爽「揺杏に無視されてる気がする」 (84)
ゆあたんイェイ~な揺杏誕生日おめでとうss
滑り込みなんで今日中に誕生日終わっちゃうけど書きます
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誓子「いつから?」
成香「心当たりは?」
由暉子「どうして私たちに相談するんですか?」
爽「いっぺんに聞くな!聖徳太子じゃないんだから!」
誓子「じゃあ私から聞くね。爽が、揺杏ちゃんに無視されてるって感じ始めたのはいつ頃からなの?」
爽「今朝からかな。今思うと、先週あたりから前兆みたいのがあったかも…」
成香「前兆?」
爽「ほら、揺杏が私を麻雀部のグループから退会させたことあったじゃん。LINEでさ」
誓子「ああ!アレ…は……ただの間違いじゃない?今までも、そういうのたまにあったし…」
爽「でも、あの後私は誰からも招待受けてないし…まさかお前ら、私を麻雀部からハブにしようとしてないよな?」
誓子「…………」
成香「…………」
由暉子「…………」
誓成由「「「そんなことない(です)よ」」」
爽(なんだ今の間は…)
成香「でも、爽さんはグループに招待されてないことに納得してるんじゃありませんでした?」
爽「うん。『全国まで予定ないし、メンドくせーから後でいーっしょや?』とかなんとか言われたわ。そんな手間かかることでもないのにな」
誓子「考えすぎじゃない?揺杏ちゃんは爽となんだかんだで仲良かったし、今はちょっと機嫌が悪いだけとか」
爽「や、でも……今朝話しかけた時、おもいっきり無視されたんだけど」
由暉子「…それより獅子原先輩、何故私たちに相談するんです?押し付けがましい言い方で恐縮ですが、私はまだお昼も食べてないんですが…」
爽「マジか。そりゃすまん」ペッコリン
由暉子「そうじゃなくて、理由が知りたいんです」
爽「理由……ね」
爽(単に学内の知り合いで真面目そうな奴トップ3を呼んだだけなんだけど……それだけじゃ納得されないかもな)
爽「…………私と揺杏の共通の知り合いで、こういう問題を真剣に考えてくれそうで、他人に口外したりしなさそうだからかな」
由暉子「…つまり、私たちを信用しているからだと」
爽「あっ、うん」
誓子「…つまり、私たちの他に信用できそうな相手がいない、と」
爽「…なんで微妙に酷い言い方?」
成香「……他の部員たちは信用できないんですか、爽さん…?」
爽「あっ、いやっ、そういうわけじゃ…」
成香「…なんちゃって。冗談ですよ♪」
爽「!?」
爽(どういうことだ!?学内で『ちょろそうな女子選手権』『最もイカれた髪型コンテスト』『泣き顔の見たい女子総選挙』『小動物オーラ放ってる女子アンケート』の一位を総ナメしてるあの成香が私を手玉にとっただなんて……これは何かヤバいことが)
由暉子「ないと思いますよ」
爽「私の心を読むな!ユキ、お前は超能力者か何か!?」
由暉子「いえ、先輩があらぬ妄想を繰り広げているような予感が…」
爽「む…。……って、んなことはどうでもいい。それより皆、私の話をちゃんと聞いてくれよ」
誓子「それはいいけど、なるべく早くしてね。ユキちゃんがああ言ってたけど、私もお昼食べないで爽の相談に付き合ってるんだからね?」
成香「私もです」
爽「ご、ごめんごめん」
爽(くっ…!呼び出した時に弁当持参って言っとけばよかったか……)
爽「…分かった、皆。まずはいきなり呼び出した非礼を詫びようと思う。本当に済まなかった…」ペッコリン
誓子(ビックリするぐらい急に殊勝になったよ…)
爽「私の弁当は分けてあげられないが、幸い今日は森〇の『ト〇ポ』を何箱か持ってきてある。存分に食べてくれ」スッ
成香「あっ、ありがとうございます」ビリッ
由暉子「どうも」ビリッ
誓子「なんでトッ〇?食べるけど…」ビリッ
爽「明日は揺杏の誕生日だからな。前祝いというか、軽いジャブみたいな感じでちょっとした贈り物をしたかったんだよ」ポリポリ
誓子「ふーん。……そっか、前祝いか…」ポリポリ
爽「…うん」
由暉子「『ちょっとし』すぎな気はしますけど……優しいですね、獅子原先輩は」ポリポリ
爽「そうだろう。優しいだろう」
成香「…あの。私の分のトッ〇、半分くらい折れてるんですけど……」ポリポリ
爽「我慢しろ」
成香「(食べにくい…)…爽さん。揺杏ちゃんて、そんなにトッ〇好きでしたっけ?」
爽「コンビニ菓子を人前で食うのが嫌いなだけで、アイツはなかなかのトッ〇好きだよ。本人とそういう話した事あるし間違いない!」
誓子「へぇ。そのくらいで揺杏ちゃんのイメージ変わったりしないと思うけど…」
爽「んー……その辺は、前にちょっとしたことがあってさ。そこまでアレなことでもないんだけど」
由暉子「その話も興味ありますけど、早く本題に入りましょうよ。…まず、岩館先輩に無視される心当たりを思い出してみてください」
爽「そう言われてもなぁ……」
由暉子「断片的でもいいので。とりあえず、無視される直前の会話とか何か…」
爽「心当たりねぇ。んー……」
~~~~~~~~~~
揺杏「……………………」
「……ん…」
揺杏「………………」
「……あん。おい、…あん」
