リト「ララの尻尾が大人気……」 (86)

ララ「らんららーん」フリフリ

里紗「うーん……やっぱり、ほしい」

未央「どうしたの、リサ?」

里紗「ララちぃの尻尾っていいよねぇ。なんていうか魅力が5割増しって感じ?」

未央「あははは。ララちぃが転校してきたときからそれ言われてるよねー」

ララ「ん?なになに、何の話?」

里紗「その尻尾。あたしたちには無いでしょ?」

ララ「これ?」フリフリ

未央「アクセサリーだとこーんなに動かないもんね」

里紗「そうそう。自分の意思で動かせてこその尻尾だし」

ララ「尻尾、欲しいの?」

里紗「もっちろん」

未央「コスプレにチョー使えるしー」

里紗「まぁ、ララちぃと違ってあたしらは地球人だから無理なのはわかってるんだけどねー」

ララ「ふぅん。そうなんだ」

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数日後 結城宅 リビング

ララ「うーん……。あとは試すだけなんだけどなぁ」

美柑「ララさーん。ご飯できたよー」

ララ「あ、美柑ー。ちょっと、いい?」

美柑「なに?またなにか発明したの?」

ララ「じゃーん。これ、にょきにょきテールくん」

美柑「どういうモノなの?」

ララ「私と同じ尻尾が生えてくるの」

美柑「尻尾が?」

ララ「美柑で試していい?私だと効果が分からなくて」

美柑「……危なくないの?」

ララ「尻尾が生えるだけだからっ。ヘーキ、ヘーキ」

美柑「……痛くない?」

ララ「痛くなんてないよー」

美柑「な、なら、いいけど」

美柑「うーん……」フリフリ

ララ「どう?」

美柑「なんか、落ち着かない……」

ララ「そうなの?うーん、失敗かなぁ」

美柑「ああ、いや、尻尾なんて地球人にはないし、急に生えたらやっぱり違和感があるというか」

ララ「自由に動かせる?」

美柑「一応」フリフリ

ララ「やったぁ。ありがと、美柑。これでリサたちも喜んでくれるかも」

美柑「で、これはいつ取れるの?」

ララ「数時間後かな」

美柑「数時間後ってアバウトな……」

ララ「さ、ごっはんごっはん」

美柑「ララさん!!ちょっと!!」フリフリ

ナナ「ん?な……!?美柑に尻尾が……!?なんで!?」

セリーヌ「まう?」

リト「美柑、大丈夫なのか、それ?」

美柑「うん。もう慣れてきたから。はい、ごはん」フリフリ

セリーヌ「まうー……」

モモ「まぁ、美柑さん。とっても似合っていますよ」

美柑「それはどうも」

ララ「美柑が私の妹になったみたい」

美柑「そう?」

ララ「そうだよー」

美柑「私がララさんの妹になるのはリトと結婚してからの話でしょ?」

リト「ぶふっ!?」

ララ「そっか。そうだよねー」

リト「美柑!!なにいってるんだよ!?」

美柑「何慌ててるの?本当の――」

セリーヌ「まうっ」ギュッ

美柑「ぃぐっ……!?!」ビクッ

ララ「美柑、どうしたの?」

美柑「あ……ぁ……」ビクッ

リト「お、おい。美柑?」

セリーヌ「まう?」

美柑「……う、ううん。なんでもない」

モモ「そうですか?」

美柑「う、うん。ちょっと、むせちゃって」

リト「そうか?体の調子が悪いならすぐに言えよ?」

美柑「うん、ありがとう」

ナナ「風邪か?」

モモ「……お姉様、お姉様」

ララ「なに?」

モモ「あの尾、もしかして私たちとほぼ同じようなモノなのですか?」

ララ「うん。できるだけ本物に近づけたつもりだけど。リサが欲しいって言ってたから」

モモ「そうですか……。ということは、アチラのほうも……」

リト「美柑、本当になんともないんだな?」

美柑「心配しすぎだって。もう。ほら早く朝ごはんたべ――」

セリーヌ「まうっ」ギュッ

美柑「てっ……やっ……ぁ……はぁ……!!」ビクッ

リト「美柑!?」

セリーヌ「まうぅ……」スリスリ

美柑「おっ……ぐっ……ぅ……!?!」ビクッビクッ

モモ「あぁ!!セリーヌさん!!ダメ!!擦ったりなんかしたら!!」

ララ「美柑!?大丈夫!?」

ナナ「この感じ……!!」

セリーヌ「まう?」ギュゥゥ

美柑「んぃ……ぁ……あっ……いぃ……ふぁ……くぅ……!!」ビクッビクッ

リト「美柑!!しっかりしろ!!」

ナナ「おい!!お前はあっちむいてろ!!」

リト「あ!?あぁ!!ごめん!!!」

モモ「と、とにかく美柑さんを部屋に!!」

ナナ「そうだな!あたしがやる!!」

美柑「はぁ……あぁ……はぁ……」

ナナ「美柑、今運ぶからな」

美柑「ナ、ナ……さん……」

セリーヌ「まうまうー」ギュゥゥ

美柑「ひぐぅ!?!」ビクンッ!!

