響「貴音が腹痛で倒れたぞ!」 (163)

P「なんだって、大丈夫なのか!?」

響「うん、いま事務所のソファーベッドで寝かせてるんだけど、冷や汗たらしながらうわ言でプロデューサーを呼んでるんだ。早く貴音の所に来て!」

P「うーん、貴音が腹痛かぁ」

P「…………」

響「……プロデューサー?」

P「なんか逆に、『よくこれまで腹痛にならなかったよな』って感じのほうが強いな!」

響「それは自分も思ったけど言わないのが優しさだぞ!」

P「いつもとんでもない量食ってんだぜ。そら腹くらい痛くなるわな」

響「そんなこと言ってないで、早く事務所に来てよ!」



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P「よし、オレも向かおうか。しかし早く救急車を呼んだほうがいいんじゃないか? 腹痛の対処法なんて正露丸を飲むくらいしか思いつかないぞ」

響「自分もそう言ったんだけどな。119番をかけようとしたら貴音が鬼の形相で止めるもんだからさ」

P「? 病院にトラウマでもあるのか?」

響「だから呼ぶに呼べなくてさ。今も春香がずっと事務所で看ててくれてるんだ」

P「ふーむ」

響「…………」

P「貴音のヤツ、まさか空腹に耐えきれなくて道端に落ちてるモノを……」

響「あーっもう!! そういうの今はいいから! とりあえずこっからタクシー捕まえて早く事務所に行くぞ! タクシー!」

P「いや、それともラーメン屋にあるラー油をお茶と間違えてガブ飲みしたとか!」

響「アンタは貴音をなんだと思ってるんだ!」


ー765プロ正面ー

キキーッ

響「よし、降りるぞ!」ガチャッ

P「運転手さん、ありがとうございました。えっ、一緒に乗っている女の子がカワイイ? そりゃそうですよ。なんたってアイドルの卵ですから。ん、何を急いでるかって? いやあ、オレの担当アイドルが腹痛おこしちゃったらしくてさー、それで……」

響「プ・ロ・デ・ュ・ー・サ・ー・?」

P「急いで行かなくちゃならないんです! さよならっ!」ダダッ

タッタッタッ

響「全く、今は非常事態なんだぞ」

P「正直スマンかった。反省している」

響「いまでも貴音は辛いのをガマンしてプロデューサーが来てくれてるのを待ってるんだぞ。それなのに……」

P「でもさ、あの人、響のことカワイイって言ってくれたしさ。ファンになってくれるって! そーいうの聞いたらやっぱ嬉しくなっちゃうよな!」

P「う、うが-! そんな軽い気持ちで女の子にカワイイなんて言っちゃダメだぞ!」

P「ん、なんで言っちゃダメなんだ? 響がカワイイのは事実なんだから仕方ないだろ」

P「ぷ、プロデューサー……///」キュン

スパーン!

P「痛いッ!」

響「くだらない一人芝居はたいがいにしとけよコラ」

P「ひ、響ちゃん。アイドルがしてはいけないお顔になっていますのことよ?」

響「誰のせいだと思ってるんだ!」




―765プロ事務所―

バターン!

響「貴音!!!」

春香「あ、響ちゃん。プロデューサーさんは?」

響「連れてきたぞ。まったく、貴音はどうしてこんなのに全幅の信頼を置いてるんだ……」

春香「ま、まあプロデューサーさんは根っこはいい人だからね」

響「そうかなぁ。とにかくプロデューサー。貴音をみt」

P「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおたかねええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

響「!?」

春香「ちょっと、プロデューサーさん!?」


P「貴音、大丈夫か貴音!! しっかりするんだ、貴音!!」

響「ぷ、プロデューサー。落ち着いてよ」

P「貴音、目を開けろ!! 約束しただろ!! 一緒にトップアイドルへの道を駆け上がっていくんだって!!」

P「オレを残していくのか? そんなの許さないぞ! オレは最後までお前の面倒を見てやるって決めてるんだ。勝手なことは許さないからな!」

響「プロデューサー」

P「この前約束したラーメン屋にもまだ行ってないだろ! 大丈夫だ。次に行くときは定期を解約しておくから思う存分食べていいんだぞ!」

響「ねえ、ちょっと」

P「ああ、かわいそうな貴音……。髪もこんなにも白くなってしまって……」

P「貴音がいなくなったらオレはどうすればいいんだ……。オレは誰をプロデュースすればいいんだ……」

P「プロデュースするアイドルがいないんならオレはもうプロデューサーじゃない。オレの『P』は、ただの『Person』の『P』だ……。ただの一般ピーポー君だ……」

響「だからプロデューサー」

春香「貴音さん、さっきから起きてますよ……」

P「!」


貴音「あ、あなた様。痛いです……」

P「おお、愛しいオレの貴音!」

春香「ぷ、プロデューサーさん!? 『愛しい』ってなんですか! 『オレの』ってなんですか! まさかプロデューサーさんは貴音さんを///」

響「春香うるさい! 貴音、大丈夫か?」

貴音「おや、響ではありませんか……。そのような険しい顔をして、どうしたのですか……?」

響「貴音が心配だからに決まってるじゃないか! 腹痛はおさまらないのか?」

貴音「いえ……先ほどと比べるとだいぶ和らいでいるとみえます……」

P「そうか、貴音は大丈夫なんだな……」

貴音「あなた様、ご迷惑をおかけしたようで……」

P「迷惑だなんて言うなよ。オレは貴音が心配だからここに来たんだ」

貴音「あなた様……」

P「思ったより大丈夫そうで良かったよ。貴音」

貴音「…………///」




響「…………」

春香「響ちゃん?」

響「いや、さっきまでのプロデューサーを貴音に見せてやりたくてさ」

春香「?」

貴音「それと、あなた様」

P「なんだ?」

貴音「私の髪は白ではなく銀髪です。それにあなた様とお会いした時から色は変わっておりません……」

P(…………!!)

響(……あの顔! まーた変なこと考えてるな)

P(オレのボケをしっかり拾ってくれた! さすがお姫ちん!)


P「うーむ、結局のところ貴音の腹痛の原因はなんなんだ?」

響「貴音、心当たりないか?」

貴音「いえ……今日もいつも通りの食事をしてきただけですので……」

春香「いつも通りって、どれくらいですか?」

貴音「朝からとんこつらぁめんを少々……」

P「Oh……こいつはHeavyだ」

響「待った。『少々』ってどれくらい?」

貴音「……1杯ほど」

響「……本当は?」

貴音「替え玉を5つほど頼みました……」

春香「……なんかもう普通の物差しじゃあ測れないですね」

響「というかスープは足りるのかコレ」

P「しかし、そうだとしてもこれが貴音の『いつも通り』なんだろ? 今回いきなり腹痛を起こすなんておかしくないか?」

響「たしかに……貴音がラーメンを食べるのはいつものことだしな」

P「それでいてボディラインや体重もキープしてる。驚いたことにこの前765プロで行った健康診断の時も『異常なし』だったしな」

春香「にわかには信じられないですね」

P「つまり、今回の貴音の腹痛には、食べ過ぎ以外の何かが存在する……?」



春香「何かって……いったい何があるんですか?」

P「貴音、食事以外で心当たりは?」

貴音「いえ、ありません……そもそもこのように激しい腹痛はこの度が初めてですので……心当たりを探そうにも……」

P「ふーむ、まあ、そうなるかな」

響「だからって、このままにしておけないぞ。またいつ腹痛が起こるかわからないなんて」

春香「そうだね、こんな状態のままだったらアイドル活動も安心してこなせないだろうし」

P「貴音、何かストレスはないか? 仕事のこととか、他のアイドルのこととか、気になることがあったら言ってみてくれないか? オレに言いたくないなら響や春香にだけでも」

貴音「いえ……そのようなことは何も……」

P「本当に?」

貴音「…………」


貴音「私はあなた様と一緒になれたこと、とても感謝しているのです……961ぷろにいた私たちに声をかけてくださり、そして再びあいどるとして輝かせてくださり……」

P「貴音、そんな……」

貴音「ですから、765ぷろにいることに、不満など何も………ううっ!!!」

P「貴音!? どうしたんだ、貴音!!!」

春香「貴音さん!!」

貴音「~~~~~~~っっ!!! またっ……!!」

P「『また』だって!?」

響「また腹痛が始まったのか!?」

春香「どどどどどうしましょうプロデューサーさん! 貴音さんがぁ……!!!」

P「大丈夫か、貴音! 気をしっかり持つんだ!」


貴音「~~~~~~~~~~っっっ!!!!」

響「貴音、苦しそうだぞ……」

春香「やっぱり救急車を」

貴音「なりませんっ!!!!!」

春香「!?」

貴音「あれは……なりません……あの者の力を借りるなど……!」

P「脂汗かきながら言うセリフじゃないぞ! ああもう、どうすりゃいいんだ!!」

貴音「大丈夫です、あなた様……。私には、いざと、いう、とkには、あrが、wたくし、を…………」

貴音「ああっ…………」

「………………」


P「たっ、たか、ね?」

春香「えっ……う、うそ……」

響「おい、貴音、どうしたんだよ」

P「――――っ!」

春香「ああ、ああ、あああ………」

響「貴音! どうしたんだよ、貴音!!! こんな時に冗談やめろよな!!!」

響「貴音!! おい、さっきまで自分たちと話してたじゃないか!!! 貴音ぇ!!!!」

P「待て、響。落ち着け」

響「落ち着いていられるか!!! たかねええええええええええええええっ!!!」

P「落ち着け、響!!!」

響「うるさいプロデューサー! 何でそんなに冷静なんだ! 早く貴音が、貴音がぁ!!!」


P「いや、違う。見てみろ、貴音の口が……」

春香「口、ですか?」

響「?」

P「ああ、よく見てみろ」

春香「あ、開いてる……?」

P「そうだ、さっき貴音の顔を見たときは、口は開いてなかった」

バキッ

響「え、なんか口がどんどん広がって、広がって」

バキバキバキッ!

P「!?」

春香「おおっ!? 貴音さんの口が広がってはいけない方向に広がっていく!」

響「えっ、何これ、なんなのこれ!?」

春香「な、何か出てくるの!?」

P「何が……起こっているんだ!!!」





しじょーん

??「しじょっ!」[着地]

P「あ…………」

響「え、ああ…………」

春香「な、な、な…………」

一同「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

??「しーじょっ!」

見てる人いるかわかんないけど飯食ってくる
レスつけてくれるとありがたいかも

レスありがと
飯食ったので再開します


P「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ……。貴音が気絶したかと思ったら貴音の口から小さな貴音が飛び出してきた」

P「な、何を言ってるのかわからねーと思うが、オレも何があったかわからなかった。頭がどうにかなりそうだぜ……!」

春香「ポ〇ナレフ状態はいいですから。プロデューサーさん」

P「それより貴音は……大丈夫だ。とりあえず脈はある」

響「そ、それよりこの子、なんなんだ? ていうかこれ人間なのか? 訳がわからないぞ」

春香「うーん……ああっ! それとなーく貴音さんに似てるような気がしない?」

響「言われて見れば似てるような……」

??「しじょっ!」

P「ふむ、言うなれば貴音とハム蔵を足して2で割ったような感じだな」

響「割れてないから。ハム蔵の要素、小さいくらいしか反映されてないから」

春香「それにしても、わけがわからないですよ……」


P「貴音が腹痛を起こしたかと思ったら、激痛のあまり気を失って、口から小さな女の子が……か」

??「しーじょしーじょっ!」

響「ふーん。お前『たかにゃ』っていうんだな」

春香「!?」

P「響、この子の言ってることがわかるのか!?」

響「言ってることって……プロデューサーには聞こえないのか?」

たかにゃ「しじょっ」[たかにゃ]

