アイドルマスター 第一部 ネオプロダクション炎上 (171)

◆ニンジャスレイヤーの文体で書かれたアイマスの二次創作です
◆アイマス全般を扱いますが実際シンデレラガールズ多めな
◆時折ショッキングな描写がありますが、出来る限り青少年のなんかに配慮した物に仕上げますのでごあんしんください

なお、私は偶然ここに来てSSを書いています。ほんやくチームは無関係

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408032567

夜。人気の絶えた事務所。
窓から差し込む街のネオンが部屋を照らし、「ラレデンシ」の文字を浮かび上がらせている。 1

部屋の中には所属するアイドルの数の多さを示すように、所狭しと物が置かれている。
机の上に積み上げられた書類やサッカーボール、くたびれたうさぎのぬいぐるみ、ワータヌキの置物……。 2

その時、雑然とした事務所の中で何かが動いた。
うごめく黒い影は物と物の隙間を縫って素早く移動している。
何を求めて?そのことを知る者は、ここにはいない。 3

しばらくすると動き回っていた影は目当ての物を見つけたのか、立ち止まり動かなくなった。 4

本家に合わせた文体という意もあるのかもしれんが、2chの掲示板だと読みづらいから改行とかしてくれると有難い

とりあえず応援してる、期待

そのまま事務所は朝を迎え、明るさが戻ってきた。
黒い影も、部屋の中を支配していた闇と共に薄くなり消えていった。
静寂に包まれた事務所の中はいつもと変わらないように見える。
しかし、そこにいつもと違う存在がいることを、知る者はいない。 5

>>6
アイ、アイ。わかりました
ありがとうございます

第一部「ネオプロダクション炎上」より:ゴーン・ウィズ・ザ・ブラックモンスター #1 6

―――――


「オハヨ」「オハヨ」アイサツを交わしながらアイドルたちが事務所にやって来る。

平日の朝だというのに少女たちがやって来る理由は、今日が休日だからだ。 8

彼女たちは事務所のソファに腰掛けて、めいめいに自分のカバンからノートやらUNIXやらを取り出しホームワークを始める。

あるいは気の合う友人やユニットの仲間が居れば雑談に興じたり、今後の方針を話しあったりして過ごす。

アイドルとして過ごす彼女たちは一秒たりとも無駄に過ごすことはない。 9

一方で壁一枚を隔てて同じように事務所にやってきては電話越しに何かを怒鳴りつけ、UNIXに向かって一心不乱にキーボードを叩く者たちがいる。

睡眠不足からくるサツバツとしたアトモスフィアを漂わせた彼らは“アイドルプロデューサー”と呼ばれ、アイドルを補佐する立場にある。 10

一見してマケグミ・サラリマンの彼らと華やかなアイドルたちの関係は不釣り合いであるかのように思える。

だがこれが今の芸能界の現実なのだ。

アイドルたちがレッスンからライブまで完璧な日程でこなせるのも、

ひとえにアイドルプロデューサーたちの過重労働の賜物によるものだった。 11

「アイドル一番」「笑顔が一番」「三時のおやつは」とミンチョ体でショドーされた社訓の下でプロデューサーたちがひそひそ話をしている。

「私は49時間連続勤務です」

「私は54時間です」

「大変ですね。ガンバリましょう」

「ユウジョウ!」

「ユウジョウ!」 12

うつろな声でお互いを励ましユウジョウを確認するプロデューサーたち。

だが、賢明な読者諸兄ならば理解できるであろう、

いくら努力しても評価されるのは全てアイドルたちであり、

逆に成果を上げ続けなければ簡単に首を切られすぐ別な者にすげ替えられるのだ。

ブラック! 13

そして声をひそめて会話していてもすぐに管理者が飛んでくる。

「ッダメコラー!サボってんじゃねえぞコラー!」

「アイエエエ!」

蛍光緑色のスーツを着た事務員が威圧的なヤクザスラングを放ちながらボーで無駄話をしていたプロデューサーを叩く。

彼らは怯え失禁しながら仕事に戻らざるを得ない! 14

なんというマッポーの光景か。

人間の尊厳もなく機械のように働かせられ続けるとは!

