女「手紙はロッカーに入れた……」
女「髪型よし、服装よし、覚悟よし」
女「シチュエーション『放課後の体育館裏』よしっ」
女「あとは……男くんが来るのを待つだけ」ドキドキ
女「ふぅぅ…………」
女「…………」
女「…………」
男「こんにちは、女さん」
女「……!」
女「えと、男くん」
男「なにかな」
女「まずは……来てくれてありがとう」
女「それでね、手紙に書いた伝えたいことっていうのは……」
男「…………」
女「私……」
女「お、男くんのことが好きです!」
男「…………」
男「僕も、女さんのこと好きなんだ」
女「っ!」
男「友達と喋ってる可愛い横顔とか、何事にも一生懸命に頑張る姿とか」
男「ずっと見てて、好きになったんだ」
女「両思い……ってこと?」
男「うん、僕もずっと君と付き合いたいなって思ってた。君を抱きしめたいって思ってた。君にキスしたいって思ってた」
女「あぅ……」
男「ずっと……殺したいって思ってた」
女「……………………ん?」
女「ちょ、待って? 聞き間違えかな? も、もう一回言ってくれる?」
男「だから、ずっと君を殺したいと思ってたんだよ」
女「えーと……ころすって、殺す? 殺人? kill?」
男「そうだね」スッ
女「い、今取り出した物は何かなっ?」
男「ナイフだね」ヒュンヒュン
女「男くん……私のこと、好きなんだよね?」
男「大好き」ビュオッ
女「ひぃぃっ!?」スパッ
女「あ……ひ……髪の毛切れた……っ」
男「おっと、あんまり動かないでね。やりにくいから」
女「たす、たすけ……」
男「心配しなくても平気だよ」
女「……?」
男「ゆっくり、優しく……苦しくやってあげるから」ニコ
女「それは大丈夫じゃないいいっ!」
男「それじゃ……まずは、その綺麗なおててから」
女「ひぁ……あぁぁ……」
男「逃げちゃ駄目だよ」
女「まって……まって……」
男「すぐには死なないようにするから」ガシッ
女「あ、あああ……」
男「せぇの」ギラン
女「待って! お話! ナイフは一旦置いてお話しよっ!」
男「…………」
女「…………」
男「……うん、いいよ!」ポイッ
女「っ、たす……かっ……」
男「うーん、何を話そうか? 恋人とお喋りって慣れないから」
女「そ、そうだね……何を話そうか……」
男「んー…………思いつかないから、やっぱり」スッ
女「わあー! 私、男くんに聞きたいことがあったんだー!」
男「なにかな?」
女「気を抜いたら死ぬとか、なんて理不尽っ」ボソッ
男「?」
女「そう、聞きたいこと! 聞きたいことなんだよ!」
女「えっと……最近物騒だよねっ」
男「聞きたいことってより世間話?」
女「うぐ」
女「ほ、ほら通り魔殺人だとか言われてるじゃない?」
男「通り魔ね」
女「あっ、でも男くんなら自分で撃退できちゃったりするかなー? なーんて……」
男「あれ、僕だよ」
女「……ん?」
男「いやだから、通り魔の犯人=僕」
女「男くん、殺人鬼?」
男「うん」
女「あは、あははは……」
男「はははははっ」
女「ひぃっ……誰か助け――もがっ!?」
男「駄目だよ、叫んじゃ」チャキ
女「――っ! ――っ!」コクコク
男「そうだなぁ、逃げないようにしないとね」
男「こうやってっ!」ザクザク
女「――っ!?」
男「こうやって、服をナイフで縫いつけてね」ザクザク
女「ふへ……さ、刺されたかと思った」
男「まだ殺さないよ? そんな、もったいない」
女「動けないんだけど……男くん」
男「動けなくしてるんだよ」
男「ふふ、抵抗も出来ない君をめちゃくちゃにしてあげる」ナデ
女「っ」ドキッ
女「……って、落ち着け私っ、今のは殺すって意味だよっ!」
男「さて」チャキ
女「すとーぷ! 男くん確かに殺りやすい体勢だけどすとーぷ!」
女「ま、まだ私お話ししたいなー」
男「そう? わかった、いいよ」
女「できればこのままずっと殺さないで欲しいなー」
男「それは駄目」
女「あぅ」
女「えっと……あれ! 好きなものって何かな!」
男「好きなもの……?」
女「ほ、ほら彼氏の好きなものは知りたいからね!」
男「殺人かな」
女「……そ、それは『もの』ではないかなぁ、って……」タラッ
