『指輪』2003年
765プロの事務員である、音無小鳥が自宅で刺殺された。
2003年 5月
自宅
小鳥『う~ん、やっぱこの服はちょっとおばさんっぽいかしら・・・』
小鳥『やっぱりさっきの服がいいんだけど、お腹がちょっとねぇ・・・』
小鳥『あー、どうしよう。せっかくのデートなのに服が見つからないよぉ』
小鳥『いや、落ち着くのよ小鳥。私には2次元で培ってきた知識と経験が・・・・』
小鳥『って、こんな事だから今頃焦ってるんだろうな……はぁ。もう何度も会ってるのに・・・・』
小鳥『でもここで妥協すると、きっと嫌われちゃうわ、だから頑張るのよ私!』
デートに心躍らせる音無小鳥。本番は今度の土曜日なのになぜ3日前から悩むのだろうか・・・
小鳥『おぉ・・・この服はいけるわ!よしっ、土曜日にはこの服を着て行くわ!』
小鳥『……かわいいって言ってくれるかしら』
小鳥『いけないっ、もうこんな時間だわ。明日も仕事があるんだからもう寝ないと』
ようやく見つけた勝負服に期待を寄せつつ小鳥は眠りに入った・・・・・
だが、3日後の土曜日、彼女は自宅で遺体となって発見される。
とっておきの勝負服を着て・・・・・。
事件は強盗殺人ということで捜査がなされたが、有益な情報や証拠も見つからず、事件は迷宮入りとなった。
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2013年
ヴァレンズ「如月千早って知ってる?」
リリー「もう聞き飽きたわ」
ヴァレンズ「え?今日初めて言ったと思うんだけどな」
リリー「あら、そうだったかしら。残念ながら知らないわ。」
ヴァレンズ「まだ10年そこら前のアイドルなんだけど、歌がめちゃくちゃ上手いんだよ」
リリー「歌だったらいくらでも上がいるでしょ。」
ヴァレンズ「まあな。だから消えちゃったんだろうな。」
ボス「何の話をしているんだ?」
ヴァレンズ「如月千早って知ってますか?」
ボス「ああ、もちろんだとも。10年前は歌姫と言えば彼女が上げられるくらいの人気だった。」
リリー「でも、今じゃ見る影もない。何かあったんですか?」
ボス「彼女の所属していた765プロ衰退の原因として可能性があるのは『音無小鳥』の事件だろうな」
リリー「彼女もアイドル?」
ヴァレンズ「いや、音無さんは事務員だよ。765プロを陰で支えていた人だ。」
ボス「事務員としては異例の人気でな。アイドルほどではないがファンがいたそうだ。」
ヴァレンズ「そんな彼女がある日自宅で、死んでいるが発見された。当時は強盗殺人だろうってことで捜査が進められたらしいけど、何も分からず迷宮入り」
ボス「ミキミキとも会えなくなったのは寂しかった……」
ボス「この際だから、再捜査してみるか?」
リリー「ええ、アイドルに興味が出てきました」
op:http://www.youtube.com/watch?v=f0nvaswnsn4
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資料室
ヴァレンズ「ボスって星井美希派だったんですね。なんだかわかります。」
ボス「よくいわれる。」
リリー「ゴホンッ、えーっと、被害者-音無小鳥(2x)死因は刺殺。凶器は見つかっていないみたいね。」
ヴァレンズ「死亡時の服装から推測すると、彼女はどこかへ出かけるつもりだったみたいだ。」
リリー「携帯電話にも着信があったみたいだけど、公衆電話からだから特定は難しいわね。」
ボス「アパートの住民は何も聞いていないし、見てもいないそうだ。」
リリー「部屋が荒らされてもないし、抵抗した形跡もないようですし、知り合いの犯行って可能性もありますね。」
ボス「とにかく、もう一度アパートの住民に話を聞きに行くんだ。いまだと何か思い出せるかもしれん。」
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アパート
元小鳥の部屋
管理人「ここはあの子が死んでからずっと空いてるね。残念だったわ。良い子だったから」
リリー「当時、強盗殺人ということでしたが、本当に何も見てないんですか?」
管理人「うーん、正直あの子が強盗に入られることなんてありえないのよ。」
