提督「お、おい、荒潮!?」満潮「この手錠は何のつもりよ!?」 (17)


荒潮「うふふ、それはねぇ……素直になれない満潮ちゃんを素直にするための道具よー♪」

満潮「な、何言ってんのよ、荒潮!? バカなこと言ってないで、早く外して」

提督「よくわからんが、満潮の言うとおり早く外してくれ」

荒潮「だーめ♪ それは、明日の朝まで外すつもりなんてないから、二人にはそのまま丸一日過ごしてもらうわ」

満潮「なっ!?」

提督「ちょっ!?」

荒潮「ちなみにぃ……勝手に外したら、きつーいお仕置きが待ってるわよぉ? ……それじゃ、私は遠征に行ってくるから、外さないようにねぇ?」

ガチャッ

満潮「あっ、待ちなさい、あらし――きゃあ!?」

提督「うわっ!? ……いてて、手錠がかかってるんだから、いきなり動くのはやめてくれ」

満潮「っ、悪かったわね……それより、早くどいてくれない? 邪魔なんだけど」

提督「あ、す、すまん」

満潮「……はぁ、なんで私がこんな目に」

提督「……それより、コレどうするよ? なんとかして外したほうがいいよな」

満潮「ええ、そうね。このままじゃ出撃どころか普通に過ごすことすらできないわ」

提督「そうだ、お前の艤装でどうにかならないか? 例えば主砲でこの手錠を壊すとか」

満潮「……あのね、私たちの艤装はこんな見た目でも、れっきとした本物なのよ? たしかに、主砲を使えばこんな手錠くらい簡単に壊せるでしょうけど、そんなことをすれば、私ならともかく普通の人間である司令官なら、手錠どころか身体ごと吹き飛ぶと思うわよ」

提督「マジか……それじゃあ、工廠あたりでコレをどうにかするための道具を探しにいかないか?」

満潮「まあ、それが堅実でしょうね。さっそく行きましょう」

……
…………

工廠妖精「ごめんなさい、荒潮さんから二人には何も渡さないようにって言われてるんです。だから、ここはどうかお引き取りください」

提督「……まさか、ここにまで手をまわしていたとは」

満潮「どうやら本気でコレを外させる気がないようね」

工廠妖精「あ、それとお二人が来た場合に伝言も頼まれていたのですが……」

提督「ん、なんだ?」

工廠妖精「『手錠を外そうだなんて考えちゃ駄目よ? 一時的に外して、私がいるときだけつけようとしても、ちゃんと二人のための監視役をつけているから全部バレバレよ。それとも、そんなに私のお仕置きがされたいのかしら? うふふ』……だ、そうです」

提督「……なあ、満潮。荒潮のお仕置きってどんな感じなんだ?」

満潮「荒潮のお仕置き……そういえば……っ!?」ブルッ

提督「お、おい、どうした? いきなり震えだして……顔も真っ青だぞ?」

満潮「わ、わからないわ……前にも荒潮にお仕置きされたような気がするんだけど、思い出そうとすると……ひっ!?」ガクガクブルブル

提督「だ、大丈夫か? ……よくわからんが、とりあえずは外さないほうがよさそうだな」

満潮「そ、そうね。やっぱり外すのは諦めたほうがいい気がするわ」

工廠妖精「荒潮さん……お仕置き……うっ、頭が……と、とにかく、道具をお貸しすることはできないので、お引き取りください」

提督「ああ、そうする……とりあえず、執務室にもどって仕事をしてみるか」

……
…………


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――執務室にて

提督「……次はこれのチェックを頼む」カキカキ

満潮「わかったわ」

提督「……」カキカキ

満潮「……」ペラッペラッ

提督(今は仕事に集中しているとはいえ、こうも会話がないと少し気まずいな)

満潮「……」ペラッ

提督(まあ、満潮はあまり話すようなタイプでもないしな……それにしても、満潮の真剣な表情をこんな風に間近に見れるとはな)

