キリト「叛逆の物語」 シリカ「私は貝になりたい」 (190)

第0話 あの日見たお兄ちゃんの笑顔を私は忘れられない

2024年11月7日
私にとって忘れられない1日になった。

直葉「お兄ちゃん・・・」

直葉「目覚ましたの・・・。」

和人「おはよう、じゃなくてただいま、か。」

和人「心配かけてごめんな、スグ。」

直葉「お兄ちゃーん」

直葉「うえーん」

お兄ちゃんもこんなに泣いた私を見たのは初めてだったらしい。
お兄ちゃんの前で泣くのは恥ずかしくてできないけど、このときだけは涙が止まらなかった。

それから2ヵ月後にALOでの大冒険があった。
そのときの相手、キリト君の正体がお兄ちゃんだったと知ったときはびっくりしたとともに、またお兄ちゃんの前で泣いてしまった。

私はいつしかお兄ちゃんに恋をしていた。この恋が叶わないものだとわかっていた。

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2025年10月1日水曜日

この日はエギルの店でアスナさん(9月30日生まれ)とシリカちゃん(10月4日生まれ)の誕生日会があった。

キリト「アスナ、お前主役なのになんで料理の準備してるんだ。」

アスナ「料理ができるの私くらいしかいないでしょ」

エギル「でもこれくらいなら俺でも作れるぞ。」

クライン「数週間後のキリトの誕生日会兼SAOクリア1周年記念祭では俺が準備したいな」

リズベット「何言ってるのよ。あんたがアスナより料理が上手いわけがない。」

シノン「アスナの料理最高です」

リーファ「本当、とても美味しいです。」

アスナ「そうでしょ。お2人さんには喜んでもらえなかったみたいだけど。」


エギル「それではアスナちゃん、シリカちゃん、誕生日おめでとう。」

クライン「乾杯!」


リズベット「そういえば昨日はアスナとキリトでALOで2人だけの誕生日会をしたんだよね?」

キリト「う・・・」

リーファ「そうなんだ。やっぱり最高のカップルだね、お兄ちゃんとアスナさんは。」

・・・
前日

キリト「誕生日おめでとう。」

アスナ「ありがとう、キリト君。」

アスナ「また1つ年を取った結城明日奈です。」

キリト「俺より1つ年上のお姉さんだな。」

・・・
キリト「シリカは今年15歳だから実際はまだ中学生なんだよな。」

シリカ「そうです。SAO事件のときはまだ小学生でした。」

キリト「小学生がこんな大変なゲームに巻き込まれて大変だったな。」

シリカ「大丈夫です。ピナがいましたし、ピナが死んじゃったときもキリトさんに助けてもらいましたし。」

キリト「アスナやリズは18歳だから実年齢だと高校3年生なんだよな。」

アスナ「そうね。同年代は来年大学生か。私2年も留年しちゃったようなもんなのね。」

リズベット「今年夏、久々にテレビで高校野球やってたの見たけど自分と同い年って実感沸かなかったわ。」

キリト「俺も実質1年浪人か留年したのと同じ。まあ仕方ないけど。」

シリカ「そういうとあたしは1年も遅れてないどころか飛び級みたいな形になってて、恵まれているのでしょうか?」

キリト「そうとも言えるな。」


キリト「なあ、SAOの中で死んだ人、本当に死んじゃったのかな?」

アスナ「それはそうでしょ。全部茅場のせいだけど。」

キリト「俺たまに思うんだけど、ヒースクリフに殺された俺やアスナが生き残ってるってことは、他に死んだメンバーももしかしたらどっかで生きてるんじゃないかと思うんだよな。」

キリト「サチとか・・・」

リズベット「いつまでも死んだ女のことを思うのはやめたら?あんたには今の彼女がいるでしょ。」

キリト「そうだな。」

これから始まる2025年、秋の夜長のお兄ちゃんとの大冒険。
無人島に行き、海底の山に行ったときの話をしたい。

その前に珪子ちゃんの話をしよう。

第0話 終わり

前作
キリト「SOA」 京太郎「マージャンゲーム・オンライン」
キリト「SOA」 京太郎「マージャンゲーム・オンライン」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397820633/)
まどか「私は貝になりたい」


クロス
ソードアート・オンライン
ガールズ&パンツァー
魔法少女まどか✩マギカ
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない
ビビッドレッド・オペレーション

第1部 叛逆の巨人
第1話 ホームレス中学生

あたしの名前は綾野珪子。キャラネームはシリカ。

あたしはゲーム内ではモテモテだけど、誰かと付き合おうという気はない。
というのもあたしは男同士の熱い友情が好きだったりする。
本棚にはBL漫画やBL小説やBLゲームがあったりする。
だからあたしは他の男の子同士の恋愛を見てるのが好きだ。

あたしには思いを寄せる人がいる。桐ヶ谷和人さん、キャラネームはキリトさん。
キリトさんにはあまりあたしの趣味は知られたくないけど、こないだノートを見られて既に知られてしまっている。

今日はキリトさんの知らない、あたしの物語を語りたい。

2025年11月1日土曜日

シリカ「おはよう、珪子。」

リズベット「おはようございます、里香さん。」

リズベット「珪子は実年齢ではまだ中学生なんだよね?」

シリカ「そうです。和人さんの2つ下、里香さんの3つ下ですね。」

リズベット「あたしは実年齢では高校3年生なんだけど、SAOに閉じ込められたことでまだ高校1年生。」

リズベット「同年代より2年遅れ、昔の友達にすっかりおいてかれたみたい。」

シリカ「アスナさんも同い年なんですよね。」

リズベット「そうだね。明日奈とあたしは成人式に行きにくいかも。」

シリカ「大丈夫ですよ。」

シリカ「ところで最近勉強はどうです?」

リズベット「そうね。あたしは明日奈に勉強教えてもらってる。」

シリカ「あたしも成績はあまりよくないから頑張らないと。」

リズベット「珪子はBLとかスポーツには詳しいけどね」

シリカ「そうですけどね。」

シリカ「あ、クラインさんではないですか。おはようございます。」

クライン「シリカちゃんだっけ?おはよう。」

シリカ「何してるんですか・?」

クライン「キリトを探してるんだけど、どっか行ったみたい。」

シリカ「もう学校に行ったのではないでしょうか?」

クライン「一昨日どこかに出かけるって言って、いないみたいなんだよ。」

シリカ「そうなんですか?」

クライン「キリトにやってほしい仕事があるんだけどな。」

シリカ「見つけたら知らせましょうか?」

クライン「あ、是非。」

シリカ「それでは、俺とキリトの叛逆の物語は次回作で!」

クライン「なんですかその伏線は?」


シリカ「ん?」

シリカ「あ!」

そこにいたのは巨大なモンスター、というより巨大な人に見えるモンスターだった。
もしかして伝説の巨人?

巨人「白い。白くて白々しい。」

シリカ「しゃべった!?」

シリカ「アスナさん、今日学校に来る途中に大きなモンスターに出会いました。」

アスナ「モンスター?」

シリカ「モンスターというより人なんですけど、巨人かな、と思ったんですけど。」

アスナ「現実世界にモンスターがいるわけないし、巨人なんてもっといるわけないわよ。」

シリカ「そのはずなんですけどね。」

アスナ「モンスターに会ったってそれは大変な事実じゃない?」

シリカ「そうかな。そのモンスターは喋ってました。ゲームの世界から出てきちゃったのでしょうか?」

アスナ「そういうことなら私よりキリト君に聞いた方がいいと思うよ。私も2年間アインクラッドにいたけど、ALOはあまりやってないし、ゲームのことならキリト君びの方が詳しいと思う。」

シリカ「でもキリトさん、今日はお休みみたいですし。」

アスナ「え?今朝いなかったっけ?いないことに気づかないなんて、いることに気づかない以上の存在感のなさね。」

アスナ「ウフフ」

シリカ「昨日も休みでしたし、一昨日学校のあとどっかに出かけたみたいです。」

シリカ「今朝モンスターと出会う前にクラインさんにも会ったんだけど、あの人の話から推測すると、やっぱり何かしてるみたいです。」

アスナ「何か、ね。」

アスナ「電話してみた?それかメールとか。」

シリカ「はばかられて。」

アスナ「キリト君は、あなたから頼られることを迷惑だなんて思わないわよ。」

アスナ「もっとキリト君を頼っていいと思うよ。」

アスナ「どうかな?」

アスナ「珪子ちゃん、キリト君に助けてって言ったことある?」

シリカ「え?どうだろう?多分ないんじゃないかな」

アスナ「そう。私もないわ。」

アスナ「だって彼はそういう前に私たちを助けてくれちゃうもんね。」

アスナ「でも何も言わなくても助けてくれるからって、何も言わなくてもいいというわけではないと思うよ、」

シリカ「どういうことですか?」

アスナ「だからひょっとしたら珪子ちゃん、自分から何も言わないうちにキリト君が助けてくれるんじゃないかと期待してるんじゃないかと思って。」

シリカ「あー」

アスナ「素直に頼ってあげていいと思うよ。彼はいつだってそれを望んでいる。」

アスナ「昔、SAO内であなたにそれができていたら。」

シリカ「・・・」

シリカ「そろそろ教室に戻ります」

アスナ「そうね。」

アスナ「無理強いはしないけれど、何かあったとき、一人でなんとかしようと思っちゃダメだよ。」

アスナ「あなたは未だにその傾向が強いから、キリト君に迷惑をかけるのが嫌なら、私を巻き込んでね。」

シリカ「火事だ・・・」

シリカ「あたしの家が火事だ・・・」


家はすっかり全焼していた。

シリカ「家が燃えたってことは、あたしのBLコレクションも燃えちゃったんだな。」

シリカ「いや、そんなのよりナーブギアは。ピナは・・・」

ピナはなんとか無事だったようだ。ナーブギアが燃えない素材でできていたから。

シリカ「ピナ。無事で良かった。」

お父さんが帰宅、というかとりあえず帰ってきた。

シリカ父「ご覧の通り、誠に残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいとは思いますが、これからはそれぞれ頑張って生きていって下さい。」

シリカ父「解散!」

解散?あの遠足のときに使われる解散?
ということは家に帰ればいいの?家がなくなったって言うのに?
全く理解が出来なかった。お父さんはそれを告げると足早にどこかに去っていってしまった。

お母さんも困っていた。

シリカ「あたしは大丈夫だよ。しばらく友達の家に泊めてもらうから。」

シリカ母「そう。」

そう言うとお母さんは納得したようだった。

ただ困ったことになった。あたしは自分以外の誰かに助けを求めることができないのだ。

シリカ「まあ大丈夫か。幸いなことにあてはあるし。」

森林公園。そこの巻き貝をモチーフにして中をくり抜いた滑り台。ちなみに木製だ。

この日はここで寝ることにした。
トイレはこの公園のトイレを使ってもいいし、近くのコンビに行ってもいい。
食事はどうする?しばらくは持ってるお小遣いで買えばいいけど、なくなったら・・・
お風呂には入れないし・・・。

いろいろ考えたが、とりあえず今晩はここで寝るしかなかった。
寝心地がいいとは言えなかったけど、それでも家の廊下よりは安らかに寝れた気がする。


その日の深夜0時前、日付が変わる直前。

アスナ「シリカちゃん・・・」

アスナ「大丈夫?生きてる?」(ポロポロ)

シリカ「あれ?アスナさん?」

アスナ「大丈夫?」(ポロポロ)

シリカ「うん、大丈夫ですよ。」

シリカ「アスナさん、なんで泣いてるんですか?」

アスナ「う・・・」(ポロポロ)

アスナ「バカ!」

アスナ「バカ!バカ!バカ!」

アスナ「女の子が1人でこんなところで寝泊りして、何かあったらどうするの?」

シリカ(1人じゃない。ピナがいます。でも1人みたいなもんか。)

アスナ「無事で良かった・・・」(グス)

シリカ「ごめんなさい。」

アスナ「許さない。謝っても絶対に許さないんだから。」

アスナ「うえーん」

アスナ「夕方から何度も電話をかけていたのよ。でも全然つながらなくて・・・」

シリカ「あ、ごめんなさい。電源を切ってたんです。」

アスナ「おかげで私は街中を駆け回ることになったのよ。」

アスナ「どうやら珪子ちゃんは友達の家に泊まってるらしいと聞いて、でもクラスの誰かがシリカちゃんを泊めたって話は聞かなかったし・・・」

シリカ「どれだけの人に話を聞いたんですか?」

アスナ「フレンド登録してる人全員に」

アスナ「ていうかごめんなさい。シリカちゃんのお母さんにも会っちゃった。」

シリカ「そうなんだ。アスナさんお母さんに会ったんですか。」

アスナ「お父さん酷いわね。こんな可愛い娘を見捨てるなんて。」

アスナ「それから闇雲に探し回って、さっきここに思い当たったの。」

アスナ「ナーブギアが見えたからね。」

アスナ「まさか若い女の子がこんな公園で野宿するなんて考えたくもなかったけど。」

アスナ「やっとシリカちゃんを見つけて、感極まって思わず泣いちゃったわ。」

シリカ「アスナさん、こんな夜遅く1人であたしを探してたんですか?」

アスナ「そうよ。」

シリカ「女の子が1人で夜の街を徘徊するのもかなり危ないですよ、アスナさん。」

アスナ「それを言われたら返す言葉がないわ。私もあまり後先考えるタイプじゃないからね。」

シリカ「アスナさんも反省して下さい。」

アスナ「ごめんなさい。」

シリカ「心配してくれてありがとうございます。アスナさん。」

アスナ「いいのよ。私が勝手にやったことだから。その様子を見ると、空回りの出すぎだまりだったみたいだし。」

シリカ「そんなことないですよ。言われて自分がどれくらい危険なことをしていたか、今になってようやくわかりました。」

シリカ「火は人を狂わせるっていうけど、火事であたしも変なテンションになってたみたいです。」

アスナ「まあモンスターやキリト君のこともあったし、過剰に心配してしまったのは確かよ。」

アスナ「私としたことが、取り乱してしまってごめんなさい。」

アスナ「シリカちゃん、今日は私の家で泊まって。」

シリカ「いいんですか?」

アスナ「友達なら当たり前よ。困ってるときはお互い様でしょ。」

アスナ「お父さんとお母さんが今日仕事で帰ってこれないから、丁度よかった。」

シリカ「なんだか落ち着きます。」

シリカ「ここいいです。」

アスナ「そう。よかった。」

アスナ「お風呂も入っていってね。」

シリカ「わかりました。でもアスナさんから先に下さい。」

アスナ「何言ってるの?一緒にお風呂入るのよ」

シリカ「え?」

アスナ「女同士なのだから、恥ずかしがることないでしょ?」

シリカ「いやちょっと待って下さい。すごく不穏な空気を感じるんですけど。」

アスナ「私に下心なんてないわよ。シリカちゃん、私のこと信じられないの?」

アスナ「私はリズとは違うのよ。私はシリカちゃんの裸を見たいだけで、それ以上のことをするつもりはないわよ。」

シリカ「裸を見たいだなんて・・・。そんなことを言う友達はちょっと信じられないです。」

アスナ「お願いします。綾野珪子さん。私と一緒にお風呂に入って下さい。」

シリカ「まあいいか。確かに女の子同士で、そんな抵抗があるわけでもないし。」

シリカ「あたしのこと心配して泣いてくれた人にそんなに距離をとってもかっこつかないですから。」

シリカ(まあリズさんとは絶対に入りたくないですけど。)

アスナ「よかった。」

アスナ「そういえば気づかなかったんだけど、メールが来たんだった。」

シリカ「誰から?」

アスナ「キリト君から」

シリカ「あたしにも届いてました。」

そのメールには「しばらく帰れない、心配すれな」と書いてあった。

シリカ「心配すれなって・・・。」

アスナ「やっているようね、キリト君。」

アスナ「しかも今回はかなり深刻みたい。」

アスナ「文面から判断する限り、これはSAOやALOのときと同じレベルかそれ以上の事件に巻き込まれてるっぽい。」

アスナ「私はALOのときはずっと寝てたからよく知らないけど」

シリカ「そう思いますか?私にはそうは見えないですけど。」

アスナ「まああっちは男の子なんだし、そう心配しなくてもいいか。」

アスナ「いいわ。キリト君が帰ってきたらシリカちゃんと一緒にお風呂に入ったという自慢話を聞かせてあげるわ。」

アスナ「キリト君だけじゃなくて、シリカちゃんのファンの男たちにも。」

シリカ「大した自慢話になってないと思いますよ。」

アスナ「シリカちゃんの体の形はこんな感じで、ここがこうなってて・・・とか」

シリカ「身振り手振りをやめて下さい。」

アスナ「でもこれでこっちの巨人の件は、こっちで対応するしかなくなった感じね。」

シリカ「巨人って?」

アスナ「ひょっとして私は、その巨人が火事の原因なのかな、と思ったりしたんだけど。」

アスナ「違うの?火事の原因ははっきりしてる?」

シリカ「いえ、それはまだわからなくて。」

アスナ「そう。」

アスナ「もしかしてあの巨人、また茅場か須郷の関係者の仕業かもしれないわね。」

シリカ「そうかもしれませんし、そうでないかもしれません。」

アスナ「さあシリカちゃん、そろそろキリト君の分まで一緒にお風呂に入ろう。」

シリカ「キリトさんの分まで入る必要ないと思いますけど」

アスナ「キリト君とシリカちゃんのファンの男どもの分まで、私がシリカちゃんの裸を見るわ。」

シリカ「そこはせめてアスナさんの分だけにして。」

アスナ「シリカちゃん、かわいいブラ着けてるね。」

それはイチゴ柄の下着だった。

アスナ(胸はペッタンコのくせに。)

シリカ「今ペッタンコって言ったでしょ!」

シリカ「そういうアスナさんの下着もかわいいですよ。」

アスナ「いや、シリカちゃんには負けるわよ。」

シリカ「あたしは胸ない割にはブラ着け始めたの早かったな。みんなと同じ小5くらいだったっけ。」

シリカ「でも初めてブラ着けたのより初めてBL本読んだ方が早いあたしは女の子として相当ダメな気がします。」

アスナ「ちょっとシリカちゃん赤裸々すぎ。」

こうしてあたしはアスナさんと一緒にお風呂に入ったのだった。

アスナ「パジャマも下着も、私のを借りてよ。」

シリカ「いや、それはちょっと・・・」

アスナ「でも下着の代えないんでしょ?」

アスナ「いや、下はともかく上はサイズが合わないか・・・。」

アスナ「パットを入れれば私のブラでなんとかなるわね。」

シリカ「あたし、あまりパットを入れるとかしないんですけど・・・」

こうして、アスナさんの服を借りることになった。


アスナ「シリカちゃんはお母さんの布団使ってね。」

シリカ「わかりました。」

アスナ「ねえ私の隣で寝てよ。」

アスナ「大丈夫。安心して、絶対何もしないから。隣で寝るだけ。指一本触れないから。」

シリカ(その必死さ、まるでキリトさんみたい。)

シリカ(あなたがキリトさんと付き合える理由がわかった気がする。)

シリカ「いいよ。わかりました。アスナさんならそんな心配してないですよ。」

アスナ「ありがとう。じゃあシリカちゃん、枕はこれを使って。」

アスナ「明日は日曜日で休みだからゆっくり寝て。」

アスナ「それでは寝ましょう。おやすみ。綾小路ちゃん。」

シリカ「あたしの名前をお笑いタレントみたいに呼ばないで下さい。あたしの名前は綾野珪子です。」

アスナ「失礼、噛みました。」

シリカ「綾野珪子って言おうとして綾小路とは絶対言わないと思いますよ。」

シリカ「おやすみなさい、アスナさん。」

・・・
夢の中

シリカ「キリトさんと抱き合ってると気持ちいい。」

キリト「シリカの胸気持ちいい。」

キリト「シリカ、大好きだよ。」

シリカ「あたしもキリトさんのこと大好きです。」

・・・
翌日 2025年11月2日

シリカ「キリトさん・・・」zzz

シリカ(は!)

シリカ(あたし、なんて夢見てるんだろう!こんな夢見てるなんて誰にも言えないよ。)

アスナ「おはよう。シリカちゃん。」

アスナ「おはようございます。アスナさん。」

シリカ「今日は日曜日だから休みですね。明日も文化の日で休みです。」

アスナ「実はもっと早く起きてたんですけど、なんだかもっと布団の中にいたくてつい遅くまで横になっていました。」

シリカ「あたしも、早く目は覚めたけど遅くまで横になってました。」

アスナ「今何時?」

シリカ「11時30分」

アスナ「午前?午後?」

シリカ「午前に決まってるじゃないですか。」

アスナ「よく眠れた?」

シリカ「はい。ぐっすり眠れた感じです。」

アスナ「私は普段神経質だから眠りは浅いほうなんだけど、なんだかぐっすり眠れたわ。」

アスナ「シリカちゃんが一緒にいたからかな。」

アスナ「シリカちゃん、さっき寝ながらキリト君の名前呼んでたわよ。」

シリカ「は!聞こえちゃいました?」

アスナ「聞いちゃった。いい夢見てたのね。」

シリカ「恥ずかしい・・・」

アスナ「さてと、シリカちゃん、お腹空いたでしょ。」

アスナ「朝ごはんにしましょう。」

シリカ「といっても今の時間だともう朝昼兼用になりそうですけど。」

アスナ「苦手な食べ物ってある?」

シリカ「ありません」

アスナ「そう」

アスナ「シリカちゃん、料理とかする?」

シリカ「あたしはまだお母さんに頼ってばかりかな。」

シリカ「でもゲーム内でメイドをやってるんです。」

シリカ「その店にキリトさんが来たときはびっくりしたな。」


シリカ「いただきます。」

アスナ「いただきます。」

シリカ「美味しいです」

シリカ「キリトさんも言ってるように、アスナさんは料理が上手ですね。」

アスナ「そう、ありがとう。」

シリカ「アスナさんはいい奥さんになれると思います。」

アスナ「そんな・・・、照れるわ。」

アスナ「でもエギルさんやクラインさんには喜んでもらえなかったから、酷評も覚悟してたんだけど。」

シリカ「酷評って、あたしは美味しいと思いますよ。でも味覚には個人差ありますしね。」

アスナ「シリカちゃんはキリト君のこと好き?」

シリカ「うん、大好きですよ。」

アスナ「つまり私とシリカちゃんの好みは似てるってことね。好きな味も・・・」

アスナ「好きな男の子も」

シリカ「え?」

シリカ「アスナさん、あなたはそういうことに赤裸々なんですか。」

アスナ「いやまあ、こういう話のして言ったほうがいいのかな、って思って。」

アスナ「シリカちゃんと本当に打ち解けるためには」

シリカ「でもあたしたち、恋のライバルってことになって却って溝が深まりそうですけど。」

シリカ「じゃあいっそお互いに、キリトさんのどこが好きかって話でもしますか?」

アスナ「そうしましょう。」

それからアスナさんと色々話した。

シリカ「こういうのがガールズトークって言うんですかね。」

アスナ「そろそろこの話はやめにしよう。」

アスナ「もしこの話を万が一キリト君に聞かれたら、あの子が調子に乗るかもしれない。そう思うとなんか癪だわ。」

シリカ「じゃあ今度は何の話をしますか?」

アスナ「そうね、キリト君のどこが嫌いかという話をしましょう。」

シリカ「え?そんなのないですよ」

アスナ「ないの?シリカちゃんにとってキリト君はパーフェクトな存在?」

シリカ「はい。」

シリカ「どうせなら、キリトさんの話はやめにして、Freeのキャラで誰が一番好きかって話でもしましょうか。」

シリカ「あとどのカップリングが好きか」

アスナ「それ私がついていけないから」

シリカ「そうですね。アスナさんじゃ。リズさんとなら盛り上がるんですけど。」

アスナ「そろそろ今後の話をしましょう」

シリカ「今後の話というと?」

アスナ「シリカちゃんの今後よ。今晩も私の家に泊まってもらうとして、明日からどうする。」

アスナ「何か当てはあるの?」

シリカ「当ては・・・ない。」

アスナ「本当は明日以降も泊めてあげたいところだけど、明日お父さんとお母さんが帰ってくるからそれは難しいんだよね。」

アスナ「お母さんは私がSAO事件のせいでエリートコースを外れたことを悪く思ってて、あまり学校の友達のこともよく思ってないから。」

アスナ「ちなみにシリカちゃんの読みでは、綾野家の今後ってどうなるの?」

シリカ「多分新しい借家で生活することになるでしょうね。」

アスナ「借家先が決まればシリカちゃんが寝泊りできる場所は確保できるわけよね」

シリカ「はい。」

アスナ「そう。シリカちゃん、いいアイデアがあるんだけど、聞きたい?」

シリカ「いいアイデア?」

アスナ「ご両親が借家先を決めるまで、かかっても1週間というところでしょう。」

アスナ「それくらいの間なら、まあなんとかできると思うの。」

シリカ「うん、聞きたい。」

アスナ「キリト君の家に泊めてくれないかな、と思って。」

シリカ「キリトさんの家、ですか?」

シリカ「いやキリトさんの両親が女の子を家に泊めていいと言うかどうか」

アスナ「まあキリト君がダメなら、リズか、他のフレンド登録の人に頼むから安心して」

シリカ「今日の夕食はあたしが作ろうと思います。」

シリカ「あたしも少しくらいなら料理ができるので。」

アスナ「本当?じゃあお願いしようかな。」


アスナ「あら、美味しそう。」

アスナ「いただきます。」

シリカ「いただきます。」

アスナ「美味しい。シリカちゃんも料理上手ね。」

シリカ「本当ですか?」

アスナ「うん、シリカちゃんもいい奥さんになれると思うわ。」

シリカ「ありがとうございます。でもいい奥さんなんて照れますよ。」

アスナ「まあキリト君は渡さないけどね。」

シリカ「そうですか。」

その日の夜

街にあの巨人が出没していた。

電話

アスナ「もしもし、結城です。」

シノン「私、詩乃。アスナ、大変よ。」

シノン「学校がある街の周辺に巨大なモンスター、というより巨人が・・・」

アスナ「シノのんも見たの?」

シノン「うん。アスナも見たの?」

アスナ「私は見てないけどシリカちゃんが見たって。」

アスナ「それでシリカちゃんの家が火事になったの。巨人のせいじゃないかって。」

シノン「そう。本当腰抜かしそうになったわ。まさか現実世界にあんなのが出るなんてね。」

シノン「キリト君に助けを求めたほうがいいかな?」

アスナ「あいにくだけどキリト君は留守のようなの。」

シノン「そう。それは困ったわね。」

アスナ「なんとか私たちでなんとかしたいけど。」

・・・
夢の中

シリカ「キリトさん、あたしのこと好きですか?」

キリト「好きだよ。シリカ。」

シリカ「愛してます。キリトさん。」

キリト「永遠に愛してるよ。シリカ。」

・・・
シリカ「キリトさん」zzz

シリカ(・・・!)

シリカ(あたしまたなんて夢見てるんだろう。まさか2日連続でキリトさんの夢を見るなんて・・・。)

第1話 終わり
第2話に続く

第2話 炎上事件

11月3日 月曜日 文化の日

あたしは用事があって学校にきていた

リズベット「珪子じゃない。こんにちは。」

シリカ「里香さん、こんにちは。」

リズベット「実は今、明日奈に会いにいくところなんだけど、教室にいるかな?」

シリカ「今日は来てないですよ。文化の日で休みですから。あたしは用事があってきてますけど。」

リズベット「そうか、どうしようかな。」

シリカ「アスナさんに何か用事でもあったんですか?あたしでよければ話聞きますよ。」

リズベット「うーん、じゃあ珪子でいいか。」

リズベット「実はついさっき、和人からメールが届いたのよ。」

そこには「夕方5時、森林公園に1人で来てくれ。助けてほしいことがある。」と書いてあった。

リズベット「これどういう意味だと思う?」

シリカ「どういう意味も何も、和人さんが里香さんの助けを借りたいから、夕方5時に1人で森林公園に来てくれって意味ですよ。」

リズベット「やっぱりそうか。」

リズベット「和人にも困ったものね。森林公園とは待ち合わせ場所が漠然としすぎている。」

リズベット「森林公園にどれくらいの面積があると思ってるのだろう。」

シリカ「それは公園の中にある滑り台がアスレチックの近くじゃないですか?」

リズベット「そうなの?でもそれなら電話してくれればいいのに。実はさっき電話をひっきりなしにかけたのだけれどつながらなくてね。」

リズベット「つまりこれはデートの誘いということよね。電話に出ないのは何らかのサプライズを用意してくれているからに違いない。」

シリカ「いや、文面的にもっとシリアスなものだとは思いませんか?」

リズベット「そうかそうか。ならば得心言った。今晩は読みたいBL漫画があったけれど、和人から呼び出されたのであれば是非はない。」

リズベット「あたしは勝負服と勝負下着で和人の呼び出しに応じよう。」

シリカ(勝負服と勝負下着って・・・)

リズベット「では珪子、いろいろ教えてくれてありがとう。」

シリカ「いえいえ、どういたしまして。」

リズベット「家が火事になったと聞いて落ち込んでいるかと思ったけど、元気そうで安心したよ。」

リズベット「さすが珪子だね。」

シリカ(本当に知っていたの?)