ヴァレンズ「どういうことですか?」
管理人「あの子処女だからってやたら防犯には気を使ってたのよ。なにかあれば、ブザーが鳴ってたはずよ。」
ヴァレンズ「じゃ、音無さんの部屋に誰か出入りしていた人はいないんですか?」
管理人「そうねぇ、あ!一度だけ、見たのよ……彼女らしくなかったわ」
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管理人『廊下掃除も楽じゃないわね・・・』シャッシャッシャッ
管理人『ん・・・・あの部屋は小鳥ちゃん・・・』
?『じゃ、また来ますね。小鳥さん』
小鳥『うん……待ってるわ////』
?『今度は僕の家に来てください』
小鳥『えぇ!?真ちゃんの家に!?』
真『そうです……べ、別に変な意味はないですよ///じゃ、行きますね』
小鳥『また明日事務所で・・・』
管理人(小鳥ちゃん……)
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管理人『まさかあの真王子がレズビアンだなんて驚いたわ』
ヴァレンズ「まじかよ……真が、音無さんと付き合ってたんですか」
管理人「断定はできないけど、なかなかいい雰囲気だったわね」
リリー「人気アイドルがまさかのレズだったとはね」
ヴァレンズ「これもうわかんねぇな」
***
某ダンススクール
真(28)『はいっ、じゃ次は腰を前後に振ってからの・・・・ん?』
真『悪いけど、みんなちょっと休憩しておいて』
***
リリー「すみません、途中で止めさせて」
真「ええ、良いんですよ。それであなた方は?もしかして、スクールの受講希望者?」
リリー「いいえ、実は10年前の音無小鳥の事件について再捜査してるんです」
真「小鳥さんの?でも、あれは強盗殺人で犯人はもう・・・」
ヴァレンズ「だから、もう一度再捜査するんです。」
リリー「あなた当時はアイドルやってたのよね?」
真「やってましたよ。もっとも私が思い描いてたものとは違いましたけど」
ヴァレンズ「やっぱりかわいい路線でいきたかったんですか?」
真「そうね、でも私ってどうも男前らしくてね、なかなかそういうことはさせてもらえなかったのよ」
真「本当は男の人にも関心を持ってもらいたかったんですよね・・・」
リリー「女の子からはモテモテだったでしょうね」
真「まぁ、なれると悪い気はしなかったですね。」
リリー「じゃあ、小鳥の時も彼女から告白されたの?」
真「え・・・」
ヴァレンズ「彼女のアパートの管理人が密会してるのを目撃してたんです。」
リリー「ただの事務員を自分の実家に呼ぼうとするかしら?」
真「…………はぁ」
真「ただの事務員じゃないんですよ小鳥さんは……」
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小鳥『真ちゃん……好きです!』
最初は冗談だと思ってた。だって、小鳥さんだし。いつものように妄想が暴走したんだろうと。
真『あはは、小鳥さんまた変な本でも読んだんですか?たしか、百合でしたっけアレの影響ですよね?』
小鳥『違うわ。これは本気よっ////』
良く見ると顔が真っ赤になってた。
真『本気って、小鳥さん僕たち女同士じゃないですか。』
小鳥『知ってるわ、でも・・・』ギュッ
真『なっ!?なにしてるんですかっ』
小鳥『ねぇ、分かる?私いまとってもドキドキしてるの』
急に抱きしめられて小鳥さんのふくよかな胸に顔をうずめる形になってしまった。
真『は、はいっ・・・(ほんとだ、音無さん……いい匂い)』
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真『妄想好きな上にレズだなんて、どう考えたって普通じゃないよ』
真『でも、あの人の照れてる顔を見てたら胸がキュウってなって、気が付いたらokしてたんだ』
リリー「付き合ってたのは本当なのね」
真「はい。でも、基本的には事務所でも会えるし、当時は忙しかったからデートなんて球に行く程度でした」
真「殺されたって日も、久しぶりのデートだったんです。長い事待ってから、連絡を受けたときは……ショックでした……」
リリー「・・・・・」
***
署内
ボス「人気アイドルと事務員の恋愛か……」