だがこれも全てはインガオホーなのだ。

彼らは元々志願してこの立場にいるのだ。

華やかなアイドルの側に居られるのであれば奴隷でも構わないと入社してきた者が大半であるために。 15

そんな自分たちの境遇に1つため息を付いてから、こっそりと自分の机から離れたプロデューサーがいた。

事務員が内緒話をしていた2人の同僚を制裁しに行った隙を見計らってこっそりと抜け出した。

トイレに立ち、自分の担当するアイドルのことを思う。 16

(ミユ……)

ミフネ・ミユ。年齢は20代半ばで、アイドルとしてデビューはやや遅い部類であったが、

その包容力と優しげな雰囲気で癒やしアイドル力で密かな人気を得ている。

彼女はアイドルとして順調に滑りだした今もプロデューサーとしての自分を気遣ってくれている。

内心まで推し量ることは出来ないが、それでも良かった。プロデューサーとして本望だった。 17

彼女がかけてくれた言葉を思い出すと、知らずうちに涙が出てきた。

それでも彼女はまだアイドルとして成功したと言えない部類であり、早晩自分のクビは切られ別な者に取って代わられる。

それは断じて阻止しなければならない。 18

(負けるものか・・・負けてなるものか・・・!)

彼は決断的に洗面台に向かい、顔を洗った。

早く戻らなければチヒロサンにどやしつけられる。

彼は涙で濡れた顔を洗い、鏡を覗いた。少々やつれているが、これぐらいチヒロサンのドリンクを飲めば大丈夫だろう。

彼は無理やり笑顔を作り、自分を安心させてからトイレから出た。 19

その時、彼はアイドルたちが集まる部屋から妙な音を聞いた。

不思議に思った彼が部屋を除くと、おお、ナムサン!そこはジゴクが広がっていた! 20

―――――


21

「アレッ?こんなものあったっけ?」

トップアイドルの1人、トトキが厨房(事務所に備えつけられている。オーブン完備)で素っ頓狂な声を上げる。

お菓子作りの際中、見慣れぬものを発見したのだ。 22

それは厨房に相応しくないボロいうさぎのぬいぐるみ。

一見してアンズの物だが、それが何故ここにあるのか。

「アンズ=サン盗み食いに来たのかな?」

「カモネー」

トトキは隣にいるカナコと笑いあった後、それを持ち上げた。

瞬間、何かがぬいぐるみの下から飛び出した! 23

「イヤーッ!」

「ンアーッ!?」

トトキは飛び出した何かに驚き机の角に頭をぶつけて失神!

「イヤーッ!」

「オゴーッ!?」

その何かを確認した瞬間カナコはオモチを喉につまらせて失神! 24

「トトキ=サン、カナコ=サンどうし」

「イヤーッ!」

「ンアーッ!?」

騒ぎを聞きつけて様子を見に来たアイバが突進してきた何かに驚いて失神!

「イヤーッ!?」

「ンアーッ!?」

応接間に踊りでた何かは手近に居たカミヤに飛びかかり、カミヤは泡を吹いて失神! 25

「イヤーッ!」

「イヤーッ!」

「ンアーッ!」

叩き落とそうと竹刀を振り下ろしたタマミは何かが顔に張り付いたことに驚いて失神!

「イヤーッ!」

「ンアーッ!」

足元を通過した何かに驚いて飛び上がったコシミズは、天井に頭をぶつけて失神! 26

「イヤーッ!」

「ンアーッ!」

逃げ出そうとしたタカミネの背中に何かが取り付き、タカミネは生理的嫌悪から失神!

「イヤーッ!」

「ンアーッ!」

窓から飛び降りようとしたヒノを思いとどまらせようとした何かに驚いて、ヒノは失神! 27

全て終わった後にはツキジめいた光景が広がっていた。

アイドルたちは失神して床に転がるか、ハチノコを散らすように事務所から逃げ出していた。

床に転がったアイドルたちを見下ろすのは……

ALAS!2本足で歩くコックローチである! 28

女の子はコックローチを見ればゴキブリ・リアリティ・ショックを起こし過敏な反応を見せるものである。

それが2本足で歩くとなればどれほどの衝撃を受けるものか想像していただきたい。

それにしてもコックローチが2本足で歩くとは!