P「いや、なんか言葉ともいえない鳴き声を発しているようにしか……」

春香「私にもわからないよ、響ちゃん」

たかにゃ「しじょぅ……」

響「うーんと、たかにゃ。お前はいったいなんで貴音の口から出てきたんだ? ていうか、お前はいったい何なんだ?」

たかにゃ「しーじょしじょっ!」

響「ふんふん、それで?」

たかにゃ「しーじょしじょしじょしーじょしじょっ!!」

響「ふむふむ」

たかにゃ「しじょじょじょしじょしじょしじょ!!!」

響「な、なんだって、本当なのか!?」

たかにゃ「しじょっ!」

P「ナニコレ」

春香「何ともいえない光景ですね」


P「で、たかにゃは何て言ってるんだ?」

響「う、うん。この子が言ってることはまだ信じられないけど、とりあえず説明するぞ」

たかにゃ「しじょっ」

響「まず、この子の名前はたかにゃで、いつもは貴音の体の中に住んでいるらしいぞ」

P「何……だと……?」

春香「初っぱなから違和感がスゴイなぁ」

響「それで、いつもは貴音の体の中で、貴音の健康を維持するサポートをしているみたいだ」

春香「健康のサポートってどういうことかな?」

響「なんでも、貴音はラーメンしか食べないだろ? もちろんラーメンばっかだと塩分が多すぎたり野菜が少なかったりしてまともな栄養バランスがとれないんだ」

P「事務所の誰もが心配することだな。貴音の栄養事情は」

響「うん、だからラーメンの栄養を、ほかの足りない栄養素に変えることが必要らしいんだ。それをたかにゃがやってるんだって」

春香「意味不明すぎワロタ」

響「……自分も信じたわけじゃないぞ」


P「ふむ……そういえばこういう話を聞いたことがある」

P「とある男性がな、子供のころから数十年間にわたって、朝昼晩ジャムをつけたパンしか食べなったらしいんだよ。摂食障害のひとつらしいな」

春香「えっ、ジャムパンだけですか?」

響「ジャムには砂糖とかいろいろ入ってるだろうし、野菜とか食べないと栄養が偏るんじゃないか?」

P「そう思うだろ? でも違う。彼は栄養失調になるどころか、いたって健康体だったんだ。食生活から見たらありえないことなんだけどな」

P「何でも、体に必要な栄養素をジャムパンだけから作り出して、それを摂取するみたいだ」

春香「そんなこともあるんですね」


P「そこで思ったんだが、もしこのことと同じことが貴音の体の中で起こっているとしたら?」

P「そして、その役割を、そこのたかにゃが行っているとしたら……?」

響「ええぇ…………」

春香「だとしても、たかにゃちゃんそのものの存在の理由づけにはなりませんよ?」

響「だよなぁ。こんなに大きい生き物が、常に体の中に入っているなんて考えられないぞ」

P「そこは……ほら、貴音って不思議ちゃんキャラだし?」

響「言い方に悪意を感じるぞ」

P「今更不思議なことが一つや二つ増えようが、もう驚く余地もないっていうか……」

P「むしろ不思議があってこその貴音って感じだし……」

P「…………」

響「…………」

春香「…………」

P「ま、細かいことは置いておこうじゃないか」

響「細かくないと思うぞ」


P「それで、たかにゃ。お前はどうして貴音の体の中から出てきたんだ? 貴音がこんな状態の時に出てきたってことは、オレたちに何かあって来たんじゃないか?」

たかにゃ「しじょっ、しじょっ!」ぴょんぴょん

響「うーん、これまでは貴音の体を保つのに特に問題はなかったみたいだぞ。だけど今回の腹痛はいきなりのことで困ってるみたいだ」

たかにゃ「しじょじょしじょっ!」びょんびょん

響「……だから、緊急装置を起動させて、外の信用できる人間にお願いしに来たみたいだぞ」

P「また新しい設定が出たな。緊急装置」

春香「設定っていうのやめませんか」

たかにゃ「しじょ……」

P「それで、たかにゃは俺たちに何をお願いしにやって来たんだ?」

たかにゃ「しじょっ!!」

響「ゑっ!?」

春香「響ちゃん?」

P「たかにゃは何ていったんだ?」

響「……貴音の体の中に入って、問題を探ってくれって」

P・春香「…………」

一同「…………えっ?」



P「そりゃ、貴音を救ってやりたいことはやまやまだが……。どうやって貴音の体の中に行けばいいんだ?」

春香「そ、そうですよね! 体のサイズ的に私たちが行くのは無理ですよね!? ね!?」

P「春香、目、怖い」

たかにゃ「しじょーしじょっ!」

\テレレレッテレー/

ズウゥゥゥゥゥゥンン!!

響「……潜水艦を召喚するから、それに乗ってくれってさ」

春香「召喚っていうよりかは効果音的にはドラ〇もんのポケットだったよね」


P「待て待て! こんな大きい潜水艦に乗り込んだところで、どうやって貴音の体の中に行くっていうんだ!?」

春香「そっ、そうですよね! 潜水艦があってもサイズの差は超えられませんよ!?」

P「春香、さっきから何か真剣過ぎない?」

たかにゃ「しーじょっ!」

響「この潜水艦、一番近い水場にワープするらしいんだ。」

たかにゃ「しじょしじょじょっ」

響「……だから、乗り込んだ後に貴音の体の中にワープすれば問題ないって」

P「尺度は!?」

たかにゃ「しじょっ!」

響「調整可能だってさ」

春香「本格的にオーバーテクノロジーだなぁ……」

P「てか、これまんま〇ャンピング潜水艦じゃないか」


P「……まあっ、つまりはこの潜水艦に乗り込んで貴音の体内にもぐり、腹痛の原因を探せばいいんだな?」

たかにゃ「しじょっ」[正解]

響「『いいんだな?』じゃないでしょ! まさかたかにゃが言ってることを本気で信じるのか!?」

たかにゃ「しじょぅ……」

P「普通なら信じないだろうな。だけど、たかにゃの存在自体がすでに普通じゃない。

P「それに、たかにゃが言っていることが事実なら、貴音の体力的に考えて時間の余裕はあまり無いんじゃないか?」

P「それにこんな非常事態に常識で物事を考えていたら立場は悪化するだけだ。非常事態だからこそ物事をしっかり見極め、迅速に動く必要がある」

響「うう……確かにそうかもしれないぞ」


春香「確かに、貴音さんを救えるかもしれない方法を知ってるのは、たかにゃちゃんだけですもんね」

P「そういうことだ。だからこそ早くこの潜水艦に乗り込んで貴音を救出しないといけない」

響「そうか、これに乗れば貴音が助かるんだな!」

P「そうだぞ、響!」

響「腹痛を解決したら、貴音はまた元気になるんだな!」

P「もちろんだ、響!」

響「貴音が元気になったら、まだまだ一緒にアイドル活動続けられるよな!」

P「当たり前だ! オレがプロデュースしてやる!」

響「よし! 自分、貴音を助けるために頑張るぞ!」

春香「うん、響ちゃん!」

P「よし、そうときまったら、さっそく二人で潜水艦に乗り込もう!!」

響「イヤだぞ」

P「えっ」

春香「えっ」


P「あーっと、響。貴音を助けに行かないのか?」

響「もちろん行くぞ!」

P「よし、さっそく二人で潜水艦に乗り込もう!!」

響「イヤだぞ」

P「」

春香「えーと、響ちゃん?」

響「待って、なんで自分とプロデューサーが二人で行くことが確定事項なんだ?」

P「なんだ、不満か?」

響「むしろ不満しかないぞ」

P「またまたぁ」

響「なんで茶化されてるのか意味が分からないぞ」

P「ごめんな、はる太。この潜水艦二人乗りだから」

響「元ネタがドラ〇もんだからってクオリティ低いモノマネはいらないぞ」

春香「ていうか『はる太』って私ですか?」

P「えっ……本当に?」

響「イヤに決まってるじゃないか! こんな変態プロデューサーと二人でいるなんて考えられないぞ!」

響「あと、本当は『オレがプロデュースしてやる!』の時にも断りたかったんだけど仕方なく乗ってあげたんだぞ」

P「うあああああああああああああんひびきんが反抗期だああああああああああああああああっっっっ!!!」


響「というわけだから、春香。貴音を助けに行こう!」

春香「!?!?」

P「……本人言葉にならないくらい驚いてるけどな」

響「春香ぁ、いっしょに行ってくれないのか……?」

春香「~~~~~~~~~~っ!!!」

春香(くぁああわいい!! 響ちゃんが上目づかいをしながら私を頼ってきているっ!!)ゾクゾクッ

春香(でもダメ。私は貴音さんを助けに行けない……)

春香(だって、絶対怖いよ。何が起こるかわからないし、暗いのも好きじゃないし……)

春香(貴音さんの体の中なんて明るいわけがない。ていうか、体の中に電気が通ってたらそれはそれで怖い!)

春香(でも響ちゃんが私を頼っている! ダメ! 断ることなんてできない!!!)

春香(ああ、神様! 仏様! のワの様! 私はどうすれば……)

P「響、春香は行けないんだ……」

響「な、なんで!?」

P「春香は……これからアイドルアワードの表彰式典があるからだ!」

響「!?」


春香「ご、ごめんね響ちゃん。今私が事務所にいるのも、式典での挨拶を覚えるためなんだ。あと少しで出発しないと表彰式典に遅れちゃうの……」

春香(完璧に忘れてたけどね)

響「ええっ、じゃあ今765プロで時間が空いている人間はいないのか?」

P「残念ながらな」ワキワキ

響「腕をワキワキさせるな!」

P「そうは言ってもなあ」

響「千早!」

P「レコーディングだな」

響「美希!」

P「ハリウッド行きの準備」

響「伊織!」

P「竜宮小町は今日は始球式らしい」

響「じゃあ……真美!」

P「やよいと写真撮影だったな」

響「ゆ、雪歩!」

P「……貴音と出るはずだった舞台の稽古だ」

響「真!」

P「スタント映画の主役かな」

響「ぐぬぬぬ……」

響「あ、ぴよ子は!?」

P「そういえば、今日は小鳥さんがいないな?」

春香「どうしたんでしょうね?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

小鳥「びえええっっっくっしょおおおいいいい!!!!」

小鳥「~~~っふう! 誰かがウワサでもしてるのかしらん?」

小鳥「あ、すいませーん。こっちにも目線くださーい!!」パシャパシャ

小鳥「ピヨヘヘヘッヘヘヘ……いいわぁ、涼ち〇こ……」パシャパシャ

涼(なんだか……いつもより鋭い視線を感じる!?)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


響「みんな仕事があるのか……」ガックシ

P「さあ、待たせたな、たかにゃ!」

たかにゃ「しじょっ!」[出発]

P「さあ、響! 観念して貴音を助けに行くぞ! 潜水艦にのりこめー^^」

響「わぁい^^」

響「……なにやらせるんだプロデューサー」

P「貴音のwwwwwwww腹の中にwwwwwwwwwwいざゆかんwwwwwwwwwwwwトワーwwwwwwwwwwwwwww」

春香「響ちゃん……ごめんね……」

響「……ううん、春香は全然悪くないぞ。表彰式典、ちばりよー!」

春香「……うん! 響ちゃんも絶対、貴音さんを助けてきてね!」

響「うん!」

P「春香。自分、帰ってきたら、春香に言いたいことがあるから絶対帰ってくるぞ! 絶対、絶対だからな!」

響「……死亡フラグを建てる前にお前の命から絶ってやろうか?」ピリピリ

P「ひ、ひいぃっ!!!」

春香「……みなさん、時々でもいいんで、社長のことを思い出してあげてください。天海春香からのお願いです」


ウイイイイイィィィィィイイイイイン!!、ガシイイィィィィィイイイン!!

