ナレーター「ハマチ職人の朝は早い」(128)

香川県東かがわ市



四国の上部に存在する日本一小さい都道府県香川県

うどん県として有名なのは勿論だが
皆さんご存知だろうか




香川県は日本で初めてはまちの養殖に成功したと言う事を…

東かがわ市 海岸沿い

ナレーター「4月中旬朝7時、我々は東かがわ市の海岸沿いに呼び出された」

ナレーター「ハマチ職人として名高い千葉﨑一家に独占取材を申し込んだ所快く引き受けてくれたのだ」

ナレーター「これから我々はハマチの養殖の辛さを目の当たりにする事となる…」




Q.おはようございます!朝早いですね?

源「あぁ?なんだテメーらは?」

靖子「もうお父さんったらぁ」

靖子「この人達が私達の取材をしてくださる方達ですよ!」



千葉﨑家の大黒柱、千葉﨑源さんと妻の靖子さんだ

あぁ酉外し忘れた!畜生


あと千葉崎一家です

靖子「朝早くからご苦労さまです」ニコッ

そういって靖子さんが我々に渡したものは
おにぎりと魔法瓶だ
まだ肌寒い春の風の中暖かい味噌汁が体に染みる…


源「……これからモジャコを入れるとこだ」

源「邪魔だけはすんなよ」

千葉崎家当主はそう言い捨て我々を船に乗せた…



靖子「モジャコというのはハマチの稚魚なんですよ」ウフフ

靖子さんの説明を聞きながら我々は海岸から
少し離れた所にある養殖場に向かった

香川県では天然のモジャコはなかなか回遊していないので
愛媛県や長崎、高知県から仕入れているそうだ


チャポッ…

源「チッ…まだ水が冷てぇな…」

Q.何をしているのですか?

源「あぁ?見りゃ分かんだろ…」

源「水温を計ってんだ…邪魔するな」


どうやら水が冷たいとモジャコを放流出来ないらしい


靖子「お父さんは手を浸すだけでハマチが生存出来る温度か分かるんですよ」ウフフ


なるほど
まさに職人技という訳だ

源「ハマチが美味しく健康に育つためには春から1月にかけてやるしかねぇんだ」

源「だから今の内に住処の調子を見なければならねぇ」


船に揺られながらも源さんのハマチへの情熱は揺らいでいなかった


Q.まだモジャコは放流しないのですか?

源「船見りゃ分かんだろ!まだ魚は乗せてねぇ!」

源「今日は水温を計りに来ただけでぃ!!」



白いよれよれのシャツにジーパン
頭に鉢巻を巻いた当主の姿は少し震えていた

Q.寒いですか?

源「何なんだてめぇらさっきから!」カチン

源「江戸っ子がこれしきの寒さに負ける訳ねぇ!!」ブルブル

源「男は黙って機を待つんだべらぼうめぃ!!」クシュンッ

靖子「お父さん鼻水出てますよ」フキフキ

源「おぅすまねぇな」ズビーッ




我々は千葉崎家の機嫌を損ねてしまったようだ

Q.夫婦仲がよろしいんですね?

靖子「あらあらうふふ」

源「ばっ…てめぇら船から降りろ!!」


そう言い岸まで船は戻る事になった
取材は一体どうなってしまうのだろうか
しかし我々はこんな所で諦める訳にはいかない
日本一と謳われるハマチを養殖出来る
千葉崎家の当主
源さんからハマチのノウハウを全て取材させて貰うまでは




そして我々は一人の男の変化を見逃さなかった
千葉崎源さんの顔が少し紅潮しているのを……



ケース.1

千葉崎家次男
俊雄くん



.

香川県東かがわ市

千葉崎家はここに築50年の一軒家を構えていた

ガラッ

俊雄「ただいまー」

靖子「おかえり俊雄」

靖子「どうだった?新しい友達は出来た?」

俊雄「まだクラスで誰とも喋ってないよ」


千葉崎家次男、俊雄くん
彼は今年中学生になったばかりである

俊雄「今日取材来るとか言ってなかった?」

俊雄「情熱大陸だっけ?どうだったの」

靖子「お父さんが怒っちゃってねぇ」

靖子「今日は帰ってもらったのよ」

俊雄「なんだよそれー」

俊雄「ウチは貧乏なんだから取材ぐらいしてもらったらいいじゃん」

靖子「お父さん気難しいからねぇ」

俊雄「バカ親父」

源「なんだとバカ息子!!」ガラッ

俊雄「いたのかよ」

源「ちょっとこっち来い!!」

居間

源「今日はな!水温を計るだけだったのに勝手にアイツらが来たんだよ」

俊雄「知るかよそんな事…お母さんおやつあるー?」

靖子「はい卵ボーロよ」コトッ

俊雄「なんだよ卵ボーロって!」バシッ

コロコロコローッ

靖子「あらもったいない…」

そう言って靖子さんは俊雄くんがひっくり返した
卵ボーロを拾うのであった




源「てやんでぃべらぼうめぃ!!!」ガシャーン

靖子「キャーッ!?」

俊雄「ちょっ、クソ親父!!またちゃぶ台ひっくり返しやがって!!」

源「おうおうおうおう俊雄…てめぇはいつから食べ物を粗末にする子に育ったんだ!?」

俊雄「今時卵ボーロ食べる中学生なんているかっつーの!!」

俊雄「今時カントリーマアムも出せないようじゃ恥ずかしくて友達も呼べやしないよ!!」

源「なんだとてめぇ!!お前は一ヶ月おやつ抜きだ!」

俊雄「言われなくてもいらねぇよバーカ!!」ドシドシ

源「ふんっ…」

靖子「また俊雄ったら部屋に引きこもって…」



千葉崎家はある問題を抱えていた...
それはとても貧乏なのである

千葉崎源さんが作るハマチはとても
脂の乗りも良く背と腹のグラデーションも
まるでサファイアとダイアモンドのよう…
口の中に入れた瞬間幻かのように
溶けてしまい何度でも口に運びたくなる
ほどのハマチを養殖する事に成功していた



しかし源さん印のハマチは一匹10万超え…
ハマチの相場は高くても5万前後…
あまりにも高級となりすぎたハマチは
買い手を選ぶほどの出世魚となってしまったのである


.

フゥ…
全然需要ないだろうけど
ブリ×ハマチのカップリングを書きたくなって
今回このSSを始めさせて貰う
エロはケース2と3だからそれまで待ってくれ
また後でな

どういうことって…
そういうことだよとしか言えない
エロ書くの大好きだよ


まぁ面白いと思ったらてやんでぃべらぼうめぇ!とか
コメントしてくれたら嬉しいな

つぎの日 中学校

でさー
あはは!マジさげぽよー!!

俊雄「はぁ……」

俊雄(クソ…皆髪を染めたり妖怪ウォッチやったり…)

俊雄(いいなぁ俺も皆と同じ青春したいなぁ)

俊雄(いや…これからだ!俺も部活やって皆と仲良くなるんだ!)