リリー「世の中いろんな人がいるんですね。」
ヴァレンズ「真の話だと2人の関係を知っていたのは同僚の萩原雪歩しかいなかったそうです。」
ボス「雪歩か……彼女も清楚系では当時ナンバーワンだった。」
ヴァレンズ「しかも、当時は真とのカップリングが大流行。まあ、本人たちにはその気はなかったんでしょうけど。」
ボス「結構、お似合いのカップルだとおもったな」
ヴァレンズ「そういうボスは美希推しでしたよね」
ボス「そうだ。ミキミキは心の癒しだった。」
リリー「……じゃあ、萩原雪歩については私たちで。ヴェラたちのほうはどうなりましたか?」
ボス「音無小鳥の両親は母親がなんとか生きてたようだ。いまウィルと一緒に話を聞きに行ってる。」
***
音無家
母「娘はちょっと変わった子で、昔から漫画やゲームが大好きで、そっちにばっか集中してたんです」
ヴェラ「男性関係は何か聞いていますか?」
母「いいえ、あの子・・・いつもゲームの中の女の子ばっか追いかけてたから」
ウィル「実は、同じ事務所の人と深い仲にあったようなんです」
母「あははは、プロデューサー君のことを言っているならあの人は違うわよ」
ヴェラ「何だって?」
ウィル「私たちが聞いたのは娘さんが、菊池真と交際しているってことです。」
母「あら~、それは知らなかったわ。でも、相手が女性なのはあれね。」
母「そうだわ、事件の前にさっき言ったプロデューサーに何か言っていたのよ」
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音無家
母『久しぶりに帰って来たと思ったら、同人誌の買い過ぎでお金がないってどういうことなのよ』
父『そんなんじゃいつまでたっても結婚できないぞ』
小鳥『うぅ、ごめんなさいぃ・・・・・』
prrrr prrrr
小鳥『あら、電話だわ。ちょっと出るわ』
***
小鳥『プロデューサーさん・・・・あの事はもう・・・』
小鳥『お願います・・・・このままばれたら私は・・・』
小鳥『ええ、だからそのお金は・・・・・はい。切りますね。』ピッ
母『いつまで話してるのよ』
小鳥『キャッ、ちょっと急に出て来ないでよ』
母『そんなに怒らなくたって・・・・それより、さっきの人は彼氏かい?』
小鳥『なななな、何言ってるのよ!プロデューサーさんよ。同僚の』
母『そういうことね。ちょっと期待しちゃったわ』
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母『あの時話の内容についても聴いておけばよかった・・・・』
ウィル「娘さんは同僚からお金を取られていたんですか」
母「わからないわ。お金をせびるのはいつものことだから。でも、あの頃はよくもらいに来たわ。」
ヴェラ「そうですか・・・」
母「これくらいかしら私から言えるのは。思い出すのは辛いけど、あの子に相手がいたことが聞けてよかったわ。」
***
萩原家
雪歩「真ちゃんは一番の友達でした。だから小鳥さんのことも教えてくれたんでしょうね」
リリー「改めて聞くけど、そのことは本当にあなたしか知らなかったの?」
雪歩「ええ、こう見えても口は堅いんですよ。それに同性愛じゃだなんて周りに知られたら事務所も危なかったですし」
ヴァレンズ「事件の当日はどこに?」
雪歩「えーっと、家にいたと思います。休日は家でお茶を飲みながらゆっくり過ごすので。両親は外出していたので証人はいませんけど」
雪歩「でも……確かに私は他言はしませんでしたし真ちゃんも隠し通そうとしてましたが・・・小鳥さんのほうがちょっと浮足立ってたみたいでした・・・・」
ヴァレンズ「周りにばれそうになってたってこと?」
雪歩「そうです・・・」
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事務所
真『ねぇ、雪歩!この漫画すっごく面白いよ!』キラキラ
雪歩『真ちゃん…いまどき白馬の王子様が出てくる漫画なんてオワコンだよ』
真『えーっ、だってさ想像してみなよ、自分の大好きな人が白馬に乗って颯爽と迎えに来てくれる!』
雪歩『わからないよ・・・・真ちゃん』
真『そうかなぁ~』
小鳥『ま・こ・と・ちゃん!』ガバッ
