【艦これ】シンジ「僕が提督に?」 (42)
艦これとエヴァのクロスです。
練習も兼ねて地の文多め。
名前が被るキャラはエヴァ勢はカタカナ表記、艦これ勢は漢字表記してます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409486541
---死シ死し死しシシ死死死死
濃厚な死の気配が纏わりつく。
また目の前で人が死んでいく。
「…もうすぐ子供が生まれるんだ、絶対に生き残ってみせるさ」
新たな命を守るため、決意する人も
「うちはかーちゃん一人しか家族いなくてさ。俺が死ぬわけにはいかない」
家族を1人にすまいと決意を固める人も
「おらぁ、家族は皆逝っちまったけど、あいつらと約束しちまったからなぁ…いい戦友だったよ」
一度、諦めかけたが新たな出会いをきっかけに決意を新たにする人も
皆、命を落としていった。
次々と様々な死の記憶が僕に中に流れ込んでいく。
もう何人の人の生き死にを見たか、覚えていない。
僕の精神はすり切れて、
とても正常な状態とは言えなかった。
いつまで続くのか分からない。
この地獄を見せられ続け、どれくらいの時間がたったのか。
数時間なのか、1日なのか、1週間、1ヶ月、あるいは…。
そんな時、一筋の光が差した。
『巻き込んでしまって、ごめんネ』
『今、助けるから』
とても暖かい声。
いつも聞いていた、僕の、僕達の大切な人の声。
『…シンジ、私の代わりに比叡を、皆の事を守ってあげてくださいネ』
僕はその光に向かって思わず手を伸ばした。
だけど、僕が何かを掴むために伸ばした筈のその両手は、
何も掴むことは出来なかった。
「んっ」
窓から刺す朝日を浴び、目を覚ます。
いつも通りの朝だ。
だが、何か夢を見ていたような気がするが思い出せない。
「ご飯の支度しないと」
立ち上がり顔を洗い、一通りの目覚めの儀式を終えた。
「今日からは4人分か、気合い入れて作るか」
腐れ縁である女の子の口癖を、
思わず呟いてしまった事に対し口許を歪める。
時計の時刻は朝6時を指していた。
朝食と弁当の支度がある程度片付いた所で集中を少し緩めた。
BGM代わりに付けていたTVから自信に満ち溢れた少女の声が響く。
『私達にかかれば深海棲艦は怖くありません。皆さん、安心してください』
見た目麗しい、美少女のインタビュー。
噂の"アスカ様"だった。
『私には隣にいるビスマルクをはじめ、沢山の頼りになる仲間がいます。
奴等には上陸はおろか、目視さえさせません』
『私達の活躍を生で見たい方には、とても心苦しく思いますが』
その言葉で締めくくり、ニヤリ、という表現が似合う笑みを浮かべていた。
この自信溢れる少女がすると様になっている。
「シンジ―! おはよーー、起きてるーーー!?」
比叡か。
幼馴染のお節介な女の子の顔を思い浮かべ、答える。
「比叡、起きてるよ。 声が大きいって」
「ははー、ごめん。ほら、私の妹だよ」
比叡の後から、1人の少女がひょっこり顔を見せた。
「はじめまして、榛名と申します。よろしくお願いします」
いつも元気一杯な比叡とは、正反対という程でもないが御淑やかな印象を受ける少女だった。
どちらからというとまだ可愛いという印象を受けるが、物凄く顔が整っており美人だ。
これは入学初日から話題になるだろうな。
「はじめまして、榛名さん。シンジです。
入学おめでとう、制服も良く似合ってるよ」
「ありがとうございます、シンジさん」
花が咲いたような笑顔を浮かべる榛名。
「もう一人、霧島って子もいるんだけどね。
新入生代表挨拶を務めてるからって事で先に行っちゃった」
「わかった」
1人居ないと思ったらそれでか。
しょうがない、僕の分の弁当を少し増やそう。
「「「いただきます」」」
今朝の朝食はオーソドックスにご飯と焼き魚、味噌汁となっている。
派手さはないものの、この組み合わせが好きなあたり自分は日本人だな。と実感する。
比叡からも不満は出てこないのでこのパターンの食事は多い。
「すいません、朝、ご馳走になっちゃって」
すまなそうな顔をする榛名。
その隣でガツガツ食べる比叡に少しは見習わせたいところだ。
「構わないよ、いつも比叡と一緒に食べてたし人数が増えても手間は変わらないし
むしろ、人数が増えた方がレシピ本通りに作れるから助かる方が多いから」
「ありがとうございます、お言葉に甘えさせていただきます」
無邪気な笑顔を見せてくれる榛名。
「おー、アスカ様だ」
モニターの中では先ほどから続いてアスカ様の独占インタビューだ。
時折、彼女の一番のパートナーであろう艦娘ビスマルクの姿もちらほら写る。
「アスカ様って、確か比叡姉様と同じ年ですよね」
「そうだねー、同じ歳みたい」
2人の目がキラキラしているように感じる。
「シンジさんは提督システム受けたことないんですか?」
「高校生になって受けたことあるけど、全然ダメでね」
「私達も艦娘システムを受けようかという話をしてたんですが…」
