【艦これ】カセットプレイヤーの回想 (66)
初ssです。
*シリアス
*轟沈ネタあり
駄作上等。
十数レスでおわります(多聞)。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403429794
録音テープ1───捕虜への尋問
バッシャーンッ!!!
『カハ…ッ』
「起床時間だ」
『貴様…ッ』ゲホッ
「おはよう。私はお前の大嫌いな、"提督"さまだ」
「さっきのは海水だ。浴び慣れているものだろう、そんな嫌な顔をするな」
『殺…セ』
「口を開けばそれだな」ハァ
「辛いだろう、苦しいだろう。しかしお前はその苦しみから逃れる術を、知っている筈だ」
「ただ私の質問に答えてくれるだけでいい、それでお前は楽になれる」
『貴様ニ話スコトナド何モ無イ…ッ!!』ギリッ
「強情だな」
「一体誰に、どう唆されたのか、ひどく気になるものだ」
バヂィッ!!
『ガあ゛ァッ!?』ガクンッ
「これで何回目だろう。お前は中々口を割ってくれないな」
『…ッ!!』
「お前をそこまで辛抱強くさせるモノは一体なんだろう」
「いつか解放されると思う"希望"か。それとも、こんな理不尽なことは有り得ないと思う"逃避"か」
「…こんな状況であっても、いつか救いが来ると、本気で思っているのか」
『黙レ…』
「みんなそうだ」ペタ
『……ッ!!!』
「死ぬ直前までそうなのだ」
『……』
「皮肉なモノよ」
「お前はとても、とても強く、私達を憎んでいるのに」
「そんなお前は、"私達によく似ている"」
『黙レ…黙レ黙レ黙レッ!!!』ガチャガチャガチャッ!!!
「間違ってはいまい」
「現にお前は、まだ死んでない」
「いつだって首を掻き切れるよう、片腕だけは拘束していないのに」
「いつだって舌を噛み切れるよう、口だって自由にしてあるのに」
「ふむ。はて、何故だろう? 何故お前はまだ死んでいない?」
『……ッ』
「そうだ」
「お前はいつだって死ねるのに死ななかった」
「お前は死ぬコトに恐怖を感じた」
「だからこそ、ありもしない希望を見据えて、きっと救われると信じて、苦痛をただ耐え忍んでいた」
「…ふふ。まるで、"私達"の映し鏡だ」
『黙…レ…っ』
「私達は、同じだ」
『呆ケルナ…ッ! 人間風情ガァ!』
『貴様ラノヨウナ屑ト、我々深海棲艦ヲ一緒ニスルナ…ッ!』
「…違うな。そんな事を聴きたいんじゃない」
バヂィッ!!
『───ッウ゛ァあ゛…ッ!!?』ガクガクッ
「感傷的は大いに結構」
「だがお前はまず、私の質問に答えなければならない」
「…もう一度よく考えてくれ。お前はいま、なにをすべきなのかを、な」
ブツン
録音テープ2───尋問中
「まだ生きているのか」
『……』フーッ
「往生際の悪いことだ。もう諦めてはどうだ」
『……』
「何か喋れ」ゲシッ
『グゥッ…!!』
「唸り声じゃ分からない。言語を喋ってくれ」
『──ロ』
「何だって? もう一度頼む、よく聞こえなかった」
『…地獄ニ、堕チロ』
「……」ブンッ
バギィッ!!
『──あ゛ァ゛ッ…!?』ドシャァ
「はぁ」
「それが肉体的にも精神的にも、疲弊しきっているはずのお前が」
「限界の底まで頑張って、やっと絞り出した文句なのか」
「…とんだ期待ハズレだ」
『……』ガチガチ
「私を見ろ、深海棲艦」
『……』
「こっちを見ろ」
『…』ビク
「…こ っ ち を 見 ろ」グイッ
『……ゥ』
「地獄に堕ちろ、か」
「そんな分かりきった事を、今更お前はわざわざ宣うつもりなのか」
『…』ブルブル
「…笑わせるな」ガゴッ!