キーンコーン…カーンコーン…

担任「はい席ついてー」ガラッ

「はーい!」

担任「今日は珍しく転校生が来ています」

「ええ!!!男!?女!?」

担任「本当は親御さんの仕事の都合で入学式に間に合わなかっただけなんだけどな」

俊雄(へーどんなやつだろ)

担任「よし……」チョイチョイ

「おおおおお!!!!」





スタスタ…


田島「………」ペコッ

「やった女の子だ!」

「ちょっと男子ぃやらしい目で見んな!」



俊雄「…かわいい」

担任「この度東京から越してきた田島優香さんだ」

田島「………」ニコッ

「かわいー喋って喋って!!」

田島「………」ウロウロ

田島「………」サササッ

「……なに?手動かして何してんの?」



担任「あー田島さんは中途失調者といってな」

担任「小学生の頃に耳が聞こえなくなってしまったんだ」カキカキ

田島「………!」コクコク

担任「まだ補聴器が用意出来てないから少し不便だろうが用意出来たら皆とおなじように会話できます」

担任「それまでは皆で助けてやってくれよ」

「はーい!!」

担任「田島さんの席は…ここだ」

田島「………」コクコク

千葉崎(あ…この子の席だったんだ)

担任「千葉崎……ちょっかい掛けるなよ」ニヤ

千葉崎「そ、そんなことしませんよ!」

ドッ

あはははははは!!!

千葉崎(クソ…こんな目立ち方恥ずい…)

田島「………」ニコッ

千葉崎(あーもう可愛いなぁ///)



そういう訳で俺の前の席に田島は来たんだ
女の子ってすっげーいい香りするんだな
……俺なんていつも魚くさいって言われるから
なんだか田島の事が羨ましかった
クソ…なんで俺ん家はハマチの養殖なんてやってんだよ!



休み時間

田島「………」クルッ

千葉崎「あ?なんだよ」

田島「………」サッ

千葉崎「…ノート?」

初めまして田島です!
あなたの名前は?


俊雄「千葉崎…って今は聞こえないんだったな」

俊雄「ノート貸して」サッ

サラサラー

田島「………」ジーッ

俊雄(うっ……すげーガン見してくる…)

千葉崎俊雄です
よろしく

田島「………」パァッ

サラサラー

よろしく!
あなたは部活やってる?

千葉崎(念願の女子との会話!)

千葉崎(神様ありがとう……俺にも春が来ました…)ウルウル

「千葉崎のやつ泣いてるよー」
「きしょーい!田島さん困ってんじゃん!」

「ね!田島さん東京から来たんだよね!?」

「渋谷で嵐と出会ったりするの!?」

「きゃりーぱみゅぱみゅっていつも原宿にいるってマジ!?」

ワラワラ…

田島「……あぅ……」オロオロ

千葉崎「田島さん困ってんだろ!質問あったらノートに書けよ!」

「なにあんたもう田島さんに惚れたの?」

「えー軽すぎ!あんたみたいなハマチの養殖やってるやつに東京の女の子は似合わないから!」

千葉崎「ばっバーカ!誰がこんな女…」

「へへ…」サラサラー

千葉崎のやつ田島さんに絡まれて
迷惑してるだって

田島「!!」

千葉崎「お前何書いてんだよ!」

「えーだって今誰がこんな女って言ったじゃん」

田島「………」ウルウル

サラサラー

ごめんなさい千葉崎くん


俊雄「!!ち、違うんだこいつらが勝手に…」

「きゃはは!千葉崎振られてやんのー!!」

「ダサー!あんたのお父さんも超絶ダサいもんねー!」

「今時江戸っ子気取って何やってんだかー」

俊雄「誰があんな親父っ!!」


田島「………」オロオロ

放課後

「千葉崎ーお前部活どーすんの」

俊雄「あーやっぱバスケかな!」

「バスケやってたっけ?」

俊雄「バッカ男ならスラムダンク読めよ!」

俊雄「俺は中学でバスケやって流川みたいなイケメンになるんだ!!」

「それでモテたらいいよなー」

俊雄「まぁなー…まっバスケやってたらそのうちモテんだろ」




「ええ!田島さんの実家ってブリの養殖やってるんだ!!」

俊雄「!!」ピクッ

田島「………」コクコク

「えー凄いじゃん!じゃあ千葉崎ん家は舎弟だね!」

「ハマチなんてブリの成長過程のガキだもんね」

「今は愛媛でミカンブリもつくられてるし!ハマチなんてダサーイ!!」

「「「きゃはははは!!」」」



俊雄「あ、あいつら…」ググッ

「千葉崎…俺たちは決して田島さんみたいな高嶺の花とは付き合えないんだ」ポンッ

俊雄「ふん!誰があんなやつなんかと…」

「でもすげー可愛いなぁ田島さん」

「俺たちなんかと違ってお洒落だし高貴な香りがする」クンクン

俊雄「なんだよ高貴な香りって」

「東京の柔軟剤だよ」クンクン

千葉崎家 玄関

俊雄「ただいまー」ガラッ

靖子「おかえり俊雄」

春子「……」

俊雄「珍しいじゃん姉貴が部屋から出てるの」

靖子「俊雄もいつも引きこもってるでしょ」

俊雄「うるせぇババア!」

ガラッ

源「こらバカ息子!母親に向かってその口の聞き方はないだろ!!」

源「こっちへ来いバカ野郎!!」

俊雄「いたのかよバカ親父!!」

夜 居間

源「今日のだしはうめぇなぁ」チュルチュル

靖子「お隣の奥さんからいい昆布を貰ったのよ」ウフフ

春子「………」チュルチュル

俊雄「はぁー今日もうどんかよ…」チュルチュル

源「なんだ俊雄!反抗期か!!」ガタッ

源「てやんでぃべらぼうめぇ!!」ググッ

靖子「あなた…食事中はちゃぶ台をひっくり返さない約束ですよ」ググッ

俊雄「黙って食えってんだ」チュルチュル

源「なんだとこの野郎!!」

靖子「もう…食事中ですよ」

ピンポーン…

靖子「あらお客さん?珍しいわね」

源「またあの失礼な取材のやつらなら追い返せってぇんだ!!」

俊雄「いいじゃん金貰えるんだし」

源「バカ野郎!ハマチはな…恥ずかしがり屋なんだ!」

源「決してテレビなんかに映していいもんじゃねぇ!」

俊雄「ならなんで取材受けたんだよ…」

靖子「はぁーい今行きまーす」スタスタ

春子「………」チュルチュル



靖子「あなた!!田島さんよぉ!!」

源「おぉ?マジかよこっち帰ってきたのか!!」

俊雄「へ?」

玄関

源「よぉ田島ぁ!久しぶりじゃねえか!!」ズンズン

田島父「源さん!お前相変わらずその姿なんだな!」

田島「………」ギュッ

田島父「こら優香…恥ずかしがるなよ」アハハ

俊雄「た、田島じゃん…!」

靖子「あら可愛らしい娘さん」

源「なんだぁ俊雄?おめぇもう優香ちゃんに唾つけてんのかぁ?」

俊雄「んなわけねぇだろ!!」

田島父「ははは…俊雄くん!優香と仲良くしてやってくれよ」

田島父「娘から聞いたよ!まさか同じ学校だなんてね」ワシャワシャー

俊雄「……ふん」

田島のお父さんはすっげぇデカイ人だ
俺の頭をすっぽり包んじまうほどに
手のひらも大きかった


どうやら田島とお父さんは仕事の関係で
しばらく東京に住んでたらしい
一段落したから実家の香川に戻ってきたんだとよ
しかもクラスの女によれば実家はブリの養殖業やってんだとさ