リズベット「それではまた。」

筋違いだ。キリトさんは必然性があってリズさんにメールを打ったに違いないのだから。
私やアスナさんじゃなくて、リズさんに助力を求めたことについて物を思うのは筋違いだ。

アスナ「あらお帰りなさい。シリカちゃん、遅かったわね?」

シリカ「昨日使わせてもらった食材の補充にスーパーに行ってたから。」

彰三「初めまして。明日奈の父です。」

京子「明日奈の母です。」

浩一郎「明日奈の兄です。」

シリカ「初めまして、綾野珪子です。すいません、昨晩は泊めてもらいました。」


アスナ「リズにメール?」

アスナ「何よあいつ。私を差し置いてリズをデートに誘うなんて、絶対許さない!」

アスナ「リズも絶対許さない。あの2人、どうしてやろうかしら・・・」

シリカ「アスナさん、落ち着いて下さい。別にデートじゃないですよ。」

アスナ「わかってるわよ。」

シリカ「多分理由があるんだと思いますよ。その点については。」

シリカ「助けてほしいことがあるっていうのもそうだろうし。」

シリカ「リズさんはアインクラッドで武器屋をやってたじゃないですか。武器の知識もありますし。」

アスナ「そうね。つまりリズというより、リズの武器が必要ということなのかしら。」

シリカ「まあ推測ですけど。」

アスナ「それでどうするの、シリカちゃん。」

シリカ「どうするって?」

アスナ「その待ち合わせ場所に行くの?行かないの?」

アスナ「彼の状況がどうであれ、そこに行けばキリト君に会えるわけでしょ?」

シリカ「考えたけど、行かないつもりです。行ったら邪魔しちゃいそうな気がしますし。」

アスナ「そう。じゃあ私も行かない。」

アスナ「便りがないのは元気な証拠だと思っておくことにするわ。」

アスナ「シリカちゃんと同じ。行っても邪魔しかできそうもないからね。」

アスナ「私にできそうなこともありそうな気がするけどね。」

ピンポーン

アスナ「あ、来たようね。」

シリカ「誰?」

アスナさんがドアを開けて、そこにいた女の子はキリトさんの妹、桐ヶ谷直葉さん、キャラネームリーファさんだった。

・・・
今日の昼間

アスナ「あら、直葉ちゃんじゃない。こんなところで会うなんて偶然ね。」

リーファ「そういうあなたは明日奈さんじゃないですか。本当に偶然ですね。」

アスナ「実はシリカちゃん、珪子ちゃんの家が火事になったのよ。」

リーファ「え?そうなんですか。それは大変でしたね。珪子ちゃんはどうなったんですか?」

アスナ「珪子ちゃんは丁度学校に行ってるところだったから怪我はなかったわ。」

アスナ「でも家がなくなっちゃって、彼女今晩寝る場所もないの。」

リーファ「そうなんですか?」

アスナ「本当不思議よね。珪子ちゃんみたいないい子がぐっすり眠れるベットがこの世にないだなんて、理不尽も極まりないわ。」

アスナ「いやもうこの世に正義があるのなら、一体何をしているのかという感じだわ。」

アスナ「今日は文化の日で学校も休みだから、珪子ちゃんの寝床を探しているのだけれど。」

アスナ「おっとごめんね、こんなこと直葉ちゃんに話しても仕方ないことだったわね。」

アスナ「だって直葉ちゃんはあの桐ヶ谷和人の妹だというだけで、所詮はただの中学生でSAOとは無関係な人なのだから、和人君と同じように扱っちゃ図々しいわよね。」

アスナ「大好きなお兄ちゃんがいなきゃ何もできない直葉ちゃんにこんなことを話しても、迷惑だったわね。」

アスナ「本当にごめんなさい。じゃあそろそろ私行くわね。」

アスナ「珪子ちゃんの寝床同様、この世に正義がないこともわかったことだし。」

リーファ「ちょっと待って!」

アスナ「え?何?どうかしたの?」

リーファ「珪子ちゃんの寝床はある。そして、正義もある!」

・・・
そんなわけで、あたしは桐ヶ谷家にいた。

翠「まあまあ、自分の家だと思ってくつろいでよ、綾野さん。」

直葉「そうだよ。自分の家だと思ってよ。思いまくっちゃってよ、珪子ちゃん。」

直葉「大体水臭いんだよね、珪子ちゃんは。寝る場所がないなら、まずいの一番にあたしを頼ってくれればよかったのに。」

直葉「あたしは珪子ちゃんが自分から言ってくれるのを待ってた。」

直葉「まあ言いにくいのかな、って思ってこうして自分から提案したわけだけれど。」

シリカ「そうなんですか?アスナさんがお願いしてくれたんじゃないですか?」

直葉「まあ確かに明日奈さんもこの家に泊めてあげてほしいって言いたそうだったけど。」

翠「とにかく綾野さん、泊まる場所がないって言うならうちにいくらでも泊まっていってよ。」

直葉「都合のいいことに、お兄ちゃんが今お留守だからさ。お兄ちゃんの部屋を使って。」

シリカ「じゃあお言葉に甘えて、お世話になります。」

シリカ「キリトさんが帰ってくるまでの間ってことで、よろしくお願いします。」

直葉「よろしく。」

翠「よろしく。」

シリカ「そうだ。何日もお世話になるわけだから、お父さんにもご挨拶しないと。」

直葉「それは大丈夫だと思うよ。あたしと、お兄ちゃんのパパなんだから。」

直葉「熱血な正義感の持ち主だから、困ってる人に出て行けなんて言わないわよ。」

シリカ「そうですか。」

お父さんは思ったよりもあっさり、そういう事情なら仕方がないと、あたしの宿泊にお許しを出してくれた。

直葉「じゃあ一緒にお風呂入ろう」

シリカ「え?」

直葉「いいじゃない。女同士なんだし。」

シリカ「そうですね。じゃあ一緒に入りましょうか。」


直葉「珪子ちゃん。すごくかわいいブラ持ってるんだね。」

シリカ「それは今着けてたのですか?それとも手に持ってるの?」

直葉「手に持ってるの。着けてるのもかわいいけど。」

シリカ「今着けてたのはアスナさんのを借りたんです。」

直葉「そうなんだ。」

シリカ「直葉さん」

直葉「直葉って呼び捨てでいいよ。あたしの方が1つ年上だけど、先輩だと思って敬語使わなくていいよ。」

シリカ「呼び捨て、ですか?」

直葉「うん。」

シリカ「じゃあ直葉ちゃんで。」

直葉「ちゃん付け?まあそれでもいいや」

シリカ「ねえ直葉ちゃん、和人さんはどこに行って、今なにをしてるかわかる?」

直葉「うーん、10月31日から今日11月3日までは無人島に行ってたんだって。3泊4日ってことになるのかな。」

直葉「それで今日の昼一度帰ってきたんだけど、大事な仕事があるって言ってまたどこかに出かけちゃった。」

直葉「クラインさんとユイちゃんと一緒に。」

シリカ「そうなの。実は里香さんに和人さんから助けを求めるメールが届いてたの。」

直葉「そうなんだ。お兄ちゃんとクラインさんとユイちゃんと里香さん、4人で何やるんだろう?」

シリカ「まあ和人さんと里香さんの2人じゃないってことで、デートではないってことは決まりですね。」

シリカ「アスナさんが嫉妬してましたから。よかったね、アスナさん。」

直葉「へー、明日奈さんも嫉妬するんだ。」

シリカ「ねえ直葉ちゃん、胸大きいね。あたし胸小さいからうらやましい。」

直葉「いや、胸が大きいというのもいいことばかりじゃないよ。」

直葉「ブラの値段、カップ数が大きくなるほど高いからね。」

直葉「下着代がかすむよ。だからあたしはブラはそんなに何枚も持ってない。」

直葉「それにかわいい柄のブラはだいたいCカップくらいまでしかないし。」

直葉「だから中1くらいまではあたしもかわいいブラ着けてたけど今は地味なのしかない。」

直葉「かわいいブラ持ってる珪子ちゃんがうらやましいよ。」

シリカ「そうなの。」

直葉「あたしは胸が大きかったから小3のころからブラ着けてたんだよね。最初はスポーツブラだったけど。」

直葉「そのころはブラつけてるの恥ずかしかったよ。小学校低学年だとまだ体育の着替えは男女一緒だし、男子にも女子にもからかわれてたね。」

直葉「小6で既にCカップでワイヤー付きのブラになったんだけど、これまた恥ずかしかった、お母さんの薦めで派手でかわいい柄のブラ着けてたから。」

直葉「胸が大きいのって結構女子にからかわれるよ。」

シリカ「そうなんですか。」

直葉「子供のころはブラにあこがれるって女の子あんまりいないと思う、」

シリカ「あたしはあこがれてたよ。」

シリカ「女子の間でブラをつけた子=大人みたいな状態で競争するかのようにつける子が増えたな。その頃からあたしも胸が痛くなりはじめてたからお母さんにお願いしてつけるようになった。」

シリカ「でもやっぱりあたしは胸が大きいほうがいいな。」

シリカ「それより、あたしは本当は男の子に生まれたかったかも。」

直葉「なんで?」

シリカ「だって。男の子に生まれてたら胸が小さいの気にする必要なかったもん。」

シリカ「あと男の子に生まれてホモになりたかったって思うこともある。BLって、女じゃ永遠に届かない世界だし。」

直葉「いや、お兄ちゃんは女の子に生まれて百合百合したかったって言ってるよ。」

シリカ「そうなんだ。」

直葉「それならブラにあこがれるのはなんで?」

シリカ「だって、せっかく女の子に生まれたら可愛いブラを着けたいと思うよ。」

・・・
直葉「これはある人の名言です。」

直葉「売上なんかより大事なものがあるだろう!」

直葉「たとえ目の前にどんな障害が立ちはだかろうと、俺の進む道を止めることなどできない。」

直葉「俺はたとえ世界の全てを敵に回そうと、お前を絶対に守ってみせる。」

直葉「それは俺の台詞だ。大切なもののためともに戦おう。」

シリカ「それ全部ホモゲ部の。」

シリカ「あれ原作は18禁BLゲームじゃないですか。」

シリカ「もしかして直葉ちゃんってあたしの遥か上を行く存在?」

直葉「いや、お兄ちゃんも桜trickとか見てるからあまり同性愛に対する拒否感ないってだけだよ。」

・・・
家の電話が鳴った。

ご両親と直葉ちゃんは出れなかったのであたしが出た。

プルルルルル

シリカ「もしもし、えーっと桐ヶ谷です。」

エギル「エギルだ。お兄ちゃん、和人君はいるか?」

シリカ「えーっと和人さんは今留守にしてます。」

エギル「そうか。ってその声はもしかしてシリカちゃんか?」

シリカ「はい、シリカです。」

エギル「キリトの妹さんかと思ったらシリカちゃんか。」

エギル「なんでシリカちゃんがキリトの家にいるんだ?」

シリカ「それがあたしの家が火事になってしまって、代わりに直葉さんがこの家に泊めてくれることになったんです。」

エギル「そうだったのか。」

シリカ「キリトさんを探してるんですか?」

エギル「そうなんだ。10月31日を最後に姿が見えなくて、携帯に連絡してもつながらないし、そしたらキリトは自宅に戻っているという噂を聞いたので電話してみたのだが、淡い期待だったようだな。」

エギル「それどころかキリトの家にシリカちゃんがいたというのだから、これはけいおんにFreeの松岡江ちゃんが出てきたようなもんだな。」

シリカ「どんな例え方ですか。」

エギル「なんとなく合いそうじゃない?」

シリカ「確かにそうですね。」

シリカ「じゃあ代わりにFreeにはけいおんの田井中聡君を出しましょう。」

エギル「1期13話と2期16話、18話、BD特典の番外編27話と劇場版にちょっとしか出てこないようなキャラの名前をよく知ってるな。」

エギル「君はあれか、けいおんのファンか?」

シリカ「いや、社会現象を起こしたアニメですから一応キャラの名前だけは知ってるってくらいです。」

シリカ「どちらかといえばあたしはFreeのほうが好きですよ。」

エギル「そんなマイナーなキャラ普通ファンじゃなければ知らないけどな。」

エギル「ちなみに聡は2期3話にも声だけ出てた。それから劇場版にはなんとOPにも登場した。友人とともに駅の電車の前で。」

シリカ「そうだったんですか。」

エギル「それよりキリトはどこにいるかわかるか?」

シリカ「キリトさんなら今日の昼いったん家に帰ってきたみたいです。そのあと夕方5時に森林公園の滑り台の前に行ったそうですよ。」

シリカ「クラインさんとユイちゃんとリズさんと待ち合わせで。」

エギル「待ち合わせ?クラインとリズベットちゃんとユイちゃんと何をしてるんだあいつは?」

シリカ「多分リズさんの武器が必要なんだと思います。」

エギル「そうか。じゃあユイちゃんは・・・」

エギル「わかった。なるほど、キリトにしては考えたようだな。」

エギル「ユイちゃんをキリトとクラインの伝達役として使ったか。」

エギル「いやあ、いい情報を教えてくれたね。これで無駄電話にならずに済んだ。」

エギル「ありがとう、シリカちゃん。」

シリカ「森林公園に行くんですか?」

エギル「まあそのつもりだ」

シリカ「キリトさんが今もまだ森林公園の滑り台にいるかどうかはわからないですよ。もう夜遅いですし。」

エギル「まあ、それでも行ってみるよ。」

シリカ「あの、エギルさんはモンスターについては詳しいですか?」

エギル「まあ、それなりには。」

シリカ「人型のモンスターって知ってますか?」

エギル「人型のモンスターならいくらでもいるよ。SAOの中でも10匹くらい見たな。」

エギル「キリトの知識も合わせれば50は超えるな。」

シリカ「巨大なモンスターなんですよ。」

エギル「モンスターはたいがい大きいからな。小さいモンスターというなら話は別だが。」

シリカ「すごい早いですよ。あっという間に追い越されました。」

エギル「モンスターはたいがい早い。遅いモンスターというなら話は別だが。」

シリカ「あとしゃべるんです。」

エギル「しゃべる?人間の言葉をか?」

シリカ「はい」

エギル「モンスターが人間の言葉をしゃべる?それは珍しいな。それを聞くと余計正体がわからなくなるぞ。」

シリカ「今そのモンスターが現実世界に出てこの街をうろついてるんですよ。」

エギル「何、現実世界に?なぜそれを最初に言わない!」

エギル「これはまた茅場や須郷の関係者が何かやったのか?」

シリカ「どうなんでしょうね。」

下着は昨日洗濯したので自分のをつけることができた。

シリカ「このパジャマ、男ものじゃない?」

直葉「ああ、それお兄ちゃんの。」

シリカ(え?)

シリカ(なんてこった。やってしまった・・・。)

直葉「じゃあおやすみなさい珪子ちゃん。この部屋のものは好きに使っていいから。」

翠「おやすみなさい綾野さん。また明日ね。」

シリカ「おやすみなさい。」


それにしても今キリトさんのパジャマを着て、キリトさんのベッドに横になって、キリトさんの枕に頭を添えて、キリトさんの布団をかぶっているのだと思うと、全然眠れない。

シリカ(キリトさんの香りが・・・。あたしの大好きな人の匂いがここに・・・)

こんなことを考えてしまうあたしはかなり変態だと思う。

また電話が鳴った。今度は直葉ちゃんが出た。

直葉「もしもし、桐ヶ谷です。」

エギル「エギルだ。今度は和人君の妹さんかな?」

直葉「はい、桐ヶ谷直葉です。」

エギル「大変だ。さっき森林公園に行ったら・・・」


直葉「珪子ちゃん、大ニュース。」

シリカ「直葉ちゃんどうしたの?」

直葉「エギルさんが森林公園に行ったって。でもお兄ちゃんには会えなかったって。それどころか・・・」

直葉「森林公園の滑り台が全焼してたって。」

シリカ「滑り台が全焼?どういうこと?」

シリカ(あたしの家の次は公園の滑り台?同じ人、いや同じ生き物の仕業なのかな?)

・・・
シリカ「キリトさん・・・」

キリト「シリカの裸、最高だな。」

シリカ「キリトさんのあつくておっきいおちんちんであたしのおまんこをずんずん突いて、キリトさんののちんこミルクをあたしのなかにいっぱいとぴゅっとぴゅして。」

キリト「入れるよ」

シリカ「はい。」

キリト「大丈夫か?」

シリカ「大丈夫です。むしろとても気持ちいいです。」
・・・
シリカ(は!)

シリカ(あたしまたこんな夢・・・)

シリカ(3日連続キリトさんの夢を。しかも今日はキリトさんとセッ●スする夢を見るなんて・・・)

シリカ(そして夢の中でなんてはしたないこと言ってるの!)

シリカ(あたしはいつからこんなエッチな女の子になっちゃったの!)

その後あたしは二度寝した。そのとき今度は別の夢を見た。

・・・
夢の中

 「その巨人は君自身が生み出したものだ。」

シリカ「え?」

 「だから君が倒すしかない。」

 「おそらく命を落とすこともあるだろう。死ぬ覚悟で戦うように。」

 「というか、倒せなくても君が[ピーーー]ば今回の問題は解決するんだけどな。」

第2話 終わり
第3話に続く

「というか、倒せなくても君がしねば今回の問題は解決するんだけどな。」

第3話 私は貝になりたい

・・・
2025年11月4日 火曜日

直葉「珪子ちゃん、起きてる?」

直葉「起きてなかったら起きて」

直葉「そろそろ朝ごはんの時間だよ。」

シリカ「うんわかった。大丈夫、起きてるから。」


翠「綾野さん、こうして泊まりにきてくれて直葉は喜んでるし、まるで妹のように慕ってるけど、残念ながら私たちは君の家族にはなってあげられないのよ。」

翠「その辺はわかってね。」

シリカ「はい。」

シリカ「行ってきます。」

登校途中

誰かとあった。それはあたしの知らない人だったけど・・・

優花里「あなたは、綾野珪子さんですね、」

シリカ「なんで私の名前を知ってるんですか?」

優花里「ある人から聞きました。」

優花里「初めまして。私の名前は秋山優花里です。」

シリカ「初めまして、秋山さん。」

優花里「なんですか、秋山さんって。私はそんなさん付けされるような年じゃないですし敬語を使われるような立場でもないですよ。」

優花里「実はあなたの方が私よりよっぽど年上なんですよ。こう見えても私は今日この時点では6歳なんですよ。」

シリカ「6歳!?」

露骨に驚いてしまった。

優花里「もっともこれは精神年齢ですけど。」

シリカ(精神年齢って・・・)

優花里「人を見かけで判断しないで下さいってことです。」

優花里「愚痴ではないんですけど、実は私はなんのためにこの街にきたのかまだわかんないんですよ。」

優花里「いきなり呼び出されて、大洗から列車とバスを乗り継いで今朝到着したばっかりなんですよ。」

シリカ「列車とバスを乗り継いでって・・・」

シリカ(妙に庶民派だ。観光客か?)

シリカ「呼び出されてって?」

優花里「呼び出されもしますよ。私は世界の平和を守る戦車少女ですから。」

優花里「金払いさえよければどこにでも動くし誰にでも雇われます。」

優花里「お金で動く正義の味方です。」

シリカ「正義の味方がお金で雇われるんですか?」

優花里「そうですよ。」

シリカ「変なヒーロー。」

シリカ「用件も聞かずに雇われたんですか?」

優花里「前払いでしたからね。それに引き受けなきゃいけない事情もあって。」

優花里「まあまたSAO事件関連だと思います。SAO絡みで前にもこの街に来たことありますし。」

シリカ「さっき大洗って言いました?」

優花里「はい。大洗から来ました。」

シリカ「大洗ってことは茨城県・・・」

シリカ「ずいぶん田舎から来ましたね。」

優花里「あなた、大洗をバカにしたな!」

シリカ「え?」

優花里「大洗はいいとこだよ。海もあるし、船の上に大きな街があるし。」

シリカ「船の上に街があるんですか?」

優花里「はい。学校も船の上にあるのです。」

シリカ「へえー。」

シリカ「それはすいませんでした。」

優花里「まあ大洗には新幹線もないからここまで来るのに時間かかったわ。」

優花里「あと大洗には電車は走ってません。地元の鹿島臨海鉄道は非電化なのでディーゼルカーです。」

シリカ(ディーゼルカーですか。やっぱり田舎じゃないですか。)

優花里「それにしてもあの人ですよ。私を用件も言わずに呼び出したのは。」

優花里「私の高校時代の友達の奉公人ですから、だからこそ縁もゆかりもある私は引き受けなければならなかったわけですよ。」

優花里「あと私の名前ゆかりですし」

新三郎「綾野珪子さん、君はバギー道というものに興味はないか?」

シリカ「・・・」

新三郎「新三郎さんじゃないですか。」

新三郎「私の名前は結城新三郎という。」

新三郎「珪子さん、バギー道をやってみないか?」

シリカ「バギー道ってなんですか?」

新三郎「戦車道のバギー版だ。」

シリカ「戦車道ってのも知らないんですけど。」

新三郎「戦車道を知らない?古くから伝わる乙女のたしなみじゃないか。」

シリカ「そうなんですか。」

新三郎「乙女のくせに戦車道も知らないなんて、君は何も知らないんだな。」

シリカ「すいません。特に武道には興味なくて。」

シリカ(あたしにとって戦車とは擬人化してホモらせるものだ)

新三郎「だが私が君を誘っているのは戦車道ではなくバギー道だ。」

優花里「新三郎さん、こないだ無人島であんなことが起きたばっかりでまたバギー道を薦める気ですか?」

優花里「まさかバギーがあんなことになるなんて。」

優花里「おかげで2人を無人島に置き去りにする羽目になったんですよ。3日くらいで無事に戻ってこれたからみたいですからよかったですけど。」

シリカ「2人を無人島に置き去りって?」

優花里「あ、これはこちらの話です。あなたには関係ないので気にしないで下さい。」

新三郎「まあこれはこの後の話の伏線です。重要なことはネタバレになるからいえませんけど。」

優花里「珪子殿、バギー道なんかより戦車道やりませんか?」

優花里「戦車道は乙女のたしなみですよ。モテモテになるには戦車道しかありません。」

シリカ「すいませんが私戦車道には興味ないんです。」

新三郎「バギー道なら、今この街に起きてる問題をあっさり解決できるよ。」

新三郎「この街にうろついている巨人のモンスターを簡単に退治できる。」

新三郎「私はこの街を救うためにここに来た。」

シリカ「え?」

シリカ(なんでモンスターのこと知ってるの?)

新三郎「珪子ちゃん、どうしたんだ?そんな驚いた顔をして。」

新三郎「巨人のことを知っていた程度でそんな驚くことはないだろう。」

新三郎「私に知らないことはないんだよ。」

シリカ「知らないことは、ない?」

新三郎「そう。私はなんでも知っている。」

新三郎「まあ君は今日明日中にその巨人と向き合うことになるのだろう。」

新三郎「君自身がもうすぐ桐ヶ谷ひまわりと名づけることになる、その孤高無比に強力なモンスターとね。」

新三郎「私は手伝ってやるとは言ったがあくまで君自身の問題だよ。それは私の問題ではないし、もちろん君が恋する男の子の問題でもない。」

シリカ(え?)

新三郎「ちなみに君が恋する男の子が今何をしているかも私は知っている。」

新三郎「彼は今この街を離れて世界と神のルールを守るために戦っている。」

新三郎「その神とは一体誰なのかはネタバレになるので言えないけどね。この後の話の伏線だ。」

新三郎「まあ君はこの神とは縁もゆかりもない人なので知らなくていい。」

新三郎「残念ながら彼は君を助けることはできないだろう。巨人退治に参加することはできない。今は禁制を犯そうとしてる悪魔を倒すことで手一杯だ。」

シリカ(悪魔を倒す?)

