「暗い森で少女を見つけた」 (18)
かなりの思いつきで書いたオチのないお話です。
とてつもなく短いです。
あと主はほぼ初めての書き込みに近いのでご了承ください。
よければごゆっくり暇潰し程度に読んでいってくださいね。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405529118
「ねえ」
「…。」
「ねえったら」
「…。」
少しの距離を置いてはいるが、二人は正面に向き合っている。
常闇の静寂の中、空に光る星と月だけが二人を照らしている。
「ねえ、君どうしたの? こんな夜道で一人っきりじゃ危ないよ、道にでも迷ったの?」
「…。」
その目の前にいる人は、何も言わずただ黙っていた。
生憎灯などは持ち合わせておらず、相手の顔は見えないし、性別もよくわからない。
でもとりあえず怪しいので声をかけてみた。
「君、とりあえず一人じゃ危ないよ。もし道に迷ったんなら送ってってあげるけど…」
「私は、道に迷った訳じゃない。」
やっと相手が口を開いてくれた。
声は高い、それに一人称が私、という事はこの人は女性か?
とりあえずぼんやり見える人影から推測して、相手は少女と仮定する事にした。
「道に迷ってない、じゃあ一体何しに来たの? ここら辺は辺り一面森だし…野草でも取りにきた?」
「いや、違う、私はある人を探している。」
「こんな所で? ここら辺は薄暗いし、あまり人は来ないけどなぁ、来るとしたら精々迷い人くらいだよ。」
「そう。でも私は、人を探していた。けどもういいの、家に帰る。」
少女はそう言うと、一人で歩き出した。
しかしこの暗い夜道、少女を一人で歩かせなんかしたらどうなるかわからない
とっさに目の前にいる少女らしき人物に向かって声をかける。
「よかったら、君の家までついていくけど!」
「あなた、何か用事とかないの?」
「うん、一応あるけどそれは後ででもできるからさ。君みたいな一人でいる子がいたら熊にでも食べられちゃうよ」
「じゃあ、一緒に行く。」
少女はこっちにもどってくると、何故か手を握ってきた。
「この方が安心するから。」
…なんかだか喋り方が片言で可愛げがないとか思ってたけど、案外可愛いところもあるじゃないか。
「じゃあ、行こっか」
「うん。」
少女と二人、暗い森を歩く。
わずかな月の光に照らされて、少女の腕が見えた。
とても華奢で、白い綺麗な手だった。
その手が今自分の手を握り返しているのだと思うと、何だか胸がドキドキする。
「…どうかしたの?」
「えっ!? いや、なんでもないよ」
どうやら変な事を考えていたら自然と手に力が入ってしまっていたみたいだ。
「そういえば、君の家ってここら辺なの? 」
「うん、この少し先。」
「そっか、じゃあもしかしてここら辺の事は詳しかったのかな…?」
「うん。少なくとも、貴方よりは。」
「あはは、そっか、失礼な事しちゃったかな? ごめんね、灯りを持ってないから君がどんな人なのかもわからなくて。」
「私は別に気にしてないわ」
そんな雑談を交えつつ、少しぬかるんだ土の上を歩いていく。
この森は湿度が高いので土が湿っている、おかげで足跡がつくので帰り道は迷わないだろう。
「ねえ、そういえばこんな話知ってる?」
「話?」
「この森に人さらいが出るってもっぱらの噂だよ、しかも凶暴な熊も出るらしいからさ、あんまり人はこないんだよね」
「そうなの」
「特に人さらいは君みたいな可愛い女の子に目をつけてるみたいだから、気をつけてね」
「…ありがとう」
なんだか、彼女といるとほっこりした気分になれる。
ああ、このままずっとそばにいれればいいなと思った。
「ついた、私の家。」
「おや、早かったね、君がここの…ーーー」
その時、なんだか悪い予感がした。
この家、何処かおかしい。
こんな小さい娘が外出していたというのに、部屋が真っ暗だ。
いや、もしかしたらこの子が勝手に出てきてしまったのかもしれない、それで両親は森へ探しに行ったかもしれない。
そんな事を考えていたら、彼女が何かを言い始めた
「私が探していたのは、迷い人」
「…えっ?」
少女のいきなりの告白に、少し驚く。何故今そんな事を言うのだろうか?
「貴方、自殺志願者でしょう? こんな森に人が来る筈ないものね、しかもやけにここについて詳しかった。調べてきたのでしょうね」
「それは…」
当たっていた。
死ぬ為にここにきた、そうだ。
ここは自殺の名所だ、だから調べてきたんだ。
「でも、今は君と会えたから少しは生きてるのもいいかなってーーー」
「だから、自殺したいんだったら、殺されたって文句ないよね。」
身体が、身体がその一言で硬直した。
少女は握っていた手をさらに激しく握った、こんな華奢な身体からは想像もできない力だった
動揺し、身体が動かないのがわかる。汗が吹き出る、やばい、このままでは、何か自分の中の動物的本能がそう告げているのだ…!
やはりおかしい! あの家、よく見たら硝子窓は割れているし、そこから見える内装もぐちゃぐちゃなのだ。
確実に人が住むような家ではない…!
今まで歩いてきた方から何かが走ってくる音が近づいてきて、物凄い勢いで頭を殴られた。
バキっという鈍い音と鈍い痛みと共に、視界が遠のく。
その視界に映った光景にはあの少女が見えた。少女の口には光る物が無数に生えており、とても人間とは思えなかった。
今まで話しかけていたのは?
今まで手を握っていたのは?
そう考えるとぞっとした。
だが、そんな考えをしているうちにも視界がは遠のき、意識は闇へ落ちる。
俺は、光を見ながら深い闇に飲まれた。
おわり
こんな短い文章でしたが、読んでくれたお方がいれば幸いです。
まだスレッドの報告とやらがよくわかっていないので、それまでに何かご感想やアドバイスなどを頂けると初めて書き込みしたなりに嬉しいです。
それでは短かったですが、お読み頂きありがとうございました!
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