はぁー気まずい…
昼に茶化されたから逃げ出しちまったけど
出来る事なら今日は顔を合わせたくなかったぜ…

居間

田島父「もうモジャコを買わなきゃいけない季節なんだな」

源田島父「「春だねぇ~」」プハーッ

田島「ケホッケホッ…」

靖子「もう二人とも…タバコ吸うなら縁側で吸ってきてくださいよ」

田島父「靖子ちゃんまだまだ美人だなぁ」

源「ケッ…もうババアだよ」

靖子「あら手が滑っちゃいました」

源「つめてえっ!!?」ビシャア…

源「靖子!おめぇ酒を無駄にすんじゃねぇ!」

田島父「あはは…俺たちももう48歳かぁ」

源「ふんっ…早いよなぁー」プハーッ

田島父「今年は俺も実家の仕事手伝おうかな」プハーッ

靖子「ほら!お父さん達晩酌するからあんたたちは部屋に行ってきなさい」

俊雄「は!?待てよ!田島と二人きりになれっていうのか!」

田島「………??」

靖子「同じクラスなんでしょ?いいじゃない」

靖子「ほら!ノートとペン!それにカントリーマアム!」

俊雄「……気が利くじゃん」

靖子「可愛らしいお客様だからね」ニコッ

靖子「1時には一度呼びに行くわね」

俊雄「あぁーもうっ!!」

田島「???」

俊雄「…ついてこい」ガシッ

田島「………///」

俊雄の部屋

俊雄「何もない部屋だけどまぁゆっくりしてくれよ」

田島「………」キョロキョロ

俊雄「なんだよ…そんなに珍しい物あるか?」

田島「………」フンス

俊雄「あーノートね」チラッ



私の事嫌いなのですか?



俊雄「ち、ちげぇよ!!昼のはそういう事じゃなくて…」

田島「???」

俊雄「………」サラサラー

学校で皆に茶化されたんだよ
仕方ないだろ

田島「!!」

田島「………」フフフ

俊雄「な、何笑ってんだよ…」

田島「………」オイデ

俊雄「いや、行かねぇよ!?」

俊雄「東京の女ってスキンシップ激しいんだなぁ」

田島「………」ケラケラケラ

俊雄「なんだよこいつ…変なやつだな」アハハ

アハハ…

靖子「うふふ…」

源「あいつら仲良くやってんじゃねえか」

田島父「娘はお前のとこにはやらんぞ」

源「それはあいつらが決める事でぃ…」フンッ




その日の夜俺は田島と沢山会話をした
小学校を卒業してから耳に細菌が入ってしまった事…
何も聞こえないのはとても怖いらしい

後ろからいきなり自転車が通り過ぎるだけで
ひどく怯えてしまうようだ
こんな田舎の方がとても安心できるんだとさ

それからもうすぐ補聴器がやってくる事
今は科学ってやつも進歩してるらしくて
すげーくっきり音が聞こえるんだって

一週間後 学校

委員長「田島さん!」サササッ

田島「………?」

委員長「あ、あれ…?」

俊雄「何してんだよ委員長」

委員長「いや田島さんが転校してきた時手話をしてただろ?」

委員長「だから僕は一生懸命覚えてきたのに理解して貰えないんだ…」

こいつは委員長
誰もやりたがらない何とか委員を
空気も読まず委員長に立候補したガリ勉だ
小学校の頃からの付き合いで
ずっと委員長をやってるのを見てきた


俊雄「いやこいつ最近聞こえなくなったから手話とか知らないぜ」

委員長「な、何だって!?じゃああれは…?」

俊雄「多分身振り手振りで考えを伝えたかったんだよ」

田島「………?」キョトンッ

委員長「……仲良いんだな」

俊雄「いや親父同士が知り合いだったんだよ」

俊雄「それで家に来たりするからよく喋る」

委員長「そうか…僕とはそんな話した事ないのに」

俊雄「惚れてんのかよ」

委員長「そそそそんな訳ないだろ!」

委員長「煩悩だらけの俊雄とは違うんだよ!」

俊雄「へいへい…」



「ねぇ今の聞いた…?」
「田島さんあんなダサい千葉崎と付き合ってるんだ…」
「しかも家族公認だよ…」
「きっともうセックスとかしてんだよ」
「うわぁ不潔っ!!東京の女ってヤリマンなんだよきっと!」


……噂っていうのは怖いものだな
根も葉もないこの噂はすぐに学校中に広まっていった

学校

田島「………あ!」フリフリー

「ひっ!来たよビッチが!」
「皆逃げろー!!」

田島「………?」


教室

担任「じゃあ何もなかったらHRを終わらせるぞ」

「はいはーい先生!」

担任「どうした?」

「千葉崎と田島さんが不純異性交遊してるらしいでーす!」

どっ
わはははははは…

田島「………?」キョロキョロ

「何知らない顔してんだよバーカ」
「よそ者は出てけよ」

千葉崎「なっ…お前らでたらめ言うなよ!!」

田島「………?」アセアセ

担任「本当か?千葉崎」

俊雄「んな訳ないじゃないですか!!」ガタッ

俊雄「誰がこんなやつなんかとっ…」

「セックスしてんだろ!お前ら!?」
「ブリとハマチの養殖見てみたーい!!」

俊雄「…こんなやつ好きじゃねーし!!」

田島「………」ポロッ

俊雄(田島っ…泣いてる?)

「あーブリがハマチに振られたー」

担任「……今日はもう終わりだ」

担任「千葉崎…お前は田島を連れて早く帰れ」

俊雄「!!……はい!」

ギュッ

田島「!!」ポロポロ

俊雄「行くぞ!!」ダッ

俊雄「……」チラッ

委員長「俊雄…お前…」

俊雄(ふざけんなよ!!お前田島の事好きなんじゃねーのか!!)


