【モバマス】アッキー「わんわん」晶葉「……」 (30)

◆モバマスSSです。
◆キャラが崩壊するかもしれません。主にアッキーさんの。
◆思い付きでやったので書き溜めがないです。遅筆になってしまいます。
◆コレジャナイ感が漂う可能性が有ります。生暖かい目で見守って下さい

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もし、私とアッキーが会ったのが偶然だった。それは運命だったと言う人もいるだろう。





だが、私は運命を信じない。非科学的だ。





それは単なる結果でしかない。





友人とはそんな単なる結果の上に成り立つものだ。





私、池袋晶葉はそう思う。今も昔も変わらずに。

晶葉「ん、どうした。アッキー?」

アッキー「わう(ラボに来るのに理由がいるか?)」

晶葉「ああ、全ては理由の上に成り立つものだ」

アッキー「わふ(ならば教えてやろう。ここは単なる散歩道だ。)」

晶葉「やれやれ、ここは崇高な研究室だというのに」

アッキー「わん(崇高ねぇ)」

晶葉「な、なんだ、その目は!?」

アッキー「わう(別に)」

晶葉「君には分からんかもしれんが、ここには世界を変えるような大発明が……」

アッキー「わふ(このガラクタが、か?)」

晶葉「やめろ、いじるな!!」

アッキー「わう(ん、これは?)」

晶葉「あ、一番最初の型の通信機じゃないか。懐かしいものが見つかったな」

アッキー「わん(あれから2年か……)」

~2年前~

晶葉「ネジが2本ほど足りんなぁ……、助手に買わせるか」

P「晶葉、仕事だぞ」

晶葉「おお、助手か。珍しいな仕事なんて。こんな機械としか会話しないような私に……」

P「まあ、小さなテレビ番組だ。小さいといってもテレビ。大事な仕事だ、頑張れよ!!」

晶葉「ああ、期待には沿った活躍をしてやろう」

幸子「あ、Pさん。お仕事ですか?」

P「ああ、その……、晶葉の仕事だ」

幸子「晶葉さんの……、あっ……」

晶葉「うむ。まあ、初仕事だ。こんなもの、電子回路を組み立てるくらい簡単だよ」

幸子「そ、そうですか。が、頑張ってください。」

P(晶葉の最初の仕事……、そして最後の仕事になってしまうであろう仕事だ……)

P(晶葉の頭脳は計り知れないものがある。事実、小さいとはいえテレビに流れれば……)

晶葉「私の才能を世に知らしめるチャンスだな、助手!!」

P「ああ、そうだな」

P(彼女の言っている才能は発明の才能である。そうなれば、当然アイドルは……)

晶葉「どうした?」

P「あ、ああ……、なんでもないよ」

晶葉「このシシマイロボは大傑作だ!!」

P(そう、その大傑作のせいで俺は晶葉を裏切らなければならない)

P(晶葉と一緒にレッスンをしていた時に言われたことを思い出す)

晶葉『天才はいつも孤独というが、Pがそばに居てくれたら私は孤独ではないな……! ずっと……ずっと一緒にいて……?』

P(強気な晶葉が言ったとは思えないような弱々しいセリフ。きっと本心だろう)

P(それに、晶葉は気難しいところがある。人と人との関わりというか……、なんというか……、そんなものをどうしても数式や結果のような決まったものとしてみてしまう悪癖があり、他のアイドル達と隔たりを作ってしまっている)

晶葉「きっとみんなも驚くぞ!!なあ、助手!」

P(当の晶葉気づいていないようだ……)

P「楽屋についたぞ」

晶葉「ん、あれは誰だ?」

P「優、なんでここに?」

優「トリマー特集で一般公募に応募したら~」

晶葉「当たってしまった、というわけか」

優「あれっ、君は?」

晶葉「ああ、普段ラボにこもって会っていなかったからあなたとは会わなかったかもしれないな。池袋晶葉だ、よろしく」

優「太田優だよ、よろしくね♪この子はアッキーだよ」

アッキー「わうっ」

P「ん、優。あっちで誰かが呼んでるぞ」

優「あ、スタッフさんだ。ちょっと行ってくるからアッキーをよろしくね☆」

P「あ、ああ……」

晶葉「ちょっと席を外すぞ」

P「おお、なるべく早く帰って来いよ」

晶葉「これでアイドルとしての第一歩を踏み出せるな……。それにしても、トイレが見つからないぞ……、テレビ局は広すぎていかんな」

白衣「今回のロボが動けば完璧にあの子を引き抜けますね、教授」

教授「うむ。あれがタダのおもちゃじゃないと分かれば両親はうんと言わざるをえないだろう」

白衣「ええ!!アイドルなんて下らないものもやめさせられますしね」

教授「うむ」

晶葉(な、何を話しているんだ……、アイドルをやめさせられるだと……、そうしたら……、助手に、Pに会えなく……)

