答えられた・・・よかった・・・

ケイン「どうしたセイジ?考え事か?」

ケインが肩に手をかけながら聞いてくる、僕にとっては兄のようなケイン。

リサ「どうしたの?眠いんなら膝枕したげよっか!」

リサが笑いかけてくれる、リサはお姉さん。

テレーゼ「どうせ眠いだけでしょ、ほら、しゃんとしなさい!男の子なんだから」

テレーゼ・・・僕を抱きしめてくれる暖かい・・・大事な人・・・

セイジ「・・・・」

ボクはテレーゼをじっと見つめた。
青空のような青い瞳に燃えるような赤毛。

テレーゼ「なによ坊ちゃん。」

セイジ「なんでもないです!」

ボクはこれまでみんなに嘘をついたことは無い。
でもそれは今日まで!
たとえどんなに怒られても・・・
皆といる日常に終止符は打たせないよ。

一度だけのウソ・・・許されるよね?神様。

リサ「セイジもダイジョブそうだし・・・私ジェルムとってくるね!」

セイジ「待ってリサ!僕が行くよ!」

リサ「? なんで?班長は私だよ?」

セイジ「そうだけど、ボク、ガイ先生に聞きたいことがあるんだ!」

リサ「そう?じゃあ任せたわよ!ちゃんと頂戴ね?」

セイジ「うん!絶対に渡すよ!」

ケイン「それじゃあ午後の予定でも立てますか!」

リサ「私クレープ食べたい!」

テレーゼ「その前に明日の作戦のブリーフィングよ!」


セイジ「・・・」

許されるよね?だって僕はみんなのためにやるんだ。
何も悪いことじゃない。





難しい言葉でなんて言ったっけ・・・そう・・・これは行為功利主義っていうんだ。

より大きな利益の前ではあらゆる不正は正当化される。

遠距離砲撃型攻殻の弾丸は強大な力を持つ。

それを連射できれば、みんなの力はいらない。

みんなが傷つかない。

みんなに褒めてもらえる。

きっとこれは正しいことだ。



今日はこの辺で寝ませう

ボクはガイ先生から受け取ったジェルムを握りしめ攻殻射出用カタパルトへ向かう。
僕らは攻殻を身に着け、このカタパルトとすべての攻殻についている短期飛行システムによって作戦地域まで向かう。

攻殻は普段、その一部をアクセサリーとして身に着けている。
ピアスやネックレス、アンクルみたいな感じで。
攻殻本体はまた別の場所にあって、僕らの戦う意思を感じると微粒子レベルまで分解された攻殻がテレポートという過程を得て僕らに装備される。

コンクリートを頭から被って既定の形に固まるって感じかな?

テレポートできるなら、なぜカタパルトを使うのか。それはもっともな疑問だと思う。
現在のテレポート技術では起点と終点に限定された関連あるものが必要となる。
例えば車をテレポートさせるなら、転移させる車に使われている部品が終点にある必要がある。
だから人間を転移させるなら、その一部が必要となる。
髪の毛や爪でもいいんだけど・・・・わざわざ敵地に乗り込んでそんなもの置くためにリスクなんて背負えない。
だから僕らはカタパルトを使うわけだ。

セイジ(・・・来い)

僕が念じると共に僕の周りに攻殻が展開される。
遠距離砲撃型攻殻【Salvare】
深緑を基調とした外見。肩には二門の主砲を備え、左手には大楯とマシンガン、右手には近距離戦闘用のパイルバンカー。
背中には六本の筒が取りついており、体には薄い装甲が申し訳程度にまとわりついている。
大砲やマシンガンに使う弾丸は背負っていく必要がある。

