響「プロデューサーのペット」 (84)

~事務所・昼~

やよい「えぇーっ!? プロデューサー、ペット飼ってるんですかー!?」

P「ああ、最近飼い始めてな。というか、そんなに驚くことか?」

やよい「はい! 最近弟たちが庭にくる猫達と遊んでて、気になるなーって」

伊織「ちょっと、大丈夫なのそれ? 病気とかにかかるわよ?」

やよい「うぅ~、でもみんな、可愛い可愛いって言ってて……」

P「まぁ、可愛いもんなぁ、動物は」

伊織「後でそれは相談に乗ってあげるわ。それで、アンタのペットってなんなの? 犬?」

P「まぁそんなところだ」

伊織「何で曖昧な返事なのよ……」

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やよい「そういえば、響さんもたくさん動物さんと暮らしてますよね」

響「え、あ、うん。そうだな」

伊織「どうしたのよ? 響なら真っ先に食いつきそうな話なのに」

響「いや、なんでもないぞ。それより、もうレッスンの時間じゃないか? みんな行くぞー!」

伊織「はいはい。早く行かないとトレーナーさんに小言を言われちゃうわ」

やよい「うっうー! プロデューサー、いってきまーす!」

P「ああ、行ってらっしゃい。がんばれよ」

P「……」

P「……ペット、か」


~事務所・夜~

P「ん~~」

小鳥「お疲れ様です、プロデューサーさん」

P「ああ、お疲れ様です。ようやく仕事が終わりましたよ」

小鳥「そういって、今日はいつもより早いですね。何かこの後用事でも?」

P「いや、最近ペットを飼い始めまして、早く帰らないと寂しむんじゃないかと」

小鳥「へぇ、プロデューサーさんがペットを……」

P「……何か?」

小鳥「あぁいえ、いつもお忙しいので世話とか大変なんじゃないですか?」

P「その点は大丈夫です。賢いし、躾けてますからね」

小鳥「そうですか、ペットのプロデュースまで完璧なんですね」

P「いえいえ。それに、独り身だと寂しいものですからね、ペットの温もりは悪くないですよ?」

小鳥「そ、そうですよね! 私も独り身だから、その、プロ――」

P「それではお疲れ様でした。音無さんも遅くならない内に上がってくださいね」

小鳥「――あ、はい」

小鳥「……私もペットを飼おうかしら」

~高槻家・夜~

やよい「うっうー! 今日はちょっぴり豪華なもやし祭りですー!」

伊織「もやしの比率が多いだけでただの野菜炒めじゃない……」

長介「伊織さん、それでも美味しそうに食べるよね」

伊織「うるさいわね、やよいの作ったものが美味しくないわけないでしょ」

やよい「それにしても、響さんはどうしたんだろう。何か用事でもあったのかな」

伊織「どうせいぬ美と喧嘩でもして、機嫌を直すために早めに帰ったのよ」

やよい「そうかなー……」

伊織「いない人のことは良いから、早く追加のもやしをいれましょう?」

長介「なんだかんだで味をしめてるよな」ボソッ

伊織「あら長介、何か言ったかしら?」

かすみ「伊織さん、長介は伊織さんにつっかかりたいだけなんですよ」

長介「ばっ、かすみ!」

やよい「もー、長介も伊織ちゃんも静かにご飯食べなさい!」

~P宅・夜~

P「ただいまーっと」

P「あれ、いないのか?」

P「あぁいたいた、どうしたんだ?」

P「なんだ、そう怯えるなって、ははは」

P「怯えてない? 恥ずかしいのか?」

P「そりゃしょうがないだろ。お前は俺の”ペット”なんだから」

P「そうだろ――響」

響「うぅ……」


響「ぷ、プロデューサー。ホントに服を着ちゃダメなのか……?」

P「俺はいぬ美やハム蔵が衣類を纏っているのを見たことはないな」

響「自分は人間だぞ?」

P「人である前にペットじゃないのか?」

響「それでも酷いぞ……」

P「別に服を着ても構わないけどな」

響「えっ」

P「確かに一昨日は『ペットが服を着ているってのは主人のエゴだよな』とは言ったが、服を脱げとは言ってないぞ」

