以津真天の声 (12)
京極SSですが、原稿用紙5枚分しかありません。
キャラ崩壊など、恐らくありますので、嫌な方はお控えください。
拙著ですが、お楽しみいただければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403925484
以津真天
広有、いつまでいつまでと鳴し怪鳥を射しこと、太平記に委し。
いつからだろう。
いつから私は私なのだろう。
そんなことを考える。
いつも、私は私だ。
いつ如何なる状況であっても───私は私だ。
そんなことは諒かり切っている。問題は「常時」では無く──「何時」か──だ。
いつから。いつから私は──私なのだ。
いつから───そして。
いつまで。
1
何時だろうと関係ねェよ──そんな風に──刑事木場修太郎は答えた。
生憎俺はそんな小難しいことは考えたことは無ェがよ──彼は云う。「何時から」では無く──「今」が大切なんじゃあ無ェのかい──と。
確かに彼の云う通り、私が生き、過ごしている時間は「何時から」でも「何時まで」でも無く、「今」と云うたった一点だけだ。
確かに彼の云うとおり、過去を返り見ることより──未来を予見することより──大切なのは今を見据えることだろう。
だが───。
まだ足りない。
2
何時かなんて知ったことでは無い──と、珍しく真剣な面差しで──榎木津礼二郎は云う。
僕は今が見得ない──今以外しか見得ないからこそ──「今」の重要さも「今以外」の重さも識っている──と。
確かに彼の云う通り、タイムテエブルを場合分けするなら──「過去現在未来」の三つに分ける以外にも──「今と今以外」に分ける方法もあった。
確かに彼の云う通り、永に続く時間の中、私の生きている時間はとても短い。ならば──「何時から」だろうが「何時まで」だろうが──共に等価値で無価値なのかも知れない。
だが───。
まだ足りない。
3
過去と現在と未来は繋がっていないのだから場合分けなんてしても無意味だよ──と、そんな風にあっけらかんと、中禅寺秋彦は応える。
「現在の君は過去の君が好んでしていた遊びをまだしているのかね?」
「未来の君は現在の君が嫌いなことを嫌い続けているのかね?」
「そうなのかも知れないが──そう云う人は少ないだろう。」
「否、変化しない人間なんて居ないのだ。」
「だから───。」
「『何時から』も、『何時まで』も無いのだ。」
「榎木津の意見は一般人には適用できない。君は木場の旦那の云う通り、『今』を見つめた方が良いのではないかとも──僕は思うよ。」
「だが。」
「君の生きている時間は──。」
「決して無駄なんかではないよ。」
確かに彼の云う通りだろう。
私は「今」を生きていても足元は覚束ないし──何よりこんなことは幾ら考えても埒が明かない。
そして──無意味な人生なんて───存在しないのだろう。
だが───。
まだ足りない。
何時からだろう。
何時から私は──こんなことを考えているのだろう。
何時に成れば──答えが出るのだろうか。
私は何時まで──こんなことを考えているのだろう。
一体────いつまで。
(了)
以上になります。
読んでくださった方、ありがとうございました。
乙
よかったよー
雨降小僧のひと?
>>8
ありがとうございます。
はい、この間雨降小僧載せました。
こういう短編もいいね
雰囲気が出ていてよかった
>>10
ありがとうございます。
またいつか別のも載せたいと思っていますのでそのときはよろしくお願いします。
すみません画像忘れてました
>>2に入れているということにしておいてください
http://i.imgur.com/qQUpiEN.jpg
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