カタパルトの傍らに備えられたコントロールパネルを操作する。

セイジ「カタパルト照準・・・旧ロシア領シベリア・・・設定良し・・・」

セイジ「酸素マスク装着、飛行システム作動、方角よし、射出準備よし。」


セイジ「・・・射出!」


深緑の機体が、孤独な戦場へと向かう。



テレーゼ「それじゃあブリーフィングを始めるわよ」

ケイン「まずは作戦内容の確認か・・・」

触手宇宙人は地球の生態系には適さないのか、その活動時間は長くて一日のみである。
そのため移動は箱庭と呼ばれる奴らの巣のようなもので行われる。
その巣にも活動限界があり、移動を含めて約四日。
奴等の巣が主な拠点とするのは北半球、それも極寒の地だ。

リサ「つまり奴らは主にシベリア、アラスカにいるという事が言える・・・」

テレーゼ「前回の大規模作戦で殲滅できなかった奴らを、今回こそはっていう事ね。」

ケイン「俺らの役目は主に後方支援だ、直接奴らと会いまみえるってことは少ないかもな」

今回の作戦では前回の戦闘員を大幅に上回る人数に加え、待機していた主力が戦闘に参加することになる。

テレーゼ「実質、前回の失敗を挽回するって考えていればいいわね・・・」

ケイン「全戦力を当てるって噂だし・・・案外楽に終わるかもな・・・」

リサ「そういえば・・・セイジ遅くない?」

テレーゼ「そうね・・・ちょっと探しに行きましょうか・・」


リサ「よし、じゃあ手分けして探そう。まぁすぐに見つかるでしょう。」

ケイン「案外一人で帰ってたりしてな!」

テレーゼ「その時は説教ね・・・」

リサ「ははは・・・・まぁほどほどに・・・」


この時、戦友たちはまだ気づいていなかった。
彼が戦場に向けて発ったことに。

射出の音を聞き逃したこと、セイジの異変に気付かなかったことに酷く後悔することを

彼女たちはまだ知らない。





ヴェールヌイから東に東に飛び続け、極寒の地へとたどり着いた。
眼前には憎むべき敵の母体、箱庭が所狭しと並んでいる。

ボクは今・・・愛すべき級友の血が染み込んだであろう土の上に立っている。
見ててね・・・皆・・・これからボクはあの子汚い害虫に・・・皆の無念を込めた砲弾を撃ち込む。

全ての砲弾を撃ち込んだらこの身を武器として突っ込む。

冷静に考えなくとも・・・この戦いに勝利は無い・・・

僕は死ぬだろう・・・でもただじゃ死なない・・・
奴ら全員を道連れだ・・・最高は相討ち・・・最低でも・・・半分は連れてく・・・

そのためのジェルム四人分だ・・・


ここは僕たちの墓場

明日は無い

夢も希望もここには無い

大事なものはヴェールヌイに置いてきた


セイジ「テレーゼ・・・」




なんでもいうこと聞きます

よろしい





守れない約束だとわかっていた



セイジ「ごめんなさい」




冷たい空気を切り裂くように、爆音が鳴り響いた。






こんなに長くするつもりは無かった・・・(:ω:)
これは間違いなく読者がだれるはず・・・しかし途中で放り投げるのはルール違反だよな・・・
お前らがつまんないって言ってくれたら・・・再安価がとれるんだけどな・・・