満潮「……」

提督(それに、隣り合って仕事をしてるせいか、満潮からなんかいい匂いが……)

満潮「……何?」

提督「……え?」

満潮「さっきからこっちみてるけど、何なの? ウザいわね」

提督「す、すまん、なんでもない」

満潮「……あっそ」

提督「……」カキカキ

満潮「……」ペラッ

提督(……たまにはこうやって隣り合って仕事をするのもありかもしれないな。手錠はいらんが)

満潮「はい、問題なかったわ。次は?」

提督「ああ、それなら……――」

……
…………
――食堂にて

提督「えーと、昼飯は食堂でいいよな?」

満潮「ええ、構わないわ」

提督「それと、俺は利き手の右手が使えるからいいけど、満潮ってどっち利きなんだ?」

満潮「どちらでも問題ないわ。でも、片手がつかえないから面倒なことに変わりないわね」

提督「たしかにな……」

間宮「あっ、お疲れ様です、提督、満潮さん……って、あら?」

提督「こんにちは、間宮さん……この手錠に関しては何も聞かないでもらえると嬉しいです」

間宮「え、あ、わかりました……それで、今日は何になさいますか?」

提督「そうだなぁ……それじゃ、今日は特製海軍カレー大盛りで!」

満潮「私はサンドイッチセットをお願いします」

間宮「かしこまりました。少々お待ちくださいね」

提督「サンドイッチセットって、それだけで足りるのか?」

満潮「私は誰かと違って大食いじゃないの。それに、サンドイッチなら片手でも食べやすいでしょ」

提督「……なるほどな」

間宮「お待たせしました。特製海軍カレー大盛りとサンドイッチセットです」

提督「どもども……さて、席はどうするか……ん? なんか最上がこっちに向かって手を振ってるな。その隣で時雨も一緒に小さく手を振ってるし」

満潮「……気のせいじゃない?」

提督「いや、気のせいじゃないだろ。あそこなら席も空いてるし、せっかくだから相席させてもらおう」

満潮「あ、ちょっと!?」


最上「やっほー、提督、満潮。やっぱり、あの噂は本当だったんだね」

提督「どっこいしょっと……あの噂?」

時雨「提督と満潮が手錠でつながれてるっていう噂だよ。理由は知らないけど、どうやら本当みたいだね」

満潮「こうなったのは全部荒潮のせいよ。私だって好きでこんなことしてるわけじゃないわ」

最上「へぇー……でも、それのおかげで提督とずっとくっついたままなんでしょ? なんか、これがきっかけでいろいろと始まりそうだと思わない?」

提督「ははっ、少女漫画じゃあるまいし、そんなことは起きないさ」

時雨「そうかな? でも、本当にその状態だといろいろと大変そうだね」

満潮「まったくね……こうやって食事をすることすら、少し面倒なくらいよ」

提督「面倒でもちゃんと食えよ? ただでさえ少ないってんだから」

満潮「わかってるわよ……本当にウザいわね」

提督「なんだとー? ……よし、満潮。こっち向いて口を開けてみろ」

満潮「今度は何よ――むぐっ!?」

最上「あっ」

時雨「これは……」

提督「どうだ、うまいだろ? たまにはちゃんとこういうご飯ものも食べたほうがいいぞ」

満潮「……っ、なんなのよ、今のは!? バカじゃないの!?」

提督「あれ、大潮とかはコレをするといつも喜んでくれるんだが、嫌だったか?」

満潮「あたりまえよ! ふざけてるの!?」

最上「うわぁ、見事な『アーン』だったね……ちょっと、羨ましいよ」

時雨「それに、今のは所謂『間接キス』というものじゃないかい? 提督は大胆なんだね」

提督「あ、いや、特にそういうことは考えてなかったわ。すまんな、満潮」

