エリチカ「何か悩んでる？」


絵里「関係ないでしょ」


エリチカ「でもすごいしかめっ面」


絵里「元々こういう顔よ」


エリチカ「でも確かに前はずっとそんな感じだったわね」


絵里「...なんなのよ」

エリチカ「友達がいないとつまらない？」


絵里「そんなことないわ。むしろいる方がうっとおしいもの」


絵里「私は誰かに頼ったりしない。
全部一人でなんとかするの」


エリチカ「またまた、意地張っちゃって。」


絵里「意地なんて張ってないわ」


エリチカ「嘘よ。私ずっと友達欲しかったもの」

絵里「あなた本当に誰なの？」


エリチカ「だからあなただって。」


エリチカ「今は...あなた高校一年生？
あはは、こうして見ると可愛いものね」


絵里「何笑ってるのよ...」


エリチカ「胸も身長もまだ成長するわよ。安心しなさい」


絵里「別に心配してないわよ」

絵里「あなたなんか楽しいことでもあったの？あなたみたいにヘラヘラしてる人って私嫌いなの」


エリチカ「うーん、楽しいこと...って言ったら、毎日かな？」


エリチカ「今私は毎日が楽しいわ」


絵里「...やっぱり、私あなたのこと嫌いよ」


エリチカ「自分は楽しくないのに、楽しそうな奴見ると腹立つもんね。わかるわかる」

エリチカ「もっと肩の力抜いたら？あんた今色んなこと我慢してるでしょう」


絵里「してないわ。これが自然体よ」


エリチカ「嘘」


絵里「なによさっきから知ったような口聞いて！あなたに私の何が分かるの！？」



エリチカ「全部分かるわよ。だって私はあなた自身だもの」

エリチカ「学級委員大変よね。もう一人の子は仕事しないから全部任されてさ。よく頑張ったと思うわ私」


絵里「...別に。最初から一人でやればよかったのよ。あんな奴にに頼ったのが悪い」


エリチカ「文化祭の企画も、みんなぜーんぶ私任せで。そのくせ私がちょっとミスすると怒るんだもん。嫌になっちゃうわよね」


絵里「それも同じ。完璧にできなかった私が悪い。」


絵里「人は一人よ」

エリチカ「人は一人...ね。」


絵里「...そうよ。私はこの先もずっと一人。一人で頑張って生きていくの」


エリチカ「そうね。それが正しいし、それが楽だし、それしか出来ないって思ってた」




エリチカ「でもね」

エリチカ「もう少ししたらね、友達一人出来るわよ」


絵里「...え？」


エリチカ「なんか変な関西弁で、いっつもタロットカード持ってる変な子」


エリチカ「人のことからかうし、なんでもお見通しだし、けっこう腹立つときあるんだけどね」


エリチカ「でもすっごく思いやりがあって、困った時何時間でも話聞いてくれるような友達が、ね」


絵里「...」

エリチカ「あと、そうそう。後輩もできるわ。これがまたちっこくて可愛いの」


エリチカ「頭が良くてとっても美人なのに素直になれない子とか」


エリチカ「ご飯が大好きで、とっても優しい心を持った子とか」


エリチカ「とっても元気で、私なんかにも正面からぶつかってきてくれる、猫みたいに可愛い子とか」


絵里「...」


エリチカ「まだいるのよ？」

エリチカ「裁縫が得意で、とってもおしゃれで女の子らしい子」


エリチカ「頑固でお堅くて、とっても強いのにすごい恥ずかしがり屋な子」


エリチカ「見栄っ張りだけど面倒見が良くて、誰よりも強い意思を持った子...って彼女は同輩だったわ」


絵里「...そんなに友達ができるの？」


エリチカ「そうよ。私をそういう風に変えてくれる子がいたの」

エリチカ「なんど転んでも立ち上がる。どんな逆境でも諦めない。」


エリチカ「暗かったみんなの心をたった一人で照らしてくれる太陽みたいな子」


エリチカ「...そんな子達に、あなたはこれから出会うのよ」


絵里「...本当？」


絵里「本当に？」

エリチカ「本当よ」


エリチカ「だから、この世界はあなたが思ってるほどつまらなくない」


エリチカ「大丈夫。あなたの人生捨てたものじゃないわ」


絵里「...じゃあ私」


絵里「じゃあ私は、それなら」




絵里「私は...」




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