八幡「余命一年…ですか」 (56)
「今の医療では手の施しようのないところまでガンが進んでいます、一年と言いましたが、
生活習慣次第では早まる可能性の方が高いです。何分十代ですので…」
八幡「…」
「悔いの無いように過ごしていただくしかない状態です。延命治療は可能ですが、金額もその分掛かります
。何より副作用が重く、あまり勧められないです」
八幡「金が掛かるならやめときます、副作用も怖いですし」
「ご家族に報告しておきましょう」
八幡「いやいいっす、俺から伝えるんで」
「くれぐれもやけにならないでください、何か画期的な治療法が見つかることだってあるんです」
八幡「学校サボる口実が出来てありがたいくらいですよ、もう帰ってもいいですかね?」
「…ええ、検査もありますので定期的にこちらに来てください」
八幡「分かりました」
8月8日、18の誕生日に俺は成人する前に死ぬことを伝えられた。
一年、つまり365日の内に俺は死ぬということだ。ぼっちだから悲しむ奴は少ないがゼロじゃない、小町は悲しむだろうな
そういや俺って生命保険とか入ってんのかな?入ってたらこの価値のない人生に値段がついて
親父と母ちゃんと小町の人生が豊かになるだろう。さっき俺の口から報告するといったな、あれは嘘だ。
末期ガンだけに腫れ物に触れるような扱いなんてごめんだ。
人知れず、出来れば人目につかず誰にも見つけられずに死のう。
雪ノ下も由比ヶ浜も俺が死んでせいせいするだろうしいいことづくめだ。
今から大目に見積もって365日、何をして生きていこうか?
とりあえずいつものあれやっとくか
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学校
静「なんだこれは?」
八幡「退学届っす、もういろいろとあれなんでリアルヒッキーになっちゃおっかなって」
静「ふざけているのか?」
八幡「マジです、もう疲れたんすよね、悪役も奉仕部も何もかも」
静「何があった?話を聞こうじゃないか」
八幡「死んでも言いません」
静「ほう?私のラズトブリットを食らってもか?」
八幡「今日で最後ですし、好きなだけ殴ればいいんじゃないっすか?被害届も出しませんし、半殺しくらいなら甘んじて
受けますよ」
静「…」
八幡「それじゃあ、二年間ちょいお世話になりました、結婚できるといいですね」ペコ
静「すぐに受理はしない、気が変わって、間に合うならいつでも復学させてやる」
八幡「そうですか、じゃあ考えときますよ」
家
八幡「ふう」
これでようやく自由の身になれたが、何もする気が起きない、何かしたところで評価されるわけでもないし、このまま最期を
迎えるのもいいかもしれないな。
ブーン!ブーン!
携帯の電源を切って俺は何となく街へと出掛けた
千葉市街
八幡(さあ何をしようかな、所持金もそこそこあるし、一人でサイゼリア行っとくか)
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
八幡「はい」
「では禁煙席へご案内いたします」
八幡(タバコの煙とかあんま吸いたくねえな、何か寿命が縮みそうだ)
「ご注文が決まりましたらそちらのボタンでお呼びください」
八幡「ドリンクバーとドリアで」
「かしこまりました、少々お待ちください」
八幡(たまにはコーラでも飲むか)
結衣「あれ?ヒッキーじゃん、何してるの?」
八幡「腹減ったから飯食いに来てんだよ、お前こそ何してんだよ」
結衣「え?あたし?あたしは…バイトの帰り」
八幡「なるほどね、遊ぶにも先立つものがいるもんな」
結衣「そ、そういうことだし!」
八幡(まあ本当に先立つのは俺なんだけどな、これぞブラックジョーク)
結衣「あ、ヒッキーこれから時間ある?」
八幡「あ?ねえよそんなもん」
結衣「ん、わかった、じゃあパセラね」
八幡「俺の話聞いてた?時間ねえんだって」
結衣「またまたー、バイト帰りでもないくせに一人でサイゼ来てそりゃないじゃん」
八幡(あと364日しかねえんだが…あ、そういえば借りを返すのにちょうどいいか)
結衣「ヒッキー?どしたの?」
八幡「由比ヶ浜、ハニトーおごってやるよ」
結衣「え!?」///
八幡「ふと思い出してな、どうする?」
結衣「ももももちろん行く!」///
八幡(身辺整理第一弾、スタートだ)
結衣「ドリア美味しいよねー」ウマウマ
八幡「まあな」ムシャムシャ
結衣「えへへー」
パセラ
八幡「ほれ、来たぞ、パセリのハニート」
結衣「パセラ!ハニトー!」
八幡「どっちでもいいだろんなもん」
結衣「よくないし!」ブーブー!
