絵里「あの頃のように」 (51)
えりち誕生日おめでとうSSです
書き溜めあり
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絵里「……はい」
穂乃果「もしもし、絵里ちゃん?」
穂乃果「お誕生日、おめでとー!!」
穂乃果「穂乃果が一番乗りだよね!」
絵里「……」
絵里「ねえ、穂乃果……今日って何日?」
穂乃果「絵里ちゃん自分の誕生日も忘れちゃったの!?」
穂乃果「今、21日になったとこだよ」
絵里「残念。こっちはまだ10月20日の夕方よ?」
穂乃果「えっ……」
絵里「時差を考えてなかったでしょ」
穂乃果「あはは……忘れてた……」
私は高校卒業後は日本の大学に進んだけど
やっぱり自分の故郷をもう一度見ておきたくてロシアに戻ってきたの
日本も大好きだし、何より大切な仲間がいる場所だから
すごく、悩んだけど……
絵里「穂乃果はフライングね」
穂乃果「そんなぁ……一番最初にお祝いしようと思ってたのに」
絵里「ふふっ、ありがと」
絵里「最近はどう?ちゃんとやってる?」
穂乃果「うん、少し慣れてきたよ」
穂乃果「やっと、一人でお菓子作るの許してもらえたんだよ!」
穂乃果「海未ちゃんには『まだまだですね』って言われるけど」
穂乃果は高校卒業後、専門学校で和菓子の勉強をした後、実家を継いだの
といっても、まだ見習いらしいわ
この前も『雑用ばっかりで手伝いしてた時と変わらないよ!』ってぼやいてたし
穂乃果「あ、穂乃果特製のおまんじゅう、絵里ちゃんにも送ったからね!」
穂乃果「自信作なんだ!食べて感想きかせてね」
絵里「ほんと?楽しみにしてるわ」
穂乃果「……ねえ、絵里ちゃん、いつ帰ってくるの?また、みんなで遊びに行こうよ」
絵里「そうね……まだ、解らないの
絵里「でも、決まったら連絡するわ」
穂乃果「うん、絶対だよ!」
絵里「ええ……」
穂乃果「穂乃果、明日も早いからもう寝るね。おやすみ」
絵里「ええ、おやすみなさい」
最後にみんなで遊びに行ったのはいつだったっけ
卒業してからは忙しくて、集まることは少しずつ減っていった
社会人になってからは、全員が集まったことはほとんどない
本当はこれって良いこと……なのよね
みんな自分の生活が充実してるってことだし
でも……
凛「お誕生日おめでとにゃー!」
絵里「ふふ、ありがとう、凛」
穂乃果の電話を切った直後に凛からの電話
凛も一番乗りを狙ってたみたい
絵里「でも、凛もフライングね」
凛「へ……まさか凛間違えた!?」
凛「絵里ちゃんの誕生日って21日だよね?」
絵里「そうよ」
絵里「でも、こっちではまだ20日なの」
凛「え?」
花陽「凛ちゃん、時差があるから……」
凛「あー!忘れてたにゃ」
絵里「花陽も一緒なの?」
凛「うん、今日はかよちんと一緒に絵里ちゃんの誕生日を祝おうと思って家に呼んだの」
花陽「絵里ちゃん、お誕生日おめでとう」
絵里「ありがとう、花陽」
花陽「うん!」
凛「あ、かよちんと凛の誕生日プレゼントはもう送っておいたよ!」
花陽「やっぱり、ロシアで手に入らないものがいいと思って……おいしいお米送ったよ!」
やっぱりね
花陽らしいわね
手に入らないわけではないけど、ありがたいかも
お米の味って日本を思い出せるから……
それに、花陽の選んでくれるお米って本当に美味しいの
絵里「凛は何を送ってくれたの?」
凛「それは届いてからのお楽しみにゃ!」
絵里「それは楽しみね」
絵里「最近の音の木坂はどう?」
花陽「うん、相変わらずだよ」
花陽「ちょっとずつ生徒の数も毎年増えて、賑やかになってきてるの」
凛と花陽は大学卒業後は高校教師になったわ
しかも、二人共、母校の音ノ木坂で
花陽「今のアイドル研究部もがんばってくれてるから……」
凛「今年こそは打倒UDXってみんな頑張ってるんだよ!」
花陽「凛ちゃんのダンス指導、すごく気合入ってるんだよ?」
凛「そ、そんなことないよ」
凛と花陽はアイドル研究部の顧問もやってるみたい
私達が卒業してμ'sが解散した後も穂乃果や凛達がアイドル研究部としての活動を続けてくれて
