勇者A「俺が」勇者B「本当の」勇者C「勇者だ!」(111)


勇者a「何なんだよお前ら!」

勇者b「それはこっちの台詞だ!」

勇者c「いや待て、まずは冷静になろう」

勇者a「おお、そうだな」

勇者b「考えられるのは、魔王の幻覚か?」

勇者c「可能性としてはありえる話だな」

勇者a「だったらこの額に刻まれた聖なる紋章が証拠だ!」

勇者b「俺は右手にあるんだが」

勇者c「俺は心臓の位置に」

勇者a「いやいや!額にあるのが本物に決まってるだろ」

勇者b「悪いけど、それが一番アホっぽいぞ」

勇者c「俺も同じ意見だ」

勇者a「何だとォ!俺は由緒ある聖国の勇者一族の直系だぞ!」

勇者b「はあ?初代勇者は俺の希望村にて晩年を過ごしたんだから聖国に勇者一族がいるわけないだろう」

勇者c「ちょっとお前ら。初代勇者は初代魔王と死闘を繰り広げた結果相打ちだったはずだぞ」

勇者a「なに!だったら俺ら勇者一族が偽物だってか!?」

勇者b「ていうか勇者cはなんで勇者を名乗ってるんだよ」

勇者c「女神の啓示を受けたからだ」

勇者a・b「はあ!?」



勇者c「俺が10歳の誕生日を迎えた時だ。教会で奉仕活動をしていた俺は女神の啓示を受けたんだ。そして、その時から俺の心臓の位置に聖なる紋章が宿ったんだ」

勇者a「何だよそれ。俺は最初っから聖なる紋章を額に宿してたぞ?」

勇者b「それなら俺だって最初から右手にあるんだが」

勇者c「と言われても、実は初代勇者も10歳の時に聖なる紋章を身体に宿したと伝承されている」

勇者a「さっきから聞いている~とか伝承されている~とか、お前はどうやってそれを知ったんだよ」

勇者b「確かに気になるな。でも、初代勇者が途中から聖なる紋章を宿したのは俺も知ってるぜ」

勇者c「俺の生まれは魔導国だ。そして、知っての通り魔導国には世界最大で最古の図書館がある。俺の情報源はそこだ」

勇者a「魔導国の図書館って言えば、初代勇者が旅先の謎を解くために利用したとされる伝説の図書館じゃねえか!」

勇者b「だがよ!おの図書館は特別な許可を持たないと利用出来ないんじゃなかったか?」

勇者c「何のための勇者の証である聖なる紋章だ」

勇者b「ああ、なるほど」

勇者a「しかし…だとすると誰が本当の勇者なんだよ」

勇者b「お前じゃ無いことは確かだな」

勇者a「なんだとォ!?」

勇者c「歴史では初代勇者の血筋は存在しないとされているんだが…」

勇者a「じゃあそれ以外の歴代勇者は何なんだよ!」

勇者c「初代魔王以外の魔王は初代魔王程の実力を持っていなかったとされているし、初代勇者は1人で魔王を倒している。それに対して」

勇者b「2代目勇者以降はパーティーで魔王を倒している。つまり正式な勇者じゃないってことか!?」



勇者a「だけどよ!初代勇者には兄弟がいたぞ!」

勇者b「それに、2代目以降の勇者達にも聖なる紋章はあったんだ。矛盾点があるぞ」

勇者c「ああ、だから…俺は魔王城に向かう前に初代勇者にゆかりのある3つの地に足を運ぼうと思う」

勇者a「それって、天霊山と聖域海と大地神殿のことか!?」

勇者b「真の勇者しか攻略出来ないとされているダンジョンじゃないか」

勇者c「当初の予定では行く気は無かったんだがな、お前達に会って興味が湧いた」

勇者a「だったら俺も行くぜ!」

勇者b「俺もだ。こういう事はハッキリさせたい主義でな」



勇者a「それじゃあ、まずは天霊山に出発だ!」

勇者b「まさか旅の途中で二人も仲間が増えるとはな」

勇者a「はあ?勘違いするなよ勇者b。俺がトップだからな!」

勇者b「言ってろ、デコピカ勇者」

勇者a「なんだとォ!?」

勇者c「(図書館の書物にしか載っていない天霊山と聖域海と地底神殿の情報を知る勇者a。初代魔王城のすぐ近くの希望村に初代勇者が晩年を過ごす。…何が事実かわからん)」

勇者a「おーい!勇者c!行くぞ」

勇者b「知識量じゃお前が一番なんだ!早く来いよ!」

勇者c「…ああ、わかった」



勇者a「それで、お前らは今まで勇者としてどんな活躍をしたんだ?」

勇者b「俺はマンティコア退治とか、ドワーフの街をランドイーターから守ったり…」

勇者a「まだまだだな!俺はヒドラを退治したぜ!それからゴブリンの壁を崩壊させた!勇者cは何をしたんだ?」


勇者c「勇者業の前から奉仕活動はしていたんだが……しいていうなら、幽霊船を成仏させた」

勇者a「…やるじゃねえか」
勇者b「なかなか、だな」

勇者c「そうでもないさ。…ところで、後ろの気配だが」

勇者a「ああ、わかってる」

勇者b「全部で6体、一人二殺だな!」

リザードマンabcdefが現れた!