真『わっ!?・・・・もう~、脅かさないで下さいよ小鳥さん』
小鳥『いいじゃない~、だって私たちは・・・・ふか~い仲じゃない』スリスリ
真『ちょ、小鳥さん!まずいですって・・・誰かに聞かれたら・・・あ』
亜美真美『『あ………』』
雪歩『え、えーっと亜美ちゃん真美ちゃんお帰り!は、早かったんだね・・・』
真美『うん……』
亜美『そ、そうだよ・・・・』
真美『ねぇ、まこちん・・・今のって・・・』
真『ま、真美・・・・これは何でもないんだ、ね?』
小鳥『そうわよ!さぁ~てと仕事仕事!』
真美『……わかった。いこ、亜美』
亜美『うん』
雪歩『あ、後でお茶持っていくからね・・・』
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雪歩『もしかしたら、あの2人には気付かれていたかもしれません』
雪歩「でも、だからってあの2人がどうこうするようには思えませんけど・・・・」
ヴァレンズ「亜美真美に知られた可能性があるか……」
リリー「どんな子たちなの」
ヴァレンズ「双子で、悪戯好き。でしたよね?」
雪歩「ええ、よく事務所で暴れて怒られてましたね」
リリー「悪戯ね……もしかしたら、悪戯で済まなかったかも」
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取調室
ボス「ずいぶんと落ちぶれたようですね、プロデューサー」
p「全くだよ。音無さんの一件以来、どうも仕事が回らなくてね、いまじゃコンビニの店員だもんな。情けない」
ボス「……私も残念でした。もう、ミキミキに会えないと思うと・・・・」
p「そうですか……でも、そんな昔話するために読んだわけじゃないんですよね、刑事さん」
ボス「……まあな、音無小鳥とはどんな関係だった?」
p「音無さんとは、仲良くしてました。数少ない飲み仲間でもありました。よく、仕事をさぼっているのを見つけてはからかってましたね」
ボス「そうか……じゃあ、金を脅し取ったりもしたんだな?」
p「え・・・」
ボス「彼女の弱みを何か握って、度々お金をゆすってたんじゃないのか」
p「まさか、なんで同僚にそんなことを・・・」
ボス「じゃあ、なんでお前の銀行口座へ定期的にお金が振り込まれていたんだ?」
p「……そ、それは・・・」
ボス「しゃべるんだ、知ってたんだろ、あの事を」
p「はぁ・・・・あぁ、知ってたよ。真と音無さんのこと・・・・」
p「たまたま事務所で・・・いちゃついてたのを見たんだ。それで、ちょっと・・・」
ボス「そのちょっとには殺しも含まれているのか?」
p「違う!殺してない!たしかに、馬鹿だった・・・同僚から金を脅し取るだなんてな・・・でも、やってない。」
ボス「事件当日はどこにいた?」
p「その日は仕事で事務所にいた。営業先の人とも電話した。調べてくれればわかる」
ボス「そうか、じゃあ事件当日のアイドル達の居場所は分かるか?」
p「仕事があった子なら分かるかもしれないけど、フリーの子となると・・・」
ボス「わかった。」
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大学 医学部棟
真美(23)『今私たち忙しいんですけど・・・』
亜美『次の授業に遅刻してしまいそうなんですがそれは・・・』
ヴァレンンズ「いや、時間は取りません、真実を話してくれれば」
リリー「あなたたち、音無小鳥のことはもちろん覚えてるわよね?」
真美「えぇ・・・まあ、昔はお世話になりましたから」
リリー「ずいぶんとドライなのね」
ヴァレンズ「アイドルの時とはずいぶん、キャラが違うんですね」
亜美「……アイドルごっこはもう終わったんです。」
真美「あの人が死んでから、ただでさえ少なかった私たちの仕事もいよいよ無くなって・・・」
亜美「ついには、父の反対にも遭い・・・アイドルは辞めました。」
リリー「何か心当たりないかしら、彼女が殺された理由について」
真美「まさか、私たちがやったとでも?」
ヴァレンズ「あなたたちは何か、彼女についての秘密を知ってしまったんじゃないですか?」
リリー「たとえば、菊地真との関係とか....」
亜美「あのことなら、確かに知ってました。というか、ピヨ・・・いや音無さんが、のろけてるのを見れば誰だって分かります。」
