~~ニコニコ寮~~
両津「もうまともに動ける体力もない……」
両津「かといってこのまま寝てたら間違いなく死ぬな……」
両津「どっかでメシを分けてもらうか……よいしょ……」
数分後
両津「おーい、野口!」ドンドン
両津「ん?ドアに紙が貼ってあるぞ?なになに……」
両津「今日は彼女とデートなので留守にします……か」
両津「ふん!なにがデートだあいつめ!」ビリビリッ
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~~
両津「おーい、インスタントラーメン分けてくれ!」
両津「返事しろ!いないのか股崎ー?」ドンドン
両津「ちぇ!留守か……」
両津「どいつもこいつも肝心な時にいねえんだから!」
中川「あっ!いたいた!」
両津「おう、中川じゃないか……どうした?」
中川「どうしたじゃありませんよ!迎えに来たのになかなか降りて来ないんですから!」
両津「えっ?わしを迎えに?」
中川「なにを寝ぼけてるんですか!出勤の時間ですよ!」
両津「げっ!今日は非番じゃなかったっけ!」
中川「しっかりしてくださいよ!もう!」
~~
両津「なあ中川……派出所に行く前にメシくいに行こう……」
中川「ダメですよ!もうじき部長が来ちゃいますから!」
両津「そうだった!きょうは部長が来るんだった!」
中川「分かったら派出所に直行しますよ!」
両津「いや、ちょっとまて中川!」
中川「えっ?」
両津「あそこを曲がって鍋島定食に寄ってくれよ!」
両津「あっという間にたいらげれば問題ないだろ!なっ?」
中川「う~ん……しょうがないなあ……」
両津「へっへっへ!やっとメシにありつける……ぎょっ!」
行列「ズラーッ」
両津「な、なんだぁこの行列は!?」
中川「そりゃ朝の食事時ですからね」
中川「さあ!車に戻ってください先輩!」グイッ
両津「そっ、そんな殺生なぁ!」
中川「いくら早食いできたって食べるまでに時間がかかっちゃ意味ないじゃないですか!」
両津「いやだいやだ!メシ屋が目の前にあるのにあきらめるなんて!」
中川「こんど僕がおごりますから!ねっ!?」
両津「うっうっ……」
~~葛飾区亀有公園前派出所~~
中川「おはようございます戸塚先輩!」
戸塚「おう中川!両津を連れてきたのか……おっ?」
戸塚「どうした両津?なんだか顔色が悪いみたいだぜ……?」
両津「ははは……そうだろうな……」
戸塚「なにか悪いもんでも食ったか?」
中川「その逆ですよ!おとといの朝から何も食べてないとかで……」
戸塚「なに!?するとあんとき麗子に作ってもらったっきりか!?」
戸塚「いったいどういう生活していやがんだ……」
両津「はあ……なにか食うもん持ってきてくれ中川……」
中川「あっ、はいっ!」
中川「う~ん……冷蔵庫にはなにも入ってませんよ先輩!」
両津「なんでもいいから探せ!なにかあるだろ!」
戸塚「それじゃ両津、さっき便所でネズミ捕まえたが……おまえ食うか?」
ネズミ「チューチュー」
両津「そっ、そんなもん食えるかバカヤロウ!」
戸塚「なんでもいいって言ったじゃねえかよ」
両津「ダメだ……大声だしたら余計ハラがへってきた……」
両津「目がかすむ……死ぬかもしれんなわし……んっ?」チラッ
犬「ムシャムシャ……」
両津「おい犬!そのドッグフードよこせ!」
犬「ワン!」
中川「なになに……あはは!」
中川「分けてほしけりゃ芸を見せろですって先輩!」
戸塚「わはは!どっちがペットだかわからねえな!」
両津「き……きさま……」
両津「いそうろうの分際でナメたマネを……」グイッ!
