ニンジャスレイヤー「ドーモ、にこ=サン」 にこ「何よ!あんた!」  (350)

ニンジャスレイヤーXラブライブのクロスSSです。

ラブライブはアニメの一期と二期を見ている。ニンジャスレイヤーは一通り全部読んでいる位の知識です

注意事項

ニンジャスレイヤーの文体を真似ているので地の文があります。

暴力的な描写やグロテスクな描写があります。

一部性的な単語があります。

先の話のネタばれがあるかもしれませんので書籍ヘッズの方は注意してください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401758903

あとオリジナルニンジャソウルとオリジナルニンジャも出てきます

「ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド」

重金属性酸性雨が降り注ぎ、灰色の雲が常に街を覆いつくし、政府より力を持つ暗黒メガコーポが国家から背後を操作する。ここはネオサイタマ。ここでは人々は生きることに精一杯で夢を持つことすら許されない。そんなマッポーめいた都市である。

「ハアーッ」「ハアーッ」「ハアーッ」

(((なんで!?)))(((なんでこんなことになったの!?)))

ネオサイタマの混沌の夜。今日も重金属性酸性雨が降り注ぐ中、あるビルの上によく見てみると人間が走っていた。その人物はジーパンを履き、酸性雨に当たらぬように黒いレインパーカーを着ており、髪はそのオブシダン色でその長い髪は邪魔にならぬよう後ろにまとめていた。女性だ

「ネコネコカワイイ」「すごくカワイイ」「CDを買わないとムラハチ」などと購買意欲を促進させながら見るものに恐怖を与える威圧的なショドーの垂れ幕を視界に映しながら、女性はスプリントで勢いをつけ畳20枚分先にある隣のビルにそのままジャンプ!これは自殺行為!

だが彼女は見事に畳20枚分の距離を跳躍し隣のビルの屋上に着地。勢いそのままスプリントしていた。モータルではこのような移動は不可能。つまり彼女はニンジャである。彼女は全力疾走しながら己に降りかかった出来事をニューロンの底から記憶を引きずりだし遡っていた。

(((ニンジャになって、ニンジャになったら夢が適うはずなのに!ウッ!)))

その時、彼女の足に透明な何かが刺さっていた。その傷のせいか彼女はバランスを崩し転倒。その間に小型急速冷凍装置を背負った灰色装束の男が近づいてくる。灰色装束の男も彼女を追ってビルからビルへと跳躍して移動していたのだ!そのモータル離れした身体能力つまり男もニンジャ!

「鬼ごっこはここで終わりだ。ドーモ、フロストバイトです」

「ドーモ、フロストバイト=サン、セイレーンです」

お互いアイサツをおこなう。セイレーンと呼ばれるニンジャは痛みを押し殺しアイサツをする一方、フロストバイトは息一つ切らさずアイサツをおこなった。

何故お互いわざわざアイサツを行ったのかと疑問に思うかもしれないが、アイサツは日本古来より伝わる礼儀を重んじる儀式だ。例え親の仇であってもアイサツは行わなければならない、古事記にもそう書かれている。

「何でアタイが殺されなければいけないの?ただアイドル活動していただけなのに……」

セイレーンは絡まったジュルリ人情の糸めいて混乱していた。本当に襲われる理由がわからないのだ

そんな様子を滑稽と思いながら、フロストバイトは答えた

「お前はニンジャの力を使い、本来ネコネコカワイイに金を貢ぐはずのファンを自分のものにした。ラオモト=サンはオムラ社のネコネコカワイイしかアイドルとして認めないという方針だ。お前はネコネコカワイイの金を奪った!つまりお前はオムラ社に!ラオモト=サンに!ソウカイヤに反抗したと同じなんだよ!死んで当然だ!」

ネコネコカワイイとはオイランロイドの一つで、彼女等に代表されるオイランドロイドの出現によって、芸能界は劇的に変化し、オイランロイドが主体になり数十万人単位の女子がアイドルの夢を諦め、オイラン専門学校への転校を余儀なくされたという。

このネオサイタマの芸能界において何年もネコネコカワイイがシェアを独占していた。しかしそれはすべてネコネコカワイイのパフォーマンスのおかげではなく、暗黒メガコーポのオムラ社によるメディア掌握によるもの。つまり他のアイドルが実力だけで芸能界で活躍することはできないのだ!これもマッポーの一側面というのか!

だがセイレーンはニンジャの力を使い、ウナギライジングめいてファンを獲得。ランキングでもネコネコカワイイに肉薄してきたのだ。それを暗黒メガコーポが許すわけもなく、癒着している恐るべきニンジャ組織ソウカイヤにニンジャを派遣され、その派遣されたニンジャがフロストバイトなのだ


「あばよセイレーン=サン!貴様の死因は歌の練習中の不運の転倒死だ!」


フロストバイトは背中の小型急速冷凍装置から冷気を放出し、それを強靭なニンジャ握力で氷スリケンを生成!この氷スリケンは時間が経つと跡形もなく消え証拠が残らず事故に見せかけて殺すことができる。このスリケンでフロストバイトは数々の人物を暗殺していた。コワイ!これをイナズマめいた腕の振りで喉と心臓目掛けて投擲!