男「じゃぁ、死にゆく人。あとナイフ」
女「い、一度そういう方面から離れようかっ」
男「うーん……」
女「好きなものが無いなら、好きな食べ物とか……」
男「……肉じゃがかな」
女「そっかぁ……あははは……」
女「今、人間と言われなくてすごく安心したよぅ」
男「失敬な、カニバリストなんかと一緒にしないでよ」
女「私からみたらどっちもどっちだよっ!」
女「そ、それでえっと肉じゃがが好きなんだよね?」
男「和食全般好きだけど、特に肉じゃががいいね」
女「なら、私がお弁当つくってくるよ! 肉じゃがとか出汁巻き卵とか、ね?」
男「本当?」
女「ほんとほんと! 明日作ってくるよ!」
男「そっか……でも残念だね」
女「あ、ぇ……?」
男「明日はもう会えないからね」
女「せめて一日だけでも……」
男「もう我慢できないんだ」
女「はいぃ……」
女「ねぇ……」
男「なぁに?」
女「……男くんはどうして人殺しなんてするの?」
男「どうして、か」
女「殺人ってさ、悪いことだよ、やっちゃいけないって」
男「僕は……気持ちいい、から殺すんだ」
女「気持ち……いぃ?」ゾク
男「僕は気持ちよくなりたい」
女「へ……ぁ、えと……」カァァ
男「?」
女「きもち、よく……って」
女「そ、それって死体で……え、えっちなことするの?」
男「失敬な、ネクロフィリアなんかと一緒にしないでよ」
女「だから何のこだわりなの!?」
男「動かない女の子を犯すなんてひどすぎる」
女「殺すのもひどすぎるからね!?」
男「人間はみんな嘘を吐いて生きているよね」
女「し、正直者だっているよ」
男「僕の言いたい嘘ってのは、取り繕った外面のことだ」
男「たとえば募金を行う偽善者、恥ずかしくて趣味を隠すオタク、評判の為にいい子を演じる子供だっている……目上の人に敬語を使うのだって作ったモノだ」
男「意識的にせよ無意識にせよ、人は仮面を被って生きている」
女「……確かに」
男「でもね、死ぬ瞬間だけは誰もが素顔を晒すんだ」
男「素顔を見ることができて、つまりそれってその人の事を本当に知れたってことで」
男「……そう思うととっても気持ちいいよね」
男「だから僕は君の全てが知りたい」
女「そんな……」
男「髪から、頭、目、鼻、口、首、胸、お腹、股、腿、足、爪先まで全部全部」
男「皮も肉も血も内臓も神経も骨も全部だ」
男「全部僕のものにしたい」
女「とっても積極的な求愛ですね!?」
男「それじゃ、そろそろ……」
女「まって!? えっと、その……」
男「はぁ……はぁ……」
女「息が荒い! やだ、まだ!」
男「綺麗だよ、すっごく」
女「うれしいのにうれしくない!」
男「しっかり痛くしてあげるから、いっぱい泣いて?」
女「いやだ……いやだよ」
男「どんな君だって可愛いよ」
女「甘い言葉と行動のギャップ!」
男「だから、ほら、泣いて、わめいて、命乞いをしながら死んでいって?」
女「……ねぇ、男くんってドSなの?」
男「失敬な、サディストなんかと一緒にしないでよ」
女「これも駄目なの!?」
男「知ってる? よく研いだ刃物で切ると、一瞬は痛くないんだ」スラッ
女「あ、あぁあ……」カタカタ
男「ん、く……怯える君も可愛いなぁ、それも君の素顔の一つだよね」ビクビク
男「飾り気のない剥き出しの感情……はぁ、はぁ」
女「うぅぅ……どうにかしないとなにかしないとどうしようどうしよう」
女「男くんっ」
男「なぁに?」
女「わ、わたしね……まだやってないことがあるんだ」
女「だからやらないと死んでも死にきれないーって……そういう、感じのー?」
男「心残りかぁ……」
女「えっとね、そのき、キスとかしたいなぁって……」
男「女さん……」
男「告白した直後なのにそういうのはまだ早いかなって」
女「清く正しい交際観念ですね!?」
男「確かに僕も、女さんとキスしたいなぁと思っている」
女「だったら……しないの?」
男「でもそういうのはもっとお互いのことを知ってからじゃないと」
男「だから……」チャキ
女「男くんの知り方は特殊過ぎるんだよ!?」
男「これ以上なく深く知ることのできる方法だよ」
