博士「この世はゲームだということが発覚しました」男「主人公誰だよ」 (122)

――…主人公とは、作品世界の「中心人物」を指す単語であり、物語の視点を提供する者、若しくは主体となる登場人物を指す。


男「……zzz」

男「う~ん、ムニャムニャ」


ガチャッ


幼馴染「男~!おっはよ~!!」ドタドタ

男「…zzz」ムニャムニャ

幼馴染「ちょっと!起きなさい!男!!」ユサユサ

男「ん~…」

男「んあ?」

幼馴染「あ、やっと起きたわね!」

男「……なんだ、幼馴染か」

幼馴染「な、なんだとは何よぉ!せっかく起こしに来てあげたのにぃ!」プンスカ

男「あー…はいはいわかりましたよ。…うっせーなぁ…」

幼馴染「もー!!急がないと、学校遅刻しちゃうよ?」

男「わーかったって!…準備すっからちょっと待ってろ…ったく」

幼馴染「(まったく…私の気も知らないで…)」プンスカ

男「やれやれ…」

男「…」

男「…」

男「…」

男「…ったく………しょうがねぇ……なぁ……zzz」

男「……zzz」


ガチャッ


母「ちょっと男ォォォォォ!!!!!」ドタドタッ

男「!?!?!?!!!?」ビクッ

母「はやく起きなさいよ!もう七時よ!あんたが7時に起こせって言ったんでしょ!」

男「な、なんだ、母さんか…」

母「なんだとはなによ!!」

男「あーもう、うっせーな」

男「…」

男「って、まだ六時五十分じゃねーか」

母「なんでもいいから早く起きなさい!!」

男「(なんでいつも、頼んだ時間よりちょっと早めに起こすかな…)」

母「さっさと準備して、学校行きなさいよ!?」

男「はいはい…」

母「ハイは一回!!」プンスカ

男「はい…」

母「じゃ、ちゃんと起こしたからね!」ドタドタッ・・・

男「…」

男「…ハァ」

男「俺がゲームか何かの主人公だったら、こんな時に可愛い幼馴染が起こしに来てくれたりするんだろなぁ」

男「まあそんなことはあり得ないけど…」

男「…」

男「準備しよ…」


―――その時、まだ男は知らなかったのだ。これから彼の身に降りかかる災難を…。


男「ん?」

通学路

男「…」テクテク

男「はぁ…高校に入れば彼女できると思ってたけど…」

男「まっっっっっっったくそんな気配はないな」

男「はぁ…。こうなったら大学に期待するか…」

男「…」

男「(でも中学の時には高校に入れば大丈夫って思ってたし、小学校の時は中学に入れば彼女できると思ってたな、そういば…)」

男「はぁ…」


男は、まだ気づいていなかった――…この先に待ち受ける、恐るべき運命を…


男「…」

男「さっきからなんか聞こえるな」


ん?


男「ん?」

男「じゃねぇよ」





男「…なんだ、空耳だったのか?」




男「…」





男「…」


ふぅ、びっくりした


男「やっぱなんか喋ってる!!!!」


うわあ!!


男「うわああ!!!」

通行人「…なんだあの学生」ジロジロ

子供「ママーあの人一人でなに喋ってるの??」

ママ「見ちゃいけません!行くわよ!」スタタタ

男「お、俺にしか聞こえてないの!?」

男「やべぇ、俺頭おかしくなったのか!?」


うわあああ!!!


男「うるせえええ!!!」


うわあああああああ!!!!


男「あああああああ!!!!」

通行人「ちょっとこれは警察に電話しないと…」ピッポッパ

男「!!」

男「あ、な、なんでもないですから!じゃ!」ダダッ

男「(やべぇ、これ病院行かないとダメかも!!)」


うわあああああ!!!


男「うるせえよ!何か知らんが黙れお前!!」

ひぃ!!お前って私か!?

男「そうだよ!!うるせーよ!」

だって急に叫ぶから!!

男「先に叫んだのお前だろ」

だって話しかけられるなんて思ってないし!!

男「そんなの知るか!!」

男「(って、さっきからなんか会話してるけど)」

男「(俺完全に頭おかしい人だな、コレ)」

男「とりあえず…お前なんなんだよ。誰だよお前」

へっ!?

男「誰なのか答えろよ!おかしくなった俺の心の声とかか!それとも神さま!?」

えっと!!

男「ん!?」


…誰だっけ、私。
…いや僕?俺?あたい?某?ワシ?おいどん?ミー?せっしゃ?わて?まろ?


男「はあああああ!?」

うわあああああああああ!!!!???

