寺生まれのTさん「悪魔召喚プログラム?」(35)

???

『獅子の咆哮が大地に響き渡った』

『…この東京の地に…また審判の時が来たか…』

Tさん「…誰かの声が聞こえる…」キョロキョロ…

Tさん「…誰もいない…見渡す限り真っ白だ…」

Tさん「…妖怪か何かの仕業か?」

『ほぅ…こんなところに人の子が…』

『汝…名をなんという?』

Tさん「…俺はTだ」

『ふっ…はっはっは!名乗ったな!』

『今この時をもって汝の運命は汝だけのものではなくなった!』

Tさん「あんたらは誰なんだ?さっきから何を言って…」

『期待しているぞ?人の子よ…』

Tさん「おい!待て!少しは人の話を……」

-------。

Tさん「…聞けって!」ガバッ!

Tさん「……」

Tさん「…夢、か…」

-東京都 郊外 名も無き寺-

…ヴヴヴヴ…

Tさん「スマホが…」スッ…

Tさん「メール…?」

from:スティーブン
to:Tさん

(文面) やぁ…初めまして。僕はスティーブン。君になら使いこなせると思ってとあるアプリを添付しておいた。…彼女の力になってあげて欲しい。

Tさん「誰だよスティーブンって…何かの悪戯か?…彼女を助けてやってくれだぁ?そるにアプリって…」

Tさん(しかし気になるな…)フム…

Tさん「…悪魔召喚プログラム?」

Tさん「…とりあえずダウンロードしてみるか」

…ダウンロード完了…

Tさん「…以外に時間がかかったな」

…認証の為に画面に触れて下さい…

Tさん「あぁ…はいはい」トンッ…

…認証完了!…

-カッ!-

Tさん「…!…眩し!?」

???『初めましてマスター』

Tさん「音声!?」

バロウズ『私は“悪魔召喚プログラム”のナビゲーションAI…バロウズ』

Tさん「…バロウズ?」

バロウズ『えぇ…今後ともよろしく』

Tさん「会話が…成立している!?」

バロウズ『あら…しゃべっちゃいけなかったかしら?』

Tさん「いや、その…少しびっくりしたというか…」

バロウズ『ふふ…マスターは変なヒトね』

Tさん「うるせぇよ。それよりバロウズ」

バロウズ『なぁに?』

Tさん「この悪魔召喚プログラムについて教えてくれ」

バロウズ『オッケー、マスター。それじゃ説明するわね』

Tさん「おう」

バロウズ『このアプリはね……』

Tさん「待て!…何かの気配が…」

バロウズ『あら…確かに悪魔の付近に悪魔の反応が…』

ピクシー「あ!ニングンだぁ♪」

Tさん「おいおい…なんだこいつ…妖怪?いや、妖精…か?」

バロウズ『ちょうどいいわマスター』

Tさん「ちょうどいいって何がだよ…朝っぱらから…しかも寺に西洋の妖怪かよ」

バロウズ『習うより慣れろってこと♪マスター…準備はいい?』

Tさん「チッ…しゃあねぇな」

…ピクシーだ!…

ピクシー「サツリクだぁー☆」ヒュン!

Tさん「…ふん。当たるかそんなもん」

バロウズ『やるじゃないマスター』

Tさん「今度はこっちの番だ!」ニヤリ…

…Tさんはニヤリと笑った…

Tさん「破ァッ!」ボッ…!

ピクシー「きゃんっ!」ぽて…

バロウズ『マスター…貴方、今何をしたの?』

Tさん「ん?ちょっと法力でだな…」

バロウズ『法力…?』

ピクシー「うぅ…」ソローリ…ソローリ…

Tさん「おい…どこ行く気だ?」

ピクシー「ひぇ…」プルプル…

Tさん「なぁ、お前…」

ピクシー「な、なんでもするから許してぇ…」うるうる…

バロウズ『どうする?マスター』

Tさん「どうもしねぇよ」

Tさん「お前、ちょっとこっち来い」チョイチョイ…

ピクシー「…あぃ」フワフワ…

Tさん「…喝ッ!」カッ!

…ピクシーは回復した…

ピクシー「あ…」

Tさん「もう悪さすんな…ほら、行け」シッシッ…!

ピクシー「か…」

バロウズ『か…?』

ピクシー「かっこいい…///」

Tさん「は……?」

ピクシー「決めた!わたし、貴方の仲魔になる!」

バロウズ『あらあら…なつかれちゃったわね』

Tさん「仲魔?」

ピクシー「えへへ…コンゴトモヨロシクっ☆」シュンッ!