犬「キャンキャン!」
両津「なに?暴力をふるうなら絶対に分けない?」
両津「上等だ!力ずくでうばいとってやる!」ガバッ!
~~
フータロー「すいませんダンナ~」ガラリ!
フータロー「なにか食べ物をわけ……」
両津「むっ?なにしにきたんだフータロー?」ガツガツ
フータロー「い……いえ……ははは」
フータロー「ダンナも食い物に苦労してるんだなあ……」
両津「おまえも食うか?案外いけるぞ!」
フータロー「いやあ……犬のエサはちょっと……ね」
両津「そうか?じゃあわしが全部たべちゃおうっと!」ムシャムシャ
中川「先輩のほうがフータローよりも浮浪者らしいや……」
戸塚「うむ……それはいえるな……」
両津「ふうーっ!くったくった!」
両津「……ありゃ?フータローのやつはどこいった?」
戸塚「とっくに帰ったぜ」
両津「そうか……さてと!奥の部屋ですこーし横になるかな!」
中川「食べてすぐ寝るなんて、まるで牛みたいだなあ……」
戸塚「ようしっ!オレも奥で寝てよっと!あとは頼むぞ中川!」
中川「ええっ!?ずるいですよ戸塚先輩!」
中川「じゃあぼくもテレビみてようっと!」
戸塚「きょうは部長が来るんだろ!ひとりは見張りがいなきゃダメだ!」
戸塚「部長のパトカーが見えたらすぐ起こしてくれよ!」
中川「そんなあっ!待ってくださいよおっ!」
中川「ちぇっ!なんでぼくだけ……ふぁ~あ……」
洋子「こんにちは!」ガラッ
中川「ん……なんだ洋子ちゃんかあ……」
洋子「あら?両さんはいないの?」
中川「先輩ならいま奥の部屋で寝てるよ」
中川「ちょっとここで待ってて!いま起こしてくるから!」
洋子「うん!ありがとう中川さん!」
チラッ
洋子「う~ん……両さんの机って散らかってるのね……」
洋子「競馬新聞に週刊誌に少女漫画……」
洋子「待ってるあいだに整理しといてあげようっと!」
~~
中川「ねえ先輩ったら!起きてくださいよ!」
中川「さっきから洋子ちゃんが待ってますよ!」
両津「ぐおおお……」
中川「ふう……だめだ……」
中川「まったくもう……これじゃ部長が来たら起こせったってムチャだよ……」
犬「ワン!」
中川「え?熱湯をわかしてきたからぶっかけろだって?」
中川「そりゃ名案だ!えらいぞ犬!」
中川「あぶないから下がってろよ!それっ!」バシャ!
両津「ぎゃあーーっ★!!!!」
戸塚「あっちっちっちーーっ!!!!」
両津「てめえら!なにしやがる!」
中川「なにって……ぼくらはただ先輩を起こそうと……」
戸塚「オレまで巻き添えにしやがって!この!」
両津「熱湯なんかぶっかけて起こすバカがいるか!」
中川「いやあ……先輩ならあれくらい大丈夫だろうと思って……なあ犬!」
両津「なにがどう大丈夫だというんだ!こいつめ!」ギュッ
中川「ぐえっ……く、くるしい……!」
中川「ゲホゲホ……本気で首をしめることないでしょう!」
中川「だっ、だいたい先輩がなかなか起きないのが悪いんですよ!」
両津「だまれ!おまえのようなやつはこうしてやる!」スチャッ
~~
ズギューン!ひゃあ~~っ!
パリーン!ガチャーン!
ようし……!先輩がその気ならこっちだって!
洋子「なんだか騒がしいわねえ……」
洋子「それにしても遅いわね両さん……まだかしら……」
大原「おはよう!」ガラッ
洋子「あっ!お邪魔してます部長さん!」
大原「おや?あの連中はどこにいったんだ……ん?」
うぎゃあ!応戦してきたぞ両津!