女「言葉を交わそう! 会話をまずしませんかね!?」
男「この気持ちは言葉じゃ伝えきれない」
女「伝わってるよ!? 痛いほど伝わってるよ男くんの愛は!」
今日はーここまでー
男くんの殺人鬼美学的にはサディストじゃないそうです
女「て、ていうか男くん捕まっちゃうんじゃないの? 私を殺したら」
男「そうだねぇ……」
女「そうだねぇ、て……学校で殺したら、すぐ遺体が見つかるし、犯人特定も簡単になっちゃうし」
男「まぁね」
女「だから……その殺すなら山奥とかー、なんちゃって」ハハハ
男「…………」
女「あっはい、やっぱり駄目ですよねこんなあからさまな時間稼ぎ許されないですよねあはははは」
男「なるほど、その方がいいか」
女「え、いいの!?」
男「流石女さん、可愛いだけじゃなくて頭もいいんだね」
女「……なんとなく取り返しのつかないことをした気が」
男「さぁ今すぐ山奥に行こう! 大丈夫、僕バイクの免許持ってるから!」
女「あ、あの……やっぱ無しって事には」
男「駄ー目っ」
女「…………ですよねー」ドヨン
男「しっかり掴まっててねー」ドルルン
女「はははは、恋人と二人乗りでツーリングだってのにちっとも心躍らないよ」
男「なにか言った?」
女「ナンデモナイヨー」ギュ
男「落ちないようにね?」
女「いろんな意味でドキドキだよ!」
男「むー」ブィィン
女「どうしたの?」
男「いや、よく考えたら二人乗りって犯罪だよなぁって」
女「今更!?」
男「法律違反すると免停になるからなぁ」
女「刑法199条の方は刑務所行きだからね!?」
男「物知りだね女さん」
女「会話が噛み合わないよ!」
男「さて」
女「着いちゃった、着いちゃったよぉ」
男「まばらな街灯、延々とアスファルト一本道……こんな所を登る酔狂な登山家はいないだろうし」
女「絶対に見つからないでしょうね! くそぅ!」
男「ほら、早くしようよ」
女「おんなはにげだした!」
男「しかしまわりこまれた!」チャキ
女「ひぃっ!?」
男「駄目だよ、逃げたりしたら」ヒュ
女「ごめんなさいごめんなさいもう逃げませんから斬らないで!」
男「本当に逃げない?」
女「逃げない! ていうか逃げられない!」
男「……ならしょうがないなぁ」
女「生きる死ぬか綱渡り過ぎて怖い」
男「それじゃあ――」
女「お話しを! 楽しい会話を始めよう!」
男「まだするの?」
女「好きな人との話はいくらしても足りないんだよ!」
男「そうだけどさぁ」
女「お、お話ししてから殺すのは出来るけど、殺してからお話しは出来ないよね!」
男「ふむ」
女「我慢するのも恋の楽しみって聞いたことがあるし!」
男「そうだね……じゃあお話ししようか」シブシブ
女「男くんって部活何してるの?」
男「柔道部だよ」
女「へぇ、そうなんだ! 男くんって強いの?」
男「部内では二番だね」
女「男くんより強い人がいるんだ……」
男「部長だけは殺せる気がしない」
女「やばいすっごい強そう」
女「そして光明が見えた……」ボソ
女「男くん」
男「なに?」
女「私、その部長さんに会ってみたいなぁ……?」
男「……なんで」ムスッ
女「え!? えと、男くんより強いなんて、気になるからさ」
男「……駄目」プイ
女「お、男くん?」
男「駄目ったら駄目」フン
女「もしかして……嫉妬してる?」
男「…………」
男「君は僕のモノだ、僕が殺す僕だけの恋人だ」ギュ
女「わ、わわっ」
男「絶対離さない」
女「やばい喜んでる自分がやばい」ドキドキ
男「…………っ」バッ
女「ぁ……もう終わり……?」
男「申し訳ありませんでした」ゴン
女「え? あ、ちょっと」
男「ちょっと感情が振り切っちゃって、失礼なことをしてしまいました」
女「いや、別にいいよ私も嬉しかったし」
男「でも欲望に負けて破廉恥なことを……」
女「えっちな方はいいから、殺人の方を我慢してくれないかなぁ!?」
女「はぁ……殺人鬼なのに男くんって礼儀正しいよね」
男「そう心がけてるから」
男「武道を学ぶものとして、礼を欠いてはいけないと」
女「人殺しってこう、ヤクザとかマフィアとか乱暴で粗雑な感じかと思って」
男「失敬な、ゴロツキなんかと一緒にしないでよ」