|ω・`)チラッ

いつもの倍は持ってきた砲弾をすべて撃ち尽くした
それでも奴らは、箱庭からわらわらと出てくる

距離にして約200m

硝煙のにおいが鼻につく戦場にただひとり
彼はそれをどう思っているのか・・・表情からは読み取れない

セイジ「まだまだ・・・これからだ・・・・」

右手に備えたパイルバンカ―の安全装置を解除、左手に備えた短機関銃を強く握りしめた

足を前に踏み出し歩く
ゆっくりと奴等との距離を詰める


うねうねと近寄る奴等に向けて銃口を向ける

セイジ「・・・」

静かにその引き金を引いた








リサ「セイジいた~?」

ケイン「いや、こっちにはいなかった・・・」

テレーゼ「はぁ・・・はぁ・・・あいつどこ行ったのよ・・・」

先ほどまで燦々と輝いていた太陽はその色を赤く変えていた

リサ「もしかしたらガイ先生と話しているのかな?」

テレーゼ「いや・・・行ってみたけど・・・知らないって・・・」

ケイン「あいつどこ行っちまったんだ・・・」


途方に暮れ言葉を失い、場に静寂が訪れる
しかしそれもつかの間、けたたましいサイレンが鳴り響いた

『緊急連絡!緊急連絡!』

「「「!!!」」」

『ヒトロクイチマル時において、攻殻射出用カタパルトの使用を作業員が確認!』
『射出目標シベリア!繰り返す!射出目標はシベリア!』
『本部への対触手用特化外攻殻出撃状況の確認の結果、遠距離砲撃型攻殻【Salvare】の転送アリとの返答。』
『以上のことからヴェールヌイ所属第七班セイジ・ヤブキの無許可出撃と判断』
『リサ・ガルシア、ケイン・アイギス、テレーゼ。以上三名は至急射出甲板まで急行されたし!』

『繰り返す・・・・



テレーゼ「あのバカ!!」

ケイン「ちょっとちょっとどうなってんのよこれ!出撃は明日でしょーよ!」

リサ「理解できなくていいから!今は甲板に行くわよ!!」

テレーゼ(約束やぶるなんて・・・許さないわよ!)

tesu

リサ、テレーゼ、ケインは甲板に到着すると、各々の攻殻を呼び出す。

ケイン・アイギス
近距離斬撃型攻殻【Durandal】
その姿はシンプルそのもの。
中世の重騎士の様な鎧に3mはあろう大剣を背負う。
まさに前線で戦うために生まれた黒づくめの攻殻。

リサ・ガルシア
近距離斬撃型攻殻【Sylphid】
ケインの攻殻とは対照的に簡素な姿。
露出の多いドレスを纏い、腰にあるシャムシールを武器とする。
その速さは攻殻名に恥じないもので、戦場を翔ける風の精。

テレーゼ
中距離突型攻殻【Gaea】
黄土色のスカートとジャケットに、膝までのマントを羽織る。
戦闘時にはハルバードを用いる。
人類が持ちうる最新技術の結晶。

『カタパルト照準旧ロシア領シベリア!!風向きよし!高度よし!安全装置解除よし!』

『各員の酸素マスクの装着を確認、飛行システム作動よし!、方角よし!、射出準備よし!』

ガイ「いいかお前ら!あくまで任務はあのバカの救出だ!無茶は許さん!」

ケイン「無事に四人で帰ってきますよ!」

リサ「テレーゼ!暴走すんじゃないわよ!」

テレーゼ「わかってるわよ!!」


『カウントはじめ!』


『5』

ケイン(さぁ・・・どうなる事やら・・・)

『4』

リサ(リーダーとしての責務を・・・果たす!)

『3』

ガイ(師より先に死ぬなど・・・認めんぞ・・・)

『2』

テレーゼ(いいことセイジ?私が行くまでに死んでたら・・・化けてでも私に会いに来なさい…またあんたを抱きしめてあげるわ)

『1』

テレーゼ(もし私が先に死んだなら・・・)



『射出!』


テレーゼ「私が化けて!会いに行くから!!!」
テレーゼ「約束は!!守らなきゃいけないんだから!!!!





寒空の下、若き命が戦地へと向かう。
彼らを待ち受けるのは生か死か・・・

誰も知らない。

一体いくつ箱庭を消しただろう・・・

どれぐらいの弾を撃ったんだろう・・・

どれぐらいの触手に杭を打ちつけたのだろう・・・

あぁ・・・何も考えられない、考えたくない

お前らは…お前らは…

満身創痍な戦士はふとそう思う。
一対幾万という絶望的な状態にあっても彼の眼は閉じない。
それでも限界が近いのは彼自身が良くわかっていた。
そして、師からもらった四人分のジェルムに手が伸びた。