モモ「セリーヌさん!!ダメです!!」

セリーヌ「まう?」

美柑「んっ……あっ……」

ララ「もしかして、尻尾の所為?」

モモ「恐らくあの尻尾の再現度が高すぎたのだと思います」

ララ「敏感な部分まで再現しちゃってたんだ」

モモ「はい。流石、お姉様といったところですけど」

リト「あ、あのー。もうそっちを向いてもいいか?」

ナナ「美柑は寝かせておいた」

リト「サンキュー、ナナ。こういうときすぐに動いてくれるのはナナだよな」

ナナ「ふんっ。あのままにしておいたら美柑がお前に襲われるかもしれないだろ」

リト「そ、そんなことするわけないだろ!!!」

ナナ「どうだか」

モモ「ナナ。褒められて照れるのもわかるけど、心にもないことを言わないの」

ナナ「ほ、本心だっ!」

ララ「ゴメンね、リト。私の所為で……」

リト「籾岡たちに欲しいって言われて作ったのははいいんだけどさ。余計なところまではコピーしなくていいんじゃないか?」

モモ「尻尾は私たちの弱点ですからね。その弱点まで再現するのは如何なものかと」

ララ「うん。そこまで再現しちゃうなんて思ってもなくて。すぐに改良するから」

リト「そうしてくれ。あのまま籾岡なんかに生やしたら……」

モモ「それはそれで……」

ナナ「おい、なに考えてんだよ」

モモ「あ、いけない、いけない。つい想像してしまって……」

リト「そろそろ美柑の様子でも見に行くか」

ララ「そうだね。私も心配だし、謝らないといけないし」

ナナ「あたしも行く」

モモ「もう少し様子を見てからのほうがいいような……」

リト「どうして?」

モモ「ほら、その……万が一ということも……」

ララ「万が一って?」

モモ「もしもですけど、美柑さんがその……尻尾の良さに目覚めてしまっていたら、今行くのはちょっと……」

ナナ「この尻尾が気に入ったってことか」

モモ「そうそう。ある意味」

ララ「それは嬉しいけど、敏感なままだとちょっと……」

ナナ「だよなぁ。あたしたちは生まれたときからあるから別に構わないけど、いきなり生えてきたら不便に思うこともあるかもしれないし」

モモ「そういうことではなくて……」

リト「とにかく様子は見に行く。心配だからな」

モモ「リ、リトさん……」

美柑の部屋

美柑「ふっ……うっ……」

美柑(ララさんたち……いつもこんなのを……晒してたんだ……)

美柑「んっ……っ……」

美柑(こんなの寝てるだけでもどこかに擦れて……変な気分……にぃ……)

美柑「ふぁ……あぁ……ぁ……」

美柑(もどかしい……もう手でさわりたい……)

リト「美柑。大丈夫か」ガチャ

美柑「きゃぁ!?」ビクッ

リト「どうした!?」

美柑「急に入ってこないで!!!」

リト「わ、悪い!!」

ララ「美柑、大丈夫?」

ナナ「気分はどうだ?」

美柑「気分!?気分は……別に……」

ララ「ゴメンね、美柑」

美柑「え?な、なにが?」

ララ「尻尾、敏感でしょ?」

美柑「なっ……!?」

ナナ「セリーヌに握られたときは大変だっただろ?」

美柑「それは……あの……別にそんなことないけど……」

ララ「そうなの!?」

美柑「ちょっと驚いちゃっただけだから」

モモ(そんなはずは……)

リト「……美柑」

美柑「な、なに!?」

リト「ララたちの尻尾は弱点なんだ。それが地球人にとってどれほどのものなのかは分からない。もしかしたらオレたちには命に関わることかもしれないんだ」

リト「さっきも言っただろ。体の調子が悪いならすぐに言えって」

美柑「リト……」モジモジ

リト「あ、オ、オレがいたら言えないか。悪い。でも、ララたちには言えよ。約束だからな。オレはリビングでセリーヌと遊んどくから」

美柑「うん、わかった」

リト「それじゃ、ララ。美柑のこと頼む」

ララ「まかせてっ」

ナナ「ふん……」

モモ「リトさんは優しいわね、ナナ?」

ナナ「うるさいなぁ。分かってる」

モモ「まぁ。わかってるの?うふふふ」

ナナ「なんだよ!!!何笑ってんだ!!!」

ララ「それで美柑、どんな感じだったの?」

美柑「な、なんか、全身に電気が走ったみたいな……感じで……」

ララ「やっぱり……」

美柑「でも、いつもこんなのに耐えてるの?」

ララ「私たちは生まれつき持ってるものだし」

美柑「そうじゃなくて……その……空気に触れてるだけでも……かなり……なんだけど……」

モモ「流石に私たちでもそこまでは……。まさか、お姉様の再現した尻尾は私たちとは微妙に違うのかも……」

ナナ「空気に触れてるだけでも、ムズムズするのかよ」

美柑「うん……。もうこうやって動かしているだけでも……」フリフリ

モモ「それは大変ですね」

ララ「多分、明日の朝には尻尾も消えてると思うから。それまで我慢してね」

美柑「大丈夫。それぐらいなら……」

ララ「本当にゴメンね、美柑」

美柑「いいから。もうこれぐらいのことは慣れちゃってるし」

ナナ「他におかしなところとかないんだな?」

美柑「な、ないない!!おかしなところなんて!!」

ララ「わかった。それじゃ、リトにはそう伝えておくね」

美柑「お願い、ララさん」

モモ「美柑さん?」

美柑「なに?」

モモ「……我慢は体に毒ですよ?」

美柑「ど、どういう意味よー!!!」

セリーヌ「まうまうー」ギュッ

リト(美柑のやつ、大丈夫かな……)