P「おお、改めてみるとかっこいいな。〇ャンピング潜水艦。よいしょっと」

響「なんか嬉しそうだな。プロデューサー。んしょっと」

P「当たり前だ。男はいつの時代も大型ロボに憧れるものだ。ちなみに一番乗りたいMSは……」

響「いや、聞いてないから」

たかにゃ「しじょっ! しじょっ!」

響「ほら、あんまり時間かけるからたかにゃが怒ってるぞ」

P「むう、確かにおふざけが過ぎたようだな」

P「よし、それじゃあ……〇ンダムファイトぅーーーーー」

響「いいから黙って出発しろ!」

フィン


春香「消えちゃった……」

春香「行ってらっしゃい、プロデューサーさん、響ちゃん」

春香「それにしても……」

春香「ふふっ、プロデューサーさんといるときの響ちゃん、とっても生き生きしてるなぁ」


ー貴音のお腹 1F-

たかにゃ「しじょっしじょっ」[取舵]

響「プロデューサー。取り舵全開」

P「あいよっと。しかし、貴音のお腹の中がこんなにも広いなんて思わなんだな」

響「たかにゃ、自分たち大体どれくらい小さくなってるんだ?」

たかにゃ「しじょっ」

響「100分の1くらいだそうだ」

P「ふーむ。それじゃあ、およそ身長1㎝くらいになってるってことかな」

響「そうなるのかな」

P「今、オレたちがいるのは具体的には貴音のどこなんだ?」

たかにゃ「しじょっ」

響「胃の辺りにいるみたいだ」

P「……なんかそっけなくないか?」

響「別にぃ」


P「あれは……おおすげえ。ラーメンの麺が海流みたいになってるぞ」

響「まったく、いつもラーメン食べるときはよく噛んで食べろって言ってるのに」

P「おお、こっちはメンマがちょっとした島みたいになってるな」

響「自分たちが小さくなったのが実感できるな」

P「はっはっはっ。確かに響は小さいけどまだまだ成長期じゃないか。それに小さいところもチャームポイントだぞ?」

響「あれ? 今そんな話の流れだったっけ?」

P「それに、狭い空間に若い男女が二人きり……そして」

P「男の方は、臨戦状態!」

スパーン!

P「響ちゃん! ハリセンは痛い!」

響「正当防衛だぞ!」

たかにゃ「しじょ……」



たかにゃ「しじょっ!」

響「ええ、本当に言ってるのか!?」

P「どうした、響」

響「こっからは、潜水艦から降りてから進むみたいだ……」

P「ううむ、胃液に飲まれないものだろうか」

たかにゃ「しじょっ!」ペカー

響「……今どんな状況でも生きていけるようになる光線を打ったから大丈夫だそうだ」

P「〇キオー灯ですねわかります」


ウイイイイィィィィィイイイイン!!!

P「よっと。うーん、ここが貴音のお腹の中かぁ」

響「はい、プロデューサー。火」

P「おお、松明か。本格的にダンジョンに入ったって感じだな」

響「ダンジョンじゃなくて貴音の中だけどな」

たかにゃ「しじょっ」

P「貴音の中……中……中の貴音……貴音の中……」

P「ヤバい、響。オレちょっとあっちに行ってくるから先に」

スパーン!

P「っってええ!」

響「何しようとしてるんだプロデューサー!」

P「まだ何もしてないじゃないか! ちょっと興奮しただけじゃないか!」

響「まったく……貴音のお腹の中なんだから変なことしたらダメだぞ!」

P「ん? オレはちょっとあっちに行こうとしただけだぞ。ひびきんはオレがナニをすると思ってたのかな? ん?」

スパーン!

P「痛いッ!!!」

響「デリカシーを装備しなおせ!!!」


P「おっ、響。あっちに扉があるみたいだぞ」

響「扉ぁ!?」

P「うん、扉だ。ほら」

たかにゃ「しじょっ」ビシッ

P「ほら、たかにゃもあっちに行けって言ってるしさ」

響「う、うーん。扉っていうような肉の壁っていうような」

P「なんかさ、体の中にダンジョンがあるなんて燃えてこないか!? ジ〇ブジャブ様のお腹の中みたいでさ!!」

響「なんでそんなにハイテンションなんだ……。てか、ジ〇ブジャブ様?」

P「男はいつの時代も剣をと魔法の冒険に憧れるものさ……」

響「男は巨大ロボに憧れるものじゃなかったのか?」

P「バカ。男にはいろいろあるんだよ。総じて言えるのは、日常では味わえないスリルとかデンジャーとかアドベンチャーとかが好きだってことだな」

響「節操が無いんだな」

P「多趣味だと言ってくれ」

たかにゃ「しじょっ!」

P「なんだかワクワクしてきたな。〇ト姫でも出てこないかな?」

響「プロデューサーが何を言ってるか本気でわからないぞ……」


響「? 何だこれ。フーセンかな?」

P「!! やめろ響! それに触ると」

響「タッチ、プロデューサー!」

P「ぎ、ぎゃああああああああああああああああがあああああああああああ」ビリビリ

響「おお、感電した」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響「なんだ、あのタコみたいなヤツ!!」

P「危ない響!! あいつは」

響「はい、プロデューサー」

ボキィ

P「ぐわああああああああ痛えええええええええええ!!!」

響「なんか変なの吐き出してきたな」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響「おおっ、なんかムカデみたいなやつが出てきたぞ」

P「」スッ

響「行け! プロデューサー!」

P「んほおおおおおおおおおおおおおおおお!!! むかでしゃんしゅごいのおおおおおおおおおおおおお!!!」

響「うわあ、痛そうだ……」


響「大分奥まで来たみたいだな……」

たかにゃ「しじょっ」

P「ひ、響さん。流石にオレの使い方が荒すぎやしませんかね……」

響「……なんか半分くらい嬉しがってなかったか?」

P「違うもん! オレがいじめられて喜ぶのはカワイイ女の子の時だけだもん! モンスターにいじめられたところで全然気持ちよくないもん!」

響「正直ドン引きだぞ」

P「……と言いながらも少しいじめたくなっちゃう?」

響「ふーん。プロデューサーはそんなに松明で炙られたいのか?」

P「ちょ、まっ、炎はマジでシャレにならないから」



響「あれ、行き止まりだぞ、プロデューサー」

たかにゃ「しじょぉ……」

響「たかにゃが言うには、前にはこんな所に壁は無かったみたいだ」

P「ふーむ……どうしたものか」

P(ん? 何だあのでっぱりは……?) 

響「困ったな。いきなり道に迷っちゃったみたいだぞ」

P(いや、違う。あれはたぶんスイッチだ。俺はあれを知っている)

響「案内役はたかにゃしかいないし……思ったよりも入り組んでるのかな?」

P(…………!)ピコーン!


P「よし、響!」

響「?」

P「オレの肩に登りなさい!!!!」ズサァッ

響「えっ、ちょ!! プロデューサー!! いきなり跪いてどうしたんだ!?」

P「いいから、早くオレの頭に跨るんだ! そして肩車の形になるんだ!」

響「えっ、頭にまたがるって……その、どういうこと////」カァァ

P「いいから、早く! 恥ずかしがらずにっ!! ウェルカムッ!!!!」

響「ウェルカムじゃないっ! 嬉しがるな! 状況を説明してっ!!!」



響「つまりは、あのでっぱりがこの先の行き止まりの壁を取り除くスイッチになってて、二人でじゃないと開かないのか……」

P「そうなんだ!! さあ早く!!」

響「落ち着けェ!!」

P「さあ、早く貴音を助けるんだろ! 早く!」

響「ロコツにテンションを上げるな! ああもう……そう! なんで二人なんだ! 一人で押せば良いじゃないか!!」

P「ふふっ、くふふふふ、くふふふっふふふふっふふはははははっははっはっはっはっははははは!!」

P「んっふっふっふっふっふ~~~~!!!」

響「……何で悪の親玉的な笑い方から亜美真美の笑い方に変わったんだ」

P「説明しよう……あのスイッチはなぁ、あのスイッチはなァ!!!」 

P「二人分の重さがないと押せないんだよ!!!」バーン!!

響「えええぇぇ……」



P「ほら! 一人でどんだけ押しても動かないだろ? ほらほら? な!? 一人で乗ってもダイジョーブってか!! はっはっはァ!!! 〇ナバの物置もビックリだよ!」

響「い、いまだかつてないほどプロデューサーがウザいぞ……」

P「さァ……響ィ……。オレの頭にさァ、跨ってくれたまへ……」

響「う、うがー!! プロデューサーの変態度がMAXだーー!!!!」

P「さぁ響!! この先に行かないと貴音は助けられないんだぞ! さぁ!!!!」

響「ううう……究極の二択だぞ……」

たかにゃ「しじょ?」

響「ううううううぅぅぅぅ……本当に跨ったら壁は取り除けるのか?」

P「あたぼうよ!! オレとオレの経験値を信じろ!!!」

響「何一つ信じれる要素が無いぞ……」


P「……響。この状況でな、たった一つ言えることがある。それは……」

P「何もしなければ、貴音は助かることはない」

響「!!!!!」

P「……辛い選択だと思うがな、響。オレたちはこんな所で立ち止まるわけにはいかないだろ?」

P「だから、さあ。オレに跨るんだ」

響「…………」


響(思いもよらぬシリアス路線に展開しやがったこの変態!!!)

響(しかも貴音をダシに使って、どうしても自分に跨らせようとしているぞ!!!)

響(でも……確かにプロデューサーの言うことも事実だ。ここで何もしなかったら貴音は助からない)

響(自分は一刻も早く貴音を助けるためにここに来たんだろ? それは人に言われきゃ思い出せない程、弱い意志だったのか?)

響(…………違う!! 違うぞ!!! 自分は貴音を助けるんだ!!! 自分の辛いときにいつも傍にいてくれた貴音。潜水艦に乗る時、絶対助けるって決めてたんだ!!!!!!)

響(我那覇響!!!! 自分は人から受けた恩を流してしまうほど薄情な人間なのか!?)

(…………それに)

P(プロデューサーになら、肩車されても、いいし…………////)ポッ

ゴスッ

P「がはっ……!!!」

響「もう次は無いって言わないとわからないか?」

P「いや、オレ何も言ってないs」

響「自分の思考を勝手に読むな!!!!!」



響「ホントの、ホントの、ホンッッットに、プロデューサーに跨ったら壁を取り除けるんだな?」

P「ああ。ホントの、ホントの、ホンッッットだ」

響「……男に二言は無いよな?」

P「響、オレは冗談は言うが、嘘はつかないことを信条にしている」

響「……嘘」ボソッ

P「ははっ、自分の大事なアイドルに、どうして傷つけるようなことをしなきゃいけないんだ?」

響「……プロデューサー」

P「もしかして惚れた?」

響「それはない」

P「むぅ……なかなかにガンコだな」


響「…………」

P「…………」

響「……ぷ、プロデューサー」

響「ひっ、跪いて、ね?」

P「!!!!!!!!」

響「ご、ごめんプロデューサー。貴音を助けるために必要なら、自分、プロデューサーに跨る」

響「だ、だから、ね?」

P「……」

P「…………」

響「プロデューサー?」

P「スマン、響。今の録音ちゃんとできてなかったからもう一回言ってくれ」

響「そんなことだろうと思ったよ!!!」

P「できれば『プロデューサー』じゃなくて『ハニー』で」

響「美希の純情に謝れ!」

P「この音声は……使える!!!」

響「変態、巣に帰れ!!!」



P「冗談はさておいて、よっと」スッ

響「誰から始まった冗談なんだ……」

P「はっはっ、いいからいいから」ニコニコ

響「い、いいかプロデューサー。自分今から跨るけど、『重い』とか、『肉ついてる』とか言わないでよ! ああ、あと絶対臭いとかも嗅がないでよ!!!」

P「わかったわかった」

響「本当か?」

P「さっきも言ったろ。嘘はつかないって」

響「う、うん。じゃあ……」

P「来い!」

響「行くぞ…………!」

 Pは自分の後頭部に確かな感触を感じた。
 その感触は、硬すぎず、柔らかすぎず、かといって感触が悪いのかといえばそうではなく、むしろ古代の王様の衣となったシルクが束になっても適わないだろう極上の肉感だった。
 Pは一瞬戸惑った。自分の担当アイドルを肩車をしているという状態に? それは自分から申し出たシチュエーションであったのに?
 それは違った。Pが戸惑った理由は他にある。Pは知らなかったのだ。自分が知りえない事がこれほどまでに自分に衝撃を与えるものであるのかということを。
 Pは知らなかった。というより、知りえなかった。なぜなら、この世界でそれを知る者は、実際にそれを受けたものしかわからないからだ。

 我那覇響という女の子の内股が、こんなにも気持ちの良いものだなんて。

ゴゴゴゴゴゴゴ……

響「!! プロデューサー、ホントに開いたぞ! 早く行こう! さ、降ろして!」

P「…………」

 自身の人生観をも揺るがすかのような快感に、Pは……

P「…………」

響「??」

 Pは……

P「…………」

響「ぷ、プロデューサー? もう壁は無いんだから、自分を降ろしてよ!」

 Pは……!!!!

