※このスレは、最近人気の安価聖杯戦争では残念ながらありません。完全に>>1オリジナルの設定&ストーリーで往かせていただきますごちそうさんま。
後>>1のFate知識なんてステナもそうそうです。
――――聖杯戦争。
それは、万能の釜『聖杯』を巡って行われた魔術師たちの決闘。
ある時は極東の地にて。その身は泥に侵されるや虎になるや。
ある時は月へ昇りて。集められた英雄たちは彼女に呑まれて出番を待つ。
ある時は分岐した空間にて。彼の聖処女は何を思うか。
ある時はアメリカの地にて。黄金の英雄とその友は再会を果たす――――。
これは、その戦争とはまったく無関係なる争い。つまりは平行世界の戦い。
魔術師でもなんでもない、少年少女(リトルマスターズ)の戦争。
場所は鏡の空間。それぞれ七つの世界に分岐する。
召喚されしサーヴァントは、世界ひとつに8体。
剣騎士セイバー。
弓騎士アーチャー。
槍騎士ランサー。
騎乗兵ライダー。
魔術師キャスター。
狂戦士バーサーカー。
暗殺者アサシン。
変動職イレギュラー。
世界を越えて辿り着いたマスターとサーヴァントよ。
試練を乗り越えた暁には、汝等に万能の釜を授けよう。
追記。
今回の聖杯戦争のサーヴァントは童話や民話のキャラクターのみです。運がよかったら神様も召喚できます。
by審判者(ジャッジ)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406801085
最近、町は物騒な事件が度々起きていた。強盗事件とか、殺傷事件とか、誘拐事件とか。
とにかく、町は荒れていた。
それでも学校は休みにならない。憂鬱といえば憂鬱である。しかし、それより何より憂鬱なのは――――
「おーい、オリオーン。聞こえてますかーやっほー?」
……隣で馬鹿声を出すこの男だ。
「煩いしのちゃん。聞こえてるからボリュームを落として。頼むから」
鬱陶しい、と顔に出して彼に言う。しかし、彼はそんな事などおかまいなしに、同じ音量で話しかける。
学校に行くまで、いつもこうだ。
「いやいや、絶対聞こえて無かったろ、さっきの。だってぽっけーとした顔でお前地面見てたもんさ」
「え? そうだった?」
「おう。これは本当だぞ?」
一応言うが、と彼は補足する。というのも、僕は名前故か他人の言葉を鵜呑みにしてしまう癖があるのだ。そういう訳で、彼は「本当だ」と補足したのだ。彼が本当と言う時は絶対本当だということは、長年付き合ってきて分かっていた。
……彼の名前は浦上篠(うらかみしの)。名前だけを見ると女の子とも思えるが、残念なまでに彼は男だ。しかも、俗に言うガチムチ系な。
いや、まあ流石に人間離れしたガチムチさではない。高校生であるが大学生に見えるぐらいだ。
「しかしオリオン、ほんとにどうした? 悩み事か?」
また地面を向いていた様で、腰を曲げて彼は僕を覗き見た。僕と彼の身長差は10cm以上あり、彼は結構腰を曲げなければ僕の顔と同じ位置にならない。
オリオン、と言うのは僕のあだ名だ。漢字をそのまま直すと「オリオン」としか読めないから彼が勝手に言っているだけだ。……その所為で、クラスのみんなにはオリオンで親しまれているが。
飯タイムでっていう
「……なんでも、ないよ」
「そうか。……なら良いんだ」
僕がやせ我慢をしているのではないと彼は理解した様で、それ以上は特に何も言わずに高校まで歩いていった。
学校に着いたのは、まだそんなに学生達が居ない時間帯だった。グラウンドからは運動部等の景気のいい声が聞こえている。夏の大会に向けてだろうか、今日は一段と朝練のメニューがつらそうに見えた。
グラウンドの端を通って昇降口に行く。自分の下駄箱を見つけると、そこに脱いだ靴を入れて上履きをかかとを踏んで履いた。
僕の教室―― 一年B組――の前になると、彼は片手を上げて一つ隣のクラスに入った。
それを見届けた後、静かに教室の扉を開く。
見れば、予想通りにも彼女はそこに居た。
「や、おはよ」
「……おはよう」
彼女の名前は野崎茂癒(のざきもゆ)。眼鏡をかけた読書家で、常時学年一位の成績をとっている人だ。ちなみに、彼女とは幼馴染で中学校から一緒の学校である。
挨拶を済ませると、さっさと彼女は目線を今読んでいた本に戻した。反射的に僕もそちらに目が行ってしまった。
のだが。あの本は、何なんだ?