ドーモ、イッチ=サン、ドクシャです

>10=サンありがとうございます。ユウジョウ!

現在ツイッタ―で連載中の「ニンジャスレイヤー」のアカウント

https://twitter.com/NJSLYR

ニンジャスレイヤーの公式ホームページ
http://ninjaslayer.jp/

ドーモ、>>12=サン、1です。

実際ニュービーですが、よろしくお願いします

氷スリケンが投擲されて0.1秒。セイレーンのニューロンが超加速し、時間が泥めいた。ソーマト・リコールが始まる。

(((これは避けられない……何がいけなかったの?ネオサイタマではアイドル活動をしたらいけないの?今まではまるでダメだった……
でもニンジャの力を手に入れた!この力でアタイやみんなで作った曲で皆を笑顔にできる…)))

(((そしてアタイ達をジコクに叩き込んだネコネコカワイイ!その客を根こそぎ奪って利用価値のないガラクタの烙印を押してやろうと思ったのに!……生まれ変わったら違う世界で、アンコ=サン、ヨウカン=サン、アラレ=サン、オカキ=サンと皆でアイドル活動したいな……なんてそんなカトゥーンめいたことあるわけないか……)))


氷スリケンを喉と心臓に受けた瞬間にセイレーンは「サヨナラ!」と叫び爆発四散!彼女の体は跡形もなくなってしまった。


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室内は無人だった。正確に言えば以前は人が居たが今は居ないというのが正しい。そこにはサッカーボールめいた片目のだけ黒く塗りつぶされているダルマ、そして「成せば成る!」「カチグミになる!」「勉強ダイスキ」と自分を奮い立たせるショドーが飾られていた。恐らくセンタ試験に挑んだ学生だろう。試験を合格してカチグミになったのか、失敗してヒョットコになったのかは誰も知らない


「ドーモ、パンクラス=サン、ニンジャスレイヤーです」


「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、パンクラスです」

アイサツが終わったのち、お互いは並々ならぬキリングオーラを相手にぶつけていた

「貴様がアマクダリ・セクトに刃向う狂人か!我が古代ローマカラテで…」

「イヤーッ!」

ニンジャスレイヤーは鞭のように腕をしならせてスリケンを二枚枚投擲

「グワーッ!」

パンクラスの腕は壊れたスプリンクラーめいて血を噴出。ニンジャスレイヤーのスリケンで両手首が切断したのだ!

「イヤーッ!」その隙に高速タックルをしかけマウントをとるニンジャスレイヤー

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」

ニンジャスレイヤーのパウンドがパンクラスの顔に叩き込まれる!パンクラスはニンジャスレイヤーの強烈なパウンドを受けて爆発四散寸前!ところがニンジャスレイヤーはパウンドを止め、カワラ割りの態勢をとる。

「アマクダリの情報をあらいざらい吐け。吐けばハイクを詠ました後にカイシャクしてやる。吐かなければ惨たらしく殺す!」

「俺は知らない!アマクダリのことは何も知らないただのサンシタだ!だから見逃してくれ!」

ニンジャスレイヤーはパンクラスが何も情報を持っていないと判断し、カイシャクの動作に移る。



「ダメだ。ハイクを詠め」

「私のソウルの力で、もだえ苦しみ死んでいけ、古代ローマカラテはムテキ」

「イヤーッ!」 「サヨナラ!」

パンクラスの体は爆発四散!

(((こやつも何も知らぬか……アマクダリ・セクト!いずれ必ず全貌を掴み解体する!)))

ニンジャスレイヤーは次の獲物を探すためにネオサイタマの闇に消えようとジャンプしようと思った瞬間!異変がおこった!

「これは!私の体が10101010101010101」

なんということだ!ニンジャスレイヤーの身体がバイオクラゲめいて透明に透け始めていた!これはパンクラスが死後の間際にはなったジツとでもいうのか!

(((なんだこれは!ナラク!何か知っているか)))

(((これは!?このような10101010ジツを使うニンジャは1010101ポータルジツ101010101010)))


10101010101010101010101010101010101010101010101010101010101010101010101010

ドーモ>21=サン、1です。

アヤメ=サンとはシンデレラガールズのですか?