P「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

響「ちょ、プロデューサー。自分まだ乗ってr」

 疾走した。

響「うぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!」


ー貴音のお腹 2F-

響「…………」

P「よーし、結構奥に進むことができたな」

響「…………」

P「なあ、悪かったって、響。勝手に走って怖い思いさせちゃったことはさ」

響「…………」プイ

P「うーん、ダメだ。本格的にへそを曲げてしまった」

たかにゃ「しじょっ?」

P「おお、たかにゃ。そういやさっきまで長い間、空気になってたな……」

たかにゃ「しじょぅ……」


響「ぷ、プロデューサーは将来高い所から落ちて死ぬんだ。あの怖さは味わった人にしかわからないんだから……」

P「うん、完璧にへそを曲げてしまったな」

響「自分、怖かったんだぞ! あんな不安定な状態だったのにプロデューサーが全力疾走するから!!!」プンスカ

P「響の内股が気持ち良すぎてな! ついハイになってしまったんだ!」

響「~~~~~~~~もう知らない!!」バシッ

P「はっはっはっ。やっぱりそのくらい元気な方が響らしいよ」

響「うるさい! バカ! 変態! 地獄に落ちろ!」ゲシゲシ

P「ありがとうございます! 今度は録音もバッチリ!」

響「するな!!!」


P「おっと、また行き止まりか」

たかにゃ「しじょぉ……」

響「ん? どうしたんだ、たかにゃ」

たかにゃ「しじょしじょっ!」

響「んん、そうなのか……」

P「たかにゃは何て?」

響「……前とは道があまりに違っている。まるで全く違う所に来たみたいだって」

P「なるほど」

たかにゃ「しじょっ」


響「腹痛の起きている所はこの行き止まりのすぐ先らしい。なんでもいつもは行き止まりなんて無いみたいだ」

P「ふむ、それならこの辺りにまたカラクリやスイッチがある筈だな」

響「…………!!!」ブルッ

P「ま、さっきみたいな単純なカラクリはもう無いって」

響「…………」

たかにゃ「しじょぅ……」

響「でも……ここに留まるわけにもいかないし、困ったぞ」

P「ん、あれは……」

P(…………!!)

響「プロデューサー、どうしたんだ?」

P「少し戻ろう」

響「!! 何か手がかりがあるのか?」

P「ああ、まあな」


ー貴音のお腹 1F-

P「あっちとあっちの部屋には行った。なら……こっちだ!」

響「なあ、プロデューサー。どこに行くんだ?」

P「オレのカンが正しければ。このダンジョンを解くには、とあるカギが必要になるんだ」

響「いや、カギって……ていうかカンって」

P「なーに、オレのカンは当たるんだぞ。なんせオレはこういうダンジョンステージはストーリークリアの後もタイムアタックで楽しむタイプだからな。知識ならタップリだ」

響「うーん、確かにさっきカラクリを解いたのはプロデューサーだしなぁ」

P「そういうこと。さて、ここかな」


響「プロデューサー、この扉の先に何があるんだ?」

P「たかにゃ、危ないからオレの頭の上に乗っておけ」

たかにゃ「しじょっ!」

P「構えろ、響……!」

響「か、構えろって、何を!?」

………………

P「……来るぞ!」

……ウジャウジャウジャウジャウジャ

響「……へ?」

〇ティンガ「」ウジャァ

響「ーーーーーっひ」

響「ひゃああああああああああああああああああああああああああっっ!?!?!?!?」


P「攻撃しろ! 響!!!」ガシイッ

響「こ、攻撃ったってどうやるんだ! ひっ!!」

P「こいつらあまり体力は多くない! 松明でぶっ叩け!!」

響「ぶっ叩けって言われても……」

P「いっつもオレにやっているみたいに!」

響「……!! こうか!?」バキン!

ウギャアアアア!

P「ナイスだ、響! この調子で全部倒すぞ!」

響「うりゃ! うりゃ! うりゃ!」バコン!

P「いい調子だ!」

響「うりゃっ! とおりゃあああっっ!!!」バキン!

P「……あれ、なんだか興奮してきた」

響「うりゃあ!」バコッ!

P(なんだろう、今モーレツに〇ティンガになりたい)

響(なんだろう、今モーレツに寒気がしたぞ……)



キシャァァァァァァァァァァ……

響「よしっ! 全滅だぞ!」

たかにゃ「しじょっ!」[勝利]

P「そして、全滅したんなら多分ここらへんに……」

シュインシュインシュインシュインシュイン

P「やった! 宝箱が出てきたぞ!」

響「何で!?」

P「いや、なんでって言われても、多分そういう仕様だし……」

響「現実世界に仕様もクソもあるかぁ!」

P「まぁ、響さん。アイドルがそんな汚らしい言葉を使ってはいけませんわっ!」

響「何で唐突にお嬢様言葉なんだ!」

P「あなたをそんな子に育てた覚えはありません!」

響「育てられた覚えもないよ!」


P「ま、それは良いとして、早速宝箱を開けるぞ……」

響「良くない! なんで自分が間違ってること言ってる感じになってんだ!」

P「こんな状況をいつまでも現実と思っている方がリスキーさ」

響「……プロデューサーはこれが夢だとでも思ってるのか?」

P「ぶっちゃけ響と2人きりでいられるなんて夢でも出来すぎかな」

響「…………」

P「今の、結構ウマかった?」

響「ううん、全然」



P「よし、そろそろ宝箱を開けるぞ」

響「うん」

てーれーれーれーてーれーれーれーてーれーれーれーてれれれてれれれてれれれれーー

てれれれ~

P「ブーメランを みつけた!
  ←・↓・→に セットしよう。
  Cを押して、投げてみよう!
  はなれた敵も 攻撃できる。」

P「お、ブーメランだな。これでさっきの道を進むことができるぞ」

響「ブーメランでどうやってさっきの道を進むんだ?」

P「さっきの行き止まりに、ブーメランでしか押せない小さなスイッチがあったんだ。多分これを使えば押せるはずだろう」

響「凄いぞプロデューサー!!!」

P「スゴイか! ならご褒美にキスしてくれ!!!」

響「さっき倒したドクドクしいクラゲのキスでいいかな?」

P「冗談だよぉ」


ー貴音のお腹 2F-

響「さっきの場所に帰ってきたぞ」

P「よし、それじゃあ、さっき手に入れたこのブーメランで……」

P「ひびきんにカッコいい所を見せなくては!」ビシィ!

響「…………」

P「どう? キマってる?」

響「いいから早く投げて」

P「……『ひびきんが絶賛反抗期なう。前はもっと素直な子だったのに(´・ω・`)ショボーン』」イジイジ

響「そこ、変なツイートしない」

P「お、真美がふぁぼったぞ」ティロン

響「逐一報告することじゃないでしょ」

P「お、亜美からリプライ。えーっと、『兄(C)いまどこ~?/(^O^)\』か……。『貴音のお腹の中なうだYO!!!』っと」

響「信じるわけないと思うけどな。あとツイッターで性格変わりすぎ」


P「うし、それじゃあ投げるぞ」

響「亜美真美とのリプライ合戦で長くない時間待たされたけどね」

P「よーしっ、ブーメランをかまえて、ターゲットを赤い点の所に合わせて……」

響「……」

P「でりゃっ!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

スカッ

P「あれ、当たらないぞ」パシッ

響「プロデューサーは運動音痴だなぁ」

P「いや、これがなかなかどうして難しいんだって。ほいっ!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

スカッ

P「ああ、また失敗だ」パシィッ

響「貸してプロデューサー! 自分、いぬ美たちと散歩するときによくフリスビーで遊ぶから勝手はわかるぞ」

P「おお、なら響、行って来い!」

響「おーりゃっ!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

ガシン!!

響「やったっ、当たったぞ!」

P「おお、さすがは響だ!」

響「ふふーん! 自分完璧だからな。このくらいなんくるないさー!!」

P(なんだか久方ぶりに素直な響を見たような気がする)

響「……何だか失礼なこと考えてないか?」ジロッ

P「別にぃ」



ゴゴゴゴゴゴ……

たかにゃ「しじょっ!」[開門]

P「……さて、この先はいよいよ最終ステージってわけだな」

響「さ、最終ステージって、何だ?」

P「まあ、いわゆるラスボス戦だな」

響「ら、ラスボス!?」

たかにゃ「しじょっ!?」

P「そうだ。今までの道を思い出してみろ。あれだけ凶暴なモンスターが山ほどいたんだ。貴音の腹痛の中心部には今までのモンスターより更に強いボスが待ち受けてるはずだ」

響「い、いや。それはあまりに考えが簡単なんじゃあ……」

P「ま、いないに越したことはないけどな、何らかの山場は来るだろ。覚悟しろよ」

響「そうだな、わかったぞ……!」

P「…………」

響「…………」

P「……えっ、終わり?」

響「えっ?」


P「確認しておこう、響。これからオレ達は最終ステージに挑もうとしてるんだ!」

響「わかってるぞ。自分、貴音を助けるために全力で行くからな!」

P「…………」

響「…………」

P「……えっ、終わり?」

響「さっきからプロデューサーは何を期待してるんだ?」

P「い、いや、最終ステージだぜ? このダンジョンの最難関に挑もうとしてるんだぜ?」

響「う、うん」

P「ここに辿り着くまで色々なことがあったな……。フーセンにしびれたり、タコにやられたり、ムカデに噛まれたりな」

響「主にプロデューサーがね」

P「それに響をかたg」

響「思い出さなくてもいいことを思い出そうとしてるんなら、自分ちょっと力加減ができないかもしれないな」

P「あれれー、Pちゃん、何言おうとしてたのか忘れちゃったにぃ☆」

響「……」


P「コホン……まぁ、そんなこんなの紆余曲折がありまして、やっとこさボスに挑もうとしているわけだよ」

響「は、はぁ……」

P「これまでの厳しい道で、身も心もボロボロになっているわけよ」

響「……」

P「極限に追い込まれた若い男女が2人。そしてこの先、無事に生きて帰れるかもわからない!」

P「そんな時、2人が行うことは……!!!」

響「プロデューサー……!」

P「わかったか、響!!! さあっ!!! 来い!!!!!」

…………

響「どこまで行ってもプロデューサーはプロデューサーなんだな……」

P「……あ、あるぇ~~?」


響「バカ言ってないで早く行くぞ」

P「ちょっと待って、響! デレは!? 最後の最後にデレは!?!?」

響「『デレ』? まさかプロデューサーは実はモバPだったのか!?」

P「2015年冬に放送開始予定かつモバゲーにて好評配信中の『アイドルマスター・シンデレラガールズ』を略した『デレ』のことじゃなくって!!」

響「いや、唐突に番宣されても」

P「だから響! 『デレ』だよ、『デレ』!!!」

響「ていうか……『デレ』って何? プロデューサー」

P「えっ……、今までの響のツンツンした態度は、最後のこの場面で一気に溢れ出てくる『デレ』への伏線じゃあなかったのか!?」

響「……」

P「オレは最後のこの瞬間を夢見たからこそ、ここまで来ることができたんだぞ!」

P「ささ、エンリョしないで、最っ高の『デレ』をオレに見せてくれ!!!!」

響「……」

P「ひ、ひびきん?」

響「プロデューサーには、今までの自分の行動が全部ツンキャラを演じてるように見えてたのか?」

P「ち、違うのか?」

響「ま、マジで言ってるのか?」

P「えっ、う、うそ…………」

響「ちょっ、えっ、そんな悲壮に満ちた顔をしなくても」


P「…………」

響「ねえ、プロデューサー。何かしゃべってよ」

P「…………」

響「ぷろでゅーs」

P「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」

響「!?」

P「響が、響があああああああああああああああああああああああああああああああ!」

P「オレが丁寧に一つずつ立てていったフラグを根元からへし折ったああああああああああああああああああああああああああ!!!」

P「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


響「フラグって……自分はゲームのキャラじゃないぞ」

P「ぐすん、頑張ったら、響の、デレが、見れるって、思って、一生懸命、一生懸命ぃ……」

響「……えっ、これって自分が悪いのか?」

P「ううええええええええええっぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!!」

響「…………」

響(男の人のマジ泣きがこんなにヒドイものとは思わなかったぞ)


響「あー……、プロデューサー」

P「ふぇ?」

響(『ふぇ?』って何だ!)