―勇者bの攻撃!
勇者bは高速斬を繰り出した
リザードマンaに108のダメージ!リザードマンaは息絶えた―

―勇者aの攻撃!
勇者aは十文字斬りを繰り出した
リザードマンbに123のダメージ!
リザードマンbは息絶えた―

―勇者cの攻撃!
勇者cは氷結魔法を繰り出した
リザードマンcdefに88のダメージ!
リザードマンc、リザードマンfは息絶えた―

―リザードマンdの攻撃!
勇者aはひらりとかわしてカウンター攻撃を繰り出した
リザードマンdに50のダメージ!
リザードマンdは息絶えた―

―リザードマンeの攻撃!
勇者cはひらりとかわした

―勇者bの攻撃!
勇者bは高速斬を繰り出した
リザードマンeに101のダメージ!
リザードマンeは息絶えた―



勇者a「人数が増えるとずいぶんと楽だな」ゴソゴソ

勇者b「それにしても、こういうのは全員やってるんだな」ゴソゴソ

勇者c「初代勇者の第一日記によると、初代勇者はこの作業に3日で慣れたそうだ」ゴソゴソ

勇者a「流石は俺の先祖だな」ゴソゴソ

勇者b「だからお前じゃなくて俺の先祖だよ」

勇者c「採集の手を休めるな勇者b」ゴソゴソ

勇者b「あ、悪いな」ゴソゴソ


―勇者達はリザードマン達から素材を手に入れた―


勇者a「配分はどうする?全員で均等が良いか?」

勇者c「それが一番疲労しないだろうな」

勇者b「それじゃ、そういうことで」



勇者a「…天霊山に行くには森を抜けるんだな」

勇者b「なんだ、勇者aは森は苦手なのか」

勇者a「苦手じゃねえよ!うざったいから嫌いなだけだ」

勇者b「ふーん…俺はガキの頃から森で遊んでたからそんなふうに思ったことねーや」

勇者c「希望村は近くに森が多いのか?」

勇者b「ああそうだ。特に北の森は人面樹がいたりして危険だったな」

勇者c「…子供の頃からそんなところで?」

勇者b「ああ。面白いだろ?」

勇者a「(田舎こえぇ)」



勇者c「森に行く前に一つ確認しておきたい事がある」

勇者a「ん?なんだ」

勇者c「これから先、隊列はこのままで良いのか?」


勇者a 先頭
勇者b 中間
勇者c 後方


勇者a「別に良いんじゃないか?」

勇者b「いや、確かに変だな」

勇者a「あァ?何が変なんだよ」



勇者b「やはりこれが正しい形だろう」

勇者b 先頭
勇者a 中間
勇者c 後方

勇者a「ハァ!?なんでお前が先頭なんだよ!?」

勇者b「何一つ間違ってないだろが。俺の方が早いんだからよ」

勇者a「ありえないね!真の勇者である俺が一番前であるべきだ!」

勇者b「誰が真の勇者だ、デコ勇者」

勇者c「………なんで俺が後方なんだ」

勇者a・勇者b「え?」



勇者c「どちらの意見もなんで俺が後方なんだ?」

勇者b「なんでって、そりゃあ…」

勇者a「イメージ?」

勇者c「理解できないな、普通ならこのように考えるべきだ」

勇者b 先頭
勇者c 中間
勇者a 後方

勇者a「ハァ!?なんで俺が後方なんだよ!!」

勇者b「というか勇者cは先頭にならないんだな」

勇者c「しっかりと考えた結果だ。耐久性に優れていそうな勇者aは不意の攻撃に備えて後方。俺は何でも対処できるように中間。余った勇者bが先頭。妥当だろう」

勇者a「納得出来るか!」

勇者b「いや、理には適っている」



勇者a「理に適ってようがなんでも!ダメだ!」

勇者b「だが、これ以上の隊列は無いだろ」

勇者a「…いや、一つだけある」

勇者c「ほう、どんな隊列だ?」

勇者a「これだ!」

勇者a 先頭 勇者b 先頭 勇者c 先頭


勇者b「…馬鹿だな」
勇者c「……無いな」

勇者a「なんだと!?」



勇者c「それだったら、せめてこうしろ」

勇者a 勇者b 先頭
勇者c 後方

勇者b「ほう」

勇者c「俺は別に先頭に執着していない。いざこざが起こるよりはマシだ」

勇者a「それじゃ!これの隊列で進むとするか!」

勇者b「異論無しだ」

勇者c「(まったく…)」



勇者a「おっとォ?」

勇者b「あれはマシンアーマーだな」

勇者c「マシンアーマーの動力源は貴重な素材の一つだ。倒すぞ」

勇者a「任せろ!」

勇者b「俺の邪魔をするなよ勇者a」

勇者a「黙ってろ」

勇者c「っ!どうやら向こうも気付いたようだな」


―マシンアーマーが現れた―


―勇者bの攻撃!
勇者bは高速突を繰り出した
マシンアーマーに92のダメージ!―

―勇者aの攻撃!
勇者aは十文字斬りを繰り出した
マシンアーマーに99のダメージ!―

―勇者cの攻撃!
勇者cは電撃魔法を繰り出した
マシンアーマーに121のダメージ!
マシンアーマーはショートした―

勇者a「ナイスだ勇者c!」
勇者b「一気に決めるぞデコ勇者!」

―勇者aと勇者bの連携攻撃!
勇者aと勇者bは衝波十文字を繰り出した
マシンアーマーに225のダメージ!
マシンアーマーを倒した―



勇者a「で、誰がデコ勇者だとゴラァ」ガサガサ

勇者b「なんだ?なんか文句あるのかよ。戦闘の度に額の紋章ピカピカ光らせやがって」ゴソゴソ

勇者a「お前こそ右手の甲が眩しいんだよ、もう少し弱めろ」ガサガサ

勇者c「見つけたぞ。動力源だ」ササッ

勇者a「なんだ、結構あっさりだな」

勇者b「人数が増えると効率が良いんだな」

勇者c「さてと。森に向かうとするか」

勇者a「そうだな。さっさと入ってさっさと抜けちまおうぜ」


―森の入口―

勇者a「ここから入るのか」

勇者b「みたいだな。獣道じゃない道がある」

勇者c「亜人の集落が森の中にあるのかも知れないな」

勇者a「亜人って?オークとかリザードマンの事か?」

勇者b「リザードマンならさっき倒したな」

勇者c「仲間意識が高いなら、俺達の事はどう思うだろうな…」

勇者a「魔物なら倒すだけだ!」

勇者b「そうだな」


―森の中―

勇者a「…………」

勇者b「なんだ、ずいぶんと静かだな」

勇者a「…集中してるんだよ、森の中は視界が悪いからな」

勇者c「逆に、勇者bは気にしないのか?」

勇者b「肌で感じるからわかるんだよ。この辺ならまだまだ安全だ」

勇者c「だったら、それを信じよう」

勇者b「だから勇者aも安心して進めって」

勇者a「そういう油断が死を招くんだよ」


―森の中―

勇者b「な?全然平気だろ?」

勇者a「……」

勇者c「確かに、森に慣れているようだな」

勇者b「だが、どうやらここから先は危険だな」

勇者a「…なに?」

勇者b「辺りに蜘蛛の巣の数が減ってきた。それに、聴こえてくる鳥の声も低い」

勇者c「…なるほど。覚えておこう」

勇者a「……チッ」

勇者b「そう機嫌を悪くするなよデコピカ勇者」

勇者a「うるせぇよ」


―森の中―

勇者b「むっ」

勇者a「?」

勇者b「…火の気配がする」

勇者c「言われてみれば、確かにそうだな」

勇者a「近くに亜人共の集落でもあるんじゃないか?」

勇者c「だとしたら厄介だな。先手を打っておくべきか」

勇者b「右手の方から感じる。行ってみるか」

勇者a「気をつけろよォ!侵入者用の罠があるかも知れないからなァ」

