愛徒 勇気「 『マンガ家さんと編集者さんと』 」 (42)



愛徒 勇気先生の仕事場。


みはり「……はいOKです。お疲れ様でした」

勇気「はー単行本作業も終わって……これで全部終わってしまったんだなぁ……」

みはり「ごめんね…私がもう少し上手く出来てたら、もう少し続けられたのかもしれないのに・……」

勇気「みはりちゃんは悪くないよ……」

勇気「……っていや、確かに連載が終わって正直寂しいけど……」

勇気「描きたい事のほとんどは書けたと思うし、むしろ此処まで描かせてもらえたのも、みはりちゃんが担当してくれたからだと思うし」

みはり「愛徒……」

勇気「ありがとうみはりちゃん。ホントに感謝してる」にこ

みはり「―――――!!//////」かぁぁ


 

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勇気「ん?どうしたのみはりちゃん?」

みはり「なっ何でもないわよ!!/////」

みはり(もうあんな顔でこんな事言うもんだから…ちょっとドキッてしちゃったじゃない……/////)ドキドキ

勇気「それにね……作品は終わってしまったけど、こうやって目を閉じると……」

みはり「目を閉じると……?」

勇気「もえみちゃんのあんな姿やこんな姿が、今でも脳裏にはっきりと――――」

みはり「はー。そーですか。それは良かったわね」

勇気「あはは」

みはり「でもよかったわよ。アンタの事だから寂しさで落ち込んでるか、ショックで部屋の隅で泣いているかのどっちか、かと思ってたから……」

みはり「……うん。思ったよりも元気そうだし、これで私の手から離れても大丈夫そうね」

勇気「えっ!?どういう事?」

 


みはり「どういう事もこういう事も無いわよ」

みはり「幾ら出版社で契約しているとはいえ…そりゃ連載が終わったら、基本的には担当編集である私の手からは離れる訳だし……」

勇気「…………」

みはり「私だって他に担当している作家がいる訳だから、何時までもアンタだけに構っている暇はないのよ」

勇気「そんな!幾らなんでも冷たくないかい!みはりちゃん!!?」

みはり「いやいやそー言われてもねー。もしアンタがまた連載出来たとしても、もしかしたら担当が代わるかも知れないし……」

勇気「――――!!そんなぁ。みはりちゃんがいいよぅ……」しくしく

みはり(やっぱりコイツは私がいないと何にも出来ないんだから……)ふふん

みはり「全くアンタは、相変わらずなんだから……」はぁ

勇気「だってぇ……」えぐえぐ

みはり「まっ…先の事は分らないけど…出来る限りアンタの面倒は見てあげるわよ」

勇気「ほんどぉ~?」ごしごし

みはり「ええ。だから、取り敢えず、今から二人しかいないけど、作品の打ち上げでもしよっか?」

勇気「うん!!」


 


―――――――。


勇気「もうこんな時間だけど…いいの帰らなくて?」

みはり「まっ今日ぐらいはね…タクシーで帰ればいいし、何だったら泊まってくのもアリだしね//////」ひっく

勇気「えっ!?泊まってくの!?」

みはり「何だったらって話よぅ/////それにナニ?アンタ…私を泊めるのはイヤなの?/////」ひっく

勇気「ううん…そんな事はないけど……」

みはり「それにアンタだったら、私が裸で寝ていてもダイジョーブそーだしね」ふふん

勇気「えっそこまで信用されてるんだ!?」

みはり「それだけアンタがヘタレって事よ!!」がぁ

勇気(えっ!?何故か急に怒られた!?)びくっ


―――。


勇気「あっそうだ。今日はナンとか流星群か言うのが見られるらしいから、ちょっとベランダに出てみない」

みはり「いいわよ」すくっ

 



ベランダ。


みはり「へー今日は天気がいいだけあって星も綺麗にみえるわねー」

勇気「ええっと……確かこっちの方向…………あっ見て見てみはりちゃんアソコ!!」

みはり「えっ?うん…………あっ……」


ひゅーんひゅーん


みはり「キレイ……」

勇気「でしょ?」

みはり「……………」じー

勇気「…………!!」はっ

勇気「……………」じ…

勇気(……うん)ぐっ…


勇気「……でもね…みはりちゃん」

みはり「何よ…今せっかく流れ星見てんだから」


勇気「このきれいな流れ星より…みはりちゃんの方がきれいだよ」


みはり「……えっ!?」どきっ


 