満潮「何が『間接キス』よ!? 子供じゃあるまいし……」

最上「そういう割には顔が真っ赤だよ? それと、その手錠がかけられてるとこういう羨ましい出来事も起きるんだね。ボクも提督と手錠でつながれてみたいと思っちゃったよ」

時雨「うん、耳まで真っ赤になってるよ、満潮……でも、今のはある意味役得ってやつだね。僕も提督にあれをされてみたいな」

提督「ん? なんだ、二人ともこのカレーを食いたかったのか?」

満潮「…………あー、もう、どいつもこいつもウザいわね! ふんっ」

……
…………


――執務室にて


提督「……ふぅ、もう15時か。ちょうどきりのいいところまで終わったし、一旦休憩にしよう」

満潮「そう、ね」モジモジ

提督「んー、今のところはなんとかなってるけど、やっぱりこのままだとまずいよな。このままじゃ風呂も入れないし、寝るときだって一緒に寝ることになるだろうから、いろいろと不味いよなぁ」

満潮「……」モジモジ

提督「……ところでさっきからソワソワしてるように見えるが、どうした?」

満潮「なん、でもないわ」

提督「いや、なんでもなくはないだろ。額に汗が浮かんでるし、顔色も少し悪く見えるぞ。どこか具合が悪いんじゃないか?」

満潮「……っ」モジモジ

提督「もしそうなら、やっぱり工廠に行ってコレを外すための道具を借りに行こう。流石に具合が悪いんなら荒潮もわかってくれるだろうしな」

満潮「……違う、具合は悪くないわ」

提督「本当か? 無理してるんなら、やっぱり――」

満潮「…………トイレ」ボソッ

提督「えっ?」

満潮「……だから、トイレに行きたいって行ってるのよ!」

提督「……あっ」

満潮「も、もう、外してる余裕なんか、無いから、本当は絶対に嫌だけど、仕方ないから、トイレまでつきあってもらうわよ」

提督「りょ、了解」

……
…………


――男子トイレにて


満潮「絶対にこっちみないでよね……もし、振り向いたりしたら、その先に待つのは地獄よ」

提督「お、おう」

満潮「……」

提督(そういえば、トイレのことに関してはすっかり頭から抜け落ちてた……よくよく考えたら、この状態で一番不味いのってコレじゃねぇか)

満潮「……むっ」モゾモゾ

提督(流石に俺が女子トイレに入るのは不味いから、とりあえず、実質俺専用といえるくらい俺以外に利用者がいない男子トイレまで来たわけだが……現在、そこの個室の中にいて俺の後ろでは満潮が用を足そうとしているという状況だ。たぶん、今は片手で下着をおろそうと悪戦苦闘してるのだろう。意外と片手だけで服を着脱するのは大変だからな)

満潮「……ん、念のためもう一度言っておくけど、もしも振り向いたりしてみなさい、地獄を見せてあげるから」

提督「わ、わかってる」

満潮「……」チョロロ…

提督(自分のすぐ後ろで女の子がおしっこをしてる……見えていないとはいえ、無音のトイレ内に、満潮の放尿の音が響いてる。もちろん、こっちまでハッキリと聞こえてるから、見えないが故にいろいろと想像してしまいそうになる)

満潮「……っ!」ジョロロロロロ……

提督(よほど溜まっていたのか、勢いよく尿が便器へとあたっているのが、音でよくわかる……そりゃそうだよな、コレをつけられてからずっといけなかったわけだし、今まではなんとか我慢していたのだろう)

満潮「……っ、っ!」ジョロロロ……

提督(あ、なんだか軽いアンモニア臭のような匂いが……これって、満潮の……)

満潮「……」チョロロ…

提督(やばい、なんか興奮してきた。落ち着け、俺。今ここでおっきくなんかしたら、いろいろとやばい!)