「日本には、アスカ様みたいな人がまだ居ないからね」
艦娘を支える提督システム。
詳細は公表されていないが大雑把な所でいうと艦娘の力が増幅するらしい。
その存在は艦娘の生存率に大きく関わっている。日本にはまだ優秀な提督は数少ないと言われており、
躊躇してしまうのも無理はない。
「あと、アスカ様は大学も飛び級らしいしね、世界最高の知識も兼ね備えた。というフレーズも何所かで聞いたな」
「ひえー、才色兼備とはこの事か!」
「比叡、君には君の魅力があるよ」
「どういう意味!?」
そんな他愛もない会話をしながら朝食を済ませた。
「それじゃ行こっか。これ、榛名さん達の弁当ね。
口に合わなけれ残してもらって構わないから」
「ありがとうございます」
うちの学校には学食なく購買部しかない。
そのため、弁当を持参する生徒が多い。
比叡から事前に頼まれていた事もあり、今日は4人分の弁当を作ってきた。
「大丈夫! シンジの弁当は美味しいから」
「先ほどの朝食も美味でした、期待していますね」
2人に賞賛され、言い返す言葉に詰まる。
「あと、これからもお世話になりますので、榛名とお呼びください」
「わかった、榛名、で良いかな」
「はい」
照れくささを感じるけど、その笑顔が見れただけで十分か。
いつもは比叡と2人で通った見慣れた道だが、今日は榛名もいるので3人。
いつもの風景が、どことなく違った景色に感じた。
シンジside ~教室にて
入学式を終え、教室に戻って一息ついた。
教室戻っても新入生についての話題は尽きず、
また、部活動に所属している生徒は、この後も勧誘活動の為、同部で話し合いをしている生徒もチラホラ居る。
「シンジ、見たか?」
「何が?」
「勿論、新入生の事だよ。今年はかなりの豊作だったぜ」
「ああ、可愛い子多かったね」
教室につくなり、新入生の話題を出すムサシ。
思えばこいつとは付き合いも長く、悪友と言ってもいい。
「注目は、新入生代表の霧島さんもかなりレベルは高かったが」
「他にも?」
「ああ、黒髪ロングの子でとびきり可愛い子がいた。
名前は榛名ちゃんって言うらしい、しかも霧島さんと姉妹だそうだ。天使だったぜ」
間違いなく僕の知る榛名の事だろう。
霧島さんの事は兎も角として、榛名の事もここまで広がるとは情報が早すぎる。
よくよく周りの話に聞き耳を立てても霧島さんと榛名らしき人物の話がちらほら聞こえた。
「はぁ、こういう事なら留年しとけばよかったぜ」
「お前なぁ…進級時に泣きついて手伝った僕の時間返せよ」
「はは、冗談だよ」
「ったく」
「今年は絶対に彼女作ろうぜ、な」
「ああ、勿論だよ」
「あ、だけどお前は既に奥さんがいるかな」
チラリと横に視線を移すムサシ。
視線の先を追うと比叡がいた。
「ふふふっ」
ムサシに何か言い返そうと考えていたところで、
突然、比叡が立ち上がる。
何事かと皆の視線を集めているが、
なんとなくこの後の展開が予想出来た。
「霧島も榛名も、比叡の自慢の妹なんです!」
「マジで!?」
「それ、本当なの!? 比叡さん」
「うわー紹介してくれー」
「あんな綺麗な妹さんがいるなんて、羨ましいわ」
「うちの妹と取り換えてくれ」
「天使だ…」
様々な声が飛び交う。
比叡のその一言を引き金に、教室が一気にヒートアップした。
主な話題としては、やっぱり2人に集点を充てた話題ばかりだが、
ここまでヒートアップするのは正直、予想以上だ。
そして、目の前のいたはずのムサシの姿はどこにもなく、
何時の間にか比叡に質問を浴びる集団の最前線にたっていた。
「ひ、ひえーーー! 皆落ち着いてーー!!」
シンジside ~放課後
「是非、野球部へ、部員でもマネージャーでも甲子園に連れて行きますよ!」
「うちのサッカー部は明るい事が自慢です! みんなでW杯目指そうぜ!」
「男は黙って格闘技! ボクシング部に入ろう」
「放課後に美味しい物たくさん食べれるよー、料理研究部をよろしくね」
新入生が入学した事もあり、部活勧誘もかなり活発だ。
僕も幽霊部員ではあるが、軽音学部に所属しており、たまにチェロを弾かせてもらっている。
良い人達ばかりなのだが家庭の事情もあり、あまり顔を出せていないのが申し訳ない。
「バレーは楽しいよ! 気合い入れていきましょう!」
比叡も頑張っているようだ。
比叡も同じく幽霊部員だがバレー部に所属している。
今日はどうしてもいう事で引っ張られていった。
校門を抜けスーパーに向かって歩いていると
意外な人物から声が掛かった。
「シンジさん、帰宅の途中ですか?」
「あ、榛名さ…」
「榛名、です」
思わず、さん付けをしようとした所、
唇に指を押さえつけられ、阻止された。
「榛名s…、榛名はよくあの部活動の波を超えてこれたね。霧島さんは別行動?」
「霧島は、生徒会に連れられていきました」
さっそく生徒会に目をつけられたか。
生徒会か、確かに霧島さん似合いそうだ。
「榛名は、今日はちょっと疲れちゃったので、抜けてきちゃいました」
意外な強かさを垣間見た気がした。
