モバP「シプソフィラ」 (62)




―10月11日・事務所会議室PM6:37―



瞳子「遅いわねPさん…、もうミーティングの時間はとっくに過ぎてるのに……」チラ

瑞樹「まったく、どこで油を売ってるのかしらね」イライラ

美優「何かあったのでしょうか。心配です……」オロオロ

留美「来たら文句のひとつくらい言わないと気が済まないわ。プロデューサーだからって
   私達を待たせてもいいと思ったら大間違いよ」イライラ






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412953609



服部瞳子(25)
http://i.imgur.com/yDHEa5H.jpg

川島瑞樹(28)
http://i.imgur.com/HR0rk7s.jpg

三船美優(26)
http://i.imgur.com/1GrmrTX.jpg

和久井留美(26)
http://i.imgur.com/EmHrDpD.jpg






 タッタッタッタッタッ…



P「いや~お待たせしました!渋滞につかまってしまいまして……」ガチャ

美優「あ、お、おはようございます……」ペコリ

瑞樹「……」

留美「……」

瞳子(どうしましょう…、空気が最悪なのにPさんは気付いてないわ……)






P「あれ?どうしたんですか皆さん?今日はやけに静かですね」

留美「Pさん、私達に何か言うことはないの?」ギロリ

P「へ?何のことですか?」キョトン

留美「……いえ、何でもないわ」

P「そうですか。ではミーティングを始めましょう」ストン





瑞樹「待ってP君。その前に私もいいかしら」サッ

P「瑞樹さんもですか?時間がないので手短にお願いしますね」サラリ

瑞樹「」ブチッ

瑞樹「誰のせいで時間がなくなってんのよっ!! 散々私達を待たせておいて、なに平然と
   何事も無かったかのようにミーティング始めようとしてんのよっ!! 」バンッ!!

美優「ひっ!? 」ビクッ

瞳子「ちょ、ちょっと瑞樹さん……」




P「え?ど、どうしたんですか急に?」

瑞樹「この期に及んでまだわからないの!? 大体遅れるなら遅れるで連絡のひとつでも
   寄越しなさいよ!! そんなの社会人として常識でしょうが!! 」

P「そ、そんな事を言われましても車の運転中でしたし……」

瑞樹「渋滞に巻き込まれていたんだったら停車してたでしょう!! 連絡なんて1分も
   かからないんだから、それくらい融通利かせなさいよ!! 」

留美「瑞樹さん落ち着いて。今のこの人に何を言っても無駄よ」

P「る、留美さん……?」



留美「Pさん、いえ、プロデューサー。私達はあなたが多忙なのはよく知っているし、
   今回みたいな事故が起きるのも仕方ないと思うわ。だけど起きてしまった事は
   仕方ないとしても、その後のあなたの対応は最悪よ」バッサリ

美優「る、留美さん、そこまで言わなくても…… Pさんも私達の為に毎日一所懸命に
   なって頑張られていますし……」

留美「それとこれとは話が別よ。プロデューサー、私達はビジネスパートナーという
   関係であって、お互い気持ちよく仕事が出来ないなら組んでいる意味がないの。
   悪いけど私、今日は帰らせてもらうわ」スクッ

P「ええっ!? ど、どうして……?」

留美「どうやら私が怒っている理由がまだ理解出来てないようね。正直失望したわ。
   今後のことも含めて冷静に考えたいから、しばらく有休をとらせてもらうわ。
   代役を使うならどうぞご自由に」スタスタ




瑞樹「私も帰るわ。もうここには二度と来ないかもしれないけど」スクッ

P「ま、待って下さい瑞樹さん!それってどういう……」

瑞樹「さぁ?美優ちゃんと瞳子ちゃんも行くわよ。勘違いプロデューサーには1人で
   じっっっっっくり反省してもらわないとね!」スタスタ

美優「み、瑞樹さん…… す、すみません、2人を放ってはおけないので、私も今日は
   失礼させてもらいます……!」ペコペコ



 バタン




P「あの…… 瞳子さん。俺のいない間に何かあったんですか?どうして留美さんと
  瑞樹さんはあんなに怒っているんですか……?」オソルオソル

瞳子「私に聞かれても困るわ…。確かに2人は少し感情的になっていると思うけど、
   でもPさんにも反省するところがあるんじゃないかしら。Pさんにとっては
   今日のミーティングは重要なものじゃなかったのかもしれないけど、私達は
   そんな事は知らないんだから……」ハア

P「そ、そうですね……」







 <トウコチャ―ン!! イクワヨ―!!