セイジの目の前には膨大な数の箱庭と、それよりも多い触手がひしめく。



セイジ「お前らは・・・」

ジェルムの入った注射器を首に当て、少しづつ刺していく。

セイジ「目障りなんだよ・・・」

四人分のジェルムが彼の体に入っていく。

セイジ「わらわら…わらわらと・・・」

全てを体内に入れると、彼は注射器を触手に向けて勢いよく投げつけた。


セイジ「目障りなんだよ…」



セイジ「目障りなんだよ!!!!」



咆哮。


おとなしい彼はきっと初めて怒鳴ったのだろう。
声は上擦り、枯れていた。
しかしそれでもなお相手には伝わった。
触手は進行を止める。


それは怒り。

それは悲しみ。

それは贖罪。


全ての感情を混ぜて彼はもう一度叫ぶ。


セイジ「目障りなんだよおおぉぉおぉお!!!」







『デバイス認証、適合者セイジ・ヤブキのリミッターの解除を確認。』
『安全装置の解除を確認、生命維持装置作動を確認』
『状況オールクリア』


『特化型攻殻Salvare、第二形態へ移行します。』






ところで・・・なぜ彼らの様な若者が、戦うのだろうか・・・
各国に軍隊はあり、戦死者も少ないのにも関わらずだ。

CBの主力大隊の半数は軍人であり、未成年者はいない。
彼等も、もちろん攻殻を扱う。
しかし、彼らの乗る攻殻は、セイジたちが乗る攻殻とは違っていた。
この世界の他の攻殻と呼ばれる兵器は、基本的に甲型と乙型、系統で区分される。
CBの兵士が乗る攻殻には下記のものがある。

乙型近距離系攻殻
甲型近距離系攻殻

乙型中距離系攻殻
甲型中距離系攻殻

乙型遠距離系攻殻
甲型遠距離系攻殻

乙型支援型攻殻
甲型支援型攻殻

通称乙近、甲遠などと訳される。

だがこれらは、現行兵器よりも火力はあるが、箱庭の殲滅に至るほどの力は無い。



では、彼らが乗る攻殻はどうだろう・・・

遠距離砲撃型攻殻【Salvare】

近距離斬撃型攻殻【Durandal】

近距離斬撃型攻殻【Sylphid】

中距離突型攻殻【Gaea】


他とは違う、名を持つ攻殻・・・
これらはひとえに特化型と呼ばれる。
対触手用特化外攻殻。

これには、いわゆる第二形態というものが備えられている。
普段の人間の力では発揮できないような力を、攻殻が感じ取った時、それは発動される。

つまり、人間のリミッターが外れるのが、第二形態への移行の条件となる。
しかし、脳内リミッターを長く外せばもちろん、後遺症が残るであろう。
廃人になる実例も多くあった。

彼らはそれを知っている、しかしなぜそれでも戦うのか。
それは知らないから。
選抜され、世間とは隔絶されて攻殻という武器について学んだ彼等にとって、特化型こそが唯一の攻殻なのだ。

セイジ達はは知らないのだ。
この世には、身を削らずとも戦える攻殻があることを。

彼らは命を賭して核爆弾になる。
大人たちはその矛先が自分たちに向かないために、彼らを隔絶する。

皮肉な話である。
子供たちは大人の思惑により闘い、大人は魅力的な甘言で子供たちを信頼という首輪でつなぐ。

大人たちは言う、君たちこそが人類の最後の希望だと。
子供たちは思う自覚する、自分たちがやらなければと。

放射能を撒き散らさず、同等以上の戦果を挙げる生きた核爆弾の育成施設。

それこそが、育成機関ヴェールヌイ。
そして、彼らが乗る対触手用特化外攻殻の正体である。



勿論、彼らに渡される薬品についても間違いを教えている。


かつてセイジは、ジェルムに関してこう説明していた。

ジェルムとは毒を持って毒を制すという目的で作られた劇薬だ。特化型戦闘員に一本渡される身体強化薬と言ってもいい。
その実態は奴らの血液、これを摂取すると脚力や腕力強化、なんかの効力を得られる。
副作用として摂取すれば寿命を縮める、廃人化するというリスクを伴う。
また、このジェルムは生きた触手からしか採取できなくてその採取も難しい。
そのため、各隊員に一本しか渡らないのです。
非常に貴重かつ使いどころの難しい薬であると言えます。