『!!』ビクゥ
「安心しろ私達以下の。そう、お前の言う"屑"以下の脳味噌にも、ちゃんと理解できるよう、懇切丁寧に教えてやる」
「戦争という行為に走った時点で、私達は全員地獄行きだ」
「敵味方など関係無い」
「私達は皆揃って地獄に堕ちる」
「皆仲良く、この"いのち"が尽きても」
「ずっと、ずっーと、私達は一緒だ」
『…』ガタガタ
「ああ、"おれ"達はずっと一緒だ」
「…おれが死ねば、また彼女に」
ブツン
休憩
十数レスで終わらないじゃないか(目算が)壊れるなぁ…
録音テープ3───艦娘の定時記録から抜粋
「ヴァイタルチェックに異常なし」
「反抗的な態度は消失、尋問の効果は高いと思われる」
「依然として、有益な情報はなし」
「今日はあの男ではないのかと尋ねられた」
「その通りだと答えると、捕虜は妙な顔をした」
「落ち着きを見せない様子で、ずっと扉を眺めていた」
「…?」
「―――何にせよ」
「過度の尋問は自白の"芽"を潰す恐れがある」
「まさか提督が、それを見誤ることはないであろうが…」
「必要事項を提督に申請───out」
ブツン
録音テープ4───捕虜と提督について、艦娘達の会話
「お疲れ様です」
「ああ、貴女でしたか」フゥ
「…大丈夫ですか?」
「"捕虜の経過報告"」
「…いい気分にはなりませんね。仕事ゆえに、仕方ありませんけど」
「はは…そうです、よね」
「―――意見を求められました」
「え?」
「"お前の意見を聞かせてくれ。全てを聴き出したら、奴をどう処分すればいい"、と」
「"どう処分して欲しい"、と」
「……」
「…貴女は、どう思いますか」
「…分かりません」
「私も同じです」
「あの人の問いに、何と答えればいいのか。何と答えるのが正解なのか」
「妙なものでした。あの人の人間性は知っている筈なのに」
「…あの人が、時々分からなくなる」
「…分かります、その気持ち」
「あの人は捕虜を、これからどうするんでしょう…」
「…いつも通り、でしょうね」
「情報を吐くまで、ずっと」
ブツン
またまた休憩
反応のレスありがたきしあわせ
…拷問はこれから先あんまりしないです(尋問をやめるとは言ってない)
MGSVのテープを思い出すね
>>26 完全リスペクトでお送りしています(図星)
さてぼちぼち再開…
録音テープ5―――捕虜の自白
バッシャーン!!
『ゥグ…っ』
「お前が此処に来て、もう数日経つ」カランッ
「私としては、尋問の手を緩めたつもりはなかったのだが」
『……』ゲホッゴホッ
「なのにお前は口を割らない。大したものだ」
「お前の仲間は、お前のような仲間を持てて、さぞ幸福だろう」
『…』
「だが、私達としてはそうではない」
「お前が仲間を想うほど、私は不幸になる」
『……』ピクッ
「お前の魂胆は分かっている」
「お前が今、私に出来る最大の反抗は、"私の質問に何も喋らないこと"」
『……』ギロ
「そう睨むな」
スタスタ
ストンッ
「はぁ…」コシカケ
「どうやら、今までの尋問は全て無駄だったようだ」
『…?』
「お前の仲間を想う、その気持ちを崩すことは不可能に近い」
「このままでは、お前は絶対に口を割らない」
「私だって、お前と同じことをするはずだからな」
【手錠を外す音】
『…何ノ、真似ダ』
「お前への尋問を中止する」
『ナン…ッ!?』
「いままで世話になった。今日でお別れだ」
「よかったな、もう忌々しい私の顔を拝まずに済む」
「…まあ、お前の処分については、随時報告する」スタスタ
『―――ナノカ』
「む?」ピタッ
『…ワタシヲ見逃シタトシテ、貴様ハ…』
『貴様ハ、ワタシ達ノ仲間ニ、マタ同ジコトヲ繰リ返スツモリナノカ』ケホッ
「そうなるな」
『何故ダ…』
『ソノ連鎖ガ、イッタイ何ヲ生ム…?』
「お前の疑問も確かだ」
「ハッキリと言わせてもらおう。この連鎖は、何も生みはしない」
「元より、私はもう、何かを生み出す気はない」
『…? ドウイウ…』
「私は、この戦争を終わらせたいのだ」
『……』
「信念も、思想も何もない。ただ双方が犠牲を払い、大切な"もの"を失うだけ」
「そんな意味のない戦争を、私はもう、終わらせたいのだ」
「私とて、誰かが死ぬのは怖い」
「誰かが死んで、誰かが哀しむのが怖い」
「私も二度と、そんな哀しみを味わいたくはない」
『…本当ニ』
『本当ニ、コノ戦イヲ終ワラセテクレルノカ』
「…お前の為ではない」
「だが、お前と少しだけでも分かり合うことが出来ればと」
「お前の中に、少しでもこの戦争を終わらせたいと願う心があるのならばと」
「そう思っただけだ」
『……』
「もういいか。私はこれで失礼す――」
『―――待テ』
「…?」
『…ソノ海域ノ配備戦力ハ、知ッテイル』
「…ほう」ニィ
『…オマエヲ、信ジテモ、イイノダナ?』
「それは、お前次第だ」
『……』フゥー
『ワタシノ、仲間達ハ―――』
ブツン
『ワタシノ、仲間達ハ―――』
ブツン
録音テープ6───尋問終了