ララ「リトー」

リト「美柑は?」

ララ「大丈夫だって。尻尾が敏感になってること以外はなんともないみたい」

リト「はぁぁ……。そうか。よかったぁ」

ナナ「姉上ー。にょきにょきテールくんどうするんだ?」

ララ「もっちろん、改良を加えるよ。弱点までコピーしちゃうのは良くないことだもん」

リト「なんか不安だな」

モモ「まぁまぁ、リトさん。お姉様を信じてあげてください」

リト「ララの発明品だけはどうしても信用できないんだけど……」

ララ「心配しないで、リトっ」

リト「お前なぁ、過去に何度失敗してると思ってるんだよ」

ララ「数えてないや」

リト「そういうことじゃない!!!」

翌日

美柑「はぁ……」

リト「おはよ、美柑」

美柑「あ、リ、リト。今日は早いね」

リト「ああ。なんか目が覚めちゃって。尻尾なくなったんだな」

美柑「うん。起きたらなくなってた」

リト「どうした?なんか疲れてないか?」

美柑「え?あ、ああ、うん。ちょっと寝不足で……あはは……」

リト「今日は学校休むか?」

美柑「問題ないって。さ、朝ごはんつくらないと!!」

ララ「おはよー!!美柑ー!!あれからなんともなかった?」

美柑「うん。全然、なにも」

リト「ララ、改良できたのか?」

ララ「できたよ!にょきにょきテールくん改!!これなら弱点のない尻尾を生やすことができるの!!」

美柑「弱点のない尻尾?それってあんなに敏感じゃなくなるってこと?」

ララ「うんっ。試してみる?」

美柑「え、遠慮しとく。今、すごい自己嫌悪で……」

ララ「そうだね。それじゃ、リトにー」

リト「やめろ!!オレには似合わないって!!」

ララ「えー?リトだって似合うよ、絶対」

リト「いいって!!そういうのは籾岡みたいな女子のほうが似合うだろ!!!」

モモ「それは小悪魔的な女の子のほうがいいってことですか、リトさん?」

リト「あのなぁ」

モモ「うふふ。尻尾がある美柑さんも可愛かったですもんね」

美柑「え……」

リト「モモ!?そういうことじゃないって!!」

ナナ「なんだよ。朝からうるさいなぁ」

セリーヌ「まう!」

リト「だって……」

モモ「ごめんなさい。冗談ですよ」

リト「セリーヌ、いくぞー」

セリーヌ「まうー!!」

ララ「リサとミオ、喜んでくれるかなぁ」

リト「喜んではくれるだろうけど、改良してから試してないんだよな?」

ララ「うん。でも、あんなに敏感にはならないはずだから」

リト「信じていいのか……」

ナナ「早く行こうぜ。遅刻するぞ」

モモ「では、行ってきます。美柑さん」

美柑「うん」

ララ「行ってきまーす」

美柑「……リト」

リト「どうした?」

美柑「な、なんでもない。行ってらっしゃい。車に気をつけてね」

リト「美柑もな」

美柑「はいはい。……はぁ。何聞こうとしてるんだろう、私。さてと、私も準備しなきゃ」

学校

里紗「おぉー、つまりこれを使えばララちぃの尻尾があたしのものになるってこと?」

ララ「うん!」

未央「さっすがララちぃ、やるぅ」

里紗「じゃ、早速使ってみてー」

ララ「いっくよー。えいっ」カチッ

里紗「んっ。……おぉ!すごいじゃん!動く動くー」フリフリ

未央「リサ、かっわいいー」

里紗「体の一部が増えたみたいな感覚ー。変なのー」フリフリ

ララ「すぐに慣れると思うよ」

未央「ララちぃ、わたしもわたしもー」

ララ「オッケー」

里紗「あ、唯ー。これ見てよー」フリフリ

唯「え?ちょっと!?籾岡さん!!学校にアクセサリーはつけてこないようにって校則で決まっているでしょう!?」

里紗「えー、でも可愛くない?」

唯「可愛いとか可愛くないとかそういう問題じゃないでしょう!?」

里紗「唯もララちぃに頼んで尻尾もらったら?」

唯「どうして私がそんなものをつけないといけないのよ」

ララ「ミオも生えてきたよー」

未央「わーい!ありがとーララちぃ」フリフリ

唯「沢田さんまで!!ちょっと、ララさん!!どういうこと!?」

ララ「リサたちが欲しいって」

唯「だからってこんなアクセサリーを……」

未央「古手川さん。これがアクセサリーの動きに見えるの?」フリフリ

唯「それは……」

里紗「体の一部なら校則違反ってわけでもないよねー?」

未央「ねー?」

唯「そんな屁理屈が通用すると思ってるの!?」

ララ「唯も尻尾どう?」

唯「い、り、ま、せ、ん!」

リト(あの様子なら特に何もなさそうだな……。よかったぁ)

春菜「……」

リト「西連寺?どうかした?」

春菜「え!?ど、どうして?」

リト「いや、なんとなくララたちのほうを見てたからさ」

春菜「それは……」

里紗「はーるーなー?」

春菜「ひっ」

里紗「こっち見てた?見てたよねぇ?」

春菜「え、えーと……」

里紗「おーい、ララちぃー。春菜も尻尾欲しいってー」

ララ「ホントー?わーい」

春菜「ちょ、ちょっと!!里紗!!」

里紗「(いーじゃん、尻尾ぐらい。春菜も似合うって)」

春菜「(で、でも……古手川さんになんて言われるか……)」

唯「籾岡さん。西連寺さんまで巻き込もうとしないで。委員長を巻き込めばどうにかなるとでも思ってるの?」

里紗「ちぇー。バレたぁ」

春菜「利用しようとしてたの?」

里紗「春菜も一緒だったら流石に唯も文句は言わないと思って」

春菜「もう……」

リト(春菜ちゃんの尻尾姿は見てみたかったな……)

ララ「春菜……あの……」

春菜「なに?」フリフリ

ララ「ゴメン……もう、生えちゃってる……」

春菜「えー!?」フリフリ

里紗「あれ?ララちぃ、いつの間に?」

ララ「春菜も尻尾欲しいってリサが言うから嬉しくなって」

春菜「あぅ……」フリフリ

唯「さ、西連寺さんまで……!?」

リト(やっぱりかわいい……!)

春菜「なんだか、変な感じだね……」

ララ「でも、すっごく可愛いよ!!」

春菜「そう?」

リト(あぁ、めちゃくちゃ可愛い……)

春菜「あの……結城くん……」

リト「え?」

春菜「あまり、見ないで……恥ずかしい……」

リト「ご、ごめん!!!」

ララ「リトも春菜に尻尾は可愛いと思うよね?」

リト「え?あ、ああ、うん。か、可愛いと思う」

春菜「あ、ありがとう……」

ララ「よかったぁ。尻尾、喜んでくれて」

春菜「あはは、ありがとう、ララさん」

唯「ちょっと!!西連寺さん!!あなたは委員長なのよ!?こんなもの付けていいわけないじゃない!!ほら、とって!!」グイッ

春菜「ひぎぃ……!!!」ビクッ

リト(え……)