リリー「そのことで、からかったりしたんじゃないの?」
真美「ええ、あの頃は何も考えずに好き放題にやってましたから・・・・でも、それと殺人は別です。」
亜美「さすがの私たちでもそこまでしない。」
ヴァレンズ「でもからかったせいで2人の仲は悪くなりそうだな」
真美「いいえ、悪くならなかった・・・」
亜美「むしろ、その逆よ」
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事務所
亜美『真美、ハンドガンの弾がなくなった!』ピコピコ
真美『りょうか~い、真美はマシンガンもあるからあげるね』ピコピコ
亜美『あっー!そういえばさっきの松明のところでトレジャー取り忘れたよ~(´・_・`) 』
真美『あれなら真美が取っておいたからおっけーだよ』
いつものようにゲームをしてました。すると、2人の声が・・・
『真ちゃん!』ギュッ
『もうっ!何するんですか!!』
***
小鳥『え・・・・ちょっとしたスキンシップだけど・・・』
真『もう、忘れたんですか!この前真美たちにばれそうになったじゃないですか!』
真美亜美(ばればれなんだよなぁ・・・・)
小鳥『そ、そうだけど・・・・私、真ちゃんのこと好きだし・・・』
真『それは僕も一緒です。でも、このままだといつか外部の人たちにばれてしまいますよ』
真『そうなれば、音無さんはおろか僕まで仕事を失うはめになるんです!』
小鳥『もしそうなったら、わ、私がなんとか働いて真ちゃんの分まで頑張るから・・・』
真『頑張る?一体何のために?まるで、結婚でもするみたいな言い方ですね』
小鳥『そうよ、私は真ちゃんと結婚する気満々よ』
真『え・・・・それって・・・ええ!?』
小鳥『今度の土曜日に、渡したいものがあるの……続きはその時、ね?』
真『小鳥さん……』
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亜美『え、あの2人結婚するの!?』
真美『じゃあ、渡したいものってまさか・・・・』
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亜美『結局、あの後に音無さんは殺されて……』
真美『分からずじまいだったわけで……』
リリー「小鳥は何か渡そうとしたのね」
亜美「ええ、多分、指輪とかかな」
真美「結婚っていうくらいだからそれだと思ってた」
ヴァレンズ「でも、自宅に指輪なんてなかったぞ」
リリー「誰かが取ったのね……たぶん、2人の関係がばれてしまうから取ったのね」
ヴァレンズ「ばれて困るのは・・・真か」
リリー「同性での結婚で、怖くなったのかも。」
亜美「じゃあ、私たちもう行きますね」
真美「亜美、早くしないと」
ヴァレンズ「ねぇ、余計なお世話かもしれないけど、俺は昔の元気な2人が好きだったな。」
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亜美「真美、今の亜美たちってイケてないかな」
真美「うん……なんか、楽しくないよ」
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取調室
リリー「あなたたち結婚する予定だったのね」
ヴァレンズ「しかも同性で」
真「さぁあね、あっちはその気があったみたいだけど。」
リリー「ねぇ、あなた言ってたわよね小鳥が殺された日はデートだったって」
真「そうですよ。」
リリー「それってただのデートのお誘いだったの?」
真「どういうことです?」
ヴァレンズ「本当は何かもらう予定だったんじゃないのか、たとえば・・・」
リリー「指輪とか」
ヴァレンズ「事前に言われてたんだろ、渡したいものがあるって。」
真「それは・・・・」
リリー「結婚の話がでて、渡されるものってそれしかないわよね。」
ヴァレンズ「もしも受け取ってしまえば、もう後戻りはできない。普通じゃないもんな、同性同士って」
真「……ちがう」
リリー「あなたには結婚まで考えるほどの余裕がなかった、だからケリをつけるために彼女の家に行った。」
ヴァレンズ「そしたら、思いのほか大喧嘩になって、思わず・・・・」
