タイムパトロール隊員「・・・・・申し訳ないが、君を拘束させてもらう暁美ほむら!」 (19)

タイムパトロール。それは、その名のとおり時間に関する諸々の諸犯罪を取り締まるための刑事警察機構である。
といってもタイムパトロールは、刑事警察機構であることは確かだが全世界的な犯罪を取り締まるため
かつてのSFに出てくるような近未来的な警察だということで未来警察と通称される組織とは全くの別物である。

タイムパトロール隊は、未来警察とはまったく別の独立組織であり、未来警察が地球連邦政府の司法省に属するのに対し
時間航行管理省に属すると組織図上でも異なった存在である。 

勿論全くかかわりがないわけではなく、もはや日常化しレンタルすることさえも可能な初期の徹底的な
タイムマシンの存在の秘匿からすれば信じられないようなタイムマシンの普及によって、過去に逃げる
犯罪者の逃亡という形で未来警察ともかかわりがある。

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しかし、未来警察も全世界的な警察でこそあれ時間の海を旅し時間犯罪を取り締まるのはタイムパトロールだけに許された
特権だ。未来警察がタイムマシンを用いて犯罪捜査はすることはあっても、所詮それはタイムマシンの時空移動の軌跡を辿っての犯人追跡レベルにしか過ぎない。

なぜ時間犯罪がタイムパトロール専任なのかというと、通常の刑事警察機構では様々な犯罪ともかかわりのない事案さえも管轄しなくてはならない。
それに対し時間犯罪は下手をすれば人類滅亡にもかかわりかねない重要な危機をもたらすと仮定されており、迅速に対処するためには時間犯罪専任の特殊警察機構が必要だからこそタイムパトロールのみが時間犯罪を統括している。
タイムパトロールにも時間移動に使われる四次元空間と呼称される異次元空間内での交通整理や行方不明の時間旅行者の
捜索などもあるが、その内部組織は時間犯罪のみに特化している。

タイムマシンが作り出されたその歴史は、22世紀からすれば約100年前に当たる21世紀初頭だ。かつて存在した
欧州物理学研究所CERN、それに在籍した科学者が偶発的な自然現象での時間逆行現象を捉え、その科学者が天才的な
頭脳の主であったのか、今に比べれば原始的とはいえ時間逆行現象を理論化し、あまつさえタイムマシンさえも実用化してしまった。

タイムマシンの実用化、ある意味不老長寿に並ぶ人類そのものの夢といえるがそれは大々的に公開されることはなかった。

その存在は地球連邦政府の全身に当たる国際連合、その中でもごく限られた先進諸国家のみが知りえていた。

タイムトラベル、いわゆる時間旅行は人類にとって有益だろう。単に時間旅行を旅行として捉えれば、
過去に絶滅した恐竜といった古代生物や知りたくないような無残な事実を知ることになるかもしれないが、
勇壮な歴史的建築物を作られたばかりの出来立てだって見ることができる。
歴史的に紛失した美術品も見放題だろう。

歴史家や生物学者にとっては、歴史上の諸々の出来事を調査するのにも有効だろうし、絶滅した生物の生態調査や
さらにそれらを保護し未来で繁殖させるといった生物復活化さえも行いうる。

確かにタイムマシンは、有益な存在だがそれには穴があった。それはタイムトラベルにおきるリスクである歴史改変やそれに伴う人類滅亡、いや宇宙滅亡の危機ということだ。

タイムマシンが存在し、過去に遡行できるならばそれにともなって犯罪をしようというものは枚挙に暇がないだろう。
未来の株価の知識を知ったうえで過去に遡ってしまえばインサイダー取引が使用可能だし、自分のあこがれていた女性と他人が結婚してしまったねたみからそれを妨害し、結婚できないようにする、できれば自分と結婚できるようにする。

狂信的な国粋主義者や宗教的狂信者、特定の政治集団に滅んでからも傾倒するものは自国が世界を支配することをもくろんだりするかもしれないし、ナチスドイツや大日本帝国が戦争に勝利するように仕向けたり、特定宗教が世界を支配するようになるかもしれない。


武器商人は利益のために未来から過去に強力な未来の兵器を売りさばくかもしれないし、その時代の技術水準を超える麻薬を持ち込み大もうけしたり進んだ技術を過去に持ち込みそれで特許を手にし、多大な利益を得るかもしれない。

最悪の場合は人類を先史時代に未来から強力な兵器や技術を持ち込み支配し、全人類を支配するということもありうる。

あるいは人類滅亡も過去を改変してしまえば起こりうるかもしれない。



過去を改変してその結果がどうなるのかについては諸説ありうる。携行型平行世界移動装置もしもボックスの開発によって、パラレルワールドの行き来が可能になってからは歴史が改変した結果パラレルワールドが生じるだけで未来に直接的な改変は起こりえないという説もある。
ただやはり有力視されているのは、歴史を変えてしまえばそれが直接的に未来に変化を及ぼすということだ。つまり、23世紀の時間犯罪者ギガゾンビが目論んだように、過去の先史時代で未来人が進んだ技術を背景に人類の先祖を支配してしまえば特定個人やその子孫に人類そのものが代々統治されるということだ。勿論その支配に反発が起こり失敗してしまうかもしれないが・・・・・・・・・

パラレルワールドといって未来に歴史的な影響を及ぼさない歴史的分岐によって生じる世界ができるのはよっぽどの大規模な歴史改変をせねばならぬと考えられている。
最もタイムマシンが日常化した今となっても時間旅行に伴う歴史改変はどのような変化をもたらすか分かってはいない。

最悪大規模な時間改変を目論めば、本来の歴史の流れと異なるパラダイムシフトが起こるために人類そのものが滅ぶどころか歴史改変の影響で宇宙が滅びうるかもしれないのだ。

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