しえな「ま、まさかボクとやりあう気か? 言っておくけどあまりボクを甘く見……」
乙哉「知ってるよ」
しえな「えっ、何が」
乙哉「しえなちゃんが強いってこと」
しえな「あ、あぁ……えっ?」
乙哉「隠してもわかるよ。たぶん黒組で一番だよね」
しえな「いや、まぁ……それは勝負の条件とかにもよるかな……」
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乙哉「正直同室になれてほっとしたんだ。強い人のそばにいたら安全そうだもん」
しえな「ボクは別に武智を守ったりしないぞ」
乙哉「わかってるって。狙われにくそうってこと」
しえな「そうか……そういうのはあるかも。でもボクが武智を狙ったらどうする?」
乙哉「えっ、それは……困る。どうしよう」
しえな「心配ない。ボクは無駄な争いを仕掛けるつもりはない。
武智が何もしなければボクも手を出さないさ」
乙哉「ほんとに? よかった、仲良くできそうで。しえなちゃんみたいな
本物と戦ってもあたしに勝ち目はないと思ってたの」
しえな「本物?」
乙哉「しえなちゃんってオーラが違うもん。なんか裏の世界の住人って感じ」
しえな「まぁ、組織の仕事を何件かこなしたことはあるかな……」
乙哉「やっぱりプロだったんだ!すごい!しえなちゃん大人っぽいし、他の子と違う感じがしたんだ」
しえな「それほどでもない。普通だよ普通。そういう武智はどれくらい経験あるんだ?」
乙哉「あたしは……全然」
しえな「全然って、一度も?」
乙哉「うん……。この学園に来たのも成り行きっていうか……詳しいこと何も知らなかったの」
しえな「意外だな。その割には余裕ありそうに見えたけど」
乙哉「強がってただけだよ。ほんとは怖かった……。黒組のことも、しえなちゃんのことも」
しえな「ボクのことなら心配はいらない。むしろボクのほうこそ武智が怖かったくらいだ」
乙哉「しえなちゃんがあたしを?なんで?ちょっと嬉しいかも」
しえな「異質な感じがしたんだ。暗殺者とは違うものを感じた」
乙哉「それ当たってる。弱そうに見えたってことだよね?」
しえな「いや、なんというか、武智は魅力的すぎる」
乙哉「えぇっ!?」
しえな「他の生徒はみんな殺気を放ってて近寄りがたい雰囲気だろ。
でも武智はすごく話しやすかった。っていうか武智のほうから積極的に話しかけてきた」
乙哉「しえなちゃんと仲良くしたかっただけだよ。せっかく同室なんだし。迷惑だった?」
しえな「いや、今はボクも同じ気持ちだ。でも、他の部屋のことはよく知らないけど、
こんな殺人ゲームの参加者にしては妙に親しげだなって」
乙哉「ふーん……じゃああたしのこと警戒してたんだ?」
しえな「ああ。すごく。実は、武智は誰よりも凶悪な殺人鬼としての本性を隠していて、
夜な夜な斧を振り回して通り魔でもしてるんじゃないかって想像してた」
乙哉「……あはは!何それ!しえなちゃんって面白い」
しえな「すまない。疑心暗鬼になってたみたいだ。だけど話を聞いて納得した。
武智は本来こんなところにいるべきじゃなかったんだろう」
乙哉「うん。あたしもそう思う。いますぐ逃げ出したいよ……。
でもわざと負けたりすぐに退場するとものすごいペナルティがあるって脅されてて……」
しえな「ひどいな。いじめどころの話じゃない。[ピーーー]って言ってるようなもんじゃないか」
乙哉「だからしばらく様子を見て上手くごまかす方法を考えようと思ったんだけど、
しえなちゃんに狙われたらそれも無理かなって……」
しえな「ボクは武智を絶対に攻撃しない。約束する。でも武智を守るという約束もできない」
乙哉「ありがとう。それで十分だよ。あたしもしえなちゃんの邪魔はしないって約束するね」
しえな「ああ。これでお互い安心して眠れるな」
乙哉「それと、もしあたしに出来ることがあったら言ってね。戦うのは無理かもだけど」
しえな「ボクと組むってことか?それだと報酬の分配が問題になるが……」
乙哉「ううん。報酬はいらない。あたしと組んでもしえなちゃんは損でしょ?
だからあくまで友達として協力できる範囲でってこと」
しえな「友達……か。わかった。武智は信用できるってわかったからこれからは何でも話す。
二人で情報を共有しよう。そうすればボクは情報戦で有利に立てるし、武智は安全を確保しやすくなる」
乙哉「うん。あたしがしえなちゃんの目になるよ。こっそり様子を探るくらいはできると思う」
しえな「ただし共闘はしない。言いたくないことは言わなくてもいいし、
お互い自分の都合を優先して動く。それでいいな?」
乙哉「うん。しえなちゃんに迷惑はかけないよ。あと、あたしの予告状も好きに使ってね。
しえなちゃんに渡しておいたほうがいいかな?」
しえな「そうだな……いや、やめておこう。予告状はこのゲームの参加者としての資格そのもの。
ボクが一方的に預かるのはフェアじゃない。武智が持っておくべきだ」
乙哉「でもあたしはしえなちゃんに信じてもらいたいの」
しえな「信じるよ。信じるから対等な立場でいたいんだ。わかるだろ?」
乙哉「そっか……。嬉しい。あたしもしえなちゃんを信じるね」
しえな「ああ。武智を死なせはしないさ」
乙哉「それ、やっぱり守ってくれるってこと?」
しえな「か、勘違いするなよ。約束はできない。ただ、友達としての自然な感情を述べたまでだ」
乙哉「そうだね。あたしもしえなちゃんには絶対死んでほしくないよ。友達だもんね!」
しえな「ああ。お互い生きてここを卒業しよう」
乙哉「うん!」
~おしまい~
このSSまとめへのコメント
やっぱり乙しえは素晴らしいッスね!!この続きが非常に気になるます!
嘘つきな武智が大好きです