真『違う!そんなのじゃないんだ!僕は彼女を愛してたんだ!殺すわけがない!』
真「たしかに、余裕はなかった。でも、だからって殺しなんかしない。むしろ、覚悟を決めたよ。」
真「でも、小鳥さんは来なかった・・・・もしも、僕がもっと早くそうしていたら・・・あの人は・・・うぅ」
リリー「一人で大変だったみたいね」
真「ちがいます、事前に雪歩に相談したんです。」
ヴァレンズ「てことは、彼女も指輪のことを知っていたわけ?」
真「えぇ、雪歩くらいにしか相談できなくて……」
リリー「…………」
リリー「ねぇ、当時あなたたち2人のことを百合だって言われてたの知ってる?」
真「そういえば、そうでした。よく、小鳥さんが僕たちをモデルにした本を書いてたのを覚えています。」
リリー「雪歩の方はどうだった?何か言ってなかった?」
真「雪歩はといえば・・・・・・」
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真『今日さ、ファンの子から「雪歩さんとはどこまでやったんですか!?」って聞かれちゃってさ。ちょっと困っちゃったよ』
雪歩『どうして困る必要があるの真ちゃん・・・私とじゃ不満?』
真『もう~、雪歩までやめてよー、はぁ・・・小鳥さんは小鳥さんでなんか張り切ってるし・・・まあ、ああいうところがいいんだけどね』
雪歩『ねぇ・・・・なんで音無さんの名前が出てくるのかな・・・今私といるんでしょ、真ちゃんは』
真『ほら、そうやってすぐヤンデレになるんだから・・・』
雪歩『私本気だよ。だから・・・・』
真『雪歩、いろいろ相談に乗ってくれたのはすっごい感謝してるんだ。でも・・・・僕は』
雪歩『真ちゃんが奪われたら、私はどうすればいいの?』
真『奪うって・・・僕たちの関係は今まで通り変わらないよ。雪歩が友達でよかった、ありがとう』
雪歩『……そう、わかった……』
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真『その後、しばらくは機嫌が悪かったみたいだけど、すぐに仲直りしたよ』
リリー「雪歩はあなたのことが好きだったの?」
真「分からない……だとしたら、僕は酷い事をしたね。何も考えずに、彼女に相談してたんだ・・・・」
リリー「小鳥とは何もなかったの?」
真「僕が見てた限りじゃ、いつも通りだったと思う。」
真「でも、そういえば、真美がその頃よく小鳥さんに冷たく接していたような気がします」
リリー「双海真美ねぇ・・・・」
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大学 構内
ヴェラ「医学部ってだけあって、広いんだな」
真美「広いだけで、中身は空っぽよ。外見だけ見栄を張って、施設の充実が追い付いていないのよ」
真美「でも、そんなことを話しに来たんじゃないんでしょ、刑事さん」
ウィル「音無小鳥と中が悪かったんだって?」
真美「はぁ・・・そこまで知られてたのね。まあ、一時的にね」
ヴェラ「小鳥を殺すまでか」
真美「まさか、そういうのじゃないのよ・・・・この際だから言うけど・・・・」
真美「私も、菊池真・・・『まこちんのことが好きだった』
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事務所
真美『聞いたよ、渡すんだってね』
小鳥『?』
小鳥『なんのことかしら?』
真美『とぼけないでよ、指輪。渡すんでしょ、まこちんに』
小鳥『知ってたのね・・・・ごめんなさい』
真美『何で謝るの・・・・』
小鳥『だって、真美ちゃんも真ちゃんのこと・・・・』
真美『そうだよっ!・・・・なんで・・・ピヨちゃんなの』
真美『真美の方がピチピチでまだ若いのに!』
真美『なんで・・・・うぅ・・・』ポロポロ
小鳥『真美、ちゃん・・・』
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真美『結局、あのまま逃げ帰った。ほんとは、まこちんの気持ちもわかってたはずなのにね』
真美「素直に、なれなかった……」
ヴェラ「それは、今もってわけか」
真美「え・・・?」
ウィル「無理に優等生を装ってても、楽しくないんじゃないか」