瞳子「とりあえず今日のミーティングはもう中止にしましょう。私も美優さんと一緒に
   2人をなだめに行くから、Pさんは謝罪の言葉でも考えておいて」スタスタ

P「すみません、よろしくお願いします……」



瞳子「もう、しっかりしてよ…。あなたは私のプロデューサーなんだから……」ポツリ






***



―事務所外―



瑞樹「瞳子ちゃーん!こっちこっち!」ブンブン!!

瞳子「タクシー…?どこかに行くの?」

瑞樹「さっき留美ちゃんと決めたんだけど、ムカムカが収まらないからパーっと飲みに
   行きましょう!さぁ、乗って乗って!」ポンポン

瞳子「え?私も……?」






留美「大丈夫よ、楓や志乃さん達みたいには飲まないから。美優は明日の朝一番で
   レッスンがあるし、パーっと言っても程々にしとくわ」フフッ

美優(すみません瞳子さん、私1人じゃ2人を止められなくて……)ウルウル

瞳子(そんな目で見ないでよ美優さん……)

瞳子「わかったわ。私も正直ちょっとPさんにモヤモヤしてるし、美味しいものでも
   食べて気分転換したいわ」クス

瑞樹「そうこなくっちゃ!今夜は女子会よー!」ゴ―!!







―――



瑞樹「さぁ着いたわ!いざ出陣よ!」

留美「ちょっと瑞樹さん、ここって確か三ッ星レストランじゃないの?」

瑞樹「そうよ!この前志乃さんに連れて行ってもらったんだけど、料理もお酒もすごく
   美味しかったのよ!今日は思いっきり食べて飲んで騒ぎましょう!」ニコッ

留美「ふふ、それも悪くないわね。美優と瞳子もここでいいかしら?」






美優「こ、こんなお店で騒いで大丈夫なんですか……?」ビクビク

瞳子「私は予算が心配なんだけど…。それほど持ち合わせがないわよ……?」

瑞樹「だ~いじょうぶよ2人とも、今日は私達の貸切なんだから♪」ニヤリ

美優・瞳子「「 え? 」」キョトン

留美「さてと、そろそろいいかしらね。それじゃ扉を開けるわよ」ガチャ






 パ~ン!! スパパパ~ン!!



従業員「「「「「「 お誕生日おめでとうございます!服部瞳子様! 」」」」」」パチパチパチパチ…



瑞樹「おめでとう瞳子ちゃん!どう?びっくりしたかしら?」

瞳子「……」ポカ―ン

留美「ふふ、驚いて声も出ないようね。ドッキリ大成功かしら」ニヤリ





P「お2人とも迫真の演技でしたからね。俺も本当に事務所を辞めるんじゃないかと
  嫌な汗をかきましたよ」スタスタ

美優「ぴ、Pさん!? どうしてここに……」ギョッ!!

P「皆さんが事務所を出てから、大急ぎで裏口から抜け出して先回りしたんですよ。
  今日のミーティングは最初から全部嘘です。瞳子さんをここに連れて来る為に
  瑞樹さんと留美さんに協力してもらいました」ニヤリ

留美「美優は途中でボロが出そうだったから、一緒に騙されてもらったわ」サラリ

美優「ひどいです…… でもお芝居でよかった……」ホッ





P「すみません美優さん。こうでもしないと瞳子さんには遠慮されてしまいますので。
  瞳子さんもだまし討ちみたいなマネをして申し訳ありませんでした」ペコリ

瞳子「……まぁ、私もさっきのが芝居で安心したわ…。もしPさんが本当にあんなに
   情けなかったら、私もこの先どうしようかと思っちゃったし……」ボソッ

P「えっ!? 」ギョッ!!