揺杏「…………」
「……あーん!起きろー!ゆあーん!」
揺杏「……あ?」
揺杏「なんだ、誰かと思ったらA子じゃん。んな大声出してどったの?」
A子「おま、今日元気ねーぞ。なんかあったん?」
揺杏「…別に。強いて言や、今朝ちょっぴりヤな事あっただけ。そんだけだよ」
A子「…そうかよ」
揺杏「うん」
A子「……今日の昼はあのメンバーで食べねーの?3年の獅子原とかさ…部室とかによく食いに行ってんじゃん」
揺杏「毎日行ってるのとちげーし……つかA子、マジどーした?なんか私に用あんの?」
A子「用っつーか。……明日、お前の誕生日なんだろ。んな凹んでて、テンションとか平気なん?」
揺杏(凹んでる……か)
揺杏(………………)
揺杏「……A子はさ」
A子「あ?」
揺杏「ほらアレよ、A子は仲のいー彼氏いんじゃん。恋愛について、ちょっと質問あんだけど」
A子「はぁ?揺杏が恋愛って………何?」
揺杏「男ってさ。…なんつーか、好きな子に『カッコいい』とか何とか褒められたことって、覚えてるもんなん?」
A子「いや知らねーし。私女だし、カレシにんなこと聞いたこともねーから分かんねえよ」
揺杏「んじゃさ。褒め言葉を言った側の女は、そういうの覚えてるものなんかな?」
A子「…んー。そういうのは、言った時のシチュによるっつーか……まあ、覚えてたり覚えてなかったりだけど」
揺杏「そうか。時と場合によるか…」
A子「おう……つか、当たり前じゃん…」
揺杏「……そうか」
A子「…うん」
A子「……揺杏さ」
揺杏「ん?」
A子「狙ってる奴とか…いるの?」
揺杏「んー……」
A子「…………」
揺杏「……いる、かな」
A子「誰!?どんな人!?」
揺杏「あっ。やっぱいねえわ」
A子「……は?」
揺杏「ソイ……その人、ちょっとは脈ありかなーって思ってたんだけど、なんか最近は微妙な感じでさぁ」
A子「微妙ってなんだよ。言える範囲でいいから、詳しく言ってみ」
揺杏「こういうのってありがちかもだけど…まぁ、今は仲良い友達みたいな感じで付き合ってて、向こうも私を好きっちゃ好きだと思うんだけど、それ以上に思って無さそうっつか…」
A子「おめーは小坊か!くだらない事考えてねーでとっとと行動起こせっつの!」
揺杏「つってもよー、ふとした瞬間にそういうの分かっちゃうと嫌にならん?相手が、無意識にそういうの見せてきちゃうの」
A子「んなもん……告ってみなきゃ分かんねーだろ。私は部外者だから、強くは言えねーけどさ…」
揺杏「……ま、そーいうわけで元気ないだけよ。体はへーきだからそこまで気にしないでいいって」
A子「…ったく。心配させてよー……」
成香「…え?そんなこと本気で言ったんですか?」
爽「駄目なの!?」
誓子「うーん…。…たとえ冗談だとしても、言われて良い気持ちにはならないかな」
爽「えぇ……私と揺杏の仲なのに…」
由暉子「他に心当たりが無いなら、そのことをすぐ謝りに行くべきだと思いますが。明日は岩館先輩の誕生日ですし、出来るだけ早く…」
爽「いや分かってるよそれは!……でも、もし別の事が原因だったら…」
誓子「なに怯えてるのよ。それならそれで、しっかり話し合ってちゃんと謝ればいいんだから」
成香「それで駄目なら、また私たちで相談に乗りますよ。……全国も近いですし、レギュラー間の不仲は良くないです…」
爽「う……わーったよ!行くよ、今すぐ!アイツの教室に!」
爽「……!」タッタッタ…
誓子「…………」
成香「…………」
由暉子「…………」
成香「……あれで、良かったんですかね…?」
誓子「うぅ~ん…」
誓子「大前提として、揺杏ちゃんが爽を無視してるわけにはいかないし…」
成香「ですよね。揺杏ちゃんと私たちの計画、バレてなければいいんですけど」
由暉子「本内先輩はちょっと危なかったですよ。獅子原先輩と岩館先輩がLINEでしたやり取りに言及してましたし」
成香「……あっ。揺杏ちゃんから直接聞いたってことにすれば平気ですよね?」
由暉子「誤魔化す必要もなかったですけどね。……それにしても、」
誓子「『よくやりますよねー…』って感じ?揺杏と爽。たった二人の為に、麻雀部の皆でこんなことするなんて」
由暉子「それはいいんですけど……。…でも、もし岩館先輩が失敗したらどうするんでしょう?」
成香「それは……全国までは一か月以上あるし、皆で励ましていくしか…」
誓子「ま、それしかないよね…」
誓子「下手に悩んだまま全国に行くより、何か落としどころを見つけた方が本人達にとってもいいしね。二人には頑張ってもらわないと!」
由暉子「正直、岩館先輩がああいうことするとは思ってませんでした。……少なくとも、私には無理です」
成香「そこは揺杏ちゃんの良い所ですよ。大事な選択をする時に、きちんと素直になれるっていう所が…」
誓子「それにほら、揺杏ちゃん誕生日だし!一日ずれてるけど、私たちでプレゼントとして『チャンス』をあげるっていうのもいいじゃない?」
由暉子「そのチャンス、生かされるといいのですけれど…」
成香「ふ、不吉な事言わないでくださいユキちゃん。怖いです…」
誓子「あはは…」
誓子(とにかく、二人の間の誤解を解かなきゃだよ!頑張って、爽!)