男「うわああああああああああああああ!!!!!!」

子供「ママーあの人」

ママ「警察に電話を…」ピッポッパ

男「だああああああああいじょうぶですからあああああああ!!!!!!」ダダッ

一時間後、男の自宅

男「…」ガクガクブルブルガクブルブル

男「(こんな状態で学校行けねーよ。精神病院に突っ込まれたらどうしよう)」

男「ちくしょーどうしようマジで!」

ガチャッ!

母「ちょっと男!体調が悪いって急に帰ってきたけど、ズル休みなら母さん許さないわよ!?」

母「体温計で熱測ってみなさい」

男「あ、うん…」


だ、だいじょうぶかい?


男「ああああああああああ!!!!うるせえええええええええ!!!!」

母「!?」ビクッ

ひぃっ!?

男「ああああああああああ!!!!!」

母「お、男…」

男「うわああああ!!!!」

母「男…」

母「もしかして、学校でいじめられてるの?」

男「うわあああ」

男「へっ?」

母「それで学校行きたくないけど理由がいえないから、困ってるんじゃない?」

男「いや、違…(待てよ、頭がおかしくなったと思われるよりは、その方がいいか…)」

男「…」

男「うん、実はそうなんだ…」

母「そう…」

母「もしかして頭がおかしくなったのかと思ったけど、いじめなら問題ないわね」

男「へっ?」

母「さっさと学校行きなさい」

男「!?」

男「い、いやでも…」

母「いじめ程度で学校休んでんじゃないわよ!男なら、立ちはだかる障害は拳で破壊しなさい」

男「え、ええー…」

母「ホラ、行った行った!高校の学費、誰が払ってると思ってるのよ!」プンスカ

男「ええー…」

母「さっさと行く!!!」

男「は、はい…」


<大変ですね…


男「(もう突っ込むのも疲れてきた)」

一時間後、学校

男「(行けと言われて素直に行く俺も俺だな…)」ハァ

先生「えー、ここχにαを代入すると世界が幸せになってうんたらかんたら」

男「(あー…眠い)」

先生「そこを直進して右折したら解が出てきます。この公式テストに出すよー」

男「(しかし、俺が盛大に遅刻してきても、特に気に留める人もいないんだな…)」

男「(しょせん俺なんていてもいなくてもいい雑多な存在…)」


<その時男は油断していた

<その一瞬の気の緩みが、後の悲惨な結果への記念すべき第一歩だとも知らずに…


男「(またこの声か)」

男「(まったくなんなんだ…)」

先生「えーと、じゃあここ…男、やってみろ」

男「えっ」

男「(やべぇ…全然聞いてなかった)」

<がんばって!

男「うるせぇよ」

先生「え?」

先生「今うるさいって言ったのか…?」

男「あ、いや…」

<うるさいとはなんですかぁ

男「(こいつちょっとずつ馴れ馴れしくなってきてるんだけど…)」

先生「…まあいい。とにかく解いてみなさい」

男「あ、はい…」

生徒達「ナンカ オトコヘンジャネ?」

生徒達「キョウモ チコクシテキタシ」

生徒達「エッ マジドウテイ!?ヤダキモーイ」

男「…」

先生「どうした?早く解いてみなさい。さっきの公式を使うんだぞ」

男「あ…すいません、ちょっとぼーっとしてて…聞いていませんでした」

先生「おいおい、テストも近いんだ、しっかりしろよ?」

男「はい…」

放課後 帰り道

男「はぁ…」

男「俺まじで頭おかしくなったのかな…」

<そんなことありませんよ!

男「…」

<ちょっと、聞いてますか!?

男「あー…うるさいなぁ、くそっ!」ダッ

<男はそう言うと駆け出した。

<怖かったのだ。

<自分はどうかしてまったのか?このまま日常生活を続けられるのか?精神病棟へ隔離されてしまうのではないか?

<男の中で、さまざまな疑念が渦を巻き、次から次へと形を成してはまた消えていった

男「そのナレーションみたいなやつやめろ!!」


<そんなこと言われても…

男「なんだよ!」

<勝手に口から出てきちゃうんです

男「なんだそれ!」

<気づいたときにはもう喋り終えてる?みたいな

<なんか、よくわかんないですけど

男「ふざけんなぁああ!!」ダダダッ

<男は走る ただひたすらに走る

<今は一刻もはやく家に帰りたいのだ

<そして自室の布団に包まりそれをバリアーとして、「おかしな囁き」を頭の中から打ち消そうと…

<っておかしな囁きってなんですか!!

