熊五郎(もう朝か…)
朝7時。
いつもなら母ちゃんに起こされ起床するこの時間。
だがその日の俺は、
誰に起こされるでもなく自然と目を覚醒(さ)ました。
"朝一人で起床する"
それは俺にとって始めての経験であり、
寝坊助な俺には通常、"ありえない"ことであった。
(チュンチュン)
(トントン…)
起きてすぐに、俺はある異変に気づく。
まず1つ目は感覚の異常。
いつもなら聞き逃してしまうような小さな音すらも拾える自分がいた。
外で餌をついばむ雀の鳴き声、下で母ちゃんが包丁を刻む音、
あらゆる情報が俺の耳に一斉に入り込んだ。
熊五郎(うっ……がはぁっ!)
嘔吐。たまらず嘔吐。
押し寄せる聴覚情報の波に酔い、俺はたまらず吐き出した。
熊五郎(ハァ…ハァ…)
そして二つ目の違和感…それは…
熊五郎(無性にマグロを触りたい…!!!)
圧倒的なマグロへの渇望だ。
マグロに触りたい。マグロの香りを嗅ぎたい。マグロを持ち上げたい。
マグロに対する欲求が、湯水のごとく湧いてくる。
熊五郎(マグロ…マグロ…マグロオオオオ!!!)
俺は転がるように階段を駆け下りて、台所に向かった
http://i.imgur.com/zJqOzeG.jpg
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熊五郎「母ちゃん!!」
母ちゃん「く、くま!?」
俺はさながら獲物を狙い打つシャチのごとく、台所に飛び込んだ。
母ちゃん「あんた一人で起きたのかい?
えらいじゃないかい!」
母ちゃんの純粋なる賞賛。
息子の成長を喜ぶ母がそこにはいた。
だが今の俺にとっては、そんなもの無価値に等しい。
そんなもの、養殖魚の撒き餌にしてしまえ。
熊五郎「母ちゃん!そんなことはどうでもいいから!そ、それよりも…!!」
熊五郎「マグロ!マグロはどこだ!」
母ちゃん「マグロ…?」
熊五郎「昨日俺が間違えて買ってきたやつがあったろ!」
母ちゃん「あるけど…どうしたんだいクマ。
あんたちょっと変だよ?」
熊五郎「いいから頼むよ!はやく俺にマグロをくれよぉ!!」
母ちゃん「わ、わかったよ。
わかったから、その気持ち悪いテンションやめやてくれないかい」
どすんっ…
熊五郎「……!!!」
母ちゃん「これのことよね」
机の上に乱暴に置かれたマグロ。
冷凍庫に入れたせいか、表面には霜が降りている。
白く化粧されたマグロの瞳は、
どこをみるでもなく、ジッと虚空を見つめていた。
その瞳は、どこか不気味でミステリアス。
そんな彼女を見て、
俺はもっと彼女のことを知りたくなった。
熊五郎「………」じーっ
虚ろな目をした彼女の瞳に、俺は身を乗り出して覗き込む。
俺の瞳を彼女の瞳に映し出す。
俺の瞳に彼女の瞳を映し出す。
彼女の大きな瞳に反射する俺が見えた。
彼女の瞳はどこまでも空虚で、どこまでも純粋だった。
言葉を交わすでもなく、ただ見つめ合う俺たち。
スッ…
意を決して、俺はゆっくりと彼女のエラに手を伸ばした。
…スベスベで張りがあり、ほどよく脂の乗ったよい魚肌…
熊五郎「……うっ!」
完璧な魚肌。俺はたまらず我を忘れた。
スッ、スッ、スッ、スッ
俺は欲望のままに彼女の全身をねっとりと舐めるように撫で回す。
優しく、スピーディ、そして大胆に両手を滑らした。
時には手のひらで、時には腕全体で、
ある時は自分の胸をも擦り付け、彼女を愛撫した。
いつの間にか、彼女の体の霜は水へと変わり、
彼女を湿らせていた。
熊五郎「ふふっ…感じているのかい…?」
彼女のエラにそっと手を添える。
彼女の空虚な瞳に少しだけ、光が灯した気がした。
母ちゃん「く……ま……?あんたさっきから何してるの…?」
ピッーーーーー
その時だった。
俺がさらなる抱擁をと、彼女の口元に顔を寄せたその刹那、
彼女の体が突然光輝いたのだ
母ちゃん「クマ、これは一体…?」
驚きのあまり、腰を抜かす母ちゃん。
…無理もない。
こんなこと通常では"ありえない"現象なのだから。
熊五郎「………」
こんなありえない光景を目の前にしながら、
俺は至って冷静だった。
俺にはわかっていた。
これが起こるべくして起こったことを。
これは俺が意図して起こしたことなのだ。
熊五郎「これが…」
誰に言うでもなく、俺はそっと呟いた
熊五郎「これが俺の能力…
サンマを強化する能力(チカラ)……!!!!」
PM3:00。
パソコンを前にして、ボクはひたすら自慰に耽っていた。
マウスを片手に閲覧するサイトはex-hentai。
良質エロの宝箱であり、数時間も見ていれば自然と果ててしまう神なるサイトだ
それなのに…
カンチ「くそ…くそっ!なんで!どうして!」
???「………」
閲覧を開始してからかれこれ10時間。
ボクのマグナムは何度果てても直立し続けた。
合計回数は既に20回を超えている。
カンチ「くそっ!もういい!」
僕は己のマグナムを抑えることを諦めた。
明日は学校があるのだ。
こんなことで夜更かしして明日寝坊するわけにはいかないのだ
布団に潜り込む僕。
すると、どこかから声が聞こえた。
そう、それは響くようなバリトンボイスだ。
???「我が名は"トーテムポール"…チンコを司る精霊なるぞ…」
???「我は汝のチカラなり…
我は汝にチカラを与えるもの…」
???「我こそは
"男のトーテムポールを直立させ続ける能力(チカラ)"」
???「求めよ…さすれば与えん、わがチンコを…」
"何をわけのわからないことを言ってるんだ?"
そんな言葉を口に出そうとするが、
言葉はついぞ出てこない。
こいつは何者で、こいつが何を言ってるのか、
それを僕は本能で直感していた。理解して"しまったのだ"
カンチ「………っ!」
それでも僕は認めない。
ありえない、こんなことはありえないのだ。
ありえてしまってはいけないのだ。
僕の股間から巨大なトーテムポールが生えてきて、
いきなりチンコが喋り出すなんて"現実"、
受け入れられるはずかない……!
カンチ「………」
未だ聞こえ続ける雑音を遮るように、
僕はヘッドフォンをしてそのまま眠れない夜を過ごしたのだった…
http://i.imgur.com/XvJLKAt.jpg
このSSまとめへのコメント
ケータ「なんだこいつら」
今更だけど、妖怪ウォッチの
クマの名前は五郎太だぞ。