シリカ「恋する男の子って?」

新三郎「桐ヶ谷和人君のことだよ。知ってるんだろ?」

シリカ「あなたはあたしの何を知っているんですか?」

新三郎「なんでも知っているよ。だから私はなんでも知っている。」

新三郎「君が桐ヶ谷和人君に恋していることも知っている。まあその恋が報われるかどうかは君と彼次第だけどね。」

新三郎「さらに昨日の夜、君にとって思い出の場所とも言うべき森林公園の滑り台が燃えてしまったことも、私はちゃんと知っているさ。」

シリカ「え?」

新三郎「あー。これもまだ君が知らない情報だったっけ。何でもは知らない珪子ちゃん。」

新三郎「おそらく和人君も知っているだろう。その現場に和人君がいたからね。」

優花里「バギーのことを知らなかったくせに威張らないで下さい。新三郎さん。」

シリカ(私も知っている。昨日直葉ちゃん経由でエギルさんから聞いたから・・・)

・・・
シリカ「アスナさん、昨晩の夢の中で、巨人は君自身が生み出したものだって言われたんです。」

アスナ「へえ。誰に?」

シリカ「誰かはわかりませんよ。夢の中ですし。」

アスナ「じゃあ今日はキリト君の夢見なかったんだ。」

シリカ「実はキリトさんの夢も見ました。」

アスナ「へえ。じゃあもしかしてキリト君が言ったのかな」

シリカ「キリトさんの声ではなかったですよ。」

シリカ「あと今日学校に行く途中2人の人に会ったんです。」

アスナ「2人の人?」

シリカ「秋山優花里って人と、結城新三郎って人です。」

シリカ「そして結城新三郎さんには巨人は君自身の問題だって言われました。」

アスナ「そう。その結城新三郎さんがなんで巨人のこと知ってたのか不思議ね。」

シリカ「あと新三郎さんはあたしがその巨人に桐ヶ谷ひまわりと名づけると言っています。」

シリカ「そんな名前あたし初耳ですけど。」

シリカ「だいたいなんでキリトさんの名字が入っているのかもわかりませんし。」

アスナ「どうかしらね。なんだかいいように誘導されているような気がするけど、その新三郎って人に。」

アスナ「話を聞く限り、シリカちゃんが名づけたんじゃなくて、どう考えてもその人が名づけているんでしょ。」

シリカ「うん、まあそうなんだけど。」

シリカ「あの、結城新三郎さんってアスナさんと何か関係あるんですか?」

アスナ「関係って?」

シリカ「ほら、アスナさんは結城明日奈さんですよね。名字が同じじゃないですか。」

アスナ「そうね、新三郎って人は知らないわ。たまたま名字が同じだけじゃないかな。」

アスナ「ただ兄の知り合いに新三郎って人がいたような・・・」

アスナ「お兄ちゃんの名前は結城浩一郎。浩一郎と新三郎ってちょっと似てるわね。もしかして私の知らない親戚なのかも。」

シリカ「あと新三郎さんによると、キリトさんは今この街を離れて世界と神のルールを守るために戦っているそうです。」

アスナ「神?」

シリカ「さらにご禁制を犯そうとしてる悪魔を倒すとか言ってたような」

アスナ「神に悪魔ね、オカルトみたいな話で信じがたいわ。」

シリカ「昨日の夜森林公園の滑り台が火事になったことは知ってますか?」

アスナ「シノのんから聞いた。」

シリカ「アスナさんも知ってましたか。」

アスナ「ねえ、シリカちゃんの家と森林公園の滑り台が連続で火災にあったことと、シリカちゃんが巨人に会ったこと、キリト君がいないこと、これって関連性あると思わない?」

シリカ「関連づける証拠がないですよ。」

アスナ「でも火事になった2ヶ所の共通点は、シリカちゃんがよく知ってるとこというところ以外に、もう1つとても短期的な共通点があるの。」

シリカ「どんな共通点ですか?」

アスナ「あなたが直前で寝床とした場所が連続で燃えたということじゃない」

シリカ「は!」

アスナ「私の推理が正しかったら、今度は私の家が全焼して、その後はキリト君の家が全焼の憂き目に遭っちゃうってこと。」

シリカ「それは大変じゃないですか!今度はアスナさんとキリトさんと直葉ちゃんまで住む家がなくなってしまう。」

・・・
シリカ「お邪魔します」

直葉「お帰り、珪子ちゃん。ていうかなんでお邪魔しますなの?ただいま、でしょ。もうここは珪子ちゃんの家だと思っちゃttwいいんだよ。」

シリカ「和人さんから連絡あった?」

直葉「それがないんだよ。あの兄ちゃん今一体なにやってるんだろう?」

シリカ「今日学校に行く途中に会った人の情報だと、別の街で世界と神のルールを守るために戦っているとか、悪魔を倒すとか。」

直葉「神?悪魔?なにそれ?」

直葉「ねえ、ゲームして遊ぼう。既にテーブルにトランプを用意してあるんだよ。」

シリカ「トランプ?オンラインゲームじゃなくて?」

直葉「さあ早く、あたしに抵抗できると思うな」

シリカ「わかった。するする、トランプするから!」

直葉「わーい」

シリカ「火という言葉から連想するものってある?」

直葉「そうだね、あたしの胸に宿る心。」

直葉「そしてあたしのお兄ちゃんに対する熱い気持ちかな。」

シリカ「へえ、和人さんに対する気持ちね。」

直葉「あたしのお兄ちゃんに対する気持ちはまるで火みたいなもんだよ。」

直葉「あたしはお兄ちゃんのことを、兄としてではなく、1人の男の子として好きなんだ。」

シリカ「そう。」

直葉「ブラコンって言われても仕方ないかも。」

直葉「だから明日奈さんにやきもちを妬いてることもあったな。」

シリカ「は!」

シリカ(やきもちを妬く・・・)

焼くと妬く。そうか。またそれも火に連なるキーワードじゃないか。
あたしの中の心、それは嫉妬だったんだ。

巨人は嫉妬の権化だった。
あたしはずっと、キリトさんが好きだった。
だから、キリトさんの彼女であるアスナさんに嫉妬していた。
燃えるように嫉妬していたんだ。
それだけで、あたしの嫉妬は閾値を越えて、巨人、桐ヶ谷ひまわりを生み出したんだ。

でももうアスナさんに嫉妬するのは終わりにしようと思う。

電話

直葉「もしもし、桐ヶ谷です。」

エギル「もしもし、エギルだ。」

エギル「大変だ。例の巨人がついに人を襲い始めた。」

エギル「しかも数が増えている。」

もう早めに倒さなければならないということだ。

優花里「こんばんは、あなたは結城明日奈さんですね。」

優花里「初めまして。私の名前は秋山優花里です。」

アスナ「なんで私の名前知ってるんですか?」

優花里「ある人から聞きました。」

アスナ「そうですか。」

アスナ(そういえばシリカちゃんが今朝この人と会ったって言ってたっけ)

優花里「あの、戦車道をやってみませんか?」

「戦車道ですか?母がやってて私も経験ありますけど、戦車道はあまり好きじゃないんです。」

優花里「戦車道の経験がおありですか。それは助かりました。」

優花里「この街に出没してる巨人を倒すには戦車しかありません。」

優花里「是非協力してもらえませんか?」


シリカ「アスナさん、戦車で戦うんですか?」

アスナ「うん、シリカちゃんも一緒に・・・」

シリカ「あたしは戦車のことは知りませんし、アスナさんたちと一緒には無理です。」

シリカ「それにこれはあたしの問題なので、できる限り1人で何とかします。」

アスナ「そう。」

優花里「それではアスナさん、行きましょう。」

優花里「パンツァー・フォー!」

あたし、今日で死ぬかもしれない。あたしがあの巨人を倒せれば生き延びることができるけど。
多分間違いなくあたしは死ぬだろう。
でもそれでいい。あたしがしねばこの街は、そして世界は救われるんだから。

あたしは戦いに行く前に両親に、そしてキリトさんに手紙を書いた。
遺書と言ったほうが正しいかもしれない。


戦いの場
そこには巨人のモンスターの他に、バギー型のモンスターまでいた。

巨人「我輩は巨人である。名前は桐ヶ谷ひまわり。」

巨人「どこで生まれたかの見当はついている。何でも薄暗いじめめしたところでしくしく泣いていたことだけは記憶している。」

巨人「吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは綾野珪子という我輩の産みの親ともいうべき人であったそうだ。」

巨人「この綾野珪子というのは桐ヶ谷和人に恋をしている話である。しかし当時からこの恋心が我輩を産み出された原因だと思った。」

巨人「嫉妬のみならず、全ての暗い感情で我輩はできている。」

巨人「すべてのものを燃やさなければならない。我輩の内側では何もかもが妬ましい。」

巨人「父も母も友人も片思いの相手もその妹も妬ましい。いなくなってしまえばいい。」

巨人「なくなってしまえばいい、苦しめばいい、悲しめばいい。我輩のように泣けばいい。」

巨人「さあ今宵は何を燃やそうか。誰を殺そうか。さしあたって次はこの建物か。」

そこはアスナさんの家だった。

巨人「なるほど。一軒家やビルディングを燃やすよりはどうやら手軽そうだ。」

巨人「まあ手軽であろうと手数であろう同じこと。目標が定まれば躊躇する意味はない。」

巨人「何でもは知らないが何でも燃える。誰でも[ピーーー]。」

シリカ「さあ巨人さん、迎えに来たよ。一緒に帰ろう。」

巨人「どけ。我輩はこの家を燃やす。お前は邪魔だ、」

シリカ「そんなことはさせないよ!」

バギー「こんな時間だから、今までの2軒みたいにたまたま無人ということもないだろう。」

バギー「この家の娘を焼き殺せ!」

シリカ「この家の女の子なら今別のモンスターを倒しに出かけているよ。」

巨人「じゃあこの家を燃やすのはやめだ。嫉妬の原因、一番邪魔なあの結城明日奈という女を今すぐ[ピーーー]か。」

シリカ「なんだって!」

巨人「お前も望んでるんだろ?あの女を殺したいって。」

シリカ「そんなこと、あたしは望んでないよ!」

バギー「なぜだ?あの女はお前の恋敵じゃないか。」

シリカ「でもアスナさんはあたしの友達だよ。そして何より、アスナさんが死んだらキリトさんがきっと泣くよ。ものすごく悲しむよ。」

シリカ「それだけは何としても防がなければならない。」

シリカ「アスナさんを[ピーーー]なんて、絶対に許さないから!」

そして戦車に乗っているアスナさんがこっちに向かってくるのが見えた。

シリカ「アスナさん、危ない!こっち来ちゃダメ!逃げて!」

巨人がアスナさんに襲い掛かろうとする。あたしはそれを必死で止めた。

シリカ「この巨人、アスナさんを殺そうとしてるんです。あたしが守りますから逃げて下さい。」

アスナ「シリカちゃん・・・」

シリカ「ひまわり。やめて。お願い。こんなこと、あなただって嫌なはずだよ。」

巨人「嫌なもんか。」

バギー「お前はどうしてそこまであの女を守ろうとするのだ。」

バギー「あの女はお前の嫉妬の原因だろ。」

バギー「あの女さえいなければお前は憧れの人と両想いになれるんだぞ。」

シリカ「両想いになんてならなくていいよ。あたしのキリトさんへの思いはずっと片想いでいい。」

シリカ「片想いをずっと続けられたら、それは両想いよりも幸せだとあたしは思う。」

バギー「その価値観わからんな」

シリカ「あなたには分からないだろうね」

シリカ「もうアスナさんに嫉妬するのは終わりにするって決めたんだ」

シリカ「あたし、元々自分が付き合うより人の恋愛を見てるほうが好きなんだよね。」

シリカ「その人が幸せなら、あたしも幸せ。」

シリカ「あたしがBLに、男の子同士の恋愛に萌えてるのもそれがあるのかもしれない。」

シリカ「女である自分には永久に届かない場所だからね」

シリカ「そしてあたしは、多分アスナさんが好きでアスナさんのために戦ってるキリトさんが好きだったんだ。」

シリカ「だから、あたしはキリトさんと恋人同士になれなくていいんだ。キリトさんは自分には永久に届かない場所でもいい。」

シリカ「キリトさんとアスナさんが幸せなら、あたしも幸せなの。」

巨人「本当にそれでいいのか?」

シリカ「それでいいの。」

シリカ「でもいつかはキリトさんにあたしの想い伝えたいけどね。」

シリカ「それであたし、誰かに憎まれるかもしれない。みんなに愛されなくなるかもしれない。嫌われるかもしれない。」

シリカ「そしたら笑えなくなるかもしれない。めそめそ泣くかもしれない。」

シリカ「でもそれでいい。それでいいんだ。」

巨人「くどい」

そしてあたしは巨人と真っ向勝負をした。

シリカ「わー!」

しかしあたしが限界までソードスキルの能力を高めて戦っても、この巨人に勝てるわけがなかった。
次々と巨人の攻撃に苦しめられる。

シリカ「あつい!」

シリカ「わかってるよ。あたしがいくらバカでも、人間が巨人に勝てないことくらいわかるんだよ。」

巨人「ならばなぜ、無理をする、無茶をする、無駄をする?」

シリカ「だってあたしだって死にたくないし、アスナさんを死なせたくないもん。」

あたしは完全に巨人にうちのめされた。

巨人「弱い生き物だな。もう決着か。そんなもんか、人間の女は。」

巨人「まあいい、よかろう、そんなに明日奈って女を殺させないんだったら、お前を[ピーーー]。」

巨人「お前がしねば全て解決だしな。」

巨人「さあ死刑執行の時間だ。今からお前をあの世に、地獄に送ってやる。」

巨人「そのトカゲも一緒にな」

シリカ「あーあ、あたしやっぱり死ぬんだな。戦う前から死ぬこと覚悟してたけど。」

シリカ「命懸けで戦って、あたしにできたことはせいぜい女の子を1人救って、自分がたった1分生きながらえることが精一杯だったなんて。」

「だから言っただろ。無理なのだ、無茶なのだ、無駄なのだ。」

シリカ「その通りだよ。」

バギー「最期に何か言い残すことはあるか?」

シリカ「言い残すことは、全部お母さんとキリトさんへのあの手紙、遺書に書いてきたよ。」

シリカ「言い残したこと・・・。そういえばあたし結局一度もキリトさんに好きって言えなかったな。」

シリカ「あんなに好きだったのに、世界中の誰よりも愛してたのに、嫉妬して、こんな怪物を生み出しちゃうくらい大好きだったのに。」

シリカ「あたし一度もキリトさんに好きだって言えなかった。」

シリカ「まああの手紙に書いたけど、言葉で直接言いたかった。」

シリカ「こんなことになるくらいなら、もっと早くキリトさんにあたしの気持ち伝えておけばよかった。」

シリカ「あたしの人生って何だったんだろう。あっという間の15年だったよ。」

バギー「そこだよ。たとえ50年生きた人も、100年生きた人も、死ぬ間際には誰だって、自分の一生なんてあっという間だったって思うんだよ。」

バギー「まあ、来世があることを信じるより他はないんだな。」

バギー「お前はもし来世に生まれ変われるなら、何になりたいんだ?」

シリカ「何でもいいよ。普通の生活が送れるなら。」

シリカ「あたし小学校の頃、いじめにあってたの。学校にも行くのも辛くなったこともあった。」

シリカ「そしたらSAO事件に巻き込まれて、2年間もゲームの中で過ごした。」

シリカ「それでも頑張って、ピナと出会えて、キリトさんっていう憧れの人と出会えて、友達もいっぱいできて、やっと楽しい生活が送れてたのに。」

シリカ「今度は巨人のモンスターに殺されるなんて、本当ついてないよ。」グスッ

シリカ「まあ最後にピナと一緒にしねて、それだけは幸せだった。」

・・・
手紙の内容

お父さん、お母さんへ。

お父さん、お母さん、さようなら。
この手紙を読んでるということは、あたしはもう死んでいるでしょう。
もうお父さんお母さんとはお別れ、あたしはあの世に行ってしまってます、
もう一度会いたい。もっとお父さんとお母さんと一緒に暮らしたかった。
許してもらえるのなら手が一本、足が一本もげても、一緒に暮らしたい。
でももうそれはできません。

家の火事のことについて書いておきます。
信じてもらえないかもしれないけど、あれは巨人型のモンスターがやりました。
そのモンスターはあたしが生み出したものなのであたしが家を燃やしたようなもんです。
そしてあたしはそのモンスターに殺されました。家を燃やした報いだから仕方ないです。
だからあたしは自分の命でこの罪を償います。

あたしはお父さんとお母さんの子供でよかった。
今まで照れくさくて言えなかったけど、最期にここで言います。
あたしを産んでくれてありがとう。

もし生まれ変われるならもう一度お父さんとお母さんの子供に・・・、と思ったけど、
あたしは生まれ変わってももう人間にはなりたくありません。
人間なんて嫌だ、犬や猫とか、牛か馬のほうがいい。
いや、動物じゃまた人間に酷い目にあわされる。
いっそのこと、誰も知らない深い深い海の貝にでも、そうだ貝がいい。

深い海の底の貝だったら、戦争もない、デスゲームに閉じ込められることもない、
お父さんとお母さんに心配をかけることもない。
どうしても生まれ変わらなければいけないのなら、私は貝になりたい。

・・・
キリトさんへ

キリトさん、さようなら。
この手紙を読んでるということは、あたしはもう死んでいるでしょう。
友達ともお別れ、遠い遠いところへ行ってしまいます。

あたしの家と森林公園の滑り台の火事のことについて書いていきます。
信じてもらえないかもしれないけど、あれは巨人型のモンスターがやりました。
そのモンスターはあたしが生み出したものなのであたしが家を燃やしたようなもんです。
そしてあたしはそのモンスターに殺されました。
あたしがしねば全部解決するのです。だからあたしは自分の命をもって世界を救います。
どうせあたしが死んだって誰も悲しまない。
でもキリトさんには大切な妹さんも、アスナさんという永遠のパートナーがいるのですから絶対に生き延びて下さい。

SAOで助けてくれてありがとうございました。
あたしはキリトさんと出会えて本当によかったです。
あたしはキリトさんのことが好きです。できればキリトさんのお嫁さんになりたかった。
せめて最期にキリトさんに頭をなでてほしかった。
それはできなかったけど、寂しくないといえば嘘になるけど、キリトさんと一緒にいて楽しかったです。
あとは空の上からキリトさんを見守っています。
キリトさんは、どうかアスナさんと幸せになって下さい。キリトさんが幸せならあたしも幸せですから。

死ぬという言い方がよくないかもしれません。あたしは帰るんですよ。いなくなりますけど、いなかったことになるわけではありません。
どうかあたしのことを忘れないで下さい。
離れていてもずっと一緒で、心の中の思い出は消えないし、いつでもあたしはそばにいると思って下さい。
あたしたちの絆は永遠に消えないです。
もしいつかキリトさんがとても悲しくて泣きたくなったときはあたしのことを思い出して下さい。

たった15年しか生きられなかったけど、キリトさんやアスナさんやリズさんたちと楽しく過ごした間は、あたしの15年を十分に埋め合わせてくれました。
だからもういいんです。ありがとうございました。
さようなら。大好きでしたよ、キリトさん。

もし生まれ変われるならもう一度キリトさんと会いたい・・・、と思ったけど、
あたしは生まれ変わってももう人間にはなりたくありません。
人間なんて嫌だ、犬や猫とか、牛か馬のほうがいい。
いや、動物じゃまた人間に酷い目にあわされる。
いっそのこと、誰も知らない深い深い海の貝にでも、そうだ貝がいい。

深い海の底の貝だったら、戦争もない、デスゲームに閉じ込められることもない、
お父さんとお母さんや友達に心配をかけることもない。
どうしても生まれ変わらなければいけないのなら、私は貝になりたい。

・・・
シリカ「無理だった。無茶だった。無駄だった・・・。」

シリカ「さようなら、お父さん、お母さん。」

シリカ「さようなら。キリトさん。友達のみんな。」

キリト「お前のそのふざけた考えを、この俺がぶち壊す!」

シリカ「・・・! この声は・・・」

その人はあたしを殺そうとしてる巨人を剣で切った。

キリト「助けに来たぞ、シリカ。」

キリト「君の頑張りは決して無駄じゃなかったよ。」

キリト「君が命懸けで頑張って、たった1分生きながらえてくれなかったら、俺は間に合わなかった。」

キリト「そして女の子1人を助けてくれなかったら、そして生きながらえてくれなかったら、俺は大切な友達を2人も失っていたところだった。」

キリト「そしたら俺はきっと、泣いてたぜ。」

シリカ(キリトさん!)

シリカ(惚れちゃう。とてもとても惚れちゃう。いやもう惚れてるけど。さらに惚れちゃう。)

シリカ(どうしてだろう?せいぜい1週間ぶりのはずなのに、まるで100年ぶりに会った気分だよ。)