おかげで今でも音の木坂のアイドル研究部はそこそこ有名なの
絵里「高校時代の私の指導のおかげね」
凛「あの頃の絵里ちゃんはすごく怖かったにゃ……」
絵里「海未ほどじゃないわ」
花陽「あはは……いつも練習終わる頃にはみんなヘトヘトだったよね」
花陽「なんか懐かしいね……」
絵里「そうね……」
今日は穂乃果や花陽、凛と話して高校時代のこと思い出しちゃった
馬鹿みたいに必死だったわね……音の木坂を守らなきゃって
でも
希が義務感なんかじゃなく自分のしたいことをしろって背中を押してくれて
穂乃果が一緒にやろうって引っ張ってくれて
私はようやく自分の気持ちに素直になれたのよね
寝る前に携帯を見ると、0時ちょうどに穂乃果と凛から誕生日を祝うメールが来てた
よっぽどフライングが悔しかったのね
翌朝は、かわいい後輩からバースデーカードが届いたの
――――――――――――――――――――――――――――――
絵里、お誕生日おめでとう
本当は電話で伝えたかったんだけど、当日は忙しくて電話できそうにないの
メールよりはこっちの方がいいでしょ?
電話も近いうちにするつもりだけどね
どう、元気にしてる? 絵里のことだから無理してないといいけど
私はそこそこね
でも、この仕事がこんなにキツイなんて思わなかったわ
今更になって高校時代にもっと体力をつけておくんだったって後悔してる
もし、帰国するなら教えて
何とかして予定空けるから
飲みに行きましょう?
聞いてもらいたい愚痴も山ほどあるし
また会える日を楽しみにしてるわ
真姫
P.S.
大したものじゃないけど、プレゼント送っておいたわ
受け取ってね
――――――――――――――――――――――――――――――
真姫ってお酒はあまり強くなかった気がするけど……
それだけストレスの溜まる職業ってことよね
今度会ったら愚痴くらい聞いてあげようかしら
といっても、真姫は忙しいから中々予定を合わせるのは大変そうね
それにしても、真姫は本当に変わったわね
どこか冷めていて誰にでも距離を取ってしまう所があったけど……あの合宿以来かしら
ラブライブ最終予選で使う曲を作った時だってそう
真姫があんなにラブライブに本気だったなんて
しかも、希の夢を叶える手伝いをしてくれるなんて……
初めて会った頃の真姫からは考えられなかったわ
海未「絵里、少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
絵里「ええ、大丈夫よ」
海未「ありがとうございます……誕生日のお祝いをしようと思いまして」
海未「改めまして、誕生日おめでとうございます、絵里」
絵里「ふふ、ありがとう海未」
お昼頃に海未も電話してきてくれたんだけど……
相変わらず堅いわね
海未「お久しぶりですね……お元気でしたか?」
海未「絵里に限って大丈夫だとは思いますが、体調を崩していたりなどは…ロシアは既に寒いでしょうし」
絵里「きっと想像してるほど寒くないわよ?」
絵里「真姫もだけど、海未も私の体調を心配してくれるのね」
絵里「私、そんなに危なっかしい?」
海未「い、いえ、そんなつもりでは…・…」
海未「ただ、絵里は無理をしすぎることがありますから」
絵里「ふふ、冗談よ、ありがとうね」
ちょっとからかいがいのある所も変わってないみたいね
そこが海未の可愛いところなんだけど
絵里「でも、海未こそ無理しちゃダメよ?」
海未「いえ、私は鍛えていますから」
海未「心配は要りませんよ」
海未は大学卒業後は就職したんだけど
将来家業を継ぐために今でも毎日稽古をしてるみたい
昔から文武両道の海未らしいわね
今の私なんかより、よっぽど無理してるんじゃないかしら
絵里「海未はすごいわね」
海未「……?」
海未「私は別にすごくなど……毎日同じことを繰り返しているだけですし」
絵里「……それがすごいのよ」
海未だけじゃない、穂乃果も凛も花陽も……
あの頃と同じように自分のできること、やりたいことを頑張ってる
私は……どうなんだろ?