満潮「……んっ」チョロッ

提督(煩悩退散、煩悩退散……)

満潮「……」カランコロン

提督(……ふぅ、危ないところだった……ん? いつのまにか終わってたみたいだな。今はトイレットペーパーを取ってるんだろう)

満潮「……」フキフキ

提督(片手だとトイレットペーパーを千切るのすら面倒なんだよなぁ……このトイレだけ安物でミシン目ないやつだし)

満潮「……ん」モゾモゾ

提督(まあ、とにかく終わったみたいでよかった)

満潮「……終わったわ。もう、振り向いてもいいわよ」ジャー……

提督「あ、ああ」

満潮「……」

提督(うわぁ、気まずい……流石にあれは恥ずかしかったからか、満潮の顔が耳まで真っ赤になってるし、俺も顔がすごく熱いからきっと同じような感じなんだろう…………そういえば、俺もトイレ行っ
てなかったんだよな。そう考えたら……)

満潮「ちょ、ちょっと、何ぼーっとしてるの? 私は早くここを出たいんだけど」

提督「あー、そのことなんだが、ちょっといいか?」

満潮「何よ?」

提督「…………俺も小便したい」

満潮「なっ!? ……はぁ、こればっかりは仕方ないわね……いいわよ」

提督「すまん」

満潮「ただし、条件があるわ! まず、私に変なものを見せない、触れさせないこと。それと、例え一滴だろうと私に汚いものをひっかけたりしないこと……もし破ったら、地獄を見せてあげるわ」

提督「りょ、了解!」

……
…………


――執務室にて


提督(結局、あのあと満潮のすぐ横で小便することになってよくわかった。たしかに、あれはすごく恥ずかしい。男である俺ですらこれだったんだから、女の子である満潮はもっと恥ずかしかったんだろうな……)

満潮「……ほら、終わったわよ。次はどれ?」

提督「ん、じゃあ、これを頼む」

満潮「わかったわ」

提督(今は再び執務室にもどって仕事をしている。満潮はすでに気持ちを切り替えたのか、普通に仕事をこなしているようだ。それにしても……)

満潮「……何? またこっちをジロジロと見て」

提督「あ、いや、その……本当にいいのか?」

満潮「何が?」

提督「コレを外さなくて」

満潮「……さっきも言ったけど、こうなったらもうヤケだから、明日の朝までつけたままでもいいわ。荒潮のお仕置きもできればされたくないしね」

提督「そ、そうか、満潮がそう言うんなら、俺も構わん」

満潮「わかったんなら、ぼーっとしてないでちゃんと仕事したら?」

提督「ああ、そうだな……そうしよう」

満潮「……」ペラッ

提督「……」カキカキ

満潮「……」ペラッ

提督「……あ、そういえば」

満潮「何よ?」

提督「夜になったらどうするよ? 今夜は完徹するのか? それとも、一緒にどこかで寝るのか?」

満潮「…………そうね、司令官はどっちがいいの?」

提督「俺は別にどっちでもいいが……そうだな、せっかくだから、この機会に一晩中満潮とおしゃべりするのもいいかもしれん。普段あまり話をすることもなかったからな」

満潮「そう……それじゃあ今晩は普通に寝ることにするわ」

提督「えっ」

満潮「寮に司令官をつれてくのは不味いと思うから、今晩はここに寝させてもらうわね」

提督「あ、はい…………あれ?」

満潮「まだ何かあるの? わかったんならさっさと仕事の続きをしてくれない?」

提督「わ、わかった」

満潮「ったく……」ペラッ

……
…………


提督(そして、あのあと仕事を終わらせ、食堂にいって夕食をとり――また、みんなにからかわれた――そのあと、トイレに行き、再びあの恥ずかしタイム――もちろん、二人とも小――を終えたあと、執務室にもどって模様替えをし、布団を敷いたわけだが……)

満潮「いい? もう一度言うけど……まず、勝手に私に触れたり抱きついたりしないこと、次にこっちをできるかぎり見ないこと、そしてうるさくいびきをかかないこと……この中のひとつでも破ったら、朝まで目を覚まさせなくしてあげるから」

提督「……了解」

満潮「ふんっ、それじゃあ、おやすみ!」

提督「ああ、おやすみ、満潮」

満潮「……」

提督(っていっても、そんなすぐに眠れるわけもなく……)

