【ごちうさ】チノ1「私が私を」チノ2「見つめてました……」 (48)

チノ「ん……もう朝ですか」

チノ「布団の中に誰か……ココアさん、また潜り込んでるんですか」

チノ「全く、子供じゃないんですから、いい加減に――」バサッ


チノ?「スー……スー……」


チノ「」

チノ「」

チノ「えっ私?」

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バァン

チノ「こ、ここここココアさん! 大変です起きてくださいぃ!!」ユサユサ

ココア「んなぁにぃチノちゃん……お漏らしなら正直に話したほうがいいよぉ…?」

チノ「……お姉ちゃんの、馬鹿っ」

ココア「ごめんチノちゃん何!?」

チノ「お、落ち着いて聞いてください。今起こったことをありのままに話します。朝起きたら私が二人になっていたんです」

ココア「? ……スヤァ」

チノ「寝ないでください!!」ユサユサ

チノ「見てください、ベッドの上に私が」

ココア「……」ムニムニ

チノ「……人のほっぺに何してるんです?」

ココア「夢かな~って」

チノ「それは自分のほっぺでやってください。ほら」ムニムニ

ココア「くすぐったいよぉ」///

チノ(や、柔らかいです!)

ココア「夢じゃない……チノちゃんが二人……」

ココア「ここが天国!!」

チノ(そういえば、ドッペルゲンガーって会ったら死ぬんでしたっけ…)ガタガタ

チノ?「ん……もう朝ですか」

チノ?「あれ、お布団が荒れて……さてはココアさん、また潜り込んで……」

ココチノ「」

チノ?「」

チノ?「えっ私?」

チノ「なんであなた私と反応が同じなんですか」

チノ?「ど、どういうことですか。何故私の目の前に私が」ガタガタ

チノ「こっちが聞きたいです。あなた一体誰なんですか」

チノ?「私はチノです」

チノ「私だってチノです」

チノ?「……」

チノ「……」

チノチノ?「「??」」

ココア(可愛すぎて唾液が止まらないよう)ダー

ココア「ね、チノちゃん。とりあえず朝ごはん食べようよ。今日は私が作るから」

チノチノ?「「いえ、大丈夫です。ココアさんは待っててください」」

チノ「……被りました」

チノ?「本当に同一人物のようですね……」

ココア「二人に同時にいらない子宣言されちゃったよ……」シクシク


チノ「私はサラダを作ります」

チノ?「では私は目玉焼きを作ります。卵取って下さい」

チノ「どうぞ、包丁貸して下さい」

チノ?「どうぞ。……中々奇怪な状況ですが、結構便利ですね」

チノ「作業が効率的に進みます」

ココア(チノちゃんが二人、ちょこちょこ動いてて見てるだけで可愛いなぁ~)

ティッピー「おはようチノおぉぉおおぉぉぉおああああぁぁぁ!!」

タカヒロ「ん、どうした親父…………寝不足かな?」ゴシゴシ

ココア「あ、おはようございます(今ティッピー叫んだよね…?)」

チノチノ?「「おはようございます」」

タカヒロ「……念のために聞くけど、チノ、だよね…?」

チノチノ?「「そうですよ」」

ティッピー「何が起きているんじゃ……世の中にこんな非科学的なことが…」

タカヒロ「親父には言われたくない」

タカヒロ「ということは、朝起きたら、チノは何故か二人になっていた、と……」

チノチノ?「「そうみたいです」」

ココア「ねえチノちゃん、昨日の晩御飯、なんだったか覚えてる?」

チノチノ?「「ハンバーグです」」

ココア「昨日私が割ったお皿の枚数は?」

チノチノ?「「二枚です」」

ココア「記憶まで完全に一緒みたいだね」

タカヒロ「……ココアくん、お小遣いから引いておくからね」

ココア「……はい」

チノ「ティッピーはどっちの頭に乗せれば良いでしょう」

チノ?「先に起きていたのですし、どうぞ私が乗せてください」

チノ「いえいえ、私が先に」

ココア「ティッピーは二匹になれない?」

ティッピー「無理じゃ」

チノチノ?「「ココアさん、ティッピーの数え方は匹でなく羽です」」

タカヒロ(双子の娘が出来た気分だ……悪くない)