まぁ学年が違う僕の教室でもあれだけ話題にされていた榛名だ。
色々疲れる事もあっただろう、想像に難しくない。
「シンジさんはこれから何所に?」
「夕食の買い出しに行くところだよ」
「それでは榛名も付き合います」
「いいの? 入学初日で疲れてるし、僕の事は気にしなくて構わないよ」
「いえ、榛名は大丈夫です。それに朝食は作って頂いていますし、せめて夕食はお手伝いさせてください」
正直、出来る人が増えるのは有り難い。
勿論、比叡もよく手伝ってくれてるが、
一度全て任せたときに大変な事になったので、
簡単な所だけをお願いしている。
「…分かった、正直助かるよ。でも無理はしないでね」
「それはこちらの台詞です、改めてよろしくお願いしますね。シンジさん」
「うん、よろしくお願いいたします。榛名」
思わず、つられて敬語を使ってしまった。
ふと榛名の表情を見るとクスリと笑っている。
なんだか僕も可笑しくなり笑ってしまった。
その後、2人して笑い続けて周りから変な目で見られてしまい、
2人して恥ずかしい目にあったが、不思議と心地よかった。
リツコSide ~鎮守府にて
「お疲れ様、リツコ」
振り返ると日本の最高戦力を誇る艦娘の一人、加賀が立っていた。
「これが、今回の演習データです」
「全く、技術畑の私にここまでさせるなんて人使いが荒いわ」
「仕方ありません、現状、あなた以上に仕事をこなせる人がいませんので」
艦娘とシンクロシステム。
シンクロシステムは別名提督システムとも呼ばれている。
どちらも切っても切り離せない関係であり、戦闘時のデータはやはり役に立つ。
そのため、自分の分野とも無関係ではないと言える。
「あなたも演習ご苦労様、シンクロフィードバック無しでも未だに戦果トップね」
「やわな鍛え方をしていませんので」
ただ、と一呼吸置き、続ける。
「幻のシンクロ率70%の日本人が実在すれば、是非シンクロをお願いしたいところなのだけど」
彼女にしては珍しく、冗談めいた雰囲気での言葉だった。
シンクロ率70%。
一時期、鎮守府中の話題になっていたが肝心の人物は分からず、
結局、はっきりとした事実は残っておらずで、
噂の域を出ていないため酒のつまみのネタになっている。
「居るわよ」
「…なんですって?」
「実在するのよ、その人物は」
「戦死したのですか?」
「いいえ」
コーヒーを飲み一呼吸おく。
「生きてるわ、でもね。暴走したの」
「暴走…ですか」
「シンクロシステムはまだ殆どブラックボックスな状態だけど、
メリットと言えば戦闘能力の飛躍的向上と同時意志疎通ね。他の効果について知っているかしら」
「そうですね、痛みなど身体的なフィードバックがある事は理解しています」
「感情の共有なんかもそうね」
感情共有についても、わりと艦娘からすると常識的な範囲ではあるが、
加賀は戦闘能力ゆえにシンクロ可能な提督がいた試しがないので、
その辺りの知識に疎いのはしょうがないと言える。
「そして、100%以上のシンクロ率になると記憶の統合…もしくは精神融合が発生する」
「記憶の統合!? いえ、それ以前に100%などありえるのですか?」
「えぇ、70%という数値は、誇張された値ではないの。
むしろ低い数値での噂が広がったってとこね。真実味があまりにも無さすぎるから」
「他にもあるかもしれないけど、まだ分かっていない事の方が多いわ」
かの有名なアスカでも単騎シンクロ率は40%ほどだ。
複数艦シンクロで10%といった所だろう。
100%のシンクロ率など、真実味が無さ過ぎて妄想と一蹴される類のものだ。
「その噂の人物ね、精神崩壊を起こしてまともな状態じゃないと聞いているわ。その引き金が記憶統合と言われているの」
「そうですか…非常に残念です」
もしも、もしもの話だが。
仮にシンクロ率100%、いえ70%の人物が、味方になってくれればどんなに楽だろう。
夢物語を頭に描くも、そう考えずにはいられないリツコだった。
表面上は平和に見えるが、いつその平和が崩れてもおかしくない。
それほど、日本は余裕がなく追い詰められていた。
「おはよう、シンジ」
「おはようございます、シンジさん」
「おはよう、比叡、榛名」
「霧島さんは?」
「今日も学校に早出するんだって」
「早出、かぁ」
霧島さんと初日に顔合わせしたが、
それ以降、1週間以上も顔を合わせていない。
3日、4日ならともかく、朝も夜も1週間顔を合わせないともなると、避けられているのが僕にも分かる。
「うーん、僕って霧島さんに避けられてるよね? 何か気に障る事したかな」
言いづらそうに榛名が口を開く。
「恐らくですが…霧島の事はシンジさんが悪いという事は無いと思います」
「どういう事?」
「うーん、そうねぇ」
「はい、むしろ榛名に原因があります。霧島の事でシンジさんが
気を悪くしているのであれば榛名が代わりに謝らせてください」
「いや、榛名は悪くないって!」
あわわ、と比叡が榛名をフォローする。
しかし、どういう事だろうか、榛名が何か…?