これも古事記に記されたマッポーの一側面だというのか。 29

(なんということだ……なんということだ……)

異常を聞きつけてフスマ越しにこの光景を覗き見たミフネPもゴキブリ・リアリティ・ショックを受けていた。

彼はその場から一歩も動けずに立ちつくしていた。

(コックローチが?2本足で?ブッダファック!どうしろっていうんだ!) 30

だがその時彼は見てしまった。

倒れ伏すアイドルの中に自分の担当であるミフネがいるではないか!

(ああそんな!ミユ!)

ミフネはソファの上で気絶している。

助けに行かなければ。そう思うのに体が動かない。

(誰か俺に前に進む勇気をくれ!誰かフスマを開ける勇気をくれ!誰か……) 31

(誰か彼女を助けてくれ!)

GATTYA!

その思いに呼応するかのように、天井のダクトから何者かがエントリーし、コックローチの前に降り立った! 31

彼は優雅に着地すると、コックローチに向かってオジギをしアイサツをした。

「ドーモ、コックローチ=サン。モバマスPです」 33

【the idolm@ster】

(読者の皆様へ
(度重なる誤字インシデントの原因を探った所、担当者が他事務所のスパイでした
(彼は研修でとかちに送られたため、次回からはあんしんして提供できることと思います
(ご迷惑をお掛けいたしました)

>>22
? >その包容力と優しげな雰囲気で癒やしアイドル力で
○ >その包容力と優しげな雰囲気の癒やしアイドル力で


>>25
? 除く
○ 覗く

>>39
? 31
○ 32

>>43
これは立派なケジメ案件では?

>>46,47
担当者は「深夜営業でドリンクが足らなかったから」と言い訳をしていましたが
とかちから帰ってきたらケジメしてセプクさせます。
ご迷惑をお掛けいたしました。

数分後に再開な

【the idolm@ster】

彼は優雅に着地すると、コックローチに向かってオジギをしアイサツをした。

「ドーモ、コックローチ=サン。モバマスPです」 33

「ドーモ、モバマスP=サン。コックローチです」

モバPのアイサツを受けてコックローチも緩慢にアイサツを返す。

虫までアイサツするとは!だが実際アイサツは大事である。

古事記にもそう書いてある。 34

「オヌシのような油虫風情が、人間のようなマネゴトをするとはな」

モバPは油断なくジュー・ジツを構えながら相手への罵倒を続ける。

「アイドルになりたいのであればルイ・タマチ=サンのところへ行くが良い。この事務所で油虫は雇ってはおらんぞ」 35

コックローチはそれらに何も答えず、4本の腕と触覚を油断なく動かしてモバPの攻撃を警戒している。

その動きはジョルリ人形めいて、どこか不気味な印象を与える。 36

「コックローチ、死すべし!イヤーッ!」

コックローチの動きが一瞬止まった隙を狙ってモバPが仕掛けた!

突発的アイドルライブバトルが始まった!

コックローチに向かって足の裏を決断的に振り下ろし、潰そうと試みる! 37

コックローチは電撃的に反応し、残像を残す勢いで横っ飛びをして避けた。

モバPの足は空振りをし事務所の床を踏み砕く!ハヤイ!

「ヌゥ!」

モバPはストンピングを続けるが、コックローチは散らかった物や床に転がるアイドルを利用して巧みに避け続ける。

これぞコックローチ流のフーリンカザンだ! 38

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

闇雲に攻撃を続けていてもかする気配すらない!

このままでは事務所が倒壊するか、過って床にマグロめいて転がるアイドルを踏み抜くことすらありえるだろう! 39

(落ち着け……このままでは敵の思う壺。敵はこちらの事務所の戦力を削ることが目的だ)

モバPは冷静に敵の思考を分析する。

アイドルの中には今日にもライブやオーディションを受ける者もいる。

ゴキブリ・リアリティ・ショックを引きずったままでは今後のアイドル活動にも支障が出るだろう。 40

ならばこそモバPの手でアイドルを傷つけることは論外だ。

慎重に、かつ大胆にこのコックローチを排除して、後願の憂いを断つ!

彼女らのトップアイドルへの道を邪魔することなどさせない! 41

ソファの上に陣取ったコックローチを見据えたまま沈思していると、彼のニューロンに何者かの声が響いてきた。

(お願いです……殺して下さい……)

(何ッ!?)

ナムサン!

その声は目の前のコックローチのものにほかならない!