~楽屋~

晶葉「最後の仕事……、Pは気付いていたのか……」

晶葉「ん、これは書き置き?」

『緊急の打ち合わせのため、アッキーを頼む。Pより』

晶葉「ふふっ、君の頼みだ……、断れるわけないじゃないか……」

晶葉「アッキーはケージか。なるべく大人しくしていてくれ」

アッキー「わん!(出来ない相談だな)」

晶葉「!!」

アッキー「わう(ん、俺の言葉が分かるのか?)」

晶葉「ああ。この動物語翻訳機があればな」

アッキー「わふ(ならば、相談だ。)」

晶葉「相談だと……」

アッキー「わう(ああ、あんたは俺に散歩道を提供してくれればいい。俺はその途中で用をこなす)」

晶葉「犬との取り引きか。悪くないな」

アッキー「わん(さあ、どうする?)」

晶葉「交渉成立、だな」

アッキー「わん(依頼内容は?)」

晶葉「シシマイロボには自壊パーツが組み込まれている。それを回収してもらえればいい」

アッキー「わふ(了解。しかし、そのパーツとやらがわからんが大丈夫なのか?)」

晶葉「ああ。この動物語翻訳機と通信機を改造すれば……、と完成だ」

アッキー「わん(御大層な装置だな)」

晶葉「これをつければ、連絡が取り合える」

アッキー「わん(分かった。適宜、指示を頼む)」

晶葉「頼む。これは……」

アッキー「わう(おっと、これ以上時間をくうのはあまりよくない)」

晶葉「……、頼んだぞ」

アッキー「わう(任せておけ)」

アッキー「わう(シシマイロボらしきものの特徴、位置を移動しながら聞こう)」

晶葉『ああ、声は聞こえるか?』

アッキー「わふ(あんたの天才の証明ならできた。今大切なのは、目的だけだ)」

晶葉『OK。ここから廊下をまっすぐ行ったところにスタジオ……、はわかるか?』

アッキー「わう(テレビ局の基礎知識はある、嫌と言うほどにな)」

晶葉『随分愛されているな』

アッキー「わん(Pほどじゃないがな)」

晶葉『……、目的の物はスタジオのカメラ側にある。現在ほとんどのスタッフは打ち合わせのため、席を外している』

アッキー「わん(具体的な人数は?)」

晶葉『おそらく、理研関係の人間が二人。それ以外に一人だ』

アッキー「わふ(その一人、スタジオから追い出されたな)」

晶葉『!』

アッキー「わう(まずい状況みたいだな……)」

晶葉『ああ。隙を見て回収と言いたかったが……』

アッキー「わう(見張りの目が張り付いている、と)」

晶葉『やはり、無理だったのか……』

アッキー「わん(結果はやってからしかついてこない)」

晶葉『そうだな。最大限のサポートをしよう』

アッキー「わん(そう来なくちゃ困る)」

アッキー「わん(やはりな。スタジオに入ったはいいが、白い服を着ている男二人がメカに張り付いている)」

晶葉『カメラを倒せ。彼らしかいないなら陽動には十分だ』

アッキー「わふ(了解)」

アッキー(……、ここのカメラがいいか)

ガシャーン

白衣「あ!!カメラが!!」

教授「まずい、あのカメラの修理代を出さなければならないかもしれん」

白衣「すぐに確認を!!」

教授「私も行こう」

アッキー(今だな)

アッキー「わん(陽動に成功した。次の指示を頼む)」

晶葉『うむ。ロボの右側の壁はステップ式になっている。そこからかけ上がり、白い毛に覆われた部分にある赤いパーツを取れ』

アッキー「わん!(了解!)」

アッキー「わふ(目的地に到着したが、小賢しいモノを見つけてしまった)」

晶葉『何!?』

アッキー「わん(赤いパーツしかない。どうやら、気付いていたみたいだな)」

晶葉『くっ……、形で分かるか?』

アッキー「わん(特徴的なパーツは3つ。それ以外は判別がつかん)」

晶葉『よく聞け。赤いパーツは丸いパーツだ』

アッキー「わん(砂場から砂の一粒を探せとでも言うのか?)」

晶葉『いや、そうじゃない。その周辺にあるパーツは特徴的な形をしているのだよ』

アッキー「わふ(悪知恵が働くもんだな)」

晶葉『さあ、とっと回収してくれ。時間がないんだ』

アッキー「わん(ああ、そうさせてもらおう)」

アッキー「わん(回収に成功した。ただいまより帰還する)」

晶葉『OK。気付かれないように頼む』

アッキー「わふ(了解した)」

アッキー(とは言ったものの……)

