ダービー「DIO様、頼まれていた雑誌を買ってまいりました」(33)

dio「うむ、私は日光の下には出られない身体だからな……ダービーよ、御苦労だった」

ダービー「はっ」

dio「ダービーよ、下がってよいぞ」

ダービー「はっ、失礼します」

ヴァニラ「お待ち下さい!dio様っ!」

dio「……どうした?ヴァニラ・アイスよ」

ヴァニラ「こやつが毒を仕込んだという可能性があります!」

ダービー「……はぁ?」

ヴァニラ「そしてそのような場合、私はこの裏切り者を暗黒空間に葬り去らねばなりません!こやつを立ち去らせるのはまだ早いです!」

dio「……ヴァニラよ。雑誌に毒は仕込めん」

ヴァニラ「いえっ、dio様!万が一という事もあります!どうかこのヴァニラ・アイスに毒味を!」

ダービー「……貴方は失礼な方ですね」

ヴァニラ「dio様!先ずはこのヴァニラ・アイスに毒味をお願いしますっ!」

dio「……そこまで言うなら読んでみるがいい。ほれ」

ヴァニラ「はっ!」

ダービー「そもそも雑誌の毒味って何なのでしょう……?」

dio「いいんだ、ダービー……放っておいてやれ……」

ヴァニラ「むっ……!この雑誌は……!」

『楽しく学ぶアナウンサー入門』

ヴァニラ「dio様……アナウンサーになられたいのですか……?」

dio「……」

ダービー「失礼ながら……私も気になっていました……」

dio「……」

ダービー「dio様のような方がアナウンサーなど……」

dio「違う」

ダービー「?」

dio「私はアナウンサーなどには興味ない」

ヴァニラ「……で、では、どうしてこのような本を?」

dio「……」

ダービー「私も理由を聞かせて頂きたいです……」

dio「……」

ヴァニラ「dio様っ!」

ダービー「お願いしますっ!」

dio「ヴァニラ……ダービーよ……これを見てみろ……」

ヴァニラ「むっ、これは……!?」

ダービー「ジョジョ28巻の台本ではありませんか!?」

dio「127ページを見てみろ」

ヴァニラ「はっ!失礼します!え~っと、127……127ページっと……」ペラペラ

ダービー「むっ?これは……?」

dio「読んでみろ」

ヴァニラ「はっ……!では、失礼します」

ヴァニラ「8秒経過!ンッン~~♪実に!スガスガしい気分だッ!歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だ~~、フフフフハハハハ」

