ちまちま書いてくよ。初心者だから色々勘弁してね。エログロ以外のお題くれたら書くかもしれない。
【日向創×七海千秋。ネタバレ注意】
「なあ、七海」
常夏の楽園にも夜は来る。遠く輝き始めた星をぼんやりと眺め、俺は自らの前を歩く少女の名を呼んだ。
「へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「おいおい、やめろってそういうの」
彼女らしいと言えば彼女らしいその答えにも、なぜか苦笑を通り越して冷や汗が流れる。突然叫び出したくなるような衝動にかられるが、俺は喉を震わせる代わりに小さな背中へと駆け寄ってその手をにぎった。
「……あのね、日向くん」
ぽつり、ぽつり。甘く優しげな声が歌うように紡がれる。
「君は生きていくべきだよ、こんなところでくすぶってないでさ」
「……は……?」
さっぱり意味が分からない。俺はこの楽園で彼女と出会い、恋に落ち、一緒に過ごすようになっただけの存在だ。もう俺は、彼女なしでは生きていけないだろうに。
「私はみんなと違うの。だからずっと、この世界から出られない」
「なな、み……?」
どういうことだよ、なんて問いかけはしかし、突如襲い来た頭痛によって遮られる。外側からハンマーで何度も殴り付けられるような痛みにうずくまれば、薄桃色の彼女はようやくこちらを振り向き――笑っ、た。
「『君』は生きていくべきだよ、日向くん。私のことはさ、気にしなくていいから」
「やめろ……っ、言うな……!」
「あのね、君は今夢を見てるの。理由は多分、コロシアイの世界から脱出するのに疲れちゃったからだろうけど。
……私は死んだの。もう、修学旅行は終わったんだから」
「やめ……っ、お前はまだ、ここに……いるじゃないかよ……!」
食い縛った歯がぎちり、と嫌な音を立てることすらいとわず、俺は振り絞るように声を落とす。やめろ、俺はまだお前に、好きだって言えてないんだ……!
「ううん、今君が見てるのは夢だから。君の願望が形を取って、言ってほしいことを言わせてるだけ」
燃えるような夕焼けも既に沈み、世界は段々と黒く染められていく。きっとこの夜が完成するころ、七海は消えてしまうのだろう。封じていた記憶の鍵が、音を立てて壊れていくのを他人事のように感じた。
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