チノ「お互い私ですし、ティッピーはそちらの頭に乗せてはいかがでしょう」

チノ?「いえいえ、そちらの頭に」

チノ「どうぞどうぞ」

チノ?「どうぞどうぞどうぞ」

ティッピー「今日はココアが持ち運んどくれ。きりがない」

ココア「わぁい! モッフモフー!」モフモフ

ティッピー「ぐぬぬ……」

チノ「お店の制服はどうしましょう……青は一着しかないですし」

チノ?「なら、私が緑か黄色の制服を着ましょう」

チノ「いえ、それなら私が」

チノ?「……また、決着がつかなくなっても難ですし、お互い別の色を着ましょうか」

チノ「では、私は黄色を」

チノ?「私は緑を」

ココア(色違いチノちゃん可愛い! 全色コンプしたい!)ハスハス

ココア「もう我慢できないよ! チノちゃ~ん!」モフモフ

チノ「こ、ココアさん!?」

チノ?「いきなり抱きつかないでくださいココアさん!」

ココア「チノちゃんとチノちゃんに挟まれてモフモフ……あぁ、幸せ~」ニヘー

チノ「やめてくださいココアさん」グイグイ

チノ?「いきなりモフモフしないでくださいって言ってるじゃないですか」グイグイ

ココア「あぅ……二人に同時に拒絶されると、ダメージも二倍だよ……」

ココア(でも小さい手で同時にのけられるのも良いかも)

リゼ「おはようみんな、今日も元気にしごt……」

ココア「あ、おっはようリゼちゃん」

チノチノ?「「おはようございます、リゼさん」」

リゼ「私、疲れてるみたいだ。よし、今日は休ませて貰おう!」

ココア「大丈夫だよ! 夢でも幻覚でもなく、チノちゃんは二人いるよ!」

リゼ「チノが二人いる上、ココアがもう起きているなんて……」

ココア「え、そっちも」

リゼ「つまり、朝起きたらこうなっていて、本人にもなんでだかわからないし、本物がどちらかもわからない、と」

チノチノ?「「そうです」」

リゼ「……昨日ココアが割った皿の」

ココア「リゼちゃん、もうそれやったからやめて」

リゼ「そ、そうか……しかし、見分けられない上呼び分けられないのは面倒だな……」

リゼ「よし、なら今から黄色のほうをチノ一号、緑のほうをチノ二号と呼ぼう」

チノ一号「さすがリゼさん、思い切りの良い呼び名をつけますね」

チノ二号「私が二号ですか……まぁどちらでも構いませんが」

リゼ「どっちも表に出てるとさすがに常連さんが驚くだろうな……よし、二号は私とキッチンに入ろう」

チノ2「そうですね…わかりました」

ココア「そ、その前に!」

チチリゼ「?」

ココア「……二人で私のこと、お姉ちゃん、って呼んでくれない?」

チノチノ「「……呼びません」」

ココア「あァァァんまりだァァアァ」シクシク

チノチノ(そんなに呼ばれたかったんですか……)

マヤメグ「こんにちはー!!」

マヤ「チノー、遊びに来たぜー」

メグ「遊びに来ましたー」

ココア「あ、マヤちゃんにメグちゃん、いらっしゃい」

チノ1「今は営業時間中なので、しばらくしてからで良いですか?」

メグ「じゃあ、終わるまでお客さんとしてここにいていいかな?」

チノ1「大丈夫です」

ココア(ねえねえ、チノちゃん)

チノ1(なんですココアさん)

ココア(遊びに行っても大丈夫じゃないかな?)