Tさん「…!…スマホに入った!?」

バロウズ『やるじゃないマスター!スカウトのアプリもないのに悪魔を味方にしちゃうなんて』

Tさん「味方になった?今のでか?…まったく、何がどうなってんだよ…」

-上野区 某大学-

教授「ふふ…つまりね、資本主義社会には雇用する側は雇用される側に多かれ少なかれ搾取を強いるという関係性が成立して……」

友「…この講義退屈だなぁ」ボソ…

Tさん「そうだな…」カリカリ…

…ガチャ…バタン…

教会育ちのK子「おはよう」

友「おう!おはようさん」

K子「隣、いい?」

Tさん「あぁ…」

K子「ありがと」スッ…

Tさん「お前が遅刻なんて珍しいな」

K子「うん…昨日、変な夢見ちゃってさ」

Tさん「……夢?」

K子「なんかこう…見渡す限り真っ白で色んな声が聞こえてきて…」

Tさん「…!」

友「へぇ…それでそれで?」

K子「それでね、目が覚めたら…」

教授「こら、そこ!私の講義中におしゃべりしない!」

友「やっべ…!」

K子「すみません!」アセアセ…

Tさん「…」

Tさん「おい、K子…」ボソ…

K子「…なに?」ヒソ…

Tさん「さっきの話、後で詳しく聞かせてくれ」

K子「…?…いいけど…何で?」

Tさん「なんでもだ」

K子「わ、わかったわ」

…昼休み…

-学生食堂-

Tさん「よう…こっちだこっち」もぐもぐ…

K子「食べるのくらい待っててよ…」

Tさん「悪いな…それより朝の話だが…」

Tさん「…まさかとは思うが、“悪魔召喚プログラム”ってアプリが添付された妙なメールが来たりしてないだろうな?」

K子「…!…どうしてそれを…!?」

Tさん「…お前もか」

K子「お前もって…もしかしてアンタも?」

Tさん「あぁ…」

K子「そのアプリ…ダウンロードしたの?」

Tさん「した。そしたら寺にいた変な妖怪が味方になった…らしい」

K子「らしいって…アンタねぇ…」

Tさん「さて、お互いメシも食い終わったし屋上へ行くぞ、お前に見てもらいたいものがあるんだ」

-東棟 屋上-

Tさん「俺達以外誰もいないな…ちょうどいい」

Tさん「…バロウズ」

バロウズ『なぁに?マスター?』

K子「なに今の声?」

Tさん「悪魔召喚プログラムのナビゲーションシステムらしい」

Tさん「バロウズ、今朝のヤツをスマホから出せるか?」

バロウズ「お安いご用よマスター」

…シュンッ!…

ピクシー「やっほー」パタパタ…

K子「スマホから妖精が…!?」

K子「ねぇ!これ…どういうこと!?」グイ~

Tさん「やめろ…引っ張るな」

ピクシー「むーっ!何このオンナ!…サツリクしていい?」プクー…

Tさん「やめとけ…少なくともお前よりはずっと強いぞ」

ピクシー「うー!やってみないと分かんないじゃん!…でもTがそういうならしない」

K子「これが…悪魔召喚プログラムの力…」

Tさん「そういうことだ」

Tさん「妖怪退治を裏家業としている俺達にとって、これがあればただ退治するだけじゃなく…」

Tさん「味方にしたり、交渉で平和的に解決したりできる」

K子「いいわね!それ!…アタシもさっそくダウンロードしてみよっと!」

Tさん「ただ…」

K子「ん?」

Tさん「メールを送って来やがったヤツが一体どんな意図をもってこのアプリを送ってきたのかが気になるな」

K子「確かにそうねぇ…でも使えるものは使わしてもらえばいいんじゃない?」

Tさん「お前なぁ…」

K子「お…ダウンロード完了!…あとは認証の為にタッチすればいいのよね」トンッ!