勇者c「そうだな。油断せずに行こう」



―?の集落前―

勇者a「こいつは…」

勇者c「厄介どころの話ではないな」

勇者b「真ん中に捕まってる人影が見えるが………ひょっとして」

勇者a「エルフだな。聖国で何度か見た」

勇者b「どうする?助けるか?」

勇者c「大小様々なリザードマンが約30体。かなり厳しい戦いになるぞ」

勇者a「なんだなんだお前らァ?二人も揃って臆病者が勇者とは情けないぜ!」

勇者b「だが、この数を相手にするのは危険だぞ」

勇者c「…時間差で攻め込めば無傷での勝利も可能だ」



勇者a「だったら話は早いな!俺が先陣を切る!勇者bと勇者cはあわてふためく所にドカンと花火を頼むぜィ!!」ダッ

勇者b「おいおい、もう少し考えてからでも…ったく」

勇者c「勇者b、得意な魔法はなんだ?」

勇者b「風属性だ」

勇者c「よし、俺の氷結呪文に合わせてくれ」

勇者b「合体魔法だな」




勇者a「オラァァァ!覚悟しやがれリザードマン共!!」

―突然現れた勇者aにリザードマン達はあわてふためいている―

勇者「行くぜィ!」


―勇者aの攻撃!
勇者aは回転斬りを繰り出した
リザードマン4体に約75のダメージ!―

勇者c「今だ!」
勇者b「喰らいやがれ!」

―勇者bと勇者cの連携攻撃!
勇者bは烈風呪文を唱え、勇者cは氷結呪文を唱えた
二つの呪文が混ざり合い、周囲に吹雪が巻き起きる
リザードマン全体に約103のダメージ!―


勇者a「大丈夫か?」
女エルフ「貴方達は?」

―勇者bの攻撃!
勇者bは風神剣を繰り出した
リザードマン3体に約69のダメージ!

勇者b「俺達が誰かって?通りすがりの勇者様さ!」
勇者c「お前達、話はコイツラを倒してからにしろ!」


―勇者aの攻撃!
勇者aは地すり残月を繰り出した
リザードマン5体に約95のダメージ!
リザードマンが何体か倒れていく―

―勇者cの攻撃!
勇者cは氷結呪文を唱えたリザードマン4体に約100のダメージ!
リザードマンが何体か倒れていく―

勇者b「残り半分って所か」
勇者a「これぐらいなら全然楽勝だなァ」

―リザードマンmqrの攻撃!
勇者達は盾を使って攻撃を防いだ
リザードマンhjlの攻撃!
勇者達は倒れているリザードマンを盾に使って攻撃を防いだ
リザードマンxyの攻撃!
勇者aと勇者cのカウンター攻撃を繰り出した
リザードマンxyに約44のダメージ!
リザードマンxyは倒れた―


―勇者aの攻撃!
勇者aは閃熱呪文を繰り出した
リザードマン6体に約69のダメージ!
リザードマン数体が倒れていく―

―勇者bの攻撃!
勇者bは回転斬りを繰り出した
リザードマン4体に約88のダメージ!
リザードマン数体が倒れていく―

―勇者cの攻撃!
勇者cは風刃呪文を唱えた
リザードマン3体に約102のダメージ!
リザードマン3体は倒れた―

勇者a「…残りは逃げ出したようだな」

―勇者達は戦いに勝利した―

勇者b「無事でしたか?エルフのお嬢さん」

勇者c「勇者b、おそらくだがこの人はお前より遥かに年上だぞ?」

女エルフ「皆さん。危ない所を助けていただき、本当にありがとうございました」

勇者a「なんの。勇者として当然の事をしたまでです」キリッ

女エルフ「まあ!勇者様でしたか」

勇者b「(なるほど…俺達の前でこれがしたかった訳だな)」

勇者c「それよりも女エルフさん。貴女は何故リザードマンに捕まっていたのですか?」

女エルフ「それが、恥ずかしながら小鳥と話していた所を教われまして…」

勇者b「小鳥と話していた?エルフは動物と会話が出来るのか!?」

女エルフ「いえ、大抵は意思を汲み取れる程度で、会話が出来るのは一部だけです」

勇者c「…貴女は、エルフの王族?」

勇者a「お前達、少しは彼女を休ませようとは思わないのか?今まで捕まっていた身なんだぞ」

勇者c「そうだな。申し訳ありません女エルフさん」

女エルフ「いえいえ、私なら平気で…す」フラッ

勇者abc「「「!?」」」



女エルフ「…スゥ…スゥ…」

勇者a「ぐっすりと眠っている。よっぽど疲れていたのだろう」

勇者c「あれだけのリザードマンに囲まれていたんだ。緊張も相当なものだったのだろうな」ゴソゴソ

勇者b「彼女をエルフの里まで送り届けないといけないな。天霊山に向かうのはその後だな…」ゴソゴソ

勇者a「エルフの里がどこにあるか、勇者cは知っているか?」ゴソゴソ

勇者c「いや、エルフの里は特殊な結界で守られているから、図書館にも情報は無いんだ。ただ…」ゴソゴソ

勇者b「ただ?」ゴソゴソ

勇者c「馬車を持たないリザードマンが連れて来れたんだから、そんなに離れて無いはずだ」ゴソゴソ

勇者a「ま、彼女が起きるまでは俺達も休憩とするか」ゴソゴソ

―勇者達は素材を沢山手に入れた―


勇者a「それにしても綺麗だなァ、エルフって言うのは」

勇者b「さっきまでの紳士然とした態度はどこ行ったんだよオイ」

勇者a「素直な感想だよ。下心なんか無いってェの」

勇者b「鼻の下伸びてるぞデコ勇者」

勇者c「………ふむ」

勇者b「なんだ勇者c。そんな神妙な顔をして」

勇者c「いや、どこと無く厄介事の雰囲気がしてきたからな」

勇者b「厄介事?」

勇者a「そういえばお前さっき妙な事を言ってたなァ。女エルフが王族じゃないか、とか」

勇者c「ああ。」


勇者c「まず第一に、彼女は動物と会話出来ると言っていたな」

勇者b「ああ」

勇者a「そうだな」

勇者c「つまり、彼女は非常に魔力の高い存在だ。そして、彼女の着ている服装だが、」

勇者b「綺麗な白のワンピースだな」

勇者c「お前達なら、こんな綺麗な服装で郊外に出ようとするか?」

勇者a「するわけないだろう。勿体ない」

勇者c「そう。これで、彼女が自分で洗濯等の家事をしないということになる」

勇者b「勇者c、お前探偵みたいだな」

勇者c「魔力が高くて家事をしない。この二つの点で既に彼女が普通のエルフでないことは解るな」

勇者a「だが、それなら貴族でも良いだろうに、なんだって王族だと思ったんだ?」



勇者c「彼女を王族だと思った理由。実を言うと、これに気付いた瞬間で既にに120%彼女が王族だと核心した」

勇者b「なんだよ、勿体ぶらずに言えよ」

勇者c「彼女は素晴らしい細工の施されたルビーの首飾りをしているが、イヤリングはしていない。これでは胸元だけが豪華で非常にアンバランスだ」

勇者a「(今見るまで気付かなかった…)」
勇者b「(なんでこんなに見てるんだコイツ)」

勇者c「アンバランスだが、そうしなければならない理由が彼女にはあった。何故なら…エルフの王族が血を流すことは最大の禁忌とされているからだ」

勇者a「…知ってたか勇者b?」

勇者b「…全部初耳だよ」

勇者a「俺もだ」



勇者c「以上が、俺が彼女を王族だと思った根拠だよ」

勇者a「……それだったらよォ。俺達はエルフの王族を助けた英雄じゃねえか」

勇者b「しかも世界の期待を背負った勇者様。何が厄介事なんだよ」


勇者c「…………例えば、その王族を助けようと駆け付けたエルフの騎士達と鉢合わせた。とかだな」


ヒュン!