だが殺してくれとはどういうことか? 42

(これは……私の本意では……)

弱々しげにニューロンに響く声は虫めいてコックローチであることを証明しているようだ。

これもモバPのアイドルプロデュース力の高さ故にコックローチの思考を感じ取ったのであろう。 43

目の前のコックローチはソファの上で気絶するアイドルを人質に取るかのような位置に陣取り、モバPを威圧する。

このままこのアイドルが目を覚ませばさらなるゴキブリ・リアリティ・ショックにより廃人と化すだろう。

時間がない。今、ここで仕留める!

「イヤーッ!」モバPが動いた! 44

「イ……何ッ!グワーッ!?」

コックローチは同じように悠々と避けようとしたが、モバPから放たれた物によって勢い良く壁に叩きつけられた!

ゴウランガ!モバPが手にしているのはハエ叩きである!

先ほど事務所を踏みつけまくっている時に拾い上げていたのである! 45

モバPは一瞬で間合いを詰め、コックローチと相対する!

「コックローチ死すべし。慈悲はない。イヤーッ!」「グワーッ!」

「イヤーッ!」「グワーッ!」

「イヤーッ!」「サ……サヨナラ!」

コックローチはバラバラに踏み潰され、壁のシミとなった。 46

モバPはライブバトルが終わった後、しばらくその場に佇んでいた。

これで終わりではない。何かがひっかかる。何かが……。

彼はニューロンに語りかけられた内容とコックローチの実際の行動の齟齬に違和感を覚えていた。 47

(コックローチ……ジョルリ人形……まさか!)

彼はひらめきとともに厨房に置かれたうさぎのぬいぐるみに目を走らせ、この場にアンズの姿が無いことを確かめる。

(迷っている時間はない……!)

「イヤーッ!」

彼は開けっ放しの窓に足をかけ、決断的に飛び出した。 48

―――


49

「やられたか……」

シンデレラガールズの事務所の近くの路地裏で、ゴミ箱の上に座る男がつぶやいた。

男の姿は3つ揃いのスーツで、汚らしい路地には不釣り合いの姿をしていた。

「まあこれで使い物にならなくなるアイドルが出てくるだろう。それで十分……」

男は下品な笑みを浮かべながら立ち上がった。 50

路地を抜け立ち去ろうとした時に、モバPが足を引きずりながらエントリーした。

「ドーモ、メグロ=サン。やはりオヌシの仕業だったか」

モバPはやや変則的なアイサツをする。

「ドーモ。モバP=サン。私の仕業とは、なんのことかな?」

メグロと名乗ったプロデューサーは素知らぬ顔で答えた。 51

「とぼけまいぞ。パラサイト・アイドルプロダクション代表、メグロ。オヌシのジツは知っておる」

パラサイト・アイドルプロダクション!

暗黒非合法プロダクションとして裏の世界では有名なアイドル事務所で、

所属するアイドルをジョルリ人形めいて働かせることで特定の需要に答えるのだ! 52

「オヌシの所属するアイドルではバトルにならぬと見て絡め手を使ってきたか」

「あわよくばバトルに負けたアイドルを引き取ってこちらの事務所で使ってあげようとも考えていたぞ?」

メグロは悪びれること無く自信満々に自分の考えを披露する。このゲスめ! 53

「コックローチを操るのはオヌシのジツとして、アンズ=サンは……」

「彼女ならアメとオハギを1年分先払いで雇わせて貰った。ニコニコ顔でコックローチの手引をしてくれたよ」

バカ!ウカツ!散々知らない人からお菓子を貰ってはいけないと教育したのに!

モバPは自分のプロデュース力の低さを呪った。 54

「アンズ=サンは今どこにいる」

「彼女は今私の事務所に居てもらっているよ。アメとオハギで支払ったとはいえちゃんとした契約で移籍したのだからね……」

このままではアンズは彼のジツによって暗黒非合法イメージビデオに出演することになるだろう。

モバPは全身の毛が逆立つを感じた。 55

モバPはジュー・ジツの構えを取り、ライブバトルの準備をする。

「オヌシを倒し、アンズ=サンを返してもらい、アイドルたちのゴキブリ・リアリティ・ショックを解く!」

「その足でか?くじいているようだな、高いところから飛び降りたか?」

メグロはニヤニヤとモバPをあざ笑う。「出来るのか?」 56

「出来る、出来ないではない。やるのだ!」

モバPは決断的に足を踏み出し、宣言した!