故郷に戻って来て、自分のやりたい事をあの頃みたいに頑張れてるのかな
海未「では、私はこれで……」
絵里「あ、待って」
絵里「そのうち、みんなで集まりましょう?積もる話もあるし」
海未「絵里、帰国するのですか?」
絵里「まだ決めたわけじゃない……けど」
絵里「みんなの顔見たくなっちゃったわ」
海未「そうですか」
海未「ふふ…では、楽しみにしていますね」
絵里「ええ」
海未「あ!忘れるところでした」
海未「ささやかですが誕生日プレゼントを送りましたから、受け取ってくださいね」
絵里「ありがとう、海未」
ことり「……もしもし、絵里ちゃん?」
ことり「今って大丈夫かな」
絵里「ええ」
ことり「お誕生日おめでとう!」
絵里「ありがとう、ことり」
ことり「よかったー……ギリギリセーフだね」
私の誕生日が終わるまで、あと一時間ほど
やっぱり、売れっ子デザイナーは忙しいみたいね
ことり「今日は電話できなんじゃないかって思ったよー」
絵里「最近はまた忙しいの?」
ことり「うん、色々立て込んじゃって……」
ことり「でも、絵里ちゃんのお誕生日のお祝いしないわけにはいかないよ」
絵里「ふふっ、嬉しいわね」
絵里「そういえば、ことりは今どこにいるの?」
ことり「えへへ…どこでしょう?」
ことり「意外に絵里ちゃんに近い所にいるよ」
絵里「ここから近くて、ことりの行きそうな場所だと……フランス?」
ことり「正解♪今はパリにいるんだよー」
絵里「羨ましいわ……私もショッピングとかしたいわ」
ことり「でも、忙しすぎて全然遊びにいけないの」
絵里「それは残念ね……」
ことり「ことりはそろそろ日本に帰ろうかなって思ってるんだけど」
ことり「絵里ちゃんは戻ってこないの?」
絵里「そうね……少し考えてるわ」
ことり「そっかぁ……またみんなで集まりたいね♪」
絵里「ええ……」
ことり「そういえば先週、希ちゃんに……あっ!」
絵里「……え?」
ことり「な、なんでもないよ」
絵里「今、希がどうって……」
ことり「ナンデモナイヨ ?」
ことり「そ、それじゃあ夜も遅いから……」
絵里「え!? ちょっと」
ことりが電話してきてくれたのはすごく嬉しかったけど
最後に希がどうこうって言っていたのは何だったのかしら?