「……今度は、何を読んでるんでしょうか、モユサン?」
「ん? 『淫乱王子の奴隷生活』ってのだけど」
それ、まさかじゃなくてもびぃえるですか。そうですか。
……そう、学年一位の頭脳には弱点があった。それは――――
――――完全なる、腐女子!!
「ねえ」
「……ナンデショウカ、モユサン」
「さっきからカタコトだけど、どうしたの?」
「……なんでも、ないよ」
目線を逸らしながら応答する。質問した本人はさほど重要としていなかったのか、それ以上追求する事は無く読書に没頭していた。
小さくため息を漏らしながら自席に座る。……あれさえなければ、茂癒は逆ハーレムが可能だと思うんだけどな。
というのも、いつもは眼鏡をつけていて分からないが、とってみれば彼女は凄くかわいいのだ。
いや、冗談でもなんでもなく。というか、眼鏡を取って美少女と言うのは定番中の定番では無いだろうか。
……いや、別にどうでもいいか。
それ以上は僕も考えず、読書でもする事にした。
題名は、『大人に受けるちょっと怖い童話集』。前編と中篇と後編に分かれており、今日はその前編を持ってきた。前編だけでも500pはあるので結構重い。
「……はあ」
後は――――退屈な今日を何とかして乗り切ればいいだけである。
――――ホームルームが終わり、運動部系の男子は破裂したかと思うぐらいに一目散にグラウンドに走っていった。こういうところは大人になっても変わらないな、と少し苦笑した。
女子の皆様は悠々とおしゃべりタイムをやっていまして。これも変わらないな、と思って茂癒を目で探した。
「ん? 野崎さんならもう帰ったぞ」
「え、ああごめん。ありがと」
探しているのが分かったのか、隣席の田中太郎――通称名前負けTT――がありがたくも教えてくれた。
なら仕方ないか、と帰り支度をする。僕は部活動はやっていないからだ。
「……っておい。いくらお前でもそりゃねえだろ」
「え?」
帰ろうと席を立つと、名前負けTTは友人と話をするのをやめて飽きれた顔で僕に言った。
何のことだろう。僕、何かしただろうか。
「いや、お前の特性は知ってるし、あいつからも聞かされてるから分かるけどさ。その鵜呑みスタイル、どうにかしたほうが良いぜ? 悪徳商売とかに引っかかりやすいタイプだぞ、お前」
あいつ、とはしのちゃんのことだろうか。……鵜呑みスタイル、なんてあいつ言ってたのか。
「え。嘘なの?」
「いや嘘じゃねえけどさ……あいつなら何でか知らないけど屋上に行ってたぞ。道具置いて」
そう言って彼が指差したのは茂癒の机。そこには彼女が愛用していた鞄が放置されていた。無論教科書やノート一式を入れたままで。
……どうしたのだろうか。屋上に用事……?
「……まさか!!」
だっ、と荷物を置いて屋上に走る。昇降口に行く人たちの群れを押しのけて、屋上に上がる階段をこれ以上無い全速力で走った。
と言うのも、彼女には前に一度とある経験をしたのだ。俗に言うリンチである。
あの時は自分としのちゃんが居たから何とかなったが、今回ばかりはどうしようもないかも知れない。
だって彼女は綺麗だから。だって彼女はかっこいいから。だって彼女は頭が良いから。だって彼女は非の打ち所が無いから。
あの時と同じように、もしかしたら怖い思いを受けているのかもしれない。
――――そう考えてしまうと、どうやったってこの体は先へ先へと動いてしまうんだ。
だって――――僕は彼女のことが――――
屋上のドアの前まで辿り着く。外からは喧騒や打撃音は聞こえない。というか、何も聞こえない。
「……何も、無かったのかな?」
もしかしたら、彼女の魅力に気づいた男が彼女に告白するためにラヴレターでも書いて屋上に呼んだのかも知れない。それで単純にここに来ただけなのではないだろうか。
……どうしよう。見てしまおうか、見ないで置こうか。
どうやらまだ人の気配はするのでいるんだろうが、どうしようか。
見るor見ないor自由安価(大きな音を立てたり、大きな動作は駄目)>>9
そして私は眠る。
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