響「それはプロデューサーが、……っ」

P「……まぁ、俺としては今の響は嫌いじゃないけどな」

響「ほんと!?」

P「冗談だ。早く服を着なさい」


P「こう生活していて2日が経ったわけだが、何か不満はあるか?」

響「服が着れなかったこと」

P「同じ問答を繰り返す気はないぞ。他に無いのか?」

響「……別に、ないぞ。プロデューサーが意地悪ってのは知ってるし」

P「……まぁいい、ご飯にしよう。時間がかかるから適当に暇でも潰してくれ」

響「自分、手伝うぞ?」

P「ペットに料理をさせる程酷い主人ではないさ」

響「……わかった」

P「嫌いなものってあるか? たまねぎとかにんにくとか」

響「プロデューサー、昼間から思ってたけど、自分は犬じゃないぞ?」

P「同じようなものだろ。今だって尻尾凄い振ってるしな」

響「えっ、嘘?!」

P「お前に尻尾が生えてるわけないだろ……」

響「えっ、あ……うぅ、やっぱりプロデューサーは意地悪だぞ」

P「簡単に野菜炒めだ。肉と油は少なめだから安心してどうぞ」

響「昨日一昨日と外で食べたから知らなかったけど、プロデューサー料理できたんだな」

P「大学の頃から一人暮らしだったからな、ある程度の家事は人並だ」

響「まぁいいか、いただきまーす!」

P「いただきます」

響「むぐむぐ、うん、美味しいな!」

P「ま、やよいのもやし祭りには負けるけどな」

響「あっ」

P「どうした?」

響「今日、やよいにもやし祭りに誘われたんだ」

P「ほぉ」

響「それで、プロデューサーのこともあるし、変に理由も言えなくて誤魔化して別れたから……」

P「いや、行けば良かったのに」

響「だって、その、プロデューサーが!」

P「俺が、じゃなくて、響が、俺を選んだんだろ? 別にここにいることを強制してるわけじゃないからな」

響「うぎゃー! なんだってプロデューサーはそうやって意地悪するんだー!」

P「ご飯中は静かにな」

P「さて、飯も食ったし、風呂は……俺が帰ってくる前に浴びたのか。後は寝るだけか」

響「他にやることってないのか? まだ寝るには早いと思うけど」

P「んー、みんなが出てる番組を見るってのもあるけどな、寝れるなら寝たほうが良い」

響「……プロデューサーっていつも家で何やってるんだ?」

P「食事と入浴と睡眠だ」

響「随分と質素だぞ……」

P「単純に時間が無いんだよ。13人もプロデュースするだけならまだしも、マネージャーを兼任しているようなものだ

から」

響「あ……」

P「まぁ気に病まなくても大丈夫だ。休日には自分のことをやっているからさ」

響「もし自分が――」

P「ん?」

響「もし自分がトップアイドルになったら……、プロデューサーは楽になるか?」

P「まぁ楽になるだろうな。事務所にも余裕が出て、人員を増やせるかもしれない」

響「そっか……」

P「まぁ今が苦しいわけでもないしな。それに、”もし”じゃないぞ。響はトップアイドルになれる」

響「そ、そうかな。そうだよね、自分は完璧だからね」

P「そーそー。765プロはみんなトップアイドルになれる素質がある。だからその日のために、休息は大事だ」

響「うん! 今日はレッスンがハードだったから、自分はもう寝るぞ」

P「そうすると良い。俺はシャワーを浴びてくる」

響「ところで、その、今日も……」

P「そりゃそうだ。俺がペットを飼い始めた理由として、独り身は寂しいってのがあったからな」

響「うぅ~、あれだけは、その、恥ずかしいぞ……」

P「そのうち慣れる。じゃあベッドに入るぞ」

響「……なんくるないさー!」

P「夜だから静かにしなさい」

響「あ、はい、ごめんなさい」

P「はい。じゃあおいで」

響「えっと、その……失礼します」

P「ああ、響は温かいなぁ」

響「あっ、だ、ダメだぞプロデューサー」

P「ダメも何も、もう遅いぞ……?」

