勇者「こうなったら屁で満たすしかない」賢者「!?」 (22)

今日中に終わらせたい予定。
食事中にご覧下さい。

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賢者「何を言っているんですか勇者様!」

勇者「シッ!魔王に聞こえる」

賢者「魔王は武闘家さんと盗賊さんとの戦いに集中しています」

勇者「とにかくもうそれしかないんだ」

賢者「どうしてそうなるんですか!」

拝啓母上様。
私は今、勇者様達と共に魔王城へ来ております。
ですが道中で大分スタミナを消費してしまい、そのまま焦るように魔王に挑んだもので、私達は窮地に立たされていると言っていいでしょう。
私のMPももはや最大値の4分の1、回復アイテムも尽きてしまい、最終決戦に相応しい緊張感を醸し出しております。


勇者「さっきの打ち合いで俺の剣が折れてしまった。武闘家と盗賊のスタミナも限界間近だろう。後は賢者のMPの使い方が勝負の鍵を握っている。そこで屁だ」

賢者「意味がわかりません」

勇者「初級の魔法と上級の魔法では消費MPの差が大きいな」

賢者「まぁそうですね」

勇者「そこでだ。この部屋を屁で満たせば、初期の炎魔法でも大きな炎になると思わないか?」

賢者「勇者様は気がお狂いでしょうか?」

勇者「見ろ、武闘家を」

賢者「?」


武闘家「フンッ!ハアアアァァッ!!」


勇者「あの鍛え抜かれた大きな体、きっと爆風のような屁をこけるに違いない」

賢者「偏見ですよ」

勇者「そして見ろ、盗賊を」


盗賊「ホラホラホラ!そんな攻撃じゃ、私に当てることすらできないよ!」


勇者「あの素早さで屁をこきながら走り回れば、すぐにここは屁で満たされるよな」

賢者「女性に何てことさせようとしてるんですか」

勇者「そして俺」

賢者「はい」

勇者「さっきから腹の調子が悪い。下手すりゃ屁じゃ済まない」

賢者「どうしてその体調で魔王に挑んだんですか」

拝啓我が親愛なる友、魔法使いさんへ。
私は現在、最終決戦で苦戦しております。この戦いが終わったら年頃の少女に戻り、また貴方と語り合いたいものです。
語り合いと言えば先日、私は貴方に恋の相談をしたと思います。私は恋の相手の事を、逞しくて聡明な方だと説明しました。
ですがそれは間違いだったようです。今現在私は、自分の中で初恋が冷めていくのを実感しております。


勇者「とりあえず俺が魔王の気を引くから、お前は武闘家と盗賊にこの作戦を伝えてくれ」

賢者「えー…」

勇者「じゃあ頼んだぞ。武闘家、盗賊、一旦集合!」

武闘家「ん?」

盗賊「はいよ」

勇者「魔王よ!確かに貴様は俺の剣を折った!しかぁし、貴様に俺の心は折れん!!」

賢者(以前ならかっこよく見えたんだけどなー)

盗賊「ねぇ賢者、勇者は集合かけて何をしようとしたの?」

賢者「あぁ、実は…」

武闘家「なるほど屁か」

盗賊「勇者の考えそうなことだね」

賢者「私は予想外でしたよ」

盗賊「けど問題あるねぇ」

賢者「そうですよね。やっぱりこんな作戦間違ってますよね!」

盗賊「そうそう、今こきたい気分じゃないし」

武闘家「少々時間がかかるな」

賢者「え」

拝啓お師匠様。
私は今、世界に平和を取り戻す為の最大の壁に挑んでおります。
お師匠様はおっしゃいましたね。「彼らとなら魔王を倒せるかもしれない。だからお前はお前の力を出しきれ」と。
逞しくて聡明な勇者様、己に厳しく弱者に優しい武闘家さん、大らかで勘の良い盗賊さん。彼らは確かにいい仲間でした。
ですが私は今の今まで大きな勘違いをしていたようです。


武闘家「ふぬうううぅぅぅぅ」

盗賊「くうううぅぅぅっ」

賢者「あのぅ、顔真っ赤になってますよ」

武闘家「話しかけるなァ!!肛門に空気をためるのは集中力勝負じゃあ!!」

盗賊「ぐ、ぎ、ぎっ」

賢者「やめましょうよこんなの、作戦としてどうかしてますって!」

武闘家「俺は…俺は勇者を信じている!!」

盗賊「勇者の考えた作戦なら…私は従うさぁ!!」

賢者(素晴らしくない団結力…)

以上がメモ帳に書き溜めた分なので、時間置いて続きを投下致します。
長くならないように気をつけます。

勇者「ぐあああぁぁっ!」ドサッ

魔王「ククク勇者よ、やはり剣なしでは無力だな…」

勇者「無力ではない!勇者とは剣で戦うのではない…希望で戦うんだ!」

魔王「そうかそうか…ところでお前の仲間はお前に戦わせて何をやっている?」

勇者「お前を倒す為の秘策さ…笑っていられるのは今の内だぜ魔王!」

魔王「フ、口だけは達者だな…勇者よ、貴様が希望と言うのであれば貴様から葬ってくれる!!」

勇者「希望は死なない!」


賢者(何かもううすら寒いわー。腹痛我慢しながら何言ってるんだろうあの人は)

武闘家「くぅ…た、溜まったぞ!!」

盗賊「こっちも!!」

賢者(良いタイミングで溜まるのも奇跡通り越しておぞましいわー)