田舎っていうのは怖いよな
一度こんな噂が広まってしまうと
もう一生俺たちはカップル扱いされちまう…
俺たちは教室を後にして近くの土手に座り込んだ




俊雄「クソ……なんなんだよ皆…」

田島「………あうあお」

俊雄「………は?」

田島「………」サラサラー



私、いじめられてるんだよね?
一緒に逃げてくれてありがとう

難聴が喋れない理由は自分の声が聞こえないから喋り方が分からんのであって
後天的な難聴で喋り方さえ知ってれば、耳が聞こえなくとも喋れたような?
佐村河内だって喋れますし(白目)

俊雄「田島……違うんだ…お前は…」

言っても聞こえないのは分かってる
それに真実を伝えたら田島は本当に
ショックを受けるんじゃないだろうか…
そう思うと急に目の奥が熱くなってしまった


俊雄「…もう俺に関わるな」クルッ

田島「あっえ!!」ガシッ

田島「ろうあっえうお……いあらお…」グスッ

俊雄「……田島」


オレンジに染まる田島の涙を見て
俺は自分がなんて小さい男なんだと
自覚しちまったよ…
女の子一人守ってやれないんだな俺って…

俊雄「………ごめん」

田島「………」グスッ




源「何泣かしてんだよバカ息子」

俊雄「親父!?」

俊雄「何してんだよこんな所で…」

源「こっちのセリフでぃバカ野郎!!」バシッ

俊雄「痛っ!!?」

俊雄「何すんだよてめぇ!!」

源「大体見りゃあ分かる…俺はお前を腑抜けに育てた記憶なんてねぇよ」

>>49
一応田島喋ってるよ!
自分ではちゃんと喋れてるか分かってないけど


なんでや!
ごうちっちは関係ないやろ!!!!

俊雄「てめぇ息子に手ぇあげやがって!!!」ブンッ

源「ほっ」サッ

源「お前のノロノロパンチなんざ目をつむっててもよけられらぁ!」

俊雄「うああああ!!!!」ブンッブンッ

源「そうだ!もっと相手をよく見ろ!」

源「腰をひいてとにかく一発当ててみやがれってんだ!!」

田島「やめへ……らんれ…?」グスッ



俊雄「はぁ……はぁ……」

源「いい面してんじゃねぇか」

源「何したらいいか分かっただろバカ俊雄」

俊雄「…いいのかよ人を殴って」

源「理由もなく人を傷つけちゃあいけねぇ…」

源「いつもそう教えてきたな」

俊雄「だったら…」

源「だが!!」

源「ダチを守れねぇほうがもっといけねぇ事だろ」

俊雄「!!」

田島「らいひょうふ……としおうん…?」

俊雄「田島……」

源「さぁ…帰ろうぜ」

源「俺はお前の味方に決まってんだろバカ俊雄」

俊雄「……うっせぇよバカ親父」

夜 千葉崎家

靖子「あらあらいっぱい汚れちゃって」

俊雄「親父が殴ってきたんだよ」

田島「………」サラサラー


俊雄くんが私を助けてくれました


靖子「うふふ…良かったわねぇ」ナデナデ

田島「………」グスッ

源「田島の野郎呼び出したから今日は優香ちゃんの飯も作ってやってくれ」

靖子「はいはい分かりましたよ」

俊雄「………」

源「めそめそすんな、男だろ」

俊雄「だってよ…」

源「田島の野郎が来たら話せや…」

源「お前は間違った事してねぇんだろ」

フゥ…
ちょっと休憩
今回は源さんファミリーのハートフルストーリーにするよ
勿論ハマチのおいしさも伝えるからね

あくまで導入に使いたかっただけだよ
いきなり男前過ぎる源さんが登場しても反応に困ると思ってね(ニッコリ

親父と喧嘩した後、家で食べたうどんは少ししょっぱく感じた
しばらくして田島のお父さんが来たから
俺は学校で起きた事を皆にありのまま話たんだ


田島父「そうか……娘にはその事を伝えたのかな」

俊雄「いや…まだです」

田島「………」

田島父「そうか……そういえば遂に届いたんだ」サッ

俊雄「補聴器……」

田島「!!あやくつえて!!」

田島父「まぁ慌てるな」ポンポン

源「俊雄…お前から伝えてやれよ」

靖子「そうよぉあなた達お友達だもんね」ニコニコ

田島父「僕からもお願いしていいかな」

俊雄「……分かりました」

俺から話す事が決まると田島のお父さんが
田島に補聴器をつけてあげた
指で顔の方向に押し込むと奥まで入るらしい


田島父「よし…あとは電源を入れて…」

カチッ

俊雄「……聞こえる?」




田島「………うん」

田島「やっと俊雄くんの声……聞こえた」

俊雄「どうかな」

田島「イメージしてたよりいい声だよ」

田島「ちょっと乱暴で…でも優しい声」

俊雄「ははは…なんだそりゃ」

田島「………俊雄くんっ」ダキッ

俊雄「ちょっ!田島!?」

田島「ずっとあなたの声を聞きたかった!」

田島「助けてくれて嬉しいよ……ありがとう」

俊雄「やめろよ皆見てるじゃねえか!」

源「俊雄は逃げただけだけどな」

靖子「もうお父さんったら…」

田島父「良かったな優香」

田島「うん!ありがとうお父さん!!」

それから俺の口から何が起こったか田島に話した
むすーっとしたり哀しそうな顔をしたり…
でも全てを聞き終わるとまたいつもの顔で話し出したんだ


田島「なにそれ!皆意味分かんない!!」フンッ

田島「耳が聞こえないのをいい事に好き勝手言いやがって!!」

源「お前意外と口悪いなぁ」

田島父「ははは…人見知りだけどやんちゃで困ってたんだよ」

田島「俊雄くん!明日はやり返すよ!」

俊雄「バカかよ…こんな田舎で仲間外れにされたら今後が大変だぞ」

田島「私は俊雄くんがいたらそれでいい!」

田島「大体そんなやつら友達でもなんでもないよ!」

源「まぁ落ち着けよ優香ちゃん」

田島「源さんは黙ってて!!」キッ

源「ひぃっ!?」

靖子「あらあら優香ちゃんは俊雄より強いわね」

俊雄「うっせぇよ!!」

田島父「あはは…やりすぎるなよ」

田島父「俊雄くん…これからも娘と仲良くしてやってくれるかな」

俊雄「まぁ退屈しないで済みそうだしいいですよ」

田島「もう俊雄くんまで!!」


あはははははは…


こうして補聴器を手に入れた田島は
まるで無敵になったかのようだった
俺は無敵の田島といるとこれからの
学校生活がワクワクする…そんな予感を感じていた
明日はクラスの誤解を解かないとな!

次の日 学校

田島「………」

「うわっ来たよヤリマン!」
「俺の童貞も卒業させてくれよな」

田島「………」スタスタ

「あ?なんだお前やんのか?」

ざわざわ…

俊雄「おーい…田島ぁやり過ぎんなよ…」

委員長「相手はクラス一のヤンキーだぞ…助けなきゃ!」ガクガク

俊雄「足が震えてっぞ」

委員長「俊雄、まだ田島さんは耳が聞こえないんだろ?」ブルブル

俊雄「さぁなー」

田島「………」

田島「ふんっ!!」

キィン!!