響「う、うぅ……うぎゃー! やっぱり添い寝は慣れないぞー!」

P「夜は静かにな?」

エロも鬼畜も今のところはないです。ペットは人語を喋ります。今のところは。
貴音SSがわからないので違う人です。


~事務所・朝~

響「おはようございまーす!」

小鳥「おはよう響ちゃん。最近はいつもより早いわね」

響「そ、そうかー? ピヨ子が遅くなっただけじゃないのか?」

小鳥「遅っ! 別に婚期が遅いとかそういうわけじゃ!」

響「別にそんなこと言ってないぞ!?」

P「朝からコントなんて笑わせないでくださいよ音無さん。おはよう響、今日も元気だな」

響「おはようプロデューサー! 今日の仕事は何だ?」

P「今日は暫くしたら雑誌のインタビューだ。それまでゆっくりしていてくれ」

響「了解だぞ」

小鳥「うう、やっぱり私も響ちゃんを見習おうかしら。独り身は寂しいわ……」

響「へっ」

小鳥「え?」

響「え、ピヨ子もペット……?」

小鳥「ええ。そうなると、響ちゃんが先輩になるわね」

響「だ、ダメだぞ! ピヨ子にはまだ早い!」

小鳥「えぇ!?」

やよい「おはようございまーす!」

伊織「おはようございまーす。あら響、早いわね」

響「おはよう二人とも。昨日はごめんなー」

やよい「いえいえ、大丈夫ですよ! 次は響さんもうちに来てください!」

響「うん! 是非よろしく頼むぞ!」

伊織「ところで、小鳥は何で死にそうな顔をしているわけ?」

P「聞いてやるな。二人とも、今日はラジオ収録だったな。目的地が響の現場と近いから一緒に出るぞ」

やよい「はい! わかりましたー!」

響「そういえば、やよいの家の猫の話ってどうなったんだ?」

伊織「ああ、私が獣医を手配して病気持ちか調べる予定よ。やよいは遠慮してるけど、病気になってからじゃ遅い

もの」

やよい「うー、伊織ちゃんごめんね……」

伊織「謝らなくていいのよ。それに、私も猫ちゃんと遊びたいからね、にひひっ♪」

P「解決したなら良しとしよう。15分後に出発するから、それまでに準備するように」

響「はーい」

やよい「わっかりましたー!」

伊織「……それで、いつまで小鳥はいじけてるのよ」

小鳥「うぅ……」シクシク

~車内・昼~

やよい「そうだ! プロデューサー、今度プロデューサーのペット見に行って良いですか?」

響「」ビクッ

P「どうした藪から棒に」

伊織「さっきの猫と、昨日私がジャンバルジャンの話をしたからね、動物と遊びたいって思ってるのよ」

P「へぇ……」

やよい「ダメですか、プロデューサー……?」

P「んー、そうだなぁ……響はどう思う?」

響「へっ……いや、ダメだぞ! 絶対にダメさー!」

伊織「何でアンタがそんなに否定するのよ……」

P「そうだなぁ。響の言うとおり無理かもなぁ」

やよい「えぇーっ!?」

P「散歩に行ける距離で会えるわけでもないし、アイドルを家に上げるってのもマズいからなー」

伊織「諦めなさい、やよい。そうだ、響はどうなのよ」

やよい「あ、そうだね。響さん、ダメですか?」

響「えっ、あ、その、うぎゃー! どうすればいいんだー!」

P「いや、普通に家に上げればいいだろ。いぬ美も喜ぶんじゃないか?」

響「へっ……あ、そうだよね。うん、今度家においでよ。みんな喜ぶぞ」

やよい「うっうー! ありがとうございまーす!」

伊織「響、アンタ大丈夫なの? 最近なんだか変よ?」

P「次の仕事が有名雑誌のインタビューだから緊張してるんだよ」

伊織「ふーん。それならいいけど、それじゃ先が知れるわね……」

伊織「……ペット、ねぇ」ボソッ

P「ほら、二人ともついたぞ。俺は響の方に付き添うから、時間になったら迎えに来る。もし早めに終わったらどこかで

時間を潰してくれ」

伊織「はいはい。せいぜい伊織ちゃんを待たせないよう気をつけなさい。行くわよやよい」

やよい「ありがとうございましたプロデューサー、またあとで会いましょー! って、伊織ちゃん待ってよー!」タッタッタ