寝ます。明日中にまた来ます。揺杏の誕生日祝いを遅らせたくないが……うごごごごg
A子「……そんでさ、揺杏」
揺杏「…………」
A子「…いい加減、素直になれって。正直に言っちゃった方がすっきりすんだろ?」
揺杏「……うっせ」
A子「ぶっちゃけさ、お前の好きな相手って誰なん?ぜってバラさないからさ、教えてよ、ねぇ」
揺杏「信用出来るかバーカ。この話は終わりだっつの…」
A子「あっ!おいっ、寝たふりかよ!ずりーぞテメー!」
揺杏「…………」
A子「えっ、ちょマジ誰?麻雀部の誰か?」
揺杏「……知らね」
A子「ヒントちょーだいヒント!学内!?学外!?」
揺杏「……知らね」
A子「男?女?トシいくつ?カッコイイ?」
揺杏「…っせーな。かんけーないだろ……」
A子「えっ。でも、仲の良い友達みたいな感じなんでしょー?私に言ったって事は、多分このクラスじゃない…」
揺杏(……しまった)
A子「桧森」
揺杏「知らん」
A子「ユキちゃん」
揺杏「知らん」
A子「成香……は、ウチらと同じクラスだし」
揺杏「おいおま、だま…」
A子「……もしかして、獅子原?」
揺杏「……………………」
A子「うっわ今の反応……当てちゃった?」
揺杏「うっせーっつってんだろコラ。殺すぞ」
A子「うっわこっわ!ごめんごめん冗談だってホント!絶対誰にも言わないからさ!安心して!」
揺杏「出来るわきゃねーだろ。このバ……」
(ガラッ!)
A子「!」
揺杏「……!」
爽「ちわーっ、三河屋でーす!岩館揺杏って奴は……いた!」タッ
A子「……おい揺杏。獅子原の奴、こっち来てんぞー」
揺杏「………………」
A子「…おい!寝たふりすんな、バカ!」
爽「やーやー久しぶりじゃんA子ちゃん。昨日ぶりくらいじゃない?」
A子「ちゃん付けキモいっすよ獅子原センパイ。揺杏に何かよーですかー?」
爽「そうそう!どうも私、今朝から揺杏に無視されてるっぽくて…もう凹み中なんだ。割とアレな感じで」
A子「うっそ!センパイって凹む事あんですね!今私、めっちゃビックリしてます!」
爽「んだとバカヤロー!私だって凹むことくらいあるわー!!」
「「あははははははははは!!!」」
揺杏「………………」
揺杏「………………」
爽「……でさ、見てみコレ。既読どころか未読無視ばっかだぜ。凹むだろ?」
A子「…えっ。まさか、朝から昼だけでこんな沢山送ってんですか?」
爽「だって寂しいんだもーん」
揺杏「………………」
A子「……そんでですね。揺杏が何聞いてくるかと思えば、『恋愛について、ちょっと質問』…とか言ってくんの!」
爽「ヒューッ!相手誰よ!?ちゃんと聞き出しといたよな!?」
A子「…いや~、それだけはセンパイには言えねっすよ……」
揺杏「………………」
揺杏「………………」
爽「…やー。揺杏の好きな奴が部にいたら、それは応援するよ。でもなぁ…」
A子「『でも』?センパイ、揺杏が誰かと付き合うの嫌なんですか?」
爽「嫌ってわけでもないけどさ……んー、」
揺杏「………………」
A子「つーか、用あんのって私じゃなくて揺杏の方っすよね?話さないんですか?」
爽「いや、それは…。……それよりA子、お前部活出てこいよ。私と打てないと寂しいだろ?」
A子「いや部員じゃないし。遊びで打ちに行ってるだけですもん。…つか、話逸らさないで下さいよセンパイ」
揺杏「………………」
A子「……だからー。コッチに絡まないで下さいよ。用があんのはあっちなんでしょ?」
爽「や、でも…」
A子「は?センパイだからって調子乗んないでくれません?時間もアレなんで、そろそろウザいんですけど」
爽「うぅ…」
A子「……なんか、自分からいけない理由でもあるんですか?聞くだけは聞きますよー?」
爽「…あー、その。なんつーか……耳貸して?」
A子「はい」サッ
爽(なんかそもそもの原因私にあるっぽくて……話しかけづらい)ボソボソ
A子「……は?」
爽(いやっ、だからさ、そのー……お前さ。なんかイイ感じに、揺杏のこと誘導してくんない?)ボソボソ
A子「…はぁ!?」
A子「……ちょ、私トイレ行ってきます。揺杏に用事あんならさっさと済ませちゃってくださいね」
爽「えっ。何それ困る」
A子「知りませんし。言いたい事あんなら自分で言った方がいーと思いますよ」
爽「いや頼むよせめて後二分だけ」
A子「それより揺杏!!おめー、いつまでもそれでゴマカそーとしてんじゃねーぞ!キャラじゃねーだろ、なぁ!?」
揺杏「………………」
A子「…ったく。……とにかく、私は空けますんで。あとガンバってくださいね、獅子原センパイ」
爽「くっ…!」
爽「…………」
揺杏「…………」
爽「……あのさ、揺杏。今朝の事なんだけど…」
