光の戦士と巨人(3)
ここは、巨人に支配された世界……
人類は壁の中で100年の安寧を手に入れていた
「離せよハンネス!母さんが!」
この少年はエレン・イェーガー、そして、彼ともう一人の少女を抱え逃げているのがハンネスと呼ばれた男だ
この世界では、立体起動装置を使うことで巨人に対して攻撃をする事が可能だ
しかし、それでも巨人は人類にとって恐怖である、今も兵士であるはずのハンネスが敵に背を向け、助けるべきである人を置いて逃げようとしている
それほどまでに巨人の存在は人類にとって恐怖である
だが、母を見捨てられず、必死に手を伸ばす少年の目の前で奇跡が起きた
「受けてみよ!」
そこには、立体起動装置を使わずに宙を舞い、人類にとって恐怖であるはずの巨人を中世の騎士のような剣と盾で斬り倒す戦士がいた
「なっ!?」
音を立てて倒れる巨人に驚く三人
その戦士は瓦礫に埋もれていたエレンの母、カルラを救い出した
「か、母さん!」
今生の別れだと思っていた少年は母に抱きつき、涙を流した
「あぁ、エレン……!早く、逃げないと!」
「だけど母さん!足が!」
先ほどの瓦礫に潰されてしまったのか、カルラの足は走れるような状態ではなかった
「僕が連れて行こう」
いつの間にか、先ほどの戦士は消え、白銀に輝く騎士が立っていた
「あぁ、お願いするぜ」
藁にもすがるような気持ちで、騎士の提案を受け入れるハンネス
「物わかりがよくて助かるよ、さぁ、いこう!」
「着いたようだね、それじゃあ、僕はここまでだ」
白銀の騎士は今まで背負ってきたカルラを注意深く下ろし、また町へと消えていった
「……何だったんだ?今のは」
突然の事が立て続けに起こり、混乱する四人
だが、混乱する間もなかった
「もうこれ以上船には乗れねぇ!次の便に乗ってくれ!」
逃げ出す人々が多く、船が間に合わない
無理に乗ろうとして川に落ちる者もいる
「あ、あの!避難する方はこちらへ来て下さい!」
不意にそんな声が響き渡る
声の元では儚げな少女が人を集めている
「あの、この台に乗って下さい!」
少女が指差す先に500人程は乗れるであろうゴンドラがあった
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