2人とも理由は知っているようだ。
「でも、シンジさんなら、いずれ問題はなくなると思います」
「そうだねー、シンジなら大丈夫だよ!」
「一体、どんな理由なんだい」
聞きたいような聞きたくないような、頭を抱えてしまう。
「榛名、シンジさんの事、信頼してますから」
「今から話すこと、誰かに漏らしたら…」
どうやら教えてもらえるようだが、
2人から目に見えないプレッシャーを感じる。
「はは…、お手柔らかにお願いするよ」
****
比叡、榛名から霧島さんから避けられる理由を聞いた。
そして、霧島さんをなんとかする事を半ば無理矢理、約束させられた。
「もっと話し合える場面が増えれば、なんとかなると思うんだけどな」
「こういうのはどうですか、比叡姉さま」
「よしっ! 採用! 追加でこうしようか」
「これは気分が高揚しますねっ!」
シンジと霧島が仲良くなれるように助けてあげると宣言して以降、
2人して楽しくお喋りしている、本人達曰く、作戦会議らしいが。
明らかに楽しんでるよなぁ、実行するのは僕なんだけど…。
ちなみに、この作戦会議は登校時間ギリギリまで続いた。
Side 霧島
早朝、普段は騒がしい教室もこの時間は静かだ。
その中で読書をしている生徒がいた、が、表情は憂いを帯び明るいとはいえない。
その生徒---霧島がため息を吐く。
「はぁ…」
今日もまた特に用事がないのに学校に早めに来てしまった。
姉さま達は、何故、平気でいられるのかしら…。
家族でもない男の人の家で、一緒に食事を共にするなんて。
霧島は男嫌いだった。
実は、原因の一旦として間接的に榛名が関わっていた。
中学時代に榛名に付きまとう男が後を立たず、霧島が露払いを買っていたが、
何度も何度も似たような事が起こり、男とは汚らわしいものとして考えるようになった。
それにしても---
何時の間にか榛名とも仲良くなってるみたいですね…
あの娘は第一印象はかなり柔らかいが、実のところ強かな所がある。
それでいて相手に不快を与えず、無用な争いを避ける術も持っている。
それも中学時代に身につけたものではあるが。
兎に角、特定の異性と関わりを持つことは避けていたはず。
まあ、あの人に限っていえば、比叡姉さまと仲が良いという事もあるかもしれないけど。
ふと窓から外を見ると部活動のために登校する生徒達がちらほらと見えた。
若者らしい活力に溢れるその姿を眺めつつ、正反対の自身の状態を思い再度、溜息をついた。
「はぁ…」
Side シンジ
昼休み、授業終了のチャイムが鳴る。
比叡のニヤニヤ顔を横目にシンジは移動を開始した。
「頑張ってきてねー」
その笑顔に答えるために今晩は比叡の苦手な夕飯を作ることを決意した。
栄養バランスって大事だよね。
****
それにしても、男嫌いかぁ…。
僕だったら大丈夫だって?