揺杏「…………」
爽「正直あれ……私的には、軽い冗談のつもりだったんだ。でも…」
揺杏「…………」
爽「ちょっと思い出してみたんだけどさ。お前、冗談でもああいうこと言われんのめっちゃ嫌がってたよな。私、馬鹿だから忘れてた。ゴメン」
揺杏「…………」
爽「揺杏……。…だから、その…」
揺杏「…………」
揺杏(やめろよ…。あんなつまんねーこと覚えてる方が変だろ……気にすんなよ…)
揺杏(悪いのは私だろ…。私が勝手に引きずって勝手に捻くれただけじゃんかよ…)
揺杏(だからいいって、もう。やめろよ。やめてくれよ。頼むからさ……)
揺杏(…いや、ちげーだろ。爽にこんな事させてんのは私だろ。私の……バカやろー…)
揺杏(私は……私は……ただ、爽と…)
揺杏(………………)
爽「……だからさ揺杏、今すぐじゃなくてもいいけどその気になったら…」
揺杏「爽」
爽「おぉう!!?どうした揺杏!?」
揺杏「今からちょい付き合ってよ」
爽「は?もう昼終わるぞ?まさかお前、今からバックレか?」
揺杏「そーだよ。私に悪いと思ってんならそれでチャラにしてやるから付き合えって、ほら」
爽「…………はぁ、分かったよ。鞄取りに行くからちょっと待ってて」
揺杏「うん。早くしてな」
爽「……へいへい」
揺杏「…………ふー…」
A子「…あれ。揺杏、帰んの?」
揺杏「うん。風邪気味だったから念の為に家帰ったとかなんとか、適当に言い訳しといてくれや」
A子「……なるほど。シカトしといて気惹いて向こうから来たら誘うなんて、なかなか頭いーじゃん」
揺杏「…あにニヤついてんだよ。ぶっとばすぞ、おい」
A子「別にー?……ま、後は私に任せて行ってこいや!誕生日の前に決着つけてこいよ、揺杏!」
揺杏「……よけーなお世話だ、っつーの」
~~~~~~~~~~
爽「……で、どこ行くんだ?折角フけたんだし、なんでも付き合ってやるよ」
揺杏「…山登りてーな。ロープウェー乗って、二人でのんびりさ」
爽「山かー…。…それって有珠山の事?それとも、脇のジオパーク行くか?」
揺杏「行っても見るもんねーだろ。山っつったら山だよ、山」
爽「…じゃ、とりあえずバス停行くか!そうと決まりゃさっさと行くぞ、揺杏!」
揺杏「……おー!」
~~~~~~~~~~
揺杏「ははっ、空いてる空いてる!貸し切りってわけにゃいかねーけど、時間帯の割に人いねーもんだなー」
爽「そりゃ平日だしな。元々デカいロープウェーだし、そーいうもんだろ」
揺杏「んー…。…どうせ時間あんだし、運賃払うくれーなら歩いて登った方が良かったかも……」
爽「いやー、それは流石にだるいわ。第一、私ら制服のまんまだし」
揺杏「あっ。そりゃそーだ…」
爽「……ぶっちゃけさ。今日の揺杏なんかおかしくないか?私を無視したかと思ったら、いきなりこんな…」
揺杏「かもね。……でも、今の私は結構楽しい気分だぜ?そんならそれでいいよ」
爽「私が言うのもあれだけどさ。…今朝の私、無視されるほど酷いこと言ったか?」
揺杏「…いやおめー、それ言っちゃうのはクズだろ。自分からあんな一生懸命謝りに来た癖によ~」
爽「でもさぁ~…。『お前って、タバコ吸ってるイメージあるよな』って言っただけであそこまで嫌うか、普通?冗談なのは分かってんだろう」
揺杏「学習しねーな、爽は。次同じこと言ったらまた繰り返しだかんな」
爽「いやいや…悪かったって。単にトッ〇をお前にあげるためのきっかけ作りとしてだな…」
揺杏「……はぁ」
揺杏「まあ、小っせーことでうだうだ悩んでたのは私としてはアレだし。こーいうトコ来て、すっきりして爽と色々話出来たらなー、って思ってんの」
爽「すっきりするだけには高すぎやしないか?バス賃込みで、往復で2000円近く持ってかれ…」
揺杏「せけーこと言ってんじゃねーよ!来ちゃったもんはしゃーねーし、気ぃ済むまで楽しみゃいいじゃん!だろ?」
爽「…はいはい。大人しく景色でも見とくかな…」
揺杏「そーそー。こういうのも偶にはいいもんだろー?」
爽「あぁ…。こうやってスケールのデカい自然眺めてると、確かにすっきりするわ…」
揺杏「そりゃ良かった。爽も楽しんでくれて何よりだよ」
揺杏「…つっても、あと一分くらいでこのロープウェー終わりだけどな」
爽「おい」
爽「着いた―!おい揺杏、煙出てるぞ煙!あれ噴火寸前なんじゃないか!?」
揺杏「おめートシいくつだよ。あんなん、ただの水蒸気に決まってんだろーが」
爽「そんなんどうでもいいよ!…あっ、洞爺湖!でけー!琵琶湖よりおっきいんじゃないかな!?」
揺杏「ないわ。つーかはしゃぎすぎだろ、お前……」