勇者a「弓矢だと!?」ガタッ勇者b「敵襲か!?」ダッ

?「動くな!!」

―緑のローブを被った謎の戦士達が現れた!
勇者達は囲まれてしまった!―

?「貴様らが、我らの姫様を盗んだ不届き者か!?」



勇者c「a、b。まずは武器を捨てろ」

女エルフ「な、何事ですの??」

?「姫様…ご無事で何よりです」

エルフ姫(元、女エルフ)「貴女は、エルフ騎士!いったい何がどうなってるんですの??」

勇者a「エルフ姫さん、どうやら俺達三人はエルフ姫さんを拉致った奴らと勘違いされてるんだよ」

勇者c「出来れば貴女の口から彼等に真実を伝えて貰いたい」

エルフ姫「まあ大変!…騎士の皆さん、この方達は私をリザードマンから助けてくれた恩人ですのよ!」

―緑のローブを被った騎士達はフードを外して弓矢を納めた―


↑二つの
ローブを被った×
フードを被った○

ですな
誤字とか改行ミスとかすいません



エルフ姫「…というわけなのです」

エルフ騎士「さすれば貴殿らは勇者様とその仲間にあられるか」

勇者a「ああ!その通りだ」

勇者b「なんで勇者aだけが勇者扱いなんだよ」コソコソ
勇者c「説明するのも面倒だ。それに、今回の件に関しては譲るべきだ」コソコソ
勇者b「…まあ、俺達は少しだが見過ごそうと思ったからな」コソコソ

エルフ騎士「それでは姫様、里へ帰りましょう。勇者様達も御一緒に」

勇者a「それは有り難い。伝説のエルフの里に連れてもらえるとは光栄だ。行くぞ我が仲間達よ」

勇者b「(…この野郎!)」

勇者c「(……さて。どうしたものか)」



勇者c「エルフ騎士殿。エルフの里はどの辺りにあるのですか?」

エルフ騎士「里の秘密を安易に漏らすわけには…」

勇者c「なるほど。ここでは誰が聞き耳を立てているかわかりませんからね」

エルフ騎士「聡明で助かります」

勇者c「いえいえ(天霊山に近いと嬉しいのだがな…)」


エルフ姫「私が今にも野蛮なリザードマン達に食べられそうな時、突然勇者a様が助けて下さったのですの。
とても雄々しく勇ましい素敵な御姿でした」

エルフ兵士「それは!流石は勇者様です!」

勇者a「いやはや。そこまで言われると照れますな」ハッハッハッ

勇者b「(……内側から滑り込ませるように踏み込んでいくのか。そして重心は股関節の真ん中でキープ。
これがエルフの歩き方か…落ち葉の上を歩いてるのに音が全く鳴らない)」



エルフ騎士「さて、着きましたよ」ピタッ

勇者a「着いた?」
勇者b「目の前にあるのは巨大な木だけだが?」
勇者c「…樹上に住んでいる訳では無いのだな」


エルフ姫「うふふ。魔法で隠してあるんですよ」スタスタ

エルフ騎士「その通り。我々の後に続いて下さい」スタスタ

エルフ姫「…」スタスタ
…ヒュン

勇者a「なァ!?」
勇者b「エルフ姫が木の根っこに吸い込まれた」
勇者c「…幻覚呪文か!」

エルフ騎士「種明かしは後ほどに。中に入ってからが本番です」スタスタ
ヒュン

勇者a「…」スタスタ
ヒュン
勇者b「…」スタスタ
ヒュン
勇者c「…」スタスタ
ヒュン

エルフ騎士「皆さん居ますね。ここから先もしばらく幻覚が続きますから。私の後を着いてきて下さい」スタスタ

勇者a「(あるこ~あるこ~)」スタスタ
勇者b「(あーるくの大好き~)」スタスタ
勇者c「(まるで草木の迷路だな)」スタスタ

エルフ騎士「この壁も幻覚です」スタスタ
ヒュン

勇者a「(キツネも~タヌキも~)」スタスタ
ヒュン
勇者b「(出って~おーいで~っと)」スタスタ
ヒュン
勇者c「(…)」スタスタ
ヒュン

エルフ騎士「ここの壁も~(以下略)」
ヒュン

エルフ騎士「この壁も~(以下略)」
ヒュン

エルフ騎士「この~(以下略)」
ヒュン


エルフ騎士「これが里の本当の入口になります。ようこそいらっしゃいました」

勇者a「……(疲れた)」
勇者b「………(どれだけ複雑なんだよ…あの迷路…)」勇者c「…行くぞ」スタスタ


――エルフの隠れ里――

勇者c「a、b前を見ろ。見ないと損だぞ」

勇者a「…これが噂に聞くエルフの里か」

勇者b「木漏れ日の差す水晶の道路って。お伽話じゃなかったのか」

エルフ姫「いかがですか皆さん」

勇者a「桃源郷にでもいる気分ですエルフ姫様」

勇者b「とても素敵だけど、エルフ姫さん。向こうから走ってきてるイケメンは知り合いですか?」

?「無事で何よりだ妹!」

エルフ姫「兄さん!!」

エルフ騎士「エルフ王子殿下にございます」コソッ



エルフ王子「兵から事の次第は聞いている。貴公が勇者a殿だな」

勇者a「はい。エルフ王子殿下」

エルフ王子「妹を救ってくれてありがとう。君とは良き友人になりたいのだが、よろしいかい?」

勇者a「喜んで」

エルフ王子「うむ。立ち話もなんだ、食事を用意させている」

勇者b「(なあ勇者c。エルフっていうのは全員あんな美形ばっかりなのか?)」コソコソ
勇者c「(そうらしいぞ。一説によれば、美の精霊の加護を受けている。とか)」コソコソ
勇者b「(ほ~お)」コソコソ