八幡「さっさと食うぞ」
結衣「いっただっきまーす!」
30分後
八幡「うし食ったな、そんじゃあ帰るわ」
結衣「あ!ま、待って!」///
八幡「どした?」
結衣「あとちょっとだけ付き合って…?」///
八幡「…すぐ済むのか?」
結衣「うん、30分くらいもらえたら大丈夫かな…」///
八幡「んじゃ付き合ってやるよ。…(これで最後だしな)」
由比ヶ浜家の近く
結衣「でね?優美子がさー」
八幡「何か用があるんじゃねえの?」
結衣「…これ、あげる」///
八幡「何だこりゃ?」
結衣「誕生日プレゼント、あたしももらったからお返し」///
八幡「あー、そういや俺18か、実感湧かねえな」
結衣「もう1年以上だもんねー、ゆきのんとヒッキーとあたしで奉仕部」
八幡「そうだな」
結衣「ここ、覚えてない?」
八幡「ん?確か祭りのときに一回来たような…」
結衣「携帯はサイレントにしてるし、今度こそ全部言うね?
始まりが正しくなくても好きって気持ちに間違いなんかないよ、だから比企谷八幡君、あたしはあなたが好きです。
あたしと付き合って下さい」
八幡「無理だ」
結衣「…そっか、ゆきのんじゃ敵わないよね」
八幡「そんな理由じゃない、無理なんだ」
結衣「どういうこと…?」
八幡「俺はお前みたいに優しい女の子が嫌いだ、雪ノ下みたいに不器用な女の子も嫌いだ…ただそれだけだ」
結衣「…ぐすっ…そっか…ごめんね…つき…あわせ…ひっく…ちゃってさ…」
八幡「もう会うこともないだろう、さよならだ由比ヶ浜。元気でな…」
結衣「好きだったよ…ヒッキー」
黄昏時、また二つ大切なものを俺は手放した。
適当に家族が寝静まるまで時間を潰し、帰宅する
こっそり鍵を開けて家に入ると小町が仁王立ちしていた
八幡「た、ただいま…」
小町「お兄ちゃん?ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
い、妹の背後に阿修羅が見える…
小町「それでお兄ちゃん、学校やめるってどういうつもりなの?」
八幡「…」
小町「平塚先生から電話が繋がらないって苦情受けたしさ、夏休みだからって冗談が性質悪いでしょ?」
八幡「本気だ」
小町「どういうつもり!?」
八幡「もう俺は俺のためだけに人生を使うと決めたんだ、誰にも邪魔はさせない」
小町「…何かあったんでしょ?分かるよ?兄妹なんだし」
八幡「もう決めたことだ、俺は死ぬまでこうやって好きに生きていく」
小町「ほんとどうしたの?言ってくれないと分かんないよ」
八幡「言わない」
小町「言って」
八幡「死んでも言わない」
小町「じゃあ死んでも聞く」
八幡「寝る」
小町「こら!寝ないの!」
ピンポンピンポンピンポンピンポン!
小町「こんな時間に迷惑なー!」
八幡「確かに、火事でもあったか?」
玄関
小町「何ですか!?さすがに鳴らし過ぎ…雪乃さん?結衣さんも」
八幡「まさか家にお前が来るとはな…」
雪乃「私の友人を泣かせた報いを受けさせに来たわよ、比企谷君」
結衣「やっはろー…ヒッキー、小町ちゃん」
小町「ここじゃなんですからあがってくださいよ、ささ」
雪乃「お邪魔します」
結衣「お邪魔します…」
八幡「で?何しに来たんだよ、報いがどうとか言ってたけど、報われないのが俺の人生だぞ」
雪乃「そんなことは知らないわ、由比ヶ浜さんを罪は重いのよ」
八幡「俺の軽い命で贖えるのか?腹切りでもしろってのか」
雪乃「ふざけないで、平塚先生から聞いたわ、学校を辞めるそうね。理由もまともに話さず、あくまでも人を突き放して
逃げ切るつもりなのでしょうけどそうはいかないわ。隠していることを全て話してもらうわよ」
八幡「んなもんねえよ、ただ疲れただけだ」
雪乃「いくらあなたでもそんな理由で学校を辞めるわけがないでしょう、あなたがそのつもりなら興信所でもなんでも使って
調べることも可能なのよ?あとは時間の問題よ、早いか遅いかだけの」
八幡「……」
小町「小町も知りたいな、お兄ちゃん、直接お兄ちゃんから聞きたいよ」
結衣「あたしも同じ気持ち、ヒッキーは大事なことを隠してる、あたしたちで何か力になれるかも知れないじゃん。だから話してよ…」
八幡「…364日」
雪乃「…」
小町「…」
結衣「…」
八幡「俺の残りの時間だ」
雪乃「そういうことだったのね」
小町「何で言わないの!?」
結衣「小町ちゃん落ち着いて!」
八幡「母ちゃんと親父だけはこのことを知ってた、生命保険の関係もあるしな。俺が死ねば8桁おりるそうだ」
雪乃「どうして黙っていたのかしら」
八幡「言う必要もないだろう。浪花節は期待できねえしな。今まで通り人知れずこっそり居なくなりたかった」
結衣「あたしもゆきのんも小町ちゃんも絶対に気付いてたよ!」
八幡「気付いたところでどうなるもんでもねえだろ、19になるころにはくたばってんだから」
バチン!