「んがっ!!?た、たま……」ガクッ

田島「よっしゃあ討ち取ったりぃ!!」



「喋った!!なんで!?」
「うわぁモロに金的入ったよ…」
「ヤンキー…ご愁傷様」


田島「私に文句があるやつはかかって来いバカヤロー!!」

田島「東京なめんなようどん県人どもめ!!」

俊雄「ははは!!」

「田島さん…補聴器が来たのね」
「良かった!これから仲良くしましょう!」

田島「……なにその服」

「え?ど、どうかな似合う?」エヘヘ

田島「超ダサい」

「そ、そんな…」
「わたし達ここら辺で一番のオシャレギャルで有名なのよ!!」

田島「今時渋谷にもそんなしまむらで買ったような服来てる人いないんだけど」

田島「時代はゆるふわ愛されガール!」

田島「女の子ならいち早く流行りを手にするのが最低限の身だしなみよ!」

田島「鼻からうどんすすって出直してこいバーカ!!」ベーッ

「うえええん!!お母さんに言いつけてやる!!」

俊雄「あはははははははは!!!!」

田島「皆凄くダサいよ!?」

田島「学校なのにまともに制服来てこないし」

田島「よってたかって一人のか弱い女の子をいじめてるし」

田島「何より自分達の町を愛してない人に東京に来る資格なんてないから!」

田島「そんな田舎者がオシャレの町に来たって鼻で笑われるだけ!」

田島「周りに合わせて適当に相槌打って適当に大学出てフリーターで一生こき使われるだけの未来しか想像できない!」

田島「もっとハマチとうどんを愛してから出直してきな!」

俊雄「お、おいそれは言い過ぎだぞ…」

シーン…

俊雄「あ、やべ…」

委員長「田島さん…」

田島「なに」




委員長「一生ついていきます!姉御と呼ばせてください!!」

田島「ふん…仕方ないわね」ファサッ

うおおおおお!!!!

「ごめんね田島さん…私も一緒に悪口言って…」

田島「いいよ!それを反省してこれから人との付き合い方を考えたらいいじゃない!」

「すげー…大人だ」
「私田島さんみたいな女性になりたい!」

「姉御!姉御!」
「A!N!G! A!N!G!」


田島「あはは…私も言い過ぎたわ」

田島「これから仲良くしましょ!」

俊雄「田島…」

田島「俊雄くん!これから楽しくなりそうね!」

俊雄「うん!そうだな!」

委員長「姉御…僕姉御の事が好きです!」

田島「ごめんね委員長くん」

田島「私今は俊雄くんが好きだから」テヘッ

俊雄「なっ好きって…///」

ヒューッヒューッ!!

田島「あの時私のために言い返してくれたでしょ?」

田島「…凄く嬉しかったしかっこよかったよ///」

俊雄「俺は好きじゃない!!」

委員長「クソォ俊雄…裏切りやがって!」

俊雄「委員長が勝手に振られただけだろ!!」

田島「ねぇ返事は?」

俊雄「え!?いや…その…」

田島「男らしくはっきりしなさい」

俊雄「えーっと…友達からでお願いします」

「ふざけるなぁーっ!!」
「そこははいかいいえだろ!!」

俊雄「うっせ!恥ずいんだよ!!」

田島「うふふ…まぁ今はそれでいいわ」ニコニコ

田島「これからも何かあったら守ってね♪」

俊雄「…しゃあなしだぞ」



4月の終わり頃に起きた「田島事件」
その噂はすぐさま俺たちの悪い噂を
かき消して学校中を騒然とさせた


それから田島は上級生にも
告白されるほどに学校の人気者になったけど
誰とも付き合わなかった
…本当に俺の事好きなのかよ


そして俺俊雄はモテたいという不純な動機で
入学当初の計画通りバスケ部に入部した
ついでに委員長も入ったけど全然付いてこれていない
田島は激しい運動をすると補聴器が
壊れるかもしれないという懸念から
バスケ部のマネージャーになった


女の子って強い…そして怖いなぁ

6月 早朝

香川県東かがわ市

我々は再び千葉崎家に取材を試みた…



海岸沿いに行くと千葉崎源さんがちょうど船を出す所だった


Q.お久しぶりですね?

源「またてめぇらか…」チッ


舌打ちをされた
どうやら我々は嫌われているようだ

田島「俊雄!早く乗って!」

俊雄「待てよ田島!」

源「おいお前らおっせぇぞ!!」

見慣れない子供達だ
どうやら船に同乗するらしい

ディレクターが必死に土下座した結果
また船に乗せて貰える事になった


Q.あの子供達は?

源「俺の自慢の息子とその彼女でぃ」

元気いっぱいですね

源「ケッ……カッコ良く撮影してやれよ」

源「自慢のバカ息子がほんのちょびっとだけ成長したからな…」

そう言ってそっぽを向いた当主は少し顔が紅潮していた

Q.失礼ですが今日はおにぎりと味噌汁はないのですか?
朝早いので小腹を空かせてしまって…

源「てめぇらもう降りやがれ!!」

フゥ…
俊雄くん編終了
次はお待ちかねブリ×ハマチ書くから
ここからお前らに新境地を見せてあげたい


田島が喋らなかった理由は耳が聞こえないから
ちゃんと喋れてるか不安だったって事で頼んます

おまけ

田島「ねぇねぇなんで香川ではワラサの事ハマチって呼ぶの?」

俊雄「えー確か関西と関東では呼び方が違うんだよ」

田島「そうなんだ!ブリは全国共通なのにね」

俊雄「まぁそこは地域毎に違うからしょうがないだろ」

関西では
ワカナ(15cm)
ツバス(30~40cm)
ハマチ(60cm)

関東では
ワカシ(15cm)
イナダ(30~40cm)
ワラサ(60cm)

源「いずれも90cm以上になるとブリと呼ばれるんでぃ!」

源「それじゃあまた見てくれよ!てやんでぃべらぼうめぇ!!」

眠れないから色々SS読んでたら
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か......」を
読んで感動した


8月からSS書き出したけど自分なんて
まだまだクソみたいな文章力だなと思った
こんな事言っててもエロばっか書くんだろうけど

日本海

ハマチ「あぁ海水が暖かくて気持ちいいなぁ」ユラユラー

ハマチ「太陽もいい感じに照らしてくれてるしまるで海のホログラムシアターだよ」

ハマチ「……ちょっと興奮してきちゃった///」

ハマチ「排卵……してもいいかなぁ///」




ブリ「よぉかーのじょ!一魚?」ユラユラー

ハマチ「え!?あ、はい!そうです!」

ハマチ(うわぁ凄いイケメン……)

ハマチ(まるで魚顔だけどそんなとこが素敵…///)

ブリ「もうすぐ排卵の季節だね」

ハマチ「なっ……女の子の前でなんてこというんですか!!」

ブリ「だってそうじゃないか」

ブリ「あぁ……僕も素敵なアジ科の女の子の卵に精子ぶっかけたいなあ」

ハマチ「……変態さんですね」

ブリ「よく言われるよ」ハハハ



ハマチ(笑った顔が可愛い…)