「暗黒非合法プロデューサー、倒すべし!イヤーッ!」

「やってみろ!イヤーッ!」

お互いがカラテを繰り出し、路地裏で誰にも見られることのないライブバトルが始まった。 57

―――――


58

お昼休憩な

お昼はワッフルソバでした

じきに再開な

ミフネPは闖入者が窓から飛び去った後、台風一過もかくやという惨状の部屋に入った。

彼は床にマグロめいて転がるアイドルたちに目もくれずミフネの元に駆け寄った。

「ミフネ=サン!ミフネ=サン!大丈夫ですか!」

彼はミフネの肩を揺らしながら呼びかけた。 59

どこにも怪我はない。気を失っているだけだ。

これなら……そう思った時、ミフネが薄目を開いた。

「ミフネ=サン!私です!分かりますか!」

「ア……ア……プ、プロデューサー=サン……」

声にも怯えの色が見えるが、幸いにもゴキブリ・リアリティ・ショックは軽いようだ。 60

「大丈夫、大丈夫です。もうやつはいませんから!」

「そう……ありがとう、プロデューサー=サン……」

ミフネは安心した表情を見せたかと思うと、またすぐに気を失った。

「ミフネ=サン、ミフネ=サン!?」

ミフネを心配する声が部屋の中に木霊する。

その声を打ち消すように、外からカラテシャウトが聞こえてきた。 61

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

狭い路地の壁を使い、お互いが三角ケリ・キックを繰り出す。

幾度と無くお互いのケリが交錯し、綺麗に整えたスーツが乱れる。 62

モバPはコックローチを仕留めた時と事務所の窓から飛び降りた衝撃で片足をくじいているが、相手のメグロはジツ中心のカラテで劣る相手だ。

片足を使えなくても互角の渡り合いができている。

「どうした?得意のパラサイト・ジツは?」

「ダマラッシェー!イヤーッ!」 63

パラサイト・ジツは相手の意識を乗っ取り自分のジョルリ人形として使役するキネシス・ジツの亜種だ。

当然意識を乗っ取る相手がいなければこのジツは使えない。

この路地裏はモバPにとってのフーリンカザンといえよう! 64

「イヤーッ!」「グワーッ!?」

モバPのケリがメグロを捉える。メグロは吹っ飛び、頭から路地裏のゴミ箱に突っ込み転倒した。

「ハイクを読め、メグロ=サン。カイシャクしてやる」

「グググ……オノレ弱小プロダクションの虫が」

「その虫に虫けらめいて倒される気分はどうだ?暗黒非合法プロダクションの代表=サン?」

「オノレー!」 65

だが、アイドルの女神はメグロを見放してはいなかった!

事務所の側から聞こえるカラテシャウトに釣られてミフネPが様子を見に来たのだ!

メグロは目ざとく現れたエモノを見つけると、パラサイト・ジツを仕掛けた! 66

「イヤーッ!」

「アバッアババー!?」

「バカナー!?」

「ハハッハー!これで形勢逆転よ!イヤーッ!」

「グワーッ!」細い路地で挟み撃ちにされれば上に逃げるしか無い。

モバPがジャンプして避けると、そこを狙い撃ちするかのようにメグロはケリを繰り出した。 67

「イヤーッ!」「グワーッ!」

「イヤーッ!」「グワーッ!」

逃げようとしても片足が使えないモバPは満足に逃げられない。

ジリー・プアー(徐々に不利)の状況だ! 68

「イヤーッ!」「グワーッ!」

メグロのトビゲリ・キックがモバPのみぞおちに入り、くの字にふっとばされた。今度はモバPが頭からゴミ箱に突っ込む番だ。

「ハハハ。ドゲザしろ、モバP=サン。そうすれば今度はお前をパラサイト・ジツを掛けてお前をスパイするだけで許してやる!」

「誰が……!」

「イヤーッ!」「グワーッ!」 69

モバPは頭をサッカーボールめいて蹴られ、路地に転がった。

(この状況を打開するには、やはり、あれをやるしかない……!)