ララ「乱暴にしちゃだめだよー」

里紗「唯ー、もうこの尻尾は体の一部なんだから、取れないんだってばぁ」

未央「そうそう」

唯「だからって、このまま授業に出たり、校内を歩いたりしていいわけじゃないわ」

里紗「相変わらず、かったいんだからぁ」

唯「私は当然をことを言っているだけよ」グイッ

春菜「……ッ!!!」ビクッビクッ

リト「こ、古手川!!」

唯「なによ?」

リト「とりあえず、西連寺の尻尾を掴むのはやめないか?」

唯「どうして?早く取らないともうすぐ授業も始まるし」グイッ

春菜「ぁい……んっ……!?!」

リト「古手川!!!西連寺が痛がってるんだ!!!だから手を離してくれ!!」

唯「え?い、痛いの?ご、ごめんなさい!」

春菜「あっ……はぁ……はぁ……」

ララ「春菜、大丈夫!?」

春菜「ん……くっ……」

里紗「どーしちゃったの?」

未央「この尻尾、完全に生えてるんだね」

唯「そんなに強く引っ張ったつもりはなかったの。ごめんなさい、西連寺さん」

春菜「う、ううん……へ、いき……だから……」

里紗「それにしては顔赤いけど」

リト「……ララ、こっちこい」

ララ「なになに?」

リト「あの尻尾、弱点残ってるんじゃないのか?」

ララ「えー?そんなはずないと思うけど?」

リト「でも、西連寺の反応を見る限りは……」

ララ「そんな……」

春菜「うぅ……んっ……」

リト「ともかく、あの尻尾に弱点がまだ残っているかどうかは調べたほうがいいって」

ララ「うん、分かった」

リト「このままじゃ、春菜ちゃんだけじゃなくて籾岡と沢田も……」

ララ「リサ、ちょっとごめんね」

里紗「ん?なにする――」

ララ「……」ギュッ

里紗「ふぁぁ……!!!」ビクッ

唯「ちょ、ちょっと!!急に変な声を出さないで!!」

里紗「だ、だってぇ……ラ、ララちぃがぁ……」

ララ「これは……」

未央「ララちぃ、リサになにしたの?」

ララ「その尻尾――」

リト「ララ!!待て!!」

ララ「でも、早く言っておいたほうがいいよ」

リト「西連寺は尻尾を握られたんだぞ。握られたときに……その……なんか……ああなってたって知られるのは……あれだ……恥ずかしいことじゃないか……?」

ララ「うーん。確かに」

リト「だろ?事情を話すにしてもなるべく人気のないところのほうがいい」

ララ「どうしようか?ここだとみんなに話を聞かれちゃうし……」

リト「そうだな……」

春菜「はぁ……はぁ……」

リト「そうだ!!」

ララ「リト?」

リト「さ、西連寺!!熱があるんじゃないか!?こんなに顔も赤いし!!」

春菜「え?あの……」

リト「きっとそうだ!!ララ!!西連寺を保健室に連れて行ってくれ!!」

ララ「う、うん!!春菜!!いくよっ!!」

リト「ついでに古手川と籾岡と沢田も一緒に行ったほうがいい」

里紗「行くのは別にいいけど、なんで?あたし、どこも悪くないけど」

リト「西連寺の友達だろ!!付き合ってやれよ!!」

里紗「う、うん。わかった」

保健室

御門「なるほどねぇ。またララさんが面白いものを作ったわけね。それがこれ?」

ララ「うん。にゃきにょきテールくん改。尻尾の弱点はなくなったはずだったんだけど」

御門「見事に残っていたわけね」

ララ「そうみたい」

セリーヌ「まうまうっ」

お静「このてっぽうみたいなのがそうなんですか」

唯「西連寺さん、知らなかったこととは言え、私……」

春菜「き、気にしないで!!ちょっと驚いただけだから!!」

里紗「……」スリスリ

未央「んいぃぃ……!!!らめぇぇ……りしゃぁ……!!」ビクッビクッ

里紗「こりゃ、すごいわ。完璧にララちぃの尻尾じゃん」

唯「も、籾岡さん!!自分ので試しなさい!!!いや!!自分のでもダメ!!!そんなのハレンチだわ!!」

里紗「自分でするより、してあげるほうが好きなの」スリスリ

未央「んぉ……ひぐっ……いぃ……くぅ……!!」ビクビクッ

唯「やめなさいってば!!!」

里紗「分かってるって」

未央「ぅん……でも、くせになりそぉ……」ピクッピクッ

御門「感度も抜群。地球人には無い部位だし、ララさんのよりも敏感かもしれないわね」

お静「春菜さん、お気の毒……」

春菜「そんなことないよ!!尻尾そのものは可愛いもの!!」

ララ「春菜ぁ……」

春菜「私、本当に気にしてないから。むしろ嬉しいぐらい」

ララ「ホントに?」

春菜「うんっ。ララさんの尻尾、前から羨ましいなぁって思っていたの」

ララ「春菜ー!!ありがとー!!」ギュッ

唯「で、ララさん。このハレンチな尻尾はいつ取れるの?」

ララ「多分、明日の朝までにはなくなってると思うけど」

唯「随分とアバウトね……。まぁ、貴方の発明品らしいけど」

御門「……あら?机に置いたはずのララさんの発明品は?」

唯「え?ないんですか?」

お静「私、確かにそこに置いて……」

春菜「古手川さん!!後ろ!!」

唯「へ?」

セリーヌ「まうー」カチッ

唯「きゃっ!?」

御門「あら」

唯「な、なに……?なにが……」フリフリ

ララ「唯も尻尾はえたー」

セリーヌ「まう!」

唯「えぇぇ!?ちょっと!!こんなの付けてたら風紀委員として示しがつかないじゃない!!」グイッ

里紗「唯、そんな強く握ったら……」

唯「はぁっ……!!?」ビクンッ

セリーヌ「まうー?」

ララ「セリーヌちゃん、それかえしてー」

廊下

リト(ララたち、結局授業中には戻ってこなかったけど、なんかあったのか……?)

リト(様子を知りたいけど、今の保健室に男が入ったらまずいような気もするし……)

リト(あぁー……どうする……!!春菜ちゃんは無事なのか……!?)