勇者「よっしゃ行け、2人ともおおおぉぉぉ!!」

武闘家「フヌオオオォォォォォ」

盗賊「どりゃあああぁぁぁ」

賢者「…」

カキィン ダンダンッ ドゴゴゴッ バァン

賢者(戦闘の音に紛れて屁の音が聞こえない…良かった)

勇者「魔王~その程度じゃ希望は打ち砕けないぞぉ~」

賢者(こいたせいか、スッキリした顔してる…)

勇者「俺は人類の希望を背負いし勇…ウッ!」

勇者「…」

賢者「…」

勇者「お前には負けない…」ドヨーン

賢者「私に近寄らないで下さいね勇者様」

武闘家「そろそろいいぞぉ賢者あぁ!!」

盗賊「やっちまいなー!!」

賢者(あぁ、まさか本当にやる羽目になるなんて…)

賢者(てか引火したら皆も炎の巻き添えになるんじゃ…)

賢者「…」

賢者「ま、いいか」

賢者「放ちます、初級炎魔法!!」

ポッ

賢者「…あれ?」

賢者(距離を置いて放ったから魔王に当たりすらしないのはわかるけど…)

勇者「…」ブルブル

勇者「お前達イイィィ!!実はこいてなかったんだろ、戦闘音で誤魔化しやがってええぇぇ!!」

武闘家「あぁ!?俺はでっけぇのをぶっ放したわ!!」

盗賊「私だって!こきながら走るっていう華麗なテクニックを披露したよ!!」

武闘家「なら何故だ、何故引火しないんだあぁ!!」ダンダンッ

勇者「ハッ!まさか…俺の屁はフローラルの香りだから2人の屁を浄化してしまったのか!?」

盗賊「何てこったい、それじゃあ駄目じゃないか!」

勇者「クッ、すまん…俺の屁がフローラルなばっかりにいいぃぃ!!」

武闘家「万事休すううぅぅ!!」

賢者(燃やしたい、この友情)

魔王「…フ」

賢者「!?」

魔王「フ、ハハハハハハ!ハーッハッハッハ!!」

勇者「何がおかしい!」

賢者「貴方の頭です」

魔王「この魔王の間を屁で満たし、着火する作戦…とっくに見破っていたわ!」

勇者「な、何ィ!」

賢者「それを見破れる貴方も十分頭がおかしいですね」

盗賊「チィッ!何てこったい、秘策が見破られるなんて…」

武闘家「しかし、戦闘中の魔王に屁を警戒する様子は無かった…どうやって我々の屁を消し去った!?」

魔王「決まっている…」

魔王「貴様らの屁は!この鼻で!全て吸い付くしてくれたわああぁぁ!!」

賢者「…」

勇者「な…何てことだ…!!」

盗賊「魔王…何て恐ろしい奴!!」

武闘家「それじゃあ、もうこの作戦は通用しないじゃないか…!!」

賢者「…初級炎魔法、もう一発」ボソッ

魔王「ぐヮばドゴオオォォォォングチャグチャッ

勇者「うわあああぁぁ、魔王の顔面が爆発した!!」

武闘家「ぎゃあぁ、脳みそが服についたー!!」

盗賊「何をやったんだい賢者!」

賢者「魔王の鼻を狙って魔法を放ったんですよ」

勇者「鼻…?」

賢者「えぇ。鼻で吸い込んだなら、鼻から脳にガスが残っていると思いましてね」

武闘家「なるほど…!!」

盗賊「…ってことは」

勇者「俺たちついに魔王を倒したんだな!!」

賢者「どうしよう…嬉しくない」

勇者「ハッハッハ、それはまだ勝利を実感できてないからさ賢者!」

賢者「違います。あと近寄らないでって言ったでしょう」ペシッ


こうして最大の脅威は、最低の作戦によって破られたのである。

魔法使い「賢者ちゃん、疲れきった顔してるね?」

賢者「えぇ、まぁ…」

師匠「ほっほっほ、あの長い旅を終えたばかりじゃからのう」

母親「ゆっくり休みなさい賢者、そうしたら平和を実感するでしょう」

賢者「そうね…」

賢者(そうよね、もう平和になったんだわ。あの戦いのことは忘れよう)

勇者「おーい賢者ー」

武闘家&盗賊「おーい」

賢者「それ以上近づいたら燃やします」

勇者「ハハハ冷たいな賢者は。俺たち仲間じゃないか!」

賢者「元ね。何しに来たんです」

武闘家「実は魔王は倒したが、魔王の意思を継ぐ者が後に現れるかもしれなくてな…」

賢者「それは大変ですね…」

盗賊「だけど、その時には私達はこの世にいないかもしれない。そこで」

勇者「後世の為に、魔王戦の記録を残すことになったんだ!」

賢者「え」

武闘家「記録の者には少しの誤りもないよう、正確に魔王戦での様子を伝えておいた!」

賢者「ちょ、屁のことや勇者様が粗相したことも」

勇者「勿論、正確に伝えてある!」キラーン

賢者「恥じろ!」

盗賊「で、記録には私ら4人の名前と肖像画がバッチリ載るようだからね!それを知らせに来たんだよ!」

賢者「」


その後記録から私を抹消するよう手を尽くしたが無駄に終わり、私達は屁の力で魔王を倒した勇者一行として後世まで受け継がれる存在となる。
こんな風になるなら、あの時魔王に負けてしまえば良かったと私は永久に後悔した。


終わり

読んで下さりありがとうございました。
次があればマトモな話が書きたいです。

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