満潮「……はぁ」

提督(あ、ため息吐いた……まあ、今日はいつもとは違っていろいろと疲れただろうし、落ち着く暇もなかっただろうからなぁ)

満潮「……」

提督(でも、朝潮や大潮たちと違って、普段は満潮とあまりしゃべることはなかったからな。こんな近くで満潮と一緒に過ごすことになるなんて、それこそこんな機会じゃないとなかっただろうし、こうして実際に過ごしてみると、普段とはまた違った満潮の一面をみることができて、ある意味新鮮だった)

満潮「……すぅ」

提督(まあ、いろいろと不便ではあったし、満潮からすればあまり良いとは言えない一日だっただろうけど、たまにはこういうのもありなのかもしれん)

満潮「すぅ……すぅ……」

提督(いつのまにか、満潮も寝てるみたいだし、俺も寝るとするか……)

満潮「ん……すぅ……」

提督(おやすみ、満潮)

……
…………


満潮『……あれ、ここはいったい……?』

朝潮『……』スッ

大潮『……』スッ

満潮『? 朝潮、大潮じゃない。こんなところでどうしたのよ?』

朝潮『……』

大潮『……』

満潮「ちょっと聞いてる? 二人して黙ってるなんて珍しいじゃない。私をからかってるの?」

『……』

満潮「あっ、待ちなさいよ! 二人ともどこへ行くつもり? ねぇ、何か言いなさいよ!?」

荒潮『……』スッ

満潮『っ!? あ、荒潮、あんたもいたのね。荒潮からも二人に何か言ってやってよ! ……荒潮?』

荒潮『……』

満潮「なっ、荒潮までどこに行くのよ!? 待ちなさいってば! ……っ、私も一緒に行くわ!」

『……』

満潮「……あ、れ? な、なんで動かないのよ。私の身体、どうなって……っ!」

『……』

満潮『……ま、待って! みんな、私を置いてどこに行くつもり!? 私も行くから、待ってよ、ねぇ!』

『……』

満潮『……待ってよ、みんな……私を置いてかないでよ……っ』

『……』

満潮『……嫌、一人はもう嫌なの……だから、みんな……お願いだから、私を置いてかないでよ』

『……』

満潮「……ぃ、いやあああぁぁっ!」

……
…………


満潮「っ!? ……はぁ……はぁ……」ガバッ

提督「大丈夫か、満潮!?」

満潮「……え? し、司令官……? な、なんで起きてるのよ」

提督「さっきたまたま目が覚めてな。そしたら、満潮がうなされているみたいだったから、少し気になって……何か悪い夢でも見たのか?」

満潮「…………そんなところよ。もう大丈夫だから、寝てて――」

提督「……艦だった頃の夢か?」

満潮「……っ」

提督「うなされてたときに、朝潮や大潮、荒潮の名前を何度も呼んでたから、たぶんそうなんじゃないかって思ったんだが……」

満潮「…………はぁ、そうよ。今でもたまにあの頃の夢を見るの。最近は減ってきたと思ったんだけど……起こして悪かったわね。私のことは気にせず寝てていいわよ」

提督「……そうか」ギュッ

満潮「な、何勝手に人の手を握ってるのよ?」

提督「ああ、すまん……でも、こうすれば安心して眠れるかもしれないだろ?」

満潮「……なにそれ、意味わかんない……ウザいわね」

提督「……大丈夫だ、満潮。お前はもう一人じゃない。朝潮や大潮、荒潮もちゃんとここにいるし、他のみんなだっている……それに、俺だってついてる。だから、お前はもう安心していいんだ」