じょっ、冗談じゃねえ!あんな銃で撃たれたらひとたまりもねえ!
大原「な……なにをやっとるんだあの連中は……☆」
戸塚「このやろう!」サッ!
中川「うわあっ!しまった!銃をとられたーーっ!」
両津「形勢逆転だな!くたばれ中川!」
大原「ほう……みんなで戦争ごっこやっとるのか……なかなか楽しそうだね……?」
両津「げっ!部長……!?」
大原「拳銃なんか構えていったい何をしとるのかね両津くん?」
両津「へっ!?こ、これは……ただの手入れですよ部長!」
大原「なるほど……ただの手入れだったのかあ……」
大原「それにしては銃痕があちこちにあるようだが……」
両津「いえ!これはタマがさびてないか確認するためでして!そうだよなっ!中川!」
大原「こいつめ!そんないいわけが通用すると思うかバカモノ!」
翌朝
星「おいっ!聞いてくれ両津っ!」ガラリ!
星「長年さがしていたカルチェのライターがついに……ん?」
寺井「両さんならまだ来てないよ!」
寺井「そういえば戸塚も中川もおそいなあ……」
麗子「ワンちゃん!ごはんの時間よー!」
麗子「おかしいわねえ……どこ行ったのかしら……」
大原「ああ……あいつらならそろって山奥村の島流し署へ転勤したぞ」
大原「あそこなら牛の花太郎くんたちと拳銃で好きなだけ遊べるからな……」
大原「立派な駐在さんになれるように、残ったみんなで祈ってやろうじゃないか……」
つづく
第一話・『腹が減ってはいくさはできぬ…!?の巻』 完
~~山奥村~~
両津「着いたぞおまえら!ここが山奥駅だ……」
中川「ふう……いやに長い道のりだったなあ……」
戸塚「ここから島流し署へはどのくらいだ両津?」
両津「さあな……バスで5時間ほどかかったらしいが、いまはそのバスも廃線になったからな……」
戸塚「なにっ!?すると歩きか!?」
両津「うむ……まあそういうことになるな……」
中川「じょっ、じょうだんじゃない!そんなに歩けませんよっ!」
両津「なあに、途中で出会った車に乗せてってもらうまでの辛抱だ!」
両津「田舎のひとは親切だからきっと乗せてってくれるだろう……」
中川「本当ですかね……先輩のいうことはあてにならないからなあ……」
両津「わしが最初にきた時はうまくいったぞ!経験者がいうんだから間違いない!」
戸塚「う~む……両津のいうことを信じてみるか……」
~~
戸塚「おい両津!?ヒッチハイクしようにも車が全然こねえぞ!?」
中川「どうするんですか先輩っ!?日が暮れてきましたよっ!?」
両津「しかし……駅に戻るにも、もうだいぶ歩いてきちまったしな……」
犬「ワン!」
両津「なに?もう歩き疲れたから休みたいだと……?」
両津「……ええい!こうなりゃ今夜は野宿だ!」
戸塚「野宿ったって……みてみろ両津この看板を!」
中川「ぎゃあ!熊出没注意ですって先輩!」
両津「しょうがねえだろ!このあたりにゃ民家すら見当たらねえんだから!」
戸塚「とんでもねえ所に飛ばされちまったもんだな……」
中川「まいったなあ……こんなあぜ道で野宿かあ……」
戸塚「もし寝てるときに熊が襲ってきたらおだぶつだぜ……」