瞳子「ふふ…、冗談よ。半分本当だけどね」クス




瑞樹「P君、この際だから言っとくけど、私達が手のかからない大人しい女だからって
   思い通りになると思っちゃダメよ?」ニヤリ

美優(え……?瑞樹さんも……?)

留美「Pさん、さっきはお芝居だったけど私が言った事は本音だからね。これからも
   パートナーとしてよろしく♪」ニッコリ

P「き、肝に銘じておきます……」




従業員「P様、そろそろ花束を……」スッ

P「そ、そうですね!持って来て下さい!」

従業員「かしこまりました」ペコリ

瑞樹「さて、P君がどんな花束をプレゼントするのか楽しみだわ♪」ワクワク

留美「花束はセンスが問われるわね。場合によっては今後の事も考えないと……」

P「プレッシャーかけないで下さい。というかどうして2人にチェックされないと
  いけないんですか……」




従業員「お待たせしました」スタスタ

瞳子「え…?この花って……」

美優「わあ、すごい……」

留美「これは…… 予想外ね……」

瑞樹「まさかこう来るとはね…… ていうかこんな花束初めて見たわ」

P「改めましてお誕生日おめでとうございます瞳子さん。色々考えたんですが、やはり
  瞳子さんにはこの花が一番ではないかと思いました」サッ



瞳子(真っ白なカスミソウの花束…… カスミソウだけの……)







***



―少し離れたテーブル―



瑞樹「ねえ、あれどういう意味だと思う?」

美優「花言葉とかではないでしょうか……?」

留美「カスミソウの花言葉は…… ええと、スマホで調べたら『夢見心地』『感謝』他には
   『清らかな心』等々。よくわからないわね」






瑞樹「でもバラの花束ならともかく、カスミソウの花束をもらってもどう反応していいか
   わからないわよね。カスミソウって他の花の引き立て役というか……」

美優「メインって感じはしませんよね…… でも瞳子さんは嬉しそうですよ?」

留美「気になるわね。2人の間に何があったのかしら……」







―――



 ヒソヒソ… ヒソヒソ…



瞳子「何か噂されているみたいだけど、いいの?」クス

P「構いませんよ。それよりお気に召してもらえましたか?」

瞳子「こうして見ると…カスミソウも悪くないわね。あの時は自虐的な意味を込めて
   言ったんだけど、Pさんは本気だったのねってよく分かったわ。小さな白い
   花が沢山咲いていて…とても綺麗だわ……」







P「フェイフェイに教えてもらったんですけど、カスミソウは中国では『満天星』と
  呼ばれているそうですよ。深い藍色の包装紙で包むと花の白色が映えて、まるで
  満天の星空みたいでしょう?」



瞳子「満天星ね…… ふふふ、そう言われると、バラの花束よりも素敵に見えてきたわ。
   ありがとうPさん。私…今、とても…とても嬉しいわ……」ギュッ







***



~回想・瞳子スカウト時~



瞳子『誰もが夢を叶えられる訳じゃないのよ、プロデューサーさん…… 私がスポット
   ライトを浴びられるとでも?』

P『もちろんです。服部さんには才能と実力と、それを上回る努力で身に付けた技術が
  あります。そんなあなたにスポットライトを当てるのが俺の仕事ですよ』

瞳子『ふぅん…、じゃあ聞くけど、あなたは私をどんなアイドルにしたいの?』ジロリ

P『え?それはこれから服部さんと相談して……』






瞳子『あなたの事務所って、確か高橋礼子さんがいたわよね?私は彼女の引き立て役に
   されるのかしら?いえ…私では引き立て役にもなれないわね……』フフ…

P『そんなことは……』

瞳子『いいのよ…、私もこの世界に入って長いし、自分のことはよくわかっているわ。
   私には才能や技術があっても、礼子さんみたいな華はないから……』

P『華、ですか……』





瞳子『今まで努力してきたわ。どうすれば華やかに見えるのか…、歌い方やダンスも
   色々と試したし勉強もした。でも…私は華のあるアイドルにはなれなかったの。
   それで…気が付けばこの歳になっていたわ……』フフ…