男「もう嫌だあああああああああああ!!!!!!!!!」ダダダダッ

男の自宅

男「…」ガクガクブルブルガクブルブル

男「(いよいよやばいって…朝からずっと声が消えない…)」

<ねぇ、わたしは一体なんなんでしょうか?

男「(知るかバカ…。それに今は他人の心配より自分の心配だ。自分でもここまでイカれてるとは思ってなかったのに)」

男「(って)」

男「(『他人』じゃねぇだろおおおおお!!!!これ俺の妄想だろ!!俺やばいって!!無意識でこの声の存在認めちゃってるの!?)」

<きいてますか?ちょっと!

男「のああああああああああああ!!!!!!!!!」

<はぁ…

<…

<―――その時、予想もしなかった事態が男に忍び寄っていた!!

男「またいきなりなんだよそれええええええ!!!!!」

<し、しりませんよ…

男「ふざけんなああああああああああ!!!!!!!!!!」

<まぁまぁ

男「のああああああああああああああ!!!!!!!!」

ガチャッ

母「男…」

男「のああああああああ……あ、母さん…」

母「帰ってきてからずっとそんなだけど、ほんとにどうしたのよ」

男「…」

母「いじめなら、そんな悩んでるくらいなら相手をぶっ飛ばしてきなさいって言ってるでし(ry 男「いや実は!!」

母「ん?」

男「こ、こ、こ、声が…」

<お?

母「へ?」

男「声が聞こえるんだ…」

母「声?」

男「うん…なんか頭の中で…朝からずっと…」

母「声ねぇ」

男「…」

<私の声、あなたにしか聞こえてないみたいだから言っても仕方ないですよ?

男「うるせーな!ちょっと黙ってろ!!」

母「!?」

<ご、ごめんなさい シュン

母「な、なによいきなり」

男「あ、ごめん…また声がして」

母「そう…」

母「(この子、ほんとにおかしくなっちゃったのかしら)」

母「(でもそういえば、この子が小さい頃に、似たこと言ってた時期があったような…)」

男「母さん…?」

母「(とりあえず、私がオロオロしてちゃだめよねこういう場合)」

母「まぁ…男、今日はとりあえず寝ときなさry


ピンポーン


母「ん?こんな夜に、誰か来たのかしら」

ピンポーン


母「はいはい今いきますから!(もう、男が変な時に誰よ…!)」タタタッ

男「…」

<この時の男にとって、『未来』とは、一歩一歩前へ進み、自らの手で掴み取るという類のものではなかった…

<それはまるで死神だった

<気づいたときにはすぐ目の前に立ちはだかっているのだから

<一瞬でも油断すれば、それは自分から、大事なナニカを奪っていく…

男「…」

<彼はまさに、不吉な死神に憑かれた哀れな少年だったのだ

男「…」

<あれ?これだと私が死神みたいになってませんか?

男「…シルカ」

・・・・・・

母「はいはい、どちらさまでしょうか?」ガチャッ


<男の母が玄関を開けると、そこには黒服の男達が数人…後ろにはこれまた黒い高級車が止まっていた


母「(…え、なにこれ?)」

黒服「夜分遅くに申し訳ありません…」

母「え?い、いえ…」

黒服「我々は国連直下、主人公特定委員会の者です」

母「は?」

黒服「御宅の男さんから、一定以上の主人公波が確認されました」

黒服「つきましては男さんには我々と来て頂くことになります」

黒服「母親であるあなた様も、重要人物になり得る脇役波が観測されていますので、どうかご同行願います」

ちょっと出かける

母「…」ポケー

母「(…国連とか言った?この人)」


<男の母親は呆然とする

<無理も無い

<それはあまりにも荒唐無稽すぎる話であって、たとえ真実だとしても、その場で完全に理解できるものなどそうはいないのだから


母「えーっと…ちょっとお話の内容がよくわからないんですが…」

黒服「いきなりで混乱されるのはよくわかりますが…」

母「もしかして宗教か何かの勧誘ですか?うち、そういうのは間に合ってますので…」

黒服「申し訳ありませんが…これは国家という枠組みすら超えた、世界的に重要な問題なのです」

黒服「今ご理解下さいとは申しません。ただ、今からあなたと男さんの身柄を我々で預からせていただきたい」

母「いや、いやいやいや…ちょっと困ります、そういうのは…」

黒服「…」

母「じゃ、すいませんけど失礼しますね…」ドアシメー

黒服「仕方ないな…おい」

黒服②「はい」サッ

母「!?」

プシャー

母「な、なにこの煙みたいなの…」

黒服「ご心配なされませんよう。ただの睡眠煙です」

母「な……」バタッ

黒服「ふぅ…あとは『主人公』だな」


<母は眠らされてしまった

<彼らの標的はいよいよ少年に定まったのだ


男「……さっきからブツブツと」

男「もういい加減にしてくれよ」

<勝手に喋っちゃってるんだから仕方ないでしょ!