P「いつも元気だなぁやよいは」

響「……」

P「どうした響。これからインタビューなんだってのに、テンションが低いと印象が悪くなるぞ?」

響「ねぇプロデューサー、やっぱりペットって変かな」

P「まぁ変だろうね。人が人のペットって、アブノーマルだよな」

響「……迷惑かな」

P「選んだのは響でも、決めたのは俺だからさ、気にするな……ってのもおかしいよな」

P「ま、仕事前にそんな顔されている方が迷惑だな」

響「……うん!」

~某貸会議室・昼~

記者「いやぁ、お疲れ様でした。やはり我那覇さんは明るくて良いですね。記事も、写真映えもします」

P「ありがとうございます。当事務所の他のアイドルたちも負けないくらい魅力的ですので、今後共よろしくお願いしま

す!」

響「ありがとうございました!」

記者「では後ほど完成した記事を送りますので、確認をよろしくおねがいします。では」ドアガチャー

P「はい! 今日はありがとうございました!」

響「……」

P「……」

響「……はぁ~。疲れた~」

P「お疲れ様。ちょっと窮屈だったな」

響「うん、でもなんくるないさー。こうやって少しずつアイドルとして成長していくんだからな」

P「ああ。それに、元気になってくれて良かったよ」

響「そうだね、プロデューサーのおかげさー」

P「ペットの世話は主人の役目さ」

響「なっ……うぅ~」

P「照れるな、冗談だって。さ、やよいと伊織を迎えに行くぞ」

~事務所・夜~

P「ただいま戻りました」

小鳥「あ、おかえりなさい。他の子達は?」

P「そのまま家まで送りました。仕事も無かったもので」

小鳥「そうですか。わかりました。今仕事に言っている子たちも直帰ですので、送迎の仕事はありませんね」

P「ええ、事務仕事も今朝方終わらせているので自分もこのまま帰りますね」

小鳥「はい、お疲れ様でした。あの~プロデューサーさん」

P「? なんですか?」

小鳥「もしよければ今週末飲みにでも~」

P「あぁ、すいません。ペットとの生活がまだ安定していないもんで、また別の日でも良いですか?」

小鳥「そ、そうですよね。プロデューサーさんのペット、凄く愛されてますね」

P「まぁ、ここだけの話、結構執心気味ですからね。……アイドルたちには言わないでくださいよ」

小鳥「わかりました。プロデューサーさんも可愛い面があるんですね」

P「笑わないでください。では、お疲れ様でした」

~P宅・夜~

P「ただいまー」

響「あっ、おかえりなさい、ご主人様!」

P「は?」

響「あの、その、えへへ」

P「あ、おう。ただいま響。大人しくしてたか?」

響「うん!」

P「で、その……どうした」

響「その、ペットっぽかったか?」

P「どちらかと言うと召使いみたいだよな」

響「うっ、そ、そうかー……」

P「そもそもペット……本来は動物なんだろうが、ペットは人語を喋らないと思うぞ」

響「あっ……」

P「さて、飯にするか」

響「……本当に手伝わなくて良いのか?」

P「だからペットに――」

響「その割にはペット扱いって、言葉だけしかやってないぞ?」

P「うーん、まぁそうだなぁ」

響「だから、自分も――」

P「よし、わかった。決心したぞ、響」

響「へ?」

P「道徳的にどうかと思っていたが。そこまで言うならしょうがない。これを付けよう」

響「付けるって、何……を……」

P「首輪だ」

響「」

P「首輪だ」

響「」

響「……はっ」

響「どういうことなんだプロデューサー! 何で自分が首輪なんか――」

P「だって、響はペットだろ?」

響「うっ……」

P「だったら、首輪をつけないといけないよな」

P「それに、首輪をつける響も悪く無いと思うぞ?」

P「ほらこっちに来なさい。付けてあげるから」

響「あっ、んっ、うぅ」カチャカチャ

P「ほら、似合ってるぞ、響」

響「うん……」カァァ