ヤミ「邪魔です」

リト「ヤ、ヤミ!?」

ヤミ「通路の真ん中で何をしているのですか、結城リト」

リト「あぁ、いや……」

ヤミ「まさか……人にはいえないような……えっちぃことを……」シャキン

リト「ナナといいヤミといいどうしてそういうことを言うんだー!!」

ヤミ「日ごろの行いが悪い所為ですね」

リト「言い返せない……」

ヤミ「あまり不審な行動は控えるようにしてください。私もそれなりの対応をしなければいけなくなりますから」

リト「ま、待ってくれ、ヤミ!!ちょっと頼みたいことがあるんだ!!」

ヤミ「……私にですか?」

保健室

ヤミ「……」


リト『――ってことがあってさ。でも、ララたちが保健室に行ったきり戻ってこないんだ。様子を見に行ってくれないか?』

ヤミ『貴方が見にいけばいいではないですか』

リト『あの尻尾のことはヤミも知ってるだろ?男のオレがいたら、きっとみんなだって恥ずかしいはずだ』

ヤミ『……』

リト『でも、戻ってこないのは心配だし……。だから、頼む!』

ヤミ『……タイヤキ、10個で手を打ちます』

リト『じゅ、10個か。わかった。今度、おごる』


ヤミ「……20個にするべきでしたね」

ヤミ「プリンセス。結城リトからの依頼で様子を――」ガラッ

セリーヌ「まーうー!!」カチッ

春菜「あぁ!!また!!!」

ヤミ「なっ……」

廊下

リト「……」

ララ「じゃーん。みてみてー、リトー。みんなに尻尾が生えちゃったー」

春菜「うぅ……」フリフリ

唯「どうして私がこんな目に……」

里紗「まぁまぁ、似合ってるしいいじゃない」スリスリ

唯「ふにゃぁ……!!!」ビクッ

未央「にゃはは。古手川さん、かわいー」

唯「やめなさい!!!」

リト「古手川とヤミまで……」

ヤミ「やられました。まさか扉を開けた瞬間に攻撃されるとは……。私も腑抜けになったものですね……」

春菜「ヤミちゃん、落ち込まないで」

リト「ララ、説明はしたのか?」

ララ「したよ。尻尾をなるべく触らないようにってこともちゃんと教えておいたから」

リト「なら、いいんだけどさ」

唯「どこがいいのよ。この尻尾、隠すに隠せないし……しかも……こんなに……敏感だし……」

ララ「……」

リト「保健室で何してたんだ?1時間ぐらいいただろ?」

里紗「ああ。この尻尾が本当にあたしたちの体に何も影響がないのか、御門先生に調べてもらったの」

リト「それで?」

未央「なーんともないよ。ただ、私たちにはなかった部分だから、余計に敏感になってるかもしれないんだって」

里紗「だから、ちょっと触れただけで……」

ヤミ「やめてくださいっ」バッ

里紗「あら。ヤミヤミはダメかぁ」

ヤミ「全く。油断も隙もないですね」

未央「でもでもぉ。ちょっとハマりそうだよねぇ」

里紗「分かる。今までになかった刺激というか快感というかぁ。ね、春菜?」

春菜「り、里紗ぁ」

唯「籾岡さん!!いい加減にしなさい!!!」

里紗「はぁーい。もういいませーん」

唯「そうだわ。ヤミちゃん、この尻尾を切り落とすことはできないの?」

ヤミ「オススメできません」

唯「どうして?」

ヤミ「ドクター御門も言っていましたが、この尾は生えている状態です。つまり神経がある。切除は激しい痛みを伴うはずです」

唯「うっ……」

ヤミ「それでもいいなら、切りますが」シャキン

唯「や、やっぱり、いいわ」

ヤミ「賢明です」

里紗「まぁ、そんなに深く考える必要もないでしょ?明日には消えるんだしさ」

唯「だから、今日一日どう過ごせばいいのよって話でしょう」

未央「そんなに嫌なの?」

唯「嫌とかそういうことじゃないわ。私たちには非常識なものだし、不必要だもの」

里紗「ゆうきぃ。唯に尻尾がある状態はどう思う?結構可愛いと思うでしょ?」

リト「ああ、尻尾のある古手川は可愛いと思う」

唯「な……!?」フリフリ

里紗「ほらね、結城もこういってるし」

唯「ハレンチよ!!この尻尾があるほうがいいって!!変なこと考えてるの!?」

リト「ま、待ってくれ!そうじゃない!!見た目が可愛いから正直な感想を言っただけだって!!」

唯「しょ、正直な……!?」

春菜「……」フリフリ

ヤミ「尻尾があるほうがいいのですか?変わった嗜好ですね」

リト「だから、見た目の話だろ!?見た目の!!」

唯「と、ともかく。籾岡さん、沢田さん。この尻尾を悪用しないようにね」

里紗「あらあら。古手川さぁん?悪用ってどんな風に使うのぉ?」

未央「お、し、え、てぇ」

唯「ぐっ……!!あ、あなたたちはぁ……!!」

リト「まぁ、無闇に触らなければそれで……」

ララ「……」

リト「ララ?どうした?」

ララ「え?なんでもないよ。ほら、教室にもどろ。みんなっ」

昼休み

モモ「そうですか。結局、尻尾の弱点はそのままに、尻尾を生やした人だけが増えてしまったんですね」

リト「まぁ、尻尾のことはきちんと説明できているみたいだし、おかしなことにはならないと思うけど」

モモ「……それはどうでしょうか、リトさん」

リト「え?どういうことだ?」

モモ「生まれたときから体にあるものですから、私たちは自分の尻尾のことをよく理解できています。どのような器官なのかは勿論、その扱い方も」

リト「扱い方?」

モモ「リトさんは知っていると思いますけど……この尾を舐められたり、軽く噛まれたりするだけで……」

リト「わ、わかった!!わかったから言わなくていい!!!」

モモ「地球のみなさんにとって、どれほどの快感があるのかは分かりませんが、少なくとも性感帯が無駄に増えてしまったといえるはずです」

リト「あ、あぁ……そ、そうだな……」

モモ「しかも、未知で新感覚のものがです。一度、良さを知ってしまえば大変なことになるかもしれないですね」

リト「なに?」

モモ「ほら、言うじゃないですか。何事も覚えたばかりが1番凄いと」

リト「ま、まさか……。いや、そんな……こと……」

春菜『んっ……あっ……ふっ……』シュッシュッ

春菜『し……っぽ……いぃ……ぅん……はぁっ……』

春菜『……ッ!』ビクンッ


リト(あぁぁ……い、いや……春菜ちゃんがそんなことするわけ……!!でもそんな春菜ちゃんも……!!)

モモ「リトさん?」

リト「おわぁ!?」

モモ「どんな想像してたんですか?」

リト「想像なんてしてない!!」

モモ「でも、私は悪いことだとは思いませんけど」

リト「え?」

モモ「我慢することのほうが色々と辛いですから」

リト「そうかなぁ……」

モモ「そうですよ。だから、リトさんも我慢なんてせずに……」

リト「ちょ……モモ……」

ナナ「おーい、リトー。メアのことみなか――って、学校でなにしてんだ!!!ケダモノー!!!」

教室

唯「やっぱり落ち着かないわね、これ」フリフリ

春菜「あはは。なんか気になっちゃうよね」

唯「ララさん。この尻尾が消える正確な時間って本当にわからないの?」

ララ「……」

春菜「……ララさん?」

ララ「え?なに?」

唯「この尻尾が消える時間はいつなのか知る方法はないのかって聞いたの」

ララ「そればっかりはよくわからなくて」

唯「もう……」

春菜「ララさん、何かあった?」

ララ「どうして?」

春菜「あ、気のせいならいいの」

ララ「そう?」

春菜「……」

廊下

リト「またナナに勘違いされたな……。あとでちゃんと誤解を解かないと」

春菜「結城くん」

リト「西連寺?」

春菜「ちょっと、いいかな?」

リト「も、もちろん」

リト(なんだろう……)

春菜「あのね……」フリフリ

リト(尻尾が動いてる。無意識なのかなぁ、春菜ちゃん)

春菜「結城くんっ」

リト「え!?」

春菜「そんなに尻尾が好き?」フリフリ

リト「ちが……!!それは、さ、西連寺だから……」

春菜「私、だから?」

リト「あ……」

春菜「……」モジモジ

リト(やばい……!!なんか春菜ちゃんが困ってる!?話題を変えないと……!!)

