あゝ
何て事だい
虫酸が走るなぁ
ボクのこの大事な大きな大きな石を汚すんじゃあ無いよ
もう駄目だ、限界だ
潰さなくちゃ
羽虫を潰せば汚れるけれど、ボクの手が汚れるだけで済むのなら
それで良しとしようじゃないか…
さあ、大掃除だ!
優れた君等は急いでノアに乗り込め?
神が掃除を始めるぞぉ!!
全てを洗い流す、石の波がくるんだ!!
クフ…クフフフフフ…クヒヒ…
??「ユウキ、そろそろ着くわよ…用意して」
僕がトラックの荷台でうつらうつらとしていると、運転席のお母さんが
窓から片手を出しながらそう言った
新しい町…
これで何度目だろうか
僕は父の仕事の関係上、良く引っ越す
だから友達も少ない…
多分、いやと言うか絶対に僕には問題は無い
だって僕はかっこいいし、気さくだし何て言ったってかっこいい
「なぁ?ヤミラミ?」
僕の言っている意味が分かってか、分からずか
ヤミラミはにぃっと笑って見せる
「あ!お前バカにしたな!」
「こら!何やってんの。早く降りて一緒に荷物降ろしてちょうだい!」
車を停めたお母さんが、トラックの扉を空けて僕らにそう言った
荷物を入れる為のその大きな後ろ扉が開けられると、僕とヤミラミに強烈な日差しが差し込む
「うわっ!ちょっとお母さん!眩しい!」
とっさにヤミラミの後ろに隠れると、ヤミラミも負けじと僕の後ろに隠れようとする
「もう、良いからちょっとどいて!引っ越し屋さんの邪魔になるでしょう?」
「ウッス…」
お母さんの後ろに、ポロシャツをきたゴーリキーが3匹立っている
「いいじゃん、どうせポケット引っ越しセンターだろ?ポケモンじゃん」
「こら!ゴーリキーちゃん達だって早く終わらせて早く帰れたらそれに越した事ないじゃない!」
「…はいはい、今どきますよ」
僕がすごすごとトラックから降りると、ゴーリキー達は凄い勢いで詰んである荷物を降ろし出す
「…キモいな、こいつ等」
「ユウキ!何てこと言うの!ゴーリキーちゃん達に謝りなさい」
「ヤだね。だって僕、格闘ポケモン嫌いだ…散歩してくる!」
「あ!こら!…もう」
「格闘ポケモンは殴る事しか考えてないもんな…嫌いだぜ。美しくない!お前もそう思うだろ?ヤミラミ」
なんだかイライラしながら歩いていると、どこかで叫び声が聞こえてきた
「ちょ…ちょっとタンマ!!!ギャー!!!!!!」
「…うるさいなぁ。この町はいつもこんな騒がしいのか?はぁ…」
突然、横をトボトボと歩いていたヤミラミが走り出した
「あ?ヤミラミお前どうした?ちょっと…!!待てって!!」
ヤミラミに追いつくと、そこに居たのは白衣を来てジグザグマに追いかけ回されている中年男だった
「は?誰この人」
「ちょっと!そこの君!助けて!マジで頼む!金ならあっから!」
そう言いながらも中年男はグルグルとジグザグマと追いかけっこしている
「はぁ?…いや、やめときますわ。おっさん色々きっついし」
僕がそういっておじさんに背を向けようとすると、ヤミラミが僕の服の裾をグイと引っ張った
「…え?お前アレ助けたいの?」
僕がそう言うと、ヤミラミはこくりと頷く
「えー…マジで?うーん」
悩んでいるとヤミラミはもっとぐいぐいと裾をひっぱってきた
「まぁ、お前がそこまで言うなら…一丁やるか!!」
野生のジグザグマがあらわれた!
(つってもこの地方のポケモン、まだあんま詳しく無いんだよな…とりあえずは)
「ヤミラミ、鬼火!」
ユウキの指示を聞いて、ヤミラミの目が赤く光る
そして、指の先に紫色の妖しい火が灯った
それはゆらゆら揺れながら飛んでいき、ジグザグマに当る!
「キャウッ…!」
(おっし当った、とりあえずぱっと見特殊タイプじゃないだろ)
ジグザグマのたいあたり!
(ビンゴ!)
ジグザグマはやけどを追いながらヤミラミに体当たりを仕掛けたが
ヤミラミには大して聞いていない
(さて、鬼火撒いといたから大してダメージ無いけども…タイプも分からんから有効打も分かんねーな)
「ヤミラミ!シャドーボール!」
ヤミラミの手のひらの中で、黒い球体が形成されていき、それはサッカーボール大になる
「いけ!」
ユウキがそう言うと、ソレはまっすぐにジグザグマに飛んでいく!
しかし
ボシュン…という音と共にジグザグマに当った筈のそれは消えてしまった
(あ、マジか。ミスった!)
ジグザグマのたいあたり!
ジグザグマにとって渾身のそれも
ヤミラミは大したダメージを負っていない
(ふぅ、鬼火うっといて良かったぜ…んじゃ、決めるか)
「ヤミラミ!めざめるパワー!」
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