P「さーて、飯も作り終えたことだし早速食べるか。首輪は慣れたか?」

響「うん……」

P「一人で食べられるか?」

響「あ、あたりまえだぞ! ペット扱いと子供扱いは違うんだからな!」

P「そうか偉い偉い」ナデナデ

響「ひゃっ」

P「あれ? ペットを褒めるときは撫でるのが良いんじゃないのか?」

響「ま、間違ってないけど、その……恥ずかしいぞ」

P「あぁ、そうだよな。まだペットとして慣れてないから仕方ないか。徐々に慣れような」

響「じゃ、じゃあ、いただきます……」

P「ああ、いただきます」

響「――ごちそうさま。プロデューサー、やっぱり料理上手だね」

P「お粗末さま。自分だけが食べるものじゃなくなったからな、そりゃ気にしだすよ」

響「そうか、ありがとな、プロデューサー」

P「……なぁ響。やっぱり呼び名変えない?」

響「え? どうしてだ?」

P「家の中でまでプロデューサーってのがムズムズするってのもあるけど、一番にお前はペットだからなぁ」

響「えっと、じゃあ、何て……?」

P「うーん、まぁやっぱり”ご主人様”でいいかなぁ」

響「……ご飯美味しかったぞ、ご主人様」

P「……」

響「ご主人様?」

P「あぁ、いや、ありがとう。良かったよ」ナデナデ

響「ん……」

P(自発的に言われるより、ご主人様と言わせる方が随分と背徳的だ)ナデナデ

響「んぅ、ご主人様ぁ……」

P(あくまでペットだから、そう間違いを起こさないよう気をつけないとなぁ)

響「あっ……」

P「ん、どうした」

響「撫でるの、やめちゃうの?」

P「……食事の片付けをやらないとな」

P「そういえば、また先にお風呂に入ったんだな」

響「だって恥ずかしいじゃないか……」

P「そうだろうとは思っていたけどなぁ」

響「……不満なのか?」

P「いや、なんでもない」

響「まさか、お風呂まで世話を焼くとか……」

P「……」

響「さ、流石にそれは、その……うぅ」

P「冗談だ。シャワー浴びてくる」

P(どこからが間違いで、どこからが間違いじゃないんだろうか)

P(一瞬でも、響を風呂に入れることを考えてしまった)

P(そもそも、アイドルと一つ屋根の下にいることが既に――)

P「……シャワー上がったぞ」

響「うん……あれ?」スンスン

P「どうかしたか」

響「シャンプー変えたのか? いつもと匂いが違うぞ」

P「まぁそうだが、響、顔近いぞ」

響「へ? うわっ」バッ

P「『うわっ』って、傷つくな」

響「ご、ごめん」

P「……やることもないし、寝ようか」

響「そうだね」

響「んー」カチャカチャ

P「何やってるんだ?」

響「寝苦しいし、首輪を取ろうかなって」

P「……」ペシッ

響「ひゃっ、何するんだ! い、いきなりお尻を叩くなんて」

P「叱るときはお尻を叩くものだと聞いた」ペシッ

響「んっ、だ、だからって……んぅっ」

P「首輪は取るなら俺の許可を得てからにしなさい」ペシッ

響「わ、わかった、わかったからもう叩かないで!」

P「うぃ、じゃあ首輪を取ってあげる」

響「なんだか腑に落ちないぞ。それに、ペットの躾に体罰はダメだぞ!」

P「そうか、それは悪かった。でも頬、ニヤけてるぞ」

響「えっ!?」バッ

P「それじゃあベッドに入ろうか。おいで」

響「うん……。やっぱり恥ずかしいぞ」

P「だからそのうち慣れるよ」ナデナデ

響「んっ……。プロデュ――ご主人様の手、大きいな」

P「響がちっちゃいんだよ」

響「むっ、そんなことないぞ」

P「そんなことあるぞ。やよいの次にちっちゃいだろ」

響「そう言われると否定できないぞ……」

P「ま、そんな小さい響も嫌いじゃないよ。それじゃ、おやすみ」

響「っ……うん、おやすみ」

響(……顔が熱いぞ)

~P宅・朝~

響「ふぁぁ~。よく寝たぞー」

響「プロデュ――ご主人様は、まだ寝てるなー」

P「zzz」スピー

響(ほんとは、ペットじゃなくて普通に彼女に――)