真美「それは・・・・」
ヴェラ「余計なおせっかいか」
真美「……」
***
署
ボス「結局、双海姉妹もシロだったわけか。」
リリー「また振り出しに戻ったわけですね」
ヴァレンズ「本当にただの強盗殺人なのかも・・・・」
ヴェラ「ところが、新しい情報を見つけたぞ」
ボス「一体なんだ」
ヴェラ「pが音無小鳥から金を巻き上げてた時のことを調べてたら、事件のあとから最近までpの銀行口座に定期的に振り込みが行われてた。」
ウィル「振り込み人は、萩原雪歩だったんです」
ヴァレンズ「雪歩だけ、事件当日の確かな居所は分かっていない」
ボス「pは当日フリーだったアイドルのことは分からないと言っていたが・・・」
リリー「もしかしたら、知ってたのかも」
ヴァレンズ「共犯ってこともありえるな」
ヴェラ「そのための、口止め料ってわけか」
***
取調室
p「知ってることは全部話したはずですが」
ボス「いいや、話してない。お前の銀行口座を調べたんだが、どう見てもコンビニアルバイトの持っている額じゃないんだよな」
p「それは・・・・俺が頑張って働いているから・・・」
ヴァレンズ「違うだろ、ある人物から定期的に振り込みがなされてる。振り込み人は萩原雪歩だ」
ヴァレンズ「これはどういうことだ?」
p「っ……」
リリー「それに、調べたら確かにあなたは当日事務所にいて電話に出てた・・・・」
p「なら、問題ないだろ。俺は何も知らないんだ」
リリー「じゃあ、別に萩原雪歩から電話があったのはどういうことなの?」
p「それは・・・・くっ」
p「わかったよ、話す。もう、かばいきれない」
p『確かに、雪歩から電話があった』
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p『ん?雪歩、どうしたんだ』
『プ、プロデュサー……私、人を殺しました。』
p『は・・・?』
p『殺したって……だれをだ?』
『こ、小鳥さんを・・・・』
『刺すつもりはなかったんです・・・・つい、かっとなって・・・あの、どうすれば・・・』
p『わかった、いま音無さんの家にいるのか?』
『はい』
p『今から行くから・・・・待ってろ』
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p『ああ・・・なんてこった』
雪歩『あの……私……』
p『もういい……』
雪歩『お願いです、プロデューサー!誰にも言わないでください……私、こんなこと・・・』
雪歩『なんでもします、私に出来ることならなんでも・・・お金でも何でも・・・だから・・・』
p『雪歩……』
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参考ed:http://www.youtube.com/watch?v=pma1ru2xk7w
こうして、pの証言により、萩原雪歩の『音無小鳥殺人事件』においての犯行が裏付けられた。
そして、雪歩もこれを認めた。
件の指輪だが、雪歩が逃げ去る前に彼女が取ってそのままだったそうだ。
無事に彼女の自宅から発見され、両親のもとへと届けられた。
こうして、事件は解決した。
***
a子「ねぇ、双海さんたち今日カラオケいかない?」
b子「a子!双海さんたち忙しいから・・・・」
真美「……」
亜美「……」
a子「ご、ごめんね・・・じゃあまたこん」
真美『いやいや、a子殿』
亜美『いつから、亜美たちが行かないと錯覚していた・・・』
a子「じゃあ、来てくれるの!」
真美「あったり前だよ~」
亜美「亜美たちがうますぎて嫉妬しないでよね!」
***
小鳥母「あなたが、菊池真さんですか」
真「はい、娘さんとはその・・・」
母「ええ、聞いたわ。これ、あなたが持っていてください。」
真「これ……」
母「あの子があなたに渡そうとしていたものよ」
真『ありがとうございます!』
母『こちらこそ、あの子を好きになってくれて・・・』
真「小鳥さん・・・」
小鳥『うふふ、浮気しちゃだめだからね』
リリー「・・・・・・」
end
終わりです。
読んでくれた方はありがとうございますた。
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