キッチン

ココア「二人のうちのどっちかが残っていれば、いつも通りのラビットハウスなんだし」

ココア「逆にどっちか片方、すぐに遊びに行けるんじゃないかな?」

ココア「途中で交替すればきっと大丈夫だよ」

リゼ「そんなんでほんとに上手くいくのか? ちなみに、どっちを先にするんだ」

チノチノ「「私は残って働きます」」

リゼ「……さすがチノ、真面目だな」

ココア「うーん……じゃあ、もう少しお客さんが減ったら、二人共遊んでおいでよ」

ココア「お店は私とリゼちゃんがいれば大丈夫だから」

リゼ「それが一番良さそうだな」

チノ1「なんだかちょっと」

チノ2「申し訳ないのですが」

ココア「良いの良いの、お姉ちゃんをどーんと頼りにしてね♪」

チノチノ「「リゼさん、宜しくお願いします」」

ココア「」ショボーン

チノ2「……勿論、ココアさんも頼りに思ってます」//

チノ1「……こ、ココアさんのお陰で、ラビットハウスはいつも明るいんですよ」///

ココア「そっか、良かった~」ニコッ

タカヒロ「ココアくん、リゼくん」

チノ1「お父さん」

ココア「あ、タカヒロさん。どうしたんですか?」

タカヒロ「お店は任されるから、できればチノたちについていって欲しい」

リゼ「やっぱり心配ですか」

タカヒロ「元々チノはしっかり者だからあまり心配はいらないんだが……今は何が起こるかわからないからね」

ココア「わぁい! 一緒に行けるよチノちゃ~ん!」ムギュッ

チノ1「そ、そうですねココアさん」

チノ2「べ、別に嬉しくはないですからね、ココアさん」

ココア「えへへ~」モフモフ

チノチノ「んぅ…///」

リゼ「嬉しそうだな~。……すいません、それじゃ、よろしくお願いします」

タカヒロ「ああ、こちらこそ。チノたちをよろしく頼む」


ティッピー「とか言って、本当はこんなことなくとも遊びに行かせたじゃろ」

タカヒロ「チノはまだ中学生だからね……こういう日も、良いさ」

ココア「というわけで、私達も仲間に入れてー!」

リゼ「これからどこに行くんだ?」

マヤ「いつものプールだよ! チノが二人いるなら、今日はいつもの二倍楽しそうだな!」

メグ「チノちゃんが二人になっちゃうなんて、不思議なこともあるんだね~」

チノ1「今の私達ならシンクロとかできそうです」

チノ2「皆さんにきっと凄いものをお見せできます」

ココア「楽しみー」ハァハァ

リゼ「しかし、チノが二人になったからな。今日からお前らは、まめ……」

マヤメグ「まめ……?」

リゼ「……ごめん、なんでもない///」

まめちちココア「?」

マヤ「やっほーい! 泳ぐぞー!」

メグ「あっ、マヤちゃん待って~」

リゼ「お前ら、ちゃんと準備体操しろよー」


ココア「……あれ? シャロちゃんに千夜ちゃんだ。プールに来てたんだね」

シャロ「げぇっ! こ、ココア!?」

千夜「みんなお揃いなのね……あら?」

チノ1「こんにちは千夜さん」

チノ2「どうしたんですかシャロさん、そんなに慌てて」

シャロ「い、いやぁ、私はその……それより、チノちゃんこそどうしたのよ。なんか二人に見えるんだけど」

千夜「そういう日なのかしら」

シャロ「どういう日よ。日によって人が増えたりしたら大変じゃない」

シャロ「食費が!」

ココア「そっち!?」

ココア「カクカクシカジカナニガナンダカサッパリ」

ココア「というわけなんだよ」

シャロ「まあ、ようするにあんたたちもろくにわかってないのね……」

千夜「困ることがあるわけでもないし、すぐにどうにかしようと焦る必要も無さそうね」

シャロ「むしろ、勉強する側とバイトする側に分かれられたら、ちょっと羨ましいかもしれないわね」

ココア「チノちゃんが二人なんて最高だよ!!」

シャロ「まあ、あんたはそうよね」

チノチノ「「ところでシャロさんはどうしてプールに来ていたんですか」」

シャロ「その話題は忘れて欲しかったな……」

千夜「あのね、シャロちゃんはダイエッ」

シャロ「言うな馬鹿ー!!」

マヤ「水鉄砲で銃撃戦しよーぜー!」

メグ「今日は人数多いから楽しそうだねー」

チノチノ「「私の本気、見せてあげます」」

千夜「周りの人に迷惑かけちゃだめよ?」

ココア「チームはどうしよっか」

リゼ「今の位置的に、私とマメ、ココアとチノ達と……」

シャロ「! わ、私リゼ先輩と組みます!」

リゼ「おお、そうか。頑張ろうなシャロ!」

シャロ「ひ、ひゃいっ!」

千夜(シャロちゃんったら、かちかちに緊張しちゃって……)