彼は鼻血を出しながら戦闘続行の意思を燃やした。

「立ち上がるのか。だが私に手を出すことは出来まい。お前の同僚を傷つけたくないだろう……」

メグロはミフネPを盾にした。 70

この邪悪なライブバトルの方法こそ彼を暗黒プロデューサーたらしめているのだ。

ミフネPの影に隠れウカツには攻撃出来ないだろう。

だがモバPはそれを無視するように宣言した。

「それがどうした」「な、何をグワーッ!」 71

メグロはミフネPごとモバPのケリで吹っ飛ばされた。

ミフネPの影に隠れていては相手が見えず回避することが出来ないからだ。

「アイドルプロデューサーになったものは本名を捨てさせられ、

仮の名前でしか呼ばれず、

担当アイドルのためにすり潰され、

使い捨てられる運命なのだ。

それが遅いか早いかの違いでしか無い」 72

モバPは無慈悲に宣言する。彼の歩みは決断的で迷いは一切ない。

「[ピーーー]!自分のアイドルのために!イヤーッ!」「う、ウオオー!」

メグロはミフネPを前に突き出しながらヤバレカバレにチョップを繰り出した。

モバPはそれを三角ケリ・キックでかわし、メグロにケリを叩き込んだ。

「グワーッ頚椎!」 73

「暗黒非合法プロデューサー、倒すべし!イヤーッ!」「グワーッ!」

「イヤーッ!」「グワーッ!」

「イヤーッ!」「グワーッ!」

モバPはメグロが二度と立ち上がれないよう全身にカラテを叩き込んだ。

彼がジュー・ジツの構えをとくと、メグロは気絶して果てていた。

生きてはいるだろうが、今後アイドルプロデューサーとしての活動はできなくなるだろう。

こうして、路地裏の暗黒非合法ライブバトルは終わった。 74

―――――


75

「ダッメコラー!チェッコラー!」

今日も事務所の中ではサボろうとしたアイドルプロデューサーに事務員がヤクザスラングを浴びせている。

怒鳴りつけられたプロデューサーは竦み上がりながら仕事に戻る。

その隣では白目をむいて気絶しているプロデューサーもいる。

これもいつもと同じ光景だ。 76

ミフネPは自分の机の前で考える。

この事務室の中には、あの時モバPと名乗った同僚はいない。

出社もまともにしていないようだ。

ではあの時自分たちを救ってくれたアイドルプロデューサーは一体?

考えれば考えるほど謎が深まるばかりだ。 77

「オイテメー……」

不意に事務員から声をかけられる。

手が止まっていることを見咎められたか?

「ミフネ=サンがお前を呼んでるぞ」「アイエッ!?」

彼は飛び上がり事務室の入り口に駆け寄った。扉の影にミフネが奥ゆかしく佇んでいた。

「アッ、プロデューサー=サン……」「ど、どうしましたか?」 78

「そのう、この前のお礼をまだしてなくて……」「お、お礼なんて……」

断ろうとしたが、ミフネの無言の圧力アトモスフィアを感じて口を閉じた。

「いつもスゴイお仕事も持ってきて下さいますし、そのお礼も兼ねて、なら、いいでしょう?」 79

万事控えめなミフネがここまで押しに出るのは普通ではない。

(ここで断ってしまえばミフネ=サンを傷つけるだけだろう)「ええ、では、お願いします」

ミフネPがお礼の申し出を承諾すると、ミフネは顔を輝かせた。

「じゃあ、仕事が終わったら、連絡して下さい。絶対ですよ」 80

ミフネはそう嬉しそうに言ってから身を翻した。

ミフネPはそのまま自分の机に戻らずにトイレに立った。

このニヤケ顔のまま仕事に戻れば何を言われるかわかったものではない。 81

洗面台で顔を洗いながら考えた。

(そうだ。もう考えるのはやめよう。

 クビを切られるだとか存在しない同僚だとか……。

 今、この瞬間をかみしめよう。ミフネ=サンとの時間を大切にしよう) 82

悪夢はあの黒い虫と共に去ったのだ。

だから今は楽しむ時間だ。彼は顔を上げた。

少々やつれているが、チヒロサンのドリンクを飲めば大丈夫だろう。

彼は笑顔を作り、自分を励ましてから、仕事に戻った。 83

第一部「ネオプロダクション炎上」より:「ゴーン・ウィズ・ザ・ブラックモンスター」 終わり

このSSはこれで終わりです。オツカレサマドスエ

奈緒、次の短編を投下するかもなので、スレのHTML申請はしません。

ご了承ください

担当者によれば「hage」は「saga」が磁気嵐によって変換された物らしいです。
なのでこれはケジメに当たらないと判断しました。
次回からは修正されるでしょう。いいね?