エルフ騎士「お二人方。向こうで食事の準備をしていますので」

勇者b「ありがとう。すぐに行こう」


―エルフの城・食堂―

エルフ王子「さあどうぞ。魔女王蜂蜜、キリカの実、ラドガリ肉。どれもこの地域でしか食べられない物です」

勇者a「ありがとうございます王子様。モグモグ…うん。どれも非常に美味ですな」

勇者b「うわっ!なんだこの蜂蜜!?めちゃくちゃ美味い!」

エルフ姫「魔力をふんだんに蓄えた特別な蜂蜜ですの。コップ一杯飲めば2、3日間不眠不休で過ごせますわ」

勇者c「エルフ騎士殿。これが有名なエルフマフィンですか?」

エルフ騎士「はい。海だろうが砂漠だろうが、どこで食べても最高級の味のする伝統あるマフィンでございます」

勇者c「なるほど」



エルフ王子「食事の他にも我等の誇る文化を堪能下さい」スッ

勇者a「ん?」

勇者c「…ほう」

エルフ声楽隊「elt lev cere aug~♪」
エルフ音楽隊<♪♪~♪~


勇者b「なんて綺麗な歌なんだ…まるで、」

勇者c「まるで、木と風が歌っているようだな」

エルフ姫「音楽隊の使っている楽器に森の力が込められているのですよ」

勇者b「へぇ~」


勇者a「エルフ王子。これほどの歓迎、ありがとうございます」

エルフ王子「いえいえ。今日はそのような事を考えずに楽しんで下さい」

勇者a「感謝します」



―そのから夜は更けていく―


エルフ騎士「こちらが勇者様方の御部屋になります」

勇者a「何から何までありがとうございました」

エルフ騎士「お休みなさい」

勇者a「…………あァ疲れたァ」

勇者b「お?演技は終わりか?」

勇者c「なかなかの演技派だったぞ勇者a」

勇者a「あァ!?やかましいぞダボ共が」

勇者b「それで怒ってるのか勇者a?」

勇者a「あァ!?当たり前だろがァ」

勇者c「長時間同じ表情だったからな。笑顔のまま固まってるぞ」

勇者a「ナッ!?」



勇者a「………寝る」

勇者b「そうだな。明日も早いみたいだしな」

勇者c「勇者aはエルフ王子と剣舞だったか?」

勇者a「うるせェよ。寝させろ」

勇者b「俺はエルフ騎士と模擬戦だな」

勇者c「俺は特に決まって無いから、エルフの書物をとにかく読みまくるか」

勇者a「(……顔が戻らねェ)」

勇者b「(そういえば、エルフの国王を見なかったな…)」
勇者c「(問題は古代エルフ語の本を読む場合にどうするかだな)」



―翌日―

勇者a「……いっ」

勇者b「ふぁぁ。おはよ」

勇者c「…全員、ほぼ同時に起きたようだな」

勇者a「いてッ」

勇者b「どうかしたのか勇者a」

勇者c「まぁ、大体察しは付くがな」

勇者b「ひょっとして、顔が筋肉痛なのか!なあ!」

勇者a「笑うんじゃねえよ勇者b!!…叫んだら、痛ッ」

勇者b「猫かぶり、なんかするからだな」

勇者a「(ちくしょう痛てえ!!)」



勇者a「(とにかく、エルフ騎士が来る前になんとかしねえとヤバいな)」

勇者c「勇者b。髭剃刀持ってないか?」

勇者b「あるけどなんでだ?洗面所に無いのか?借りたら良いだろ」

勇者c「エルフに髭を剃る習慣は無いんだよ」

勇者b「は?」

勇者c「美の精霊の加護なのか、エルフは髭が生えないんだ」

勇者b「なるほど~。はい髭剃刀」

勇者c「すまないな」

勇者a「(そういえば昨日見たエルフの中にも髭の生えた奴はいなかったな…)」



コンコン

エルフ騎士「勇者様方、お食事の用意が出来ました」

勇者a「ありがとう、すぐに行くよ」

エルフ騎士「お待ちしております」



勇者b「どうした勇者a。百面相を越えた表情だぞ」

勇者a「顔の筋肉を動かして筋肉痛を無くそうとしてるんだよ!話しかけんな!」

勇者c「…勇者a、良い案があるぞ」

勇者a「あァ?」



―食堂―


勇者a「やあエルフ王子。今朝も素晴らしいご馳走ですね」

エルフ王子「勇者殿。寝心地はどうでしたか?」

勇者a「おかげさまで快眠です。雲の上で寝てると錯覚するほどでした」

エルフ王子「それはそれは。さぁ、食事の方をどうぞ」

勇者a「ありがとうございます。しかし、申し訳ありませんが私は朝食をあまり食べませんもので、このヨーグルトだけで十分です」

エルフ王子「なんと、それは知りませんでした」

勇者a「昨日の内に言っておくべきでした。申し訳ありません」




勇者b「お前の案、上手くいってるみたいだな」

勇者c「当然だ」


―数分前―

勇者c「いいか、その表情のままキープしとけよ」

勇者a「上手く行かなかったらタダじゃおかねえぞ」

勇者c「動くな」

―勇者cの攻撃
勇者cは麻痺呪文(弱)を唱えた
勇者aは顔の表情が笑顔のまま固まり、筋肉痛を感じなくなった―

勇者b「これは、お見事だな」

勇者a「…口がしっかりと開かないだが」

勇者c「それぐらい我慢しろ。朝食が食えなくなるぐらいだ」



勇者a「(口が開かないからヨーグルトぐらいしか食えねえ…)」チビチビ

エルフ王子「ところで勇者殿、剣舞の腕前はどの程度なのですか?」

勇者a「いやー実は見せる剣技というのには自信がありませんので、王子様の足を引っ張るかも知れません」

エルフ王子「ご心配なさらなくても、実は私も剣舞はあまり得意では無いのですよ」

勇者a「なんとそうでしたか(コイツ…少しは黙らねえかなァ)」



勇者b「なぁc?お前、aがヨーグルトしか食えないの見てて良くそんなに色々食べられるな」パクパク

勇者c「悪いが、そう言った自己陶酔用の良心は持ち合わせていないんだ」モグモグ

勇者b「自己陶酔って…」



―食事終了―

エルフ王子「それでは勇者殿、広間にて剣舞を致しますか」

勇者a「そうですね(…すきっ腹で剣舞かァ)」


エルフ騎士「b殿、我々は訓練所の方に行きますか」

勇者b「そうだな」


勇者c「(さてと、図書室に行くとするか)」



―広間―

エルフ姫「あら勇者様。お兄様と剣舞ですか?」

勇者a「おはようございますエルフ姫様。手前の腕前では退屈でしょうが、申し訳ありません」

エルフ王子「ハッハッハ。勇者殿は本当に謙虚であられるな」

エルフ姫「そうですよ勇者様。昨日のリザードマン退治の活躍、私は思わず見とれていましたのですよ」

勇者a「いやはや、それとこれとは訳が違いますので」

エルフ王子「勇者殿、楽隊の準備が出来ました。よろしくお願いしますよ」

勇者a「かしこまりました」



―剣舞が はじまった―



―エルフ王子と勇者aは互いに礼をした

エルフ王子からの先手

勇者aは剣を精確に動かしてエルフ王子の技を受け流す