千夜(可愛い♪)

リゼ「ココアがそっちに行ったぞマヤ!」

マヤ「おうよー!」ビュー

ココア「妹の手前、まだやられるわけにはいかないよ!」ダッ


チノチノ「「ふふふ……シャロさんに見切れますか」」ダダダ

チノチノ「「私のこの分身の術!」」ダダダダ

シャロ「えっ、ちょ」

チノ1「今です!」

チノ2「いきます!」

チノチノ「「クロスファイヤー!!」」ビシュッ

チノチノ(決まった!)

シャロ「息ぴったりすぎー!!」ビチャー


千夜メグ「ふれー、ふれー、みんな」(脱落済み)

リゼ「いやチノは今日最初から二人だったろ!」ビシュッビシュッ

チノ1「ぅあっ」ビチャッ

チノ2「ふにゃっ」ビチョッ

マヤ「これで残ってるのはココアだけだなー」

リゼ「全く、どこに隠れたんだか」


ココア(千夜ちゃんもチノちゃん達も、みんなやられちゃった……)

ココア(お姉ちゃんとして、みんなの分まで頑張らなきゃ!)コソッ

ココア「そこだぁリゼちゃん!」ビュッ

リゼ「なっ」ビシャー

リゼ「くっ……この私が気配を感じられないとは……不覚……」ガクッ

シャロ「しぇんぱいー!」

ココア「さぁ、後はマヤちゃんだけだよ」

チノチノ「「ココアさん、頑張ってください!」」

ココア「うん! 絶対勝つよ!」グッ

チノチノ「「ココアさん……!」」

マヤ「ぐ……こうなったら……」


マヤ「……いじめちゃやだよ、アネキぃ……」ウルウル


ココア「うっ……そ、そんな目で見ないでー!」

マヤ「そこだ!」ビシュッ

ココア「あぁー」ビチャー


チノチノ「「……台無しです」」

夜・ラビットハウス


ココア「今日は楽しかったねー」

チノ1「はい、二人でいるのも案外悪くないかもしれません」

チノ2「双子の妹がいるというのも良いものです」

チノ1「? それを言うなら私が姉の方が良いです」

チノ2「何を言ってるんですか。私が姉です」

ココア「お姉ちゃんは私だよー」モフモフ

チノチノ「「ココアさんはちょっと黙っててください」」

ココア「」ショボン

ココア「じゃあ、晩御飯作ってくるよ……」

チノチノ「「いえ、私がやります」」

ココア「私、いらない子なのかな……?」ウルウルウル

チノ1「……ココアさんも一緒に作りましょうか」

チノ2「ココアさんが一緒の方が楽しいです」

チノ1「そ、そうですよ。ココアさんが一緒の方が良いです」

ココア「! うん!」パアァ

チノ1(ココアさんの方が……)

チノ2(妹っぽいです……)

ココア「お風呂どうしよっか。三人で入るとぎゅうぎゅうだし、工夫して入らなきゃ」

チノ1「まず一緒に入ること前提なんですね」

チノ2「別々に入ればいいんじゃ……」

ココア「えーっ! せっかくチノちゃんが二人もいるのに、そんなのもったいないよ!」

チノ1「……全く、しょうがないですね」

チノ2「そんなに言うなら、別に、三人で頑張って入っても良いです」

ココア「わぁーい!!」

チノチノ(ココアさんはほんと、しょうがないですね)