それってつまり男に見られないって事だよな。
頼られたのは素直に嬉しいが、理由があまり喜べるものではなかった。
「僕ってそんなに男らしくないのかな…?」
思わずぼやくシンジ。
中学時代に比叡に冷やかしで女装させらた事もあったが、
あの時の出来事は少しトラウマになっている。
そうこう考えているうちに目的についた。
ここが霧島さんの教室か。
まあ、悩んでいてもしょうがない。
比叡達がくれた案を実行するのみだ。
「君、申し訳ないけど霧島って子を呼んで貰えないかな」
「えっ…、は、ハイ!」
「あのう、霧島さん」
「なにかしら」
「2年の人が霧島さんに用があるから呼んでほしいって」
「2年の? 姉さんからしら」
「男の人だよ、綺麗な顔してるしカッコよかった! 本当に心当たりないのー?」
「心当たりがありませんね…」
生徒会のメンバーかしら、ううん。多分違う。
いや、実は思い浮かぶ人物が1人いるが、頭の何所かで否定したいと考えている。
恐る恐る教室の入り口を見ると、予想した会いたくない人物が立っていた。
Side シンジ
霧島さんが警戒心を露わにした表情でこちらに近づいてきた。
なんだかプレッシャーを感じるな…。
「榛名なら居ませんよ?」
「霧島さんに用があってきたんだ」
「…」
「はい、これ。 比叡からの…」
比叡、榛名から託された台詞を言わず、
騒ぎにならないように考えた台詞をはこうとしたが、
頭の中の比叡がうるさく叫ぶ。
『意気地なしっ、ばか、あほシンジ!』
そこまで言う必要ないじゃないか。と頭の中の比叡に嘆いた後に、
改めて比叡、榛名が用意していた台詞をはく。
「…はい、"いつもの僕の手作り弁当"、届けにきたよ」
シンジのその言葉が教室に響く。
どうやらやり取りが注目されていたようで静かな教室であったため、
結構な生徒の耳にはいったようだ。途端に周りがざわつく。
「なんだと!? 霧島さんの弁当をあいつが!?」
「霧島さんのあの弁当ってあの人が作ってるんだ?」
「どういう関係なんだろう、霧島さんってお兄さんいないはずだし」
「え、もしかしてうふふな関係!?」
「あれ? でも榛名さんも霧島さんと一緒の弁当を食べてたような」
「キャー、まさかのドロドロ関係!?」
「優しそうな人でいいなぁ」
ざわついた教室から聞こえる言葉からは耳をふさぐ事を決め込む。
でもこれって榛名も巻き込まんじゃないか?
そう思い教室を見渡すが榛名の姿がない、先に逃げたな…。
「し、ししし、シンジさん」
「なんだい?」
「ちょ、ちょっと来て下さい」
あまりの霧島さんの慌てっぷり。
顔が赤くなり、涙目になっている。
いけない、なんだか楽しくなってきてしまった。
「どこに行くのかな?」
「いいから! 早く!」
霧島さんに腕を掴まれ、さらに騒ぎが大きくなった教室から離れるため場所を移動した。
鹿谷基地より支援を開始します!
好きな感じの文章や
続き待ってる
「一体、何を考えてるんですかっ!?」
「はは、本当だよねぇ」
「はぁ!? ふざけてるんですか??」
「ごめん、霧島さんと話したくって」
「…は?」
一瞬、何を言われたのか分からないという表情を作る霧島。
「比叡達から話は聞いたよ」
「はぁ…姉さま達から」
霧島さんが空を見上げて頭を抱えている。
そして、深いため息を吐く。
「私、最近溜息ばっかりついてます」
「若いのに大変だね」
「100%あなたのせいです!!」
一瞬にして顔が真っ赤になる霧島さん。
僕は話を続ける事にした。
「僕はね、人間嫌いになった事があるんだ」
「人間嫌い…?」
怒りの表情から一転、人間嫌いという表現が
想像出来ないのか首を傾げる霧島さん。
突拍子もない話題転換だが、それでも聞いてくれる所をみると、
霧島さんが真面目で良い子なのだと分かる。
話を続ける。
「その時に比叡が僕の傍にいて助けてくれたんだ」
「僕が塞ぎ込んでいる時にね」
「気合入れないと男じゃないです、とか」
「あの頃は比叡にさんざん尻を叩かれたよ」
今は良い思い出だけどね。
お蔭で肝心なところで比叡には頭が上がらない。
だが---。
どうにも当時の記憶が曖昧なのだ。
具体的に何が起こったのか、その辺りが思い出せない。
比叡に訪ねた事もあるが、はぐらかされる事が多い。
「そういえば、シンジさんは比叡姉さまと似てる所があると思います」
「そうかな…? そうかも」
「大分、比叡に影響うけたのかもね」
「見かけによらず考えなしな所とかそっくりですね」
「それ、比叡が聞いたら悲しむよ?」
「比叡姉さまは強いので」
それって褒めてるのかな。
…僕に似てるって言ってたし、褒めてる事にしておこう。
「まぁ、だからというわけじゃないけど比叡に助けられた僕が、
次は霧島さんの男嫌いを直すお手伝いをするってのはどうかな」
「頼んでませんし、要りません」
「…というのは建前で」
「霧島さんをなんとかしろって命令を2人から受けててね。
破るとキツイお仕置きをされてしまうんだ」
「なんですかそれは?」
「詳しくは分からないけど、とっても恐ろしい事らしい」
「なんですか、それは…」
呆れた表情を作る霧島。
また、溜息を吐いた。
「立場が低いのですね、普通はこういう事は男の人が仕切るべきでは?」
「日本は民主主義だからね、多数決に弱いんだよ」
「それに霧島さん男嫌いなんだろ?
