死神「お前今日から死神な」男「」 (29)
「…」
台所からなにやらいい香りがする…
「男ーそろそろおきなよー」
「ん…」
眠たい…昨日ゲームしすぎたかな…
「もう…今日は入学式だよ!」
「…おう、わかってる」
重たい体をゆっくり上げる、幼馴染とは長い付き合いだ。…もっと優しく起こしてくれてもいいのに…。
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入学式という特別な行事の朝でもまったく変わらない、いつもの朝
「おさちゃん醤油とって」
「ん」
「さんきゅ」
「あい」
幼馴染とはとても長い付き合いだ、てかおんなじ孤児院で育ったから兄弟みたいな感じ
「新入生代表の挨拶…がんばってね?」
「…なんでそんな睨むんだよ」
「んー…べつにー」
孤児院で育ち誰にも引き取られなかった幼馴染と俺は、小学校を卒業してから二人暮らしだ。それなりにお金もかかるので、中学校では死ぬ気で勉強した…特別学力奨学生とやらで俺と幼馴染は入学している。
「ちなみに首席が俺で次席がおさちゃんな。」
「誰と話してんのよ…あとむかつく…」
「すんません」
「ハンカチ持った?忘れ物ない?」
「大丈夫だって」
幼馴染は心配性だ、なにかにつけておせっかいをやいてくる
「いじめられたら私に言うんだよ!」
「いじめられねえよ…」
自分が辛い思いしても絶対に言ってこないくせに、人の心配ばかりする
「そう…ならいいけど…」
「…その、あれだな…」
「?」
「制服…似合ってるぞ…」
「…うん…ありがと」
日が少しずつ昇ってきた春の朝、まだすこし肌寒い。
「ちょっとさむいね」
「…そうだな」
同じことを考えていた。すこしうれしい。
「部活とか入るの?」
「勉強が忙しい」
「だよねー」
どうでもいい言葉を交換しながら、道路脇を幼馴染のペースでゆっくり歩く。こんな日々がずっと続けばいいな…親がいないという不幸のなかで小さな幸せを見出していた。
前方に大型のトラックが見える。死亡フラグもいいとこの台詞を考えていたので少し不安になる。きのせいかユラユラゆれているようにも見える…幼馴染の心配性がうつったかもな。
「私も部活とかあんま興味ないかなー…あ!文学部とかあったら入りたいかも!」
「…部活とかやってたほうが進学とか有利になるらしいな」
「そーらしいねー…勉強の時間を確保できる部活があったらいいんだけど」
俺も幼馴染も天才やら神童やら言われてきたが、才能なんてものはこれっぽっちもない…ただ勉強しただけ…ほんとうにそれだけだ。
「高校生活たのしみだね!」
「…おう」
不覚にもクラッときてしまった。…顔はいいほうだと思う…たぶん…。
色んなとこからパクったもんを詰め込んでるように見えるのは気のせいか
桜の花びらがコンクリートをなでる…そう…すべてはここから始まった…
「おさちゃん…」
「なーに?」
「あのさ…お」
幼馴染に話しかけようとした瞬間、ごおっ、という音とともに
俺と幼馴染の時はとまった
>>6
あー東京喰種に影響されてるかも…一応完全オリジナルのつもりや(´・_・`)
ーーーーーーーーーーーーー
「…っ」
…さむい…ここは…?
気づいたら暗い空間に寝そべっていた。あれ?幼馴染?
「…おさちゃん…?」
「…」
幼馴染は黙って遠くを見つめている
中学で二人暮らして、金どうしたんだよ……
時間がたって冷静になる。暗い空間に2人…さっきまで街にいたよな?…明らかに異常だ。
「なぁ…おさちゃん…ここどこか分かる?」
「…」
…無視かよ…どうしたんだ?幼馴染は
「おさちゃんどうしたんだよ!」
「…」
身体を揺すって反応を確かめるが幼馴染はまったく微動だにしない
「おいッ!!無視すんなよ!!」
「…」
怒鳴って返答を求めるもまったく応答はない
「…なんなんだよ…いみわかんねぇよ…」
>>10国からの助成金で暮らしているっていう設定です
こつこつと音が聞こえる…足音?