ココア「えへへ、チノちゃんに挟まれて幸せだよ~」デレー

チノ1(狭くて自然と、ココアさんにくっつく形に……)ドキドキ

チノ2(すべすべして、柔らかくて……)ドキドキ

ココア「そうだチノちゃん、コーヒー淹れて欲しいな。オリジナルブレンドのやつ」

チノ1「コーヒーですか。ココアさんが種類まで指定するなんて珍しい」

チノ2「ちゃんとわかるようになったんですか」

ココア「ううん、コーヒーの名前はわからないけど。チノちゃん達の淹れるコーヒーには違いがあるかなって」

チノ1「はぁ……それで私達が同じものを淹れるように、わざわざオリジナルブレンドを」

チノ2「ココアさんともちゃんとコーヒーの味の差で語り合えるようになりたいです」

ココア「そ、それはまだもうちょっとかかるかな……」

チノ1「…………」ゴリゴリ

チノ2「…………」ゴリゴリ

チノ2「……あの、私に聞きたいことがあるんですが」

チノ1「なんですか」

チノ2「あなたが同じ私ということは、抱いている気持ちも同じと考えて良いんでしょうか」

チノ1「何の話ですか」

チノ2「ココアさんに対しての気持ちの話です」

チノ1「……なんのことだか、さっぱりです」

チノ2「そうですか。それなら、私がココアさんを頂いても構わないですよね」

チノ1「……あなた、やっぱり私の偽者ですか」

チノ2「あなたこそ。私とあなたは全く同じ。それなら、片方が少し好意を伝えるだけで、その分ココアさんに近くなるんです」

チノ2「……その気になれば、私だけ恋人になることだって」

チノ1「そ、それはダメですっ!!」

チノ2「……同じようにココアさんが好きなら、お互いもっと素直になる必要があると思うんです」

チノ2「好意は伝えなければ、わかりっこありません。相手がココアさんなら、なおさらです」

チノ1「……そうですね。私はどうしても、好意を伝えるのが苦手です」

チノ2「わかってます。しかし、……ココアさんを好きなんですから、やっぱり努力はしなければ」

チノ2「それがそっちの私にできないなら……ココアさんは私が頂きます」

チノ1「……肝に銘じておきます」


ココア「チノちゃーん、大丈夫~?」

チノチノ「「今行きます、ココアさん」」

チノ1「こっちが私、チノ一号の淹れたコーヒーです」

ココア「うん、美味しい。ほっとする味だね~」

チノ2「そしてこっちが私、チノ二号が淹れたコーヒーです」

ココア「うん、こっちも美味しい。落ち着く味だよ~」

チノ1「……それで、ココアさん」

チノ2「どっちが本物か、わかりましたか?」

ココア「……どっちも美味しい!」

チノチノ「「……ですよね」」

ココア「うぅ……ごめんね」

チノチノ「「……」」

チノ1「いえ、ありがとうございます。……ココアお姉ちゃん」ギュッ

チノ2「私達のためにしてくれたんですよね、ココアお姉ちゃん」ギュッ

ココア「チノちゃん……!!」パアァ

ココア(我が人生に一片の悔い無しっ!)