両津「そうか……しからばあの里山で寝るとしよう!」
戸塚「なにっ!?正気かおまえ!?」
戸塚「そんなことしたらよけい危ねえだろ!」
両津「熊とてまさか山でひとが寝ているとは思うまい!」
両津「われわれはその裏を突こうというわけだよ、戸塚君」
戸塚「しかしなァ……相手は熊だぞ、両津……?」
戸塚「人間あいてに戦争やってるわけじゃあ……」
両津「ふーん、そう……いやならべつに構わんよ、戸塚だけここに残っても……」
両津「さあ!わしらは里山に行こう中川っ!」ガシッ
中川「そんなぁ!ぼくは戸塚先輩といっしょに……うぐっ……!」
両津「こら!おまえも来るんだ!」グイッ
犬「キャン!」
両津「おやすみ戸塚!バーイ!」
戸塚「おっ、おい!まてよ両津!?」
戸塚「なんという強引さだ……しかたねえ……」
その晩
中川「うう……しかし野宿は冷えるなあ……」ブルブル
戸塚「ぐごごご……」
両津「むにゃ……」
中川「先輩ったら、ひとに見張りをさせといて自分はこれだものなあ……」
中川「ねえ!起きてくださいよ先輩!」ユサユサ
両津「ん……なんだぁ中川……」
中川「さっきからぼくばっかり見張りやってるんですよ!?」
中川「そろそろ交代してくれたっていいじゃないですか!」
両津「後輩ならそれくらいの苦労は当然だ……おやすみ……」
中川「あっ!そんなァ、ひどいですよ先輩!」
中川「まったく、面倒なことはすぐこっちに押し付けるんだから……」
戸塚「ん……」ムクッ
中川「あっ!代わってくれるんですか戸塚先輩!?」
戸塚「いや……ちょっと茂みでションベンしてくる……」
中川「ちぇっ!」
戸塚「どうだ中川、連れションするか?」
中川「えっ?でも先輩を残して行っちゃあ……」
戸塚「なあに!犬がそばに付いてるんだから心配いらねえよ!」
中川「そうですね……じゃあちょっと行ってこようっと!」
中川「おい犬!先輩のことを頼んだぞ!」
犬「ワン!」
~~
中川「うわあ!月がきれいですよ戸塚先輩っ!」ビチャビチャ
戸塚「なるほど!こりゃみごとな眺めだ!」ジョボジュボ
チョンッ
戸塚「ん……肩をさわるなよ中川……ゆれて飛び散っちまうだろ……」
中川「え?ぼくはこっちですけど……」
戸塚「なに……?じゃあオレを後ろから触るのは……★」チラッ
熊「ガオーッ!」
戸塚「ぬぎゃあああ~~っ!?」
中川「と、戸塚先輩!危ないっ!」サッ
ズギューン!
中川「ちぇっ、はずしたか……」
戸塚「ふう……死ぬかと思ったぜ……」
戸塚「しかし……射撃でミスするなんて中川らしくないじゃねえか」
中川「いやあ……寝不足でちょっと調子が……」
中川「でもいちおう追っ払ったから、もう心配ないとは思いますけど……」
中川「それにしても、あんなに大きい熊がいるなんて……!」
戸塚「やれやれ、やっぱりあのバカについてくるんじゃなかったぜ!」
戸塚「あいつといっしょに行動していたら命がいくつあっても足りんよ……」
~~
茂み「ガサガサ……」
犬「?」
茂み「ガサガサ……」
ぬっ
熊「グルル……」
犬「!?」ビクッ
犬「キャンキャン!」ユサユサ
両津「むにゃ……もうちょい寝かせろ中川……」
犬「ワン!」ガブッ!