…カッ!…

バロウズ『初めまして、マスター』

K子「来た来た!」

バロウズ『悪魔召喚プログラムの概要について説明が必要かしら?』

K子「いらない」

バロウズ『オッケー、マスター。なら飛ばしておくわね。では使い方についての説明だけど…」

K子「大体知ったからそれもいらなーい」

バロウズ『説明書は読まないタイプかしら?…でもそういうのも嫌いじゃないわ』

K子「なかなか話が分かるわね…じゃあさっそく試してくるね!」

…K子は屋上から足早に立ち去った…

Tさん「まったく…アイツ…午後の講義はどうするつもりなんだ」

Tさん「…そろそろ昼休みも終わりか…」

Tさん(…次の教室に向かうか)

…スタスタ…

Tさん「ん?」

Tさん「今、屋上の隅に小さな女の子がいたような…」キョロキョロ…

…シーン…

Tさん「…怪しい気配もないし、気のせいか」スタスタ…

…Tさんは屋上を後にした…



少女「…」

…夕方…

-駐輪場-

Tさん(…今日はなんか疲れたな)ボー…

バロウズ『どうしたの?マスター、ボーッとしちゃって』

Tさん「…!…お前、こんなところでいきなりしゃべ…」

???「バロウズの声…!?」

Tさん「!?」クルリ…

Tさん「…J!」

神社の跡継ぎJ「今のってバロウズの声だよな?お前、もしかして悪魔召喚プログラム…もってんのか?」

Tさん「…あぁ」

J「そうか…こいつぁ驚きだな。そうか…お前も」

Tさん「驚いたのは俺の方だ…お前といいK子といい…」

J「K子!?あいつもか!?」

Tさん「あぁ…」

J「マジかよ…」

J「なぁ、お前、どう思う?」

Tさん「どう、とは?」

J「とぼけんなよ。悪魔召喚プログラムについてだよ。何なんだろうな、これ」

Tさん「…分からん。しかし凄い技術ではあるよな。妖怪のような超常現象をデータ化してスマホに取り込むなんてな…」

J「だよな…スゲーの通り越して呆れるよな…俺が思うにはさ…」

J「…っとと、もうこんな時間か!急がねぇとバイトに間に合わねぇ!」

J「T!子の話はまた今度な!」

Tさん「あ、あぁ…」

…Jは足早に走り去って行った…

T「…俺も帰るか」カチャ…

…ブゥン!…ブロロロ…

…Tさんはバイクで大学を後にした…

…夜…

-名も無き寺 自室-

…カリカリカリカリ…

Tさん「ふぅ…なんとかレポートが終わったな」

バロウズ『お疲れさま、マスター』

Tさん「あぁ…」

Tさん「…バロウズ」

バロウズ『なにかしら?』

Tさん「今は構わんが、人が大勢いるところでいきなり話しかけないでくれ。色々と面倒なことになりかねん」

バロウズ『オッケー、マスター。気を付けるわ』

Tさん「頼むぞ」

Tさん「さて…もう寝るか」

バロウズ『Good night…マスター』

---
--

???

『よう…また会えたな…こっちに来いよ』

…Tさんは声のする方へ歩いて行った…

見覚えのある青年「今度は俺と来てくれるよな?」

見覚えのある青年「俺達でこの世界を望むように変えてやろうぜ」

見覚えのある青年「…じゃあな」

…見覚えのある青年は消えていった…

…また別の声がする…

『良かった、戻って来たのね…こっちへ来て』

…Tさんは声がする方角へ進んだ…

どこかで見た女性「世界に必要なのは未来永劫に続く平穏と秩序よ』

どこかで見た女性『アンタもそう思うでしょ?今度こそアタシと一緒に来てくれるって信じてるから!』

どこかで見た女性『…またね』

…どこかで見た女性は消えていった…

Tさん「…さっきからなんなんだよ」

Tさん「どいつもこいつも世界がどーのこーのって…」

???「ねぇ…私の……が……聞こえる?」

Tさん「…またかよ」

Tさん(…今度の声はやけにノイズ混じりだな)

???「今度こそ……を巡って……」

???「………を……………蘇らせて……」

---
--

…ヴヴヴヴ…ヴヴヴヴ…

…パシッ!…トンッ!…

???『…!…やっと繋がった!おい!早くこっちに来いよ』

Tさん「さっきからうるさいぞ!…今度は誰だ!」

???「ご、ごめん…って何で俺が謝ってんだよ!俺だよ!」

Tさん「…友?」

友『あぁそうだよ。まったく寝ぼけてんなよな…早く大学来いよ!もう1限目始まるぞ!』

Tさん「…!…もうそんな時間か!」ガバッ…!

友『K子の次はお前が寝坊か…さっさと支度済ませて来いよ。じゃあな』

…ピッ…シーン…

Tさん「はぁ…取り敢えず行くか…」

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