雪乃「ふざけないで!」
八幡「…はっ、殴りたきゃ好きなだけ殴れよ、一年以内に痛みもクソも無くなるんだ、クソみたいな人生だったって胸を張って死んでやるよ」
小町「お兄ちゃんのバカ!」
結衣「ヒッキーの人生はそんなんじゃない!」
雪乃「人の気も知らずに…そうやってあなたは…」ギリッ
八幡「洗いざらい喋ってやったぞ、さっさと帰れ」
実際に興信所の調査で病気が判るの?
>>23人の口に戸は立たないものだよワトソン君
雪乃「ねえ比企谷君」
八幡「んだよ」
雪乃「私たちは夜中にインターホンを連打するような不良よ?素直に帰ると思う?」
八幡「はあ?」
結衣「あたしはまだヒッキーのこと諦めたわけじゃないからね!」
小町「こんな兄ですが、二人ともよろしくお願いします」
八幡「そうやってお前らは俺を死ぬまで苦しめるんだな、よーく分かったよ」
小町「何言ってんの!?二人ともお兄ちゃんを心配してくれてるんでしょ!?」
八幡「なあお前ら、ちょうどいい季節なわけだから聞いてやるが、怪談とかで出てくるような幽霊ってのは何であると思う?」
雪乃「おおよそ未練や無念、怨念…あ…」
八幡「そういうこった、何で寿命の終わりが見えてるのに冷静かっつったら一般よりも遥かにそういうもんが少ないからだ
だってお前ら切り離したらあとは何にも残らねえしな。そんな中でこれからも生きていくお前らの自己満足で残り少ない時間
まで取られるとかたまったもんじゃない」
結衣「…」
八幡「分かったか?俺は一人で死んでいくんだよ、何なら死体すらも残さないように消えたいくらいだ」
雪乃「あなたは本当にそれでいいの?」
八幡「そりゃ長生きできるならしたいけどな、ぼっちは現状あるもので最大限まで満足しないとならないもんなんだよ
だからお前らの人生の中で俺を消してくれりゃいい」
小町「…」
結衣「…」
雪乃「…」
このSSまとめへのコメント
続き気になる
頑張って完結させてください!
不謹慎だが中々面白い
期待してるぅ
すごくいい
続きが気になる
頑張ってください期待してます
期待してますぜwww
ここで失踪はたちが悪い
頼むから続けてくれ
面白いです。待ってます
続きはよ
続きお願いします。
気になって仕方ありません。
続きみたいです
続き頑張って下さい。展開がすごく気になります。
↑脆弱者の作者なら逃げたからもう続きはないよ?諦めな。
中途半端に書いて失踪するなよ、質が悪い
ふざけるなぁああぁあ
つづきキニナル
書く気が無いなら最初から書くな
本当エタばっかだなー
完結させる気がないなら書くなよ……
最近、半端なの多いけど流行ってんの?
続きが気になります 早く更新お願いします
完結させる気ないなら書くんじゃねーよ
これは大作の予感w
続きをオネシャスw
先が、気になる。
これはひどい
完結してよほんとまじで
早くしなさい
プロットも考えず思い付きで書き始めるエタ野郎ほんと嫌い
※28
ssも書かずに口で言うのは簡単だよね
えッ!?ここで終わり?
お願いします、たのむからつづきかいてください
続き気になる
はよおおおおおおおおおおおおお
はぽおぉぉぉぉん
続き早よ
もったいないなあ......
ほむぅ…
して、続きは?
誰か別の人が書いてみてはどうだろうか?
自分は駄文なんで他人頼みなんです
※38
今更ながら別人が続き書いたみたいだな。
【勝手に再編集】ってついてるやつ。