慌てて誤魔化そうとしてたみたいだし……
にこ「にっこにっこにー!絵里ちゃん誕生日おめでとニコ☆」
絵里「……にこは遅刻ね」
にこ「ちょっと!今を時めく大人気アイドルのにこちゃんが誕生日を祝ってやってんのよ!?」
にこ「確かに遅れたのは悪かったわよ……」
にこは日付が変わってから電話してきてくれたわ
今一番忙しいのはにこかもしれないもの
絵里「冗談よ」
絵里「別に気にしてないし、誕生日のお祝いをしてくれてすごくうれしいわ」
にこ「……」
にこ「と、当然よ!感謝しなさい」
にこ「にこちゃんに誕生日を祝ってもらえるなんて全国のファン垂涎なんだから!」
絵里「ふふっ…もしかして、にこ照れてる?」
にこ「う…うっさいわねぇ!」
絵里「にこ、久しぶりね」
絵里「元気にしてる?」
にこ「あんたに心配されなくても大丈夫よ」
絵里「そうね」
絵里「でも、こっちではにこの活躍が見れなくて、残念だわ」
にこ「心配要らないわよ」
にこ「そのうちロシアまで活躍が届くくらいのアイドルになるんだから」
にこは夢を叶えたのよね……
卒業後も地道に活動して
日本ではたまにテレビで見かけるほどになったみたい
にこ「ねぇ、絵里……帰ってくる気はないの?」
にこ「みんなあんたに会いたがってたわよ」
絵里「にこも?」
にこ「は?」
絵里「『みんな』にはにこも入ってるんでしょう?」
にこ「……やっぱり帰って来なくていいわ」
にこ「でも、穂乃果や凛は寂しがってたわよ」
にこ「何年たってもあいつらにとってあんたは『頼れる先輩』なんだから」
絵里「ええ……」
少しからかいすぎたかしら
でも、本気で一時帰国を考えようかな
誕生日をお祝いしてもらって、久しぶりにみんなと話して
あの頃の事を少し思い出したし……みんなに会いたいと思ったから
絵里「あ、そうだ」
絵里「ねぇ、希がどうしてるか知ってる?」
にこ「えっ……」
にこ「さ、さぁ?どうせまたどっかフラフラしてるんじゃないの」
にこ「絵里が知らないのににこが知ってるわけないでしょ」
絵里「そう……」
絵里「最近、連絡が来ないから少し心配してたの」
にこ「まあ、あいつなら大丈夫なんじゃない?」
絵里「……そうね」
希だけまだ連絡が無いのよね
なによ……誕生日くらいお祝いしてくれてもいいじゃない
―――――
――――――
――――――――
……あれ?
ここは……部室?
そんなわけ……ないわよね
ああ、夢か
こんな夢を見るなんて……
高校時代のこと、みんなのことを考えてたからかな?
希「ねぇ、えりちって」
絵里「へ?な、何?」
希「ボーっとしてたん?」
絵里「え、ええ……」
希「今日の夜って暇?」
絵里「え?何よ突然」
希「いいから」
絵里「暇だけど……」
希「それならウチとちょっと遊びにいかへん?」
希「ちょっと見せたいものがあるんよ」
穂乃果「なになに、絵里ちゃんと希ちゃん今日遊びに行くの!?」
穂乃果「いいなー」
希「お?穂乃果ちゃんも来るん?」
穂乃果「うん!行きたい!」
凛「何か面白そう!凛も行きたいにゃー」
希「ええよ、せっかくだし、みんなで行こか」
絵里「ちょっと、希!私はまだ行くなんて……」
希「たまには夜遊びもええんやない?元生徒会長さん」
絵里「もう、勝手なんだから……」
ああ……これって
高校3年生の誕生日の日だ
あの日はたしか、みんなが部室でパーティーを開いてくれて
その後、突然希が夜に遊びに行こうって言い出したんだっけ
希「みんな揃った?」
穂乃果「うん!」
凛「全員いるにゃー!」
海未「穂乃果、凛、時間が時間なんですから大声出さないで下さい!」
穂乃果「海未ちゃんだって大声だしてるじゃん!」
花陽「なんだかドキドキするね……」
ことり「うん♪」
にこ「なんで夜じゃないといけないわけ?眠いんだけど」
希「まぁええやん、後悔はさせへんよ?」
絵里「希……その大きい荷物は何なのよ……」
希「これ?これは後で役に立つんよ」
真姫「ねぇ希、それって望遠鏡よね?それに今日って……」
希「あちゃー気づいちゃったか…流石真姫ちゃんやね」
絵里「希、そろそろ何で夜に集まったか説明してよ」
希「うん……今日はオリオン座流星群がよく見える日なんよ」