男「勘弁してくれ…」

<ていうか、さっきの話的に考えてみるとお母さん大変なんじゃないですか?

男「さっきの話って…話してたの、お前じゃん」

<それはそうですけど

男「って、あー!!!!」

<どうかしました?

男「またお前とか言っちゃった!!存在認めちゃだめだって!!これ妄想!妄想だから!!」

<まだそんなこと言って……ふぅ

男「ため息とかついてんじゃねぇぇぇ!!!!」


ガチャ


黒服「…君が男さんですね?」

男「へ?」

<ほらー来ちゃったじゃないですか変な人が

男「え?え?」

黒服「ふむ、主人公波を出しているのはやはり彼だな…。おい、タイプはわかったか?」

黒服②「簡易型の観測機ですので確定ではありませんが、おそらくN型のタイプ4かと」

黒服「N型か…なるほど」

男「あのーちょっと、な、なんなんですか?あんた達」

男「っていうか母さんは?」

<だから言ったじゃないですかー、お母さん大変みたいだって

男「ま、マジかよ…」

男「(なんなの?この『声』俺の妄想じゃねーの?まさか超能力?…いやむしろ今のこの状況すらも俺の妄想!?)」

男「ええと…あんた達、か、母さんをどうしたんだ!?」

黒服「お母様には下で待機してもらっています」

男「は?待機?」

黒服②「(待機って…嘘ばっかり)」

黒服「ご心配なく。あなたに危害を加えるつもりは毛頭ありません」

黒服「我々は国連の者です」

男「へ!?」

黒服「波長のタイプ的に考えて…男さん、最近妙な『声』の様なモノを聞きませんでしたか?」

男「ん?」

男「…声?」

男「って、まさか」

<ん?

男「ん?じゃねーよ」

男「これってお前のことじゃねーの?(あ、またお前って言ってる)」

<妙な声とは失礼ですねぇ

男「…」

黒服「やはり、聞こえているようですね」

男「は、はぁ…まあ一応」

男「…で、それが何か?俺は隔離病棟にでもブチ込まれるわけですか?」

黒服「いえ…そういうことではなく」

<え、あなたどこかおかしかったんですか?

男「うるせーな!お前にだけは言われたくねぇよ」

男「あ、またお前って…」

男「あああああ……ああああああああ…」

<元気出して下さいよ

男「………」オレハモウダメダ

黒服「…」

黒服「とにかく、来てもらいましょうか」

黒服「このままだと、あなたも日常生活がままならないでしょう?」

男「いや、それはそうだけど、全く状況が飲み込めないというか…」

男「もう全体的に意味不明、理解不能というか…」

黒服②「大丈夫ですよ!私たち怪しいものじゃないですから!」ニコッ

男「(じゅーーーーぶん怪しいんだけど…)」

黒服「とにかく、来て下さい。我々も手荒な真似はできる限り避けたいのです」

男「…」

男「(朝、変な声が聞こえだしてから今日は色々イベント起こりすぎだろ…もう俺のライフは0だっちゅーの)」

<どうするんですか?男さん

男「…」

男「(もう考えんのめんどくさくなってきた)」

男「(全部夢でいいや、もう)」

男「あー、わかりました。行きます、付いていきますよ」

<あ、今考えるの放棄したでしょ!いけないんだーそういうの!!

男「(うるせぇ、どうにでもなれだ)」

黒服「そうですか、それはこちらとしても助かります」ニコリ

黒服②「良かった良かった!」

黒服「詳しい話は我々の機関に到着してからお話しますので…」

黒服「とにかく、行きましょうか」サッ


<男が気軽に選んでしまったその道、そのときの選択が男の運命を変えたのだった…

<しかし男がそれを知ることになるのは、ずっと先のこと…


男「いや、全部聞こえてんだけど…」

黒服「とりあえず脱いで脱いで!早く!」

男「ああ…はいはい」ヌギヌギ

黒服「ほう♂」

男「あ…あんまりジロジロ見るなよ///」

黒服「では参ります」ネットリ

男「こいや!」

黒服「お尻に♪」スパァン!

男「いで!」

黒服「華を!」スパパァン!

男「腫れる!」

黒服「さっかせっましょう♪」スパァン!

男「」ガクッ

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