戦士「師匠をおちょくってみるか」(7)

戦士「師匠」

師匠「なんだ」

戦士「師匠って結婚しないんですか?」

師匠「」

戦士「師匠?」

師匠「……わ、わわたしは剣に生きると決めたからな!異性に構っている暇などないのだ!」

戦士「そうなんですか……」

師匠「そ、その通りだっ!」

戦士「……師匠はせっかくの美人なのにもったいないですよ?」

師匠「なな!?」

戦士「男達がほっとかないと思うですがねー」

師匠「そ、そうか?」

戦士「はい」

師匠「そ、そうか……美人か……」

戦士「はい、体も引き締まっててスラッと綺麗ですし」

師匠「よせ、照れるだろう」

戦士「なのになぜそういった浮いた話が一切ないんでしょうね」

師匠「」

戦士「本当に不思議ですよねー。なんででしょうか」

師匠「…………お」

戦士「お?」

師匠「お、お前が見てないところではそりゃもうすごいのだぞ!?」

戦士「へえ、そうなんですか」

師匠「ああ!もう何人もの求愛を断ってだな……」

戦士「剣のためとはいえもったいない」

師匠「い、いいのだそれで!私は剣に生きると決めたのだから!」

戦士「…………」

師匠「な、なんだその目は……」

戦士「後悔しませんか?」

師匠「するものか!」

戦士「……師匠の歳だともう子供がいても全然おかしくないですよね」

師匠「と、歳の話はやめろ!」

戦士「……夫と子供に囲まれて暖かい団らん」ボソッ

師匠「うぐっ!?」

戦士「……それに比べて師匠は」

師匠「や、やめろ!」

戦士「一人だけの部屋」

師匠「っつ!?」

戦士「剣以外を知らずに段々老いていく自分」

師匠「うっ!?」

戦士「ああ、そういえば自分くらいの歳にはもう母は自分を産んでいたっけ」

師匠「や、やめ……」

戦士「年々親からの催促は増えていくのに浮いた話はどんどん減っていく」

師匠「も、もうやめてくれ……」

戦士「残っているのは自分と同じ残り物だけ。ああ、もっと早く身を固めておくんだったと後悔の念が……」

師匠「…………」ガッ

戦士「……あれ、耳を塞いだりしてどうしたんですか師匠?師匠は剣に生きるから関係ないんでしょう?」

師匠「……なんとなく耳を塞ぎたい気分になっただけだ」

戦士「そうなんですかー。……あ、続き聞きます?」

師匠「き、聞きたくない」

戦士「……師匠」

師匠「……なんだ?」

戦士「ぶっちゃけもてないだけですよね?」

師匠「」

戦士「見栄なんか張らない方がいいですよー。求愛なんかされたことないくせに」

師匠「……私のことをおちょくるとは大した度胸だな?師を敬うことも出来んとは……覚悟は出来てるんだろうな?」

戦士「…………」

師匠「黙ってないで何か言ったらどうだ?」

戦士「そんなんだからもてねえんだよ」ボソッ

師匠「死ねぇぇぇぇ!」

おしまい

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