こんな男らしくない、か弱い僕を助けると思ってなんとかしてくれないかな」
霧島さんが考える素振りを見せ、
思いついたように呟く。
「そうですね、では女になってください」
「は?」
「………冗談です」
よく見ると霧島さんの頬が僅かに染まっている。
霧島さんでも冗談を言う事あるんだな。
……冗談だと僕も思いたい。
ゴホン、と咳をした後に霧島さんが話を続けた。
「もう今日は怒りやら呆れやら情けないやらで、とても疲れました」
「お疲れ様、感情豊かな女の子は素敵だよ」
「…」
女の子はあまり握り拳は作らない方がいいんじゃないかな。
そして、また溜息をはく霧島さん。
果たして今日、何度目だろうか。
「なんでこんな人に遠慮してたんでしょうか、私が馬鹿みたいです」
「…姉さま達にも迷惑をかけるわけにもいけませんし、折れてあげます」
「ありがとう! 助かるよ」
なんとか、収まってくれたようだ。
「ですが、ヘラヘラした人は嫌いです」
「前向きに努力するよ」
これには苦笑いで返すしかない。
こういう所がいけないんだろうけど。
「よし、平和的解決が出来たところでお昼にしよう」
「…そういえば、お昼時間だという事を忘れてました」
「さて、早く食べ」
キーンコーンカーンコーン。
タイミングが良いのか悪いのか、
お昼終了のチャイムが鳴り響く。
「…」
「…」
これは僕の所為じゃないよね…?
いや、僕の所為か…。
「…」
「ごめん、霧島さん」
怒りと空腹を我慢してもらうために、
夕食は霧島さんリクエストに答えるフルコースを作る事になった。
比叡のお仕置き、ならぬ栄養重視の夕食はまた次の機会かな。
Sideアスカ
レーベ…!!
1人の少女が脇目もふらず、一目を気にせず走っている。
少女の名はアスカ。現在、世界一有名な少女といっても過言ではないかもしれない。
誇りを持ち合わせている彼女、守るべき民間やメディアの取材でも常に自信に満ち溢れた姿を見せる彼女だが、今の彼女の表情に余裕の色は見えなかった。
遠征中に仲間であるZ1…レーベレヒト・マースが負傷したいう知らせを受けたのだ。
「アスカ様! 今日もご苦労様です」
道中、呼び止められるが、相手にしている暇はない。
そう思い無視して通りすぎようとしたが、次の言葉が耳に入って踏みとどまった。
「Z1が遠征から帰還したようですが小破状態のようです。
全く遠征ごときで負傷するなんて」
こちらの視線に気付き言葉を言い直す。
「あ、失礼しました! アスカ様の手を煩わせる事はありません。
所詮、兵器なのですからあの程度で文句を言わずに我慢すれば良いものを…。
アスカ様はゆっくりお休みになられてください」
男は言葉こそ丁寧に喋っているつもりだろうが、口許が歪んでいるのが見える。
アスカの事をちやほやされているだけの子娘か、はたまた下心を持っているのか。それとも両方か。
どちらにせよ、自分の失言に、アスカの雰囲気が変わった事に気付いていなかった。
「あんた…今、何って言ったの?」
何を言っているのだ?この男は。
言い直すべきところが他にあるだろう。
アスカの雰囲気に気付き、男がたじろぐ。
「遠征ごときで負傷?
なんならあなたの身ひとつで、深海棲艦の群れに突き落としてあげましょうか。
大丈夫、小破程度の傷を負ったら助けてあげるから」
一発で沈んでくれると嬉しいんだけどね。
アスカがさらに危険な思考に囚われる前に、隣から声が掛かった。
「アスカ、頭を冷やしなさい」
「ビスマルク……」
「あなたは、こんな所で時間を潰しにきたの? 違うでしょう?」
ビスマルクの言葉で少しだけ冷静さを取り戻し、
一度、深く空気を吸い込んでゆっくりとはく。
少しは冷静になった、かな。
「…もういいわ、下がりなさい」
「ハッ! 失礼しました」
男が去り際、ビスマルクに対して馬鹿にしたような視線を投げかける。
艦娘のくせに、とでも思っているのだろう。
その視線に気付き、頭が沸騰しそうになるが、またもやビスマルクに止められた。
「こんな事してる場合じゃないでしょう?」
「……わかってる」
あの男のせいで無駄な時間を過ごした。
同じ空気を吸うだけで屈辱だ、これ以上の思考はより不快になる。
強制的に思考を中断させレーベの下に急いだ。
Side レーベ
「レーベ、大丈夫?」
「マックス、ごめんね。心配かけて」
「問題ないわ…貴方が無事なら」
「レーベ!!」
文字通り飛び込むように、アスカが部屋に入ってきた。
乱れた息や流れる汗を見るに急いでこちらに向かってくれたようだ。
心配かけてしまって申し訳ない。
「ごめん、アスカ。心配かけたね」
「いいの、レーベが無事なら」
「アスカ、貴方は過保護なのよ。このくらい私達は問題ないわ」
さきほど、自身がアスカと全く同じセリフを事を棚に置き
Z3…マックスがアスカに忠告する。
「あんたに言われたくないわよ…、マックス。
確かここからだと私より遠い場所に居たはずよね」
マックスが明後日の方向を向いてアスカの言葉を、
聞こえてないフリをしているが耳が少し赤くなっている。
すぐに駆けつけてくれたんだ…ありがとう、マックス。
「ふーん、あくまでしらばっくれるのね…
すました顔しちゃって、こうしてやるっ!」
「こは…やめなはい、あふか」
アスカがマックスのほっぺを引っ張る。
それでも無表情を貫くマックス、申し訳ないけれどとても可笑しくみえた。
「ぷっ、ははははは」
「れーぶぇ、わはってなひで、はすけなはい」
「はーん! 何言っているか分からないわねぇ」
僕は止める事ができず、しばらく笑い続けた。
2人とも言葉にはしないが、このやり取りも、
気にしすぎる僕の性格に気を使ってくれているのだという事が伝わってくる。
ありがとう。
おもしろいです
シンジ好きだから期待
>>27
レスありがとうございます。
自分もシンジ君好きで活躍してほしくて書いてみました!