響「…………!」

響「……プロデューサーは自分たちのことを変な目で見るヘンタイだけどさ、それでもっ!」

響「じっ、自分たちのことを、大切にしてくれてるってことは、わっ、わかってるからなっ!」

P「…………!」

響(あれ、おかしいぞ。自分)

響「べっ、別に……これはデレとか、そーいうんじゃなくって……」

響(自分は、いったい何が言いたいんだ?)

響「フラグとかも、関係なくてっ」

響(相手はプロデューサーなのに)

響「何ていうんだろ? 総評? プロデューサーに対しての」

響(なんだか自分の言ってることがわからないぞ)

響「自分だって、プロデューサーのことはよく見てるから」

響「たとえプロデューサーが悪いにしても! ちょっとこれまでプロデューサーに対して、ちょっと……」

響「……態度とか、言い方とか、あと、えっと……」

響「厳しく当たりすぎたって、言うか、その……」

響(…………これちょっとマズイ!)


響「そーいうのが……ヒッグ……よく……なかって、なくって……グスッ」

響「……だって、いっつも……グス……ぷろでゅーさあが……ヘンタイだからぁ……!!!」

響「自分も……ホントは、ぷろでゅーさーを……グス……叩いたりとか、したくないし……」

響「でも……自分が、どんだけ……叩いても、ズズ、ぷろでゅーさーは優しくて……!」

響「自分が悪いのに、ぷろでゅーさーがぁ……!」

P「響……」

響「ううっ、う、うわああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」

P「響!!!」ダキッ!

響「……ぷろでゅーさーが、悪いんだぞ! いっつもヘンタイだから」ウルウル

P「……ああ」

響「ぷろでゅーさーが、ヘンタイだから、しかたなく、自分が……」

P「……そうだったんだな」

響「ぷろでゅーさーに、悪いことしたって、ずっと、辛かったんだぞ……」

P「ごめんな、響」

P「いままで、気づいてやれなくて」

P「ずっと、溜まってたんだな……」

響「……」

P「だから、せめて今は、オレの胸で泣いてくれよ……」

響「……」コクッ

響「うえっ、うわああああああああああああああん!!!」



P「……泣き止んだか?」

響「……うん」

P「そっか」

響「うん」

響(…………)

響(…………何やってるんだ、自分)ズーン

響(…………流れに身を任せてたら大事な何かが決壊してしまった)

響(…………よりによってプロデューサーの前で!!!)


P「~~~♪」

響(うわぁ、メチャクチャ上機嫌だよ……)

響(……でも)

響(……もしかしたら、ずっと悪かったって思ってたのかも)

響(……プロデューサーの優しさに甘えすぎて、ちょっと調子に乗ってた自分を)

響(でも、プロデューサーはそんな自分のことを嫌いになるどころか好きでいてくれた)

響(ま、他のアイドルのことも同じように考えてるだろうけど……)

響(……なにこれ、自分が特別になりたいみたいな……)

響(…………)

P「響」

響「……なに?」

P「……いや、その」

響「?」

P「当たってるんだが///」

響「…………~~~~~!!!!!」

スパーン!


響「そういう所だって言っただろ、プロデューサー!!!」

P「いや違う! 今のはオレがやったんじゃない! 不可抗力だ!!!」

響「あー出た出た、不可抗力。受け身でヘタレなラノベの主人公はすぐそれ言うよな、不可抗力!」

P「オレはラノベの主人公じゃない、プロデューサーだ!!」

響「そんなこと知ってるよ! 例えだよ!」

P「いや、今のは紳士の対応だったと思うぞ! さりげなーくフォローできてたしな!」

響「どこがさりげなくだっ! そんなんだからプロデューサーは童〇なんだぞ!」

P「どどっどどどっどどどどどどどっどっどどどどっどどど童〇ちゃうわ!」

響「反応が思いっきり童〇だぞ!!」

P「ア、アイドルがどどどどっ童〇とか言うんじゃああああああありません!」

響「今更言えたことか!」

P「……響、何でオレが童〇だって知って、ハッ!! まさかお前、オレの貞操を……」

スパーン!

P「痛い!!」

響「おバカ!!!!!」



響「さっ、これでもうデレイベントは完了だろ! さっさと貴音を助けに行くぞ!」

P「い、イベント? 今のは演技だったのか!?」

響「そ、そうに決まってるぞ///」

P「……その割には目が充血してるような」

響「じっ、自分、完璧な演技派女優だからな! このくらいなんくるないさー!!」

P「…………!」

響「な、なんなんだ、その目は!」

P「ふふん、なんくるないさー♪」

響「真似するな!」

P「響はかわいいなぁ!!!」

響「~~~~~~っ!!!」バシバシ


ー貴音のお腹 最深部ー

たかにゃ「しじょっ!!!」[憤怒]

響「うーん……。ごめんな、たかにゃ」

たかにゃ「しじょしじょ!」

P「何て言ってるんだ?」

響「『さっきからシリアスになる度に存在を忘れるな』って」

P「ああ……」

たかにゃ「しじょっ!」プンスカ

響「『ここに来た理由を重々忘れないように』って」

P「うむむ、反省しよう」

響「そうだぞプロデューサー。遊びに来たんじゃないからな」

P「半分くらい響のせいじゃないですかね」

響「うう……」

P「さて……、冗談もそこそこに、そろそろ貴音を助けに行くぞ」

響「うん!」

たかにゃ「しじょっ!」


ゴゴゴゴゴ……

たかにゃ「しじょっ」

響「ここが最深部みたいだぞ」

P「うーん、広いなぁ。ドーム半個分くらいはあるかな?」

たかにゃ「しーじょっ」

響「うわぁ、松明の光が奥まで届かないぞ……」

P「こう暗かったら全体が見渡せないな。モンスターがいたら危ないし」

響「や、やっぱりモンスターっているのか?」

P「多分な。最深部ってだけあって、ここが貴音の腹痛が起こっている現場であることは間違いないだろう。何かしらがいること覚悟しておいた方がいい」

響「じゃ、じゃあそのモンスターが貴音の腹痛の原因?」

P「その可能性も大いにある。これまでのヤツよりもっと強いモンスターが出る可能性もな」

響「なんか、怖くなってきたぞ……」


P「まあ、用心するに越したことはないな」

響「用心って……何をすればいいんだ?」

P「やり残したことをやっておくとか?」

響「絶対プロデューサーの期待している展開にはならないからな」

P「大丈夫さ。響の心の準備ができるまで、オレは大事にとっておくからな////」

響「つっこまないからな」

P「またまたぁ、オレが何をとっとくのかわかってるくせにぃ~~」

響「その口閉じろ!」


……………

響「! 何か聞こえないか!?」

P「オレには何も聞こえないな。オレたちの話し声が反響したんじゃないか?」

響「ううん、違うぞ。なんか自分たち以外の何かがいる感じだ……」

P「ふむ……動物のカンってやつか?」

響「……自分は動物じゃないぞ」

P「ははっ、響は動物が大好きじゃないか。似たようなもんだ」

響「さらっと酷くないか?」

P「まあまあ」


…………ヴぁ……

響「また聞こえたぞ!」

P「ククク……ようやくお出ましみたいだな。久々に我の秘められし力を開放する時が来た……!」

響「テンプレートでコテコテな中二ゼリフは要らないから。あと一人称変わってる」

P「ヤツめ……思ってたよりも早くに来やがった!」

響「早いのか遅いのかどっちだ!」

響たちの大きさが100分の1なのに東京ドーム半分の広さって

姫ちんの腹はどうなってんの?

>>94
大きさの計算とかはまったくしてないから、そこらへんはノリでお願いします


かっ……………かぁ

響「また何か聞こえた! それもはっきり!」

P「何かいるのは確定みたいだな」

響「ち、近づくぞ……」

かっかぁ…………

響「さっきより声が大きくなってるぞ!」

P「っは……こんな時にっ! し、静まれ……俺の腕よ……怒りを静めろ!!」

響「中二病はもういいから!」

P「俺が恋してるのは響にだけ、だけどな!」

響「~~~~~そういうも今はいいからっ///」

たかにゃ「しじょっ!!!」

P「! 何だあれは!」

響「静まれ……自分の心臓……」ドキドキ

P「いいか、光を向けてみるぞ」

響「う、うん……」

ピカッ

??「…………」

??「ヴぁ~~~~~い」

P・響「…………」

P・響「な、なんかいたーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」


??「ヴぁ~~~~~い」

P「な、なんだこれ!? メッチャデカい物体が天井までみっちり詰まってるぞ! これが貴音の腹痛の原因か?」

響「たかにゃ、こいつがそうなのか?」

たかにゃ「しじょっ」

響「場所的には間違いないってさ」

P「ふーむ……」

??「かっかぁ」

P「見たところ、この最深部でこの巨大な物体が〇印良品の人をダメにするソファよろしくフィットしちまってるから、貴音の腹痛が起きたのか?」

たかにゃ「しじょっ」

響「そう考えていいみたいだ」


P「とは言ってもなぁ。何なんだコレ? 生き物なのかな?」

響「たかにゃ、コミュニケーション取れないか?」

たかにゃ「しじょっ!」




たかにゃ「しじょしじょしーじょっ」

??「かっかー」

たかにゃ「しじょじょしじょ!」

??「ヴぁ~~~~い」

たかにゃ「しじょじょじょしじょしじょっ!」

??「は~るかっか!」

…………

たかにゃ「しじょっ」[無理]

P「無理かー」

響「自分も聞き取れなかったぞ……」


P「ふーむ、コミュニケーションはとれないか。参ったな」

響「ひとつ、気づいたこと言っていいか?」

P「何だ?」

響「今、こいつ『はるかっか』って言ってなかったか?」

P「……確かに言ってたな。よく見たらなんとなく春香に似てる気もする」

響「リボンもついてるしな」

??「ヴぁ~~~~~~い」

…………

P「……オレはリボンが付いてるから春香に似てるだなんて言ってないからな」

響「……墓穴を掘った感が否めないぞ」

P「春香に言ったろ」ププッ

響「……」

P「よし、便宜的にお前の名前は『はるかさん』に決定だ!」

はるかさん「はるかっか!」


響「そんな感じで決めちゃっていいのか?」

P「いいって。それよりはるかさん、お前は何でこんな所にいるんだ?」

はるかさん「ヴぁ~い」

P「そうか、コミュニケーションはとれないんだったな」

響「というか、もうはるかさんが貴音の腹痛の原因で確定なのかな?」

P「さっきもそう言ったろ?」

響「でもさ、ここに来る前の貴音の腹痛を見てたら、痛みに一定の波があるみたいじゃなかったか? 確かにはるかさんは貴音のお腹に詰まっちゃってるけど、今は特別痛みを与えてるようには見えないぞ」

P「なるほど、一理あるな」

響「とはいえこんな所に置いておくわけにもいかないしなぁ」

P「春香の面影もあるしな」

響「……うん」

はるかさん「かっか」

P「まあ、貴音の腹痛を無しにしても、やっぱりはるかさんを連れて帰る必要があるかな」

響「……こんな巨大な生物、連れて帰ってもどうやって育てるんだ?」

P「響が飼うんじゃないのか?」

響「ナチュラルに言われても対応に困るぞ」

P「それに、今は俺たちの体が小さくなってるんだから、もし飼うにしてもサイズ的には大丈夫なはずだ」

響「そっか。そうだったな」


P「ってことで、たかにゃ! はるかさん外に連れ出してくれ!」

たかにゃ「しじょっ!」

…………

たかにゃ「しじょっ?」

響「どうやって?」

P「そりゃ、もう。たかにゃのお家芸・ウルトラ超能力でさ。チョチョイと!」

たかにゃ「しじょぅ……」

響「そんなことできないってさ」

P「えっ……それじゃあどうするの?」

たかにゃ「……」

響「……」

P「……えっ、ここまで来てドン詰まり?」

たかにゃ「しじょぅ……」


P「参ったな……どうすることもできないぞ」

響「それ以前に、貴音の腹痛のはっきりした原因も見つかってないしな」

P「うーん、原因がはるかさんだと仮定しても、はるかさんを外に運び出す術が無い……か」

響「プロデューサー、どうするんだ?」

P「うむむむむむ」

響「……もしかしたら、ここまで来て失敗?」

P「……かもな。こっからやれることを挙げるとしたら、はるかさん以外の問題点を探してみるのがベターかな」

響「なんだか煮え切らないぞ……」

P「しょうがないさ。あー、テレポートができる〇ーシィでも連れてきてればなぁ」

響「それか、あずささんが迷い込んできて、自分たちを外に連れてってくれないかな」

P・響「…………」

P・響「ないない」



がっがぁああああぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!