女「恒例の殺人鬼美学!」
今日はーここまでー
ちょっとー早めー
着地点が見えない……
ギャグテイストなのにハッピーエンドが遠いよ
本日は投下ありません
ありがとうございます
しぶとく生きております、私
先が見え無さ過ぎて書けない苦しみヤバい
男「さて」
男「そろそろ時間稼ぎに付き合うのも我慢できなくなってきちゃった」
女「やっぱ、駄目?」
男「女さんが可愛いのがいけない」
女「ほ、ほら男くんは私のこと知りたいんでしょ?」
女「だったら私何も隠さないで男くんに教えてあげるからさぁ……」
男「そうじゃないんだよねぇ」
男「何も隠さないって思っても、隠れちゃうところはどうしてもある」
男「見栄とか意地とかそういうのが邪魔をする」
女「うぅぅ……」チラ
女「こうなったら……」
男「女さん……」
女「……逃げるっ!」ダッ
男「なっ……無駄なことを」
女「これしか道は無いのぉぉおお!」ダダダダダ
女「はぁ……ぜぇ、はぁ」
男「息が上がってるよ、無理しない方がいいんじゃない?」
女「さ、流石っ……運動部は、ぜぇ、違いますねっ……はぁ」
男「無駄な体力は使わない方が建設的だと思うよ」
女「死なない方が……はっ、は、重要ですっ……よ」
女「って……きゃぁッ!」グキッ
女「っつぅ……」ズキ
男「追いついた」
女「ひぅ」
女「…………」ズキズキ
女「これじゃ歩けないなぁ」
女「山の中だし、誰にも助けなんて呼べなさそうだし」
女(あぁ、これ死んだな)スゥ
女「……どうぞ、男くん」
男「……っ」
男「…………」
女「どうしたの? 男くん、ほら、殺していいよ」
男「……なんでだ」
女「へ?」
男「なんで、そんなに軽く〝本心〟で殺していいなんて言えるんだ」
女「だって、男くん殺したいんでしょ」
男「……ふざけるな」
女「えぇぇ……?」
男「もっと命大切にしろよ!」
女「男くんには言われたくないかなぁ!?」
男「歪んでる、狂ってる、殺されることを許容出来るなんておかしい」
女「私は簡単に人を殺せる男くんの方がおかしいと思うけどなぁ!?」
男「なんだ、なんだこれ、今まで見たことない、殺してきて一度も見たことない本心だ……」
男「そう……大体、まず学校の時点でおかしかったんだ……」
男「殺人鬼と相対してるのに、錯乱もしないで説得を試みるなんて普通の高校生じゃない」
女「高校生《さつじんき》も普通じゃないと思うんだ、私」
男「女さんは死生観がおかしい」
女「そっくりそのままお返しするよ!」
男「なんか、こう……そう! 未練とか、死にたくない理由なんていろいろあるだろう!?」
女「うーん、未練かぁ……」
女「特に、思いつかないんだけど」タハハ
男「嘘だろ? 残される家族とか、友達とか、なにか……」
女「え、えへへ……ごめん、無いかなぁ」
男「…………」タラッ
男「つまり……女さんはいつでも人生を諦められると?」
女「な、なんか異常者みたいにいわないでほしいんだけど……いや、死ななくていいなら死にたくないよ?」
女「でも、確かに? 殺されちゃうんだったらまぁ仕方がないのかなぁって」
男「そこの諦めが早いんだ!」
女「そんなことをいわれましても」
男「僕が見たいのは、もっと、こう……生に執着する人間の生々しい感情であって!」
女「えぇぇ」
女「で、でもそんな未練なんて聞かれてもすぐでてこなくない? でも死にたくは無いよ、痛いの嫌だし」
男「なんだと……これが現代人の生についての考え方なのか……?」
女「男くんが考え過ぎなんだと思う」
男「命は大切にしようよ! それだからこそ吹き消すときの輝きが美しいんだ!」
女「本来あっちゃいけない説得力!」
男「と、とにかく……今の女さんは殺しても気持ち良くなれない」
女「えっと、つまり、殺されないってこと?」
男「うん……そうなるね……」
女「はぁー、良かったぁ」
男「喜びが軽いんだよねぇ……」
女「それじゃ、帰ろっか。暗くなる前にね」
男「…………」
女「あ、そうだ足くじいてたんだった……ごめん男くん肩かしてくれるかな」
男「…………」
女「? 男くん?」
男「おかしいだろう、流石に」
女「はい?