よろしければこれからも見てってください。
「ところで遠征って日本の艦娘に会ってきたんだっけ?」
「うん、良い娘だったよ。潜水艦の子なんだけど」
今回の遠征目的は、日本の艦娘との情報交換だ。
みんな、個性的な娘達で僕は好きだな。
「そっか、日本ねぇ」
「日本と言えば噂のシンクロ率70%の武勇は真偽は如何なものかしらね」
「ふんっ、どうせ日本の誇張報告でしょ、それに所詮噂だし」
「その噂が本当だとしても未だ戦場に現れない腰抜けに用はないわ」
「そうね」
「ま、まぁ。何か理由があるかもしれないし」
「それに、日本は変態が多いって聞くし、どうなのかしらね。
レーベなんかは可愛いから危ないよね~」
怪しげな手つきをしてこちらに近づいてくるアスカ。
何だか身の危険を感じるよ…。
「や、やめてよ、アスカ。それと日本にも良い人はいっぱいいるよ」
「はぁ…レーベって本当、日本びいきよね~、確か王子様がいるんだって?」
「お、王子様って。昔、親しくしてた人が居るだけだって」
「そ、まあいいわ。 レーベの顔も見れたし、ちょっと行ってくるわね」
なんとかアスカの興味が薄れてくれたみたいだ。
よ、よかった。
「今日も眠り姫に会いにいくの?」
「ええ、そうよ」
そう返事をするとアスカは、出口に向かう。
目的は僕らが眠り姫と呼んでいる彼女に会いに行く為に。
「金剛に挨拶してくるわ」
Side シンジ
『シンジは比叡の事どうおもってますカー?』
『うーん、よく分からない。けど大切な友達だよ!』
『いい返事ですネー! 男の子なら比叡を守ってあげるんですヨ?』
『うんっ! 金剛姉ちゃんも守ってあげる!』
『はは、それは嬉しいですネー!』
『うん。僕は…』
・
・
・
「……ジ! シンジ!」
「……」
「……ッっきろーーーー!!!」
「!?」
なんだ!?
お腹に強い衝撃を受け飛び上がる。
「おっはよー、やっと起きたわね」
「比叡…確か、今日は休みだよね?」
「そだね!」
「はぁ…」
時計を見ると8:00を指していた。
遅い朝ではあるし、普段の僕なら起きている時間ではある。
けど、休日なんだから勘弁してほしい。
眠気が残り、まだ覚醒していない頭で考えてると、比叡が僕の部屋に置いてある椅子に手を掛けた。
「よいしょっと」
「んー」
が、こちらを見るだけで何も言ってこない、なんだ?
僕の視線に気付いた比叡だが、何も答えず悪戯な笑みを浮かべる。
寝起きでぼーっとしているためか思考が働かず、しばらくお互いに無言の状態が続いた。
「にしし」
「……今日って何かあったっけ?」
「いや、特にないよ」
なにやらご機嫌の比叡を見て、もしかして、今日が何か、特別な日だったか
と思ったけどどうやら杞憂だったようだ。
「まぁ、とにかく準備して! 出掛けるよー」
「急だなぁ、せめてお昼からにしてよ」
「だめー! んじゃ9時」
「11時」
「9時1分」
「せこいっ!! 譲歩する気ないよね」
「えへへ、じゃあ10時ね!」
10時か…、洗濯機回して、朝食作って、準備して。
まぁ、大丈夫かな?
「わかった、10時だね」
「おっけー! んじゃまた後でね」
10時にまた来るから!