みはり「こっ…こんな時にイキナリ何の冗談言って……///////」どきどき

みはり(な…なにコイツの…漫画を描く時とも違う、こんな感じの真剣な顔…初めて見た……」どきどき


勇気「冗談じゃないよ。今、夜空を眺めている、みはりちゃんの横顔を見てたら、ほんっとにそう思ったんだ」


みはり「愛徒……」


みはり(……な!何この「雰囲気!!ど…どうしよう…私―――――)ささっ

勇気「あのね、みはりちゃん……ぼく――――」

みはり「ちょっ…ちょっとまっ――――」あせあせ

みはり(………ほ…星空でも見て気分を落ち着かせて・……)はーはー


みはり(あっ……流れ星を見送っているかのような、一際大きな星……あれって確かスピカっていう一等星……)


みはり(春の夜空に蒼白く輝く…おとめ座の一等星……)


みはり(その一等星の淡い輝きが…瞬きながら、私に囁く様に私を導く様に……)


 


みはり(学生の頃…コイツと初めて話した頃は、私はコイツを無意識に意識していた……)

みはり(私がマンガ雑誌の編集者として、この作家の担当になった時は、努めて意識しないようにした……)

みはり(そして何時しか意識しないで、自然にコイツと一緒に居られる様になった……)

みはり(そういう時間を経て…そして今、私はコイツと…愛徒 勇気と向かい合って意識している……)

みはり「………………」じ…

勇気(ん?みはりちゃん…ぼくの顔をじっと見て……どうしたんだろ?)

みはり(そして…私は受け止める。私は…コイツが、この人の事が――――――)

みはり(……うん…そうだよね)こく

勇気「?どうしたのみはりちゃん」


みはり「ねぇ…愛徒。アンタ私のこと好き?」

勇気「……えっ?……うん。好きだよ」にこ

みはり「一人の女の子として?」


 


勇気「うん」こく

みはり「足須さんたちよりも?」

勇気「足須さんの好きとも、りんなちゃんの好きとも、せなちゃんの好きとも違う…………みはりちゃんだけの特別な好き……」

みはり「愛徒……」

勇気「…………………ぼくは他のどの女の子の事よりも、みはりちゃんの事が好きだよ」にこ

みはり(――――――!!!)ぶわっ……

みはり(色んな…たくさんの想いが…胸に込み上がってくる―――――)


 



みはり「ねぇ。愛徒……何時だったかな…同窓会をやった帰りの事覚えてる?」

勇気「うん」こく

みはり「あの時…私はアンタに10年…お互いに相手が居なかったら、付き合ってあげてもいいって言ったんだけど」

勇気「うん」

みはり「……それでね…その事なんだけど……//////」



みはり「…………ま…前倒しして…今からでも………………いいよ//////」かぁぁ



勇気「――――――!!!!」はっ!!

勇気「そっ!それって!!」


みはり「……だから、今から恋人としてアンタと付き合って上げるって言ってるの!もうっ女の子にここまで言わせないでよ!!////////」


 



勇気「み…みはりちゃん・……」

みはり「で?アンタはどうなのよ?」

勇気「もっ勿論だよ!!」


みはり「でも…ホントとに私なんかでいいの?すぐ手が出ちゃうし…それにおっぱいだって小さいし……」

勇気「大丈夫!!だって僕どちらかと言えばMっぽいしそれに―――――」


勇気「貧乳はステータスだから!!」


みはり「……言うと思った」くすっ


勇気「それにやっぱり貧乳じゃないみはりちゃんはみはりちゃんじゃないよ!!」


みはり「……それはそれで、何かもやもやするわね……」もやっ…

勇気「みはりちゃんはそのままでいいんだよ」にこ



みはり「……まったく。どうしようもない馬鹿なんだから。これじゃ私以外の人には、心配で預けられないわ」やれやれ

勇気「みはりちゃん……」


 


みはり「でも…ホントに本気なの?いつもみたいになんかオチがー――――」

勇気「本気だよ……」すっ…

みはり(あっ…愛徒の顔が近づいて……)


ちゅっ…


みはり(――――――!!!………………/////////)


すっ…


勇気「こ…これが、本気の証拠だよ////////」


みはり「…………………」



 



勇気「……これでも…………まだ足りないかな?」


みはり「うん」すっ


ちゅっ


勇気「!?」


ぷはっ


みはり「ま…まだまだ!こんなんじゃまだ全然足りないんだから!!//////」


 



朝。


雀「チュンチュン」


ぱち…

みはり「……ん…んん……」むくり…

みはり「ふぁ~よく寝た……」じー


みはり(ふふ…愛徒ったら気持ち良さそうに寝て……そっか…私、ついにコイツと……)