間違いである。
彼らは非常時であるが故に気づかないのだ。

触手は危険を感じると、我々にとって血液ともいえる真水をK-モルヒネに変化させる。
異人に針を向けられてなお、敵対ではないと判断する人間がどこにいるだろうか。

当然、彼らの体液はそれに変わる。

セイジは自分で説明していた、K-モルヒネを注入すれば狂人となると。

しかし、それは大人たちが戦うことを前提として渡している。

つまりその薬品は何らかの意図をもってに渡されているのだ。
そして、彼等を核爆弾として扱う大人たちにとって、意図的に導きたい状態とはなんだろう。

お気づきだろう。

第二形態への移行。
そのためのリミッターを強制的に外す、人口薬。

それがジェルムである。

お…終わっても…ええんか?

そうか…
ワイが怖いのはENDと思われて、続けたら蛇足と言われることやからな…
これからお役人さんとこ行くから、次の更新は夜やで

ガイ「・・・・」

セイジ達の教官務めた彼は、射出された先をじっと見つめていた。

これで彼の…いや、ヴェールヌイで働いている人間の仕事はほぼ終わった。

作業員A「ついに…誰もいなくなってしまいましたね…」

ガイ「…」

作業員A「これで終わりなのかと思うと、寂しくなります…」

ガイ「何を言っているのだ…」

作業員A「はっ?」

ガイはそういうと踵を返して、甲板内部に続く階段に向かう。


ガイ「ついてこい、これからヴェールヌイにいる全員に呼びかける。」

作業員A「いったい何を?」

作業員Aが問うと、ガイは彼に背を向けたまま聞き返す。

ガイ「君は先ほど、終わりと言ったな?」

作業員A「はい・・・」

ここで初めてガイは振り向く。
その顔は少しだけ笑みを浮かべていた。

ガイ「我らには一番大事な最後の任務…いや、義務があるだろう?」

ガイ「彼等を迎え、送り出すこの場所を守るという任務が。」

そういってガイは階段を下りていく。
作業員は最後まで要領を得なかった。




ガイは甲板内部に入った。
甲板内部は、護衛艦で言うCICの様な場所になっている。
非常時の際には、ヴェールヌイの防衛拠点となり、対空火器などの遠隔操作を行う。

ガイは島全域に聞こえるマイクを扱う研究員に言った。

この島にいるすべての人間に聞こえるようにしてくれと。

そのうえで彼らに、10分後に決を採ることを伝えた。



時間が経ち、ガイはマイクの前に立って話し始める。


諸君、聞こえるだろうか・・・

先ほど・・・我等の最後の子供たちが戦場へと向かった・・・

友を助けるためにだ・・・

まだ酒の味も知らない子供たちは、私の命令で戦地に向かったのだ。

我等の上部組織はこのことを知って、彼等の攻殻に取り付けられた携帯デバイスにある作戦を伝えた。

軍人でないものも中にはいるだろう…端的に言えば玉砕命令だ・・・

忌まわしき触手の親玉は、地上の仲間の殲滅を知り。

先ほど制空権に突入したとのこと。

彼等…いや、我々は人類が生きるか死ぬかの瀬戸際になっても、子供たちを犠牲に生きようとしている。

ここにいる者達のほとんどは…昨年の奴らの侵攻によって子供を失った・・・

逆に彼等は…親を失った…

そして我々と彼等は!

救済施設としての機能を持つ反面、戦士の育成施設であるこのヴェールヌイで出会った!

まるで昨日の事の様に思える夢のような時間は・・・

今日終わりを告げた!