爽「楽しめっつったのそっちじゃないかよー!…ほら行こうぜ、揺杏!もっと近くに見にいこーよ!」ギュッ
揺杏「!ちょま、おまっ、手握ったまま走んなって…!」
爽「いいから早く!行くぞ行くぞ!」
揺杏「……あーもーっ。わーったよ!」
爽「…ははっ。カルデラ湖だっけ?けっこー水綺麗だなー…」
揺杏「…そーだな」
爽「はぁ~……。…見てるだけでも意外と楽しーな、こういうの」
揺杏「…だな」
爽「……なんかテンション低かったり高かったり。今日のお前、やっぱ変だわ」
揺杏「…まあ変だけど、それはそれでいいっつったろ」
爽「楽しくないのか?」
揺杏「なわけねーだろ。爽がいりゃ、殆どの事はそれだけで楽しいよ」
爽「……」
爽「…そ、そうだ!さっき言ってたトッ○のことなんだけどさ!」
揺杏「?」
爽「これ、誕生日の前祝いってゆーか……あくまで前祝いだけど、一応持ってきてたんだ。好きだろ、揺杏?」
揺杏「おぉっ。ちょーどおやつの時間だしな。サンキュ!」
爽「いやいや。日にちはアレだけど、誕生日おめでとう、揺杏」
揺杏「気にしねーよそんなの。気持ちがありゃ十分さ」ビリッ
爽「……ぷははっ!揺杏もたまにはそーいうこと言うんだな!」
揺杏「んだと?私くらい謙虚で真面目な優等生は有珠山高校にいねーだろがよー」ポリポリ
爽「優等生は仮病使ってサボったりしないけどなー」
揺杏「それとこれとは話が別よ」ポリッ
揺杏「…………」ポリポリ
爽「……今思うとさ。あの時の私らって結構変な話してたよな。無限のトッ○がどうとか…」
揺杏「ト○ポは無限じゃなかったと思うけど……割とアホな仮定して話してた記憶はあるな。…っつーか覚えてる。今もちゃんとな」
爽「それはそれは……忘れてたとはいえ、酷い冗談言って悪かったよ。改めてゴメン」
揺杏「だからいいってば。蒸し返すな」
爽「うーん……そう言われるとかえって困るなぁ…」
揺杏「…………なあ、爽。話あんだけど…」ポリポリ
爽「ん?」
揺杏「……やっぱなんでもない」ポリポリ
爽「おい」
爽「…なぁ、そろそろ噴火口の方行かない?綺麗だけど流石に飽きてきたわ、湖」
揺杏「……チョコ溶けなきゃいーんだけどな。熱とかで」ポリッ
爽「溶けないって。お前、本当にトッ○好きだな…」
揺杏「いやいや、誓子の成香好き具合には負けるわ」
爽「なんだその比較。…じゃあお前、誓子とトッ○ならどっちが好きだよ」
揺杏「…それ、私が『トッ〇』って答えたら誓子にチクる気だろ。バレバレなんだよ」
爽「……ソンナコトイナイヨ?」
揺杏「…ま、真面目に誓子かな。麻雀部始めてからなんだかんだ世話になってるし、流石に菓子とは比べらんねーわ」
爽「ちっ、つまらん答えしやがって」
爽「…A子とトッ○」
揺杏「A子。前からつるんでるけど面白い奴だし、今日も地味に助けてもらったしなー」
爽「ユキとトッ○は?」
揺杏「あのキャラと着せ替えが楽しいからユキ。つーか普通に可愛い後輩だし」
爽「成香とトッ○!」
揺杏「トッ…。……いや、成香…かなぁ?」
爽「うーん、この……」
揺杏「いやー、可愛いし好きだけど、鬼太郎はどうかと思うわ。流石に」
爽「確かにあれはな……。…可愛いけどな」
揺杏「うん…」
爽「……じゃあさ揺杏。私とトッ」
揺杏「爽」
爽「…早いな。ま、まさか揺杏がそんなに私を好きだとは…」
揺杏「好きだよ。かなり好きだよ。誓子より、ユキより、成香より、A子より、勿論トッ○なんかよりも、ずっとず~っと好きだよ」
爽「へっ?」
揺杏「好きっつーかもうね、愛してるってくらい。少なくとも、今言った全員合わせた「好き」以上に好きだよ、爽のこと」
爽「……ちょっ、何言って」
揺杏「一緒にいると楽しくなるトコが好きだよ。麻雀打ってる時の姿が好きだよ。下ネタで部員のウケ取ってるトコも、成香いじめて誓子に絞られるトコも好きだよ。」
揺杏「ユキにちょっかい出して怒られてる爽が好き。部室に来る奴全皆と仲良く出来る爽が好き。普段はテキトーな癖に、いっつもわがままな癖に、意外とデリケートで、締めるトコはきちんと締めて、皆の事を思ってて、誰より強くて、誰よりも頼れる爽が好き。全部全部好き!」
揺杏「私はね。私が知ってる爽のことが全部好きなんだよ。まだ知らない爽のことも好きになれるし、きっと好きになる」
揺杏「私多分、世界で一番幸せだ。爽がいて、爽のことをこんな好きになれるってだけで凄く凄く幸せなんだよ」
揺杏「爽、大好き。心の底から愛してるぜ。今も昔も、これからもずっと、さ」
爽「……揺杏」
爽「ちょっとそれ……。その……今の、告白ってことでいいのか…?」
揺杏「…好きに受け取れよ。告白つっても本当にそれだけだし、付き合ってとか何とか頼んでんじゃねーから」