おはようございます。
この後もネオプロダクション炎上のエピソードオーを投下しようと思いましたが、
先に投下したものを読み返すと忍殺成分が多くなりすぎてアイマス成分が薄くなりすぎていたと感じたため
きゅうきょ予定を変更して左に傾いたギャグ重点な物を9時過ぎから投下しようと思います
ご了承ください

24時間365日1年を通して重課金酸性雨の雲で覆われたこの街にも、目がくらむほど眩しい日が射す時がある。

春一番が吹いた時、台風一過の時、そして、アイドルが水着を着た時だ。 1

おお、見よあのアイドルの二の腕を!

へそを!

フトモモを!

普段はまな板と笑われているチハヤも水着を着ればどうか!

おお、ゴウランガ!

ゴウランガ!!

なんと神々しい腹筋であることか!

あの腹筋に挟まれれば大の大人もただではすまないだろう。 2

こちらのユキホの水着はどうか。

奥ゆかしくタオルで胸元を隠し、恥じらう姿は実際際立った特徴はないもの、

見ていて幸せになれるものがある。

ガンプク!

向こうではすばるんの水着!

あちらではμ’sののんたんの水着だ!

水着水着、アイドル、水着……なんという季節だ!

そこら中に水着とアイドルだ!

気が狂いそうだ! 4

夏はアイドルと水着の季節だ。

皆開放的になり、肌を露出させたがる。

この輝かんばかりの肌の露出は地上の太陽めいてこの街を照らしている。

だが注意しなければならない。

その光の中に紛れて、悪意の芽があることを。 5

第一部「ネオプロダクション炎上」より:「スウィムウェア・アンド・アイドル・ヘヴン」 6

―――――


シンデレラアイドルプロダクションにはサウナやカフェと言った施設が併設されていることはよく知られている。

その他にも秘密施設として屋内プール場がビルの屋上に設置されているのだ。

主に予算が足りず社員旅行が出来ない時の代替として備え付けられているものだが、

今はアイドルたちにも開放されていた。 8

今そこには数名のアイドルと、その担当プロデューサーが来ていた。

アイドルたちは水着だが、プロデューサーの方は水着ではない。

単に水着を準備する暇がなかったのか、元々プールで楽しむ気がなかったのか……。

揃いも揃って同じようなスーツを着て、監視員めいてプールの端でアイドルたちを眺めていた。 9

「いやあ、シキ=ニャンはいいねえ」

モバPの隣に立つイチノセ担当プロデューサーがニヤけた。

「あのパレオの水着!パレオが一番最高の水着だとは思いませんか?あなた」 10

「……」

モバPは無言で同意する。

ビキニにプラス腰布をつけるだけで何故あんなに魅力的になるのか。

読者の皆様に物理アイドル力学に詳しい方が居れば是非ご享受してもらいたい。 11

「水着といえばスクール水着も捨て置けませんな」

突然横から会話に割り込んできた者が居た。ミヨシ担当プロデューサーだ。

「あの学生時代を思わせる日常アトモスフィアが溢れるロマンシング水着。いいと思いませんか?あなた」

「……」

モバPは無言で同意する。 12

「その割にはサナ=サンにはスクール水着を着せてないんですな?」

「いや、彼女が嫌がりましてね。こんなダサいな水着は嫌だ、と……」

「アイドルの感性は少しずれていますな」

「……そこアイドルプロデュース力で説き伏せるのがあなたの役目では?リボンザム=サン?」

モバPが厳かに言うと、ミヨシ担当プロデューサー、リボンザムは一本取られたと言う顔をした。 13

「それにしてもモバP=サン。先程からずいぶん静かですな?」

イチノセ担当プロデューサー、オデッセイが顔を覗き込みながら聞いた。

なるほど、モバPはプールに来てからずっと険しい顔をしてプールを眺めている。

実際もう我慢の限界なのだ。自分の担当アイドル、シオミ・シューコの水着を見てからは。 14

彼女の水着は極普通のビキニだ。

露出度の高いビキニを極普通と思ってしまうあたり業界の常識に毒されているが、ともかくビキニなのだ。