dio「……」

ヴァニラ「え~っと……百年前に不老不死を手に入れたが……これほどまでにッ!」

dio「……」

ヴァニラ「え~っと……絶好調のハレバレとした気分はなかったなァ……フッフッフッフッフッ、ジョースターの血のおかげだ、本当によくなじむッ!」

dio「……」

ヴァニラ「最高に『ハイ!』ってやつだアアアア、アハハハハハハハハハハーッ」

ダービー「流石、dio様。悪のカリスマらしい、威厳あるセリフですね」

ヴァニラ「ええ、この台詞回しはdio様でないと生かされないでしょう」

dio「1秒以内だ」

ダービー「……は?」

ヴァニラ「……えっ?」

dio「……その台詞を1秒以内だ」

ダービー「……」

ヴァニラ「ええええぇぇぇぇ!!!???」

dio「ヴァニラよ、やってみろ」

ヴァニラ「……えっ?」

dio「ここにストップウォッチがある。これでタイムを測ってやるから読んでみろ」

ヴァニラ「いや……ちょっと……dio様……?」

dio「はい、よ~い、スタート」カチッ

ヴァニラ「!」

ーーーーー


ヴァニラ「アハハハハハハハハハハーッ!」

dio「……」カチッ

ヴァニラ「ど、どうでしたか……?dio様……?」

dio「……12秒って所だな」

ヴァニラ「……うっ!」

dio「ヴァニラよ、そう悲観するな。私の自己ベストが8秒代なのだ」

ヴァニラ「はぁ……」

dio「私がこのような雑誌に頼りたくなる気も分かるだろう?」

ヴァニラ「……はい」

dio「ダービーよ、貴様もやってみろ」

ダービー「……えっ?」

dio「ほれ、ストップウォッチで測っておいてやる。読め」

ダービー「いやっ……あのっ、あのっ……!」アセアセ

dio「はい、よ~い、スタート」カチッ

ダービー「8秒経過!ンッン~~♪実に!スガスガしい気分だッ!」スラスラ

ヴァニラ「!?」

dio「!?」

ーーーーー


ダービー「最高に『ハイ!』ってやつだアアアアア、アハハハハハハハハハハーッ!」スラスラ

ヴァニラ「……」

dio「……」

ダービー「……って、感じでよろしいでしょうか?」

dio「……」

ヴァニラ「dio様……今のダービーのタイムは……?」」

dio「……1.27秒」

ダービー「あちゃ~!1秒切れなかったか~!この台詞難しいですねぇ~!」

ヴァニラ「……」

dio「……」

dio「ダービーよ……貴様はもう下がってよい……」

ダービー「はっ!失礼します!」






この一文を上のレスに組み込むべきだったな

ーーーーー


ヴァニラ「……ダービーの奴、凄かったですねぇ?」

dio「……あぁ」

ヴァニラ「……」

dio「……おい、ヴァニラ・アイスよ」

ヴァニラ「はっ!dio様っ!どうなされましたか!?」

dio「……ヌケサクを読んでこい」

ヴァニラ「……はっ?」

dio「いいからヌケサクを呼んでこいっ!早くしろっ!」

ヴァニラ「はっ!」ガオン

ーーーーー


ヴァニラ「dio様、ヌケサクを連れてきました」

ヌケサク「dio様?どうしたんですか?僕、屋敷の掃除の途中なんですけど……?」

dio「ヌケサクよ……これを読んでみろ……」

ヌケサク「えっ……?これ、ジョジョの台本じゃないですか!?」

ヴァニラ「それの127ページのdio様の台詞だ。一秒以内に読め」

ヌケサク「えっ、えっ?」

dio「はい、よ~い、スタート」カチッ

ヌケサク「はち……はちびょうけい、けいかっ!」

ヴァニラ「wwwwww」

dio「wwwww」

ヌケサク「じ、じつに……!すがすが……?あっ、すがすがしい気分だ……うたでも……」

ヴァニラ「wwwww」

dio「wwwww」

ヌケサク「ちょっと~!笑わないで下さいよ~!」

ヴァニラ「フハハwwwすまんすまん、ヌケサクよwwww」

dio「気にせず続けてくれwwww」

ヌケサク「むぅ~」

ーーーーー

ヌケサク「さい……さいこうにはいってやつだあああ……あははははは!」

ヴァニラ「wwwww」

dio「wwwww」

ヌケサク「dio様、言われた通り、読みましたよ?」

ヴァニラ「dio様wwwwヌケサクのタイムは?wwww」

dio「二分wwww」

ヴァニラ「wwwww」

ヌケサク「?」

ヌケサク「なんだかよくわかりませんが……」

ヴァニラ「……ん?」

dio「……ん?」

ヌケサク「僕みたいな奴が、ジョジョの台詞言えて凄く嬉しかったですっ!」

ヴァニラ「!」

ヌケサク「自分もジョジョに出れたような気がして、凄く嬉しかったです!僕は裏方だけど、お二人は本番頑張って下さいねっ!」


dio(ヌケサク……!コイツ、なんて可愛い奴だっ……!)