響「……はぁ」

響「うがー、何でこうなったんだー」

響「でも、今の関係も悪くないし、このままでも……」

響「あっ、意外と睫毛長い」

響「……はぁ」

P「んんっ、おはよう響」

響「ん、おはよ」

P「さて、朝食の準備をするか。トーストで大丈夫か?」

響「うん、ご主人様が作るものならなんでも好きだぞ」

P「嬉しいこと言ってくれるね。じゃあ少し待っててくれ」

響「うん」

響「……」

響(布団、ご主人様の匂いだ……)スンスン

響(それに、温かい。なんか気持ちいい)スンスン

P「響ー?」

響(なんか頭とお腹がジンジンする。ご主人様の匂い……)スンスン

P「響!」

響「ひゃいっ!?」

P「何回呼んだと思ってるんだ。ほら、トーストできたぞ」

響「あ、ありがと……」


P「ふぅ、ごちそうさま。今日も俺は早く出るから、戸締まりはよろしく頼む」

響「うん、わかったぞ」

P「じゃ、早速だけど行ってくる」

響「いってらっしゃーい、ご主人様ー」

響「……」

響「……はぁ」

響「本当に、どうしたんだろうなー、自分」

響「……プロデューサー」

~事務所・朝~

響「おはようございまーす。ってあれ? どうかしたのかー?」

小鳥「おはよう響ちゃん。美希ちゃんが久しぶりにプロデューサーさんと会えたってことではしゃいでるのよ」

響「あー……」

美希「ハニー! ハニー!」ギュー

P「おい美希、抱きつくなって、こら」

美希「だって4日も会えなかったなんて寂しすぎるの! スケジュールおかしいの!」ムギュー

P「しょうがないだろ。そういう時もあるって」

美希「むー。ハニーはもっとミキとのスケジュールを改めるべきだって思うな」

P「はいはい。善処します」

美希「返事が適当なの! ……あれ? ハニー、シャンプー変えたの?」スンスン

P「あぁ、昨日からな。美希もこういうのには気づくのか」

美希「ミキだって女の子だよ? こういうことには敏感なの」

響「はいさーい、美希」

美希「あ、響だ。おはよーなの」

響「あんまりプロデューサーにくっついて仕事の邪魔してると、嫌われちゃうぞ?」

美希「だいじょーぶなの! ミキとハニーはそんな安い関係じゃないの!」

P「しまいにゃ怒るぞ」

美希「冗談なの」

美希「あれ? 響……」スンスン

響「ん? どうかしたかー?」

美希「……なんでもないの」

P「ほら美希、そろそろ出ないと現場入り間に合わないだろ」

美希「あ、ホントだ。ハニー、行こっ!」

P「はいはい。じゃあ響、行ってくるな」

響「うん! 行ってらっしゃい、ご主――プロデューサー!」

P「……」

響「……」ダラダラ

美希「ほーらー、ハニー早く行くのー!」

P「おーう」タッタッタッ

~車内・朝~

P「シートベルトは絞めたか?」

美希「ばっちりなの」

P「よし、じゃあ出るぞー」

美希「久しぶりにハニーとドライブデートだね!」

P「ただの送迎な」

美希「そういえば、ハニー、響と何かあったの?」

P「どういうことだ?」

美希「いつもより二人の様子がおかしかったの。なーんか怪しいなー」

P「……最近俺がペットを飼い始めてな、その相談に乗ってもらってるんだ」

美希「ペット? 見たいの! 今度ハニーのお家に行って良い!?」

P「やよいにも言ったことだが、ダメだぞ。そうやすやすと男の家に上がろうとしないこと」

美希「むー、ハニーはガードが堅いと思うな。もっと柔らかく生きないと」

P「お前が柔らかいんだよ……」

美希「それにしても……ペットかぁ」ボソッ

P「……」

美希「なーんでもないのー」


P「ほれ、ついたぞ。今日は長丁場だが、残念ながら付き添いはできない」

美希「えぇー」

P「ごめんな、この後伊織たちの送迎や、処理しないといけない事務仕事があってな。時間があったら覗きに行くか

らさ」

美希「絶対、絶対待ってるからね! じゃあプロデューサー、またね!」

P「おう、頑張れよ」

P「……」

P「……美希か」

~事務所・昼~

P「ただいま戻りました」

伊織「おっそーい! この伊織ちゃんを待たせるとは良い度胸してるじゃない!」

P「全然間に合ってるでしょうに……」

伊織「冗談よ。そうそう、これを渡そうと思ってたの」

P「ん? 『犬の躾の仕方』?」

伊織「私が幼いころ読んでいた本よ。ありがたく受け取りなさい」

真美「いおりんが兄ちゃんに何かをあげるって珍しいねー。槍でも振るのかな」

伊織「うるさいわね、偶には優しくすることが私なりの躾なのよ」

やよい「えぇーっ!? プロデューサー、伊織ちゃんのペットだったんですかぁ!?」