希「ちょうどえりちの誕生日やし……みんなで見たいなって」
絵里「希……」
真姫「そういうこと……希って意外にロマンチストよね」
希「なっ……照れるやん」
凛「あー!流れ星!」
穂乃果「え!?どこどこ」
ことり「あっ!あっちにも」
海未「希が見せたかったのはこれだったんですね」
絵里「……希、ありがとう」
希「どうしたん?今日は素直やね」
絵里「最高の誕生日プレゼントだったわ」
希「ふふっ、どういたしまして」
希「でも、感謝したいんはウチの方なんよ」
希「流れ星が好きでいつも一人で見てたんやけど」
希「今日はこうしてみんなで見れた」
希「……でも、みんなと居られるのもあと少しなんやね」
絵里「そんなことないんじゃない?」
絵里「卒業したらおしまいなんてこと…無い、と私は思うわよ」
希「こうやって集まることは減るんやない?」
希「今は毎日会ってるけど、少しずつ会う機会も減るだろうし……」
絵里「それでも、お互いが会いたいと思ってるなら会えるわよ」
絵里「どこに居たとしても、会いたい時は会いに来ればいいのよ」
絵里「それが友達なんじゃないの」
希「ぷっ…あはは……」
絵里「な、何がおかしいのよ!」
希「だって……えりちが…『友達』なんて…」
絵里「もう……」
希「でも、案外そんなもんなのかもしれんね」
うぅわあああ……!
私、こんな恥ずかしいこと言ってたかしら……
―――――――――
――――――
―――
「えりせんせー『オデン』はのみものなの?」
絵里「おでんは飲み物じゃないわ」
「じゃあ、カレーは?」
絵里「それも違うわ」
休日は教会で子供達に日本語を教えるボランティアをしているの
故郷の人達にも日本を知ってほしいし
「あれー!せんせい!だれかきたよ」
誰だろう
地元の人はこの時間は使ってることは知っているし
……観光客かしら?
絵里『すいません、この時間は……』
??「あちゃー……道を聞こうと思ったんやけど」
??「ウチ、ロシア語は全然解らないんやった……」
日本語……?
日本人観光客かしら?
それにしても、変な関西弁ね
まるで、あの子みたいな……
絵里「あの、私は日本語解りますけど」
絵里「どこまで行きたいんですか?」
??「えっと……ウチ、アヤセエリって日本人を探してるんよ」
絵里「え……」
??「……」
希「もしかして……えりち?」
絵里「の、希!?」
希「えりち、どうしてこんな所ににいるん?シスターになったとか?」
絵里「それはこっちのセリフよ!!」
絵里「な……なんで希がここに……」
『せんせーどうしたの?』
『しってるひと?』
絵里『あっ…ちょっと待ってて』
絵里「と、とにかく、どこかで待っててもらっていい?」
絵里「今少し手が離せないから、これが終わったら行くわ」
希「あ……うん」
―――――――
絵里「それで?どうしたのよ突然」
希「うん、近くを通りかかったからえりちに会おうかなって」
絵里「どうしたら『近くを通りかかる』のよ!?」
希「たまたまこっちの方に用事があったんよ」
絵里「それにしたってここまで遠いじゃない」
希「あはは……まあいいやん」
絵里「はぁ……」
絵里「最近、連絡もよこさないで何してたのよ」
希「あー……悪いと思ったんやけど、最近忙しかったんよ」
希「それに、せっかくならサプライズの方が面白いやん?」
希「でも、まさかあんなとこで会うとは思わんかったわ」
絵里「……まぁ、狭い街だからね」
希「うん、でもいいとこやんな」
希「どこか、音の木坂に似てる気もするし」
絵里「ねぇ、今日は泊まる所あるの?」
希「あ……」
絵里「何も考えてなかったのね」
絵里「いいわ、家に来なさい」
希「ええん?」
絵里「いいも何も……あの頃は私だって希の家に何度も泊まったでしょう?」
希「そうやったね」
希「へー…えりち一人暮らししてるん?」
絵里「ええ、実家に居ることも多いけどね」
絵里「それより希……その大荷物は何なのよ」
希「あ、忘れる所やった」
希「えりち、誕生日おめでとう!」
絵里「……遅い」
希「ごめんて……当日に着くはずやったんやけどなあ」
希「この荷物はな、みんなから誕生日プレゼント預かってきたんよ」
絵里「そうなんだ」
って……え!?