エルフ王子は技を止めた

勇者aはエルフ王子と左右逆の形で剣を動かしていく

エルフ王子は軽やかにステップをしながら勇者aの技を受け流す―

エルフ姫「まあ素敵」

―曲のテンポが変わる

エルフ王子は曲に合わせて穏やかに技を繰り出す

勇者aは技を受け流したが、曲に上手く合わせられなかった―

勇者a「申し訳ありません」
エルフ王子「いえいえ、少しぐらいは訳ありませんよ。さぁ、続きを致しましょう」
―剣舞は続いていく―



―訓練所―

勇者b「ここが訓練所!?小川のせせらぎが聞こえる綺麗な場所じゃないか」

エルフ騎士「我々にはこれが普通ですが?」

勇者b「人間の国だったら憩いの広場として扱われるレベルだ」

エルフ騎士「そうですか。勉強になります」

勇者b「ところで、エルフ騎士の実力はこの国でどのくらいなんだ?」

エルフ騎士「純粋な剣技だけならば、5本の指には入るかと」

勇者b「それは楽しみだ。よし!軽く身体を動かしたら模擬戦といこうか」

エルフ騎士「よろしくお願いします」



勇者b「(なるほど、エルフの剣というのは片刃剣と突剣の両方の要素があるのか)」チラッ

エルフ騎士「(b殿の剣は軽く反りの入った片刃剣。おそらくは我々と良く似たスタイルの持ち主であろう)」チラッ

勇者b「(となればスピードを生かした攻撃スタイルが基本だな)」

エルフ騎士「(横振りの動きが多い。それが得意なのだろうか…?)」チラッ



勇者b「よし、それじゃあそろそろやろうか」

エルフ騎士「よろしくお願いします」

勇者b「こちらこそ」



―模擬戦が はじまった―


―勇者bの攻撃!
勇者bは疾風のごとく切り付けた
エルフ騎士は攻撃をすんでの所で避けた―

―エルフ騎士の攻撃!
エルフ騎士は右回りに勇者bに近づく
勇者bは身構えている

―勇者bの攻撃!
勇者bは牽制に横切りを放つ
エルフ騎士は剣を使って防いだ―

―エルフ騎士のスキを狙った攻撃!
エルフ騎士は瞬時に距離を詰めて勇者bの腕を狙った―

勇者b「(これはマズイ!)」
―エルフ騎士の剣が勇者bを襲う!
勇者bは篭手でなんとか防いだが、強い一撃によって腕が痺れた―

―勇者bは麻痺状態(右手のみ)になった―



エルフ騎士「その腕では厳しいでしょう。終わりますか?」

勇者b「いいや、何の問題も無いさ」

―勇者bは左手に剣を持ち替えた
勇者bの攻撃!
勇者bは烈風のごとく切り付けた
エルフ騎士はわずかに傷を受けた―

エルフ騎士「(技のキレが一切変わっていない!?)」

―エルフ騎士の攻撃!
エルフ騎士は連続突きを放った
勇者bは剣とステップで攻撃をいなしていく―

エルフ騎士「(防御も上手い!…なるほど、両利きであられるか)」

―勇者bの攻撃!
勇者bは剣を逆手に持って横切りを放った
エルフ騎士のカウンター!
エルフ騎士の左手で勇者bの上半身を殴った―

勇者b「っ!」



勇者b「二発も攻撃を喰らっちまったな…」

エルフ騎士「横切りは先程見てましたので」

勇者b「マジかよ」

―エルフ騎士の攻撃!
エルフ騎士は攻撃を受け流す体制をしている―


勇者b「…これならどうだ!」

―勇者bの攻撃!
勇者bは剣圧と魔力を操って竜巻を起こした―

エルフ騎士「!!」

―勇者bの竜巻がエルフ騎士を襲う
エルフ騎士は呪文を唱えると竜巻の中に飛び込んだ―
勇者b「なにっ!」

―竜巻の中からエルフ騎士が飛び出しての奇襲攻撃
勇者bは喉元に剣を突き立てられた―

―模擬戦が 終わった―



―エルフの城・図書室―


勇者c「(…やはり古代エルフ語の本を読むのは厳しいか)」

勇者c「(それにしても、やはりエルフの主観や価値観、都合で書かれた本と言うのは人間の国の本と全く違う。勇者としての厄介事はaが全て受けもってくれたし、来てよかったな)」

勇者c「(残念なことに初代勇者に関する情報は得られていないが、古代エルフ語の本ならば書いてあるだろう。さて、どうやって読もうか)」


エルフ娘「(あの人、確か勇者様の仲間の人だよね?なんで図書室なんかにいるんだろ)」チラッ

勇者c「(ん?あの娘…………)」ニヤリ



エルフ娘「(あ!こっちに来た!)」

勇者c「お嬢さん、少しよろしいですか?」

エルフ娘「は、ハイ!」

勇者c「お嬢さんは図書室は良く利用されるので?」

エルフ娘「え、ええ。学者になりたいので、その…」

勇者c「それは素晴らしいですね。でしたら聡明なお嬢さんは古代エルフ語もお得意ですか?」

エルフ娘「は、ハイ!読め、ますです」

勇者c「もしお時間等がよろしければ、是非とも古代エルフ語について御教授の方を願いたいのですが、よろしいですか?」

エルフ娘「わ、私でよければ!頑張ります!(うわぁぁぁ!私、勇者様の仲間さんにお願いされちゃった!凄いや!)」



エルフ娘「そ、それでは!お願いします!」

勇者c「そう固くならず、自然体で良いですよ」

エルフ娘「え、えっと…ハイ!」

勇者c「ふふっ。先生、授業の方をよろしくお願いします」

エルフ娘「ハイ!こちらの文章ですと、この部分が現代語での「朝や始まり」に該当します」

勇者c「ほう。それでは後ろの文章は?」

エルフ娘「ええっと…この文章ではここの部分とここの部分が繋がる事によって「役割の転換や裏切り」を表現します」

勇者c「なるほど…もっとお願いします先生」

エルフ娘「あ、その先生っていうの恥ずかしいんで、私の事はエルフ娘って呼んで下さい」

勇者c「わかりましたエルフ娘さん。それでは、私の事はcと呼んで下さい。それから、もっとフランクな感じで良いですよ?」

エルフ娘「ぜ、善処します」



―数時間後―

エルフ娘「cさんってば凄いですね、もうスラスラと読めてるじゃないですか!」

勇者c「いやいや、エルフ娘の教え方が上手いからだよ。それに、まだまだ読めない所も多くある」

エルフ娘「実は私、男の人とこんなに長い間話したの初めてなんです」

勇者c「ん?」

エルフ娘「だから、その…」

勇者c「どうかしたかい?」

エルフ娘「私とお友達になってくれませんか!!」

勇者c「…もちろんさ。むしろ、俺は既に友達だと思ってたけど?」

エルフ娘「cさん…」ポッ

勇者c「さあ、続きを読もうか」

エルフ娘「ハイ!」

勇者c「(……古代エルフ語の基礎だけ教えて貰おうと思ったんだが、存外に上手くいったな)」



―大広間―

勇者a「(やっべェ…怠くなってきた)」

エルフ王子「(…勇者殿に疲れの色が見えている?)」


―剣舞が 続いている―


―勇者aの攻め手!