互いに無いものを埋めあうような一年であった!

私は…私は幸せであった!諸君等もそうだろう!!

であれば!彼等にも幸せを享受する権利があるに違いない!

きっと我等の子供たちは帰ってくるであろう!

私にはわかる!!諸君等もわかるはずだ!!

しかし帰ってくれば!間違いなく!汚いブタ共の政争に巻き込まれる!!

あの力を我が物とする為に!愚かな奴等は我々にこう言う!

特化型攻殻の搭乗員を引き渡せと!!

我等が愛した子らを!朗らかに笑う子らを!まるで物の様に!部品の様に扱うだろう!!

これを許すことができようか!!

出来るはずはない!!

我が子らを慈しみ、育てるためには膨大な金が!施設が必要だった!

そのために我々は頭を地につけ!嘘を教え!彼等を守ってきた!

しかしもう必要は無い!

我々の小汚い手で、彼等の手を引く必要はなくなったのだ!

調理師が彼等に料理を教え、清掃員が掃除洗濯を教えることで!彼等は家事ができる!!

牧師が人間の生き方を教え!彼等は道徳を学び!大工に建築を教わった!

そして私が!勉学を教えた!

我等の子供たちは!!立派になった!!

彼等は!!

新しい未来に!!

飛び立てるのだ!!

いや違う!!

自分たちの未来へ・・・今こそ!飛び立つべきなのだ!!

だからこそ!!

だからこそ!私は問う!!

我々がなすべきことは何か!

我々が新しい未来に飛び立つ彼等にできうる最後の愛情表現は何か!!

それは!汚いブタ共から彼等を守ることである!!

この命に代えても、彼等の幸せへの道程を!

輝かせることである!!

今こそ!!

彼等が守ってくれたこの命を使う時である!!

それこそが!!

我々に残された!!

彼等への最後の贖罪の機会である!!!

怯えるものは去れ!

情無き者は去れ!!!!

死人のような我々の前に現れた彼等を思い出せ!!

黒く塗りつぶされた日常を消したものは何か思い出せ!!

我々の幸せが何かを思い出せ!!!

終わりではない!!

始まりだ!!

我々の意志は!!

彼等の中に生き続ける!!


今こそ我々は!!!

愚かなブタ共に反旗を翻す!!

私欲の為でなく!!

名誉の為でなく!!

極寒の大地に眠る愛する子供達と!

そこに立って戦う!!

四人の未来ある子らのために!!!!





これより!!

オペレーション『Beginning』を発令する!

彼等の帰還と旅立ちを邪魔するものを!!!

いっっっっぴき残らず薙ぎ払ええええぇぇぇぇ!!!!



次の更新は明後日かなぁ…

今ひとつ理解できていないな
そう言う理由ならば
なぜ最後の4人になるまで決断をしなかったんだろう?

>>88
ヴェールヌイの人間が、戦う決断って意味だよね?
正直に言うと、心理的描写や状況描写が少なかったと反省してる。
こじつけになるかもしれんが、簡単な補足説明しておく。

特化型搭乗員は触手に対し最強であった

彼等の日常の幸せは、自分たちが彼等を利用しようとする人間から守ることで持続させることが可能であった

終戦後も彼等の信頼を得ている自分たちが世界の安定化を図ろうとした(文中描写無し)

しかしオペレーション『Fate』で特化型搭乗員が多く死亡

これによって、彼等を用いた終戦後のパワーバランスの安定化が不可能に

>各国に触手が飛来してからほとんどの国はインフラや食糧生産以外の機能を停止し徹底抗戦のためにCBに残力を集めました。
終戦後、他国からの侵略を恐れる政治家たちは力づくで、彼等の取り合いを始める可能性が浮上

彼等を引き渡せば間違いなく不幸になる
何故ならば彼等を倒せるのは、彼等だけであるから、いつか仲間同士で殺しあう可能性が出てくる

これは、彼等にとって不幸である

ヴェールヌイの全員がそんなことはさせたくないと思っている

であれば、我々が戦うことで彼等に新しい未来への道を作る(どういう意味かはSS内で描写する予定)
オペレーション『Beginning』発令を決断

こんな感じ
言い訳をさせてもらうと
プロットのあいまいな>>1の実力不足と勢い任せの展開にしたせいです。





【悲報】
2時間前、>>1が通う柔道場の前に本日休場の札を確認。
>>1涙の更新開始、明後日の予定だったが見てる人いる?