P「ちょっと、はるかさん。今オレたちはどうやってお前を外に出してやろうか考えてんだ! 静かにしてくれ!」

がっがああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

響「? なんだかさっきと様子が違うぞ!」

P「?」

ヴぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~い゛!!!!!!

P「なんか、無駄に濁点が付いている気がする」

響「なんだか凶暴になってるみたいだぞ。まるでいぬ美がお腹が減ってる時に出す声みたいだ」

P「……ちょっと待って」

響「?」

P「今、何て言った?」

響「だから、いぬ美がお腹が減ってる時に……」

P・響「!!!!!!」

はるかさん「ばる゛がっがあああああああああああああああああああああ!!!」(おなかすきました!)

P「……何だろう。聞こえないはずのはるかさんの心の声が聞こえてくるようだよ」

響「はは、はははは、ははははは」



はるかさん「ヴぁ~~~~~~~~い゛!!!」

P「ヤバい! はるかさんが腕を伸ばしてきた!」

響「これ完全に自分たちを狙ってるぞ! どうするんだ!?」

P「逃げるんだよォ! ヒビーキーーーーーッ!!」

響「わあ~~ッ!! なんだこの男ーッ!!」

たかにゃ「しじょっ!」

P「たかにゃ、早く掴まれ! 一時戦線離脱だ!」

たかにゃ「しじょしじょっ!しじょじょじょ、しじょっ! しじょっ!」

響「えっ! そんな、無茶だぞ!」

P「!?」

響「『ここまで付いてきてくれてありがとう。本当なら私だけで問題を解決できれば良かったけど、あなたたちの力を借りることになってしまった。せめてあなたたちを傷つけるわけにはいかない』」

たかにゃ「しじょっ!」

響「『先に行って』……!!!」


響「そんな、たかにゃ! こんな形でお別れだなんて、自分イヤだぞ!」

P「……響っ!!! 早く行くぞ!」ガシッ

響「ちょっ! 待ってよプロデューサー! たかにゃを置いていくのか!?」

P「あれがあいつの生き様だ! せめて外の人間には傷を負わせまいというたかにゃの信念だ! オレはその信念に敬意を払う!!」

響「ぷ、プロデューサー……」

P「早く、たかにゃが時間を稼いでいるうちに!」

響「ぐっ……!」

P「響!!!」

響「た、たかにゃーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」


P(マズイ、状況は最悪に近い。案内役のたかにゃを失い、響は茫然自失。更には貴音の腹痛を解決もできなかった。いや、原因すら曖昧なままだ。ミッションは完璧に失敗だ)

P(オレも正直、ふざけすぎたかもしれない。響と二人だけの空間だからとはしゃぎすぎて、物事の重大さをしっかり受け止めることができていなかった)

P(……響をこんな危険に晒すことになっちまって。まったく、プロデューサー失格だ)

P(しかし、嘆いてばかりもいられない。今オレが考えるべきことは一つ……。『響を安全に外まで送り届けること』だ! いろいろ考えるのは、その後……)

P「…………しまったっ!!!」

響「!?」

P「出口が……閉まっている!!!」

響「ちょ……ウソでしょ……!」


P(そうだった。だいたいのダンジョンものでは、ラスボス戦の時に出入り口が封鎖されるものだった!)

P(今までこれみよがしに知識を披露してきたのに、最後の最後で、しかも一番大事な場面でミスるなんて……何たる不覚!!!)

響「プロデューサー、これ、どうするんだ? 自分たち、外に出られないのか!?」

P「……ッ!」

響「プロデューサー!!」

しじょーっ!

響「! たかにゃ!!!」

P「おい、まさか…………!!!」




はるかさん「んぐんぐんぐんぐんぐんぐ」





P「そんな……たかにゃが……」

響「うそ……でしょ……まさかそんな……」

P「たかにゃ…………」


はるかさん「…………」

はるかさん「…………」

はるかさん「…………ハハ」

はるかさん「…………ハハハ」

はるかさん「…………ハハハハハハハ」

はるかさん「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

P・響「!?!?」


P「はるかさんの雰囲気が変わった!?」

響「そんな、たかにゃ! うそでしょ!? なんで自分たちを助けようとしたんだ!!!」

P「響、落ち着け!」

響「たかにゃあああああああああああああああああっ!!!」

P(マズイ、マズすぎる……!!!)

P(響はたかにゃを失ったことによって軽くパニックを起こしている。それにはるかさんは、たかにゃを食べたことによって雰囲気が変わった)

P(あれは……捕食者の雰囲気だ。オレたちを食べる気だ……!)

はるかさん「アハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハハハハ!!!!」

P(…………!!!!!)


P「落ち着け、響」グイッ

響「!!」

P「いいか、響。今からオレがはるかさんを倒す。響はそこで見てろ」

響「!! たかにゃがやられちゃったんだぞ! もしかしたらプロデューサーも……」

P「大丈夫さ。オレは必ず戻ってくる」

響「でも……! でもぉ……っ!!!」

P「バーカ、さっき言ったこと、忘れたのか?」


P『オレは冗談は言うが、嘘はつかないことを信条にしている』


響「…………!」

P「オレを信じてくれるか?」

響「……」コクリ

P「ちょっくら倒してくる。そして帰ろう。響」

響「…………うん!!」

ダダッ


はるかさん「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

P(……勝算は、無いに等しい)

P(しかし、これに掛けるしかない。今の響にこれを任せることはできない)

P(もし失敗したらジ・エンドだ。オレも響もはるかさんの餌になるだろう……)

P(響……!)

P(今のオレに何があるか。何をするべきなのか。何をしなければならないのか。何を守るべきか。何を……)

P(何を……持っているか!!!!!)

はるかさん「ばる゛がっがあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ブォン!

P「でりゃああああああああああああっ!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

響「!! ブーメラン!」

P(頼む、当たってくれ!!!)


響「でも……はるかさんにブーメランは効くのか?」

P(いや、おそらく効かない。素人でも扱えるような作りのブーメランがそれほど有効な攻撃になるとは思えない)

P(……はるかさんが相手じゃなかったらな!)

ズバッ!

響「!!!!」

はるかさん「がっがあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

響「はるかさんの頭の、リボンに命中した……!!!」

はるかさん「がっがぁぁぁあああああ」ヒラヒラ

P(そう、リボン。お前も春香と同じ、リボンを持つものなら、さぞ痛かろう……)パシッ

P(春香にとってリボンは、アイドルと一般人の境界線だ。だから、お前にとってのリボンも、最大の弱点になるはずだと踏んだ!)

P(かなり大きなバクチに出たけどな、どうやら正解だったみたいだぜ……)

P(ハナっからはるかさん本体に攻撃をしたところで重量差で負けてしまうのがオチだ。戦力に分が無い時こそ、攻めるべきは相手の弱点!)

響「……さっきより大分弱ってるみたいだぞ!」

P「はるかさんのリボンを攻めれば、勝機はあるんだ!!!!!」



響「プロデューサー!!!」

はるかさん「ヴぁ~~~~~~~~~~~~~~~~い゛!!!!」

P(片方のリボンはとれた! もう一方のリボンがとれれば、はるかさんの動きは格段に落ちるはずだ!)

響「プロデューサー! 危ない!!!」

P「えっ?」

はるかさん「ばる゛がっがああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!」ドォン!

P「がはっ……!!!!」

響「プロデューサー!!!!!」


P(くそっ、油断した……まだ片方のリボンを落としただけだったのに……!)

P(…………マズイ、動けない)

響「早く逃げないと、食べられちゃうぞ!!!!」

P(もちろんだ。わかってる。食べられるわけにはいかない。響を一人にさせるわけにはいかない!!!!)

P「う、うおぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」

P(体がバキバキだ……一発でなんていう攻撃力……!!)

P(だが、どんだけ体が痛かろうが、動かないわけにはいかない)

P「お前に……響に手は出させねええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

響「プロデューサー!!!!!!」


はるかさん「ヴぁ~~~~~~~~~~~~~~~~い」ヒラリ

P「なっ……!?」

響「か、かわした!?」

P(ぐっ……偶然なのか? それともたった一回でブーメランの軌道を見切ったというのか!?)

はるかさん「は~~~るか~~~っか~~~~~~~~~~」

P(ブーメランが帰ってこない!)

P「くっそ…………」ガクッ

響「プロデューサー!」ダダッ

P「来るな、響! お前まで食われるぞ!」

響「でもぉ!!!」

P「いいか、オレが時間を稼ぐ。その内にブーメランを回収しろ! そしてもう片方のリボンを切り落とすんだ!」

響「そんなことしたら、プロデューサーが……!」

P「何、大したことない。響を守れるなら……、いや!!!」

P「二人で助かりたいんだと思うなら、ブーメラン目がけて走れ!!!」

響「!! うん!」

P「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!」


響(プロデューサーが食べられちゃう前に、ブーメランを探さなくっちゃ……!)

響(ブーメラン、ブーメラン……どこに落ちたんだ?)

響(! あった!)ガシッ

響(プロデューサーは……?)

響「!!!!!」

P「……たっく、こんなに凶暴になっちまいやがって……。たかにゃを食べたのがトリガーか? それとも勝手に闘争本能が芽生えたのか?」

P「どっちでもいい……。興味ないしな……。でも、お互い様だろ?」グググググ

P「俺だって、響を助けることしか考えてねえからなああああああああああああああっ!!!」

P「響、投げろ!!!!」

響「当たれえええええええええっっっ!!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン


ザシュッ



響「あ、当たった…………」

P「リボンが、落ちた……!!!!」

はるかさん「かっかぁぁぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……」

P「やったぞ、響!!!」

響「プロデューサー! 自分当てちゃったぞ!!!」

P「ああ、本当によくやった! こんな状況で、お前ってヤツは……!!」

響「でも、当てられて良かった……! もし当たってなかったら、今頃自分もプロデューサーも……」

P「まぁ、二度とあることじゃないし、今更そんなこと考えても無駄だよ」

響「プロデューサー……」


はるかさん「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!」

響「! はるかさんが小さくなっていくぞ!」

P「これで終わった……のか?」

響「わかんない……でも、リボンはとれたんだし、もう大丈夫じゃないか?」

P「……そうだといいんだけどな」

響「不安になるようなこと言わないでよ……」

P「…………」


P「はるかさんは……おっと。これまたちょうどいいサイズになったな」

はるかさん「ヵっヵぁ」

響「プロデューサー、体は大丈夫?」

P「ああ、アバラの2,3本はイッちまったかな?」

響「……それ、実はすごく痛いらしいけど」

P「うん、死ぬほど痛い。」

響「……」

P「ま、とりあえず生きてるし大丈夫さ」

響「そっか……」

P「……どうかしたか?」

響「……たかにゃも、一緒に助かったら良かったのにな……」

P「響……」

響「なんだか、自分たちだけ助かって、たかにゃが助からなくて……。たかにゃを犠牲にして自分たちが助かったみたいだな」

P「……」

響「ズルいよな。意気込んで貴音を助けに来た割に、何もできなかった……」


P「……響、一つ言えることはな」

響「?」

P「たかにゃはオレたちを助けるために体を張ってくれて、そしてオレたちは今、無事に生きている。たかにゃの犠牲は無駄にならなかったんだ」

響「……!」

P「それに、たかにゃの使命は、貴音を助けることだ。今回、それはたかにゃには達成できないことで、オレたちには達成することができた」

P「……たかにゃは、自分の使命を達成できたことを、満足してるんじゃないかな」

響「プロデューサー……」

P「さあっ、忘れてもらっちゃあ困るが、たかにゃの使命はまだ残ってるんだぞ!」

響「えっ……何それ?」

P「はるかさんと戦う時、たかにゃは身を挺してオレたちを外に出そうとしてくれた」

P「無事に外に出るまでがダンジョン攻略だ!」

P「さぁ……、帰ろう。響」

響「…………うん!!!」


ゴゴゴゴゴ……

響「プロデューサー、何か聞こえないか?」

P「ああ、聞こえる……」

響「ええっ、ちょっと待ってよ!」

P「……まさか、はるかさんの次にもまだ何かあるのか!?」

響「どうするんだ。自分たち、もう満身創痍だぞ!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

響「音が近づいてきてるぞ!」

P「今から新手と戦うのは無理だ! ひとまず潜水艦に戻って脱出するぞ!」

響「はるかさんは?」

P「連れて行く!」

響「わかった!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

響「ヤバい! もうすぐそこまで来てるぞ!」

P「走れ、響!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!!!