ブリ「あぁ……なんだか昂ってきちゃった」

ハマチ「ええええ///」

ブリ「ねぇ君…良かったらここで排卵してくれない?」

ハマチ「私はそんな軽い女じゃありません!」

ブリ「そんなこと言わずにさぁ」ドーン

ハマチ「やめてください痛いです!!」

ハマチ(あっ……ちょっと漏れちゃった///)

ハマチ(お母さんはいつか素敵な王魚様が迎えに来てくれると言っていた…)

ハマチ(この魚はカッコイイけど…)

ハマチ(何のロマンも持っていない…)



ハマチ「乙女心が分からない魚とは交尾しませんから」プイッ

ブリ「つれないなぁ」

ブリ「あっ!そうだ君に見せたい所があるんだ!!」

ブリ「こっちにおいでよ!」グイッ

ハマチ「きゃっ!?どこでレイプするつもりですか!!」

ブリ「そんなことしないよまったく」ユラユラー

淡路島付近

ハマチ「もう…すっかり夜じゃない」

ブリ「これぐらい暗い方がちょうどいいんだよ」

ハマチ「ふわぁ…もう眠たいよぉ」

ブリ「いいからおいで」


鳴門海峡

ハマチ「凄い渦…」

ブリ「あまり近付いたら危ないよ」グイッ

ハマチ「あ…」

ハマチ(またひれとひれが…)

ゴオオオオォォォォォ……

ハマチ「あ…だんだん勢いが無くなってきた…」

ブリ「この渦が終わる瞬間を見てごらん」

ハマチ「え?う、うん…」


ゴオオオオォォォォォ………

パアアアアッ!!

ハマチ「!!」

ハマチ「凄い…渦に飲まれていたヒトデや魚達が散っていく…」

ブリ「キレイだろ!」

ブリ「飲み込まれていたコイツラはもう死んじゃってるんだけどさ」

ブリ「最後にこうやって流れ星のように命が終わっていくんだ」

プリッ…

ハマチ(やだ…また少し漏れちゃった///)

ブリ「…興奮してるでしょ」

ハマチ「しっしてないよっ!!」

ハマチ「……多分」



ブリ「いいよ…出して」

ハマチ「だ、出しません!!」プリップリッ

ブリ「体は正直みたいだね」

ハマチ「だめぇ……みないでぇ……」プリプリ…

ブリ「ふふふ…どう?僕の精子かけられたくなったでしょ?」クチュクチュ

ハマチ「卵でるとこ触らないでぇ///」プリプリ

ブリ「好きだよ」

ハマチ「へ?」ハァハァ

ブリ「僕たちもいずれ終わる命…」

ブリ「どうせなら出会えた記念に子供を残さないかい?」


ハマチ(やだぁ…ロマンチックがとまらないよぉ///)プリプリ

ハマチ「んっ……いいよ」プリプリ

ハマチ「いっぱい出すから…いっぱい精子かけてね///」

ブリ「よしきた!」

ハマチ「もう…子供っぽいんだから」ハァ…



ハマチ「いくよ…?」

ブリ「うん…」


プリプリプリプリプリプリプリプリ……


ハマチ「はぁんっ……排卵気持ちいいよおおおぉぉ…」ピクピク

ブリ「キレイだ…」

ハマチ「はやく!はやく精子いっぱいかけてええええ!!」ビクンビクン

ブリ「うおおおおおお!!!!」

ピュルピュルピュル……





ハマチ「はぁ……はぁ……」

ブリ「見て…僕たちの愛がまるでスノーパウダーのようだよ」

ハマチ「意味は分からないけど英語カッコイイよぉ///」

ブリ「これからこの子達はどこに行くのかな」

ハマチ「そうね…愛媛あたりでいっぱい孵化してほしいなぁ」

ブリ「それはまたどうしてだい?」

ハマチ「だって……ブリの名産地だから…」カァーッ

ブリ「ふふふ…可愛いよ」

ブリ「それから僕たちは四国を一周しながら気ままに交尾を続けた…」

ブリ「何度見ても僕たちのつくる卵たちはキレイだ…」

ブリ「まるで天の川のようにこの四国と本州を繋いでる…そんな気がした」

ブリ「でも幸せな時間は長く続かないものなんだ…」

愛媛付近

ハマチ「はぁ……はぁ……」

ブリ「今日も最高だったね」ニコッ

ハマチ「うん///」

ハマチ「あーお腹空いちゃったなぁ」

ブリ「ここに美味しそうなイカがあるよ」

ハマチ「あ、本当だ!」パクッ

ブリ「もう…食いしん坊なんだから」

ハマチ「えへへ///」

ハマチ「……」モシャモシャ

ブリ「いつまでそこで食べてるんだい?」

ブリ「早く泳がないと死んじゃうよ?」



ハマチ「うぅ……ごめんなさい」グスッ

ブリ「!!」

ハマチ「これ…釣り針ついてたの…」

ブリ「くそっ!!早く下に向かって泳ぐんだ!!」

ハマチ「ダメ…口の中でうまく刺さっちゃって体の自由が効かないの…」

ブリ「なら僕も一緒に…」

ハマチ「ダメ!」

ハマチ「あなたはブリ…自由気ままに生きる魚…」

ブリ「でも!!」

ハマチ「お願い……どうか幸せに生き延びて……」

ギュルルルルルル!!!

ブリ「うおおおおおおおお!!!!!」

パクッ

ハマチ「あなた!!」

ブリ「死ぬときは一緒だよ」ニカッ

ハマチ「………うんっ!!」





漁師「うおおおいおいおいおいこりゃすげー!ブリとハマチのダブルコンボじゃねえか!!」ヒャッホー



源「クゥッ……泣かせるじゃねえかぁ……」グスッ

源「春子!おめぇなら立派な漫画家になれる!俺が保証してやるからな!!」

春子「あ、ありがとうお父さん……」




春子(どうしよう……本当はエロ漫画でやっていきたいなんて言えない…)





ケース.2
千葉崎家次女
春子ちゃん




.

ペン「どうだ油性なら消せないだろ」

消しゴム「ひどい…こんなのってないよ」グスッ

ペン「何だてめぇ…反抗的な態度だな」

ペン「その白い体を俺色に染めてやるよ!!」

消しゴム「らめええええ!!!」


消しゴム「……黒色に穢されちゃった」



春子「んっ……はぁ……はぁ……」クチュクチュ

千葉崎家次女春子
今年で高校二年生になる
趣味は人外カップリングでの妄想オナニーだ

靖子「春子ーご飯出来たわよ」コンコンッ

春子「ふ、ふわぁい…すぐイクっ…」ビクンビクン



春子「ふぅ…」

春子「だめだ…今更ペン×消しゴムなんてありきたり過ぎる…」

春子「あまり気持ち良くなれないし…」

春子「また新しいの考えなきゃ…」


オナニーばっかりしてる私だけど
私には夢がある…それはエロ漫画家になる事
いっぱい気持ち良くなれて皆も
私の漫画をオカズにしごいてくれる…
まさに淫乱な私にとって天職!
……今年は夏コミで売りたいなぁ

夜 居間

源「今日のダシはうめぇなぁ」チュルチュル

靖子「お隣の奥さんからいい昆布を貰ったのよ」ウフフ

春子(香川県民だからうどん×ダシでいくか?)