P『瞳子さんはまだお若いし、十分アイドルをやれると思いますが……』

瞳子『プロデューサーさんの活躍ぶりはよく聞いているわよ。でも…仮に私があなたに
   プロデュースされてアイドルになれたとしても…、せいぜいカスミソウみたいな
   引き立て役が関の山よ…。悪いけど私にもプライドがあるの』

P『カスミソウ?それってあの白くて小さい花がいっぱいついたやつですか?』

瞳子『そうよ。それ以外にこの名前の花があるのかは知らないけど…、あの花のような
   アイドルになるなら…潔く引退するわ。もっとも私はもうアイドルを続ける気は
   ないし、来月には地元に帰るけど……」





P『くくく…… 』

瞳子『え……?』

P『あはははは!』

瞳子『な、何がおかしいの……?』

P『いやすみません、同じカスミソウの花でも、あいつと服部さんで捉え方がずいぶん
  違うなと思いまして…… いやいや失礼しました』クス

瞳子『捉え方…?あいつって誰の事かしら……?』






P『本人が思い出したくないそうなので名前は伏せますが、その昔圧倒的な力でトップに
  君臨した伝説のアイドルに挑み続けた1人のアイドルが、こう言ったそうですよ』



P『“バラになれないなら、カスミソウになってやる!”とね』



瞳子『カスミソウに……?』





P『それを聞いた周りの人間は、ついに彼女が伝説のアイドルに挑むのを諦めたのかと
  思ったそうです。何度も挑んで惨めに負け続けるよりは、別路線で活動することに
  したのかと。ところがそう言うと彼女は激怒して、こう続けたそうです』



P『“バラに負けない花はカスミソウだけだ!”と』



瞳子『バラに負けない……?』






P『服部さんはバラとカスミソウの花束を見た事がありませんか?一見カスミソウが
  バラの引き立て役に使われているように見えますが、カスミソウがバラを覆って
  飲み込もうとしているようにも見えませんか?』

瞳子『 !? 』ハッ

P『カスミソウはその形状と無数の小さな花によって独特の雰囲気を持っていて、花束に
  入れると引き立て役にも関わらず、強烈な存在感を発揮します。たとえ花の王者の
  バラが相手でもね』ニヤリ

瞳子『……』






P『カスミソウを単なる引き立て役ととるか、バラに負けない魅力と美しさを持つ花と
  とるかは瞳子さんにお任せします。現にこのセリフを言った本人にとっては負け
  惜しみだったみたいですが、俺は面白いと思いましたよ』

瞳子『プロデューサーさんは、カスミソウがバラに勝てると思うの……?』

P『それは咲かせてみないとわかりません。ただプロデュースのやりがいはあるなと
  思います。小さな花をいっぱい咲かせて、ひとつの大きな花にするんですから。
  服部さんもチャレンジしてみたくありませんか?』ニコッ



瞳子(小さな花を沢山…… ひとつの花の美しさでは敵わなくても、カスミソウみたいに
   沢山咲かせれば…私でも少しは華やかになるかしら―――――)








***



瞳子「あなたと出会ってまたアイドルになって…全てが順調って訳じゃなかったけど、
   でもPさんと居ると不思議と全部上手くいくように思えたわ……」

P「大口を叩いた割には苦労をおかけしました。実にならなかった仕事もありましたし、
  レッスンも頻繁に変えて負担をかけてしまったと反省しています」ペコリ

瞳子「いいのよ、最初から覚悟していから…。私は下手に経験があって、頭も固いから
   扱いにくかったでしょう…?Pさんにも迷惑をかけたわ……」

P「それでも瞳子さんは俺を信じてここまでついて来てくれたから嬉しかったです。
  最初はなかなか心を開いてくれなくて、こんな風に食事に誘える日が来るとは
  思いませんでしたけどね」フフ