P「!?」

響「!!!!」

P「そ、そんな……」

響「濁流だ!」

P「しかも……」

響「出口が!!!」

P「濁流で飲み込まれてしまった……!!!」

P(万事休すか……ッ!?)


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!

P(マズイ、濁流に飲み込まれたら、二人とも……)

P「響、掴まれ!!」

響「えっ?」

P「早く!」

ガシッ

ザアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!

響(どっ、どうしよう……)

P(くそっ、ここまで来て、この仕打ちは無いだろ……)

響(濁流に飲まれて、身動きが取れない……!)

P(どうにか、何とかして響だけでも……!)

響(プロデューサー、助けて!!)

P(響だけでも……!!!)

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……………………」

「あ…………………」

「…な……………ま」

「あな……………ま」

「あなた……………」

「あなたさま………」

「ふふっ……………」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


P「くわっ!!!」ガバッ

P「…………」

P「……何だろう、とても甘い声で呼ばれた気がする……」

P「なんかこう、骨の髄のところからトロけていきそうなくらい甘い声だった……」

P「ああ、トロトロになったオレをお姫ちんの指先で弄んでほしい……」

P「…………」

P「あれ、毛布がかかってる……。誰かがかけてくれたのかな?」

P「それに……。俺が枕にしてたのは、前に美希にあげたやつだ。」

P「…………」

P「……誰かいるのか?」

P「気のせいかな……?」


貴音「気のせいではありませんよ、あなた様」

P「何奴っ!?」

貴音「何奴などと……面妖な……」

P「……?」

貴音「あなた様。貴音はずっと、ここにいますよ?」

P「…………」

貴音「ふふっ、よほど深い眠りに入られていたようですね? 私のことがちゃんとわかりますか?」

P「たかねぇ……」

貴音「ええ、正解です。四条貴音です」

P「…………たかねえええええっっっ!!!!」ダキッ

貴音「!? あっ、あなた様!?」


P「貴音ぇぇぇ!! よかった、元気になったんだなぁ~~~~!!!」

貴音「あっ、あなた様、よしてください!! このような所で////」

P「心配したんだからな、貴音!!! 大丈夫か? お腹は大丈夫なのか!?」バッ

貴音「ええっ、あっ、あなた様!?」

P「そっかぁ、オレたちはさっきまで貴音のこの中に行ってきたのか!」サワサワ

貴音「ああっ、あなた様。お腹をまさぐらないでくださいまし……////」

P「そんなこと言うなよ、貴音。オレたちはお腹の中に潜入した仲じゃないかぁ」

貴音「わ、私のお腹!?」

P「あっ、『貴音のお腹』と『潜入した仲』だって! 漢字が違うと意味合いも違ってくるもんだなぁ、はっはっはっ、貴音ぇ!!」スリスリスリ

貴音「ああんっ! ほ、頬を、頬をっ!!」

P「貴音の肌は本当にキメ細かいな……一生撫でていたいくらいさ……」スリスリスリスリスリスリ

貴音「ああんっ! やめてくださいましっ……////」

P「はっはっはっはっはっ!!」

P「…………ハッ」

響「…………」ニコニコ


響「プロデューサーは貴音に何をやってるんだ?」

P「えっ、いやっ、これは……」

響「貴音に抱きついて、服を脱がせようとして、そしてお腹を直に触ってる……」

P「…………」

響「ねえ、プロデューサーは貴音に何をやってるんだ?」

響「ねえ、答えてよ」

響「ねえ」

響「ねえ」

響「ねえ」

P「…………」ダラダラ

響「…………」ニコニコ

P「…………あ?」

響「あ?」

P「あ……愛の確かめ合い?」

響「…………」

P「…………」

響「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」バキィッ!

P「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


P「ひびきんの、とびヒザ蹴り、マジ岩をも砕く……ガフッ」

響「プロデューサーは勝手に起きてきて、何をやってるんだ!」

P「い、いや。オレは貴音のお腹の調子がどんなものか調べようとだな……」

響「そんなの直接聞けばいい問題じゃないか!」

P「オレは直接自分で見たものしか信じないんだ!」

響「カッコいいこと言ったつもりか!」

P「たっ、貴音がオレに気をつかって隠してるかもしれないだろ!」

響「だ、だからっていきなりカウンセリングも無しに触診だなんて、もう、えぅ……えっ……」

P「? 響は何が言いたいんだ?」

響「うるさいこの変態プロデューサー!」

P「理不尽だ!」

響「『理不尽』の字を辞書で調べなおせ!」

P「わたしの中に辞書なんて存在しない!」

響「ナポレオンもビックリだよ!」


貴音「ふふっ。あなた様と響が元気そうで何よりです」

P「! そうだ、貴音。お腹は大丈夫なのか?」

貴音「お腹……ですか」

P「何か、痛かったりしないか?」

貴音「そうですね。先ほどから少々……」

P「痛いのか!?」

貴音「……小腹が空いているかと」

P「……? なんともないのか?」

貴音「ですから小腹がs」

P「お腹が痛かったりはしないか!?」

貴音「先ほど起きた響にも同じようなことを聞かれましたが、何のことやら……」

P「……貴音は、さっきまでお腹が痛くてソファーベッドで寝ていなかったか?」

貴音「…………?」

P「どういうことだってばよ……」


響「……自分もさっき起きたんだけど、貴音に聞いたらこの通りだったんだ」

P「これは……幻術なのか!?」

響「何でも、さっきまでのことをまったく覚えてないみたいなんだ」

P「また幻術なのか!? イヤ……」

響「どういうことなんだ? まるで自分とプロデューサーが貴音を助けに行ったことが無かったみたいに……」

P「なんだアレは!?」

響「……プロデューサーはさっきから自分の話を聞いてるのか?」

P「いや、我〇羅の気持ちがわかったもんだから、つい……」

響「我〇羅? 砂を使う人の?」

P「……わからなかったならスマン」

響「……」


真美「ああっ、兄ちゃんがやっと起きた!」

亜美「ああっ、ホントだ! 亜美たちが仕事しているときに寝てた兄ちゃんがやっと起きた?」

P「!?」

伊織「まったく、アイドルたちが仕事してる時にプロデューサーが自分だけ事務所で寝てるなんて、たまったもんじゃないわ。ふんっ!」

あずさ「まぁまぁ。プロデューサーさんもお仕事で疲れてるでしょうから、たまにはいいんじゃないかしら」

律子「今日はアクシデントが無かったから良かったにしろ……これからはもうちょっとプロ意識を持ってくださいね」

P「おっ、おう……スマン……」

雪歩「で、でも。プロデューサーはいっつも私たちのために働いてくれてるんだし、疲れちゃうのも仕方ないかも……」

やよい「プロデューサー、疲れてるんですか? 疲れてる時はムリしないでしっかり休まないとダメですよー!」

美希「ハニー。ミキの枕、寝心地良かった?」

P「ありがとうな、やよい。雪歩。美希も、勝手に枕使ってごめんな?」

美希「ハニーならいつでもオッケーなの!」

真「プロデューサーは運動しないから駄目なんですよ! 疲れた時こそ、疲れない体にするためにも、しっかりトレーニングすることが大事なんです!」

千早「それはプロデューサーに負担をかけるだけかと思うけど……。でも、そうですね。やはり日々トレーニングをすることも大事かも……」

P「真……。千早……」


春香「プロデューサーさん、大丈夫ですか?」

P「ああ、春香。大丈夫だ……よっと」

春香「ああっ、無理して立たなくても大丈夫ですよぅ」

P「本当に大丈夫なんだ。少し仮眠してただけだしな。それより春香……」

春香「なんですか?」

P「さっき、事務所であったこと覚えてるか?」

春香「事務所で、ですか?」

P「ああ」

春香「私、今日はアイドルアワードの表彰式典に行くから、その前に事務所に来て……」

P「それで?」

春香「プロデューサーと響ちゃんがいたから居たから挨拶をして、セリフ覚えをして、そのまま式場に向かいました」

P「!?」

響「そんな……」

春香「? 私、何か間違ってましたか?」

P「いや、いいんだ。多分春香は間違ってない……」

春香「?」

響「プロデューサー、どういうことなんだ?」

P「…………」


 どうやら、みんなの話によるとこういうことらしい。

 仕事を終えて事務所に帰ってきたら、オレと響はソファーベッドでグッスリと眠っていたみたいだ。

 当事者であった貴音も、雪歩に聞いたところ、ちゃっかりと舞台稽古に参加していたらしい。

 貴音も、更には春香も何も覚えていないとなると、あの大冒険を記憶しているのは、オレと響だけみたいだ……。


P「ちなみに、寝ているときはどんな姿だった?」

春香「え? それは……」

貴音「そうですね。まるであなた様が響を包み込んでいるかの様……」

響「わーわーわーっ!!!!」

春香「……」

響「今! 何も聞こえなかったぞ! 自分、何も聞いてないからな!!! 自分わからないからなっ!!!!」

P「ふむ……。して、その絵を収めた者はおらぬかえ?」

「…………」

P「あーもう! どうしてこういう時に小鳥さんがいないんだ!」

響「ぴよ子がいなくてホントに良かった……」

春香「……むぅ」


亜美「あれあれ、そういえば今日ピヨちゃんは?」

真美「ホントだ! 今日はピヨちゃんがいないよ?」

律子「……あの人には、当分反省をしてもらいます」

亜美真美「?」

律子「まったく……勤務時間中にほかの事務所のアイドルの撮影会に行くなんて、もう」

真「偵察だったんじゃないかな?」

律子「ちなみに撮影会のメインは秋月涼よ」

千早「何だか……私情が挟まれてるような気がするわね……」

やよい「『気がする』じゃなくて、確実に挟まれてるかなーって」

亜美「やよいっち……」

真美「ストレートすぎるYO……」

律子「涼のヤツにも、しっかりと灸を据えとかないと」

千早「その、何ていうか、とんだとばっちりのような……」

真「涼……ドンマイ……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

涼「……なんだか凄くイヤな予感がする!!!」



ー765プロ 屋上ー

響「一体……どういうことなんだろうな」

P「さあな。意味が分からないことが起こりすぎて、何が正常なのかもわからなくなっちまった」

響「アバラの骨は、痛いのか?」

P「いんや、ピンピンしてる」

響「……てことは、あの冒険は夢だったのかな?」

P「……かもな」

響「でも、二人そろって同じ夢を見ることってあるのかな?」

P「無いとも言い切れないだろ?」

響「そんなぁ……」

P「…………」

響「だったらさ……」

P「何だ?」

響「自分たちを守ってくれた、たかにゃも、夢の中の存在だったって言うことなのかな?」


P「…………」

響「……プロデューサー」

P「もし、あの冒険が本当にあったことで、この世界が現実なら……」

響「……」

P「たかにゃが、全てを変えたのかもな」

響「? どういうこと?」

P「たかにゃの使命は貴音を守ることだと思うんだ。もしかしたら、アイドルとしての貴音のことも」

響「アイドルとしての貴音?」

P「ああ。せっかくの舞台出演なのに稽古をブッチしたとなったら、アイドルとしての評価は下がってしまう。それを避けるために、貴音は稽古に出ていたことになっていた」

響「うん……」

P「それに、貴音が腹痛で倒れたという事実が765プロに伝わったら、他のアイドルたちにまで少なくない影響が出てしまう。それも、記憶を改ざんすることで避けることができた」