シリカ「キリトさん、どうしてここにいるんですか?ずっとこの街を離れてたんじゃ」

キリト「君がピンチなんだ。どこにいたって俺が駆けつけないわけがないだろうが。」

キリト「俺宛ての手紙読んだぞ。あれを読んで言いたいことが山ほどあるが、今はそれは後だ。」

キリト「巨人を倒そう。俺と2人なら倒せるだろ。」

シリカ「はい。」

キリト「何度も泣いて、傷だらけになりながら戦ってきた今日のシリカの頑張りを、俺が絶対に無駄にしない。無駄にしてやるもんか。」

キリトさんと再会したあたしはまるで今までの弱さが嘘のように、巨人とバギーを一撃で倒した。

キリト「見事だったな。シリカ。」

シリカ「キリトさんのおかげですよ。」

キリト「あの手紙のことだが」

キリト「ダメじゃないか、貝になりたいだなんて言っちゃ。生まれ変わってもシリカはシリカでいてほしいぞ。」

キリト「そして自分がしねば全部解決するだ?自分が死んでも誰も悲しまないだ?」

キリト「冗談じゃない!シリカが死んだら、俺が泣くぞ。」

キリト「俺だけじゃない。アスナも、リズも、スグも、みんな悲しむぞ。君の両親だって悲しむぞ。」

キリト「戦う前から生きることを諦めるんじゃない。前の君は、生きることを諦めなかったからSAOを生き抜くことができたんだろ。」

キリト「二度と自分がしねばいいなんて言うなよ。君が死ぬことを望んでる者など誰もいない。」

シリカ「はい。ごめんなさい。」

キリト「まあ、全てを背負い込んじゃって、そんなことを思わせるほど、精神的に追い詰められていたのはわかる。」

キリト「俺がそばにいてやれば、こんな思いをすることもなかったんだろうな。」

キリト「ごめんな。シリカ。」

シリカ「いいんです。むしろ、また助けてくれてありがとうございました。」

キリト「俺はもし生まれ変わっても、またみんなに会いたい。」

キリト「もしシリカが生まれ変わってどんな奴になってもシリカでいてほしい。」

キリト「まあ辺に甘やかしたりはしないさ。」

キリト「悪いことをしたら怒ってやる。ときには厳しく接してやる。恨まれたらかばってやる。」

キリト「君が一人ぼっちになったときは俺が駆けつけてやる。」

キリト「神や悪魔になったってまた友達になってやってもいい。君が世界中を敵に回しても、俺は味方になってやる。」

キリト「悲しいことがあったら俺が相談にのってやるし、泣いたら慰めてやる。」

キリト「手紙に書いてあったな。頭をなでてほしいって。」

キリト「今日はシリカが頑張ってアスナを守ってくれたし、褒めてやるよ。」

キリトさんに撫でてもらって、今あたしは最高に幸せ。
ずっとあたしはキリトさんに撫でてほしかった。

そうだ。今まで言えなかったこと。
今しかない。
キリトさんにあたしの気持ちを伝えよう。

シリカ「キリトさんに言いたいことがあります」

キリト「何?」

シリカ「あたしはキリトさんのことが好きです。あなたのことが大好きです。」

シリカ「あたしと付き合って下さい。」

キリト「・・・」

やっと言えた

キリト「そうか。すごい嬉しいよ。俺もシリカのこと好きだから。」

キリト「でもごめん。俺、もっと好きな子がいるから。」

シリカ「そうだよね。知ってる。」

シリカ「その人のこと、あたしよりも好き?」

キリト「うん」

シリカ「ならその人のこと幸せにしてあげて下さい。」

キリト「わかったよ。」

あたしはピナを抱いた

シリカ「ピナ、ちゃんと巨人倒せたよ。キリトさんと一緒にだけど。」

シリカ「あたしフラれちゃった。でもちゃんとキリトさんに想い伝えられたよ。」

やっと告白できた。やっと答えをもらえた。
あたしはフラれた。これでいいんだ。
キリトさんとアスナさんが幸せにならあたしも幸せ。

シリカ「う・・・うえ~ん」

でもやっぱりとても悲しい。涙が止まらなかった。声をあげて泣いた。
告白してフラれて泣く。ものすごく恥ずかしいことかもしれないけど。

・・・
それから1週間後、借家が見つかって住み始めた。

あたしは失恋してしばらく泣き続けてたけど、新しい本を読んだりして立ち直れた。
まあほとんどBLものなんだけど。

・・・
2028年7月7日 夜

シリカ「アスナさん、こんな大事なパーティーに呼んでくれてありがとうございます。」

リズベット「でもアスナ、今日はご両親と家族水入らずのほうがいいんじゃ・・・」

アスナ「いいのよ。お父さんお母さんとは後でゆっくり話すわ。」

シリカ「明日はアスナさんとキリトさんにとって人生最大の大切な日ですからね。」

アスナ「そうね。キリト君もいまごろ男友達とその前夜祭を楽しんでるのかな。」

この日、あたしはあの出来事を思い出しながら話した。

リズベット「あたしとキリトが街を離れてるあいだ、そんなことがあったんだ。大変だったね。」

シリカ「いいえ、キリトさんのおかげで何事もなかったですよ。」

シリカ「事件といったら、キリトさんが巻き込まれてたものの方がよっぽど事件だったかと。」

リズベット「そういえばキリトは今日はあのときの秋の大冒険について話すって言ってた。」

アスナ「ああ、私はキリト君から聞いたけど、シリカちゃんは聞いたっけ?」

シリカ「第1章と第2章は直葉さんから、第3章はリズさんから聞きました。」

シリカ「リズさんも大変でしたね。」

リズべット「まあこれくらい、軽いってもんよ。」

第1部終わり

第2部 海底鬼岩城
第4話 ボーイズ&バギー

2028年7月6日 木曜日

キリト「もうすぐオリンピックだな。」

エギル「俺たちが夏のオリンピックを見るのは、地元東京でやった2020年以来8年ぶりか。」

キリト「2024年のオリンピックってどこでやって誰がメダル取ったかも知らない。当時はSAOの中だったからな。」

ユイ「私はオリンピックというのがどういうのかよくわからないですけど」

クライン「8年前の東京オリンピックは盛り上がったな。あのときの熱狂、そしてメダルラッシュはすごかった。読者へのネタバレになるので結果の詳細は言えないけど。」

エギル「ていうかこのSSを書いてる時点では未来の出来事なんだから結果は書きようがないだろ。」

キリト「エギルにはまだ話してなかったな。」

キリト「3年前、俺が街を離れていたときの話。」

エギル「そうだな。」

クライン「俺も前半の詳細は聞かされてないな」

キリト「いろいろ大変だったんだぞ。」

キリト「今日はそのときの話をしようと思う。」

キリト「俺とアスナの大切な日を前に、ぜひ話しておきたい。」

エギル「それは聞かせてくれ。」

キリト「それでは聞かせてあげよう。2025年、俺の秋の大冒険の話を。」

・・・
2025年10月31日金曜日

季節は秋、時系列でいうとファントム・バレット編の前の話だ。

俺が直葉と歩いているとある人に出会った。

新三郎「君はバギー道というものに興味はないか?」

キリト「ん?」

新三郎「私の名前は結城新三郎という。」

キリト「俺は桐ヶ谷和人です。」

新三郎「私は桐ヶ谷直葉です。」

新三郎「いい名前だな。君たち、バギー道をやってみないか?」

リーファ「バギー道ってなんですか?」

新三郎「戦車道のバギー版だ。」

キリト「戦車道って、あの乙女のたしなみのですか?」

新三郎「そうだ。」

キリト「俺は男だし、戦車道なんてやりません。直葉ならともかく。」

リーファ「私は剣道をやってるんだから、戦車道なんて興味ないです。」

キリト「ということで他の人をあたってくれませんか?」

新三郎「戦車道ではない。バギー道だ。」

キリト「似たようなもんなんでしょ?戦車道のバギー版なんだから。」

新三郎「戦車道よりも遥かに面白いぞ。」

新三郎「君がやってたソードアート・オンラインの10倍楽しい冒険を味わえるんだ。」

キリト「じゃあそのバギー道ってどんなことをやるんですか?」

新三郎「水中バギーに乗って海底の山に行ってほしいんだ。」

キリト「海底の山?」

新三郎「海底には陸上よりよっぽど高い山があるんだ。」

新三郎「その山でバギーに乗って戦ってもらう。」

キリト「でも海底は真っ暗で、すごい水圧じゃないですか。」

新三郎「その辺は私が考えている。」

新三郎「明るくて、さわやかで、楽しくで、時間を経つのも忘れるような大冒険を保証する。」

キリト「でも俺学校がありますし」

新三郎「それも私がなんとかする。両親にも私から話をつけておく。」

リーファ「それじゃあ行こうよ、お兄ちゃん。」

とある港

キリト「バギーって、海底をこんなチャチな車で大丈夫か?」

バギー「チャチとはなんだ!」

キリト「喋った!」

新三郎「優秀コンピューターが内臓されている。このバギーは私の分身のようなものだ。」

新三郎「このテキオー灯を浴びせれば海底でも宇宙でもどこでも住める」

新三郎「他にもいろいろ道具を持っていてくれ。24時間でテキオー灯の効き目が切れるから注意するように。」

新三郎「それでは出発しよう」

新三郎「ちなみに私は日本で君たちを見守っている。」

キリト「一緒に来てくれないんですか。」

新三郎「大丈夫だ。いつでも指令を出せるようにしてるからね。」

まずは拠点とする無人島に向かう。

リーファ「綺麗な島だね。」

キリト「誰も住んでないのか?」

キリト「おーい、すいません。」

ゴソゴソ

リーファ「お兄ちゃん、何の音?」

キリト「う・・・」

鳥が1羽飛んでいった

キリト「なんだ鳥か。」

リーファ「お兄ちゃん怖かった?」

キリト「スグこそ怖がってたじゃないか。」

キリト「人がいないってことは家もないんだな。」

キリト「食べ物はどうするんだ?」

直葉「椰子の実がある。美味しそう。」

キリト「高くて取れないよ。それに危ないかもしれない。」

キリト「水は新三郎さんからもらったもぐら手袋で、穴を掘ると水が沸く。」

リーファ「って出ないじゃない」

キリト「出ない」

キリト「出た!」

リーファ「・・・しょっぱい!」

キリト「海水だった!」

地上に出て

チョロチョロ

ザー

キリト「雨だ」

キリト「傘がある」

ザー

キリト「なんだ、どうなってるんだこの傘」

リーファ「傘の下に雨が降る傘なんて・・・」

キリト「びしょびしょだ」

リーファ「ブラが透けちゃった」

リーファ「お兄ちゃん見ないで!」

キリト「妹の下着なんか見たくねえよ」

キリト「あ、そうだ!」

キリト「この傘を使えば水が出せるんだ!」

キリト「水の心配はなくなったな。」

他にもひみつ道具があるぞ。

キリト「これはなんだ?」

それはアンテナが生えた不思議な道具だった。

キリト「なんだこれ。役にたたないな。」

その日は無人島の中にある洞窟で寝ることになった。

翌日 2025年11月1日土曜日

新三郎「和人君、直葉ちゃん、聞こえるか?」

キリト「聞こえます。」

新三郎「これから海底に向かってほしい」

キリト「例の海底の山ですか。」

出発する前に、母とアスナやその他フレンド登録のメンバーに俺の無事を知らせるメールを送っておく。

「しばらく帰れない。心配すれな」

リーファ「お兄ちゃん」

キリト「なんだ?スグ」

リーファ「送信されたあとで言うのもなんなんだけど、アスナさんたちに送ったメール、文面が心配すれな、になっていたよ。」

キリト「本当に送信されたあとで言うのもなんだよ!」

そのあと、バギーで時速800キロ、飛行機よりも早いスピードで進む。

キリト「な、なんだあのでかい魚は。」

そこにいたのはバトルフィッシュ

リーファ「怖い・・・」

新三郎「和人君、直葉ちゃん、この映像を見てほしい。」

キリト「何?」

・・・
海底人A「神よ!ついにこの世の終わりがきました。」

海底人A「鬼岩城が活動を始めたんだ。」

海底人A「今から2~3日後に、大西洋の海底火山が大噴火の見込みです。」

海底人A「しかもそれが鬼岩城間近の海底火山なのです。」

海底人A「そのとき鬼岩城は7000年の眠りから目覚め、恐るべき基核弾を世界中に雨のように降り注ぐでしょう。」

海底人A「海原の神よ。我々にはもう防ぐ手立てがありません。」

海底人B「首相、何かのなすべきではありませんか。」

海底人B「鬼岩城にもぐりこみ、ポセイドンを破壊するとか。」

海底人A「不可能だ。みんなもわかっていると思うが。」

海底人「永遠の闇に閉ざされ、死の壁に囲まれ、死の軍団に守られた死の国。」

海底人「その奥に潜むというポセイドンを倒すため7000年の間に何千年の勇士が鬼岩城に忍び込み。そしてむなしく死んでいった。」

海底人「我々にできることはただ1つ、神に祈るだけだ。」

・・・
新三郎「君の剣の力と、私の道具の力で地球を救ってほしい。」

新三郎「そのために君を呼んだ」

キリト「地球を救う?」

キリト「そんなすごいことを任されたのか俺たちは」

新三郎「とんでもない冒険をさせることになってすまないと思ってる」

キリト「全然楽しい冒険じゃないじゃん。」

キリト「まあ地球が滅びたら俺たちもおしまいなんだから。」

新三郎「それともう1人救ってほしい人がいる」

キリト「誰?」

新三郎「かつて君がソードアート・オンラインのゲーム内で知り合った子だ」

海底

そこにいた人とは

キリト「サチ・・・」

キリト「君、生きてたのか!」

サチ「ゲーム内で死んだ後、海底の国で生まれ変わったの。」

キリト「そうだったのか。」

キリト「会えてよかった。君を死なせたことを何度後悔したことか・・・」

サチ「泣いてる?」

キリト「ただの汗だ」

リーファ「もう1人は・・・」

優花里「初めまして。秋山優花里です。」

優花里「新三郎さんのお願いでここに来ました」

リーファ「あたしたちと同じだね。」

優花里「新三郎さんは私の友達の優秀な奉公人ですから信用していいと思います。」

優花里「実は私は大洗女子学園で戦車道全国大会優勝を達成しまして、戦車道には誰よりも自信があります。」

キリト「戦車道全国優勝か。すごいな。でも今回は戦車道じゃなくてバギー道だぞ。」

優花里「戦車道と似たようなもんですよ。」

サチ「それより、鬼岩城のことなんだけど」

キリト「鬼岩城?よくわからないけど新三郎さんのビデオでちょっと聞いた」

キリト「地球を救ってほしいとか」

サチ「私からも話すね」

サチ「今から何千年もの昔、海底では海底人が文明社会を築いていた。」

サチ「海底には何百という国が散らばっていたが、それらは既に大きな連邦に属していた。」

サチ「太平洋にムー、大西洋にアトランティスよ。」

キリト「アトランティスって海に沈んで滅びた国だよな」

サチ「それはただの伝説。アトランティスは元々海底の国だった。」

サチ「2つの連邦は軍隊を増やし、新兵器の開発を急いだの。」

サチ「そしてついにアトランティスは基核弾を作り出した。」

サチ「陸上でいうと核兵器のようなものよ。」

サチ「そしてムーに降伏しなければ基核弾で太平洋を焼きつくすと言うんだ。」

サチ「ただの脅しではない。無数の基核弾はボタン1つで世界中を破壊できるよう配備されていたの。」

優花里「おかしいですよそれは。大西洋も無事ですまない。」

サチ「もちろん彼らはちゃんと手を打っていた。」

サチ「アトランティスの周囲はバリアで囲み、目に見えず、触れることも出来ないが、海底から空まで伸びている。」

サチ「それにこの壁は絶対放射能を通さない。」

サチ「そしてそれが災いしてその後、アトランティスは滅びてしまった。」

リーファ「え?どうして?」

サチ「核実験に失敗して、国中に放射能が広がった。」

サチ「バリアのおかげで、外の世界は無事だった。」

キリト「それはよかった。」

サチ「ところが国は滅びたが基核弾とポセイドンは残ってしまった。。」

リーファ「ポセイドン?」

サチ「敵から攻撃を受けたらすぐ仕返しをする自動報復システムポセイドンはそのためのコンピューターのことなの。」

キリト「7000年も前にコンピューターがあったの?・

サチ「そうだ。だけどそのコンピューターはそれほど優秀じゃないのよ。だから今・・・」

サチ「バミューダ海域の海底火山が噴火するという。」

サチ「そうすればポセイドンはそれを敵の攻撃と受け取って、反撃するでしょう。」

サチ「だとすれば基核弾は全世界にばら撒かれ、虫一匹草一本残らない、死の世界になるのよ。」

キリト「何がなんでもやるしかない」

サチ「私、この戦いが終わったら地上に帰ろうと思うの。」

サチ「ポセイドンを倒したら地上に帰っていいってことになって。」

キリト「わかった。一緒に帰ろう。」

その日はサチの手料理をご馳走になった。

リーファ「サチさん、すごく美味しいです。」

キリト「サチ、こんなに料理できたんだ。」

サチ「優花里ちゃんがいろいろ食材をもってきてくれたおかげでもあるのよ」

優花里「ひみつ道具もいくつか持ってきてるのです」

優花里「四次元ポケットもありますしね」

翌日 2025年11月2日日曜日

巨大な魚、バトルフィッシュがいくつも来る。

キリト「すごい数だったな」

サチ「奴らの領海に近づいたからよ。」

リーファ「あれもポセイドンの操縦なの?」

サチ「いや、敵を探し、攻撃するだけの機能をもったロボットよ。」

サチ「国が滅び、7000年経った今でも海中をさまよっているの。」

バギーで海底を進み、アトランティスに向かう。

サチ「みんなあれを見て」

サチ「あの闇の中こそ、テキオー灯の力も及ばない、暗黒の世界、アトランティス。」

キリト「魔の三角地帯、空まで伸びていたというバリアがあそこに。」

優花里「その威力を試してみましょう。」

優花里が赤い魚型の模型をバリアの中に入れる

キリト「ちょっと、やめたほうが・・・」

優花里「見えなくなった」

サチ「そろそろバリアにかかるよ」

そしてものすごい勢いで雷のようなものが降り注いだ

リーファ「わー」

サチ「来た!バトルフィッシュよ!」

優花里「ついにこのカメレオン帽子が役に立つときが来たのです!」

優花里「早く中に入って!」

キリト「どうなるの?」

優花里「このスイッチを押す!」

優花里「カバーが地面そっくりになって、その下に超空間ができる。」

キリト「天井が・・・」

リーファ「バトルフィッシュがいる」

優花里「大丈夫。マジックミラーのようなものです。外からはただの岩にしか見えない。」

優花里「鬼岩城目指して出発前進!さあみんな歩いて下さい。」

キリト「歩くとどうなるんだ?」

キリト「私たちが進むとこの超空間も進むのです。それにつれてカバーも変形していくのです。」

キリト「バリアに近づいてきた。」

リーファ「無事に通過できるかな」

サチ「もしバリアが地底まで伸びていたら・・・」

優花里「渡したちが触れたとたん、大爆発です。」

キリト「神に祈るしかない」

4人「やったー!」

優花里「どうにかアトランティス潜入は成功したのです」

キリト「ポセイドンの神殿はどこにあるんだ?」

サチ「わからないの」

キリト・リーファ「え?」

キリト「それじゃ困るよ」

サチ「神殿を見て、生きて帰った者はいないのよ。」

リーファ「じゃあどうやって探すの?」

キrチオ「まさか歩いて探し回るわけじゃないよな?」

サチ「そのまさかしか方法はない」

キリト「冗談じゃない。バミューダトライアングルの面積は日本の倍以上もあるんだ。」

リーファ「そうだ。バギーちゃんがいるわ。」

サチ「それはまずい。エンジンの音ですぐ鉄騎隊が駆けつけてくる。」

キリト「鉄騎隊?なんだそれ?」

サチ「神殿を守るロボット騎士団のことよ。神殿にたどりつくまで、戦いはなんとか避けたいの。」

優花里「歩くしかなさそうですね。」

優花里「もうダメ・・・」

キリト「無茶なんだよ。当てもなく歩くなんて。」

サチ「まずい。噴火が近い。バギーに乗ろう。」

サチ「誰もいないみたいです。」

優花里「すごい景色」

リーファ「怖いわ」

キリト「地獄があるならきっとこんな感じだな」

キリト「あれは?」

キリト「そうか。バリアに引っかかって墜落したんだな。」

優花里「まるで船と飛行機の墓場です。」

キリト「魔のトライアングルの犠牲者はここで沈められていたんだ。」

キリト「あ、あれは?」

サチ「アトランティスの遺跡よ」

サチ「7000年前はこの辺りが大都会だった」

リーファ「ということは鬼岩城はこの毒はないということね」

キリト「なんだあの光は?」

サチ「もしかしたらあの辺りに鬼岩城があるかもしれない」

優花里「行ってみよう」

サチ「鬼岩城じゃない!鉄騎隊よ!こっちに向かってくる!」

優花里「カメレオン帽子で!」

優花里はカメレオン帽子を上に投げて、バギーの上に覆いかぶせる。

キリト「見つかった?」

優花里「そんなことは絶対ないはずです」

優花里「よし、今のうちにそっとこの場から移動です」

リーファ「やっぱり見つかってる?」

キリト「彼らは音に敏感なんだ。」

優花里「じゃあこのモグラロボットを囮にして」

鉄騎隊がモグラを攻撃する

優花里「やっぱり」

優花里「これで神殿の方角がわかった。彼らの帰っていったほうにまっすぐ進めばいいのです」

バギーでさらに進む

キリト「神殿なんてないね」

サチ「もしかしてもう通過しちゃった」

優花里「そんなはずはないよ。4人がこれだけ注意深く見守っていたのに」

遠くからすごい音が

サチ「神よ!海原の神よ!世界の滅亡は目前なのです」

サチ「どうか私たちに力を!」

リーファ「確実に神殿を探す方法があるよ」

サチ「どうするの?」

リーファ「一人だけわざと捕まるのよ。きっと神殿に連れて行かれるから、その後をつけて入り込む。」

キリト「なるほど。危険だがいい思い付きだ。」

キリト「それなら男の俺がやる。」

リーファ「考えたのはあたしだからあたしにやらせて。」

リーファ「女の子の方が相手も油断すると思うの。その代わりなるべく早く助けに来てね。」


おもちゃの兵隊をもってリーファが出てくる

キリト「こりゃ確実に見つかるな。」

優花里「様子がおかしかったらすかさず飛び出すのです。」

鉄騎隊が向かってきた。攻撃しようとするが。

ポセイドン「殺してはならん。神殿へ連れてくるのだ。」

ポセイドン「開戦の儀式に生贄としてささげるのだ。」

サチ「あれはポセイドンよ。」

そうして 連れていかれた。

キリト「よし今だ。後を追おう。」

サチ「あの崖の向こう側に入ったよ。」

キリト「そこに何かありそうだ。」

優花里「急ぐのです。」

サチ「あ、これが鬼岩城!」

キリト「やっと鬼岩城にたどりついた。」

サチ「あそこが入口だ。早くリーファちゃんを助けるのよ。」

キリト「そしてポセイドンを破壊するんだ。」

サチ「みんな、これ一個でいい。誰かがポセイドンの前までたどりつき、この爆弾を投げることができれば世界は救われる。」

優花里「ならばバギーでポセイドンを破壊するのです。」

キリト「早いとこやっちゃおう」

俺がショットガンで門番の鉄騎隊を打った

キリト「俺のショックガンが命中した」

キリト「それー」

キリト「さあ中に入るぞ」

優花里「すごい。これがポセイドン?」

サチ「いや違う。全てを動かすエネルギー装置よ。」

サチ「ポセイドンは一番奥のほうにいると思う。」

キリト「よし。行こう。」

ここでバギーに乗る

優花里「バギー・フォー!」

キリト「しまった。見つかった!」

サチ「覚悟の上よ。みんな一丸となってがむしゃらに突っ走って!」

キリト「よし!それー」

鉄騎隊が前から来る

キリト「来たな!」

キリト「ショックガンで!」

鉄騎隊をショックガンとバギーの弾丸で打ちまくった

ポセイドン「おろかなムーのものどもめ。身の程知らずにも、アトランティスに忍び込み、滅びの火を招くとは。」

リーファ「違うんです。誰もアトランティスなんか攻めてません。」

リーファ「アトランティスは7000年も昔滅びたんです。」

ポセイドン「黙れ!我こそは復讐の神ポセイドン。人間の言葉に騙されたりせんぞ。」

ポセイドン「俺にはわかるのだ。まもなくアトランティスの大地はさけ、火の海に包まれ滅びるであろう。」

リーファ「だからそれは海底火山が・・・」

ポセイドン「黙れ黙れ!今こそ怒りのときが来たのだ。」

ポセイドン「基核弾は世界のすみずみまで降り注ぎ、地球は死の星と化すのだ。」

リーファ「このわからずや!そんなことさせないわ!あんたを爆破してやる!」

ポセイドン「ハハハハハ」

ポセイドン「外にいる子ネズミ共を当てにしておるのか?見るがよい」

・・・
優花里「みんなどこー。バラバラになっちゃった・・・。」

優花里「ショックガンがエネルギー切れだ」

優花里「弾丸ももう限界」

・・
リーファ「みんなつかまっちゃったの?」

ポセイドン「いよいよ時が来た。世界中の愚かな人間どもに神の怒りを示して、その前にお前を生贄にする。」

リーファ「もうあたし終わりなんだ。お兄ちゃんともっと一緒にいたかったな・・・」(ポロリ)

「待て!ポセイドン」

ポセイドン「誰の声だ?」

リーファ「もうおしまいなのね。何もかも終わり。草も木も残らない、死の世界になっちゃうのね・・・。」(ポロリ)

キリト「助けに来たぞ、直葉。」

リーファ「お兄ちゃん!」

キリト「お前のそのふざけた考えを、この俺がぶち壊す!」

爆弾をポセイドンに投げた

キリト「ポセイドンが爆発するぞ!逃げろ!」

キリト「やったぞ!」

ポセイドンは破壊され、アトランティスは本当に滅びた。

これで地球は救われたのだった。・・・はずだった。


海底人「勇敢なる 人の少年少女たちの功績を我々は永久に語り継ぎ、たたえ続けようではありませんか。」

2025年 11月3日月曜日

こうして俺たちはサチとともに無人島に戻ってきた。

キリト「大変な冒険だったけど、なんだかんだで楽しかったな。」

リーファ「これでサチさんも地上に帰れるね。」

優花里「それにしても和人さん大活躍でしたね」

キリト「俺は大して活躍なんてしてないよ。バギーが頑張ってくれたんだ。」

サチ「あ!」

キリト「どうした?」

サチ「この島に魔獣がいる!」

キリト「魔獣?」

サチ「今まで黙ってたけど、実は私魔法少女なの。」

サチ「SAOのゲーム内で死んだとき、死に際にキュゥべえって生き物に助けられて、キュゥべえと契約して魔法少女になったの。」

サチ「私はこの魔獣を倒すことが使命なの」

サチ「で、これが魔法少女の証、ソウルジェム。」

サチ「キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ」

優花里「魔法少女がなんで海底にいるんですか?」

サチ「なんかわからないけど海底に派遣されたのよね。海底にも魔獣が出るからって。」

リーファ「で、今回は無人島に魔獣が出現したってことなの?」

サチ「でもどこにいるのかわからないの。このソウルジェムの反応を見る限りすぐ近くにいることは確かなんだけど。」

サチ「あ!」

サチ「あのバギー」

サチ「このバギーが魔獣よ!」

キリト「なんだって!」

キリト「今まで俺たちと一緒に戦ってくれたバギーが魔獣だと?」

サチ「退治するしかないわ。」

リーファ「バギーを退治したら、私たちどうやって帰るの?」

サチ「でも退治しないと私たちみんな死んじゃうのよ」

優花里「それは心配なく。確か新三郎氏から別のリトル水中バギーを用意してあります。ただ・・・」

キリト「ただ?」

優花里「エネルギーがあまり長持ちしないのと、3人乗りということです。」

キリト「3人乗り?じゃあ1人は・・・」

サチ「とにかくまず魔獣を倒すしかないわ」

そうしてバギーの魔獣と戦うサチ
そして・・・

サチ「ティロ・フィナーレ!」

そしてサチは魔獣を撃破した

サチ「けっこう弱い魔獣だったから簡単に勝てたわ」

キリト「でも帰りどうするんだ。」

優花里「このリトル水中バギーがあります。でも3人乗りなんです。」

キリト「3人乗り・・・」

サチ「私は残ります。地上に帰るのはあきらめて、海底に残ります。」

リーファ「そんな。せっかく地上に帰れることになったのに。」

サチ「いいんです。私は海底に生まれ変わったのですから。」

キリト「いや、俺が残る。」

リーファ「なんで?私お兄ちゃんと離れたくない!」

キリト「女の子を1人置き去りにすることなんてできるか!」

キリト「俺は大丈夫だ。」

サチ「いや、キリト君が1人で残るのは危険よ。もしまた魔獣が出現したら、魔法少女じゃないキリト君には太刀打ちできない。」

サチ「直葉さんと優花里さんで帰って下さい。」

サチ「私とキリト君は待ってますので。」

優花里「わかった。きっと助けにくるから。」

リーファ「じゃあそのときまで、ほんのちょっとだけお別れだね。」

リーファ「お兄ちゃん・・・」(グス)

キリト「お前が泣いたら意味ないだろ。俺まで泣きたくなってくる・・・」

優花里「さあ、出発ですよ。」

リーファ「じゃあまたね」

第5話に続く

第5話 無人島生活記

2025年11月3日

バギー

優花里「しかし無人島に男と女が2人きりって、なんか危ないですね。」

リーファ「今更・・・」

リーファ「まあ大丈夫だよ。お兄ちゃんなら。それに相手は魔法少女なんだし。」

・・・
ポセイドンを倒したあよ、魔獣と化かしたバギーを退治し、代わりのバギーの乗れなかった俺はサチと2人で無人島に残ることになった。

俺の秋の大冒険、第2幕がスタートした。
それは長い長い冒険だった。

サチ「ねえキリト君。」

キリト「何だ?」

サチ「無人島に男の子と女の子が2人きりって、どうなんだろう?」

キリト「君が2人で残るって言ったんだろ!」

キリト「心配しなくても俺は何もしないよ。」

サチ「わかってるわよ。それに私魔法少女よ。」

サチ「もしキリト君が襲ってきたら、魔法で容赦なく・・・」

キリト「それ俺が死ぬって!」

サチ「まあ私は魔法少女としてキリト君を魔獣から守る役目ですから。」

サチ「ねえ、浦島太郎の話知ってる?」

キリト「それくらい知ってるよ。」

サチ「若い男の人が竜宮城に行って、数日過ごしただけで帰ってきたら何百年も経ってて、玉手箱を空けるとお爺さんになっちゃったって話。」

キリト「あれ竜宮城では地上と時間の経ち方が違ってたってことだな。」

サチ「相対性理論は知ってる?」

キリト「よくわかんない。」

サチ「宇宙では地球より時間がゆっくり進む。つまり宇宙に行って帰ってきたら長い年月が経ってたってことがあるの。」

サチ「あれと同じで、あなたが海底や無人島で数日過ごしてる間に元の世界では何年も経ってた、なんてことあったら嫌だなと思って。」

キリト「それは嫌だよ。俺の両親や友達を何年も待たせることになってしまう。」

キリト「故郷に戻ったら街がすっかり変わってしまってる、っていうウラシマ状態って言葉もあるくらいだから、そうならないように早く帰らないとね。」

それからサチと何日も過ごした。
夜は洞窟の中で寝た。

キリト「父さん、母さん、スグ、アスナ・・・」

キリト「なんかまたゲームの中に閉じ込められてる気分だ。」

キリト「アインクラッドにいるときより寂しい」

サチ「そりゃゲームの中では色んな人がいたからね。ここには君と私2人しかいないし。」

サチ「大丈夫。きっと助けにきてくれるわよ。」

サチ「それまで頑張ろう。」

キリト「そうだな。ゲーム内のときと同じく、また女の子に励まされちゃった。」

サチの魔法の力のおかげで、高くて届かなかった椰子の美も食べられたり、
俺が釣りもできたので、食料にはなんとか困らなかった。

何回か魔獣が出てきてサチに守られた。

2025年11月10日
1週間が経った

キリト「もう1週間か。」

キリト「スグ、どうして助けにきてくれないんだろう?」

キリト「もしかしてスグの身に何かあったんじゃ・・・」

サチ「新三郎さんとの連絡も取れないの?」

キリト「うん。あのバギーが通信手段だったからな。」

キリト「連絡先も聞いてない。」

キリト「それに携帯で連絡してもつながらない。」

キリト「メールを送っても返事こない。」

キリト「あ、船だ!」

キリト「おーい、助けて!助けて!おーい!」

キリト「行っちゃうよ!あの船に乗れば助かるのに・・・」

サチ「どうしよう・・・」

キリト「この木の棒で」

木の棒を2つ用意し、それにまたがって海を泳いで行った。

キリト「家に帰るぞ!」

キリト「家についたら・・・何しよう・・・」

キリト「わー」

大きな波がきた

キリト「待って!助けて!」

波に木の棒を奪われた

サチ「わー」

サチ「助けて!」

別の木の棒が流れてきた

キリト「サチ、俺につかまれ!」

そしてなんとか島の岸に戻った

キリト「スグ、いや別の誰かかもしれないけど、きって誰かきてくれる!」

キリト「俺は信じるよ」

2025年12月3日

キリト「まだ来ないなー」

キリト「もう1ヶ月経ったけど・・・」

サチ「明日はきっと来るよ」

2026年5月3日

キリト「半年経ったけど、来ないな・・・」

サチ「明日こそ、来ると思うわ。」


2026年11月3日

キリト「1年・・・」

キリト「まだ来ないな・・・」

キリト「まさか永久に来ないんじゃないかな・・・」

サチ「大丈夫よ。きっと来るわよ。」

2028年11月2日

キリト「3年が経ったか」

キリト「俺は17歳から20歳になってしまったな。」

サチ「元気出して。」

キリト「ありがとう、サチ。」

サチ「あ、魔獣だわ!」

キリト「マジか」

サチ「大丈夫。今回も私が退治するから。」

そしてサチは無事魔獣を倒した。
・・・のだが

キリト「サチ、どうした?」

サチ「私、もう限界みたい・・・。」

キリト「ソウルジェムが濁る・・・」

サチ「魔法少女は、ソウルジェムが濁り切ると、消えちゃうの。」

キリト「消える?」

サチ「円環の理っていうらしいんだけど、魔法少女はこの世に呪いを生み出す前に消え去る。」

サチ「神様によって・・・」

サチ「キリト、本当にありがとう。またあなたと会えて本当に幸せだったよ。」

キリト「嫌だ、サチ、消えないでくれ。」

キリト「一緒に元の世界に帰るって言ったじゃないか。」

キリト「SAOから抜け出して、ポセイドンも倒して、やっともうすぐ帰れるんだぞ!」

サチ「ごめんね。キリト、私の分まで頑張って生きて。」

キリト「ここで死んだら、俺は君を元の世界に帰してやれなかった自分を一生許せなくなる・・・。」

サチ「いいの。私はまたキリトと会えてよかった。」

サチ「大丈夫。消える前に、最後の力を使って君を魔法少女に・・・」

空が光ると、天から何者か、天使のようなものが降りてきたかと思ったら、その天使につれられてサチはいなくなってしまった。

キリト「サチー!」

キリト「うえーん」

俺は大声で泣いた。

3年間、SAOのゲームにいた時間より長い時間をたった2人で助け合ってきた仲間がいなくなってしまった。

いつ来るかわからない助けを待って、残りの時間を1人で生きなければならなくなってしまったのだ。

とはいえサチが最期に遺した魔法の力で、俺に何らかの能力が芽生えた。

その能力で俺は島に泡割れた魔獣を倒した。
そして食事も、さらには小さな家を1つ作ることができた。

それから何年も、俺は無人島で1人で過ごした。


そういえば俺は、サチとの別れ際あの言葉を言っていなかった。
あまりにも突然で、悲しくて言えなかったんだ。

キリト「さようなら、サチ。君と会えて幸せだった。」

2035年11月3日

キリト「10年が経った。サチが死んでからも7年か。」

キリト「生活には困らないけど、1人じゃ寂しくて死にそうだよ。」

キリト「俺、永久に無人島で暮らすことになるのかな・・・」

キリト「きっと来てくれる。きっと誰か助けにきてくれる・・・。」

2055年11月1日

キリト「ついに30年が経った・・・」

キリト「俺、もう47歳か・・・」

キリト「父さんや母さんはどうしてるかな・・・」

キリト「スグはどうしてるかな・・・」

キリト「アスナはどうしてるかな・・・」

キリト「どうなってんだよ!」

キリト「俺がおじさんになったらこのライトノベル終わりじゃないか!」

キリト「俺はどうなるんだろう?」

キリト「こうして年をとって、おじいさんになって、1人寂しく死ぬんだな・・・」

キリト「う・・・」(グス)

キリト「うえーん」

キリト「あ」

ある道具につまづいた。

キリト「いててて」

キリト「これ、30年前に役に立たないって言ってた道具だ・・・」

鳴らしてみた

キリト「あのころが懐かしいな・・・」

キリトの走馬灯が蘇る

キリト「あのころは本当に楽しかったな・・・」

キリト「ゲームに閉じ込められて、海底の国に行って、アトランティスに乗り込んでポセイドンを破壊して地球を救ったても・・・」

キリト「俺、誰にも味わえないような人生を経験したんだな・・・。」

キリト「ゲームの中とはいえ、アスナと結婚したんだっけ。」

キリト「現実世界でも結婚したかったな。」

キリト「ごめんアスナ。俺、君を幸せにしてやれなかった・・・。」

キリト「スグと一緒にいろいろ笑ったり、喧嘩したり・・・」

キリト「今頃アスナやスグもおばさんになってるんだろうな。」

キリト「アスナは別の男と結婚してるかもな・・・」

キリト「父さんと母さんはおじいさんおばあさんになってるんだろうな・・・」

キリト「みんなごめん。俺、酷い息子で、酷い男で・・・。」

「キリトー!」

遠くから誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた

キリト「誰だ?」

キリト「どうせ気のせいだろうな。」

クライン「キリトー!」

そこに来たのはタケコプターをつけたクラインだった。

キリト「クライン!」

クライン「キリト!」

キリト「クライン」

2人抱き合った

キリト「懐かしいよ・・・」

キリト「まさかお前が助けにきてくれるなんて・・・」

キリト「本当にありがとう・・・。」

キリト「でもどうして今頃になって来てくれたの?」

クライン「実はSOS発信機がお前の居場所を教えてくれたんだ。」

クライン「ずっと探してたんだけど、見つからなかったんだ。ごめんな。」

キリト「いいんだよ。俺こそごめんな。」

キリト「ずっと、ずっと信じてたよ。誰かが助けに来てくれることを。」

キリト「でもクライン、30年間もどこで何してたんだって両親に怒られるよ。妹や友達に合わせる顔がない。」

クライン「そうか。この島ではもう30年も経ったのか。」

キリト「この島ではって?ていうかお前30年も経ったっていうのに全く年をとってないな。」

クライン「それはこの島では時間が早く進むからだ。」

キリト「時間が早く進む?」

クライン「浦島太郎の話は知ってるか?」

キリト「ああ、知ってるよ。」

クライン「若い男が竜宮城に行って、数日過ごしただけで帰ってきたら何百年も経ってて、玉手箱を空けるとお爺さんになっちゃったって話。」

クライン「あれ竜宮城では地上と時間の経ち方が違ってたってことだな。」

クライン「相対性理論は知ってる?」

キリト「よくわかんない。」

クライン「宇宙では地球より時間がゆっくり進む。つまり宇宙に行って帰ってきたら長い年月が経ってたってことがあるんだ。」

キリト「なんかこの話30年前にもサチとしたな・・・」

クライン「この島はその浦島太郎や相対性理論の逆なんだ。」

クライン「つまり、お前が30年この島で過ごしてても、元の世界ではそれほど時間は経ってない。」

クライン「30年だと、この島のスピードは元の世界の4000倍ってことになるな。」

キリト「4000倍?ってことはどうなるんだ。」

クライン「なあ、今日の日付は何年の何日だ。」

キリト「俺の時計では、2055年11月1日。」

クライン「そうか。」

クライン「お前はこの島で30年過ごしたが、元の世界ではまだ3日、正確には2日と17時間45分しか経過してない。」

キリト「え?」

クライン「元の世界ではまだ2025年11月3日だ。」

キリト「なんだって!じゃあこのまま帰っても俺は3日しか留守にしてなかったことになるのか!」

クライン「そういうことだ。」

クライン「ただし携帯電話は例外だからな。電話をかけてもこの島でかけた時間そのままにむこうの世界にかかるようになってて、メールはこの島で送られた時間そのままにむこうの世界にも届くようになってる。」