ココア「チノちゃんたち、今日は一緒に寝よー!」

チノ1「ええ、いいですよ」

チノ2「三人だと少し狭いですが……くっついて寝れば問題無いですよね」

ココア「うんうん! えへへ~、念願のお姉ちゃんによるダブルモフモフだよー!」モフモフモフモフ

ココア「両手にチノちゃん! 人生の至福だよ~」

チノ1「んっ……念願のって、朝もしたじゃないですか。もう、しょうがないですね。ココアお姉ちゃんは」モフモフ

チノ2「全く、今日だけですからね。ココアお姉ちゃん」モフモフ

ココア「でへー」ニヘラァ

ホー ホー


ココア「……」ユサユサ

チノ2「? どうしたんですか、ココアさん。トイレは一人で行ってください」

ココア「しーっ、違うよー。ちょっと、二号ちゃん一人でチノちゃんの部屋に来て」

チノ2「?」


チノ2「な、なんですか、こんな時間に呼び出して」ドキドキ

ココア「ごめんね。でも、聞いておきたいことがあって」


ココア「ねえ……あなたは、一体だあれ?」

チノ2「……私は私、チノです。今はチノ二号ですが」

ココア「うん。確かに、行動も話し方も、匂いも柔らかさも私はチノちゃんだと思ったし、みんなもそう思ったと思うよ」

チノ2「いや、匂いと柔らかさは他の誰も確認してませんが……」

ココア「えへへ。でも、なんとなくチノ二号ちゃんは普段のチノちゃんと違うんだよね」

チノ2「そう、ですか?」

ココア「うん。お店での足運びとか癖とか喋るときの口の開き方とかお店でコーヒーを淹れるときの動作とか。ほんの少しずつ違和感があるんだ」

チノ2「そ、そんなに普段から見てるんですか……」

ココア「ひ、引かないでっ! 今日は特別よく見てたから、ほんの少し違和感があるなあって思っただけだよ!」

ココア「何より、コーヒーの味がいつもと少しだけ違ったから、別人なのかなって」

チノ2「ココアさん……味の違い、わかるんですね」

ココア「味の違いはわかるんだけど、その味が何て名前か覚えられないんだよね……ごめんね」

チノ2「いえ……私に謝られてもしょうがないです。今度、本物の方にそれを教えてあげてください」

チノ2「私は、前のマスター……彼女のおじいちゃんがこのお店を建てる時に買われたコーヒーカップでした」

チノ2「ここに来る前にも、既に様々な人に使われた、所謂アンティークのカップです」

ココア「それって……すごく高かったんじゃ」

チノ2「うろ覚えですが、私には当時二十万円ほどついていたと思います」

ココア「」

チノ2「昔は今ほど騒がしくなく、かつてのマスターが望んでいた、隠れ家的カフェでした」

チノ2「その頃から今まで、私はこの店を見守ってきました。私の姿の元になった彼女の成長も、楽しいことも、悲しいことも」

チノ2「……最近は、見ていて特に面白いんです。たくさんの人が遊びに来て、楽しそうに笑っていて」

チノ2「それが、羨ましくなってしまったんです。みんなと遊びたいと思った。ありきたりですが、それが一つ目の理由です」

ココア「他にもあるんだ?」

チノ2「もう一つは……私が性格までトレースした彼女にもっと、素直になってもらうためです」

ココア「素直に?」

チノ2「はい。遠くから見てて、やきもきしますから」

ココア「えっと、どういうこと?」

チノ2「もう……お姉ちゃん、ちょっと目を閉じてください」

ココア「? う、うん」

チュッ

ココア「」

チノ2「……口は、本物のためにとっておいてあげます。その時が来たら、ちゃんと考えてあげてくださいね」

ココア「え、えっと、えっ?///」

チノ2「これ以上は教えてあげません。……私は元に戻ろうかと思います」

チノ2「ココアさん、もう食器を割っちゃ駄目ですよ」

ココア「う、うん」

チノ2「今日は楽しかったです。ありがとうございました。それでは……」スゥ

ココア「また、会えるかな」

チノ2「……そのうち、また遊びに来ますよ。ココアさんが割らなければ、ですが」

ココア「うん……またね」

チノ2「はい、また」フワッ


ココア「……ほんとに消えちゃった」

ココア「…………ど、どういうことなの。えっとつまり……チノちゃんは……///??」

チノ「スヤスヤ……」

ココア(寝顔可愛いなぁ)

ココア(……見てないで、布団に入って、寝なきゃ……)

チノ「スー…スー…」

ココア(…………)ドキドキドキ

ココア(……唇、ほんのり赤くて綺麗で、柔らかそう……)ドキドキ

ココア(ど、どうしても意識しちゃうよ)ドキドキ

ココア(やっぱり私、チノちゃんのこと……)

ココア(……今日はチノちゃんの布団で寝ようかな)