「…こんにちは、どうも死神です」
「……………は?」
…死神?ふざけてんのか?
金髪碧眼の男は口を動かす
「君たちは俺が殺しました。トラックを使いました」
「…どういう意味だよ……ここはどこだよ…」
「そのままの意味です」
殺した?トラックで…?ていうかこいつは何処から来た?……クソ…わからねぇことだらけだ…
「お前何処からきたんだよ」
「お前とは失敬な、」
「いいから答えろよッ!!!」
感情的になる、幼馴染は今だに動かない
「…俺は神ですよ?言葉をえらびやがれ」
自称死神の目が銀色に鈍く光る。
「…証明しましょう…。」
自称死神は人差し指をピンとたてた。その行動をとったのもつかの間、ぐきりと音がした。
「…おさちゃん…?腕が…」
幼馴染の腕が曲がってはいけない方向に曲がっていた
「ッ!!!!??…お前仕業なのかッ…!!」
「ええそうです」
幼馴染の腕を折った…この男が…。
「…ッ…ゆるさねぇェ!!殺してやるッッ!!!!!」
「腕をおられたぐらいで、激情するなど愚の骨頂」
「ッ!?いつの間に!!?」
「これくらい容易い、なぜなら俺は死神だから」
そう言って自称死神は俺の背中に触れた
「1番痛いところですよ」
ッ!!!!!??!
「ぐあっっがああァァ!!!!」
背中全体を刺されたような感覚が襲う
「ぐあっっがああ!!いだい!!いだいいいぃぃいい!!!!」
「自分の愚かさを知れ」
「ぐっぃ!!…ッ!!はぁ…はぁ…はぁ…」
背中が焼けるように痛い。
「ゆるめてやった…反省したか?」
「ッ…」
あぁ…なにも言えないんだな…俺…
幼馴染は依然、微動だにしない
ーーーーーーーーーーーーー
「さぁ…選択の時だ…。」
「ひっ…」
金髪の男は、にたぁ…と笑った
「…おとこ……」
「…ッ!!おさちゃんッ!!」
幼馴染が喋った!良かった死んでなかった!!
「…おかしい…ちゃんと人形にしたはずなのに…」
金髪の男は人差し指を立てた
「おさちゃん…?」
幼馴染の身体が宙に浮いてる…
「こいつが死ぬかお前が死ぬか選べ」
「…は?」
「俺は死神だ、本来なら両方殺すところだが、暇つぶしにどちらか生かしてやる」
「あ…え…」
選ぶ?…幼馴染か俺を?
「選べ」
無理だろそんなの…俺が生死を選択するなんて…
「選べ」
こわい…こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
「選べ」
「殺すなら俺を殺せ」
幼馴染を死なせるなんて死んでも嫌だ
「お前が死ぬのか?」
「…あぁ……殺すならさっさと殺せよッ!!!!!」
「…ふふふ…おもしろい…」
こわい…いまから死ぬんだな…俺…
「…おさちゃん」
幼馴染はやっぱり動かない、本当に人形のようだ…
「…おさちゃん…ずっと…」
どうせ死ぬんだ…この想いだけでも…
「じゃあ、こいつ殺します」
「…は?」
金髪の男は幼馴染を指差した。
「なにいってんだよ…!!俺を殺せよ!!」
「失血死」
金髪の男はそう呟くと、人差し指をくるりと回した
「…う…あ……」
「おさちゃん!?」
幼馴染が喋った、苦しそうにもがいている
「あぁ!!!やめろ!!おさちゃんッ!!!!!」
「…おとこ…ず……きやよ…」
ブシュッ
大きな破裂音とともに幼馴染は血の塊になった
「あ…あ…おさ…ちゃ…?」
顔に血が飛び散る。彼女の香りが鼻腔を刺激する
「幼馴染とやらは死んだ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ幼馴染が死んだ
「嘘?…だよな?」
「幼馴染とやらは俺が殺した」
「は?」
なんでこいつは笑っているんだ?幼馴染を殺した癖に…笑っていいわけないよな?