クライン「お前が2055年11月1日に電話をかければ電話がかかるのも2055年11月1日、つまり30年後だ。」

クライン「まあ電話はつながらないことが多いんだけどな。」

キリト「だから電話も出なくてメールの返事も来なかったのか。」

クライン「それから家に帰る前に、お前に3つ頼みがあるんだ。」

クライン「無人島まで迎えにきてやったんだから聞いてくれるよな?」

キリト「頼みを聞かないと家に帰してくれないのか?」

クライン「まあ、そういうことにしておこうか。」

キリト「せっかく助けにきてくれたかと思ったらずいぶん性格悪いな・・・。」

キリト「わかった。なんでも聞くよ。」

クライン「内容も聞かずに受け入れていいのか?」

キリト「どんな頼みごとだろうと聞くよ。」

クライン「そうか。家に帰ることがそんなに大切なのか。」

クライン「わかった。じゃあちゃっちゃと話そう。」

クライン「まず1つ目。無事に家に帰れたら、今俺がやってる仕事を手伝ってもらいたいんだ。」

クライン「また家を離れることになるけどな。」

キリト「わかった。手伝うよ。」

クライン「30年も家に帰れなかった後なのに悪いな。」

クライン「次に2つ目。紹介してほしい人間が2人いる。それもけっこう急いでいる。」

キリト「誰のことだ?」

クライン「篠崎里香。リズベットちゃんと言ったほうがいいかな。それからユイちゃんだ。」

キリト「あいつに何の用なんだ?」

クライン「今里香ちゃんの武器の知識が必要なんだ。ユイちゃんは伝達役にな。」

キリト「もしかして、あいつらも一緒に仕事を手伝わせるってことか?」

クライン「その通りだ。」

キリト「ユイはともかく、リズには許可をとることになるぞ。もしもあいつに断られたら。」

クライン「それでいい。彼女が手伝いたくないというのなら、そこはすぐに引き下がる。」

クライン「もっともキリト、お前の手伝いだけは絶対に必要なんだけどな。」

キリト「わかった。そういうことなら。」

キリト「で3つ目の頼みというのは?」

クライン「いや、3つ目は既にお前が言ったよ。」

クライン「里香ちゃんとユイちゃんにも仕事を手伝うように要請してほしいというのが、3つ目のお願いだった。」

クライン「既にお前は引き受けてくれているから、これでこちらもキリトを助けることができる。」

クライン「クラインお兄さんは安心したよ。よかった。お前の力になれて。」

キリト「そうか。」

クライン「さあこのタケコプターで家に帰ろう。」

2025年11月3日

キリト「でもいくら時間が経ってないからって、俺は30年分年をとってもう47歳になっちゃったんだぞ。」

クライン「それも大丈夫だ。帰ってこの玉手箱を開ければ元の17歳に戻れるぞ。」

キリト「本当か!まるで逆浦島太郎だな。」

キリト「夢じゃないかな。家に帰ってこれたなんて・・・」

玉手箱を開ける

キリト「本当に若返った!」


キリト「お母さん・・・」

翠「帰ってきたのね。直葉がすぐ帰ってくるって言ってたから心配してなかったけど。」

キリト「会いたかった・・・」

キリト「お懐かしいお母様・・・」

翠「3日くらいで大げさよ。」

キリト「スグ!」

リーファ「お兄ちゃん、ごめんね。すぐに助けに行こうと思ったんだけど、そこでバギーのエネルギーか切れちゃって、代わりのバギーをもらおうと新三郎さんに連絡したんだけど連絡がつかなくて。」

キリト「いいんだよ。」

リーファ「会いたかったよ・・・。」

キリト「あのころのままだ。当たり前だけど。懐かしいよ・・・」

リーファ「何よ。たった3日会えなかっただけで。変なお兄ちゃん。」

リーファ「そういえばお兄ちゃん、こっちの世界に帰ったら不思議なことに気づいたんだ。」

リーファ「10月31日にここを出て、海底と無人島で3日過ごしたはずなのに、帰ってきたらまだ10月31日で時間が経ってなかったんだよ。」

キリト「ああ、それはあの島ではここより時間が早く進むんだ。」

キリト「浦島太郎や、相対性理論の逆と言ったほうがいいかな。」

キリト「実は俺はこの家を3日しか留守にしてなかったけど、あの無人島で30年も過ごしたんだぜ。」

リーファ「30年? サチさんと2人で?」

キリト「サチはあの島に来て3年経ったとき、魔獣から俺を守って死んでしまった。」

キリト「死んだというより消えたというべきか。」

キリト「何とかの理って言ってたかな。魔法少女は力尽きると消えてしまうらしい。」

キリト「サチが消えてから27年はずっと一人ぼっちだった。」

リーファ「一人ぼっちで27年も? 寂しい思いさせて本当にごめん。」

キリト「いいんだ。むしろ俺はどうしようもなくダメな男だ。」

キリト「俺はサチを守れなかった。サチをこの世界に帰してやれなかった・・・。」

リーファ「仕方ないよ。」

キリト「きっとサチさん、最後にお兄ちゃんに会えて幸せだったと思うよ。」

・・・
2028年7月6日

エギルの店で今回の話をエギル、クライン、ユイ、ユウキに話した。

エギル「無人島で30年か。それは大変だったな。」

エギル「それだとキリトは今より30年分余計に生きてるってことだろ?」

エギル「ってことはキリトは今19歳で今年20歳だから、精神年齢は50歳ってこと?」

エギル「俺よりだいぶ年上じゃねえか!」

キリト「まあ、玉手箱で多分精神年齢も元に戻ってるよ。」

クライン「でもよっぽどの根性がないと無人島で30年も生きられねえって。」

エギル「で、それからどうなんったんだ?後日談というか、今回のオチは?」

キリト「その後俺は無事家に帰れて、そのあとは約束通りユイやリズと一緒にクラインの仕事を手伝った。」

エギル「事件と言うなら、そっちのほうが大事件だったな。」

ユイ「あれは大変でしたね。お察しますよ。」

キリト「ユイやリズには手間をかけさせちゃったな。」

クライン「いや、やっぱり無人島に30年もいたほうが大事件だろ。」

キリト「今でも思うけどな。サチを救うために他に何か手はあったんじゃないかって。」

クライン「いや、ギリギリセーフだったよ。」

クライン「キリトまで無人島で孤独死しちゃうよりも、最後の力でキリトに魔法の力を与えるとは、すこぶる賢明だ。」

エギル「で、その続きはどうなんだ?キリトのいう大事件ってのは。」

キリト「もう夜遅いから明日話すことにするよ。明日の前夜祭で。」

キリト「まあ長い話だから最初から2日に分けることにしてた。」

109

キリト「スグ!」

リーファ「お兄ちゃん、ごめんね。すぐに助けに行こうと思ったんだけど、そこでバギーのエネルギーか切れちゃって、代わりのバギーをもらおうと新三郎さんに連絡したんだけど連絡がつかなくて。」

キリト「いいんだよ。」

リーファ「会いたかったよ・・・。」

キリト「あのころのままだ。当たり前だけど。懐かしいよ・・・」

リーファ「何よ。たった3日会えなかっただけで。変なお兄ちゃん。」

リーファ「そういえばお兄ちゃん、こっちの世界に帰ったら不思議なことに気づいたんだ。」

リーファ「10月31日にここを出て、海底と無人島で3日過ごしたはずなのに、帰ってきたらまだ10月31日で時間が経ってなかったんだよ。」

キリト「ああ、それはあの島ではここより時間が早く進むんだ。」

キリト「浦島太郎や、相対性理論の逆と言ったほうがいいかな。」

キリト「実は俺はこの家を3日しか留守にしてなかったけど、あの無人島で30年も過ごしたんだぜ。」

リーファ「30年? サチさんと2人で?」

キリト「サチはあの島に来て3年経ったとき、魔獣から俺を守って死んでしまった。」

キリト「死んだというより消えたというべきか。」

キリト「何とかの理って言ってたかな。魔法少女は力尽きると消えてしまうらしい。」

キリト「サチが消えてから27年はずっと一人ぼっちだった。」

リーファ「一人ぼっちで27年も? 寂しい思いさせて本当にごめん。」

キリト「いいんだ。むしろ俺はどうしようもなくダメな男だ。」

キリト「俺はサチを守れなかった。サチをこの世界に帰してやれなかった・・・。」

リーファ「仕方ないよ。」

リーファ「きっとサチさん、最後にお兄ちゃんに会えて幸せだったと思うよ。」

・・・
2028年7月6日

エギルの店で今回の話をエギル、クライン、ユイ、ユウキに話した。

エギル「無人島で30年か。それは大変だったな。」

エギル「それだとキリトは今より30年分余計に生きてるってことだろ?」

エギル「ってことはキリトは今19歳で今年20歳だから、精神年齢は50歳ってこと?」

エギル「俺よりだいぶ年上じゃねえか!」

キリト「まあ、玉手箱で多分精神年齢も元に戻ってるよ。」

クライン「でもよっぽどの根性がないと無人島で30年も生きられねえって。」

エギル「で、それからどうなんったんだ?後日談というか、今回のオチは?」

キリト「その後俺は無事家に帰れて、そのあとは約束通りユイやリズと一緒にクラインの仕事を手伝った。」

エギル「事件と言うなら、そっちのほうが大事件だったな。」

ユイ「あれは大変でしたね。お察しますよ。」

キリト「ユイやリズには手間をかけさせちゃったな。」

クライン「いや、やっぱり無人島に30年もいたほうが大事件だろ。」

キリト「今でも思うけどな。サチを救うために他に何か手はあったんじゃないかって。」

クライン「いや、ギリギリセーフだったよ。」

クライン「キリトまで無人島で孤独死しちゃうよりも、最後の力でキリトに魔法の力を与えるとは、すこぶる賢明だ。」

エギル「で、その続きはどうなんだ?キリトのいう大事件ってのは。」

キリト「もう夜遅いから明日話すことにするよ。明日の前夜祭で。」

キリト「まあ長い話だから最初から2日に分けることにしてた。」

キリト「そういえば新三郎さんって何者だったんだろう?結城新三郎って名前も気になるし。」

エギル「新三郎か。何が気になるんだ?」

キリト「だって、アスナと同じ苗字なんだよな。アスナと何か関係あるのか、それともただ同姓なだけなのか。」

キリト「アスナに聞いたら兄の知り合いにいたかもしれないけどよくわからないだってさ。」

キリト「クラインの知り合いみたいだけど、クラインにもよくわからないって。」

キリト「一応このあとの出来事にも実はその新三郎さんが関わってたんだよな。」

クライン「そうなんだよな。」

ユウキ「まあいい話が聞けたわ。ありがとう、キリト君。」

キリト「いや、俺も話せてなんかすっきりしたよ。」

ユウキ「いやいや、お礼くらい言わせてよ。」

ユウキ「それでは私は色々と仕事がありますので、今日のところはこれで失礼しますね。」

キリト「ねえ、ユウキ、仕事って何?」

ユウキ「普通の仕事だよ。例えていえば、未来と過去とすべての時間で魔法少女を救済する仕事よ。」

ユウキ「魔法少女が呪いを生み出す前に消滅させ、絶望を撒き散らすのを阻止する。」

ユウキ「簡単に言うなら、円環の理のような仕事よ。」

キリト「え?」

ユウキ「そのうちわかるからご安心を。ひょっとしたら、この先キリト君の力を借りることもあるかもしれないし。」

ユウキ「では!」

第2部 おわり

第3部 叛逆の物語
第6話 ラブプラスオンライン

2028年7月7日 夜

エギル「そろそろ昨日の話を続きを頼む。」

キリト「そうだな。」

キリト「俺の一生に一度の大切な日を前に、話しておきたかったことだ。」

キリト「2025年秋の大冒険の最終章」

・・・
母と妹との30年ぶりの感動の再会を果たした後、すぐに俺はクラインに頼まれた指令のため旅立った。
俺の秋の大冒険最終章がスタートした。

2025年11月3日月曜日

帰宅後、まずリズベットにメールを出した。
「夕方5時、森林公園に1人で来てくれ。助けてほしいことがある。」

キリト「ユイ」

ユイ「お久しぶりです。パパ。」

キリト「本当に久しぶりだな、ユイ。」

お前にとってはせいぜい1週間ぶりくらいだろうが、俺にとっては30年ぶりだ。
だが今はそんなことに感極まってる場合ではない。

キリト「クラインから大事な仕事を頼まれたんだ。手伝ってくれるか?」

ユイ「はい。喜んでやりたいと思います。」

リズベットとの待ち合わせ場所に向かう前に、アスナにも会おうと思ったが、アスナは生憎外出中のようだった。
仕方ない。アスナとの感動の再会は後回しだ。この冒険が終わった後に。
また長い戦いになるかもしれないけど。

夕方 森林公園 滑り台前

リズベット「こんにちは、というよりこんばんはだね、キリト。」

キリト「久しぶりだな、リズ。」

リズベット「たかだか3日ぶりじゃない。大して久しぶりでもないわよ。」

キリト「そうか。」

確かにリズにとってはたった3日ぶりだ。しかし俺にとっては30年ぶり。
会う人会う人全てが懐かしい。でも感極まってる場合ではない。

この30年はとても苦しいときだったけど、クラインが迎えにきてくれたときは
今まで生きてきた中で一番幸せな瞬間だったかもしれない。
いや、それは大げさか。アスナを助け出したときとか、もっと幸せなときもあったはずだ。

リズベット「ユイちゃんも一緒なんだ。」

ユイ「こんばんは、リズベットさん。」

リズベット「もうすぐ暗くなるけど、これからどこ行くの?」

キリト「今クラインが準備中だから、それが終わってクラインが到着次第、ある場所に向かうそうだ。」

リズベット「ある場所って?」

キリト「それはまだ俺も知らされていないんだ。」

ユイ「でもパパに任せる仕事ですからよっぽど重要なことなのでしょう。」

キリト「そうだリズ、最近何か変わったことはないか?」

リズベット「そうね。珪子の家が火事になっちゃったって。」

キリト「なんだって?シリカは大丈夫だったのか?ピナはどうなったんだ?」

リズベット「うん、珪子は学校にいたから怪我はしてない。ピナも無事だった。昨日は明日奈の家に泊めてもらったって。」

リズベット「今夜は直葉ちゃんがあんたの家に泊めるそうだよ。」

キリト「そうか。何やってんだかスグは。」

リズベット「何?あんたに何も言わずに珪子を自分の家に泊めたの怒ってるの?」

キリト「そんなことないよ。困ったときはお互い様だ。シリカを泊めることくらい別に俺は何も思ってない。」

キリト「他には何かないか?」

リズベット「そうね。」

リズベット「こないだ買ったBL漫画が面白かった。」

キリト「なんだ、そんなことか。」

リズベット「あんたはどうなの?最近なんか変わったことは?」

キリト「そうだね。最近姉妹百合が少なくて寂しいな。」

リズベット「あんたは姉妹百合派か。」

キリト「ラブライブってなんで妹キャラの出番少ないんだろうな。雪穂とか。」

リズベット「そりゃメインキャラじゃないからでしょ。」

キリト「俺がスタッフならけいおんは憂主人公のスピンオフ作品を作る」

リズベット「とりあえずあんたがシスコンだってのはわかった。」

キリト「それは否定しないな。義理の妹に対して性的な欲求はないけどな。」

リズベット「そりゃ、パパにはママがいますからね。」

それにしても30年も無人島にいた直後だというのに、
何事もなかったかのようにリズベットと楽しい会話を楽しめる俺は相当演技がうまいのかもしれない。
自分で自分をほめたいと思う。
これを自画自賛というのか。

リズベット「それよりあんたと明日奈はうまく行ってる?」

キリト「そりゃゲーム内で結婚までした仲だからな。うまく行ってるよ。」

ユイ「パパとママは仲いいと思いますよ。」

とはいえ俺は30年もアスナと会ってない。無人島でもあの笑顔を忘れた日は1日もない。
しかし30年も会ってない相手の顔を想像するのは難しいところだ。

クライン「おまたせ、キリト。」

クライン「こんばんは、リズベットちゃん、ユイちゃん。」

ユイ「こんばんは、クラインさん。」

リズベット「こんばんは。」

クライン「これから君たちにはある場所に行ってもらう」

リズベット「ある場所?」

キリト「無人島はもうこりごりだぞ。あと山も嫌だ。遭難したらまた何日も帰れなくなる。」

クライン「大丈夫だ。これから行くところは陸続きの場所で平地だ。」

クライン「まあ向こうで離島出身の子と合流することになっているんだけどな。」

キリト「で、どこなんだ?」

クライン「見滝原市だ。」

ユイ「見滝原市、ですか?」

リズベット「ここから電車で2時間くらいだっけ」

キリト「ずいぶん遠くだな。もう今日は暗いんだし明日でもいいんじゃないか?」

クライン「いや、明日の朝から始めたいことがあるんだ。今日の夜に乗り込みたい。」

クライン「見滝原市の前に、その手前の風見野市で準備することがあるんだけどな。」

滑り台からは少し離れていたところで話した。
そうして出発しようとしたとき・・・

リズベット「ねえキリト。なんか変な音しない?あと焦げ臭い。」

キリト「そう言われてみれば。なんだ?」

ユイ「パパ、あれ見て!」

キリト「どうした?ユイ」

キリト「あ!」

俺が目にしたのは・・・

キリト「滑り台が、燃えてる・・・」

滑り台が炎上していた

キリト「110番!いや119番か?」

クライン「いや、そんなことしたら消防士が来るまでここで待っていなければいけなくなる。そんな時間はない。」

キリト「でも・・・」

クライン「この火災の通報は他の人に任せて、俺達は目的地に向かうぞ。」

リズベット「あたしたちでこの火災なんとかできないの?」

クライン「消防署に任せろ。素人が動くな。」

キリト「それにしても何で滑り台が炎上したんだ?自然の火事とは考えにくいし、誰かが放火したのか?」

クライン「知らん。それは警察にでも任せよう。俺たちはもっと大事な仕事がある。」

クライン「言っておくけど、これは地球を救う大事な使命だからな。」

キリト「また地球を救うのか・・・」

そうして電車で2時間弱。見滝原の手前、風見野についた。

クラインが予約していたホテルに入った。

クライン「まずキリトには魔法使いになってもらう。」

キリト「魔法使い?」

クライン「魔法使いにならないと、お前は今から行く異世界に入れないんだ。」

キリト「異世界?異世界に行くのか?」

クライン「そうだ。」

キリト「見滝原じゃないのか?」

クライン「見滝原ではあるのだが、ただの見滝原じゃない。異世界の見滝原市だ。」

キリト「なんかよくわからないが、まあそういうならいいよ。」

キリト「でもそんなことしなくても、俺は無人島である人の力で魔法の能力を手にしてるんだよね。」

クライン「それは多分ここでは使えない。使えるかもしれないが、もっと強い魔法使いになる必要がある。」

キリト「で、どうするんだ?」

クライン「俺とドッキングするんだ。」

キリト「ドッキング?何をするんだ?」

クライン「俺とキスするんだ。」

キリト「え?キ、キスだと・・・」

リズベット「キス・・・!男同士で・・・」

キリト「俺はもうアスナ以外の人とはキスしないって決めたんだ。」

クライン「いいじゃないか。男同士なんだし。それくらいアスナちゃんだって大目に見てくれるよ。」

キリト「どうしてもやらなきゃダメ?」

クライン「どうしてもやらなきゃダメだ。」

キリト「しょうがないな。まあ男同士だしいいか。」

こうして俺はクラインとキスをした。
・・・すると

キリト「おいリズ、何撮ってるんだ?」

リズベット「何のこと?」

キリト「俺とクラインがキスしてるとこ写真撮っただろ!」

リズベット「写真は撮ってないよ。」

キリト「じゃあ動画を撮ったのか?」

リズベット「バレたか。」

リズベット「いやー、あとで珪子に見せてあげようと思って。」

キリト「お前が見たいだけだろ。」

リズベット「いや、こういうのあたしより珪子の方が好きだよ。」

キリト「お前も同類じゃん。」

クライン「同じようにユイちゃんとリズベットちゃんにもドッキングで魔法使いになってもらうんだが、2人は俺とキスするわけにはいかないからな。」

クライン「キリトとキスさせるわけにもいかないし。」

キリト「そうだな。」

ユイとならまだ大丈夫かもしれないけど

クライン「だから2人がキスする相手は別の人を用意している。」

クライン「まだ来てないようだな。」

クライン「その子が来るまでの間、異世界の見滝原で名乗ってもらう名前を言う。」

クライン「まず、君たちの本名を言って。」

キリト「桐ヶ谷和人だ。」

リズベット「篠崎里香よ。」

ユイ「ユイです。私はゲーム内の女の子なんで名字はないんですが。」

クライン「よろしい。その名前は異世界では絶対に言ってはダメだぞ。もちろんSAOでのキャラネームも言ってはダメだ。」

クライン「君たちは別の名前を名乗ってもらう。」

キリト「なんで別の名前を名乗るんだ?」

クライン「これからやることはかなり危ないことだからな。本名を名乗ると厄介なことになる。」

キリト「もしかして法に触れるやばいことじゃないだろうな?だから偽名を使うのか?」

クライン「別に法には触れないよ。ただ世界のルールに触れる者がいるから、そいつの野望を阻止するクエストなんだ。」

キリト「世界のルールってなんだ」

クライン「それはあとで説明する。早めに言うとこれも厄介なことになる。」

キリト「わかった。」

クライン「まずキリト。お前の名前は異世界では中沢一夏(なかざわいちか)だ。真ん中の中にさんずいと尺の沢、数の一に季節の夏で中沢一夏だ。」

キリト「中沢一夏・・・」

クライン「2人はキリトのことは中沢君、または一夏君と呼ぶんだぞ。」

キリト「わかった。」

リズベット「一夏君、だね。」

クライン「次にリズベットちゃん。君の名前は異世界では織斑円(おりむらまどか)だ。織物の織に王と文と王で斑、日本円の円で織斑円だ。」

クライン「2人はリズベットちゃんのことは織斑さんと呼ぶんだぞ。」

クライン「円ちゃん、でもいいんだが、これから行く異世界にも同じ読みの名前の人がいるからな。」

リズベット「同じ名前がいるの?じゃあ別の名前にしたほうがいいんじゃないの?」

クライン「いや、同じ名前になるのは仕方ないんだ。むしろ同じ名前の方がいい。」

リズベット「わかったわ。」

クライン「次にユイちゃん。君の名前は異世界では中沢加奈恵(なかざわかなえ)だ。真ん中の中にさんずいと尺の沢、加えるに奈良の奈に恵で、中沢加奈恵だ。」

クライン「この中沢一夏の妹という設定にする。」

ユイ「妹、ですか。」

クライン「だからと言ってキリトのことをお兄ちゃんと呼ぶのはダメだ。もちろんパパと呼ぶのもな。一夏君と呼ぶんだ。」

クライン「キリトとリズベットちゃんはユイちゃんのことを加奈恵ちゃんと呼ぶように。」

ユイ「わかりました。」

クライン「最後に、俺の名前はここでは冬木真澄だ。」

クライン「君たちは冬木さんと呼ぶように。」

キリト「わかった。」

ピンポーン

クライン「あ、そろそろ来たみたいだな。」

クライン「いらっしゃい。」

あかね「遅くなってすいません。」

クライン「大丈夫だ。俺たちも今来たところだよ。」

あかね「初めまして。一色あかねです。」

クライン「こちらは左から中沢一夏、織斑円、中沢加奈恵だ。」

キリト(一夏)・リズベット(円)・ユイ(加奈恵)「初めまして。」

キリト(既にその名前使ってるんだな。)

クライン「さっそくだけど加奈恵ちゃんとと円ちゃんとキスしてほしいんだ。」

あかね「わかりました。」

あかね「ドッキングは私の得意技ですから。」

そうして今度はリズとあかねが、そしてユイとあかねがキスをした。

あかね「自己紹介の続きというのもなんなんですけど。」

あかね「私は伊豆大島から来ました。なので竹芝まで船に乗って来たんですけど。」

キリト「伊豆大島?」

キリト(そうか、クラインが言ってた離島出身の子ってこの人か)

リズベット「それはすごく遠くから来たんですね」

あかね「たしかにこの世界では本州までかなり時間がかかりますね。」

あかね「でも私の世界では神奈川三浦半島の三崎、静岡の熱海と、伊豆大島を結ぶY字型の道路と鉄道路線があるんですよ。」

キリト「え?本州から伊豆大島まで?」

あかね「はい。この世界でいえば神奈川の川崎と千葉の木更津を結ぶ東京湾アクアラインのような海を渡る道路が本州と伊豆大島の間にあるんです。」

あかね「そして三崎と熱海からの道路が合流する地点、Y字型道路の中央にはブルーアイランドという人工島があるんです。」

あかね「東京湾アクアラインでいうと海ほたるですね。」

あかね「といってもブルーアイランドは海ほたると違って次元エンジンを管理する超重要な人工島なんですけどね。」

キリト「ということは君は異世界人なのか?そんな本州と伊豆大島が橋でつながってるという夢のような世界の。」

あかね「そういうことになりますね。SFの世界ってとこでしょうか。」

クライン「あかねちゃん、お国自慢、っていうか世界自慢もいいけどそろそろ今回のクエストの話をしようと思う。」

クライン「俺はこのホテルに残ってここから指揮を取るが、君たち4人はこれから異世界への結界をくぐり、見滝原市に住む松雪集という人の家に向かってほしい。」

クライン「君たちは今回のクエストの間そこで寝泊りしてもらう。」

キリト「松雪集だな。わかった。」

クライン「それと、中沢一夏、織斑円の2人は明日の朝から見滝原中学に通ってもらう。」

キリト「中学にか?俺は高校生だぞ。」

リズベット「あたしなんて実年齢では来年から大学生だし。」

クライン「だが今回は中学生という設定だ。2人とも体格的に中学生でも違和感ないだろ。」

キリト「見知らぬ人がどうやって突然学校に入るんだよ」

クライン「だから今から行くのは異世界だ。2人は既に最初からその学校の生徒ということになってる。」

キリト「そうなんだ。」

クライン「クラスは2年1組だ。今回の事件はその中学校の2年1組で起きるからな。」

クライン「学校では先生から中沢君、織斑さんと呼ばれてそれぞれ何らかの質問をされるかもしれないが、そのときは適当に答えればいい。」

キリト「適当?」

クライン「そうだ。先生からのどんな質問にも適当に答えておけ。」

クラインがあるメモを渡した

クライン「これは今回の事件に関わる見滝原中学の生徒だ。超要注意人物が2人、要注意人物が3人、注目人物が2人の合計7人だ。」

クライン「この7人の外見と特徴も書いてある。それから君たち2人の設定も。」

クライン「もちろん7人ともマークしてもらうが、超要注意人物の2人はとにかく徹底的に観察するように。」

キリト「観察ってストーカーするのかよ。」

クライン「ストーカーじゃないさ。そうならないように俺が加奈絵ちゃんを通じて適切な指示を出す。」

クライン「それからこれも重要な話だが、異世界では時間がこの世界より早く進む。」

クライン「だから多分異世界に1年くらい滞在しても元の世界では1日しか留守にしなかったことになるだろう。」

クライン「いわゆる浦島太郎の逆というわけだ。」

キリト(ああ、ここでもか。)