あの透けるような白い肌を惜しげも無く見せびらかして、スタイルの良い体を光に反射させている。

この眩しさをどう言葉で表現していいか、モバPにはわからなかった。 15

たどたどしく説明した時、2人の反応はイマイチであった。

「そんなことチャメシ・インシデントなのでは?」

「いちいちエキサイトしていては体が持ちませんぞ」

「もしや童貞なのでは」

「なッ!ば馬鹿にするな!」

「モバP=サン童貞だったのか……」

モバPは童貞であった。 16

おお、ナムアミダブツ……ナムアミダブツ……

この時の2人の顔とモバPの心情をどう表現したら良いのであろうか。

だがここは彼の名誉のために書くことをやめておこう。

ちょうどその時、シオミが3人の元へやって来たのだ。 17

「ねー、モバP=サン。楽しいな話してるね?」

あなや!

白く脱色した髪が顔に張り付き、

その髪の先から雫が彼女の赤く艶めかしい唇に滴り落ち、

光を放ちながら顎を伝い、

彼女の豊満な胸元で爆ぜた!

ZAP

ZAP

ZAP! 19

モバPの意識は混濁し何も話せない状態になった。20

―――――


21

シンデレラガールズアイドルプロダクションから数百メートル離れた廃ビルの一角。

そこにスナイパーめいて床に腹ばいになり、ショットのチャンスを伺う者がいた。

彼がスナイパーと明確に違う点は、手に持っているのがスナイパーライフルではなく超大型のカメラである点だ。 22

(グフフ……隠された施設だからって安心しきっているな……)

彼は油断なくカメラのファインダーを覗く。

その先には、どういう技術であろうか、プロダクションのプールの姿がくっきりと写っているではないか! 23

(アイドルがプロデューサーとプールデートなんて知られたらアイドル生命一巻の終わりだな!)

そう、彼は裏社会の情報筋からこのプールの存在を知り、この数週間ずっとこの廃墟で監視していたのだ! 24

情報をもたらした依頼主は、アイドル生命を断つ決定的な写真を依頼してきた。

そのための謝礼も一生遊んで暮らせるほど前金を貰っている。

(アイドルのポロリ写真も写せばアブハチトラズ!俺様の役得だァー!)

彼は夢中でシャッターを切りまくった。 25

ちょうどその頃、モバPは気絶から立ち直っていた。

「おい、本当に大丈夫か?」

「大丈夫、大丈夫。1足す1は2だ。2足す2はイルカチャン。だから大丈夫……」

リボンザムの問いかけに上の空で答える。

頭のなかはシオミの水着姿でいっぱいだ。

「おい、やっぱりもう少し寝かしておけ」 26

その時、モバPは建物の外から自分たちに向けられる邪悪意思を感知した!

「イヤーッ!」

「ついに気が狂ったか!?」

驚愕するオデッセイの声を尻目に、一目散に邪悪を感じた方向――廃墟ビルに飛んでいった。 27

(ウィピピー!ミカ=サン!フミカ=チャン!レイコ=サン!ブーブスがいっぱいだァー!)

廃墟の中にいる彼は使命を忘れ写真を取りまくっていた。

彼は単なるデバガメと化していた。

そんな彼が、どうしてアイドルプロデューサーの接近に気づけようか。 28

彼は腹ばいになっているせいで窮屈に感じた自分の分身を楽にさせようと、腰を浮かせた。

その直後にその腰を踏みつけられ、自分の分身は勢い良くコンクリートの中に埋め込まれた。 29

「アバーッ!?」

「ドーモ、デバガメ=サン。モバPです」

彼はジゴクから漏れ出る瘴気の音のごとくアイサツした。

「アバッ……アバッ……」

「アイサツなど返さなくても良い。オヌシは……たっぷり痛めつけた後、ハイク程度は読ませてやろう」

彼はジゴクのデビルめいて宣言した。 30

「デバガメ死すべし。慈悲はない」

「アイエエエエエ!」

「イヤーッ!」「アバーッ!」

「イヤーッ!」「アバーッ!」

「イヤーッ!」「アバーッ!」

「イヤーッ!」「アバーッ!」

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