P「そんなわけないだろ」

真美「んっふっふ~、いおりんも大人の階段を登ってしまってるんですな~」

伊織「ばっ、真美ぃ!」

P「元気だなぁ」

~事務所・夕~

P「んー、一通り事務は終わったかー。あれ? メール?」

美希『もうすぐで終わるから、迎えに来てね?』

P「結局覗きに行くって言って、行けなかったな。申し訳ないし、行くかぁ」メルメル

P「音無さーん」

小鳥「はいー?」

P「美希を迎えに行ったら、そのまま直帰しますね。何か抜けている事とかありますか?」

小鳥「いえ、特にないですよ。それにしても最近のプロデューサーさん、お仕事早いですねぇ」

P「ま、家に帰る楽しみを見つけると自然とそうなりますよ。それじゃ、お疲れ様でした」

小鳥「はい、お疲れ様でした」

~車内・夜~

美希「も~、来るのが遅いの。お腹ペコペコなの」

P「悪かったって。急いで家まで送るから、それまで我慢な」

美希「罰として一緒に御飯食べに行こう?」

P「ダメだ。俺だって家に帰ってやることがあるんだから」

美希「むっ、ミキとご飯食べるより大切なことなの?」

P「そらペットの世話があるからな。家族というのはいいものだぞ?」

美希「じゃあじゃあ、ミキもハニーの家族になれば良いと思うな! あはっ♪」

P「ははは、よせやい」

美希「……そういえば、ハニーのペットの名前ってなんていうの?」

P「……秘密」

美希「えぇー。それじゃあ今度写真撮ってきて?」

P「気が向いたらな」

美希「……」

P「美希?」

美希「ま、いいの。それより速度を上げるの。お腹ペコペコー」

P「はいはい」

~P宅・夜~

P「ただいま~っと」

響「おかえりー」

P「はいただいま。良い子にしてたかー?」ワッシワッシ

響「んっ、良い子にしてたぞー」

P「そりゃ良かった。じゃあ飯にすっかー」

響「はーい」

P「それと、後でお説教な」

響「えっ……」

P「いただきまーす」

響「いただきます……。それで、自分、何か悪いことしたか?」

P「今日の昼、事務所で『ご主人様』って言いそうになっただろう」

響「うっ」

P「まぁ、思考回路が混乱するのはわかるけど、気をつけるように」

響「……ごめんなさい」

P「ま、次は気をつけろよ」ナデナデ

響「ん」

P「じゃ、冷めない内に食べようか」

P「そういえば響、明日はオフだったな」

響「そういえばそうだったぞ。何するか考えて無かったなー」

P「奇遇にもな、俺もオフなんだ」

響「え?」

P「あー、それでだなー、どうしようか悩んでるんだ」

響「う、うん……」

P「……」

P「とりあえずごちそうさまだ。シャワー浴びてくる」

響「あ、いってらっしゃい」

P(ペットを飼い始めてから、初めての休日)

P(どうしようか。散歩、といってもオフのアイドルと外を歩く度量はない)

P(基より休日は家でゴロゴロするようなものだったしな)

P(まぁ、響がしたいことをさせようかな。それとも――)

P「……ふぅ」

響「あ、おかえりなさい」

P「おう。ってあれ、もう寝る準備か? 明日は休日なんだし多少の夜更かしくらい――」

響「いいやダメだぞ。そうやって休日だからって練る時間を変えちゃうと、平日がぐっと辛くなるんだからな」

P「それもそうだ。偉いなぁ響は」ナデナデ

響「えへへっ」


P「それじゃ寝るかー」

響「……」

P「ん、どうかしたかー?」

響「いや、今日は風呂入ったんだなーって言わないのかって」

P「あー、単に響が俺の前で風呂に入れるほど懐いてないってことだと思ってな」

P「それに、聞かれて困ることは言わないことにした」

響「……そっか」

P「ま、それより明日どうするかだけど、響は何かしたいことはあるか?」

響「うーん、別に思いつかないぞ。明日その時考えれば良いんじゃないか?」

P「それもそうだな」

響「うん、じゃあ、おやすみなさい」

P「ああおやすみ」

P(この生活、このまま行けばどうなるのだろうか)

響(プロデューサー、ううん、ご主人様かぁ。自分、このままだとどうなるんだろ)

P(俺は響の主人だけど、主人の前にプロデューサーじゃないのか)

響(自分はご主人様のペットだけど、そうじゃなくて本当は――)

P(でも響が求めるなら)

響(でもご主人様が求めるなら)


ルート安価↓1~3
1.プロデューサーが主人として堕ちる
2.響がペットとして堕ちる

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