提督「夜が怖い」 (10)

提督「私は日が沈むたびに言いようのない恐怖に襲われる」

提督「次々と押し寄せてくる恐怖と不安に胸が押しつぶされそうになる」

提督「少しでもこの問題を解消するためにある時私は艦娘達に日没以降自室からの外出を禁止した」

提督「彼女達からは訝しげな視線を向けられたが、もし破れば即刻解体すると告げると渋々納得したようであった」

提督「彼女達には何一つ悪いところはない」

提督「私の弱さが問題なのだ」

提督「本当にすまない」

提督「日が暮れると同時に私もまた1人自室に籠る」

提督「妖精達に無理を言って、我が鎮守府の各々の部屋には台所や便所、風呂を作ってもらった」

提督「これで外出を禁じても生活に不自由することはないだろう」

提督「部屋に入って一番にする事は入念な戸締まりである」

提督「ありとあらゆる場所に幾重にもわたり施錠を施す」

提督「そのうちに私は床に就く」

提督「そうして毎晩眠れぬ夜を過ごすのだ」

提督「夜が怖い」

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ー秘書艦吹雪の証言ー

吹雪「あの時の事を思い出すと今でも少し身震いします」

吹雪「初期艦として着任以降ずっと秘書艦を務めてきた私も司令官のあんな様子は初めて見ましたね」

吹雪「ある日のことです。私と司令官は夕食を取り終え執務室に戻ってきました」

吹雪「それから黙々と残りの仕事を片付けていました」

吹雪「丁度時計の針がマルフタマルマルを指した頃でしょうか」

吹雪「突然司令官が奇声を上げながら机上の書類を破り捨てて頭を掻き毟り始めました」

吹雪「私は戸惑いながらも止めようとしたのですが、こちらの声は全く届いていないようでした」

吹雪「声を聞いて駆け付けてくれた数人の艦娘と一緒に取り押さえ、鎮静剤を投与することで何とかその場は落ち着きました」

吹雪「次の日、私が司令官の様子を見に医務室に向かうと何事もなかったかの様に朝食を取っている司令官がいました」

吹雪「どうやら昨日の事はしっかりと覚えていたらしく、仕切りに謝ってくる司令官を見て私も少し安堵しました」

吹雪「医師によれば過労によるストレスからきた一時的なもの、だそうです」

吹雪「私はこれを機にしっかり休むように言うと司令官も渋々それに納得し、話し合いの末3日間程休養を取ることになりました」

吹雪「休養を終えた司令官は、所属している艦娘を食堂に集め今回の事について謝罪をしました」

吹雪「そして例の規則を制定したのです」

吹雪「事の結末はあなたも知っての通りです」

吹雪「……すみません。そろそろ執務に戻らなければならない時間なので、もうよろしいでしょうか?」

吹雪「はい、それでは失礼します」

ー第一艦隊所属川内の証言ー

川内「何?もしかして夜戦のお誘い!?違う?提督について話が聞きたい?なーんだ、夜戦じゃないのか……」

川内「それで提督の話だっけ?まあしょうがない部分もあると思うよ」

川内「なんでかって?そりゃあそうよ。同じ夜に魅せられたもの同士、少しは通じるところもあるってこと」

川内「うーん、なんて言うのかな。無意識の自覚…みたいな?」

川内「きっと気付いちゃったんだろうね。提督は凝り性だから。真面目に考えすぎたんだと思うよ」

川内「私?私は気にしてないよ?自分の中で割り切ってるし。そうでもしないと参っちゃうから」

川内「思ったよりまともな事が聞けて驚いた?結構失礼なこと言うね。私だってこれでも色々考えてるんだよ。……夜の事は」

川内「ところで提督が何に気付いたのかって?あれ、わかってなかったの?うーん…でも、本来それは自分で気付いて、自分で折り合いを付けないといけないものだから」

川内「それでも構わないって?どうなっても知らないよ?提督が気付いたのは多分…ってあれ?皆どこ行くの?夜戦の演習が入った!?待って!私も行く!やった!待ちに待った夜戦だぁー!この話はまた今度ね。突撃よ!」

短いですが一旦ここまで
次はもっと更新できるように頑張ります

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