満潮「……な、何勝手なこと言ってんのよ。まるで私のことをわかってるようなこと言って……私に恩でもきせたいわけ?」

提督「そんなつもりはないさ……ただ、満潮はもう一人じゃないってわかってほしくてな……こうやって握っていれば、もう一人じゃないと感じられるだろ?」ギュッ

満潮「っ……ああ、そう……じゃあ勝手にすれば? ふんっ、おやすみ!」

提督「ああ、おやすみ、満潮」





満潮「…………もう、寝たわよね?」

提督「くかー……くかー……」

満潮「こんなだらしない顔して寝ちゃって、何が『俺だってついてる』よ……」

提督「んぉ……くぅ……」

満潮「こんなに強く握られたら、逆に眠れないじゃないの…………でも」

提督「すぅ……すぅ……」

満潮「………………ありがと、司令官」

……
…………


コンコン
ガチャッ

荒潮「おはようございまーす……って、あらぁ? 二人とももう起きてたの?」

満潮「朝なんだから起きててあたりまえでしょ。それよりも、さっさとコレを外してくれない?」ジャラッ

提督「ふぁー……ぁあ、約束通りコレを外してくれ」

荒潮「はーい…………これでいいかしら?」カチャッ

満潮「ふぅ……これでやっと自由になれたわ」

提督「ああ、そうだな。本当によかった」

荒潮「うふふ、二人とも一緒に過ごした感想はどう? もしかしてぇ、昨晩はお楽しみだったかしらぁ?」

満潮「そんなわけないでしょ……こんなこと、二度と御免だわ。だから、もうこんなバカな真似はしないで頂戴」

提督「んー、まあ、いろいろと新鮮ではあったが、俺も出来ればもうこんなことはしたくないな」

荒潮「あらあら……それで、二人とも仲良くはなれたのかしら?」

満潮「……さぁね」

提督「うーん、どうだろうな?」

荒潮「…………へぇ? なるほどねぇ?」

満潮「何よ? 何か言いたそうね」

荒潮「べっつにぃ? ……ふふっ」

提督「……さて、それじゃあ、せっかくだから三人で朝飯でも食いに行かないか?」

荒潮「あっ、それ賛成ー♪」

満潮「……まあ、いいんじゃない?」

提督「じゃ、食堂まで行くとするかー……ふぁ」

……
…………


提督(その後、あの日の仕事っぷりを見て、最近は満潮を何度か秘書艦に任命し、書類仕事を任せるようになったが、なかなか優秀であり、今までなんとなく秘書艦にするのを避けていたのがもったいないくらいだった……そして、あの日以来、以前とは違い満潮が俺の前でも少しだけ笑顔を見せてくれるようになった……気がする)

満潮「……」ペラッ

提督(今でもキツい言葉を浴びせられることもあるが、それすらどこか柔らかいものに変わったような気がするし、どこか楽しそうにも見える……これらがもしも、あの日の出来事が関係しているのなら、やっぱりあれは悪くない出来事だったのかもしれない……)

満潮「……司令官、これのチェックが終わったわよ……司令官?」

提督「んあ、なんだ?」

満潮「はぁ、またぼーっとしてたの? 仕事中なんだから、少しはシャキッとしたら?」

提督「す、すまん」

満潮「……まあ、でも、キリのいいところまで終わったことだし、ここで一息いれるのもいいかもね……それと――」

提督「?」

満潮「た、たまたま昨日荒潮と一緒に作ったクッキーを持ってきてあるんだけど、少しだけわけてあげてもいいわ。だから、お茶の用意を手伝ってくれない?」

提督「おお、マジか!? 手作りのクッキーなんて久しぶりだから、そいつは楽しみだ」

満潮「ふ、ふんっ、たかがクッキーでそこまで喜ぶなんて大袈裟じゃないの?」

提督「女の子の手作りお菓子を喜ばない男なんていない!」

満潮「あ、ああ、そう……それじゃ、さっさと準備するわよ……まず、棚から――」


終わり
ここまでお読みいただきありがとうございました

たまには健全なのもいいですよね


満潮かわいい

満潮ちゃんの黄金のツンデレ比は最強

おつ
やはり我が嫁艦は可愛い

おつおつ
最高だったわ

満潮ちゃんのありがとは可愛い!

ツンデレかわいい

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