二宮飛鳥「お腹空いたね」 (25)




モバP「ん?腹へったのか飛鳥?」

飛鳥「うん、実は今日は寝坊したせいで朝食を抜いてしまってね…そのつけがいまきてるんだ」グゥー

モバP「なるほどな、待っとけよ確かカバンになにかあったような…」ガサガサ

飛鳥「カロリーメイトとかかい?」





モバP「はい、ごはんですよ」ゴトッ

飛鳥「だけ!!?」





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モバP「あと食べるラー油と刻みワサビと釜上げしらすと味付海苔……そんくらいだな」ゴトゴトゴト

飛鳥「うん、なんでそんなご飯にのっけて食べるようなものばかりカバンにいれてるんだい?」

モバP「あと苺ジャム」ゴトッ

飛鳥「パンはないのかい?」

モバP「俺パン嫌いなんだよ」

飛鳥「じゃあなんでジャムを……」



飛鳥「まぁ空腹には抗えないしね…味付海苔もらうよ」スッ

モバP「あぁ、好きなだけ食べていいぞ」

飛鳥「そんなにいっぱいはいらないよ…」パリパリ


モバP「ところでさ」

飛鳥「うん?」パリパリ


モバP「俺、自家製のごはんですよ食べてみたいんだよ」

飛鳥「自家製?」





モバP「自家製っていうか手作り?そういうのだな」

飛鳥「手作りのごはんですよって…海苔の佃煮なんてあんまり家では作らないものだと思うけど?作り方も少し面倒だしね」パリパリ

モバP「だからお手軽に味付海苔を口に含んで噛みながら唾液で細かく砕いてそれを吐き出してくれるだけでもいいんだが」

飛鳥「ごめんもう味付海苔いらない」


モバP「それをこの前まゆにつくってもらったんだけどさ」

飛鳥「なにやってるのさあの人……え、まさかこのごはんですよって……?」

モバP「いやそれは違うぞ」

飛鳥「よかった……」

モバP「それは凛のだ」

飛鳥「捨てていい?」







モバP「やっぱりこういうのでも個人差って出るんだな…ほら、凛のは少し花の香りがするだろ?」

飛鳥「嗅がないし絶対しないよ、別にあの人花屋の娘だからって花食べてるわけじゃないからね」

モバP「いやそれがするんだよ、ほら嗅いでみろって」

飛鳥「嗅がないってばていうか近づけないでほんとに」

モバP「お前も志希と……同じことを言うんだな……」

飛鳥「それが普通の発想だよ!!」



モバP「普通?いまお前普通っていったか?」

飛鳥「……いったけど」

モバP「はん!!普通!!?普通だと!!?笑わせやがる!!あんなにも非日常がどうたら世界への抵抗だの言ってたお前が普通の反応とは……所詮お前も有象無象の一人…か」



飛鳥「言葉たくみに誘導しても嗅がないものは嗅がないよ?」

モバP「……チッ」




飛鳥「ていうかそんなの食べないでよプロデューサー、お腹壊すよ……あ…」グゥー


飛鳥「うーん……中途半端にお腹に入れるとさらに空腹感が増すね」

モバP「確かにそういうことはあるな」

飛鳥「しょうがない……事務所にカップ麺とか無いよね?」

モバP「あー待てよ、確かここらへんに…」ガサゴソ



モバP「小麦粉と卵があったぞ」ゴトッ

飛鳥「まさかの材料かぁ…」







モバP「どうする?ラーメンつくるか?」

飛鳥「そんな本腰いれてまで空腹を満たそうとは思わないよ」

モバP「そういえば昨日アーニャとラーメン作ったんだよ」

飛鳥「へぇ、だから材料があるんだね」



モバP「あぁ、作り方も簡単だしな……とりあえず口に小麦粉を入れて卵黄と水を加えて口内で生地にして後は歯と歯をしっかり噛み合わせてそして少しある歯の隙間から生地をにゅるにゅると押し出してもらって……」

飛鳥「もうそこまでいくとグロいよ!!精神的にダメージくらうよ!!!」




モバP「アーニャの白くて綺麗な肌…そして歯…そこから生まれ出してくる黄色い麺とのコントラストはまさしく芸術といっても差し支えが無くてだな…」

飛鳥「なんでプロデューサーは警察に自首しないんだい?」

モバP「え?早苗さん?早苗さんにはイカの刺身を噛んで噛んでを繰り返して柔らかくしてもらって吐き出させてから包丁でイカソーメンにしてもらったが?」

飛鳥「早苗さんにまで毒牙が……!!!」


モバP「で、どうするんだ?ラーメンつくるか?」

飛鳥「いやもう……なんだか食欲無くなってきたよ…」

モバP「なに言ってんだ育ち盛りの娘が!ちゃんとご飯は食べなきゃダメだぞ?」

飛鳥「君のさっきから言っているソレ等は一歩間違えば食べ物じゃなくてもはや吐瀉物だよ」

モバP「なにを訳のわからないことを……あ、そうだ!今日そういえば蘭子に手作りお弁当をつくってもらったから、少し食べるか?」

飛鳥「……中身は?」

モバP「確かハンバーグだな」






飛鳥「ハンバーグか…」


飛鳥(これまた口の中で挽き肉をこねさせたとかなんじゃ…)