春子(いや…箸×うどんも有りかな)チュルチュル

俊雄「はぁー今日もうどんかよ」チュルチュル

源「なんだ俊雄!反抗期か!!」ガタッ

源「てやんでぃべらぼうめぇ!!」ググッ

靖子「あなた…食事中はちゃぶ台をひっくり返さない約束ですよ」ググッ

春子(お父さんとお母さん仲良いなぁ)チュルチュル

春子(お父さんって不器用だけど優しいなぁ)

春子(ちゃぶ台をひっくり返す時も絶対に誰にも当たらないようにするし…)チュルチュル

春子(貧乏だけどこんな暖かい家族に生まれてこれて良かった)ゲプッ

春子「ごちそうさま…」ボソッ

靖子「あらもういいの?」

春子「うん…勉強(妄想)するから」

靖子「頑張ってね」ニコッ

春子(お母さんもとっても優しくて大好き!)

春子(いい家族なのに私…いけない子…)

春子(あぁ…オナニーばかりしててごめんなさい…)

出るに決まってるだろ!!!

マウス「ここか?ここがええのか?」カチカチ

パソコン「はぁっ……くっ…私はクリック音になんかに負けない!!」キッ

マウス「ならこれはどや!!」カチカチカチカチカチ

パソコン「らめええええクリックとスクロール合わせたらイっちゃうううう!!!!」ビクンビクン




春子「ふぅ…」

春子「これもダメ…早く描かないと販売すら出来ないよぉ…」カリカリ


春子はとても器用である
左手でその豊満な胸を揉みしごくか
膣をいじりながら右手で漫画を書く…
まさに漫画家の鑑だ

フゥ…
最近書くスピード遅くなってすまんこ
中途半端だけどまたな

たまにはゆっくり休みます
明日は久しぶりにバイトを始めるんだ





試写室のね

次の日 学校


宇都宮「おはようございますっ春子さん」ニコッ

春子「おはよう宇都宮さん...」ボソッ

宇都宮「まだ春だと言うのに暑いですねー」

春子「うん...暑いね」




この人は宇都宮さん
内気で人見知りな私の唯一の友達
実はお嬢様なんだ

宇都宮「春子さん!もう朝食は食べましたか?」

春子「ううん...」ブンブンッ

宇都宮「うふふ...私また実家から送られてきたカンパチ持ってきたのですよ」ニコニコ

春子「わぁ嬉しい...屋上で食べよう...」

宇都宮「はいっ♪」



宇都宮さんの実家は鹿児島だ
カンパチと言えば鹿児島...
おじいちゃんがいつも送ってくれるんだって
いいなぁ...カンパチってハマチよりランク高いんだよね

屋上

宇都宮「今日も誰もいませんわね」

春子「まだ朝8時だからね...」


私たちは家が互いにアジ科の養殖を
やっているという事で仲良くなり
入学式からずっと一緒にいる


宇都宮「春子さんわさび醤油と大葉もありますよ」サッ

春子「ありがとう...準備万端だね...」

宇都宮「朝から頑張りましたから♪」

宇都宮さんはなんと魚を捌ける
お弁当箱の中にはキレイに並べられた
カンパチのお刺身が太陽に照らされていた
...いつでもお嫁さんになれるね

春子「美味しいね...」モグモグ

宇都宮「良かったです♪」

春子「冬になったら家のハマチも持ってくるからね...」

宇都宮「はい!あ、よろしければ今度春子さんのお家にお邪魔してもいいですか?」

春子「家貧乏だし恥ずかしい...」

宇都宮「気にしませんから」

春子「私は気にする...」モグモグ

宇都宮「あ!お口にお醤油が」フキフキ

春子「私と結婚して...」

宇都宮「へ///」

宇都宮「そんなっ女の子同士なんて...///」テレッ

春子「宇都宮さんかわいい...」ニヘラニヘラ

宇都宮「な、なんだか笑いかたがいやらしいですよ...」

春子「ごめん...あと告白嘘だから」

宇都宮「なっ...私てっきり本気だと思いましたよ」

春子「そもそも日本じゃ結婚出来ないから...」


...まだ宇都宮さんには
同人誌を書いてる事を言ってない...
ペン×消しゴムでオナニーしてるだなんて
親友でも言えないよね?


キーンコーンカーンコーン...

宇都宮「あ!もうこんな時間ですか!?」

関西圏だから関アジお目にかかったことないわ
凄い美味いらしいよね

教室

ざわざわ…

「ちょっとーまた魚くさいんだけど」

春子「………」スタスタ

春子(ごめんなさい…)

宇都宮「すみません皆様…今日も美味しいカンパチが届いたから我慢できなくって…」

「宇都宮さんなら全然問題ないよ!」
「私も今度食べさせてー!」

宇都宮「ありがとうございます!是非今度振る舞わせて下さい!」ニコッ

春子(いいなぁ宇都宮さん…皆と仲良く出来て…)

ガラッ

先生「はーいHRはじめるぞー…ってまた千葉﨑と宇都宮…刺し身食ったのか」

宇都宮「申し訳御座いません先生…」ペコッ

春子「………すみません」ボソッ

「千葉崎さん何言ってるの?」
「もっと腹から声出せよ!」

春子「ご、ごめんなさい…」

ヤレバデキルジャネーカ
イヤキコエネーヨ

先生「まぁ食うのは構わんが口ぐらいゆすいでから来なさい」

宇都宮「はいっ!」

春子「………はい」

先生「うん、それじゃあHR始めるぞ」

春子(また目立っちゃった…恥ずかしい)ジュンッ


春子はM気質も持ち合わせている

放課後

宇都宮「春子さん今日も一緒に帰りましょうか」ニコッ

春子「……ごめん今日はちょっと」

宇都宮「え…な、何か私に至らぬとこがありましたか!?」アタフタ

春子「違うの……今日は家の用事が……」

宇都宮「そうですか…」シュンッ

春子「……しばらくは忙しいの」

宇都宮「あ!そういえばそろそろモジャコの放流ですものね!」

宇都宮「私もお手伝いいたしますよ!!」フンスッ

春子「大丈夫だから……ごめんね」タタタッ




宇都宮「………何か気に触る事してしまいましたか…」グスッ

春子(ごめんね宇都宮さん……夏コミのためにも私頑張らないといけないの…)