確かにみんなプレゼントを送ったって言ってたけど
『送る』って郵送じゃないの!?
希「これは穂乃果ちゃんから、特製ほむまんやね」
希「最初は穂むらも穂乃果ちゃんの代でおしまいか……なんて思ったんやけど」
希「最近のは結構いけるんよ?」
絵里「最初のは穂むらが潰れるほどだったのね……」
希「こっちは花陽ちゃんのお米やね」
希「最初はおにぎりを作るって張り切ってたんやけど……」
絵里「きっとここに着く頃には食べられなくなってるわよね」
希「お米も重くて持ってくるの大変やったけどね……」
希「凛ちゃんはラーメンセット」
希「あの二人は自分の好きなものをプレゼントにするタイプやなぁ」
絵里「炭水化物が多いわね……」
希「真姫ちゃんからはワイン」
希「一緒にえりちが好きな銘柄買いに行ったんよ?」
絵里「ものすごく高いものじゃなくてよかったわ……」
絵里「お返しに困ってしまうし」
希「そやね」
希「海未ちゃんのプレゼントは万年筆みたいやね」
絵里「流石、海未……渋いわね」
希「えりちが欲しいもの解らなくてメッチャ悩んでたんよ」
絵里「でも、嬉しいわね」
絵里「ありがたく使わせてもらおうかしら」
希「ことりちゃんは…」
絵里「あ!そういえばことりが希がどうって……」
希「え?ああ…ことりちゃんとはパリで会って受け取ってから来たんよ」
希「ことりちゃん、危うくバラしちゃうところやったんか……」
希「帽子みたいやね」
絵里「人気デザイナーの手作りって何気にすごいかも」
希「にこっちはコレ」
希「自分が出演したライブのDVDやね」
希「直筆サイン入り!」
絵里「……ちょっと待って」
絵里「にこから直接これ受け取ったのよね」
希「そうやね」
何よ!
希がどうしてるか知らないなんて言って
会ってるじゃない!
にこには後で問いただしておく必要があるわね
しかもプレゼントが自分の出演するライブDVDって
絵里「……にこらしいと言えばにこらしいわね」
希「うーん……えりちにも自分の活躍見て欲しかったんやない?」
絵里「そうかも……にこも可愛い所あるわよね」
絵里「後で見て感想をにこに送っておくわ」
絵里「それで……希は?」
希「へ?」
絵里「希のプレゼントは?」
希「あー……」
希「プレゼントは……ウ・チ?」
絵里「……」
希「じょ、冗談やって」
希「さっき、近くのお店でチョコレートケーキ買ってきたから食べよ?」
絵里「いいわね」
希「久しぶりにえりちとお泊りなんて嬉しいなぁ」
絵里「事前に連絡が欲しかったわ……」
希「『どこに居ても、会いたい時は会いに来ればいい、それが友達』なんやろ?」
絵里「なっ……どうしてそんなこと覚えてるのよ!」
もう、どうでもいいことばっかり覚えてるんだから……
でも、正直言えば来てくれてすごく嬉しかったわ
希には絶対に言わないけどね
今、みんなに会ってもあの頃みたいには戻れないんじゃないかって心配してたけど
そんな心配要らないわね
やっぱり、帰国することにするわ
日本でみんなに会いたいもの
ふふっ……今から楽しみね
end
終わりです
えりち誕生日に合わせようとやっつけで書きました
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