ココア(うわ……チノちゃんの匂いに包まれてる……)ドキドキ

ココア(なんかちょっと……興奮してきちゃった……)ドキドキドキ

ココア(……ちょっとだけ……ちょっとだけなら……)クチュッ

チュン チュン


チノ「ん……」

チノ「あれ? ここは……そうだ、ココアさんのベッドでした」

チノ「ココアさんも私もどこにもいません……どこに行ったんでしょう」


ココア「スゥ…スゥ…」

チノ「ココアさん……なんで私の布団で寝てるんですか。寝ぼけるにもほどがありますよ」

チノ「……? ココアさんの寝巻き、昨日と違うような……」

チノ「それより、もう一人の私はどこに行ったんでしょうか」


チノ「……洗濯物の中に、ココアさんが昨日着ていた寝巻きが」

チノ「そしてその寝巻きが、なんかぺたぺたしたものでぐっしょりと濡れている……」

チノ「何か事件の香りが……」クンクン

チノ「……こ、これはひょっとして……ココアさんの……////」ドキッ

チノ「って、どうしてこんなものがここに」

チノ「私のベッドに移ってココアさんがそんなことを…?」

チノ「…………まさか」


チノ「あっちの私がココアさんを……」

ピチャ クチャ

ココア「……? なんか体が重いし……くすぐったい……?」

チノ「ココアさん……ココアさぁん……」ペロペロ

ココア「!? ちちちチノちゃん何してるの!?」

チノ「ん……ココアさん。ずるいですよ、なんで私には何もしてくれないんですか……」

ココア「ど、どういうこと?」

チノ「ココアさんはこっちのベッドにいるし、もう一人の私はいない、そしてココアさんの体液がたっぷりついた寝巻きが洗濯に出されている……」

チノ「彼女と私が同じなら……私だって……ココアさんとしたいのに……」ペロッ

チノ「嫌です……ココアさんと離れるのは、いや……」

チノ「ココアさん……私は、ココアさんのこと」

ココア「ち、チノちゃん。多分何か勘違いしてるよ。あの子は、今はもういないんだよ」

チノ「? どういうことですか」

ココア「カクカクシカジカ」

チノ「……そうですか。確かに、うちにはそれくらいする食器も、普段は出しませんが置いてあります」

ココア「うん。だからね、もうあの子はここにいないんだよ」

チノ「わかりました。それについては納得します。超常現象ですがもういいです」

ココア「えっ」

チノ「それより、洗濯に出ていたあのぺたぺたの寝巻きと、ここで寝ていたことについて教えてください」

ココア「そ、それは……」

チノ「…………」ジーッ

ココア「……あの子に言われた言葉で、チノちゃんのこと意識しだしたら布団に入れなくて」

ココア「代わりにチノちゃんの布団に入ったら、良い匂いに興奮して……つい……////」

チノ「それって」

ココア「……こんなタイミングでごめんね。私、チノちゃんのことが好き。恋人になりたいって意味で、すごく好きなんだって、気づいたんだ」

ココア「チノちゃん。私と、付き合ってください」


チノ「……ココアさん。私も、ココアさんのこと大好きです。ココアさんのこと、好きで好きで、たまらないんです」

チノ「さっきはごめんなさい。勘違いで、襲うようなことを……」

ココア「大丈夫だよ、私もチノちゃんのこと大好きだもん。むしろ……チノちゃん、さっきの続き、してみる?」

チノ「! ……はい、ココアさん!」

タカヒロ「ふあぁ……ココアくんとチノはまだ起きないのか……」

タカヒロ「チノが寝坊だなんて、珍しいこともあるもんだ」

ギィ


ココア「チノちゃ、そんな、それ以上はダメえぇ……!」ギシギシ

チノ「ココアさん、可愛いです。素敵です。愛してます! ココアさんっ!」


バタン

タカヒロ「…………」

タカヒロ「…………」ポッ

ココア「これが、二十万円のチノちゃんか……」

チノ「その言い方やめてください。ココアさん、絶対割らないでくださいよ」

ココア「だ、大丈夫、大丈夫。……これ、返すね」プルプル

チノ「不安でプルプルしてるじゃないですか。ちゃんと、元の場所に仕舞っておきますよ」

ココア「……また、出てきてくれたらいいねえ」

チノ「ええ、結構楽しかったです」

ココア「ダブルモフモフの幸せをまた味わいたいなあ……」ジュルリ

チノ「むっ……」ギュッ

ココア「? チノちゃん?」

チノ「……浮気はイヤですからね、ココアお姉ちゃん」

ココア「!!! チノちゃん可愛い! 大好きーっ!!」ギューッ



チノ?「……今度はココアさんになってみようかな……」



おしまい

アイエエエエ! チノチャン!? チノチャンナンデ!?

チノちゃんにココアさんを寝取られるチノちゃんとか想像したけど、普通に終わったほうがいいなって。

あ、オリキャラっぽいの出てるのに警告出さなかったのは申し訳ないですが、見た目チノちゃんなのでココア博士お許しください。

いつもレスくださる方々、ありがとうございます。読んでて嬉しいです。

種だけはあるのですが、話がまとまらないので、次書くとしていつになるかはわからないです……。

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