P「本来のたかにゃの目的は貴音の腹痛を解決することだったが、アイドルである貴音にとって、腹痛を治すだけでは今回のことは終わらないだろ? だから……」

響「だから?」

P「たかにゃが何かしらの力を使ったんじゃないかな?」


響「それなら、自分たちが記憶を持ったままなのは?」

P「それはわからないが……」

響「…………」

響「ううん、自分、なんだかわかる気がするぞ」

P「おっ、聞かせてもらおうか」

響「きっと、たかにゃは今回のこと、楽しかったって思うんだ」

響「だから、自分たちには、同じ記憶を持っていて欲しかった……!」

P「そういう考え方か……」

響「うん……」

P「……ああ! そうだといいな!」

響「……へへっ」ニコッ


P「なら、オレにも一つ、わかったことがある。」

響「何?」

P「もし、アイドルとしての貴音を守る力が発揮されたなら、それはオレたちがはるかさんを倒した後だってことだ」

響「何でそうなるんだ?」

P「だって、はるかさんを倒す前まで、貴音はアイドル活動ができそうにないほど腹痛で苦しんでたじゃないか」

P「貴音がアイドルとして働くんならそれは、腹痛が治った後だ」

P「腹痛の種を処理しないまま貴音が舞台稽古をしていたようにしても、もしかしたら稽古場で腹痛が起こっていたかもしれないだろ?」

P「つまりだな、響」

P「たかにゃは、今も生きている!」

響「…………!!!」


響「そっかぁ……たかにゃは生きてるのか!」

P「ま、これが全て現実だった場合だけどな」

響「……こんな時に水を差さなくてもいいんだぞ」

P「まあっ、オレたち目が覚めたときはベットの上で抱き合ってたんだろ? 濁流に飲み込まれた時の格好にそっくりじゃないか。きっと現実だって」

響「ちょ、ちょっと!! 何でそのこと知ってるんだ!」

P「ふむ、その反応から見ると、合っていたようだな」

響「カマをかけたのか!?」

P「いや、さっきの貴音の言葉と、その時の響の慌て具合からして、オレと響が抱き合っていたのは真実なんだと瞬時に理解した」

響「なんでこういう時だけ頭が回るんだ!!」

P「響と抱き合う……響と抱き合う……。ああ、なんていうシチュエーションなんだ……」

響「連呼するな!」



響「でも……」

響「そっか。たかにゃは生きてるんだな」

P「嬉しそうだな、響」

響「当り前さー! 自分とたかにゃは、同じ戦場にいた、いわば戦友さー!」

P「ははっ、戦友か。大きく出たもんだな」

響「そうだぞ、たとえもう会えないとしても、一緒に戦った絆は消えないんだ!」

P「……ふっ、ふふっ」

響「ふふっ、ふふふふっ!」

P「ははははっ!!」

響「ははっ!!」

ハハハハハハハハッ!!!


ー765プロ事務所ー

響「そういえば、今回のことで、一つだけ気になることがあるぞ」

P「どうしたんだ、響?」

響「なーなー、貴音?」

貴音「どうしました、響?」

響「貴音ってさ、病院嫌いなのか?」

貴音「!?!?!?!?」

ガシャーン!

響「貴音!? いきなりどうしたんだ!!」

貴音「びょっ……びょびょびょう、びょういんですか?」

P「どうした貴音、顔が真っ青じゃないか!」

貴音「なりません!!!」

P・響「!?!?」

貴音「なりません、ああ、あ、ああ、ああのようなばっ、場所は、ほほほ滅びねばなりません……!」

響「い、いったい病院にどんなトラウマが……!」

貴音「…………」

貴音「…………ないのです」

P「?」

貴音「食事がとても少ないのです!!!!!!」

P「…………」

P・響「……は?」


貴音「私は以前、一度だけ入院したことがあります」

貴音「いつ頃のことだったでしょうか……とても幼かった頃だと思いますが」

貴音「全体的に白い病室、素っ気のない作りのべっど……。幾ばくかの日々をここで過ごすのかと考えたとき、とても寂しい気持ちになったことを思い出します……」

貴音「しかし、それは耐えねばならないことでした。私の不摂生から生じたものならば、耐えねばならぬと……! 理解していました……」

貴音「……たとえそうだったとしても! どうしても耐えられなかったのです……!」

貴音「あの食事の量には!!!」

P「ええぇぇぇ……」

響「正直リアクションに困るぞ……」


貴音「味の方はさほど気にはなりませんでした。健康食というものはこういうものかと……」

貴音「しかし、腹が膨れないことには耐えられませんでした! ぷれーとに乗った量だけでは、私の腹の虫は治まることはありませんでした!!!」

貴音「おかわりをいただこうにも、『かろりー量を計算しているから、今日でそれで終わり』などと戯言を抜かして、私は空腹感を埋めることができず……」

貴音「我慢ならずに深夜にとびだしらぁめん屋に行くと、決まって看護婦の方が待ち構えているのです!」

貴音「あの姿は……さながら泥棒を捕える『敏腕でか』のようでした……」

P「自分のことを泥棒って言ってる辺り、罪の意識はあるんだな」

貴音「病院とは、いわば監獄……。これでは、病と人間、どちらを閉じ込めているのかわからないでしょうに!」

P「なにいってだこいつ」


響「確かに、貴音からすると病院の食事は量が絶対足りないな」

貴音「でしょうに!!!!」

響「!?」

貴音「考えてみればすぐにわかるものでしょうに、規則だからと、凝り固まった頭でそれ以上のことを考えようとしない……」

貴音「私はその時、医療機関が抱える問題の一端を垣間見たような気がします……」

響「そんな大げさな……」

P「とりあえず、これで貴音の病院嫌いは解決……と」

響「これでいいのかな……?」

P「まあ、今回のことに関しては、病院に行ったところで治ってたかどうか怪しいしな」

響「うーん、そうかもしれないけど……」

P「そして貴音」

貴音「?」

P「お前はこれからダイエットだ」

貴音「め、面妖な……!!!!」グルルルル


P「気になったことなら、オレにも一つある」

響「何、プロデューサー?」

P「オレたちがあの時に飲み込まれた濁流は、いったい何だったんだろうな……」

響「それ以上いけない」

P「貴音の腹の中、取り除かれたはるかさん、貴音のいつもの食事量、胃の中の物体……ここから導き出される答えは!?」

響「だからいけないって言ってるだろ!」

P「バカ言え、真実はいつも一つなんだよ」

響「知らなくてもいい真実もあると思うぞ」

P「どうでもいいけど、『真実』って言葉と『真美』の名前をよく読み間違えるんだけど」

響「漢字の勉強をしたらどうかな?」

P「これってあるあるネタ?」

響「なしなしだね」


P「ま、これにて一件落着ってやつかな」

春香「もうっ、事務所で寝ていた人が何を言ってるんですか?」

P「…………」ムギュッ

春香「ふっ、ふろでゅーはーはん、いはいれす! ほっへはつかはなひでくだはい!」ジタバタ

P「お前はしっかり覚えてろっ」

春香「もう……何なんですか……」

P「まあ、たかにゃは、一緒に冒険したオレたちのみを仲間だと認めてくれたのかな」

春香「???」

響「まあ、逆に春香が覚えてなくて良かったかも」

P「二人だけの共通の思い出、だな!」

響「~~~~~~っ! そういうことじゃなくてっ!!!」バシッ

P「あっは、赤くなってるっ!!」

響「う、うがああああああああああっ!!!」

春香「ちょっと、二人とも、なんだかいきなり仲良くなってませんか! 私には共通の思い出って無いんですか? プロデューサーさぁん!!!」

響「春香は食いついてくるなっ!」


律子「まったく、何を騒いでるのよ……」

あずさ「いつも通り、仲が良くて良いですねぇ」

伊織「みんないつまでも子供なんだからっ」

亜美「あれあれ~、いおりん実はあの輪に入りたいんじゃないの~?」

真美「兄ちゃんとられちゃって寂しいんじゃないの~?」

伊織「~~~~そんなワケないじゃない!!」

亜美「きゃーっ! いおりんが乙女してるぅ!」

真美「そう言っているいおりんが一番子供なのでした……」

伊織「何よっ! アンタたちの方が年下じゃない! もう!」

真美「いおりんが怒ったー! 逃げろーーー!!!」

伊織「待ちなさい、双子!!」

亜美真美「「キャーーーッ!!」」

雪歩「みんなー、お茶が入ったよ。今日は舞台の共演者の方から頂いたとっておきの冷茶を……」

美希「あふぅ。お茶飲んだら眠れなくなるから、今回はパスなの……」

千早「今寝たら、夜に寝れなくなるわよ。美希」

美希「夜にはちゃんと眠気が来るから平気なの」

千早「……そうじゃなくて、ね?」

雪歩「あうぅぅっ、ごめんなさい。こんな時にお茶出しちゃって……。うううっ、こんなダメダメな私は穴掘って……」

真「ああっ、雪歩、落ち着いて!」

やよい「雪歩さん、事務所に穴掘っちゃだめです~!」

真「ほら雪歩、みんなお茶待ってるんだから、スコップ置いて……」





やよい「! 雪歩さん危ない!」

雪歩「えっ?」

ドーン!

雪歩「あいたたったたた……」

亜美「ああっ、ゆきぴょんに当たっちゃったよ」

真美「ごめんね、ゆきぴょん」

伊織「まったく、アンタたちが事務所の中で走るから……」

やよい「雪歩さん、大丈夫ですか?」

真「あーあ、お茶がこぼれて床がビショビショだよ……」

かっか!

「……………」

「……………えっ?」

はるかっか!!!




終わり


おまけ




ザアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

貴音「ハアッ、ハアッ……ハアッ……ハアッ、ハアッ」

貴音「ハァッ……こんなところに雨宿りができる木があって、助かりました」

貴音「それにしても……むぅぅ、突然の雨ですね」

貴音「困りました。こんびににて、かっぷらぁめんを買ったというのに、これでは三分の内に事務所に戻ることができません……」

貴音「本当に困りました……かっぷらぁめんの三分は必ず守らねばならぬ時間。それなのに……」

貴音「…………」

貴音「…………」グルル

貴音「……むぅ」グルルルルル

貴音「……ここで食べてしまいましょうか」

貴音「……幸い、人もいないようですし」チラッ

貴音「立ちながらの食事は少々行儀が悪いですが、麺が伸びるよりははるかにましというもの……」

貴音「それに……近年には『たちぐいそば』なるものもあるようですし」

貴音「人に見られなければ、いつ、どこで、私が、らぁめんを食べようと……」

ガサゴソ

貴音「それでは……いざ御開帳」ペラッ

貴音「いただきましょう」

カッカー

ポチャン

貴音「!?」

貴音「な、なんでしょう。今、かっぷらぁめんの中に、何かが入ったような……」

貴音「……」

貴音「………」

貴音「…………」グルル

貴音「まぁ、なんてことはないでしょう」

貴音「それでは、いただきます」パンッ

ズルズルズルズル

カッカアアアアアアアーーーー


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「……なーんてことが、あったんじゃないかなーって」

響「カンタンに想像できちゃうのがなんだかイヤだぞ」




終わり終わり

 これにて終了です。
 レスを下さった方々、読んでくださった方々、ありがとうございました。
 >>1はこれが初SSだったので、後々のために感想を書いていただければ幸いです。
 それではまた。

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