ヌケサク「それじゃあ、僕、屋敷の掃除に戻りますね?本番までにピカピカにしておきますっ!」

dio「……待て、ヌケサクよ」

ヌケサク「?」

dio「……貴様もジョジョに出してやる」

ヌケサク「えっ!?」

dio「一部からのレギュラーの私がスタッフに頼めば、なんとか出番を貰えるだろう。私が直々に頼んでやる」

ヌケサク「本当ですかっ!?」

dio「あぁ!ヌケサク!貴様もジョジョ出演だっ!」

ヌケサク「やったぁ!」

ヴァニラ「お待ち下さい!dio様!」

dio「……どうした?」

ヴァニラ「ジョジョの第三部はスタンドバトルがメインですっ!このような、スタンド能力を持たない者を出しても……」

dio「そんな物なんとかなるだろ~?最悪、私の吸血鬼の部下って事にしたらいいんだし……」

ヴァニラ「それは……そうですが……」

dio「それにさ……台本見てると、波紋の設定とかが薄れてる気がするんだよね?」

ヴァニラ「それは……確かに……」

dio「私の『気化冷凍法』とか『空裂眼刺驚』とか封印されてるしさ……吸血鬼設定の見直しは前から考えてた事なんだよね」

ヴァニラ「確かに……」

dio「だからさ、その辺踏まえてヌケサク使えないかってスタッフに相談してみるよ?」

ヴァニラ「ま、まぁ……それなら……」


ヌケサク「わ~い!わ~い!僕もジョジョに出れるぞ~!」

数日後ーーー


ヴァニラ「……おや、今日の夕食は赤飯ですか?」

ケニーg「なにかあったんですか?誰か女の子の日にでもなりました?」

ヌケサク「……ケニーgさん、食事前ですよ?」

ケニーg「あぁ、すまんすまん……」

dio「実はだな……ヌケサク出演の案が通ったのだ」

ヌケサク「えっ!?本当ですかっ!?」

ヴァニラ「えっ!?アレ、本当に通ったんですか?」

ケニーg「えっ、何?ヌケサク、お前も出んの?良かったじゃん、頑張れよ」

ヌケサク「ねぇ!dio様っ!僕、どんな役ですか!?」

dio「ジョースター家が私と戦う直前に、私に殺される役だ」

ヴァニラ「」プッ

ケニーg「」プッ

ヌケサク「えぇ?ジョースター家じゃなくて、dio様にですか!?」

ヴァニラ「」プッ

ケニーg「ヌケサクwwwwドンマイwwww」

ヌケサク「うぅ……」

dio「そんな事はない。いい役だぞ?新しくなった台本をもらってきたから皆、読むといい」

ーーーーー

ヌケサク「うぅ……dio様に殺される役かぁ……」

ケニーg「いや、ヌケサク……いい役だよコレ?俺なんかより全然いい」モグモグ

ヌケサク「……本当ですか?」

ヴァニラ「うむ。貴様があっさりと殺される事で、dio様のスタンド能力の謎と強さを引き立てる事になるんだからな」モグモグ

ヌケサク「……本当?」

dio「あぁ、ヌケサク!本当だ!だから、本番は気合を入れて望めっ!」モグモグ

ヌケサク「よ~し!頑張るぞ~!」

ケニーg「……でもdio様?ヌケサク、演技の方は大丈夫なんですか?」モグモグ

dio「……ぬ?」

ヴァニラ「あ~、確かに……この間は台詞噛み噛みだったし、心配ですねぇ……?」モグモグ

ヌケサク「ちょっと……二人共、不安にさせるような事、言わないで下さいよ……?」

ケニーg「いやいや!そんな甘っちょろい考えじゃダメだよ!?お前ももうジョジョメンバーの一員になったんだから!?」

dio「まぁ……確かに演技は不安だな……ヌケサク?後で私の部屋で読み合わせしようか?」

ヴァニラ「あっ、dio様はあの長台詞があるじゃないですか!?読み合わせなら自分がしますよ!」

ケニーg「じゃあ、自分も付き合いますよ。自分、ポルナレフやります」

dio「うむ。では食事後にでも皆で練習するか」

ーーーーー


ヴァニラ「つべこべ言っとらんでさっさと開けんかァーッ」

ヌケサク「でぃおさまあ……こいつらを……ぶ、ぶっころしておくんなさいましよ……」

ケニーg「う~ん……ヌケサク……ソコ、もっと感情出した方がいい」

dio「8秒経過……ンッン……実に……スガスガしい気分だ……」ブツブツ