勇者aは剣とマントを使って派手な演出をした

エルフ王子は形式的に受け流す―

勇者a「(どうやらコイツの腕は達人レベルだ。だったら作法を軽く無視しても何とかするだろう)」

エルフ王子「(…疲れ気味というのは勘違いか)」

―エルフ王子の攻め手!

エルフ王子は風を表現しながら剣を振るう

勇者aはオーバーアクション気味に防いだ―


勇者「(さてと、そろそろ曲調が変わる頃か!?)」

―冬を思わせる曲調に変わった

勇者a「氷塊呪文(弱)」―


―勇者aの攻め手!
勇者aは氷を剣に纏わせて振るった

エルフ王子は滑らせるように攻撃を受け流す

剣同士がぶつかり合って雪の結晶が舞い散った―


エルフ姫「まあ素敵!」

エルフ王子「(これは、随分と粋な技法ですね)」

―エルフ王子の攻め手!

エルフ王子は静かに剣を振るう

勇者aは曲調に合わせて受け流した

雪の結晶が舞い散る―

勇者a「(終わりそうだな)」

エルフ王子「(ラストスパート!生きますよ!)」

勇者a「閃光呪文(弱)」

―勇者aの攻め手!

勇者aは光を纏った剣を大きく振りかぶって叩き付けた

エルフ王子は冷静に下から押し付けて対応する

舞い散る雪の結晶を閃光が繋いだ―


エルフ姫「まあ!蝶の様にも盾の様にも見えますわ」

エルフ王子「(まさか呪文を使った剣舞がこれほど魅せる物とは……だが!!)」


―エルフ王子の攻め手!

エルフ王子は剣先を走らせて疾風の如く連撃を繰り出した

勇者aは必死に防ぐが、少しのステップミスをしてしまう―

勇者a「(この流れはマズイ!)」

―エルフ王子の追撃!

エルフ王子は先程よりも力強く技を繰り出してくる

勇者aは剣を突き上げ飛ばされてしまった!