爽「や、でも、今の『付き合って』どころかその……プロポーズくらい行ってるんじゃ」
揺杏「黙れ黙れうっせー!勢い乗って言いまくっただけなんだから仕方ねーだろ!私にも分からん!」
爽「逆ギレかよ!お前にも分かんないならのに私はどうしたらいいんだ!?」
揺杏「もー!知らない知らない知らない!マジもうワケ分かんねーよ、爽のバカ!」
爽「だからなんで私なんだってーの!」
揺杏「あーもう……うぅ~…」
爽「落ち着け、揺杏。大丈夫。お前は正気だから、な?」
揺杏「……もう、やだコレ。むっちゃ恥ずかしぃよホント……もう」
爽「いや私も恥ずかしいんだけど。周りの人めっちゃ見てるし」
揺杏「……もうやだ。死にたい…」
爽「ばっ…、勝手に死ぬなおい!ここでお前が倒れたら私がもっと困るだろ!」
揺杏「うぅ~…!」
爽「ほら歩け!移動するぞ揺杏!」グイッ
揺杏「ぅ~……!」
爽「…………」
揺杏「…………」
爽「…まー、嬉しいよ一応。私の事、そんなに好きでいてくれたってのは」
揺杏「……そう」
爽「オーケーするかどうかは置いといて。あの告白は割とキたよ。今の私も、これからの私も好きだとかなんとか」
揺杏「やめろはずい二度と言うなそれ」
爽「いつから好きだったんだ?」
揺杏「うっさい」
爽「…好きになったきっかけとか」
揺杏「黙れバカヤローなんでそんな冷静なんだオイ」
爽「知りたいじゃん。折角告られたんだからさ」
揺杏「言う訳ねーだろどあほう。もうこの話はこれで終わりだよ、終わり!」
爽「やだよ。いつから、どうして私を好きになったのか言わないと一生返事しないからな」
揺杏「はぁ!?」
爽「言ったらほっぺにちゅーくらいはしてやるよ。早く言えって」
揺杏「ぶっ!?……ちょ、そりゃぁ…」
爽「言えよ。ほら」
揺杏「……っ!」
揺杏「……トッ〇…!」
爽「えっ?」
揺杏「私がトッ〇食っててシスターに怒られた時、色々話したろ。見た目がどーとか、中身がどーとか、色々」
爽「したけどさ。あれはそんな大した話じゃなかっただろ。私的にもうろ覚えだし」
揺杏「私はちゃんと覚えてるって言ったろ。あれから、爽のことなんかいいなーって思い始めて、そんで気付いたら好きになってたの。以上!」
爽「……ふーん。そういうもんかね…」
揺杏「そーいうもんだよ」
爽「……そうか。ま、そういうのもアリかー…」
揺杏「何様だお前は」
揺杏「…つーことでしろよ。ほら」
爽「…何のことかな?」
揺杏「さっき言ったばっかだろ、とぼけんなオイ」
爽「…いやちょっと待て。幾らなんでも、躊躇が無さ過ぎる!」
揺杏「自分で言った事なんだから責任持てよおら。今更『冗談でした』とか言ったら火口に突き落とすからな、マジで」
爽「待て待て待て待て。お前はそれでいいのか?取引でゲットしたちゅーになんの価値があr」
揺杏「爽のだったらどんなんでも嬉しいに決まってんだろ!?早くしろよオイ!……こっちは、心臓バクバクにして待ってんだからさ…」
爽「いや、でも。こういうのは恋人同士でやるもんだし」
揺杏「………………」
爽「…………」
揺杏「…………だったらさぁ、爽」
爽「…うん?」
揺杏「なろうよ、恋人。そしたら万事解決じゃん」
爽「…付き合ってとか、頼んでるんじゃ無かったんじゃないのか」
揺杏「あんなこと言った爽が悪い。こっちゃ告って逆に落ち着いたとこだったのに、おめーがほっぺにちゅーとか言うから熱くなっちゃったんだろ。責任とれよ」
爽「……それを言われるとなぁ」
揺杏「くれよ返事、今すぐ。……どーしてもっつーなら、頑張って待つけど…」
爽「………………」
揺杏「…でも、多分ムリ。今が一生で一番ドキドキしてる。ああ言ったけど、やっぱ待てないかも」
爽「……あー、その……揺杏さ…」
揺杏「……ん?」
揺杏「なろうよ、恋人。そしたら万事解決じゃん」
爽「…付き合ってとか、頼んでるんじゃ無かったんじゃないのか」
揺杏「あんなこと言った爽が悪い。こっちゃ告って逆に落ち着いたとこだったのに、おめーがほっぺにちゅーとか言うから熱くなっちゃったんだろ。責任とれよ」
爽「……それを言われるとなぁ」
揺杏「くれよ返事、今すぐ。……どーしてもっつーなら、頑張って待つけど…」
爽「………………」
揺杏「…でも、多分ムリ。今が一生で一番ドキドキしてる。ああ言ったけど、やっぱ待てないかも」
爽「……あー、その……揺杏さ…」
揺杏「……ん?」
爽「私はさ。自分の中の答えは決まってる……と思う。断言出来ないけどね」
揺杏「…気ぃつかわないでいーよ。駄目ならダメで、そりゃもうしゃーないってなるし」
爽「言ってないだろそんなの。……その、断るにしてもこういうの勇気要るし、もうちと待ってくんない?」