そう言い残し家を飛び出す比叡、少し遅れて扉の閉まる音が響く。
時計を見ると針が10分も進んでいた、結構な時間がたっていた事に気付く。
「やれやれ、困ったな。早く準備しないと」
独り言を呟きつ、洗面台に向かう。
そして鏡にうつる自分の顔を見ると口許が歪み、嬉しさが隠せてない事にようやく気付いた。
この表情、比叡に見られてないよな…?
「シンジ―! 準備できた?」
「うん、出来たよ」
「おはようございます、シンジさん」
「おはようございます、シンジ」
霧島さんに何時の間にか呼び捨てで呼ばれている。
そんなに年上としての威厳ないのかな…。
「榛名、霧島さんも一緒なんだ。おはよう、皆」
「今日はショッピングに行くよ!」
「買い物かぁ、何を見に行くんだい?」
「比叡も霧島もこっちの生活に慣れてきたし、必要な物も増えてたからねー」
なるほど。
こりゃ荷物持ちかな。
「シンジの家に置くのも多いし、シンジにも選んでもらわないとね」
「え?」
聞けば食器類の事だった、ちょっとだけヒヤリとしたよ。
***
で、街に出てきた。それは良いんだけど…
「なんだか凄い視線を感じるね」
「すいません、姉妹で行動すると大体こうなるんです…」
この姉妹の事だし、こうなる事はある程度、予想できた。
それに榛名が謝ることじゃない。
「僕としては可愛い女の子達囲まれて、男として少し誇らしい気分だよ。
まぁ荷物持ちだけど、ね」
「荷物持ちじゃないですよ、シンジさんは」
「もしかして、男避けかな?」
「違いますよ、まぁ後で分かります」
うーん、何だろう。
まぁ後になったら教えてくれるみたいだし、今はいいかな。
「でも、それも良さそうですね」
「まぁ頼りないと思うけど居ないよりはマシ、かな」
「頼りにしてますよ、あと、こうすればそう見えるんじゃないですか?」
榛名が言い終わると同時に、いきなり腕を組んできた。
こ、こういうのはちょっと勘弁して欲しいな。
周りの視線がさらに強烈になった気がする。
「何してるの! シンジ、早く行くよ!」
「はぁ…やっぱり男は汚らわしいです」
雑貨屋、KOREKANに到着した。
周りを見渡すと休日という事もあり店内は賑わっており、
客層は友人、カップル、家族連れ様々ではあるが男は少ない。
「これなんかどう?」
さっそく比叡がお気に入りを見つたらしく、僕に意見を求めてきた。
「デザインは良いと思うけど、少し口が大きいような気がする」
「うーん、確かに」
じゃあ、と比叡は次の商品を探しに行った。
入れ替わるようにして霧島さんがやってくる。
「シンジ、こちら如何ですか?」
「ちょっと小さいような」
「そうですか…返してきます」
「待った、霧島さんが気に入ったのならそれで良いと思うよ」
「それは…シンジの家に置く物ですし、ちゃんと気に入ってもらわないと」
申し訳なさそうにする霧島さん、やっぱり気を遣っていたか。生真面目な霧島さんらしい。
本当に気を遣ってくれなくても大丈夫なんだけどね。
近くにあったいかにもお子様向けのデザインのカップを霧島さんに薦める。
苺だとかピンク色のアイテムが散りばめられたデザインだ。
「気にしても良いのに、じゃあこれなんかどうかな?」
「こ、これですか」
「そうそう、デザインも可愛いし」
「か、可愛いですか」
霧島さんがこのカップで真面目に朝食をとる姿を想像してみる。
我慢していたけど、堪え切れず噴き出してしまった。
「ぷっ…ごめん、冗談だよ」
「か、からかったんですね! いいです、もう自分で選びます」
「あ、これどうかな?」
手に取ったのは、シンプルで落ち着いたデザインのマグカップだ。
ワンアクセントで可愛らしい熊のキャラクターが描かれていた。
「シンプルで良いと思うし、この熊とかも可愛いんじゃないかな」
「わ、悪くはないですね。候補として考えておきます」
「うん、色々あるしね。じっくり見て決めよう」
霧島さんが初めに持っていた商品を戻しつつ、他の商品を探し始めた。
「シンジさん」
「なんだい」
今度は榛名か。
「これ可愛いと思いませんか?」
「可愛い…かなぁ」
キモカワ?というやつだろうか。
だるそうにして変な目つきでこちらを見つめる兎のキャラクターが描かれていた。
「えー、この可愛さが伝わりません?」
「なんというか、目つきが」
「これが良いんじゃないですか!」
「うん、榛名が大丈夫ならありだと思う」
「もうっ、いい加減な返事ですね」
その後も色々な感想を求められたが、最終的に皆満足のいく買い物が出来たようだ。
霧島さんの方を見ると、バッグの中からちょこんと熊のキャラクターが顔を覗かせていた。
保守
>>36
すいません、ありがとうございます。
生存報告するつもりが遅れてしまってました。
続きはちゃんと書くので生き残らせてください。
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