両津「あんぎゃあーーっっ★!!!!」
両津「あいててて……こいつ!わしになにか恨みでもあるのか!?」
両津「いきなり噛みつきやがって!帰ったら肉屋に売りとばしてやろうかっ!?」
犬「キャンキャン!(後ろを指さす)」
両津「ん?向こうになにかあるってのか……?」チラッ
熊「ガオオオッ!」
両津「ずおっ!?くっ、熊!?」
熊「ガルルル……」
両津「ん?よくみたらまだ子どもじゃねえか……」
両津「ちくしょう!おどかしやがって!」ポカッ
犬「キャン!」
両津「どうしたんだ、おまえ……」
両津「ひょっとして……親とはぐれちまったのか?」
子熊「」コクッ
両津「そうか……かわいそうにな……」
犬「……」ブルブル
両津「おい犬!いつまでわしの後ろに隠れているつもりだっ!?」
両津「みてみろ!熊といえどもこんなガキならかわいいもんだ!」
子熊「ガウッ!」
両津「こら!じゃれつくんじゃない……!」
両津「あいてて!ひっかくなこいつ!」
~~
戸塚「ふう……おちおちションベンもしてられねえぜ……」
戸塚「ありゃ?起きてたのか両津……」
両津「ん……どこいってたんだ、おまえら……?」
中川「ちょっとオシッコしに……うわあっ!?」
中川「そ、そのヒザの上の熊はいったいなんです先輩……!?」
両津「こいつか……どうやら迷子らしい……」
両津「おいこらっ!だきつくな!」
中川「ずいぶんと先輩になついてますねぇ……あっ!」
中川「ねえ戸塚先輩……!もしかして……!」
戸塚「ああ、ひょっとするとさっきのやつが……」
両津「なに?さっき熊をみただと?」
中川「ええ……もしかしたら、その熊の母親かも……」
両津「そうか……」
両津「よかったな!おまえの親がいたんだとよ!」
中川「いやあ……でもさっき拳銃で追っ払っちゃって……」
戸塚「それに、本当にそいつの親かどうかは分からねえぞ……?」
両津「なあに!さっきまで仲間が近くにいたことが分かれば上出来だ……!」
戸塚「なんならいまから案内してやろうか両津?」
両津「いや……あしたの朝にしよう……」
両津「こんな夜中じゃ暗くてあぶないからな……」
明け方
中川「たしかこのあたりでしたよね戸塚先輩?」
戸塚「ああ、間違いねえ……みてみろ、葉っぱにションベンのあとが残ってる」
両津「なるほど……こっちに逃げていったんだな……」
中川「よし!それじゃもっと奥に行ってみましょう先輩!」グイッ
両津「ちょっ、ちょっとまて中川!押すなこら!」
両津「な、なんでわしが先頭なんだ!?」
中川「だって、もし熊が出てきても、先輩なら平和的に話し合えるかも……」
戸塚「うむ……両津がいちばん野性的だからな……!」グイッ
両津「バカなことをいうな!押すなっての!おい!」
両津「そうだっ!ここは民主的に選挙で決めよう!なっ!?」
戸塚「じゃあオレは両津に一票」
中川「ぼくも先輩に一票」
犬「ワン」
両津「…………★」
中川「めでたく先輩に3票が集まりましたね」
戸塚「よし……これで決まりだな……ほら進め!」
両津「まっ、まておい!少数意見を尊重しろ!」
戸塚「言いだしっぺはおまえだからな……あきらめろ」
中川「往生際がわるいですよ先輩」
~~
両津「くそ!なんでわしが……ぶつぶつ」
戸塚「うるせえな!つべこべ言ってねえでさっさと進め!」
戸塚「おめえがさっさと行かねえと後がつっかえるんだよ!」
中川「そうですよ!もっと早く進んでくださいよ!」
両津「きさまら……ひとごとだと思って……」
子熊「ガウッ!」ピタッ
両津「うっとうしい!ひっつくな!」
茂み「ガサガサ」
両津「ん……なにかの気配が……?」
ぬっ
巨熊「グルル……」
両津「げっ……」
巨熊「」チラッ
両津「は は は……こりゃどうも……」
中川「うわあああ~~っ!熊だ~~っ!」