モバP「これは普通につくってると思うぞ」

飛鳥「うーん……つまり手ごねハンバーグってやつかい?」

モバP「いや脇ごねだな」

飛鳥「じゃあいらないよ」


モバP「あれもダメこれもダメ…わがままだぞ飛鳥」

飛鳥「ボクはいたって普通の調理行程で作られた料理を食べたいだけなんだけど」

モバP「普通!!?普通だと!!?」

飛鳥「もうそれいいから」


モバP「うーん…仕方ない、じゃあコンビニになにか買いに行くか」

飛鳥「最初からそうすれば良かったよ、ほんとに……」

飛鳥「それじゃあボクは買いに行くけど、プロデューサーはなにか買ってきてほしいものはあるかい?」

モバP「サガミオリジナルかな」

飛鳥「いってきます」ガチャッ



モバP「いや誤解するなよ飛鳥!!俺はなにも使おうとはしてない!!ただただ近藤さんを買うお前を想像して夜のオカズに………いない!!?」









飛鳥「あんまりいいお弁当売ってなかったなぁ……ただいま、プロデューサー」ガチャッ

モバP「おう、おかえり」モグモグ


飛鳥「…それ、さっきの蘭子先輩のお弁当かい?」

モバP「おう、いい感じの大きさですごい食べやすいぞ」

飛鳥「あれだね…話を聞いてても引いたけど食べてるところ見るとさらに引くね」

モバP「人の食べてるところじろじろ見るのはあんまりいい趣味じゃないぞ飛鳥」モグモグ

飛鳥「プロデューサーだけには言われたくないね」





モバP「なに言ってんだよ飛鳥、いいか?男っていうのは皆かわいい女の子の手作りご飯を食べたいものなんだぞ」

飛鳥「手作りじゃなくて脇作りだよねそれ」

モバP「脇の窪みはハンバーグこねるのに丁度いいように作られてるんだぞ」

飛鳥「人類は他の動物よりも手先が器用だからここまで発展したんだよ?けっして脇の使い方が器用だから発展したわけじゃないからね?」

モバP「つまり蘭子は新人類……?」

飛鳥「なに言ってんのキミ」



モバP「ふぅ、食い終わった…わりと量多かったな…」

飛鳥「じゃあボクもお弁当タイムといこうかな」カパッ

モバP「コンビニ弁当も進化したよな…すごくうまそうだ」

飛鳥「まぁ確かにね」

モバP「でもコンビニ弁当ばっかり食べるのは体によくないから気をつけろよ?」

飛鳥「プロデューサーも口とか脇とかで作った料理ばかり食べないようにね」モグモグ





飛鳥「……」モグモグ

モバP「……」ジーッ


飛鳥「……」モグモグ

モバP「……」ジーッ



飛鳥「……なに?」

モバP「いや、うまそうだなと」

飛鳥「人の食べてるところみるのはあまりいい趣味じゃないんじゃないのかい?」

モバP「大丈夫だ、弁当しか見てないから」

飛鳥「……それはそれで複雑な気持ちになる自分が憎いよ」


モバP「……俺、たまごやき好きなんだよな」ボソッ

飛鳥「……へぇ」

モバP「好きなんだよなぁー」ボソッ

飛鳥「……ふぅん」

モバP「好きなんだよなぁー、たまごやき」ボソッ

飛鳥「…あぁもう…わかったよ、上げるよ」



飛鳥「はい、あーん……ちょっと恥ずかしいねコレ」

モバP「……」

飛鳥「…なんで固まってるの?」










モバP「……」スススッ

飛鳥「ちょ、ちょっと…プロデューサー?近いよ?」

モバP「……」スススッ

飛鳥「このままじゃ口唇がふれあう距離に……なんて、ね」


飛鳥「全くキミはそうやっていつもボクをからかおうとしてくるね、もうその手にはのらないよ」

モバP「……」スススッ


飛鳥「え……?プロデューサー……?あ、あの……もしかして……」




飛鳥「……本気、なのかい…?」






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