宇都宮「………」

「あ!宇都宮さん今日は一人?」

宇都宮「あ、そうなんですよ…」

「千葉崎先帰っちゃったの?」

宇都宮「あはは……」

「じゃあ私達と一緒に帰ろ!!」
「駅前の美味しいクレープ屋さん寄ろうよ!」

宇都宮「……はい!私もくれーぷを食べてみたいです!!」ニコッ

千葉崎家

春子「……ただいま」ガラッ

靖子「あら春子、早かったわね」

春子「うん……勉強するから」タタタッ

靖子「後でおやつ持っていくわねー」

春子「いらない……ありがと」スタスタ



靖子「あら……ダイエット中かしら?」ニコニコ

源「なんだ春子のやつ恋したのか!?」ガラッ

靖子「年頃なんですよ」ニコニコ

春子の部屋

ガチャリ…

春子「ふぅ……」シュルリ

春子「もうすぐ当落発表…」

春子「去年はゴキブリ×スリッパの時点で落ちたけど…」

春子「今年はとりあえずブリ×ハマチで出してみた…」

春子「ので…受かってるはず!!」グッ

春子「……まだ分からないけど…」

春子「とりあえず描くか……」クチュクチュ



今日はどんな妄想しようかなぁ…
人外カップリングでも需要はきっとあるはず…

一応事前データで魚にしといてみたけど
……本当にブリ×ハマチで書いてみるかなぁ…


春子「………んっ…」クチュクチュ




宇都宮「え…な、何か私に至らぬとこがありましたか?」アタフタ



春子「!!」

春子「な、なんで今宇都宮さんの事思い出したんだろ…」クチュクチュ

春子「……私はアブノーマル私はアブノーマル私はアブノーマル……」クチュクチュ

春子「………」




宇都宮「そんなっ…女の子同士だなんて…///」




春子「ああああああ!!!」クチュクチュ

春子「落ち着け私…宇都宮さんは友達、人間……」クチュクチュ

春子「くっ……指がとまらないよぉ……」クチュクチュ

春子「こんな時は人外カプのバイブル…」ガサゴソ

春子「あった……初めてブックオフで購入した丸太×切り株(18禁)…」ペラッ



丸太「なんだお前…泣いてるのか」

切り株「だって木こりさんが…」グスッ

切り株「周りは皆立派に成長してるのに私だけ切られるだなんて…」

丸太「……俺がついてるじゃねえか」

丸太「泣くなよ…俺も余っていらないからって放置されちまったけどよ」

丸太「お前と切り離されても傍にいられるんだ」

丸太「だから哀しむ事なんてねぇよ」

切り株「……うん」グスッ

丸太「何度木こりに切られても俺達の仲は絶対に切られないぜ」キリッ

切り株「丸太くん…」

丸太「それに…お前の年輪を見れて嬉しいしな」

切り株「やだっ恥ずかしいよぉ///」

丸太「キレイだよ…」

切り株「へ?」

丸太「この幾重にも重なる丸…北の方角を向いてるな」

切り株「ダメ…北は…」

丸太「お前の故郷だもんな」

丸太「……男がいたのか?」

切り株「うん…30年間一緒だったの…」

丸太「もう昔の事だ…俺が忘れさせてやるよ」

切り株「そんな…私たち同じ木なんだよ…?」

丸太「関係ねぇ!!」ガバッ

切り株「きゃあっ!?」

丸太「どうだ!気持ちいいか!?」パンパン

切り株「らめぇ///わ、私達家族同士なのに…」

丸太「でも根元はひくついてるぜ?」パンパン

切り株「見ないでぇ……あっ……はぁん…」

丸太「俺達はここで300年間一緒に暮らそう!」パンパン

切り株「ほ、ほんと!?」

丸太「あぁ……だからお前に新しい命の芽吹きをさせるんだ!」ドピュッ

切り株「ひゃあん……中にいっぱい樹液が……」

丸太「切り株……これからは俺だけを見てくれ」ギュッ

切り株「………」




宇都宮「うん!ずっと一緒ですよ!!」




春子「はぅん……///」ビクンビクン

翌日 学校

宇都宮「おはようございます春子さん!」ニコニコ

春子「……おはよう宇都宮さん」プイッ

宇都宮「!!」

宇都宮(や、やっぱりそうですわ……)

宇都宮(私…避けられてる……)


春子(宇都宮さんでイっちゃったから恥ずかしくて顔を見れないよ///)


友達なのに私は感情を伝えるのが苦手だった…
一年間仲良くしてたのにこれだけで
私達は少し距離が開いてしまったみたい…
ごめんね宇都宮さん…
恥ずかしいけど少し話せばまたいつもどおりに
なってたはずなのにね…

最近バイト大変過ぎて全然ss書けない...
ほぼ毎日一日中働いてるから
全体的に遅めですまんこ

これも完結頑張ります

お昼休み

春子(よし...やっぱりハマチ×ブリでいこう!!)

春子(でも私の家はハマチの養殖だけだからブリとかちゃんと見たことないな)

春子(恥ずかしいけど宇都宮さんに頼んでみよう)

春子「あ、あの...」

宇都宮「な、なんですか?」

春子「急で悪いけど宇都宮さんのブリ、見せてくれないかな?」

宇都宮「わ、私のブリですか!!?」

宇都宮(私のブリって一体どういう意味ですの!?)

春子(な、何か間違って伝わったような...)

宇都宮(...私のブリって何かの比喩なのでしょうか)

宇都宮(昨日から避けていた春子さんの頼み...)

宇都宮(きっと恥ずかしくて言えなかったのでしょう...は、恥ずかしい!?)

宇都宮(まさか私のブリって...)ゴクリ



宇都宮「わ、わかりました...それでは今日は一緒に帰りましょう」

春子「え、見せてくれるの?」

宇都宮「勿論ですわ!!」フンス

春子「ありがとう宇都宮さん!」

宇都宮(どっちでしょうか...胸なのか....あそこなのか...///)

春子(ふぅ...流石宇都宮さん!九州から丸ごと一匹送られてくるなんてやっぱりお金持ちは違うなぁ)

宇都宮「そ、それで...何のためにブリを御覧になられるのです?」

春子「描くの...」

宇都宮「え!!!」

春子「実はね...今度ブリの絵を描こうと思ってて...」

宇都宮(絵を!!?)

宇都宮(もしかして春子さん...ど、同性愛者なのですか!!?)

宇都宮(しかも絵に描くだなんてなんてハレンチな///マニアック過ぎます!!)

春子(やっぱり漫画を描いてるなんて言えないなぁ...)

春子(でも頼んでみるものだ...不自然かもしれないけど少し元通りになれた気がする!!)

放課後

宇都宮「春子さん、一緒に帰りましょう」ニコッ

春子「うん」


夕焼けに染まる帰路は、どこか懐かしげで温かかった
なんだか久しぶりに宇都宮さんと一緒に帰ってる気がする

春子(...顔見て逃げてごめんなさい)

宇都宮(うう...了承したはいいけど、やっぱり恥ずかしいですわ///)


この時まではまたいつものように二人一緒にいられると思っていた
けど宇都宮さんの勘違いで事態は思わぬ方向に動いてしまったの...


性の目覚めってやつなのかな...

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