クライン「とはいえなるべく早くこのミッションをクリアしてほしいな。」

クライン「ミッションの詳細はまだ俺も知らないわけだけど。」

俺たちはそのあと見滝原市に行き、そこから異世界への入口というゲートをくぐった。

キリト「4人で手をつないでジャンプするんだってな。」

ユイ「行きますよ。」

リズベット「せーのっ」

そして見滝原市の松雪集さんの家に来た

キリト「キリ・・・、じゃない、中沢一夏です。お邪魔します。」

キリト(一夏)「中沢一夏です。初めまして。」

ユイ(加奈絵)「初めまして、中沢加奈絵です。」

リズベット(円)「えーっと、織斑円です。よろしくお願いします。」

あかね「一色あかねです。お世話になります。」

ゆきあつ「初めまして、松雪集です。あだ名はゆきあつです。これから数日の間よろしくお願いします。」

ゆきあつ「クラインさんとは古い友人だ。」

ゆきあつ「今回の俺たちのギルドを、超平和リトルバスターズと名づけようと思う。」

キリト(一夏)「あまりギルドっぽくないけど。」

リズベット「ギルド名なんてなんでもいいわよ。それに今回は少人数で行動することが多いみたいだし。」

キリト(一夏)「明日の打ち合わせでもしようか。」

ユイ「明日はパパ・・・、じゃなくて一夏君と織斑さんはとりあえず見滝原中学に行くだけだと指示されてます。」

ユイ「そのあとの指令は随時出すとのことです。」

キリト(一夏)「わかった。」

キリト(一夏)「それにしてもこの要注意人物と要注意人物を見てて不思議に思ったのは、メンバーがほとんど女の子なんだよな。事件っていうくらいだから男が起こすものだと思っていたけど。」

キリト(一夏)「女が起こす事件ってなんなんだろうね。」

・・・
超要注意人物
暁美 ほむら 黒髪の女子生徒。転校生で中沢一夏の隣の席。
鹿目 まどか ピンク髪の女子生徒。実は本来この見滝原中学の生徒ではない。

要注意人物
巴 マミ 黄色髪の女子生徒。巨乳が特徴。3年生なので君たちのクラスにはいない。
美樹 さやか 青髪の女子生徒。上条恭介の幼馴染。
佐倉 杏子 赤髪の女子生徒。暁美ほむらの数週間前に転校してきて美樹さやかの家に居候している。実は彼女も見滝原中学の生徒ではない。

注目人物
上条 恭介 黒髪の男子生徒。ヴァイオリンの天才少年。美樹さやかの幼馴染で志筑仁美と付き合っている。
志筑 仁美 緑髪の女子生徒。生徒会。上条恭介と付き合っている。

お前ら
中沢 一夏 暁美ほむらの隣の席。
織斑 円 9月29日に転校してきた。帰国子女という設定。

・・・
リズベット(円)「そういえばあいつ、あたしのここでの名前と同じ名前の人がいるって言ってたけど、なんでよりにもよって超要注意人物と同じ名前なのよ。」

リズベット(円)「なんかいやだわ。」

キリト(一夏)「しかも本来この見滝原中学の生徒ではないって、どういうことだ。」

翌日 見滝原生活2日目

キリト(一夏)「知らない学校に入るって抵抗があるな。」

キリト(一夏)「本当に大丈夫なのか?無関係者が入ったって通報されないか?」

リズベット(円)「まあそのときはそのときね」

キリト(一夏)「なんだよそれは!」

結局俺たちが学校に入っても特に怪しまれなかった。
やっぱり異世界では最初からこの学校の生徒という設定らしい。

キリト(一夏)「この教室なんだっけ。」

キリト(一夏)「しかし困ったのは一体どう友達と接すればいいのかな。」

キリト(一夏)「他の生徒には俺やリズ・・・円が最初からここにいたことになってるとはいえ、俺たちにその記憶はない。」

教室

和子「皆さん、マヤ暦で予言された世界の終わりをやり過ごしたからって、いい気になってませんか?」

和子「いやいやまだまだこれからですよ。」

和子「とある宗教の祭礼の日にあわせて、日食と月食が6回起こっちゃうという話です。」

和子「怖いですね。熱いですね。」

和子「ンフフフフ。」

和子「それに2050年までに何が起こるかと言えば・・・、はい中沢君。」

キリト(一夏)「え?」

キリト(一夏)(そうか。中沢君って俺のことか。)

キリト(一夏)「えーっと、いやちょっと何のことだか。」

キリト(一夏)(クラインは適当に言ってたな。この際こう答えておくか。)

キリト(一夏)「人類はロマンシング・佐賀やソードアート・オンラインというゲーム内に入り込めるリアルオンラインゲームの開発に成功しました。」

キリト(一夏)「今ではその第2弾としてアルヴヘイム・オンラインというゲームもあります。」

キリト(一夏)「そこで、俺が思う2050年までに開発されるものといえば・・・」

キリト(一夏)「ラブプラス・オンラインです!」

キリト(一夏)「ラブプラス・オンライン?」

キリト(一夏)「ラブプラスは2009年にコナミが発売した大ヒット恋愛シミュレーションゲーム。」

キリト(一夏)「それのリアルオンラインゲーム版が2050年までには可能になってるのではないかと思います。」

キリト(一夏)「そうすれば、オタクの夢、2次元の女の子とリアルで恋するという夢が実現するでしょう。」

クラス「プ・・・プハハハハハ」

キリト(一夏)「な、なんだ」

クラス中から笑いの渦が巻き起こった。まさか俺の考えはそんなにおかしかったか?

和子「そんなゲーム実現してなるもんか!」

和子「あちらの国では41%の人があと40年もしないで神の子が再臨すると信じているそうです。」

和子「目視力のラッパが、鳴っちゃうかもなんです。」

和子「でも先生、世界が滅んじゃうのもいいかなって思うんです。」

和子「男女関係とか恋愛とかもうたくさんですし、このまま四捨五入して40歳とか言われるくらいなら、もういっそ何もかもおしまいになっちゃったほうが・・・」

キリト(一夏)「あのちょっと・・・先生・・・」

和子「はいはいそういえば、今日は皆さんに転校生を紹介しないと。」

キリト(一夏)(そっちが後回しかよ。なんだこの先生は。)

和子「じゃあ暁美さん、いらっしゃい。」

キリト(一夏)「えーっと、いやちょっと何のことだか。」

キリト(一夏)(クラインは適当に言ってたな。この際こう答えておくか。)

キリト(一夏)「人類はロマンシング・佐賀やソードアート・オンラインというゲーム内に入り込めるリアルオンラインゲームの開発に成功しました。」

キリト(一夏)「今ではその第2弾としてアルヴヘイム・オンラインというゲームもあります。」

キリト(一夏)「そこで、俺が思う2050年までに開発されるものといえば・・・」

キリト(一夏)「ラブプラス・オンラインです!」

まどか「ラブプラス・オンライン?」

キリト(一夏)「ラブプラスは2009年にコナミが発売した大ヒット恋愛シミュレーションゲーム。」

キリト(一夏)「それのリアルオンラインゲーム版が2050年までには可能になってるのではないかと思います。」

キリト(一夏)「そうすれば、オタクの夢、2次元の女の子とリアルで恋するという夢が実現するでしょう。」

クラス「プ・・・プハハハハハ」

キリト(一夏)「な、なんだ」

クラス中から笑いの渦が巻き起こった。まさか俺の考えはそんなにおかしかったか?

和子「そんなゲーム実現してなるもんか!」

和子「あちらの国では41%の人があと40年もしないで神の子が再臨すると信じているそうです。」

和子「目視力のラッパが、鳴っちゃうかもなんです。」

和子「でも先生、世界が滅んじゃうのもいいかなって思うんです。」

和子「男女関係とか恋愛とかもうたくさんですし、このまま四捨五入して40歳とか言われるくらいなら、もういっそ何もかもおしまいになっちゃったほうが・・・」

キリト(一夏)「あのちょっと・・・先生・・・」

和子「はいはいそういえば、今日は皆さんに転校生を紹介しないと。」

キリト(一夏)(そっちが後回しかよ。なんだこの先生は。)

和子「じゃあ暁美さん、いらっしゃい。」

ほむら「暁美ほむらです。どうかよろしくお願いします。」

和子「暁美さんは。心臓の病気でずっと入院していたの。」

和子「久々の学校だから、いろいろと戸惑うことも多いでしょ。みんな助けてあげてね。」

クラス「はーい。」

和子「それで席は・・・、えーっと中沢君の隣が空いているわね。」

キリト(一夏)「そうか、俺の隣か。」


リズベット(円)「さっきのはまずかったんじゃないの?」

リズベット(円)「いくらクライン・・・じゃなくて冬木さんは適当でいいって言ったとはいえ。」

キリト(一夏)「どうってことないだろ」

恭介「なあ中沢君」

キリト(一夏)「え?」

キリト(一夏)(えーっとこいつは上条恭介だっけ)

恭介「今日の中沢君なんかおかしかったぞ。どうしたんだ?」

キリト(一夏)「おかしかったって?」

恭介「先生からの質問、いつもはどっちでもいい、としか答えないのに今日はものすごく具体的に答えてたし。」

恭介「なんだよラブプラス・オンラインって」

キリト(一夏)「適当に答えたんだよ」

恭介「適当にしては具体的すぎだろ。」

恭介「佐倉さんや織斑さんが来たとき、先生に質問されたときもどっちでもいい、だったしな。」

キリト(一夏)(俺にはそのときの記憶はないからわからん)

・・・
4月30日

和子「今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」

和子「目玉焼きとは、お醤油ですか?それともお塩ですか?」

和子「はい、中沢君!」

中沢「えっ、えっと…どっどっちでもいいんじゃないかと」

和子「その通り!どっちでもよろしい!」

和子「たかが卵の味付けなんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」


和子「女子のみなさんは、くれぐれもお塩じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」

恭介「ダメだったか」

仁美「ダメだったみたいですね」

和子「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の味付けにケチをつけるような大人にならないこと!」

和子「はいそれでは、今日はみなさんに転校生を紹介します」

恭介「そっちが後回しかよ!」

和子「じゃ、佐倉さん、いらっしゃい。」」

和子「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう」

杏子「隣町の風見野市から来ました、佐倉杏子です。よろしくお願いします」

・・・
9月29日

和子「今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」

和子「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?」

和子「はい、中沢君!」

中沢「えっ、えっと…どっどっちでもいいんじゃないかと」

和子「その通り!どっちでもよろしい!」

和子「たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」

和子「女子のみなさんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」

恭介「またダメだったのか」

仁美「ダメだったみたいですね」

和子「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」

和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

恭介「そっちが後回しかよ!」

和子「じゃ、織斑さん、いらっしゃい。」

和子「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう」

円「えっと、はじめまして。織斑円です。」

円「ママ…母の海外出張で、家族みんなで3年間、アメリカにいたんですけど、先週ようやく見滝原に帰ってきたので、今日からはこの学校で皆さんと一緒にお世話になります。」

円「その…よ、よろしくお願いします!」

和子「久しぶりの日本の学校で、戸惑うことも色々あるかもしれません。皆さん、仲良くしてあげて下さいね。」

女子A「ねえねえ織斑さん、アメリカの学校ってどうだった?」

女子B「英語ペラペラなの?すごーい。うらやましいな。」

女子C「ちっちゃくてかわいいよね。なんか小学生みたい。」

円「アハハ・・・えっとね。その・・・何ていうか・・・」

中沢「みんな、一度に質問されすぎて、織斑さん困っているぞ。少しは遠慮しないと。」

円「ああ、うん」

中沢「俺は中沢一夏。久しぶりだな、円。」

円「う・・・うん。」

円「中沢君がいてよかった。知らない人ばかりだったらどうしようって思ってたから。」

中沢「早速だけど、校内を案内してあげるよ。ついてきて」


円「ねえ中沢君」

中沢「前みたいに一夏って呼んでくれないのか?」

円「あ、そうだね。一夏君。」

中沢「久しぶりの故郷は、どう?」

円「ええと、うん・・・。何だか、懐かしいような、でも、何かが違うな~っていうか・・・。ちょっと変な気分」

中沢「3年くらいで街は大して変わってないだろ。」

円「そうだよね。むしろ、変わっちゃったのはどっちかっていうと、私のような。」

中沢「君も大して変わってないけどな。」

第7話に続く

第7話 逝っとけダイヤ

・・・
見滝原生活 5日目

その後何回か上条恭介とアプローチを取った
俺は注目人物で唯一の男子であるこいつが少し気になったからだ。

キリト(一夏)「こんにちは、上条恭介君。」

恭介「こんにちは、中沢君。」

キリト(一夏)「なあ、最近何か変わったことはないか?」

恭介「変わったこと?ああ事故で動かなくなった指が突然治ったことかな。」

キリト(一夏)「指が突然治った?それはどんな風に?」

恭介「どんな風にって、本当突然だよ。僕にもわからない。」

恭介「病院も奇跡が起きたって言ってた。」

恭介「医師にはもう指は動かない、現代の医学では無理だって言われてたから本当信じられないよ。」

キリト(一夏)「そんなことがあったのか。」

キリト(一夏)「確かにそんなことが起きたら事件だな。」

恭介「あと最近志筑さんと付き合いはじめたんだよな。」

キリト(一夏)「そうか。」

恭介「恋愛のベテランのさやかに相談に乗ってくれてるからな。はっきり言って無敵だぜ。」

キリト(一夏)「美樹さやかさんはあの青髪の子だよな。確かお前の幼馴染なんだっけな。」

恭介「あーまあ、その。腐れ縁って言うか何て言うか」

キリト(一夏)「そして志筑仁美さんの方が上条君の彼女さん。」

恭介「そうだ」

キリト(一夏)「ん・・・」

恭介「なんだよ。それがどうかしたか?」

キリト(一夏)「いや、普通あの2人だったら美樹さんの方を選ぶんじゃないかと思ってな。」

キリト(一夏)「どうして志筑さんなのか、ふと不思議に思ったんだ。」

恭介「どうしてって・・・」

恭介「さやかは僕にとってそういう対象じゃないからな」

恭介「あいつはただの幼馴染なんだよ。」

恭介「さやかの方だって、僕なんか願い下げだろうし。」

恭介「だって僕みたいなひ弱な男は、さやかの好みのタイプじゃないし。」

キリト(一夏)「そうなのか?」

恭介「そりゃあ幼馴染だからね。さやかのタイプぐらい知ってるさ。」

恭介「あの子は強くて逞しいヒーローとか大好きだったから。」

恭介「それに、そもそも僕はあの性格を含めて志筑さんのことが好きなんだ」

キリト(一夏)「ん・・・」

キリト(一夏)「まあ、志筑さんのほうがいいと上条君が言うのだったら、それはそうなのだろう。」

キリト(一夏)「人の好みは選別差別だからな。」

恭介「千差万別って言いたいのか?」

キリト(一夏)「そうだったな。」

キリト(一夏)「それと上条君、あのピンク髪の女の子、鹿目まどかさんのことなんだけど」

キリト(一夏)「その子のことは知ってるか?」

恭介「知ってるよ。さやかの友達・・・だったはず。」

恭介「僕とも小学校のときから同じ学校・・・だったはず。」

キリト(一夏)「はあ?」

キリト(一夏)「だったはずってどういうことだよ。」

恭介「さやかと同じくらい結構長くいるはずなのに、鹿目さんの記憶がほとんどないんだ。」

恭介「本当に小学校からずっと一緒だったのかな?」

キリト(一夏)「そうか」

キリト(一夏)(ますます怪しくなってきたぞ。本来はあの中学の生徒ではない。友達の記憶も曖昧。いったい鹿目まどかって何者だ?)

キリト(一夏)「不思議なこともあるんだな。」

恭介「不思議なことといえば、最近この学校転校生が多いよな。」

キリト(一夏)「転校生?」

恭介「今年度初め、ゴールデンウィーク中に佐倉さんが転校してきて、一ヶ月前、9月のおわりに織斑さんが転校してきたと思ったら、こないだまた1人、暁美さんが転校してきた。」

恭介「となりのクラスにも転校生が来たみたいだし。」

恭介「それから織斑さんが転校してきてから、暁美さんが転校してくるまでに1人転校していった子もいたじゃん。」

キリト(一夏)「ん?誰だっけ?」

恭介「米澤円さん。忘れたのか?」

キリト(一夏)「ああ、米澤さんか。」

キリト(一夏)(俺の記憶にはないけどな)

恭介「こんなに短期間で転校生がきたり転校して行ったり、不思議なくらい入れ替わりが激しいよな。」

キリト(一夏)「そうだな。」

恭介「他に不思議なことといえば、この学校にはまどかという名前の女の子が多い。」

恭介「ほら、うちのクラスにも2人いるだろ。鹿目さんと織斑さん。」

キリト(一夏)「そうだな。」

恭介「それから転校していった米澤さんの名前もまどかだ。」

恭介「織斑さんが転校してきてから米澤さんが転校して行くまでの間、たった数週間だがこのクラスにまどかという名前の子が3人いたことになる。」

キリト(一夏)「3人もか。」

恭介「鹿目さん、米澤さん、織斑さんでトリプルまどか、なんて言われてたっけ。」

恭介「あと1年生と3年生にも何人かいるらしい。この学校だけで7人くらいいるらしいよ。」

恭介「まどかという名前はそんなに珍しい名前でもないけど、なんで生徒数の少ないこの学校にそんなに同じ名前の女子が集まってるのか不思議だよな。」

キリト(一夏)「そうだな。」

恭介「中沢君のほうは、織斑さんのはうまく言ってるのか?」

キリト(一夏)「え?」

恭介「織斑さんは中沢君の彼女さんなんでしょ?。」

キリト(一夏)「ああ」

キリト(一夏)(この2人付き合ってるって設定なのか。俺は本当はアスナと付き合ってるんだけどな。)

恭介「織斑さんは中沢君の幼馴染でもあるんだろ。アメリカへの海外出張前は幼稚園も小学校も一緒だったとか。」

恭介「この学校にきて知ってる人が中沢君しかいなかったから織斑さんって中沢君としか話してないイメージだな。」

キリト(一夏)(俺の記憶にはないからついていけないよ。)

・・・
見滝原生活6日目

この日、クライン(冬木真澄)から指令が出た。

ユイ(加奈絵)「一夏君、指令です。風見野駅北口行きのバスに乗って風見野に行ってくださいとのことです。」

キリト(一夏)「そうか。でもここ異世界だよな。今冬木がいるのは元の世界の風見野。」

キリト(一夏)「この世界の風見野か、元の世界の風見野、どっちに行けばいいんだ。」

ユイ(加奈絵)「元の世界ではないようです。この異世界の風見野駅北口行きのバスに乗れとのことです。」

こうして俺とユイ(加奈絵)は風見野に向かうバスに乗った。
乗った停留所は「見滝原中学校前」である。が、しかし・・・
30分ほどバスに乗ったところだった。

ユイ(加奈絵)「次は、見滝原中学校前、見滝原中学校前。」

キリト(一夏)「あれ?ここってさっき俺たちが乗ったバス停だよな?どういうことだ?」

キリト(一夏)「同じ停留所を2回通る。こんなことってあるのか?」

ユイ(加奈絵)「一夏君、指令です。見滝原二丁目という停留所で降りて、乗ったバスの行き先を見てみて下さいとのことです。」

キリト(一夏)「何?風見野に行くんじゃないのか?」

そうして

ユイ(加奈絵)「次は見滝原二丁目。市立見滝原小学校へはこちらからお越し下さい。」

この停留所で降りた。

キリト(一夏)「行き先を確認するんだっけ?なんで降りてから行き先を・・・」

キリト(一夏)「って、え?」

ユイ(加奈絵)「あれ?」

ユイ(加奈絵)「一夏君、私たちが乗ったバスって何行きでしたっけ。」

キリト(一夏)「風見野駅北口行き、だったはずだぞ!」

しかしそのバスの方向幕に表示されていた行き先は「見滝原循環」だった。

キリト(一夏)「途中で行き先が変わる?ダイヤが乱れたときの京急かよ!」

ユイ(加奈絵)「京急線って人身事故があったりすると三崎口行きが突然羽田空港行きになったりするんでしたっけ?」

キリト(一夏)「そう。他にも快速特急が突然普通列車になったりする。通称逝っとけダイヤだ。」

キリト(一夏)「でもこれ電車じゃなくてバスだぞ。」

ユイ(加奈絵)「乗るバスを間違えたってこと?」

キリト(一夏)「そんなはずないぞ。確かに風見野駅に乗っただろ。」

キリト(一夏)「運転手が突然行き先を変えたのか?」


キリト(一夏)「このバス停から風見野行きがあるな。」

キリト(一夏)「またこれに乗ってみるか。」

ユイ(加奈絵)「今度こそ間違えないように」

来たバスは確かに「風見野駅北口」行き

キリト(一夏)「これで間違いないよな」

そして30分後

ユイ(加奈絵)「次は見滝原二丁目。市立見滝原小学校へはこちらからお越し下さい。」

キリト(一夏)「ちょっと待った!またここ乗った停留所じゃねえか!」

ユイ(加奈絵)「まさかまた行き先が変わったんですか?」

キリト(一夏)「そんな予感がする。降りよう。」

またこの停留所で降りた。そして・・・

ユイ(加奈絵)「どういうことですか?」

キリト(一夏)「乗ったのは風見野駅北口行きだったはずなのに・・・」

行き先はまたしても「見滝原循環」に変わっていた。

キリト(一夏)「また行き先変更かよ。」

ユイ(加奈絵)「じゃあ、逆に見滝原循環のバスに乗ったら・・・」

キリト(一夏)「いや、この時刻表を見る限りそもそも見滝原循環なんてバスの系統はないはずなんだ。」

キリト(一夏)「経由が違うものがあるがこの停留所から出てるバスは全部風見野駅北口行きのようだ。」

キリト(一夏)「ないはずの系統がある。あるはずの系統がない。」

さやか「あれ?そこにいるのは中沢君?」

キリト(一夏)「えーと君たちは、鹿目まどかさんと美樹さやかさんだっけ。」

そこにいたのはピンク髪の少女、超要注意人物に指定されてる鹿目まどかと、青髪の少女、要注意人物に指定されている美樹さやかだった。

さやか「隣にいる子は誰?」

キリト(一夏)「俺の妹だ。」

さやか「そうなんだ。」

まどか「どこに行くの?」

キリト(一夏)「風見野、のはずだったんだけど・・・」

キリト(一夏)「あ、ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」

キリト(一夏)「俺は風見野駅北口行きのバスに乗ったと思ったら、いつのまにか見滝原循環のバスに乗っていた。」

キリト(一夏)「な、何を言ってるのか わからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった。」

キリト(一夏)「頭がどうにかなりそうだった」

キリト(一夏)「SAOとか、魔術だとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。」

まどか「え?」

キリト(一夏)「つまり乗ってたバスの行き先が突然変わったんだ。」

まどか「そんなことがあるの?」

キリト(一夏)「バスではないはずなんだけどな。」

キリト(一夏)「鹿目さん、美樹さん、逝っとけダイヤってバスにもあるのか?」

まどか「逝っとけダイヤって何?」

キリト(一夏)「ほら、赤い電車、京急は人身事故が起きたりしてダイヤが乱れると列車の行き先や種別が突然変更になったりすることあるじゃん。」

キリト(一夏)「今俺たちが乗ってたバスで同じことが起きたんだ。」

キリト(一夏)「風見野駅北口行きに乗っていたはずなのに、降りたら見滝原循環に変わってた。」

まどか「へー、それは不思議だね。」

さやか「京急の逝っとけダイヤってのもあたしはよく知らないけど」

キリト(一夏)「たとえば八王子行きが突然橋本行きになったり、高尾山口行きが突然多摩動物公園行きになったり、特急が突然普通になったりするんだよ。」

まどか「そんなことがあるんだ。」

まどか「でも八王子とか高尾って京急じゃなくて京王じゃないの?」

キリト(一夏)「ああ、そうだな。京王にも逝っとけダイヤはあるぞ。」

キリト(一夏)「そして多摩動物公園行きになった列車は、多摩動物公園で一番後ろの車両を切り離す。一番後ろの車両は多摩動物公園内直通運転だ。」

まどか「多摩動物公園内直通運転?」

キリト(一夏)「多摩動物公園を出ると、公園入園口、ヤクシカ、マレーバク、水牛、コアラ、終点オランウータンの順に停車する。」

まどか「動物園の中に乗り入れるの?無理でしょ。線路ないじゃん。」

キリト(一夏)「まあ逝っとけダイヤなら何でもありだ。」

キリト(一夏)「なおツル、カモ、ヒグマ、インコ、タヌキ、インドサイ等、どうでもいい動物群には止まらない。」

キリト(一夏)「どうでもいい動物群をご見学のお客様は、公園入園口よりシルバーシャトルバスをご利用ください。」

まどか「どうでもいい動物って酷いよ!かわいそうだよ!」

まどか「私タヌキ好きなのに」

キリト(一夏)「まあ鉄道会社が決めた都合さ。」

キリト(一夏)「ちなみに俺はヒグマが好きなんだけどな。」

キリト(一夏)「それから京急に乗り入れてる都営地下鉄浅草線の逝っとけダイヤ、ていうか神ダイヤといえば・・・」

キリト(一夏)「羽田空港行きの電車に翼が生えて空の飛行機に直通!」

まどか「それ絶対無理だよ。電車が空を飛ぶなんて」

キリト(一夏)「まあ神でもいないと無理だな。」

キリト(一夏)「京急といえば2011年3月12日、東日本大震災翌日に究極の逝っとけダイヤがあった。」

まどか「震災の翌日?」

キリト(一夏)「ところで震災にまつわるエピソードといえば何が思いつく?」

まどか「私は、あの有名な魔法少女アニメが延期になったことだね。」

キリト(一夏)「それも重要だけど、京急ではいつもは京急蒲田で分かれて空港線の羽田空港までしか乗り入れない北総車3050形が震災の翌日のこの日だけ三崎口まで乗り入れたんだ。」

キリト(一夏)「ちなみに今は昔、定期列車として京成車の三崎口行きはあった。その折り返しは三崎口発成田行きという100キロを越える長距離列車だった。北総車に新逗子行きというのもあったらしいな。」