―剣舞曲が終了した―

勇者a「(……………チッ)」

エルフ王子「(しまった!やり過ぎたか!!)」


―勇者aの剣は上空に打ち上げられ、冷気と光を纏った状態で回転している


勇者a「加速呪文(強)」ボソリ

なんと!勇者aは驚くべき速さで腰に付けた鞘を取り外して宙高く飛び上がると回転している剣を見事空中で鞘に納めた―


シーン…


勇者a「(…あァ?やり過ぎたか?)」


―静寂から一辺、大広間は歓声に包まれた―

エルフ姫「素晴らしい剣舞でしたわ勇者様!!」

エルフ王子「見事でした勇者殿!」

―剣舞は見事大成功した―


―訓練所―

勇者b「いやぁ驚いた。まさか竜巻を防がれるとは思わなかったぜ」

エルフ騎士「いえいえ。数コンマ遅れていれば、立場は逆転していましたよ」

勇者b「そうか?…それよりも、一体全体どうやって竜巻を防いだんだ?」

エルフ騎士「我々エルフが独自で作り上げた遮断呪文があるのですよ」

勇者b「遮断呪文?」

エルフ騎士「ええ。この里の至るところに使われている、外部からの衝撃を中和する呪文です」

勇者b「それを使って俺の竜巻を中和したのか!」

エルフ騎士「ですが、あまり強い衝撃は耐え切れ無いので、この通り」

勇者b「本当だ、服の一部が破れちまってる」



勇者b「ふ~ん…遮断呪文か」

エルフ騎士「どうかなさいましたか?」

勇者b「エルフ騎士その遮断呪文、俺に教えてくれないか?」

エルフ騎士「ええ!?申し訳ありませんが、エルフ族の秘術の一つですので」

勇者b「あー……やっぱりそうか…」

エルフ騎士「エルフ王子様に聞いてみないと、わかりませんね」

勇者b「…良いかも知れないのか?」

エルフ騎士「私個人では何とも言えませんね」

勇者b「よっしゃあ!だったら今すぐ王子様の所に行こうぜ!」



勇者b「確か、大広間でaと剣舞をしてるんだったよな」スタスタ

エルフ騎士「ええ、そのはずですが」スタスタ

勇者b「(そういえば、勇者aって剣舞とか出来るのか?なんか小技は苦手そうな雰囲気だが)」スタスタ

エルフ騎士「大広間はこちらの方が近道です」スタスタ

勇者b「お、助かるよ」クルッ



―大広間前―

エルフ騎士「曲が聴こえない。剣舞は終わったようですね」

勇者b「だな」


―大広間―


エルフ騎士「失礼します王子様」

勇者b「どうもー」

エルフ王子「どうしたエルフ騎士、それからb殿」

勇者a「(勇者b?何だって今頃来たんだ)」

エルフ騎士「王子様、実は…」ゴニョゴニョ

エルフ王子「ほう…なるほど……」


勇者b「よおa。剣舞の出来は、どうだった?」

エルフ姫「とっても素敵でしたわ!まるで芸術のようでした!」

勇者b「へぇ~。姫様がそうおっしゃるとは…(かなり意外な展開)」

勇者a「勇者ならば、当然です(まァ…結構ヤバい場面もあったけどなァ)」



エルフ王子「b殿。話はエルフ騎士から聞きました」


勇者b「はい!」

勇者a「(なんだ?)」

エルフ王子「遮断呪文の件。お教えいたしましょう」

勇者b「本当ですか!ありがとうございます!」

勇者a「遮断…呪文?」

エルフ王子「妹よ、勇者殿とb殿に遮断呪文を教えて差し上げてくれ。私は午後から仕事をしなくてはならない」

エルフ姫「わかりましたわお兄様」

エルフ王子「それでは勇者殿にb殿。申し訳ありませんが私は此処で失礼します」

勇者a「手ほどき、ありがとうございましたエルフ王子」

勇者b「ありがとうございます!」



エルフ騎士「此処では呪文の練習に向いていません。場所を移しましょう姫様」

エルフ姫「そうですね。一度着替えて来ますので、訓練所の方で待っていて下さいますか?」

勇者a「もちろんにございます姫様」

勇者b「全然平気ですよ」

エルフ姫「それでは、失礼いたします」スタスタ


エルフ騎士「…では、我々は先に訓練所の方へ行きましょうか」

勇者b「あいよ!」

勇者a「(ところで…遮断呪文ってなんだァ?)」



―図書室―


エルフ娘「cさん、お腹空いてませんか?」

勇者c「言われてみれば、空腹感が出てきた頃だな」

エルフ娘「私、いつもお弁当持ってきてるんですけど…一緒に食べますか?」

勇者c「良いのかい?」

エルフ娘「はい!cさんが良ければですけど…」

勇者c「ハハッ。こっちが最初に良いか聞いてるのに、もちろん喜んでご一緒させて貰うよ」

エルフ娘「ほ、本当ですか!」パァッ

勇者c「嘘をついてどうするのさ」

エルフ娘「そうですよね!そ、それじゃあ、私とっても良い場所知ってるんです!そこで食べましょう!」キラキラ

勇者c「うん、わかった。それじゃあ、案内お願いします」

エルフ娘「はい!」


違うよ


―里外れの花畑―

勇者c「これは…」

エルフ娘「気に入りませんか?」

勇者c「いや、とても綺麗だよ」

エルフ娘「よかったー!あんまり人も来ない隠れスポットなんですよ」

勇者c「風の音が良く聞こえる……静かで落ち着く場所だ…」

エルフ娘「それじゃあ、お弁当食べますか?」

勇者c「そうだね。いただこうか」

エルフ娘「ど、どうぞ!実は今日のは自信作なんです」

勇者c「ありがとう(頬が赤く染まってる気がする…)」



―勇者cはエルフ娘のお弁当を食べた!
hpとmpが50回復した―


エルフ娘「ど…どうですか?」

勇者c「うん。とっても美味しいよ」

エルフ娘「本当ですか!?」

勇者c「本当だよ。なんだって嘘をつくんだい?」

エルフ娘「だ、だってcさんは姫様や王子様とかと一緒のモノを食べてるから……ひょっとしたら失礼な味かもって思っちゃって……」

勇者c「はははは。そんなことを心配してたのか?…エルフ娘の作ってくれたお弁当、とっても美味しいよ」

エルフ娘「あ、あわ、あわわわわわ!!?」

勇者c「大丈夫?凄く真っ赤な顔してるけど」

エルフ娘「はわわわわわわわわ!!!」プシュー



勇者c「エルフ娘!?」

エルフ娘「だ、大丈夫です大丈夫です!!大丈夫ですから……」

勇者c「(男慣れして無いと言ってたが…まさかここまでとは)」


勇者c「そう?それじゃあ…ちょっとだけ辺りを見渡してくるよ」スタスタ


エルフ娘「(やっちゃったかな…変なエルフだって思われたかも…だって、cさんの顔があんな近くまで………人間の男の人って、皆あんなにカッコイイのかな?)」ポッ…



勇者c「それにしても見事な風景だな。これだけの種類の花…人間の国では見ることは叶わなかっただろうな」

勇者c「(…エルフ娘が俺に惚れている可能性がある。初めての男友達は良いが、正直言って異種族間での交際は問題が多すぎる。一時の気の迷いであると気付いて欲しいのだが)」

勇者c「ふぅ…」

勇者c「(あの調子だと、正しい男女関係を知らないのだろうな。見た所引っ込み思案な性格だ、友人もそれほど多くないのだろう)」


勇者c「…そういえば、エルフが作り上げた特別な呪文があると書いてあったな」

勇者c「少し試してみるか」



―訓練所―


エルフ姫「それでは、ただいまより遮断呪文をお教え致します」


勇者b「よろしくお願いします!」

勇者a「お願いします」

エルフ姫「まず最初に、この呪文はエルフが独自で作りあげた呪文です。ですから、勇者様でも100%使えるとは限りませんのでご注意下さい」

勇者a「了解です」

勇者b「頑張ります!」

エルフ姫「では、まずは見本を見せます……ハァ!!」

―エルフ姫は遮断呪文(強)を唱えた!
エルフ姫は黄金のオーラを纏った―

エルフ姫「この状態でしたら…エルフ騎士、よろしく」


エルフ騎士「ご無礼致しますエルフ姫様!!」



―エルフ騎士の攻撃!
エルフ騎士は火炎呪文を唱えた―

―火炎呪文はエルフ姫の黄金のオーラにぶつかると四散した―


勇者a「なっ!?」

エルフ姫「と、いう感じで攻撃を防ぎますの」

勇者b「質問良いですかエルフ姫様」

エルフ姫「なんですか?」

勇者b「さっきのは魔法ですけど、石とかは防げるんですか?」

エルフ姫「勿論ですわ。遮断呪文(強)でしたら思い切り投げても平気ですわよ」

勇者b「…それじゃあ、遠慮無く」



―勇者bの攻撃!
勇者bは落ちてた小石を思い切りエルフ姫に投げ付けた―

―小石はエルフ姫に当たる直前で粉々砕けて落ちた―


勇者b「うへぇ」

勇者a「おお!?」

エルフ姫「それでは改めて、遮断呪文の使い方をお教え致します」

勇者b「よろしくお願いします!」

勇者a「お願いします!!」


―里外れの花畑―


勇者c「(自身に対する干渉を善悪関係無く断絶する究極の防御魔法。数百年懸けてエルフ一族が作り上げた。と、古文書には書いてあったが……)」


勇者c「果たして私に出来るだろうか…」


勇者c「(確か…書いてあった術式は『太星型』の『風焼術』と『黒彗型』の『内殻術』…それから『帝月型』の『破純術』をそれぞれ24・31・18で混ぜ合わせて…残りの27は何だったかな………)」



エルフ娘「cさん、何してるんだろ?」ポヘー


勇者c「(……とりあえず、相性の関係から考えるに『緋車型』の『分零術』か?……考えるよりも、まずは行動だな!)」


勇者c「遮断呪文!!」カッ


―勇者cは遮断呪文?を唱えた!

しかし、失敗してしまった―


勇者c「(まあ、いきなり成功するはずな無いな。後で確認しよう。…それから、もう一つ作られた呪文があると書いてあったな…)」


勇者c「(にわかに信じがたい呪文だが、試してみる価値はある…)」


勇者c「(『碧空型』の『燈雪術』と『花淡型』の『杭灰術』と『太星型』の『欠砂術』を33・33・33で混ぜ合わせて、残りの1が『光銀型』の『風焼術』……だったはず)」


勇者c「転移呪文!」カッ


―勇者cは転移呪文?を唱えた

すると、勇者cの身体が一瞬にして数m後ろのエルフ娘の横へ移動した―


勇者c「(…!?!?)」


エルフ娘「うわあ!!びっ、びっくりした!」ビクッ

勇者c「……ああ、ゴメンよエルフ娘。少し魔法が暴発したみたいだ」

エルフ娘「暴発!?大丈夫ですか!?」

勇者c「ああ。空弾呪文を撃ってみたら、失敗で反動だけが起きたみたいだよ」

エルフ娘「そうなんですか(cさんでも失敗ってするんだ。なんか意外だなぁ)」

勇者c「(…今の空間ごと引っ張られる感覚………間違いなさそうだ)」ニヤリッ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom