サキュバス「それは傷つくわ」(72)

サキュバス「おい」

男「ん?」

サキュバス「くれよ」

男「なにを」

サキュバス「サキュバスがくれよって言ったら」

サキュバス「そんなのひとつしか」

サキュバス「ないわけじゃん?」

サキュバス「ん?」

サキュバス「だからさ」

サキュバス「くれよ」

男「やだよ」

サキュバス「は?」

サキュバス「ちょっと意味わかんないです」

サキュバス「なんで?」

男「今日疲れてんだよね」

サキュバス「うーわ」

サキュバス「おまえまじか」

サキュバス「……まじかおまえ」

男「なんか言いたげだな」

サキュバス「そらそうだろ……お前そらそうだよ」

サキュバス「お前こんな」

サキュバス「かわいくて」

サキュバス「おっぱいでっかくて」

サキュバス「腰きゅーのおしりばーんの魔性が」

サキュバス「誘ってんのに」

サキュバス「疲れたとか。ないわー」

男「そう言われても……」

サキュバス「あれだろ」

サキュバス「遠慮してんだろ?」

男「全然」

男「疲れてんだよまじで」

サキュバス「それまじやめろ」

男「なにが」

サキュバス「疲れたっていうの」

サキュバス「やめろ」

男「なんで」

サキュバス「人間界じゃどうか知らんけど」

サキュバス「サキュバス的に」

サキュバス「『疲れた』とかはまじ禁句」

男「そうなん?」

サキュバス「当たり前だろ……」

サキュバス「疲れたとか」

サキュバス「飽きたとか」

サキュバス「言われるとまじ立ち直れない。PTSDもの」

男「今日はしたくない」

サキュバス「サキュバスが言われて傷つくランキング上位」

男「じゃあどう断ればいいんだよ……」

サキュバス「なんで断るの前提なんだよ……」

サキュバス「じゃあまず落ち着こう」

サキュバス「とりあえず疲れてるのはわかった」

男「おう」

サキュバス「動きたくないと」

男「うん」

サキュバス「じゃあこうしよう」

サキュバス「口でするから」

サキュバス「動かなくていいから」

サキュバス「ひたすらチュッパチャップスするから」

サキュバス「それならどうだ?ん?」

男「うーん・・・」

サキュバス「な、な?」

男「いや、いいや」

サキュバス「は?」

男「今日たぶん」

男「萎えると思う」

サキュバス「おい」

男「え」

サキュバス「サキュバスに向かって」

サキュバス「萎えたとか」

男「PTSD?」

サキュバス「自殺ランキング上位」

男「重いよ……」

サキュバス「愛は重いもんだろうが」

男「愛あんの?」

サキュバス「言わせるの?」

男「聞いてはみたい」

サキュバス「全力で食糧」

男「飢え死ねよ」

サキュバス「焦らしプレイ?」

男「炊事拒否」

サキュバス「でも体は正直なんだろ?」

男「萎えた」

サキュバス「だからそれやめろっつってんだろ」

男「今日ほんと勘弁してくれ」

サキュバス「まじかよーなんでだよー」。なにかあったんか?」

男「なにもないけどさ……」

サキュバス「じゃあなんでだよー」

男「そらお前さあ……」

サキュバス「ん?」

男「毎日毎日」

男「疲れるだろ…」

サキュバス「最初」

サキュバス「あれだけ」

サキュバス「激しかったくせに……」

男「飽きるよなあ」

サキュバス「あ、ちょっと待って。眩暈が」

サキュバス「炊事拒否するならわたしにも考えがある」

男「なんだよ」

サキュバス「ほかのおとこのとこにいく」

男「あー……」

サキュバス「お、いまの反応いいぞ」

男「それはやだな」

サキュバス「だろ、だろ?」パタパタ

男「でも疲れてんだよなあ」

サキュバス「もう百歩ゆずって疲れたのはわかったから、言わなくていいから」

サキュバス「こっちもおなか空いてるんだってほんと……」

男「うーむ」

サキュバス「持ちつ持たれつ。な、な?」

男「ていうか前から思ってたんだけど」

サキュバス「?」

男「お前の食糧ってさ」

サキュバス「うん」

男「下から以外じゃだめなん?」