リト「そ、それで、オレに何か用事があったんじゃなかったの?」

春菜「あ、う、うん!そうなの!実は、ララさんのことで……」

リト「ララ?」

春菜「ララさん、元気がないみたいなんだけど、何か心当たりはある?」

リト「いや。元気ないって、全然気が付かなかったけど」

春菜「私の思い過ごしかもしれないけど……ちょっと気になって……」

リト「そう……」

リト(何かあったか?今日は尻尾で騒いでいたぐらいだしな)

春菜「ごめんなさい。結城くんに心当たりがないなら、きっと私の勘違いだと思う」

リト「そんなことないと思うけどな。西連寺はララの考えてることとかよく分かってるし」

春菜「そんな!私なんて……別に……」

リト「オレからもさり気無く聞いてみる。教えてくれて、ありがとう」

春菜「うん。私のほうこそ、ありがとう、結城くん」

唯「……」フリフリ

唯(男の子ってこういう尻尾がいいのかしら?よく分からないけど……)

リト「古手川」

唯「は、はい!?」

リト「どうした?」

唯「べ、別に。急に名前を呼ばれたからよ。それで何か用?」

リト「ララを見なかったか?教室にいなくてさ」

唯「さぁ。私もお手洗いに行っていたから……」

リト「そうか。なぁ、古手川から見てもララの様子がおかしかったか?」

唯「ララさんの様子?うーん……」

リト「なんか落ち込んでたとか」

唯「そういえば、何か考え事をしているような気がするわね。どことなく上の空だったし」

リト「……古手川もララのことよく見てるんだな」

唯「あ、あれぐらいはすぐに気が付くわ」

リト「そうだな……」

芽亜「あー!?」

ヤミ「……なんですか?」

芽亜「その尻尾、ナナちゃんのだ!素敵っ!どうしたの!?」

ヤミ「色々あって、生えてきただけです」

芽亜「ふぅーん。触ってもいい?」

ヤミ「やめてください!」

芽亜「どうしてー?」

ヤミ「ど、どうしてもです」

芽亜「そんなこといわずにぃ」

ヤミ「メ、メア……!!」

芽亜「わーい」ギュッ

ヤミ「あっ……ひっ……!!」ビクッ

芽亜「いいなぁ。私もほしぃ」スリスリ

ヤミ「やめ……てぇ……メアぁ……」ビクビクッ

芽亜「あれ?もしかして気持ちいいの?素敵。トランスじゃそこまで再現できないし。益々欲しくなってきちゃった」

ヤミ「くっ!!」バッ

芽亜「あ。もっと触りたかったのに」

ヤミ「そ、そんなに欲しいなら、プリンセスに頼めばいいと思います」

芽亜「ララ先輩に頼めばくれるの!?」

ヤミ「ええ」

芽亜「よーしっ。もらいにいこーっと」テテテッ

ヤミ「はぁ……。この尻尾があることでかなり不利になりますね」フリフリ

ナナ「いたいた!!メアー!!」

芽亜「あ、ナナちゃん!」

ナナ「探してたんだ。どこにいたんだよ」

芽亜「ちょっと屋上でお昼寝してたの」

ナナ「まぁ、いいや。それより今日の帰りさぁ」

芽亜「ねえねえ、ララ先輩に頼めばナナちゃんの尻尾もらえるらしいね」

ナナ「ああ。姉上が発明したやつがあるからな。……誰から聞いたんだ?」

芽亜「一緒にララ先輩をさがそっ。私もナナちゃんと同じ尻尾欲しいのっ」

ララ「……」

ペケ「ララ様?」

ララ「んー?」

ペケ「尻尾が不評だったことを気にされているのですか?」

ララ「それもあるかなぁ」

ペケ「他にもなにか?」

ララ「……」

リト「ララ、ここに居たのか」

ララ「リト。私のこと探してたの?」

リト「ああ。西連寺からララの様子がおかしいって聞いて。古手川も言ってたけど」

ララ「心配してくれたの?うれしー」

リト「そりゃ、まぁ……」

ララ「ありがと、リト。でも、もういいの。こうしてリトに心配させちゃうほうが嫌だしね」

リト「……」

ララ「あ!いけない。そろそろ休み時間終わっちゃう。戻ろうよ、リト」

リト「待ってくれ」

ララ「なぁに?」

リト「何かあるなら、誰かに相談してもいいんじゃないか?オレに言いにくいことなら西連寺や古手川にでも言えばいいだろ」

ララ「違うの。言ってもあまり意味がないってだけで」

リト「それを決めるのはララじゃない」

ララ「え……」

リト「西連寺も悩んでるララなんて見たくないと思うぞ。いつも明るいお前に元気がないと、こっちまで不安になるしさ」

ララ「リト……」

リト「オレはララみたいに万能じゃないし、できることも限られてる。だけど、今までだってなんとかなってきただろ」

ララ「……」

リト「だから、言ってくれよ。今更、お前に振り回されたってなんとも思わないぞ、オレ」

ララ「……ありがとう」

リト「で、何かあったのか?」

ララ「尻尾のことなんだけど……」

リト「やっぱりそれが原因か。だけど、籾岡だって喜んでたし、今回は成功でいいんじゃないか?」

ララ「リサとミオはいいんだけど、春菜と唯とヤミちゃんはどちらかというと迷惑がってたでしょ?」

リト「迷惑というか、モノがモノだけになぁ。すぐに慣れるものでもないし」

ララ「私ね、なんだかすっごく楽しくなってたの。春菜たちに尻尾があるのをみて、すごく嬉しくなってた」

リト「どうして?」

ララ「最初は自分でもよく分からなかったけど、みんなに私と同じ尻尾があるのを見てて思ったんだ」

ララ「……家族が増えた気になってたのかも」

リト(家族……)

ララ「勿論、ナナとモモもいるし、リトや美柑だっているから寂しくなんてないよ!ただ、そう感じちゃっただけで」

リト(そういえば美柑に尻尾が生えたときも、妹になったみたいって……)

ララ「だからかもしれないけど、出来ればずっと付けていてほしいなぁって思っちゃって。でも、そういうわけにはいかなさそうだから……」

リト(なんで気が付けなかったんだ。故郷のことを考えたりするのは当たり前だ)

