これは僕が小説家として名前も売れ、ようやく師匠たちと肩を並べ…は言い過ぎか、背中に追い付くぐらいになった頃の話です。
ケンイチ「3999…4000っと」
逆鬼「おう兼一、今日は美羽とデートじゃなかったか?」
ケンイチ「しーっ!!長老と砕牙さんには秘密なんです!!」
日課の突きを終えたところで僕に話し掛けてきたのは逆鬼師匠、相変わらずお酒を飲みながら縁側で横になっています。
そんな師匠から言われたように今日は美羽さんとデートなんですが、相変わらず長老には弱く、最近では砕牙さんも時折目を光らせてきてます…。
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逆鬼「へへっ、相変わらずびびってやがるな。また挑んでみろよ、温情で半殺しぐらいで済むかもしれないぜ?」
ケンイチ「無茶言わないでくださいよ、前に長老に挑んでどうなったか覚えてるでしょ?」
逆鬼「ま、無敵超人と本気で並べる奴は世界にも数人だろうよ」
以前より言われている様に美羽さんとの結婚には長老より強くなることが条件です。僕もそろそろ…とお試しで長老と組手をしました。
…鍛えてなかったら多分僕は今頃この世にいませんでした。
逆鬼「ま、無理せず頑張れよ。んじゃ俺も出掛けるかね」
ケンイチ「はい、いってらっしゃい。…さて、それじゃ行こうかな」
逆鬼師匠が出掛けるのに合わせる訳じゃないですが、時間もいい具合だし僕も着替えます。しかし服が昔みたいに市販の物じゃ入らなくなったなぁ。
ちなみに今も内弟子として道場で美羽さんたちと一緒に生活していますが、こうしてデートする時はやっぱりムードありきっていうし、待ち合わせします。
別に長老や砕牙さんが怖い訳じゃないですから!!
今日の待ち合わせは公園です。初めて僕が武術に触れた美羽さんとの思い出の公園…あ、ちなみに今は一応付き合ってるんですよ?
道場を出て歩いて目的地に向かうと、公園には既に来ている僕の彼女。
ケンイチ「美羽さーん、お待たせしました!」
美羽「兼一さん、お疲れさまですわ」
いつもの様に挨拶をする。少し待たせたかな?と、今日は行くところ決めてないんだよなぁ。
ケンイチ「美羽さん、今日はどこに行きましょう?」
美羽「うーん…今日は猫ちゃんが見たい気分ですから、町をのんびり歩きませんか?」
ケンイチ「喜んで!」
美羽さんは本当に綺麗になりました。あ、当時から可愛くて綺麗でしたが。今は長老や砕牙さんに言わせると、母親生き写しだとか。
ケンイチ「でもこうして美羽さんと手を繋いで歩く日が来るなんて、武術に関わる前の僕には想像できなかったなぁ」
美羽「私も、ケンイチさんに負ける日が来るとは思いませんでしたわ」
多くの修羅場をくぐり(いや、師匠たちにくぐらされ)ある日僕は美羽さんに勝負を挑みました。
結果は美羽さんも言うように、僕が辛勝しました。正直流水制空圏すら潜り抜けられ狐塁抜き返しまでされてよく勝てたな…。
ケンイチ「まあ僕もそろそろ達人の端くれですしね、それに恋人に負け続けってのも悲しいですし」
美羽「勿論兼一さんの努力があったからこそ、ですわ」
こう言ってますが、今でも美羽さんは十分強いです。喧嘩はしないですが、組手をしていて負けることは多々あります。
美羽「あ、猫ちゃーん」
野良猫を見つけると大きく跳ね壁に上ります。そんな時スカートがヒラヒラとはためくので僕はいつも目のやり場に困りますが。
ケンイチ「相変わらずだな、っと…美羽さんは」
僕も軽く跳び上がり壁に立つと美羽さんの後ろを歩きます。高みから見える景色はなんとやら…新島よ、僕は高いところから見下ろしてもお前みたいな優越感は出ないな。
美羽「そう言えば…兼一さん、いつプロポーズしてくださるのですか?」
相変わらず痛いところを突いてくる。彼女に結婚を申し込む前には巨大な壁を越えなければいけないのに。
ケンイチ「ははは、ま、まあ…もっと稼ぎがあれば」
しかし今回は美羽さんも引かない、確かにお互いもう結婚しても良い年齢だからだろうか。
美羽「稼ぎがどうというより、私と結婚、したくありませんの?」
ケンイチ「いやいやいや!!結婚したいんですって!むしろその為の障害が…はぁ」
美羽「では…ケンイチさん、明日の夜、私にプロポーズしてくれますか?」
ケンイチ「えっ…は、はい!」
押しに弱いのが僕の弱点でもある。でも本当そろそろ結婚はしたい…とにかくプロポーズだけでもして長老たちは後回しにするか。
美羽「ではケンイチさん、私に史上最強のプロポーズを見せてくださいね?」
ケンイチ「史上最強のプロポーズ?」
美羽「ですわ」
史上最強のプロポーズ?なんだろ、強いの?というかプロポーズして欲しい予告って普通あるの?
美 羽「そんなに気負わなくても、よっぽどおかしな事をしなければ、あと兼一さんの言葉で聞ければ、それが私にとって史上最強のプロポーズですわ」
まあ何だか分からないけど、いつの間にか猫を抱いてる美羽さん。彼女へのプロポーズの言葉考えないとなぁ。
ケンイチ「猫は良いなぁ、自由で」
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