瞳子「色々と焦っていたのよ…。ラストチャンスのつもりでスカウトを受けたんだし、
   あの頃はとにかく早く成果を出そうと思い詰めていたわ……」クス






P「今は余裕と自信を持ってアイドルをされていますね。オフの日は時々琴歌の家に
  お邪魔して、琴歌とフラワーアレンジメントを作っているそうじゃないですか。
  春の撮影の時から続けているんですか?」

瞳子「ええ、あの仕事をするまでは興味がなかったんだけど、今ではすっかり嵌って
   しまったわ。琴歌ちゃんの御屋敷には大きな温室があって、庭の花壇に植えて
   ある季節の花以外にも世界中の綺麗な花があるから」

P「趣味が増えるのはいいことです。それは巡り巡って瞳子さんの力になりますから」

瞳子「ふふ、フラワーアレンジメントだけじゃないわ。加奈ちゃんには使いやすい
   メモ帳を教えてもらったし、瑞樹さんにはお酒の飲み方とか、美優さんには
   アロマテラピーとか、レナさんにはポーカーを教えてもらったしね」クス





P「色々楽しんでいますね。まるでカスミソウの花みたいに、瞳子さんの新たな一面が
  いっぱい花開いていくようです。俺も瞳子さんに置いて行かれないように、気合を
  入れてプロデュースしないといけませんね」

瞳子「でも私を、アイドルとして花開かせてくれたのはPさんよ…。この恩は一生
   忘れないから、Pさんが目を離せないくらい魅せてあげる……」



瞳子「魅力的な私に見えるようにがんばるから…だから…見ていて…」ギラリ



P「 !? 」ドキッ!!

P(な、なんだ……?今瞳子さんからもの凄いパワーが出た気が……)ゾクッ






瞳子「ところでPさん…、さっき瑞樹さんも言ってたけど、私はPさんにとっては
   扱いやすい、都合の良い女なのかしら……?」ススス…

P「い、色々と語弊がありますね…… 瞳子さんは真面目でストイックにアイドルを
  されていますし、俺も安心してプロデュースが出来ますが……」

P(ど、どうして急に寄って来るんだ……?)





瞳子「そう…、それじゃPさんが私から目を離してしまうわね…… これからは私も…
   少し困らせてみようかしら……?」ピト

P「な、ななな何でくっつくんですか……?」

瞳子「たまには大胆にならないとね…。ちょっと過激な私も…Pさんには、全部見て
   欲しいわ……」ボソッ(耳元)

P(や、ヤバい!普段こういうアプローチをしない人にされるのは……!)ダラダラ







 ヒュン!!



P「あいてっ!? 」スコーン!!

瞳子「 !? 」ギョッ!!

P「な、何か頭に当たったような……」サスサス



 [ピンポン玉] コロコロコロ…



P「」






留美「あらごめんなさい、うっかりバッグからピンポン玉を落としちゃって」シレッ

瑞樹「拾おうとしたらミズキスペシャルを撃っちゃったわ」シレッ

美優「そ、それなら仕方ないですよね……」メソラシ

P「何を遊んでいるんですかあなた達は……」

瞳子(ふふ…、そう簡単に思い通りにはさせてくれないのね……)クス





瑞樹「それより2人とも、早く料理食べてくれないかしら。私達はもう食べ終わって
   後はデザート待ちなんだけど」ジロリ

留美「別に急かしているわけじゃないわよ?でも美優は明日の朝一番でレッスンだし、
   私達はいいけど美優は早くマンションに帰って休みたいそうよ」サラリ

美優「えぇっ……!? 」ビクッ!!