ララ「それで少し、ね」

リト「そうだったのか」

ララ「聞いてくれて、嬉しかったよ。本当に」

リト「……ゴメン。ララの気持ちに気が付けなくて。気が付いていれば、もっと上手くフォローできてたはずなのにな」

ララ「リトが気にすることじゃないよー。これは私の我侭だもん」

リト「オレは、美柑のことを大切な家族だって考えてる」

ララ「うん?」

リト「セリーヌも同じだし、モモとナナもそうだ」

ララ「リト?」

リト「当然、ララもな」

ララ「……うん」

リト「その尻尾は可愛いし、みんなに付いているのも悪くないかなってちょっと思ったぐらいだ」

ララ「そう?やっぱりリトも尻尾好きなんだねっ」フリフリ

リト「でも、ララたちを大切に思う気持ちに尻尾は関係ない。それはララだって同じのはずだ」

ララ「……」

リト「今までだってララは美柑のお姉さんをしてくれてたんだ。尻尾のあるなしで妹みたいだっていうのはおかしいだろ?」

ララ「そ、そう?でもいつも美柑におこられてるし……」

リト「オレは多分、一生忘れないぜ?クリスマスのとき、ララが美柑のために用意してくれたプレゼントはさ」

ララ「あれは美柑が家族みんなで過ごしたいっていうから、リトのママとパパを連れて来ただけだよ?」

リト「そういうことを普通にできるって、姉としての凄さだったりすると思うけどな」

ララ「そうなの?」

リト「ああ。少なくとも実の兄貴には出来なかったことだ」

ララ「そっかぁ……」

リト「ララ。今は故郷のことを思い出してもいい。それで少し寂しい気持ちになるのも分かる」

リト「……ただ、そういうときこそ、オレたちのことを頼ってもいいんじゃないか」

ララ「……」

リト「その寂しさぐらい、なんとかしてやるから」

ララ「うんっ。そのときはお願いします」

リト「そ、そろそろ教室に戻ろうぜ」

ララ「リトー!!」ギュッ

リト「おわ!?」

ララ「だーいすきっ」

リト「な、なんだよ、急に!!」

ララ「えへへー」スリスリ

リト「は、はなれろって!!」

ララ「えー?なんとかしてくれるっていったのリトなのにー」

リト「いや、それとこれとは……」

ララ「リトー」ギュッ

リト「お、おい!!」

芽亜「いたっ。あそこだ」

ナナ「げっ!?おい!!こらぁ!!!リトぉ!!なにしてるんだよ!!!」

リト「ナナ!?やばい!!モモとの誤解もとけてないのに……!!」

ララ「ナナー、メアちゃーん」

リト「ララ、いいから今は離れてくれ!!」ググッ

ララ「えー、やだー」

リト「やだじゃない!!」グイッ

ララ「きゃっ」

リト(まずい!バランスがくずれて……!!)

芽亜「あ、倒れる」

リト「いたた……。おい、ララ、大丈夫――」ギュッ

ララ「あんっ……ぅ……!」

リト「え?」

ララ「し、しっぽぉ……らめぇ……」ビクビクッ

リト「うわぁ!!!わるい!!」

ナナ「やっぱり……おまえは……!!」

リト「事故だ!!事故ぉ!!!」

ララ「ふぅ……」

芽亜「せーんぱいっ!」

ララ「メアちゃん、なに?」

芽亜「尻尾ほしい!」

ララ「メアちゃんも欲しいの?」

芽亜「うんっ。その尻尾を生やして、そしてリトせんぱいに尻尾をペロペロしてもらうのぉ……想像しただけで、あぁ……」ビクンッ

リト「なんだよ、それ!?」

ナナ「お、おまえ……!!ケダモノー!!!!」

教室

リト「あー。酷い目にあった……」

ララ「メアちゃん、喜んでくれてよかったぁ」

リト「オレはナナに勘違いされるし、散々だ」

ララ「そういえばなんでメアちゃんの尻尾、ペロペロしてあげなかったの?」

リト「できるかぁ!!!」

春菜「結城くん、ララさん。おかえり」

ララ「ただいまー!はるなぁー!」

春菜「……」

リト「な、なに?」

春菜「ううん」

春菜(ありがとう、結城くん……)

唯「……元気になったみたいね」

ララ「うんっ」

唯「ふんっ……」

里紗「ね、ねえ、ララちぃ……」

ララ「リサ、どしたの?」

里紗「この尻尾……明日にはなくなっちゃうんだよね……?」

ララ「そうだけど?」

里紗「あのさぁ、よかったらでいいんだけど……また明日も……尻尾お願いできる……?」

ララ「いいよー。そんなに気に入ってくれたの?」

里紗「もう……尻尾なしじゃ、ダメな体になりそう……」

未央「わ、わたしもぉ……」

ララ「そうなんだー。わーい。うれしー」

里紗「こんなにすごいのを……いつもララちぃは……はぁ……はぁ……」

春菜「リサ?大丈夫?トイレに行ってから戻ってくるまで長かったけど……」

里紗「ふふ。春菜、この尻尾。今のうちに楽しんでおくほうがいいわよ?唯もね?」

春菜「え?」

唯「なっ……!?何を楽しむのよ!!!わけのわからないことを言わないで!!!」

未央「早く家にかえりたいよぉ……」

夕方 結城宅

美柑「そんなことがあったんだ」

ララ「うん。ゴメンね、美柑。あのとき妹になったみたいなんていって」

美柑「気にしてないって、ララさん。でも、言われてみればララさんは既にもう1人のお姉ちゃんかも」

ララ「そう思ってくれるの!?」

美柑「まぁ、ね」

ララ「みかーん!!」ギュゥゥ

美柑「く、くるしい……」

ララ「そうだよねー。尻尾は関係ないよねー」

美柑「……あ、でも……その……また……」モジモジ

ララ「尻尾ほしいの!?いいよ、いつでも言って!!」

モモ「あらあら……。美柑さん、尻尾の快楽に溺れてしまったのでしょうか……」

リト「な、なに!?」

モモ「気をつけたほうがいいですね、リトさん。春菜さんや古手川さんも尻尾の魅力に取り付かれたら……。私としてはハーレム計画的に良い流れですけども」

リト(春菜ちゃんが……春菜ちゃんが……尻尾の魅力に……!?)