揺杏「ざっけんな。今話してるだけでもヤベーのにこれ以上待てるわきゃねーだろ。言え、早く」
爽「えぇ……なんだよそれぇ…。…や、確かに答えは出てるっちゃ出てるけど」
揺杏「……正直に言えよ爽。したらどんな返事でも納得する。……だからさ爽、」
爽「ん…」
揺杏「返事……してくれ。私と、付き合うかどうかって…」
爽「………………」
爽「……分かった。正直に言う」
揺杏「!」
爽「その代わり、YesでもNoでも絶対に受け入れろよ。あんだけ言ったんだからな」
揺杏「…分かってるよ。それは私の責任だし、結果がどうでも文句は言わない。……泣くかもしんない、けど」
爽「あと、部に迷惑かけんなよ。これは私とお前の問題だから、そっちに引きずんなって話」
揺杏「おう。ホントは爽の知らないトコでもう迷惑かけてるけど、もうそういうの無しにするわ」
爽「ちょっ!?おま、まさかそれが私をハブにしかけた理由……」
揺杏「さぁ?知らねーなぁ……」
爽「……ったく。しょうがない奴だなお前は…」
揺杏「……もー十分タメたろ。言ってよ、爽。心の準備は出来てっから」
爽「……じゃあ聞け、揺杏。私はなぁ……」
揺杏「………………」
爽「私はな、揺杏。お前の事―」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
揺杏「だーからぁ!ちげーっつったの分かったでしょ!?持ってないもんどーやって吸うんだっつの!」
揺杏「冤罪っすよ冤罪!笑ってねーでこっちの気持ちも考えてくださいよ、もー!」
揺杏「……はいはい、分かりました!もーいいっすから。今度から気ーつけてくださいよ!……ったく」
揺杏「……うーい。失礼しましたー…」
揺杏「……はぁ。あのババア、マジで腹立つわー…」
爽「…おっ、揺杏じゃん。んな所で突っ立ってどーした?」
揺杏「爽か。…別に、なんでもねーよ」
爽「嘘こけ。今お前が指導室という名の説教部屋から出てくんの見たぞ。なんかやったんだろう」
揺杏「なんもやってねー。冤罪だよ、冤罪」
爽「いいから言ってみろって。なんで呼び出されたん?」
揺杏「……ぜってー、誰にも言うなよ…」
爽「…っぷはははははは!!トッ〇食ってたらタバコ吸ってんのと誤解されたって!?ギャグセン高すぎんだろそれ!あはははは!!」
揺杏「あのクソババアが遠目に見ただけで判断すんのがわりーんだよ!眼鏡代えろってのマジで!」
爽「えっ、何、どういうこと?さっきまで『これはタバコじゃなくてトッ〇です』とか弁明してたわけ?……ぶふっ!」
揺杏「笑うな!……近くで見りゃ分かんのによー、私が『違いますよ』っつってトッ〇見せても『念のために鞄の中見せろ』だぜ。やる気なくすわ、本当…」
爽「いやいや、あのシスターも歳だから仕方ないって。逆に強請るネタが出来て良かったと思わなきゃ」
揺杏「こんなんで強請れるわけねーだろ…つか発想こえーよ」
揺杏「私って、割と授業出て内容もそこそこ真面目に聞いてんのにな。なんでこういう事になるかねー」
爽「まあ、不真面目なダチと付き合ってるからだろうなー。私とか、A子とか諸々」
揺杏「つーかね。中学の時とかも言われたわけよ。『揺杏ってタバコ吸ってる?』って。こっちとしちゃ、あんなバカ共が吸うもんやるわきゃねえだろ!…って感じなのにさ」
爽「…まー揺杏はカッコいいからな。そいつらの気持ちも分かるわ」
揺杏「カッ…!?……いや、なんでだよ。仮に私がカッコ…よくても、関係ないだろ」
爽「いやいや…」
爽「揺杏は見た目スッとしてて、言動もなんか冷めてるっつーかクールっぽいしなぁ。そりゃそういうイメージもつくさ」
揺杏「……それ、褒め言葉か?」
爽「褒めてるよ。実際、その高さは羨ましーわ。お前、実は女子とかにモテてんじゃないか?」
揺杏「ねーよ。……別に、そういうんにモテなくてもいいし」
爽「あっそ。…にしても、トッ〇ねえ。うーん……」
揺杏「…………」
爽「トッ〇そんなに好きか?」
揺杏「好きだよ、美味いし。見た目ほそっけーのにチョコいっぱいでいいぜ」
爽「コア〇のマーチとかシュークリームとかは半分近く空洞だからな。確かに密度あんのはいいね」
揺杏「あとねー。見た目だけじゃ中身分かりにくいのも好き。何種類も一気にばらけさして、ランダムで食うと味が予測つかなくて地味に楽しいんだ、これが」
爽「ちょっとユニークすぎないかその食べ方。……まぁ、そういうのもいいかもな」
揺杏「あとねあとね、好きな理由がも一個あってさー」
爽「ん?」
揺杏「トッ〇って、先っちょからちょびっと中身出ててなんか面白いじゃん。そういうなんつーか、素が出てる感じが私的に高ポイントなのよ」