白衣「壊れてはいないみたいですね」

教授「ああ。何かの拍子に倒れたのだろう」

アッキー(囮から目をそらしはじめたな……)

アッキー(出るなら今だ!)

白衣「!」

教授「犬だと……」

白衣「あ、あのパーツは……」

教授「自壊パーツのようだな」

アッキー(この二人。見た目通りのボンクラであってくれよ……)

白衣「あ、犬だ!!」

教授「あれは自壊パーツだな」

白衣「今なら間に合いますよ!」

教授「今すぐ捕まえるんだ!!」

白衣「はい!!」

アッキー(貴様らみたいなウスノロには捕まらんよ)

白衣「だ、ダメです!!逃げられます」

教授「ふぅ……」

白衣「教授、それは……」

教授「エアガンだ。人間に当たってもケガですむ」

白衣「人間に……、ってまさか!?」

教授「撃つんだよ、あのクソ犬に」

白衣「教授、さすがにそれは……」

教授「君は科学には犠牲がつきものだ」

白衣「しかし……」

教授「うるさい!!」

白衣「ぐああああああっ!!」

教授「誤射してしまったよ。次は犬に当てないとね」

アッキー「わん(作戦変更だ)」

晶葉『なんとなく状況が想定できるな』

アッキー「わふ(指示を頼む)」

晶葉『ああ。カメラを全て倒すんだ、スタッフが戻ってくる前に』

アッキー「わん(いいセンスだ)」

教授「フハハハハハ、誤射は2発で充分だ」

アッキー(こいつ……、傷つけることに躊躇がないな)

教授「動かないでくれたまえ」

アッキー(ただ武器を持っただけで自分が偉くなったと思っているらしい)

教授「ははは、銃で狙う瞬間ほど楽しいものはにいよ」

アッキー(……、まず一つ)

教授「おいおい、大人しくしてくれたまえ。カメラだってタダじゃないんだから」

アッキー(カメラは残り1台……)

教授「カメラを倒せば焦る、とでも?」

アッキー(こんなやつに見下されたら誰でも焦ると思うがな)

アッキー(癪にさわる野郎に効くクスリはただ一つ)

教授「ふふ……」

アッキー(思い知らせてやろうじゃないか)

教授「さあ、これで最後だ!!」

アッキー(おっと……)

教授「また、外れたか……」

ガシャーン

教授「最後のカメラが倒れたか……」

アッキー「わう(任務完了)」

教授「ふっ、満足したなら……終わりにしようか」

アッキー(もちろん、お前の、だろうな)

教授「ふふ、逃げ回るのに疲れたかね」

アッキー(ああ、"逃げ回る"のにはな)

教授「早く終わらせないとスタッフが来てしまうじゃないか」

アッキー(スタッフが来る、それが狙いだということもわかってるのか)

教授「早く、終わって、くれないと、困るんだよ!!」

アッキー「わんわん(うるさいやつだ。犬なら殺されている)」

教授「遠吠えを聞かせてくれ。特に負け犬みたいな悲痛なやつを」

アッキー「わん(NOに決まっている質問があるほど暇なら銃でも撃てばいいものを……)」

教授「はははははは」

アッキー「わん(THE endだ)」

アッキー(足音が聞こえる)ダッ

教授「待てっ!!」

スタッフ「お待たせしまし……、なんだ、これは!!」

アッキー(足下通らせてもらう)

教授「クソがっ!!」

パンパンパン

スタッフ「グギャアアアアアアアアアアッ!!」

教授「し、しまった……、誤射だ、これは誤射……」

アッキー(ふっ、所詮この程度か……)

教授「私はっ……、ただ……、科学の発展を……、願っていた……、だけなのに……」

アッキー(科学の発展?貴様の信じていたものはただ一つ)

教授「なのに……、なのに……」

アッキー(科学の犠牲になったかわいそうな自分への哀れみだけだ)

アッキー(独りよがりな、が抜けていたかな)

CALL!!CALL!!