キリト(一夏)「もっとも写真もないし事実しか聞いたことない。」

キリト(一夏)「今でも三崎口から成田空港までの長距離列車はあるが運用は京急車か都営車に統一されている。」

キリト(一夏)「京成車と北総車は羽田空港までとギリギリ東京までしか乗り入れることはないのだが、この日だけ北総車の神奈川県内乗り入れが奇跡の大復活というわけだ。」

キリト(一夏)「まあお正月の定番行事、箱根駅伝のときは踏切の関係で京急川崎まで京成車と北総車が乗り入れてたこともあったそうだ。」

まどか「そうなんだ。」

キリト(一夏)「そういえば箱根駅伝といえば2011年、ゴール直前でコースを間違える学校が出て有名になった。」

キリト(一夏)「國學院大学だ。シード権獲得の10位争いの最中、車につられてコースを間違えて曲がってしまった。」

キリト(一夏)「その選手の名前は寺田夏生。」

キリト(一夏)「なんとかシード圏内の10位を死守したが、もし11位になってシードを落としてたら伝説になってたな。」

ユイ(加奈絵)「パパ・・・しゃなくて一夏君、話が大きく逸れてますよ!」

ユイ(加奈絵)「電車とか駅伝の話なんかしてる場合じゃないでしょ!」

キリト(一夏)「そうだったな。すまん。」

キリト(一夏)「鹿目さん、美樹さん、逝っとけダイヤかどうかはわからないけど、どうやらバスで風見野には行けないようなんだ。」

キリト(一夏)「仕方ないから歩いて行こうかと思うんだが、どうやって行けばいい?」

さやか「風見野ならそこの三叉路を左に曲がれば行けるよ。」

キリト(一夏)「そうか。ありがとう。」

キリト(一夏)「じゃあ加奈絵、行こう。」

こうして美樹さんに案内されたとおりの三叉路に向かって歩いていたのだが・・・

キリト(一夏)「なあ、あの三叉路までこんなに距離あったっけ?」

ユイ(加奈絵)「ううん、もうとっくに着いてなきゃおかしいです」

ユイ(加奈絵)「あ、一夏君!後ろを見てください。」

キリト(一夏)「なんだ?」

ユイ(加奈絵)「あっ・・・」

曲がるはずの三叉路は後ろにあった。もうとっくに通り過ぎていたのだ。

キリト(一夏)「いつのまにか通り過ぎてたみたいだな。」

ユイ(加奈絵)「なんで通り過ぎたんですか?」

キリト(一夏)「わかんない。責めたければ責めればいいさ。」

ユイ(加奈絵)「いや、この程度のことで責めたりはしないですよ。」

キリト(一夏)「戻ろう」

来た道を引き返し、再び三叉路に向かったのだが・・・

ユイ(加奈絵)「一夏君!」

俺もユイ(加奈絵)は驚愕とした。
またしても三叉路はとっくに通り過ぎていた。

キリト(一夏)「また通り過ぎたってこと。」

ユイ(加奈絵)「二回目ですよ」

キリト(一夏)「ウ・・・ウソだろ」

ユイ(加奈絵)「あなたも私も、あんな大きな三叉路を気づかずに素通りするほど、バカじゃないはずですよね?」

ユイ(加奈絵)「しかも二回も」

キリト(一夏)「こいつは、幻覚か何かか?」

キリト(一夏)「バスの逝っとけダイヤ・・・、っていうか突然の行き先変更の次は見えない三叉路・・・」

キリト(一夏)「まさか俺たちを見滝原の外に出さないようにしてるのか?」

ユイ(加奈絵)「それだともう元の世界にも戻れないってこと?」

そのとき俺は、SAOに閉じ込められた2年、無人島から帰れなくなった30年の生活を思い出した。

キリト(一夏)「もしこの世界から出られなくなったりしたら、また何年も、何十年も帰れなくなるのか」

キリト(一夏)「なんてことだ。またみんなと会えなくなってしまうのか!」

キリト(一夏)「特にアスナとは会わずに来たんだぞ!」

キリト(一夏)「こんなことになるくらいなら一目見ておけばよかった・・・。」

ユイ(加奈絵)「大丈夫ですよ。大丈夫ですよね・・・」

ユイ(加奈絵)「私ももうママに会えなくなるのは嫌です・・・」(グス)

このあと、今日の出来事をリズベット(織斑円)に話した。
風見野行きのバスに乗ったら途中で突然見滝原循環というバスに変わったこと、途中で三叉路を素通りしてしまい、風見野に行こうとしても行けないこと。

キリト(一夏)「俺たち、もうこの異世界から出られないかもしれない。」

リズベット(円)「それ困るよ。まだやり残したこといっぱいあるのに。」

キリト(一夏)「とはいえ茅場ならともかく、あのクライン、じゃなくて冬木が俺たちを異世界に閉じ込めるわけがない。きっと出れるさ。」

ユイ(加奈絵)「冬木さんから連絡です。」

クライン(冬木)「一夏君、君はもうこの異世界の見滝原から出られなくなっていることに気づいていると思う。」

クライン(冬木)「これはバグではないぞ。この世界の本来の仕様だ。」

リズベット(円)「これなんてデジャブ?」

キリト(一夏)「その言い方やめろ!お前が茅場に見えてくる!」

クライン(冬木)「この異世界から脱出する方法はただ1つ、このミッションをクリアすればよい。」

キリト(一夏)「おい、マジでSAOと同じじゃねえか。お前まさか茅場に操られてるのか?」

クライン(冬木)「そんなんじゃねえよ。」

クライン(冬木)「安心しろ。SAOみたいに2年もかかることはないだろう。なぜならステージは1つしかない。」

クライン(冬木)「いわば第1層しかないアインクラッドみたいなものだ。第1層くらいすぐにクリアできるだろ?」

クライン(冬木)「とはいえ君たちだけでは無理だろう。この世界から脱出するには、要注意人物に指定した巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子の3人の魔法少女の助けを借りる必要がある。」

キリト(一夏)「魔法少女?あの3人魔法少女だったのか?」

クライン(冬木)「そうだ。今の君たちと同じ部類だ。」

ということは無人島で死んだ、あのサチと同じ部類か。

クライン(冬木)「ただ注意してほしいのは、魔法少女たちはまだここが異世界であることに気づいていない。」

クライン(冬木)「しかしその3人に君から異世界に閉じ込められていると言ってはいけないことだ。」

クライン(冬木)「そうすると厄介なことになってこのミッションに失敗する恐れがある。」

キリト(一夏)「じゃあどうすれば?」

クライン(冬木)「彼女たちにも自然に気づいてもらうしかない。まあ直に気づくさ。既に気づいてるものもいるみたいだ。」

クライン(冬木)「ちなみに超要注意人物の暁美ほむらも魔法少女だ。だが彼女はこの脱出ミッションには協力してくれないかもしれない。」

キリト(一夏)「なぜだ?」

クライン(冬木)「何しろ超要注意人物だからな。何をやらかすかわからない。」

クライン(冬木)「あと注目人物の2人、上条恭介と志筑仁美は魔法少女ではない。だからこの2人も脱出ミッションには参加できない。」

キリト(一夏)「じゃあもう1人の超要注意人物、鹿目まどかは魔法少女なのか?」

クライン(冬木)「そうだとも言えるし。そうでないとも言える。元魔法少女とでも言うべきかな。」

クライン(冬木)「彼女は本来見滝原中学の生徒ではないと言ったが、実はその中学校の生徒であるどころか、本来はこの世界には存在しない人間なんだ。」

キリト(一夏)「この世界には存在しない?」

クライン(冬木)「この異世界にだけ存在する、いわば架空のキャラクターだ。」

クライン(冬木)「ただしノンプレーヤーキャラクター、NPCではない。」

クライン(冬木)「本来存在しないキャラクターということで、鹿目まどかも今回の脱出ミッションへの協力は不可能だ。」

クライン(冬木)「ポイントは巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子の3人。」

クライン(冬木)「それではプレイヤー諸君、健闘を祈る。」

クライン(冬木)の言ったとおり、この街が異世界であることに魔法少女たちはすぐに気づいたようだ。

見滝原生活7日目

まず美樹さやかは最初からここが異世界であることに気づいていたようだ。

夕方、暁美ほむらと佐倉杏子が前日の俺たちと同じく風見野行きのバスに乗って途中で見滝原循環に変わるという現象に遭った。
その直後、これも俺たちと同様歩いて風見野に向かおうとして三叉路を素通りしてしまう現象に遭った。
これで暁美ほむらと佐倉杏子の2人がここが異世界であることに気づいた。

そのあと、暁美ほむらと巴マミのバトルが行われた。バトルというよりまるで喧嘩だ。
何があったか知らないが、暁美ほむらが巴マミの友達をいじめたのが原因らしい。

そのとき、百江なぎさという謎の登場人物が現れた。

マミ「どういうこと、一体?」

なぎさ「それは私の口から説明するのです」

マミ「え?あなたは・・・ベベ?」

なぎさ「今まで黙っていてごめんなさい。でも、落ち着いて話を聞いて欲しいのです。」

この百江なぎさの説明により巴マミもここが異世界であることを知る。

・・・
ほむら「私もついさっき、一番肝心なことを思い出したわ。巴マミが思い出した記憶は、魔女ではなく魔獣との戦い。」

ほむら「佐倉杏子が魔女の結界という可能性を推理しなかったのも、魔女のことを忘れてたからじゃない。2人は、魔女なんて存在は知らないんだわ。」

ほむら「当然よ、もうこの宇宙には、魔女なんて存在しない。すべての魔法少女の魂は、魔女になる前に、円環の理に回収される。そうなるように、あの子が世界を作り替えた。彼女自身を犠牲にしてね。」

さやか「そうか。あんたは覚えてるんだっけね。」

ほむら「そうよ。覚えているのは、ただ1人。私だけだったはず。」

ほむら「ここにはそもそもありえないはずの存在が3ついる。1つは、この結界を作った魔女。もう1つは、魔女の姿のままのべべ。そして最後は、魔女のことを知っている、あなた。」

ほむら「あなたは何者?本当に、美樹さやかなの?」

・・・
ゆきあつの家での俺たちの会話

キリト(一夏)「俺たちをこの異世界に閉じ込めた黒幕なんだが、やっぱり怪しいのは鹿目まどかかな。」

キリト(一夏)「もともと超要注意人物に指定されてた上、本来この世界には存在しない人間だって。」

キリト(一夏)「つまり人間以外のなにか、怪物が異世界を作り出したってことなんだろう。」

ゆきあつ「俺もそんな気がする。」

ユイ(加奈絵)「私もそう思います。」

キリト(一夏)「アインクラッドでいえば鹿目まどかがこの層のボス、つまり鹿目まどかを倒せばゲームはクリアされこの異世界から脱出できるってことでしょう。」

キリト(一夏)「でもボスにしては強そうな気配はないな。俺と普通に話して、親切に道案内してくれたし。」

ユイ(加奈絵)「これは1つの説ですが、今見滝原中学に通ってる鹿目まどかという女の子は偽物で、この人の真の姿がボスとして現れるんじゃ・・・。」

そのとき、リズベット(織斑円)とあかねが帰ってきた。

リズベット(円)「一夏・・・」

キリト(一夏)「どうしたリズ・・・、じゃなく円・・・だとあの黒幕と被るな、織斑。」

リズベット(円)「さっきあたしが見てる目の前でバスが・・・、バスガス爆発・・・」

キリト(一夏)「早口言葉?」

あかね「さっきバスが突然燃えたんです。」

その日、バスの炎上事故が発生した。それをたまたま現場に通りかかったリズベット(織斑円)とあかねが目撃していた。
バスガス爆発・・・、なんて早口言葉で片付けられる問題ではない。
事故というよりも事件に近い状態だった。

これを見てリズベットはものすごく青ざめていた。

あかね「円ちゃん、今にも泣きそうだよ。」

リズベット(円)「泣きたいよ・・・」

あかね「確かにあれはショッキングな映像だったけど、何もそこまで落ち込まなくても。」

リズベット(円)「あたしの住んでる街で、最近火災が2件も起きたの。」

リズベット(円)「友達の家と、公園の滑り台・・・。」

リズベット(円)「そして今日はバスの炎上事故。」

リズベット(円)「あたしの周りで短期間に火災が3件も・・・」

リズベット(円)「あたしってなにか呪われてるのかも・・・」

ゆきあつ「考えすぎだって。火災なんて全国あちこちで起きてるぞ。」

キリト(一夏)「そうだ。シリカの家と公園の滑り台の火災は関係あるかもしれないが、今日のバスの炎上事故は他の2つとは無関係だろう。」

キリト(一夏)「それよりこの異世界に俺たちを閉じ込めたのは誰かという話をしてたんだ。」

キリト(一夏)「俺も加奈絵や松雪も、鹿目まどかが怪しいという結論に至った。」

キリト(一夏)「今回のゲームのラスボス。このボスを倒すためにあの巴マミと美樹さやかと佐倉杏子に協力してもらうってことか。」

キリト(一夏)「暁美ほむらは協力してくれないのかな?」

ユイ(加奈絵)「冬木さんから連絡です。」

クライン(冬木)「鹿目まどかが黒幕と推理したようだが、それは違う。」

クライン(冬木)「鹿目まどかもこの事件を左右する重要な人物ではあるが、今回の事件の黒幕は別にいる。」

キリト(一夏)「え?じゃあ誰なんだ?」

クライン(冬木)「この映像を見てほしい。これはインキュベーターという生物の発言記録だ。」

クライン(冬木)「答えを先に言ってしまうと、今回の黒幕は暁美ほむらだ。」

キリト(一夏)「何?」

クライン(冬木)「この異世界を作り出したのも暁美ほむら、ここをゲームとすればこのゲームのラスボスも暁美ほむらだ。」

クライン(冬木)「この映像を見てくれ」

第8話に続く

第9話 円環の理

クライン(冬木)が用意した映像をユイ(加奈絵)を通じてテレビ画面に放映した

・・・
ほむら「希望を願い、呪いを受け止め、戦い続ける者たちがいる。それが魔法少女」

ほむら「奇跡をつかんだ代償として、戦いの運命を課された魂。」

ほむら「その末路は消滅による救済。この世界から消え去ることで、絶望の因果から解脱する…」

ほむら「いつか訪れる終末の日。“円環の理”の導きを待ちながら、私たちは戦い続ける。

ほむら「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、この救いようのない世界で…。」

ほむら「あの、懐かしい笑顔と、再び巡り会うことを夢見て…」


まどか「むかしむかし、みらいのむこう、おんなのこたちは、ほしからきたどうぶつととりひきしました。」

まどか「なんでもひとつだけねがいごとをかなえてもらうかわりに、まほうのちからをあたえられ、おそろしいかいぶつたちとたたかうのです」

まどか「あらゆるせかいのおんなのこが、ねがいをかなえてもらい、かぞえきれないおんなのこが、かいぶつたちとたたかい、やがてだれもがちからつきていきました」

まどか「まほうをもったおんなのこたちには、ひみつのうわさばなしがながれております。このよからきえてしまうそのときには、まほうのかみさまがおこしになられて、すべてのまほうのおんなのこたちが、すてきなおくにへみちびかれるのです。」

まどか「かなしむこともにくしむこともない、すてきなおくにへ、みちびかれるのです」

訂正
第8話 円環の理

QB「真実なんて知りたくもないはずなのに、それでも追い求めずにはいられないなんて、つくづく人間の好奇心というものは、理不尽だね」

QB「まあ、君ならいずれはきっと、答えにたどり着くだろうとは思っていたよ、暁美ほむら」

ほむら「インキュベーター。やっぱり、何もかも、あなたの仕業だったのね」

QB「残る疑問は、君の命と魂が、今どこにあるのかだよね?その答えは、僕が教えてあげる」

QB「これがこの偽物の見滝原市の外側、現実世界の君の姿だよ」

ほむら「そんな・・・」

QB「僕たちの作り出した干渉遮断フィールドが、君のソウルジェムを包んでいる。」

QB「すでに限界まで濁りきっていたソウルジェムを、外からの影響力が一切及ばない環境に閉じ込めた時、何が起こるのか」

ほむら「実験・・・」

QB「魔法少女を浄化し、消滅させる力。君たちが“円環の理”と呼んでいる現象から隔離された時、ソウルジェムはどうなるのか?」

QB「確かに興味深い結果を観察させてもらったよ。」

QB「独自の法則に支配された閉鎖空間の形成と、外部の犠牲者の誘導、捕獲。」

QB「これこそまさしく、いつか君が説明してくれた、魔女とやらの能力、そのものだよね」

QB「遮断フィールドに保護されたソウルジェムが、まだ砕けていない以上、君は完全な形で、魔女に変化できたわけでもない。」

QB「卵を割ることができなかったヒナが、殻の中で成長してしまったようなものだね。」

QB「だから君は、自らの内側に結界を作り出すことになった。まさか、街1つを丸ごと模倣して再現できるとは、驚きだ。」

QB「ここはね、君のソウルジェムの中にある世界なんだよ」

ほむら「その理屈は変よ。外部と遮断されているなら、この結界に誰かが迷い込むことだって、なかったはすでしょ?」

QB「そこは僕たちが、調整してるのさ」

QB「フィールドの遮断力は、あくまで一方通行だ。外からの干渉ははじくけれど、内側からの誘導で、犠牲者を連れ込むことはできる。」

QB「魔女としての君が、無意識のうちに求めた標的だけが、この世界に入り込めるんだ。」

QB「ここまで条件を限定したうえで、なおも“円環の理”なる存在が、あくまで暁美ほむらに接触しようとするならば、その時は、君の結界に招き入れられた、犠牲者という形で、この世界に具現化するしかない。」

QB「そうなれば、僕たちインキュベーターは、これまで謎だった、魔法少女消滅の原因を、ようやく特定し、観測することができる。」

QB「実際、君が作った結界には、現実世界にはすでに存在しないキャラクターが、奇妙な形で参加している。」

QB「とりわけ興味深いのは、過去の記憶にも、未来の可能性にも存在しない、1人の少女だ。」

QB「この宇宙と一切の因果関系がない存在なのに、彼女は何の違和感もなく君の世界に紛れ込んできた。」

QB「まあ、そもそも最初から捜す必要さえなかったんだ。手間を省いてくれたのは、君自身なんだよ、暁美ほむら。」

QB「君は以前から“円環の理”のことを“鹿目まどか”という名前で呼んでいたからね」

ほむら「じゃあ、あの子はやっぱり…」

QB「唯一やっかいだったのは、鹿目まどかが、未知の力を発揮するそぶりをまったく見せなかったことだ。」

QB「結界の主である君の記憶操作は、まどかに対しても作用してしまったみたいだね。彼女は君を救済するという目的だけでなく、自分自身の力と正体さえ見失っていたようだ。これでは手の出しようがない」

QB「鹿目まどかは、神であることを忘れ、暁美ほむらは、魔女であることを忘れ、おかげで僕らは、こんな無意味な堂々巡りにつきあわされることになった。」

QB「まあ、気長に待つつもりでいたけれど、君が真相にたどり着いたことで、ようやく均衡も崩れるだろう。さあ、暁美ほむら。まどかに助けを求めるといい。」

QB「それで彼女も思い出す。自分が何者なのか、何のためにここに来たのかを。」

ほむら「インキュベーター、あなたのねらいは何?」

QB「もちろん、今まで仮説にすぎなかった“円環の理”を、この目で見届けることだよ」

ほむら「何のために?好奇心なんて理不尽だって言ってたくせに、まどかの存在を、ただ確認するために、こんな大げさな段取りまで用意するわけがない」

ほむら「まどかを、支配するつもりね!」

QB「最終的な目標については否定しないよ。まあ道のりは困難だろう。」

QB「この現象は、僕たちにとってまったくの謎だった。存在すら確認できないものは、手の出しようがないからね」

ほむら「それで諦めるあなたたちじゃないわ」

QB「そうだね。観測さえできれば干渉できる。干渉できるなら、制御もできる。いずれ僕たちの研究は“円環の理”を完全に克服するだろう。そうなれば、魔法少女は魔女となり、さらなるエネルギーの回収が期待できるようになる。」

QB「希望と絶望の相転移、その感情から変換されるエネルギーの総量は、予想以上のものだったよ。」

QB「やっぱり魔法少女は、無限の可能性を秘めている。君たちは、魔女へと変化することで、その存在を全うするべきだ」

ほむら「いいえ、そんな幸福は、求めてない」

QB「なぜ怒るんだい?君にはもう関わりのない話だ。暁美ほむらの存在は完結した。」

QB「君は過酷だった運命の果てに、待ち望んでいた存在と、再会の約束を果たす。これは、幸福なことなんだろう?」

ほむら「いいえ、そんな幸福は、求めてない」

QB「そんな・・・自ら呪いを募らせるなんて、何を考えているんだ?浄化が間に合わなくなるよ!」

ほむら「今のあなたが知るはずもないけれど、私はね、まどかを救う、ただそれだけの祈りで、魔法少女になったのよ。」

ほむら「だから今度も同じこと。まどかの秘密が暴かれるくらいなら、私は、このまま、魔女になってやる!」

ほむら「もう二度と、インキュベーターにあの子は触らせない!」

QB「君はそんな理由で救済を拒むのかい?このまま、永遠の時を、呪いと共に過ごすつもりなのか?」

ほむら「大丈夫、きっとこの結界が、私の死に場所になるでしょう。ここには、巴マミも、佐倉杏子もいる。彼女たちを信じるわ」

QB「バカな・・・この遮断フィールドの内側で死ぬことが何を意味するのか分かっているのかい?殻を破ることすら拒んで、卵の中で魔女として完成してしまったら…。」

QB「君は“円環の理”に感知されることすらなく破滅する。」

QB「もう誰も、君の魂を絶望から救えない。君は再び、鹿目まどかと巡り会うチャンスを永久に失うんだよ?」

QB「君にとっても最悪の結末だろうに。まったく、どうして人間の思考は、こうも理不尽なんだい?」

ほむら「黙りなさい!」

・・・
クライン(冬木)「一夏、織斑円ちゃん、加奈絵ちゃん、あかねちゃんはドッキングによって誕生した魔法使いでこの世界における魔法少女とは違う存在だ。」

クライン(冬木)「この世界でも魔法少女はすべてインキュベーターという生き物との契約によって誕生したんだ。」

クライン(冬木)「魔法少女はその魂、ソウルジェムが濁り切ると消滅する。それを円環の理というんだ。」

キリト(一夏)「円環の理・・・」

そうだ。無人島にいるとき、サチが消える間際にそのような言葉を言っていた気がする。
俺の感覚ではもう27年前になるが・・・。
あれを円環の理というのか。

クライン(冬木)「今のビデオで言ってたように、今回インキュベーターは円環の理を見届けるために濁り切る直前の暁美ほむらのソウルジェムを外の世界から遮断し、このような結界を作り出すことになった。」

クライン(冬木)「この結界の中にいる人間は暁美ほむらが無意識のうちに選んだ人間だけ。」

クライン(冬木)「しかし一夏たち魔法使いはドッキングすることによってこの結界に入り込むことに成功したわけだ。」

クライン(冬木)「君たちをこの結界の中に送った目的はただ1つ、この結界の中での暁美ほむらの暴挙を阻止するためだ。」

キリト(一夏)「それって暁美ほむらがこの結界の中で死のうとしてるのを阻止するってことか?」

クライン(冬木)「そうだな。まあそれだけでなく、まだ他にもやることがあるが、まずは暁美ほむらがここで呪いを生んで消滅しないようにしねければならない。。」

クライン(冬木)「もしこのまま暁美ほむらがこの結界の中で死んでしまったら、この結界の中の人間も、そして君たちも、もう永久に外には出られなくなる。」

リズベット(円)「え?それって・・・」

クライン(冬木)「君たちはもう元の世界の人とは会えなくなるってことだな。」

キリト(一夏)「そんな・・・もうあいつらに会えなくなるのか・・・」

キリト(一夏)「アスナや、スグや、父さんや母さん、シリカやエギルと・・・」

キリト(一夏)「ユイやリズやクラインはここにいるけど・・・」

リズベット(円)「あたし、もう家族や友達と会えなくなるの嫌だ・・・」

ユイ(加奈絵)「私も、ママとお別れすることになるなんて嫌です。」

あかね「私も元の世界に大切な人がいるのに・・・」

あかね(あおいちゃんとの約束もあるし。)

ゆきあつ「俺も大切な仲間がいるんだ。あいつらに会えなくなったら・・・」

キリト(一夏)「冬木、お前、こんな危険な戦いに俺たちを巻き込んだのか!」

クライン(冬木)「それはすまないと思ってる。でも何としても君たちに助けてほしかったんだ。」

クライン(冬木)「これは君たちにしかできないことなんだ。」

キリト(一夏)「そうか。わかったよ。」

キリト(一夏)「何としても暁美ほむらの暴走を阻止しよう!」

キリト(一夏)「おー!」

クライン(冬木)「なあ一夏、お前は好きな人ためなら[ピーーー]るか?」

キリト(一夏)「好きな人? アスナのことか?」

キリト(一夏)「そうだな。[ピーーー]るよ。アスナのためなら。俺はあいつを死ぬ気で守りたい。」

クライン(冬木)「本気でそう思ってるならお前はバカだな。それはとても愚かな考えだ。」

キリト(一夏)「何?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、残された人、アスナちゃんはどうするんだ?」

キリト(一夏)「え?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、アスナちゃんが泣くだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんだけじゃない。お前の両親や妹さんや友達もみんな悲しむだろ。」

クライン(冬木)「お前が死ぬことなどアスナちゃんが望んでるわけがない。」

クライン(冬木)「アスナちゃんのことが本当に好きなら、その子が望まないことをしてはダメだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんのためなら[ピーーー]るなんて、結局それは自分が[ピーーー]ばいいとか勝手に考えてる、自己満足なんだよ。」

キリト(一夏)「そうだったのか。俺が間違ってたよ。」

まさか、俺がクラインに怒られるとは。
今までの俺は間違ってたんだとつくづく思った。

クライン(冬木)「今回俺がこういう話をしたのは、暁美ほむらが同じように考えてるからだ。」

クライン(冬木)「彼女は鹿目まどかのために死のうとしてるというか、鹿目まどかの望まないことをしようとしてる。」

クライン(冬木)「一夏、今俺が言ったことを暁美ほむらにも言ってやってほしい。」

キリト(一夏)「わかったよ。」

クライン(冬木)「なあ一夏、お前は好きな人ためならしねるか?」

キリト(一夏)「好きな人? アスナのことか?」

キリト(一夏)「そうだな。[ピーーー]るよ。アスナのためなら。俺はあいつを死ぬ気で守りたい。」

クライン(冬木)「本気でそう思ってるならお前はバカだな。それはとても愚かな考えだ。」

キリト(一夏)「何?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、残された人、アスナちゃんはどうするんだ?」

キリト(一夏)「え?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、アスナちゃんが泣くだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんだけじゃない。お前の両親や妹さんや友達もみんな悲しむだろ。」

クライン(冬木)「お前が死ぬことなどアスナちゃんが望んでるわけがない。」

クライン(冬木)「アスナちゃんのことが本当に好きなら、その子が望まないことをしてはダメだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんのためならしねるなんて、結局それは自分が[ピーーー]ばいいとか勝手に考えてる、自己満足なんだよ。」

キリト(一夏)「そうだったのか。俺が間違ってたよ。」

まさか、俺がクラインに怒られるとは。
今までの俺は間違ってたんだとつくづく思った。

クライン(冬木)「今回俺がこういう話をしたのは、暁美ほむらが同じように考えてるからだ。」

クライン(冬木)「彼女は鹿目まどかのために死のうとしてるというか、鹿目まどかの望まないことをしようとしてる。」

クライン(冬木)「一夏、今俺が言ったことを暁美ほむらにも言ってやってほしい。」

キリト(一夏)「わかったよ。」

クライン(冬木)「なあ一夏、お前は好きな人ためならしねるか?」

キリト(一夏)「好きな人? アスナのことか?」

キリト(一夏)「そうだな。しねるよ。アスナのためなら。俺はあいつを死ぬ気で守りたい。」

クライン(冬木)「本気でそう思ってるならお前はバカだな。それはとても愚かな考えだ。」

キリト(一夏)「何?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、残された人、アスナちゃんはどうするんだ?」

キリト(一夏)「え?」

クライン(冬木)「お前が死んだら、アスナちゃんが泣くだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんだけじゃない。お前の両親や妹さんや友達もみんな悲しむだろ。」

クライン(冬木)「お前が死ぬことなどアスナちゃんが望んでるわけがない。」

クライン(冬木)「アスナちゃんのことが本当に好きなら、その子が望まないことをしてはダメだろ!」

クライン(冬木)「アスナちゃんのためならしねるなんて、結局それは自分が[ピーーー]ばいいとか勝手に考えてる、自己満足なんだよ。」

キリト(一夏)「そうだったのか。俺が間違ってたよ。」

まさか、俺がクラインに怒られるとは。
今までの俺は間違ってたんだとつくづく思った。

クライン(冬木)「今回俺がこういう話をしたのは、暁美ほむらが同じように考えてるからだ。」

クライン(冬木)「彼女は鹿目まどかのために死のうとしてるというか、鹿目まどかの望まないことをしようとしてる。」

クライン(冬木)「一夏、今俺が言ったことを暁美ほむらにも言ってやってほしい。」

キリト(一夏)「わかったよ。」

見滝原生活7日目

俺はちょうど見滝原中学で隣の席である暁美ほむらと話すことにした

キリト(一夏)「君は好きな人がいるのか?」

ほむら「そうね。いるわ。好きな人というか、大切な人が。」

こういう話を男が女にするのはある意味危険かもしれないな。

キリト(一夏)「そうか。俺にも大好きな人がいるんだ。」

キリト(一夏)「でもどんなに好きで、大切な存在でも、その人のためならしねるなんて絶対に思っちゃいけないぞ。」

ほむら「え?」

キリト(一夏)「それはその人が望まないことだ。」

キリト(一夏)「それは自分がしねばいいとか勝手に考えてる、自己満足なんだよ。」

キリト(一夏)「その人のことが本当に好きなら、その人が望まないことをしてはダメだ。」

ほむら「そんなのわかってるわよ・・・」

ほむら「まどか・・・」

・・・
暁美ほむらの回想

まどか「ほむらちゃん、独りぼっちになったらダメだよ。私なんかでも、話を聞くことぐらいなら…。」

まどか「何にも役に立てないかもしれないけれど、それでも、1人で悩んでるよりは、ずっといいと思うの。」

まどか「ほむらちゃんが苦しんでる時に、何もできないなんて…。私だってつらいよ」

ほむら「私ね、とても怖い夢を見たの」

まどか「夢?」

ほむら「あなたが、もう二度と会えないほど遠いところに行っちゃって、なのに世界中の誰もかもが、そのことを忘れちゃって…。私だけが、まどかのことを覚えてるたった1人の人間として取り残されて…」