ガイの声は全島内に、マイクを通じて響き渡った。
そして甲板内部に隣接されたスピーカーを通じて、反応が返ってくる。
ざわめきが言葉になり、人々が会話をし、歓声が上がる。
島内にはガイの様な教師兼軍人をはじめ、作業員、調理師、清掃員、大工など様々な職を持つ人間がいる。
信じる神も肌の色も違う。そんな人間達が同じ目標に向かうことは稀である。

ガイは全員の意志の統一を確認すると、先ほどの作業員を連れて甲板に戻る。

ガイ「皆の想いは・・・やはり同じであったな・・・」

作業員A「まさかこんなことをするとは・・・思いもよりませんでしたガイさん。どうか我々を導いてください・・・」

ガイ「いや・・・それはここまでだ・・・」

作業員A「へ?」

そういうとガイの周りに、攻殻がまとわりつく。
藍色の薄い袴の両腰には二本ずつ、計四本の日本刀が下げられていた。

作業員A「そ・・・それは・・・」

ガイ「これから俺は・・・ここを制圧しに来るであろう奴らに・・・先にあいさつをしてくる・・・」

ガイ「お前らは…地下にある転送施設を守れ・・・」

ガイ「対空火器及び砦の火器は全て自動化されている・・・」

ガイはそれだけ伝えると、カタパルトへと移動していく。

作業員A「行かれるのですか?」

ガイ「あぁ…俺が戻るまでは持たせろよ?」

作業員A「・・・はい・・・」


ガイはそれを言い残し出陣する。



あらゆる飛行機に試作機があるように、攻殻にも試作機が存在した。

甲型試作機
乙型試作機
丙型試作機



この中で特化型の元となったのは丙型試作機である。

改良に改良を重ねた結果、攻撃力と防御力を捨て、ひたすら速さのみに特化した機体が生まれた。

超近距離型攻殻【村雨】
あまりの速さに人体がついてゆかず、量産化は断念されたという経歴を持つ。

それゆえ、かつて人々に英雄と呼ばれた男のの専用機となったという。




ガイが出陣する前の事、シベリアに到着し、静寂が広がる大地に着地した3人は愕然としていた。
抉れた大地に溜まった粘液、散らばる肉塊、そこはもう別世界と化していた。

ケイン「おいおい・・・これは何の冗談だリサ?」

リサ「知らないわよ・・・これ・・・全部ケインがやったの?」

ケイン「俺だって知るかよ・・・」

テレーゼ「なによ・・・なんなのよこれは!」

リサ「ちょっ!単独行動は!!」

テレーゼは走り出す。
目的地も無くひたすらに荒れ果てた大地を駆ける。
命の芽吹く事の無い、極寒のシベリアをその美しい赤毛を振りながら駆ける。
見渡す限りの触手の死骸の中から、セイジを探す。