両津「バカやろう!大声を出すんじゃない!」
戸塚「おまえら!ちゃんと骨は拾いにきてやるからな!」ダッ
両津「おっ、おい戸塚!ひとりで逃げるなひきょうもの!」
中川「置いていかないでくださいよ戸塚先輩~~っ!」ダッ
犬「キャインキャイン!」バッ
両津「あっ!おまえたちまで!」
巨熊「」ガシッ
両津「うわあっ!は、はなしやがれっ!」
巨熊「ガウウ」ムギュ
両津「うぷっ☆!」
両津「く、くるしいっ……!はなせ……!」
巨熊「」パッ
両津「ぎゃん!」ドサッ
両津「このやろう!鉛玉であの世に送ってや……ん?」
子熊「ガオッ」スリスリ
巨熊「ガウッ!」
両津「……もしかしておまえ……このガキの親か?」
巨熊「」コクッ
両津「いまのはお礼のハグのつもりか……?」
巨熊「」コクッ
両津「バカ!まぎらわしいことするんじゃない!」
巨熊「ガウウッ」
両津「なに?このあたりは農産物がいっぱいあるから肉なんか食わない……?」
両津「戸塚たちには子どもを見なかったかたずねようとしただけだと?」
両津「まったく、ひとさわがせな熊だ……」
巨熊「」ペコペコ
両津「ともかく、親に会えたならわしの役目は済んだな……!」チラッ
両津「わしは行くぞ……たっしゃで暮らせよ!」
子熊「ガウッ!」
両津「じゃあな……あばよ!」
~~
戸塚「いつまで待っても里山から下りてこねえな両津……」
中川「きっとあの熊に食われちゃったんですよ……!」
戸塚「中川もそう思うか……?そこの地蔵に5円玉を6枚そなえとくか……」
中川「せんぱい……迷わず成仏してくださいね……」
ぬっ
両津「だれが食われたんだって?」
戸塚「ぬおっ!?両津!?」
中川「あれっ!?生きていたんですか先輩!」
両津「縁起でもないこというなこら!」
両津「きさまら……よくもわしを置いていきやがったな……!」
戸塚「いやあ!わるかった!すまん両津!」
両津「すまんで済んだら警察はいらねえんだよバカ!」
中川「……おや?」
中川「どうしたんです先輩?その脇にかかえたキャベツは……」
両津「これか……?熊の親子にみやげにもらったんだ」
中川「へえーっ!こりゃあ大きいもんですねえ!」
両津「ごまかすなこいつ!」ボカッ!
中川「あいたっ!」
~~
中川「なるほど……菜食主義の熊ねえ……」
中川「たしかにこのあたりは畑ばかりだからなあ……」
戸塚「わはは!両津より熊のほうがよっぽど健康的な食生活だな!」
戸塚「ちったぁ両津も見習ったほうがいいんじゃねえのか!?」
両津「くそ……いわせておけば……★」
犬「ワン!」
両津「ん……そうだな……」
両津「さてと、そろそろ出発するか……!?」
戸塚「おう!急がねえときょうも野宿になっちまうからな!」
黒雲「モクモク」
戸塚「ん……?なんか雲行きが怪しくなってきたぞ……」
ザーーッ!
中川「うひゃあっ!つめたいっ!」
両津「ひええっ!いきなり降ってきやがった!」
戸塚「おい両津!カサもってるか!?」
両津「あるわけないだろ!しばらくさっきの里山で雨やどりしよう!」
戸塚「ちぇっ!あともどりかよ……!」
~~
中川「ふう……びしょぬれになっちゃったよ……」
中川「まるでホームレスにでもなった気分だなあ……」
戸塚「やれやれ……オレたちはいつになったら島流し署へたどり着けるんだ……?」
両津「さあな……わしにきかれても知らんよ……へ~っくしょい!」
両津「これじゃわしらが迷子のようなもんだよ……」
第2話『迷子案内!?の巻』 完
つづく
このSSまとめへのコメント
ほんとうに懐かしいなあ
山奥村シリーズに突入か?
派出所のが上手い
スレタイ見てフェラチオEDかと思った
星じゃなくて冬本だったら
普通に初期亀
第2話あったのか
ほう
いいね
まあまあ