西連寺宅 浴室

春菜「……」フリフリ

春菜「この尻尾、洗ったほうがいいのかな?」

春菜「……」ゴシッゴシッ

春菜「くっ……ぃ……!?」ビクッ

春菜「はっ……い……ん……」

春菜「こ、これはちょっと洗えない……」

春菜「はぁ……。ララさんはこれどうやって洗ってるんだろう」

春菜「ララさんも毎日、苦労してるんだ……」

春菜「でも、この尻尾がなくなるのはちょっと惜しいかも」

春菜「……」フリフリ

春菜「ふふ……」

春菜「あぁ、だけど古手川さんに怒られちゃうし、やっぱりダメだよね……」

春菜「……」フリフリ

春菜「はぁ……尻尾……」

古手川宅 浴室

唯「……」フリフリ


『この尻尾。今のうちに楽しんでおくほうがいいわよ?』


唯「それってやっぱり……」

唯「……」フリフリ

唯「ダ、ダメよ!!何を考えてるの!!私ったら!!ハレンチだわ!!!」

唯「籾岡さんの言うことなんて忘れなきゃ!!」

唯「寝る前にきちんと明日の予習をしておかないと!!」

唯「ふんふふーん」

唯「……」フリフリ

唯「尻尾は、洗っておいたほうが、いいわよね……」

唯「そうよ……洗うだけ……。洗うだけなら……ハレンチなことじゃないし……」

唯「……」ドキドキ

唯「えいっ!」ゴシゴシゴシ

翌日 結城宅

美柑「リトー、おきてー」

リト「あ、あぁ……おはよ……美柑……」

美柑「遅刻しちゃうよ」フリフリ

リト「美柑、それ……」

美柑「ん?ああ、尻尾ね。またララさんに頼んだの」

リト「……」

美柑「ど、どうかな……?」

リト「いや、可愛いとは思うけど、変なことに使ってないよな?」

美柑「へ、変なことってなに?」

リト「だから……」

美柑「もしかしておかしな想像してる?」

リト「し、してない!!」

美柑「ならいいよ。可愛いって言ってくれたしね」

リト(大丈夫なのか……。ファッション感覚ならいいけど……)

リビング

セリーヌ「まうー?」

美柑「はい、どうぞ」フリフリ

ナナ「サンキュ、美柑。いただきまーす」

モモ「美柑さん。どうですか、尻尾の使い心地は?」

美柑「使うって!!別に使ってないから!!!」

モモ「あら、そうなのですかぁ。うふふふ」

美柑「なによー!?」

ララ「美柑はリトに可愛いって言われたかっただけだよね?」

美柑「ラ、ララさぁん!!!」

モモ「まぁまぁ。それはそれは」

美柑「違うのー!!!」

セリーヌ「まうっ」ギュッ

美柑「んぎぃ……!?!セ、セリーヌ……やめてぇ……」ビクッビクッ

ナナ「セリーヌ!!はなせー!!そこは大変なんだからな!!」

美柑「はぁ……」

リト「あれ?美柑、尻尾なくなってるけど、どうしたんだ?」

美柑「え?ああ、うん。やっぱりやめたんだ。危ないから」

リト「そういえばオレが顔を洗ってるとき、リビングから悲鳴が聞こえたけど……」

美柑「なんでもない!」

リト「そ、そうか。それにしても尻尾は取り外せるようになったのか?」

ララ「うん。スーパーにゃきにょきテールくんなら好きなときに生やしたり、引っ込めたりできるようになるんだよ」

リト「そういう風にしたのか」

ララ「そのほうが、いいかなって。一時的にあるだけならきっと春菜や唯も尻尾を生やしてくれそうだし」

リト(ララのやつ、やっぱり寂しいのかな……)

ララ「モモー、ナナー。いこー」

ナナ「今、いくー」

モモ「はぁーい」

美柑「いってらっしゃーい」

リト(ま、いつでも付け外しができるなら、変なことにも使われることはないし……いいかな……)

>>77
訂正
ララ「うん。スーパーにゃきにょきテールくんなら好きなときに生やしたり、引っ込めたりできるようになるんだよ」

ララ「うん。スーパーにょきにょきテールくんなら好きなときに生やしたり、引っ込めたりできるようになるんだよ」

学校

ララ「できたよー」

里紗「きたぁ!!尻尾ぉ。もう朝起きたときの喪失感はすごかったのよねぇ」

未央「にゃはは。また楽しめるぅ」

ララ「今度はこの機械を使わない限り、尻尾がなくなることはないから安心してね」

里紗「マジで!?」

リト「ララ!!そうなのか!?」

ララ「うん。リサみたいにずっとつけていたいって思う人もいるから」

リト(そ、それって……本人次第でいつまでも……!!)

春菜「おはよう」

リト「はる……西連寺!?」

ララ「おっはよー!春菜もまた尻尾いる?」

春菜「え、えーと……」

唯「……」

春菜(こ、古手川さんがこっちみてる……。尻尾、欲しいけど……やっぱり、ダメなのかなぁ……)

唯「ララさん」

ララ「なに?」

唯「か、帰るときに、お願いしてもいいかしら……尻尾……」

ララ「唯ー!!もちろん!!」

里紗「ついに唯も目覚めちゃったかぁ」

唯「そ、そんなんじゃないわ!!!」

春菜「あ、それなら私も……」

リト「ダ、ダメだぁ!!!」

ララ「え?」

春菜「ダ、ダメなの?」

リト「なんていうか!!ダメだ!!!」

里紗「わかったぁ。女の子が尻尾で気持ちいいことするのが嫌なんだ、結城はぁ」

唯「え……!?」ギクッ

春菜「……?」

リト「ち、ちがう!!そんなんじゃない!!!」

里紗「隠さなくてもいいってばぁ。なんなら保健室で見せてあげてもいいけどぉ?」

リト「ふざけんなー!!!」

唯(結城くんに……バ、バレて……)

ララ「唯?」

唯「私!!やっぱりいいわ!!!尻尾、いらない!!!」

ララ「そんなぁー。唯に尻尾があれば可愛いのにぃ」

唯「いいの!!!」

ララ「……そっか。唯が嫌なら仕方ないね。大事な友達が嫌がることなんて、したくないし」

唯「な、なによ。急に改まって……」

ララ「えへへ」

春菜(結城くんに可愛いって思われたかったけど……。結城くん、尻尾は嫌だったのかなぁ……)

芽亜「素敵っ!!思った通り!!またララ先輩が尻尾配ってる!!今日こそリトせんぱいに尻尾をペロペロしてもらおー!!」

リト「ララの尻尾が大人気……。これはまずい……!!まずいだろー!!!」

ヤミ「ホント、えっちぃ人ばかりですね。あんな尻尾……洗うときに困るだけです……」


おしまい。

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