テレーゼ「どこにいるのよ!!セイジ!!セイジ!!!!」

ケイン「テレーゼ!!気持ちはわかる!!だが落ちテレーゼ「邪魔すんな!!」

ケインが彼女を後ろから羽交い絞めにするも、彼女の筋力に勝てず振りほどかれる。

テレーゼ「四人分のジェルムを使ったのかもしれないのよ!!!どこかに!!どこかに倒れているのかも…」

慌てふためくテレーゼの頬を、リサが叩く。
かわいた音が響く。

リサ「落ち着きなさい・・・セイジを探すために何ができるか・・・まだ思いつかないけど…今は・・・焦るときじゃない・・・・」

テレーゼ「でも・・・でも・・・」

テレーゼ「あいつ・・いない・・・」

力なくうなだれるテレーゼをリサは静かに抱きしめる。

再び静寂が彼等を包む。
ただただ3人の息遣いしか聞こえない。
その静寂が、また彼等に絶望を受け入れさせる。
ここに・・・生命はいないと。

ケイン「おいおい・・・それどころじゃねぇ!上見ろ!!」

沈黙を破るように、ケインは叫ぶ。
彼の声につられ、リサが見上げる。

リサ「あれは・・・箱・・・庭?」

見上げた空には、今まで自分たちが破壊してきたそれとは比べ物にならない大きさの箱庭が浮かんでいた。

ケイン「どうすんだよ!話と違うじゃねえかよ!!あんなの・・・正真正銘の化けもんじゃねえか!!」

リサ「知らないわよ!!迎撃するしかないでしょ!!」

リサ「ねぇテレーゼ!!お願い!しっかりして!!」

リサが叫ぶ、しかしテレーゼは俯いて答えない。

テレーゼ「・・・・・・」

リサ「・・・・」

ケイン「奴等でてきやがった!!」

ケインたちに気が付いたのか、触手の尖兵たちがわらわらと出てきた。

リサ「テレーゼ!あんたそのままじゃ死ぬよ!!」

テレーゼ「もういい・・・こんな・・・こんなのってないよ・・・・」

ケイン「どうすんだよリサ!!」

リサ「ぐっ・・・二人じゃどうしようもないわ!!テレーゼを連れて後退する!!」

リサ(あまりにもバラバラになりすぎた・・・近距離二人で援護もなしにあの数は無理だ・・・)

リサはテレーゼを抱え来た道を戻る。

リサ「ケイン!!後ろは任せた!!」


リサにとって計算外であったのは、このテレーゼの状態であった。
セイジの生存は絶望的であるというのはわかっていた。
しかし、そのことでテレーゼが取り乱すとは考えてもみなかった。

ケイン「おいリサ!実は伝えたいことがある!!」

リサ「なによこんな時に!あとにしなさいよ!!」

ケイン「俺!!」

ケイン「俺・・・この戦いが終わったら・・・・あいつの処女・・・もらうんだ・・・」

リサ「馬鹿言ってないで!!死ぬんじゃないわよ!!」

リサが走り出そうと振り向いた。
そして驚愕する。








今まで気付く事の無かった、彼の存在に。

リサ「セイジ・・・・・?」

テレーゼがその言葉に反応して顔をあげる。

ボロボロの攻殻を纏ってはいるものの、その黒髪は間違いなく彼であった。

テレーゼ「セイジ・・・・セイジ!!」

彼女はセイジに飛び込む、そして彼もまたそれを受けて立たんと構える。

リサ「!?」

彼は構えた。

そう

構えたのだ。

リサ「テレーゼ!まっ!!!!」

リサの静止は間に合わず、彼女の目に最悪の光景が映し出される。






テレーゼ「・・・・・・えっ?」


彼の手に握られていた筒が、彼女の体に刺さる。




テレーゼ「せい・・・じ・・・?」


彼は答えない。

ただ彼女の目をじっと見つめていた。




テレーゼ「こんなのって・・・ないよ・・・かみ・・・さ・・・・ま・・・・」

彼女はそうつぶやく。

彼が筒を抜くと、彼女は彼の胸に倒れこむ。


リサ「おまえ・・・・」



私クレープ食べたい!

その前に明日の作戦のブリーフィングよ!




リサ「おまえええぇぇぇぇえっぇえ!!!!!」


リサは腰のシャムシールを抜き放ち、彼に勢いよく切りかかる。
彼女の攻殻の持ち味は速さ。
それを生かし、瞬時に間合いを詰める。

彼女は剣を振りかぶる。

名前ミスった

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