「…殺してやる……」
「殺してやる」
「…」
「お前が悪い、お前が悪い、お前が全て悪い、死んでしまえ、殺してやる……」
「…ふふふ」
「殺してやるッ!!!!」
金髪の男の首をつかむ
「へへへ…おんなじ苦しみを味わって死ね…死んでしまえ…!!」
…こいつさえ…いなければ…
「…悪くない」
「だがまだまだ甘い」
パチンと破裂音がした
「…ッ!!ぐっ!!!」
腕が折れた
「その殺意…なかなかいい…」
「がっ…あぁ…」
痛い…腕が粉々に砕けたみたいだ…
「ふふふ…面白くなってきた」
「グッがァッ!!!しねぇ!!!」
首に思いっきり噛み付く、無機質な鉄の味が口に広がる
「だから甘いと言っているだろう」
「ふ…ああ!!!!!!!!」
ぽろぽろと歯が抜け落ちる。
「よく聞け」
「…はぁ…はぁ…はぁ…!」
痛い…
歯茎から血が滴り落ちる。
「お前は今日から死神だ」
「…あ?」
死神…?俺が…?
「いや…正確には死神と人間のハーフ」
「…」
何を言っているんだこいつ…幼馴染を殺した癖に…発言権なんてねぇんだよ…
「それじゃあこうしてやろう…一定以上の寿命を集めれば幼馴染とやらを生き返らせてやる」
「…え?」
幼馴染が…おさちゃんが生きかえる?
「死神とは寿命を奪う神人、お前のところは、死人といったところか…」
「…」
「二万年分…寿命を集めろ」
「…」
「そうすれば幼馴染を生きかえらせてやる」
二万年…二万年分の人を殺す…
「幼馴染を生き返らせたいだろう?」
「…」
「ただ狂ったように人を殺せ…そうすれば生き返らせてやる…」
「…はい……」
幼馴染が生き返るなら、殺人だってなんだってしてやる…
「お前は今日から死人だ」
まばゆい光が身体を包んだ
今日の更新はここまでです。見てくれていた方、ありがとうございます。
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「…ッ」
暗い路地裏に横たわっている。どうやら戻ってきたようだ…。
「…あ…おさちゃん…ッ!!うわああああああ!!!!!!!」
自分の無力さに悲嘆する。自分に力さえあれば幼馴染は死なずにすんだ
「…あ…うう…」
もっと俺に…強さが…あれば…
「ああッ!!畜生ッ!!!」
地面に手を叩きつける。
メギッ!!
「…は?」
コンクリートはひび割れた。
「…」
とりあえず家に帰ろう…
ーーーーーーーーーーー
「…」
家のリビングに御仏壇が備えられていた…四十九日…
「…俺は死んだことにされているらしいな…」
不思議とお腹も減らない…本当に死神になったんだな…俺…。
「…」
寂しい…寂しいよ…幼馴染…
「誰か助けて…」
幼馴染を生き返らせるには二万年分の寿命が必要、単純計算で、二十歳の若者を四百人も殺さなきゃいけない…
「俺が…殺す…」
人の命は簡単に奪っていいほど、軽くはない。幼い頃からそう教え込まれているし常識以前の問題だ。
「…そうだ…人間として価値の無い奴を殺そう…それがいい…」
殺人を犯したもの、大きな罪を犯したもの…人間的価値が薄い人間を殺す
「そうだよ…それがいい…俺は何も悪くない…」
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