サキュバス「んー」

サキュバス「それ言われると困る」

男「困るの?」

サキュバス「ほんとのこと言うと」

サキュバス「キスでも」

サキュバス「いいっちゃいい」

サキュバス「精気的なあれだからな」

サキュバス「でもなー」

男「でも?」

サキュバス「味が……」

男「味…」

サキュバス「わかりやすくいうとだな」

サキュバス「下からのはさ」

サキュバス「ぎゅっと濃縮されてるじゃん?精気的なあれが」

男「まあ、うん。わからなくもないかな」

サキュバス「でもほら、キスってなんかこう」

サキュバス「せいぜい唾液とかだし」

サキュバス「ふわっとしてるっていうか、濃厚じゃないというか優しいっていうか」

サキュバス「あーとね。わかりやすくいうとな…」

サキュバス「お前は」

サキュバス「炊き立ての白ごはんとおかゆ」

サキュバス「どっちが好きよ」

男「……ああ、そういう」

サキュバス「わかってくれて嬉しい」

サキュバス「私はやっぱり白ごはん派なわけですよ」

男「じゃあ今日はおかゆで」

サキュバス「むう」

サキュバス「仕方ないな……」

サキュバス「そんかわし」

男「ん?」

サキュバス「おかずは濃い目にな」

サキュバス「ぎゅーってな」

男「ようわからん」

サキュバス「抱きしめろってことだよ恥ずかしいな」

男「お前ツンデレだっけ」

サキュバス「うるせー」ギュー

…………
……

サキュバス「ごちそうさまでした」ケプッ

男「ふむ」

サキュバス「美味かったぞ」

男「……」

サキュバス「どうした?」

男「いや」

男「なんかキスだけしてたら」

男「……」

サキュバス「興奮してきたか」

サキュバス「わたしのテクではしょうがないな」パタパタ

男「……うーん」

男「する?」

サキュバス「あ、いいです」

男「は?」

サキュバス「なんだお前その」

サキュバス「不満げなせりふは」

男「そらお前な……お前それはな」

サキュバス「もう今日は十分精気的なのはいただいたから」

サキュバス「おなかいっぱい」

男「うぐぐ」

サキュバス「自分の欲望に従順なのは嫌いじゃないが」

サキュバス「お前さんざん断っておいて」

サキュバス「いまさらそれはないわ」

男「返す言葉が」

サキュバス「あったら聞きたい」

男「ちなみにさ」

サキュバス「うん」

男「生気的なあれを吸わない感じでしちゃうのは」

サキュバス「あー…」

男「おなかいっぱいならいっぱいで普通にはできんのか」

サキュバス「契約外」

男「ですよね」

サキュバス「例外もある」

男「ほう」

サキュバス「恋人としてなら」

男「普通だな」

サキュバス「サキュバスが恋しちゃダメってことはないんだぞ」

サキュバス「それで?」

男「え」

サキュバス「契約外?」

男「……」

サキュバス「……」パタパタ

男「……」

サキュバス「……」パタパタ

男「言えねー!」

サキュバス「ヘタレがっ!」

男「それはそうとさ」

サキュバス「話そらしたな?」

男「さっき白御飯どうとか話でたじゃん」

サキュバス「無視か。まあ嫌いじゃない……うん」

男「料理とかはやっぱしない感じ?」

サキュバス「お、いいとこついてきたな」

男「そうなのか」

サキュバス「まあ、なんだ」

サキュバス「実はな」

男「無能か」

サキュバス「なめんなよ。めちゃめちゃ作れるわ」

男「おお」

男「それは初耳」

サキュバス「初めて言った」

男「なに作れるよ」

サキュバス「ホワイトシチューとか豆乳カレーとか杏仁豆腐とか」

男「白くね?」

サキュバス「あいむサキュバス」

男「そこ聞きたくなかったわ」

男「でもお前ご飯食べないじゃん」

サキュバス「毎日食べさせてるくせに…」

男「いやそうじゃなくて」

サキュバス「知ってた」

男「……で?」

サキュバス「避難食的なイメージ」

男「食べないこともないってことか」

サキュバス「契約者に作ってあげると喜ぶしな」

男「ふむ」

男「」

サキュバス「お」

男「お?」