ほむら「さみしいのに…悲しいのに…その気持ちを誰にも分かってもらえない。そのうちに、まどかの思い出は、私が勝手に作り出した絵空事じゃないかって…自分自身さえ信じられなくなって…」

まどか「うん…それはとっても嫌な夢だね。でも大丈夫だよ。私だけが誰にも会えなくなるほど遠くに1人で行っちゃうなんて、そんなことありっこないよ」

まどか「だって私だよ。ほむらちゃんでさえ泣いちゃうようなつらいこと、私が我慢できるわけないじゃない」

ほむら「どうして?なぜ、そう言い切れるの?」

まどか「そうだよ、ほむらちゃん、さやかちゃん。マミさんに、杏子ちゃん。パパやママやタツヤ。それに、仁美ちゃんやクラスのみんな。誰とだってお別れなんてしたくない。もし他にどうしようもない時だったとしても、そんな勇気私にはないよ」

ほむら「あなたにとっても、それは我慢できないほどつらいこと?」

ほむら「そう…そうだったのね。それがあなたの、本当の気持ちなら…。私、なんてバカな間違いを…。やっぱり、認めちゃいけなかったんだ。あの時私は、どんな手を使ってでも、あなたを止めなきゃいけなかった。まどか…」

ほむら「あなたにはね、どれほどつらいことだと分かっていても、それを選択できてしまう勇気があるの。あなたが…あなたにしかできないとこがあると知った時、あなたは、自分でも気づいていないほど、優しすぎて強すぎる。私ね、知ってるんだよ」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「そっか、やっぱりまどかも、何も覚えてないんだね。もしかしたら、あなたは幻かもしれないって。誰かが用意した偽物かもしれないって思ってた…。でなければ、こうしてまた会えるなんて…。どう考えてもおかしいもの。でも分かる、あなたは本当のまどかだわ。こんなふうに一緒に話ができて、もう一度また優しくしてくれて、本当にうれしい。ありがとう、それだけで十分に、私は幸せだった。もう行くわ。私、まだやり残したことがあるから」

まどか「ほむらちゃん?」

・・・
ほむら(大切な人のためならしねる。)

ほむら(まどかがまさにそういう人だったわ。)

ほむら(もし中沢君が今のことをまどかに言ってくれていたら・・・)

リズベット(円)「暁美さん。」

ほむら「織斑さん。」

リズベット(円)「あたしね、好きな人がいて、その人のこと今でも好きなんだけど。」

リズベット(円)「前、告白してフラれちゃったんだ。」

リズベット(円)「でもいいの。その人が幸せなら」

リズベット(円)「あたし、元々自分が付き合うより人の恋愛を見てるほうが好きなんだよね。」

リズベット(円)「その人が幸せなら、あたしも幸せ。」

リズベット(円)(あたしがBLに、男の子同士の恋愛に萌えてるのもそれがあるのかもしれないな。口には言えないけど。)

リズベット(円)「あんたがあたしみたいな価値観になるのは難しいかもしれないけど、少なくとも好きな人が悲しむことはしちゃいけないと思うよ。」

・・・
そしていよいよ魔女との戦いが始まる。

マミ「あれが魔女」

さやか「怖がらないでやって。ああ見えて、一番辛いのはあいつ自身なんだ。」

杏子「笑えねえな。」

QB「待ってくれ。あれは暁美ほむらなんだ。君たちは仲間と戦う気かい?」

マミ「キュゥベえ」

杏子「へえ、あんた普通にしゃべれたんだ。」

QB「まどか、君ならほむらを救えるはずだ。君が持っている本当の能力に気づきさえすれば。」

まどか「あ・・・」

さやか「そいつは、ほっときな、まどか。大丈夫、さっきあたしが教えた通りにやればいい」

まどか「うん」

キリト(一夏)「俺たちにも手伝わせてくれねえかな。」

まどか「中沢君と織斑さん?それとあとの2人は」

あかね「私は一色あかね。」

ゆきあつ「俺は松雪集」

マミ「あなたたち、魔法少女だったの?」

リズベット(円)「まあ、あんたたちとは別の系統の魔法少女なのだんだけどね。」

キリト(一夏)「ほむらには会いたい人がいる。そして、俺にも会いたい人がいるんだ。」

あかね「私も外の世界に大切な人が待ってるからね。」

ゆきあつ「がんばろう。」

さやか「あわてなさんな。あんたを外に出そうってわけじゃ、ない!」

QB「君たちは一体・・・」

なぎさ「私たちは、かつて希望を運び、いつか呪いを振りまいたものたち」

さやか「そして今は円環に導かれ、この世の因果を外れた者たち」

さやか「こうすればあんたの目を盗んで立ち回れると思ったのさ、インキュベーター。」

さやか「まどかだけに狙いを絞って、まんまと引っかかってくれたわね。」

QB「そんな。じゃあ君たちもまた、円環の理。」

さやか「まあ、要するに、かばん持ちみたいなもんですわ。まどかが置いていった記憶と力を、誰かが運んであげなきゃならなかったからね」

なぎさ「いざとなったら、私かさやかか、どっちが無事なほうが、預かっていた本当の記憶をまどかか返す手はずだったので。」

さやか「ほむら1人を迎えに行くのに、3人がかりなんてね。」

さやか「ずいぶんと手間かけさせてくれたもんだけど。まあ、あいつのためならしかたないか。」

さやか「ここまで頑張ってきたヤツには、それなりのご褒美があってもいいもんね」

まどか「さやかちゃん」

マミ「鹿目さん、私たちも行くわよ。」

まどか「はい。」


サチ「私にも手伝うわよ。」

キリト(一夏)「サチ」

サチ「私も一度円環に導かれたけど、今回のために今日だけ戻ってきたわ。」

サチ「あとキリトにこれだけは伝えたかった。」

サチ「結局元の世界には戻れなかったけど、私幸せだよ。」

キリト(一夏)「サチ・・・」

サチ「さあ戦いよ」

この遮断フィールドを壊す戦いだ。

ほむら「やめて・・・。もうやめて!私はこの世界で死ななきゃならないの。」

さやか「だ~か~ら、1人で背負い込もうと、するなってぇの!」

杏子「チッ、訳分かんね~ことに巻き込みやがって」

さやか「おっと。サンキュ!」

杏子「胸くそ悪くなる夢を見たんだ。あんたが死んじまう夢を」

杏子「でも本当はそっちが現実で、今こうして2人で戦ってるのが夢だって・・・。そういうことなのか?さやか」

さやか「夢っていうほど、悲しいものじゃないよ、これ。何の未練もないつもりでいたけど。それでも、結局、こんな役目を引き受けて戻ってきちゃったなんて。」

さやか「やっぱりあたし・・・。心残りだったんだろうね。あんたを、置き去りにしちゃったことが…」

なぎさ「なぎさはもう一度チーズが食べたかっただけなのです」

さやか「うぇ・・・。おい、こら!空気読めっての!」


マミ「ティロ・フィナーレ」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「やめて・・・まどか」

なぎさ「見えた!インキュベーターの封印なのです。」

さやか「あれを壊せば、あんたは自由になれるんだ、ほむら。インキュベーターの干渉を受けないまま、外の世界で、本当のまどかに会える!」

・・・
まどか「ダメだよ、ほむらちゃん。独りぼっちにならないでってって、言ったじゃない」

ほむら「まどか…」

まどか「何があっても、ほむらちゃんはほむらちゃんだよ。私は絶対に見捨てたりしない。だから、諦めないで」

ほむら「うえーん」

ほむら「ごめんなさい・・・。私が意気地なしだった。もう一度、あなたと会いたいって、その気持ちを裏切るくらいなら、」

ほむら「そうだ・・・私はどんな罪だって背負える。どんな姿に成り果てたとしても、きっと平気だわ。あなたがそばにいてくれさえすれば・・・」

まどか「さあ、ほむらちゃん。一緒に・・・」

ほむら「ええ」

まどか「ほむらちゃん、怖くない?」

ほむら「ううん、大丈夫。もう私は、ためらったりしない…」

・・・
クライン(冬木)「実は、遮断フィールドを壊して外の世界に出てからが本当の勝負だ。」

キリト(一夏)「え?それはどういうことだ?」

クライン(冬木)「暁美ほむらは外の世界に出たあと、円環の理に導かれる直前、円環の理の力を引き抜いてしまうのだ。」

クライン(冬木)「それによって世界が改変、再構築される。」

キリト(一夏)「それってどういうことに?」

クライン(冬木)「世界の何もかも変わってしまう。我々の記憶も書き換えられるかもな。」

クライン(冬木)「それによって本来この世界に存在しない鹿目まどかと、既に円環の理に導かれて消滅した美樹さやかが人間としてこの世界に暮らすことになる。」

クライン(冬木)「だがそれによって何人か、何十人もの人間が消滅するだろう。」

キリト(一夏)「消滅?誰が消滅するんだ。」

クライン(冬木)「それはわからない。この街の人物の何人かは確実だろうが、この街だけではないだろう。」

クライン(冬木)「それはアスナちゃんかもしれないし、シリカちゃんかもしれない。キリト、つまりお前自身かもしれない。」

キリト(一夏)「それは大変じゃないか!」

クライン(冬木)「今回のクエストは、すべてこの暁美ほむらの企みを阻止することが目的だったんだ。」

クライン(冬木)「円環の理に導かれる直前、この銃で暁美ほむらを打つんだ。」

クライン(冬木)「この銃は記憶を思い出させて考え直させるものだ。特に害はない。」

クライン(冬木)「キリト、これは失敗はできない。チャンスは一度しかないからな。」

キリト(一夏)「わかった。」

・・・
こうして無事遮断フィールドを破壊し、外の世界に出ることができた。

キリト(一夏)「外の世界は今夕方なんだな」

マミ「あの結界の中で長い期間過ごしたけど、ここではどれくらい経ったのかしら?」

杏子「わかんねえよ。」

キリト(一夏)「多分そんなに時間は経ってないと思うよ。逆浦島太郎みたいらしいから。」

杏子「あれが、鹿目まどか?」

マミ「いつか私たちを導く、円環の理」

まどか「そうだった。私は、ほむらちゃんのために…。こんな大事なこと忘れてたなんて…」

さやか「まあ、よけいな邪魔が入ったからね。ちょっとした、回り道になっちゃったかな」

まどか「待たせちゃって、ごめんね。今日までずっと頑張ってきたんだよね」

まどか「さあ、行こう。これからはずっと一緒だよ」

ほむら「ええ、そうね。この時を…待ってた…」

キリト「よし、この時を待ってた。」

キリト「お前のそのふざけた考えを、この俺がぶち壊す!」

俺は暁美ほむらにその銃を打った。
そのとき、上空が真っ白になり、時間が止まったような感覚に見舞われた。

一瞬この言葉を思い出す
・・・
キリト(一夏)「その人のことが本当に好きなら、その人が望まないことをしてはダメだ。」

リズベット(円)「あんたがあたしみたいな価値観になるのは難しいかもしれないけど、少なくとも好きな人が悲しむことはしちゃいけないと思うよ。」
・・・
ほむら「私は、なんてことをしようとしてたんだろう・・・」

・・・
杏子「ほむら、行っちまったのか。」

マミ「そうね。無事円環の理に導かれたのよ。」

キリト(一夏)「美樹さんももういないんだよな?」

マミ「そうよ」

リズベット(円)「それだとこれからはあなたたち2人で戦わなければならないのね」

リズベット(円)「できればあたしが力を貸してあげたいところだけど、あたしも帰らなければならないし。」

杏子「大丈夫だよ。また仲間は増える。」

・・・
ほむら「まどか、ごめん、私、とんでもないことをしようとしてた。」

まどか「いいんだよ。それより無事に会えてよかった。」

まどか「それと紹介したい人がいるんだ。この子。」

サチ「初めまして、サチといいます。」

ほむら「サチさん?」

まどか「サチちゃんはクラスでほむらちゃんの隣の席の男の子、キリト君の昔の友達なんだって。」

ほむら「そうなの。あれ?私の隣って確か中沢君だったような。」

まどか「異世界ではキリト君が中沢君になりすましてたんだって。」

サチ「私もキリトとお別れするときは寂しかったけど、今はお空の上からキリトを見守ってます。」

まどか「私もずっとほむらちゃんや、みんなのことを見守ってたんだよ。」

まどか「だからほむらちゃんもこれからはそういう役割なんだよって」

ほむら「まどか・・・」

第9話に続く

2025年11月4日 夕方

その後、風見野市のクラインが泊まってるホテルに行き、解散式を行った。

クライン「お疲れ様でした。」

キリト「今回もSAOのときと同じでなんとかなったな。」

クライン「日付は2025年11月4日、君たちの感覚では1週間だが実際は1日しか経ってないんだ。」

キリト「あの暁美ほむらって子、無事鹿目まどかと会えたかな?」

リズベット「まあ会えたんじゃない?」

キリト「俺にも会いたい人がいるからな」

リズベット「あたしにも」

あかね「私にも、伊豆大島で待ってる人がいるので。」

ユイ「私も早くママに会いたいです。」

あかね「まあこれであなたたちとはもうお別れってことだけど・・・」

リズベット「機会があったらまた会えるよ」

キリト「それでは、また会う日まで!」

・・・
あかね「あおいちゃーん、久しぶり、会いたかったよ。」

あおい「あかねちゃん、2日ぶりくらいだけどね。」

あかね「あ、そうか。こっちではやっぱりそれくらいしか経ってないんだ。」

あおい「どこに行ってたの?」

あかね「異世界で、ちょっとくら世界を救って来ました。」

あおい「そうなんだ」

あかね「あおいちゃんに褒めて、なでなでほしいな」

あおい「よくわからないけど、褒めてあげますよ」ナデナデ

あかね「ありがとう。」

・・・
家路につくとき、クラインから俺の街で起きてる事態を知った。

クライン「大冒険の直後で悪いのだが、今キリトが住んでる街で大変なことが起きてるんだ。」

キリト「何?まだなんかあるのか?」

クライン「巨人という大きなモンスターが出現した。」

キリト「巨人?」

クライン「シリカちゃんの家の火事と、森林公園の滑り台の火事はそいつの仕業だ。」

キリト「なんだって!」

キリト「そんな大変なこと黙ってたのか?」

クライン「仕方ないだろ。異世界のクエストだって大切なんだし、シリカちゃんがピンチなことを教えたらそっちに影響出たかもしれないし。」

キリト「そうだな。これは仕方ないか。」

クライン「今シリカちゃんとアスナちゃんが戦ってる。」

クライン「帰ったらキリトも手伝えないか?」

キリト「わかった。俺の大切な人のピンチだからな。」

桐ヶ谷家の近く

キリト「アスナ!」

アスナ「キリト君!」

30年の無人島生活と1週間の異世界生活を経て、30年と1週間ぶりの彼女との再会。
懐かしくて涙が出そうだった。でも今は感極まってる場合ではない。

キリト「こんなときにいなくなって悪かった。俺もこの巨人と戦うよ。」

こうして俺は剣で巨人に一発食らわした。

アスナ「私は大丈夫だよ。それよりシリカちゃんが大変なの。」

アスナ「あの子今一人で戦ってるの。」

アスナ「実は私、シリカちゃんに助けられちゃった。あの子、私が襲われそうになったとき全力で立ち向かってくれたの。」

キリト「そうなのか。」

キリト「俺、アスナのことが大好きだ。アスナは俺のことどう思ってる?」

アスナ「大好きだよ。」

アスナ「でも私は大丈夫だから、今はシリカちゃんを助けてあげて。」

キリト「わかった。」

リーファ「あ、お兄ちゃん、これ、珪子ちゃんからの手紙。」

キリト「なんだ?」

リーファ「私は読んでないからわかんない。」

読んでみた。胸が痛くなりそうだった。
まるで遺書だ。というより遺書にしか見えない。
あいつはこんな遺書を書くまで追い込まれていたんだ。

すぐにかけつけてやりたい。今のあいつを救ってやれるのは俺しかいない。

・・・
結城家の近く

シリカ「無理だった。無茶だった。無駄だった・・・。」

シリカ「さようなら、お父さん、お母さん。」

シリカ「さようなら。キリトさん。友達のみんな。」

キリト「お前のそのふざけた考えを、この俺がぶち壊す!」

3度目となる俺の決め台詞でその巨人を切った。

キリト「間一髪ってとこだな。シリカ、もう大丈夫だぞ。」

シリカ「・・・! この声は・・・」

キリト「助けに来たぞ、シリカ。」

キリト「君の頑張りは決して無駄じゃなかったよ。」

キリト「君が命懸けで頑張って、たった1分生きながらえてくれなかったら、俺は間に合わなかった。」

キリト「そして女の子1人を助けてくれなかったら、そして生きながらえてくれなかったら、俺は大切な友達を2人も失っていたところだった。」

キリト「そしたら俺はきっと、泣いてたぜ。」

シリカとも30年と1週間ぶりの再会だ。しかしなんでだろう。
シリカにとってはせいぜい4日ぶりくらいのはずなのに、まるで100年ぶりに会ったような表情をしていた。
そのくらい、俺が恋しかったのだろうか?

シリカ「キリトさん、どうしてここにいるんですか?ずっとこの街を離れてたんじゃ」

キリト「君がピンチなんだ。どこにいたって俺が駆けつけないわけがないだろうが。」

キリト「俺宛ての手紙読んだぞ。あれを読んで言いたいことが山ほどあるが、今はそれは後だ。」

キリト「巨人を倒そう。俺と2人なら倒せるだろ。」

シリカ「はい。」

キリト「何度も泣いて、傷だらけになりながら戦ってきた今日のシリカの頑張りを、俺が絶対に無駄にしない。無駄にしてやるもんか。」

シリカは俺と再開すると途端に強くなり、ほとんど1人で巨人とバギーを倒してしまった。

キリト「見事だったな。シリカ。」

シリカ「キリトさんのおかげですよ。」

キリト「あの手紙のことだが」

キリト「ダメじゃないか、貝になりたいだなんて言っちゃ。生まれ変わってもシリカはシリカでいてほしいぞ。」

キリト「そして自分がしねば全部解決するだ?自分が死んでも誰も悲しまないだ?」

キリト「冗談じゃない!シリカが死んだら、俺が泣くぞ。」

キリト「俺だけじゃない。アスナも、リズも、スグも、みんな悲しむぞ。君の両親だって悲しむぞ。」

キリト「戦う前から生きることを諦めるんじゃない。前の君は、生きることを諦めなかったからSAOを生き抜くことができたんだろ。」

シリカも、俺はあの暁美ほむらと同じような考えをもっている。
それは間違っているんだと。

キリト「二度と自分がしねばいいなんて言うなよ。君が死ぬことを望んでる者など誰もいない。」

シリカ「はい。ごめんなさい。」

キリト「まあ、全てを背負い込んじゃって、そんなことを思わせるほど、精神的に追い詰められていたのはわかる。」

キリト「俺がそばにいてやれば、こんな思いをすることもなかったんだろうな。」

キリト「ごめんな。シリカ。」

シリカ「いいんです。むしろ、また助けてくれてありがとうございました。」

キリト「俺はもし生まれ変わっても、またみんなに会いたい。」

キリト「もしシリカが生まれ変わってどんな奴になってもシリカでいてほしい。」

キリト「まあ辺に甘やかしたりはしないさ。」

キリト「悪いことをしたら怒ってやる。ときには厳しく接してやる。恨まれたらかばってやる。」

キリト「君が一人ぼっちになったときは俺が駆けつけてやる。」

キリト「神や悪魔になったってまた友達になってやってもいい。君が世界中を敵に回しても、俺は味方になってやる。」

キリト「悲しいことがあったら俺が相談にのってやるし、泣いたら慰めてやる。」

キリト「手紙に書いてあったな。頭をなでてほしいって。」

キリト「今日はシリカが頑張ってアスナを守ってくれたし、褒めてやるよ。」

俺はシリカの頭を撫でてやった。
シリカはとても幸せそうだった。

タイトル書き忘れ

第9話 キリトの結婚式

シリカ「キリトさんに言いたいことがあります」

キリト「何?」

シリカ「あたしはキリトさんのことが好きです。あなたのことが大好きです。」

シリカ「あたしと付き合って下さい。」

キリト「・・・」

キリト「そうか。すごい嬉しいよ。俺もシリカのこと好きだから。」

キリト「でもごめん。俺、もっと好きな子がいるから。」

シリカ「そうだよね。知ってる。」

シリカ「その人のこと、あたしよりも好き?」

キリト「うん」

シリカ「ならその人のこと幸せにしてあげて下さい。」

キリト「わかったよ。」

シリカの告白を断るのは俺も辛かった。

シリカ「ピナ、ちゃんと巨人倒せたよ。キリトさんと一緒にだけど。」

シリカ「あたしフラれちゃった。でもちゃんとキリトさんに想い伝えられたよ。」

シリカ「う・・・うえ~ん」

キリト(俺、また女の子を泣かしちゃったな・・・)


こうして、この巨人の撃破で2025年秋の俺の大冒険が終わった。

あとでクラインから聞いた話なのだが、結城新三郎というのはクラインの知り合いのようだ。
無人島での30年の生活は暁美ほむらの暴走を止めるクエストのために必要なことだったようだ。
そのために魔獣化するバギーを使って、俺を無人島から帰れないようにしたとのことだ。

第9話 キリトの結婚式

・・・
2028年7月7日 夜
エギルの店

エギル「ほう、なかなか面白い話だったよ。」

キリト「そうか。それはよかった。」

エギル「それでどうなったんだ?後日談というか、今回のオチは?」

キリト「別にどうってことないよ。」

キリト「その後暁美ほむらはめでたく円環の理に導かれ、俺たちはこの街に帰ってきて、シリカと一緒に巨人と戦った。」

リーファ「あたしが珪子ちゃんと色々過ごしてる裏でそんな大事件が起きてたんだね。」

キリト「今でも思うけど、あれでよかったのかな、って思ってる。」

エギル「シリカちゃんをフったことか?それは仕方ないだろ。」

キリト「そうじゃなくて、暁美ほむらがしようとしてたこと、本当は止めちゃいけなかったんじゃないかって。」

キリト「やりたいようにやらせてやればよかったんじゃないかって。」

リーファ「いや、それは違うよ。やっぱり、自分勝手にルールを破るのって、悪いことじゃないかな。」

リーファ「お兄ちゃんが正しい。」

キリト「そうなのかな。」

キリト「これで、俺の結婚前、最後の話を終わる。」

エギル「いよいよ明日だな。」

リーファ「明日なんだよね。」

キリト「そうだな。」

この日は俺とアスナの結婚式の前夜祭を行った。
そこで今回の大冒険を話した。

・・・
その日、同じ話をアスナの家でリズベットがアスナとシリカにしていた。

シノン「なかなか面白い話だったわ」

アスナ「それでどうなったの?後日談というか、今回のオチは?」

リズベット「別にどうってことないよ。」

リズベット「その後暁美ほむらはめでたく円環の理に導かれ、あたしたちはこの街に帰ってきた。」

リズベット「そこからはアスナの知ってるとおりキリトが珪子と一緒に巨人を倒した。」

シリカ「リズさん、キリト君さん、そしてユイちゃんも、色々大変だったんですね。」

シリカ「お察ししますよ。」

シリカ「どうもこの物語はあたしの話は裏の話で、キリトさんの話が本編だったみたいですね。」

リズベット「あたしは珪子の事件も十分事件だったと思うよ。」

アスナ「そういえば私がシリカちゃんと一緒にお風呂に入ったことを自慢しようとしたら、キリト君はもっとすごい話を用意してて私のほうが自慢された気分になっちゃった。」

リズベット「へー、珪子と一緒にお風呂に入るなんてやるじゃん。」

リズベット「今でも思うけど、あれでよかったのかな、って思ってる。」

リズベット「暁美ほむらがしようとしてたこと、本当は止めちゃいけなかったんじゃないかって。」

リズベット「やりたいようにやらせてやればよかったんじゃないかって。」

アスナ「いや、それは違うよ。やっぱり、自分勝手にルールを破るのって、悪いことじゃないかな。」

アスナ「キリト君が正しい。」

リズベット「そうなのかな。」

アスナ「まあいい話が聞けたわ。ありがとう、リズ。」

リズベット「別に、だいたいのことはキリトから聞いてたんでしょ。」

アスナ「いえいえ、礼くらい言わせて。」

リズベット「それではあたしはそろそろ帰るね」

シリカ「あたしも帰ります。」

シノン「私もそろそろ。」

シリカ「明日はいよいよアスナさんの晴れ舞台ですね。頑張って下さい。」

アスナ「はい。」

リズベット「その前に、お父さんとお母さんと色々話したいことがあるんでしょ。」

リズベット「最後の夜だし。」

リズベット「だからあたしたちは退散します。」

・・・
桐ヶ谷家の前

キリト「星が綺麗だな」

翠「今日は七夕だからね」

キリト「明日はエギルがスピーチするらしい」

翠「そうなの」

キリト「あの・・・」

キリト「俺、この家の子になれて本当によかったよ」

母に書いた手紙にはこう書いた。

キリト「産みの親じゃないけど、育ててくれてありがとう。」

本当の両親じゃないし、いつもは照れくさくて言えなかったこと。

・・・
その後アスナの家でも家族で結婚式前夜祭を行った。
というよりお別れパーティーと言ったほうがいいか。

京子「今日は後片付けはいいわよ。明日は早いんだから。」

京子「今日で明日奈とはお別れになるけど、でも、構わない。それでも…私はあなたが幸せになれる世界を望むから」

アスナ「お母さん」

京子「これ。明日の式にこれをつけてね。」

首にネックレスをつけた

京子「やっぱり、あなたの方が似合うわね」

京子「じゃあお父さんにお休みのご挨拶をして。」

トントン

アスナ「お父さん、おやすみなさい。」

アスナ「・・・」

アスナ「あの、私・・・」

アスナ「私がいなくなったら、お父さん寂しくなるよね?」

アスナ「SAO事件で2年も帰れなくなったこともあったし」

アスナ「私って、お父さんやお母さんに何もできなくて、本当にこのままお嫁に行っていいのかな、って思うの。」

彰三「そうだな」

彰三「でも今までの思い出が、温めてくれるさ。」

彰三「君が生まれてきた日のこと、小学校に入学した日、小学校卒業と中学校入学。」

彰三「成人式、そして明日の結婚式も、また大切な思い出になるだろうね。」

アスナ「私、うまくやっていけるか不安なの。」

彰三「うまくやっていけるとも。」

彰三「和人君でよかったと僕も思ってる。」

彰三「彼は誰よりも人の幸せを願う人だからね。彼ならきっと君を幸せにしてくれるだろう。」

アスナ「お父さん・・・」

2028年7月8日

結婚式

司会「それでは新郎新婦の入場です。」

クライン「キリトー!」

結婚式、そこにはシリカ、リズ、直葉、その他SAOのフレンド登録のメンバーがいた。

シリカ「アスナさん、最高に綺麗ですね。」

リズベット「そうね・・・」

シリカ「まだ嫉妬してるんですか?」

リズベット「そんなんじゃないわよ」

ユイ「素直な気持ちで言える。」

ユイ「パパ、ママ、おめでとう。」

アスナ「和人君、キスしよう。」

キリト「誓いのキスだ。」

永遠の愛を誓うキス

恭介「今度は僕たちも結婚しよう。」

仁美「うん」

遠くで秋山優花里、結城新三郎、一色あかね、松雪集、巴マミ、佐倉杏子が見ている。
天の上からサチ、鹿目まどか、暁美ほむらも見守っていた。

キリト「やっぱり退屈しないな、俺の人生は。」

おわり

これにて完結です。

読んでくれた皆さん、ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月31日 (木) 12:59:00   ID: pUsDSdnH

登場人物全員アナウンサーみたいに思えたぞ
風呂入る前のシーンでやめたわ

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