瑞樹「……」ジー

留美「……」ジー



美優「ふ、ふわぁ、ねむいです……」(棒読み)

P「……」ジー

瞳子「……」ジー

美優「あうぅ……」カアア





瞳子「……そうね。私も明日レッスンがあるし、早く食べちゃいましょう」パクパク

P「そ、そうですね!デザートも楽しみです!」パクパク



 ハハハ… ウフフ…






瑞樹「よくやったわ美優ちゃん。美優ちゃんもノリが良くなってきたじゃない」ヨシヨシ

美優「うぅ、あんな演技だとお芝居の仕事減らされちゃうかも……」ズーン…

留美「時代劇はちゃんと出来たじゃない。気にしなくても大丈夫でしょ」ナデナデ

瑞樹「あ、そうだわ、お芝居の仕事じゃないけど美優ちゃんにいいこと教えてあげる」

美優「え、何ですか……?」



瑞樹「実は今日のミーティングは全部嘘でもなくてね。P君が昨日言ってたんだけど、
   瞳子ちゃんは今月の末にお仕事で湯布院に行くらしいわよ」

美優「湯布院ってあの、大分の温泉街ですか……?」

留美「瞳子に観光PRのオファーが来たんだって。あの子大分の出身だし、瞳子に
   湯布院温泉や名産品を宣伝して欲しいそうよ。そこにPさんが交渉をして、
   枠を3人増やして4人にしたらしいわ」





瑞樹「瞳子ちゃんもまだ知らないから、こっちが本当のサプライズプレゼントに
   なるかもね。P君が増やした3枠はまだ決まってないそうだから、私達で
   もらっちゃいましょう♪」ニヤリ

美優「で、でも私達だけで決めてしまっていいんでしょうか……?」

留美「いいのよ、こういうのは早い者勝ちよ。湯布院は日本屈指の温泉地だし、他の
   人達も行きたがって絶対揉めるわ。だから誰にも知られないように……」





 ヴ―ヴ―… ←携帯のバイブ



留美「あら?メール?誰からかしら……」サッ

―――――――――

From高垣楓

♨♨♨私も湯布院いきたいです。ゆふふ……♨ ♨ ♨

――――――――――

留美「」








 ヴ―…



瑞樹「私も?ちょっと失礼するわね」サッ

――――――――――

From片桐早苗

抜け駆けは許さないわよ!

――――――――――

瑞樹「」







 ヴヴヴ…



美優「私の電話も……?」サッ

――――――――――

From高峯のあ

ざびえる

――――――――――

美優「……え?」





留美「どこから漏れたのよ……?Pさんも誰にも言ってないはずなのに……」ギリッ

瑞樹「まさか盗聴されてないわよね?タイミング良すぎるでしょう……」キョロキョロ

美優「ざびえるって何……?のあちゃん何が言いたいの……?」オロオロ



おわり






 ここまで。瞳子さん誕生日おめでとうございます!悪役の幹部風衣装が好きです。
ちょっとセリフが重いけど、それはそれでいいですよね!
 タイトルはそのままカスミソウです。個人的にはバラよりもカスミソウが花束の
中にあると高級感があがるような気がします。実際カスミソウはお高い花ですがw 
S○APの歌ではないですが、いろんな華のあるアイドルがいていいですね。では


これってお姉さんシリーズ?

>>54
お姉さんシリーズは一応ですが完結しています。今書いているのはキャラや性格はシリーズの
ままですが、設定や世界観は引き継いでないとお考えください。作者の思惑としては、シリーズを
読まなくても楽しめる短編集というスタンスで書いてます。たまにシリーズの設定が出て来てしまう
事がありますが、知らなくても問題なく読めるようにしていますので気にしないで下さい。
もちろんお姉さんシリーズを読んでいる方がより楽しめますが、ちょっとお得に感じる程度ですww
ですが短編が増えてきたので、シリーズが終わってからお姉さんメインで書いたSSをこのあたりで
一度列挙しておきます。毎回酉を変えているのでややこしくしてすみません。

兵藤レナ「お弁当?」
一ノ瀬志希「ギフテッドパフューム」
シュガーハート「佐藤心」
梅木音葉「バレンタインシンフォニー」
モバP「楓と牙」
モバP「嵐の中の来客」
モバP「誕生日の次の日」
モバP「ランダムランチタイム」
モバP「テリブルティータイム」
モバP「シプソフィラ」
モバP「月と屋台と銀の草」

繰り返しますが、これらのSSにキャラのつながりはあっても、話のつながりはありません。
どこからでも、一話だけでもお楽しみ下さい。では

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