みはり(まさか…コイツと恋人同士になって、その日の内にしちゃうなんて……昨日の夜までは思いもよらなかったな……)


みはり(でも…何だろ…今、すごく満ち足りてるというか…よく判らないけど、凄い充足感みたいなものに満ち溢れてる感じがする……)


 



勇気「…………ん…んん……」ぱち

むくり…

勇気「……みはりちゃんおはよー…………って何で僕のベッドにみはりちゃんが!?しかもハダカで何で!?//////」どきーん

みやり「こらっ!!昨日あんな事しといてボケてんじゃないの!!」

ぽかっ

勇気「ぐはっ!!……ってそうか……昨日みはりちゃんと……////////」かぁぁぁ

もじもじ

みはり「何、今さら恥ずかしがってんのよ?男のアンタにそんな反応されたら、こっちが余計に恥ずかしくなっちゃうじゃない……///////」かぁぁぁぁ


 



勇気「ご…ごめん……でも――――」すっ

ぐいっ

みはり「あっ―――――」

ぎゅっ


勇気「これで僕たちは今日から…恋人同士なんだね……」

みはり「うん……/////」


勇気「愛してるよ…みはりちゃん……ううん、みはり」す…

みはり「私もよ…愛徒…ううん勇気……」す…

ちゅっ…


 



―――。


みはり「これから先…いつかは……私たちが【つくる】のはマンガだけじゃなくなるのね……」

勇気「えっ!?それって……//////」どきっ

みはり「もうっ言わせないでよ?恥ずかしいから……//////」かぁぁぁ

勇気「ちょっと…まだ気が早いよ、みはりちゃん。まだ結婚もしてないのに」はは

みはり「はは…そうね。ちょっと気が早かったかな……」

みはり(でも…【こんな事】を思う様になるなんて、昨日まで全く思ってもいなかったな……)

勇気「……そうだよ。それに今の僕はニートになっちゃたし……」しゅん…

みはり「そうね……でも、アンタが このまま売れないマンガ家してても、私が食べさせてあげるから」

勇気「うーん。ありがたいけど…流石にそう言う訳にはいかないよ」

みはり「でも、新作の構想だって、まだ何にもないんでしょ?」


 


勇気「へへ…そこは大丈夫だから」

みはり「えっ?どういう……」

勇気「今…ううん。実は前から少しずつ構想を練ったやつがあるんだ。今までみはりちゃんには言えなかったけど……」

勇気「実はもう…タイトルも決まってるんだよ」

みやり「へーそうなんだ?何てタイトルなの?」


勇気「うん…それはね――――――」





愛徒勇気「『マンガ家さんと担当編集者さんと』」





勇気「っていうタイトルなんだ」どやっ


















みはり「えっ!?」





おしまい。



 

とりあえずこれでおしまいですが
ちょっと短いので
書けそうだったらもう少し書こうかと思います


ありがとうございました。


おまけ。


とある日。


勇気「あれっ?みはりちゃん。髪…また伸ばし始めたんだ?」

みはり「ええ。この髪が前と同じ位に伸びる頃には、私は一人前とまでは、いかないかもしれないけど……」

みはり「……それまでに、マンガの編集者としての自分に…確固たる自信を付けたいと思ってるの」

勇気「そーなんだ。みはりちゃんは凄いねぇ偉いねぇ」(感心)

みはり「あのねぇ。だからアンタも頑張って早く新連載勝ち獲りなさいよ。私は何時までも待ってあげられる程、気が長くて
優しい女じゃないんだからね!」

勇気「…………はい…精進します。頑張ってぼくも変わるからね!!」

みはり「せいぜい頑張りなさいな」

勇気「うん」


みはり(まっアンタはいろいろ問題のある人だけど……)

みはり(まぁ別に…そのままのアンタだって……いいんだからね…私は……)

みはり(………今はまだ…言ったりなんてしてあげないけどね)ふふ…


 



またとある日。


勇気「ねー。みはりちゃん」

みはり「何よ?」

勇気「みはりちゃんが僕と結婚したら『愛徒 みはり』になるんだよね?」

みはり「それがどうしたのよ?」

勇気「そしたら≪愛のある見張り≫になって、愛のあるとっても温かくて優しい仕事場になると思うんだけど」


みはり「…………アンタが私の家に養子に来れば『音砂 愛徒』になって……」

みはり「絶対に落とさせない様に、スパルタ的な事をする事になるかもね」ニヤリ

勇気「ひいっ!そっそんなのやだよぅ……みはりちゃん…お願いだからウチにお嫁に来てよぅ……」


みはり「…………ま、考えとくわ」はぁ


 