アッキー「わん(任務完了をした。今から帰還する)」

晶葉『了解。パーツは回収できたか?』

アッキー「わん(多少傷ついたかもな)」

晶葉『もっと傷つけてやれ』

アッキー「わん(歯形がついてる。もう勘弁してやれ)」

晶葉『君がそこまで言うなら止めておこうか』

アッキー「わふ(では、また会おう。オーバー)」

晶葉『オーバー』

晶葉「ちょっと遅い帰還だったな」

アッキー「わん(ん、ああ、そうだな)」

晶葉「君には礼を言うよ」

アッキー「わん(こちらこそいい退屈しのぎをありがとう)」

晶葉「アッキー、そう言えば名乗ってなかったような気がするな」

アッキー「わう(そう言えばそうだな)」

晶葉「私の名前は池袋晶葉」

アッキー「わん(アキハか。いい名前だ)」

晶葉「ああ、早く通信機を返したまえ。改良が必要なのだ」

アッキー「わう(そういえば、お前みたいなやつをどうやって呼ぶか知っているぞ)」

晶葉「ん、なんだ?」

アッキー「わん(コンピューターオタク。略してオタコンだ)」

晶葉「返せ!!」

アッキー「わんわん!!」

晶葉「切ってしまえば、何を言っているか分からんからな」

アッキー「くぅーん」

晶葉「また出直して来るんだな」

優「アッキーただいま~」

アッキー「わう!!」

晶葉「ああ、大人しくしてたぞ」

優「いい子だったねー♪ぎゅーっ!!」

アッキー「わんわんわん!!」

晶葉(複雑な愛憎模様だな……)

アッキー「わんわん」

優「じゃあ、今から番組があるから行こっか、アッキー」

アッキー「くぅーん」

優「じゃあね♪」

アッキー「……」

晶葉「ああ、また会おうな」

アッキー「わん!!」

~2年後~

晶葉「あの後、収録は中止になってしまったようだ」

アッキー「わう(俺たちにお咎めはなかったがな)」

晶葉「どうやら、あの教授、余程嫌われていたらしい。警備を買収して防犯カメラのスイッチを切ったり、権威を振りかざしてスタッフをおどしたり、挙げ句の果てには助手の男にも暴力をふるっていたらしい」

アッキー「わん(自らのための隠蔽工作が自らの首を絞めるとはな。下らなすぎて皮肉にもならん)」

晶葉「そうだな。私もああならないように気をつけるよ」

アッキー「わん(ああ、十二分に気をつけてくれ)」

晶葉「む……、失礼な。私は謙虚な心を持っているつもりだ」

アッキー「わふ(つもりなだけだ)」

晶葉「君と話しているとつい不毛なやり取りばかりしてしまうな」

アッキー「わん(同じことを思っていたよ)」

晶葉「そうか……」

アッキー「……」

晶葉「行くのか?」

アッキー「わん(ご主人はああ見えて心配性でな)」

晶葉「またな」

アッキー「わふ(また会おう)」

アッキー(あいつがPに好意を寄せているのは分かる。しかし……)

優「Pくーん!!」

P「ゆ、優!!いきなり抱きつくなよ」

優「まあまあ、いいじゃん♪二人きりなんだし」

P「よくないよ……」

アッキー(ご主人もあの男に好意を寄せている)

アッキー(俺は何のため戦えばよいのだろうか)

アッキー(その答えは未だに出ていない)

アッキー(むしろ出ない方が良いんじゃないか、とさえ思えてしまう)

アッキー(争いは悲劇を生む。野生であろうが、街中であろうが、人間だろうが、何だろうがその事実は変わらない)

アッキー(争いが生まれる前に答えが出ないのは争いが起こらないとわかっているからだ)

アッキー(それ以外に答えはない)

アッキー(そう言い聞かせなければ、俺の中に住み着いた凶暴な"忠誠心"は収まる気配を見せない)

アッキー(いつか、その残酷ないつかを受け入れる日が来るのかもしれない)

アッキー(その日が来るまで俺は怯えて暮らすのだ)

アッキー(他でもない、俺自身に……)









アッキーはその残酷ないつかに遭遇してしまう。時は刻一刻と過ぎ去り彼の運命を残酷ないつかに導く。だがしかし、これはまた別のお話である。

このSSはこれにて終了です。読んでくださった皆様ありがとうございます。

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