爽「…ははっ、確かにな!なんかそれ、人間とかに応用できそうで面白そうじゃん?隠そうとしても、隠しきれない所とか」
揺杏「かもな。『見た目じゃ判断出来ない』っつーのも、『見た目で中身分かる』ってのも両方当てはまってる感じしてていーわ」
爽「揺杏は見た目で判断できない側だな。不良っぽくてタバコやってそうな癖して地味に真面目で馬鹿でもない……このファッション不良が!」
揺杏「オシャレって言え、オシャレって。そもそも不良なんて気取ったことすらあんまねーから」
爽「ちょっとはあるのか?」
揺杏「…………うっせ」
爽「でもそっかー。トッ〇=人間って考えると、無限の可能性があることになるな。トッ〇に」
揺杏「そら飛躍しすぎだろって。…まあ、想像するのは楽しーけどな」
爽「なー揺杏。私ってトッ〇で言えばどんな味だよ?なんか思いつかない?」
揺杏「……知らね。ワケ分かんねーこと聞くな」
爽「揺杏は絶対チョコだな!それも黒いやつ!ただしビターではない!」
揺杏「……は?」
爽「見た目苦そーだけど、食ってみると案外甘くて癖になる味だよ!長い間こーしてつるんでるんだし、私の見立てに間違いない!」
揺杏「なんだそりゃ…。…つーかそんなチョコ、トッ〇に入ってねーし」
爽「それより、私はどんな感じなんだ?揺杏的には美味い?不味い?」
揺杏「……くだんねーこと言ってんな。部室行こうぜ、ほら」
爽「照れんなよ揺杏。好きか嫌いか二択でいいからほら、言ってみ?」
揺杏「…………はぁ」
揺杏「逆にお前はどーなんだよ。さっき言ったチョコの味、美味いのか不味いのか好きなのか嫌いなのか…」
爽「わざわざ聞くことないだろー。さっきも言ったけど、私は揺杏と付き合い短くないし不味いわけないじゃん。だから当然、その味も……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
爽「――好きだよ!だいっ……好きに決まってるじゃん!!!」
~~~~~~~~~~
B子「ねえ誓子センパーイ。あの二人、今日はどうしていないんですか~?」タッ
誓子「えっ?…なんか、急用だか急病だかで早退してるらしいよ?」タン
C子「マジで!?それめっちゃ怪しい~!つーか裏山なんすけど~!」タッ
由暉子「C子さん、ロンです。8000と300」パラッ
C子「うっお…」
B子「ねー成香ー。二人から連絡来てなかったっけ~?」
成香「さぁ。揺杏ちゃんから『部活行かない』って来た以外は……あ、C子ちゃん。最下位になったので替わってくださいね」
C子「くそ、あそこで油断しなけりゃ~…!」
誓子「…でも、そろそろ連絡欲しいよね。一回こっちから……って来たっ!メッセージ!」
「「「「!!!?」」」」
成香「なんて」
由暉子「書いてあるんですか?」
B子「上手くいったの!?」
C子「それとも……」
誓子「ちょ、ちょっと待って。えーっと…」
誓子「…『明日のことはもういーよ。必要なくなったから』……だって」
B子「…どういうこと?」
C子「爽さん退会させてから皆で決めてたじゃん。明日の誕生パーティーにかこつけて、皆でアイツら二人きりにするタイミング作るって」
成香「『必要なくなった』ってことは、つまり…」
由暉子「諦めたか、上手くいったか、それとも……」
B子「ちょっ、ユキ。やめろってそういうの…」
由暉子「…すみません」
成香「……それでちかちゃん。どうなんですか?揺杏ちゃんの首尾は…」
誓子「待って。今送ったから」
誓子「……えー、皆さん。揺杏ちゃんの告白結果ですが……」
由暉子「…グループLINEなのでもう知ってますよ。全員」
誓子「こういうのは雰囲気が大事なの!……えー、その結果ですが……」
「「「「……………………」」」」
誓子「…見事成功したそうです!おめでとう揺杏ちゃん!イェーーーーイッ!!」
「「「「イェーーーーイッ!!!!」」」」
成香「早速、皆でメッセージ送りましょうか!どんな文面がいいですかね?」
B子「えー、そんなの決まってんじゃん。…………って感じでどうよ?」
C子「採用。日にちあれだけど、細かいことだしいーよな、ユキ?」
由暉子「ここに来てまでそんなことは気にしませんよ。……では、皆で一緒に送りましょうか」
誓子「うんっ。「いっせーのーせ」で送るからね」
「「「「はいっ」」」」
誓子「…じゃあ行くよ皆。いっせーのー……」
『Yuan!! Happy Birthday To You!!!!!』
終わりっす。遅刻し過ぎて揺杏には申し訳ない。誕生日おめでとう
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