ヌケサク「う~ん……やっぱり演技って難しいですねぇ……」

ヴァニラ「練習あるのみだ。もう一度、最初からやるぞ」

ケニーg「そうだぞ?お前のここの出来でdio様の威圧感が決まると言っても過言じゃねぇんだからな。気合入れろよ」

ヌケサク「はいっ!」

dio「歌でも……ひとつ歌いたいような……イイ気分だ……」ブツブツ

ダービー「いや~、今日もパチンコで勝った勝った~、これだからギャンブルは辞められませんな……」

ヌケサク「あっ、ダービーさん、おかえりなさい!」

ダービー「……あれっ?皆さんそろって何してるんです?」

ヴァニラ「……読み合わせの最中だ」

ケニーg「ダービーさんもやります?」

dio「百年前に……不老不死を……手に入れたが……」ブツブツ

ダービー「あ~、私、これからネット麻雀したいんで遠慮しておきます」

ヴァニラ「……そうか、ゲームも程々にな」

ダービー「ハハッ、ゲームは私の生きがいなんで辞めれませんよ~。まぁ、でも皆さん努力されてるみたいだし、コツだけでも教えておきますね?」

ヌケサク「……コツ?」

ダービー「皆さん、唇に余計な力が入りすぎだと思うんですよねぇ~?」

ヌケサク「ほうほう」

ダービー「いいですか?唇の動きを柔らかくして……」

dio「これほどまでに……絶好調の……」ブツブツ

ダービー「8秒経過ッ!ンッン~♪実にスガスガしい気分だッ!歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だ~、フフフフハハハハ」スラスラ

dio「」ピクッ

ダービー「百年前に不老不死を手に入れたが……これほどまでにッ!絶好調のハレバレとした気分はなかったなぁ…」スラスラ

ヴァニラ「……」

ダービー「フッフッフッフッフッ、ジョースターの血のおかげだ、本当によくなじむッ!」スラスラ

ケニーg「……」

ダービー「最高に『ハイ!』ってやつだアアアア、アハハハハハハハハハハーッ!」スラスラ

ヌケサク「すごーいっ!」

ダービー「ってね、唇の動きですよ唇の。それじゃあ、皆さん、頑張って下さいね?アハハ」

dio「……」

ヴァニラ「……」

ケニーg「……」

ダービー「それじゃあ、私は部屋に戻りますね~、アハハハハ~」

dio「……」

ヴァニラ「……」

ケニーg「……」

dio「……」

ヴァニラ「……」

ケニーg「……」

dio「……私、アイツ嫌い」

ヴァニラ「……同感です」

ケニーg「……俺も嫌いです」

ヌケサク「……ん?」

数日後ーーー


ダービー(弟)「それはそれは……兄が申し訳ない事をしました……」

ケニーg「まったくよ!勘弁してくれよ!dio様に当てつけのような事しやがってよ!」

ヴァニラ「うむ。あれだけは許せんな。dio様が長台詞で苦しんでいるというのに!」

ダービー(弟)「申し訳ありません……兄は幼い頃から空気を読めない人間だったもので……思えば、昔、私の彼女を……」

dio「もうよい。過ぎた事だ。それより、今日から貴様には兄の代わりにこの屋敷に仕えてもらう」

ダービー(弟)「はっ、ありがたきお言葉です!」

dio「それで……貴様の兄の処分だが……」

ダービー(弟)「あっ!あんな奴、砂漠にでも捨てて下さい!あいつ、自分が目立つ事しか考えてないどうしようもない奴ですから!」

dio「うむ」

こうして、dioの屋敷にはダービー(兄)の代わりにダービー(弟)が使える事になかったなり
空気の読める弟が積極的に読み合わせにも参加した事もあって
不安要素であったヌケサクの演技はみるみる上達し
dio、ヴァニラ・アイス、ケニーg、ダービー……そしてスタンド能力を持たないヌケサクの五人で
彼らは第三部のラストバトルのブロットを成功させるのである


そしてこれは余談だが
ダービー(兄)はその演技が認められ、砂漠に島流しにされたにも関わらず
ジョセフ・ジョースター、ポルナレフの二人を倒すという美味しい役を貰えるのだった



おわり

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