重複ったクソゥ
「よく頑張った」パチパチ
「お前は仲間を売ったが、正しい行いをしたのだ。恥じることはない」
『……』ギュ
「よく話してくれた、ありがとう」
「お前はもう自由になるべきだ」
『……』
「だが、このままお前を仲間の元に帰せば」
「お前はきっと、仲間から糾弾されてしまうな」
『…っ』
「実に非条理だ。お前はここまで頑張ったのに、それなのに」
「仲間から裏切り者と罵られ、また苦しむ事になるのは」
「実に、非条理だ」
『……』
「お前は何も間違ってない」
「だから、人の言葉に寄り添えばいい」
「お前の"提督"は、何と言った?」ペタ
『……ゥぁ…』グスッ
『ウ、ぁアァ…』ポロポロ
「……ふふ」
「それでいいのだ」
ブツン
休憩
残りのテープは三枚です。
喋るほどの知能持ってそうで且つ尋問が似合いそうなのは装甲空母姫ちゃんだと思うの
>>43 港湾戦姫ちゃんも中々…。ただ攻めすぎると普通に折れそうなのよね、反抗しなさそう(適当)
捕虜の形態は想像にお任せします。あと捕虜はもう出てきません。
ろ号がやっと終わったので再開
録音テープ7───艦娘のブリーフィング記録。(日付は尋問終了後)
「提督の尋問の結果、捕虜が自白した」
「偵察部隊の推算とも一致。虚偽の有無は杞憂に終わる」
「準備が出来次第、実戦部隊は本作戦を開始。私達は迅雷を以てこれを撃滅する」
「情報が多い分、作戦の進行も早まるだろう」
「捕虜の部屋からは、もう何も聞こえなくなった」
「捕虜も、何処かへ消えてしまった」
『"お前たちの関知しないことだ"』
『"細かい事は私に任せて、気にせずお前達は全力で頑張ってくれ"』
「優しい微笑みを浮かべて、提督はそう言った」
「いつもと変わらないその表情に、私達は安心して任務に臨む」
「提督が私達を笑顔でおくりだす」
「普段と何も変わらない、いつもと同じことだった」
「…提督のその目から、何も読み取れなかったのも」
「いつものことだった」
ブツン
録音テープ8―――艦娘の日記記録。(日付は作戦終了数日後)
「提督は一人になると、桟橋から海を眺めていた」
「そしていつも、決まった時間に、落ちる日に向かって左手をかざしていた」
「何かの、験担ぎのようなものなのだろう」
「気にかかったのは、雨の日ですら、傘も差さずに、それを行っていたことだった」
「慌てて傘を差し出すと、びしょびしょになっていた提督は、少し驚いたような顔をして」
「"世話をかけて済まない"と、笑ってみせていた」
「提督の顔を流れるものが、雨なのか涙なのかは分からなかった」
「…提督はいつもそうだった」
「私達を笑顔で見守って」
「私達が何か悩んでいれば、誰よりも早く気づいてくれて」
「私達が泣いていれば、泣き止むまで一緒にいてくれて」
「私達の相談には、まるで自分のことであるかのように思ってくれて」
「ずっと、私達とともに戦ってくれている」
「否定しようのない、まさに理想の存在」
「…だから、たまに不安になる」
「不安、懐疑と言ってもいいかもしれない」
「提督は」
「何故、私達を大切に想ってくれているのだろうか」
「その裏には、なにか理由があるのではないか」
「…時々、そう考えてしまう自分が嫌になる」
「…私達は、提督のことを信頼こそすれ」
「提督のことを、私達は何も知らないのかも」
ブツン
録音テープ9―――???????(日付不明)
「……」
「あれから、月日が経った」
「だが君は、もう帰ってこない」
「ともに幾度となく戦火に身を焦がした」
「そんな君は、もうどこにもいない」
「此処には活気が戻った」
「その中に君は、もういない」
「願わくば、君とともに逝きたかった」
「だがおれは、逝き遅れてしまった」
「いま、おれと君を繋ぐものは」
「この錆びついた、金属の輪っかだけ」
「……」
「そうだな」
「おれはまだ死ぬわけにはいかない」
「君の無念を海の藻屑にはしない為に」
「おれが、君を愛したままの"おれ"である為に」
「…たとえ、どれだけ遠く離れていようとも」
「おれは常に、君とある」
ブツン
―――【記録終了】
―――【巻き戻し音】
―――【録音開始】
「おれ達は愛するものを失った」
「だが、その恨みと復讐の矛先は深海棲艦――――目先の相対敵ではない」
「おれ達が消し去るべきは」
「…おれから彼女を奪った、この戦争そのものだ」
ガチャッ
―――【録音終了】
おわり
変な方向に狂った提督を表現したかった。
どっかの潜入ゲーの影響受けすぎだってハッキリわかんだね。
読み返したら意味不明な箇所ばっかじゃないか…(呆れ)
十数レスとか大嘘やんけ。
長々お付き合い頂きありがとうございました。
摩耶様撫でてきます
拷問シーンの他バージョンとかネタには事欠きませんが、それはまたいつぞやの機会に…
依頼出してきます
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