またまたとある日。


みはり「ねぇ。勇気」

勇気「何だい?みはりちゃん」

みはり「アンタ。私と結婚したらその…子どもは欲しいの?////////」

勇気「もっ勿論だよ!みはりちゃん!!男の子も女の子も欲しいよ!それに女の子の名前はもう考えてるし」

みはり「へーなんて名前?」

勇気「それは勿論もえみちゃn―――――」

みはり「その名前はやめろーー!!」がぁ!

勇気「えっ!?どうして……」

みはり「どうしてって…アンタ自分の娘がそこら辺で毎日パンチラしててもいいの?」

勇気「うっ…それは…………ん?それはそれで……」ふんふむ…

みはり「いや駄目でしょ!!……全く…アンタって人は……」はぁ


 



更にとある日。


みはり「アンタがまたゴンゴンで連載しているの前提で言うけど……」

勇気「うん。何だい。みはりちゃん?」

みはり「もしアンタと結婚して、私が妊娠したら……まぁギリギリまでやるとは思うけど……」

勇気「うんうんそれで?」

みはり「それでも産休と育休は取らないといけないから、担当が代わる事になるわよ?」

勇気「えっ!?」

みはり「そりゃそうでしょ?私の身体は二つもないんだから」

勇気「……うう…どんな人に代わるの……?」

みはり「そうねぇ…やっぱりアンタが絶対に落とさない様に……ガチムチ系の人とか……?」

勇気「え"!?そんなのやだよぉ!!お嫁さんも担当さんも、どっちもみはりちゃんがいいよぉ!!」

みはり「……はぁ。判ったわよ。その時はなるべく女性の担当さんにしてって、編集長にお願いしとくから」

勇気「ホント!?」

みはり「まぁ…そんな顔されたらね……」


 



勇気「何だったら編集長さんが担当さんでもいいよ!!」

みはり「調子に乗るな!!って…結婚は私が一人前の編集になってからだし、子どもを作るのはアンタがまた連載して、且つ人気が出てからだけどね」

勇気「うん!頑張るよ!!」

みはり「せいぜい泥船に乗ったつもりで期待してるわよ」にこ

勇気「うん!頑張るよ!!」にこ

みはり(…………はぁ。全くコイツは……でも、まっいいかな……)ふふ


みはり「…………勇気……」さっ…

ぎゅっ…

勇気「みはりちゃん……」

だきっ

みはり「……………//////」す…

勇気「……………///////」すっ…


ちゅっ…



 


みはり(……でも私はこの人の――――――)

みはり(変態でスケベで…情けなくて…悪い意味で素直な……)

みはり(そう…私は彼のそんなところが…好きに―――――――)

みはり(――――ってそんなわけないじゃない!)


みはり(……私は…別に変態が好きって訳じゃなくて…愛徒 勇気…という人、そのものを好きになっちゃったんだと思う……)



みはり(純粋なだけじゃ面白くない)


みはり(不純だらけなんてのは以ての外)


 



みはり(そう。私はこの人の――――)


みはり(不純だけど限りなく透き通った―――――)


みはり(純粋なフジュンブツ――――)


みはり(――――みたいな処を、好きになってしまったんだろうな……)


みはり(まっ。こんなヤツだけど、好きになっちゃったもんは仕方ないわよね)



みはり(なーんてね……)たはは…




おまけのおしまい。



 

これで全部終わりです
もしかしたらこの作品初のSSではなかろうかと思います
アニメの第9話を視てどうしてもこのお話を書きたくなって
今頃になって書かせて頂きました

ありがとうございました



またとある日。


勇気「ねー。みはりちゃん」

みはり「何よ?」

勇気「みはりちゃんが僕と結婚したら『愛徒 みはり』になるんだよね?」

みはり「それがどうしたのよ?」

勇気「そしたら≪愛のある見張り≫になって、愛のあるとっても温かくて優しい仕事場になると思うんだけど……」



みはり「…………アンタが私の家に養子に来れば『音砂 勇気』になって……」

みはり「絶対に落とさせない様に、スパルタ的な事をする事になるかもね」ニヤリ

勇気「ひいっ!そっそんなのやだよぅ……みはりちゃん…お願いだからウチにお嫁に来てよぅ……」



みはり「…………ま、考えとくわ」ふふん


 

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