サキュバス「いまちょっと」

サキュバス「ヤキモチ妬いたな?」

男「は?」

サキュバス「ほかのやつに」

サキュバス「作ったことあんのかなーとか」

サキュバス「考えただろ?」

サキュバス「ん?」

男「考えてねーし」

サキュバス「そうか…残念だ。それならキュンキュンで契約外でもいいぞ///って思ったかもしれないのに…」

男「考えたけど?」

サキュバス「よろしい」

サキュバス「過去にこだわる男はモテないぞ」

男「別にモテなくていいし」

サキュバス「出たー、負け惜しみ」

男「負け惜しみじゃねーし」

サキュバス「負け惜しみだろ」

男「お前がいるし」

サキュバス「……」

男「……」

サキュバス「もおぉおおぉお!!ふざけんなよぉおぉ!!」ジタバタパタパタ

男「頑張ったろ!?」

サキュバス「それは卑怯だろ…」

男「お前が言えって言ったんだろ…」

サキュバス「不意打ちはNGに決まってるだろ…」

男「わがまますぎるだろ……」

サキュバス「乙女心っていえよ」

男「それで返事は?」

サキュバス「全力で食糧」ギュー

男「くるしい」

サキュバス「♪」ギュー

男「この流れは?」

サキュバス「not契約外」

男「oh……」

サキュバス「残念そうだな」

男「嬉しくはないな」

サキュバス「でもいっこだけお知らせがある」

男「なんだろうか」

サキュバス「ちょっと」

サキュバス「小腹が」

サキュバス「空いてきた」

男「……」

サキュバス「……」


このあとめちゃくちゃセックスした

べつの日。

サキュバス「なーなー」

男「うん?」

サキュバス「いこうぜ」

男「は?」

サキュバス「海に」

サキュバス「行きたいなっていう」

男「海?」

サキュバス「おう」

男「なんでまた」

サキュバス「は?」

男「え?」

サキュバス「海に行きたいっていうのに」

サキュバス「理由いるんか?」

サキュバス「ん?」

男「それはともかく」

男「金が…」

サキュバス「バイトしろよ…」

男「あるなしじゃなくてもったいない」

サキュバス「いつもえっちぃことしてやってるだろ」

男「AVレンタル料くらいは浮いてるけどさ」

サキュバス「お前ぶっとばすぞ」

サキュバス「わかった正直に言おう」

男「うん」

サキュバス「晴れやかな空」

男「うん」

サキュバス「涼やかな風」

男「ふむ」

サキュバス「ビーチに群れる」

男「うん?」

サキュバス「黒々とした肉体のおとこども」

男「…」

サキュバス「水辺で乱交したい」

男「気持ち悪い…」

サキュバス「予想より辛辣」

サキュバス「まあ待てよ」

サキュバス「すげー納得する答えが」

サキュバス「あるんだからな」

サキュバス「目からウロコな」

男「言ってみろよ」

サキュバス「お前もたまには外食するだろ?」

男「ちょっと期待した俺が馬鹿だった」

サキュバス「冗談はさておきな」

男「…」

サキュバス「お前らも肉だけとか野菜だけとかして食べてたら」

サキュバス「栄養偏るだろ?」

男「…まあ」

サキュバス「わたしたちもな」

サキュバス「美味いからとひところにばかりいては」

サキュバス「偏るわけだ。栄養的なあれが」

男「それ」

男「人によってそんな違うのか?」

サキュバス「語ってよいのか」

男「語ってみろよ」

サキュバス「しゃあないな」

サキュバス「じゃあ」

サキュバス「サキュバスなどの生物にとって三大栄養素とは精気、陽気、淫気である(精気はオーラとも呼ぶ)。三大栄養素のうち、精気を除いた陽気と淫気は 身体をつくる役割も果たしている。
五大栄養素と言うと、前記三大栄養素に恋気と白気が加わる。恋気と白気の主な働きは身体の調子を調えることで
男「まあ待てよ」

サキュバス「なんだよ…」

男「なんだよじゃないだろ…気持ち悪い語りすんなよ…」

サキュバス「お前が語れって言ったんだろ…」

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