男「僕は君を殺そうとした奴で、何人も殺してる殺人鬼だ」
女「あ、うんそうだね」
男「なんでその相手に助けを求められるかなぁ」
女「あー、んー……そういえばそうだね」
男「……もういいや、行こうか」
女「へぇ? いやちょっと勝手に納得しないで欲しいな」
男「女さんにこの手の話は通じないってわかったよ」
女「おいてけぼりだよー」
――――――
――――
――
男「…………」
女「あ、男くんおはよー」
男「おはよう女さん、それで、ここはどこだっけ」
女「寝ぼけてるの男くん? 学校だよ?」
男「そう、学校」
男「ふふふふ、ふははは――――ちょっと女さんこっちきてくれる?」グイッ
女「あ、え、うわっ……ちょどこいくの?」
女「体育館裏だねぇ」
男「……女さん」
女「あ、はい」
男「僕は昨日女さんをお家に送り返して自分の家に帰ったわけなんだけど」
男「なぜ、僕は今日学校に来れているんだ?」
女「はい?」
男「巷の通り魔は僕だと教えたから、ついに捕まってしまうのかと覚悟していたわけだよ」
男「でも、昨日は結局、警察は来なかった」
男「なんで通報しなかったの? 女さん」
女「え、いや、だって好きな人が捕まるなんて嫌でしょう?」
男「……は」
男「ははは、はははははっ!」
女「いやいやさっきから笑ってばっかで怖いんですけど」
男「そうだよね、この僕が惹かれる女の子が普通のはずが無かったんだよね」
女「いや、私普通の女の子なんですけど」
男「いいや、十分に異常者だ」
男「よくその異常さを隠せてると思うよ……いや、無意識なのかな?」
女「だから異常じゃ……」
男「ということで」
女「なにがということでなんだろう……」
男「女さん、僕と付き合ってくれないか」
女「…………えぇっ!?」
男「未練が無いなら僕が未練になる、死にたくないって思わせ続ける」
男「だから、君の命を僕にくれないか」
女「……えと、よ、喜んで」
男「彼女……か」チャキ
女「……なぜ男くんはナイフを取り出したのでしょうか」
男「あぁ、うん。彼女になったんだから、その狂った死生観を正してあげようと思って」
男「まずは痛みを感じて生への執着を強めるところからにしようと」
女「男くんも大概おかしな思考回路だよね……ははっ」
男「笑ってごまかさないでね」
女「ここ学校で、このままだと一時間目始まっちゃうと思うんだけれど……やめる気は?」
男「ないね」
男「さあさあ、はじめようよ女さん」
女「痛いの嫌いなんだってばぁ」
男「大丈夫、しっかり痛くするように切ってあげるから」
女「だからそれは大丈夫じゃないって」
男「ほら、先っぽだけだから」ヒュヒュン
女「先っぽだけでも十分血が出るんだよ? ナイフって」
女「ね? まずは落ち着いて……」
女「お話をしませんかね?」ハハハ
これでおしまいです
わはは
なんだかよく分からない展開そして結末……カオスですね
何はともあれ、ご閲覧ありがとうございました
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