画像で見たぐらいしか知らないです

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「………か」 「大丈夫ですか!」

誰かに肩を叩かれながら声をかけられることで、ようやく意識を取り戻すニンジャスレイヤー。

(((確かパンクラス=サンを倒した後に、身体が透け始めて…)))

「大丈夫ですか?急に道端に倒れて」

見知らぬ男性が心配そうに声をかけるなかでニンジャスレイヤーは

「いや、問題ない…」

ニンジャスレイヤーの服装はシノビ装束ではなく、ハンチング帽とトレンチコートの通常通りの姿に戻っていた。まだ意識は完全にクリアになっていないが、あたりを見回した瞬間にニンジャスレイヤーのニンジャ五感は強烈な違和感を感じ取っていた。

(((ここはネオサイタマか?)))

周りを見渡してみると「BD安い」「マンガ買い取ります」「絶賛放送中」などとネオサイタマでは見たことないが消費を促すショドーが書かれている看板がビルの上に掲示されており、路上では短い丈のスカートを履いたオイランめいた女性が「こんにちはご主人様!」「メイド喫茶はどうかニャン!」「いっぱいサービスします!」とアニメカトゥーンめいた声でキャッチセールスをしていた。それにこの場にはネオサイタマ特有のサツバツ感がまるでない!そして何よりも


「空が青い……」「え?何か言いました?」 「いや…何でもない」


ネオサイタマでは工場の煙によって常に灰色の雲に覆われ、青い空を見ること滅多にない。だが空は雲一つない青空が見えていた!ニンジャスレイヤーもネオサイタマで青い空を見たのは一度きりである。少しだけスガワラノ老人との安らかな時間を思い出しながらも、ニンジャスレイヤーは状況判断をするべくニューロンを高速回転させる。

(((空が青いということはここはアッパーガイオンか?いやアッパーガイオンともアトモスフィアが違いすぎる。ではオキナワか?だがまるで別の世界に迷い込んだような違和感を感じる……)))

一人で考えていてはラチがあかないと考えたニンジャスレイヤーは己の疑惑を確認すべく質問をおこなう。

「ここはどこですか?」「ここは東京の秋葉原です」「ネオサイタマではない?」「埼玉?ここは東京です」

ここはネオサイタマではない!だがアキハバラという単語はニンジャスレイヤーは聞いたことすらない単語だ。これではますます謎が深まるばかり、この謎の難解さはもはやゼンモンドー!


「ネオサイタマってどこだよ?」「記憶喪失ってやつかな?」「この人大丈夫かな!」「救急車呼んだ方がいいんじゃない」


ニンジャスレイヤーは特に不審な行動を取ったとは思えないが怪しまれている。ニンジャとしての危険なアトモスフィアを本能的に感じ取ったのか周辺が騒がしくなる。この場に留まるのは騒ぎになると判断し、競歩めいた速度の歩きで立ち去った。

場を立ち去った後、当てもなく歩いた後に偶然公園を見つけたニンジャスレイヤー。そこでは子供たちが無邪気にボールをケマリめいて蹴って遊んでいて子供たちは誰もが笑顔だ。ニンジャスレイヤーはその様子を見て安らぎを覚えながらベンチに腰を下ろした。そして今までに起こったことにについて考えていた。


(((パンクラス=サンのあのハイク。今この場所に居るのはパンクラス=サンの死ぬ間際に放ったジツのせいと考えるべきか?その前にここは私が住んでいた世界なのか?ここはもしかしたら別の世界…いやこんな妄想しているのでは)))

「サワタリと変わらぬな…」

そう言って自嘲的に笑う。だが笑っていても何も始まらない。ニンジャスレイヤーはヘイキンテキを保つべくチャド―の呼吸をしようとした時に自分の身体の異変が襲った!

「グワーッ!腹グワーッ!」

腹をセプクしたような痛みがはしる!ニンジャスレイヤーに何が起こったというのか!?この痛みの原因を探るべく、ニンジャ集中力で体の異常を確かめる。

(((これは空腹?)))

これはパンクラスのジツの影響か!?それは分からないがニンジャスレイヤーは空腹だった。実際このままでは衰弱して死亡することは避けられないほどの危険な状態だ。みなさんはニンジャを無敵の超人とお思いかもしれぬが、ニンジャといえど何も食べなければいずれ死ぬのだ。見知らぬ土地でこの窮地をどのように脱するか、思案しようにも空腹状態では思考もまとまらない。そんな時

「おじちゃんだいじょうぶ?」

その声の元へ振り返り姿を見た瞬間ニンジャスレイヤーは驚きで目を見開いていた

「トチ…ノキ…?」

ゴウランガ!振り向いた先にいたその少年はニンジャスレイヤー、いやフジキド・ケンジの息子であるトチノキとそっくりだった!瓜二つというわけではないが年齢も近く背格好も同じぐらいで。ハナタレ小僧めいた締まりのない顔していたが、それが普段落ち着きのなかったトチノキのアトモスフィアと共通するところがあると感じていた。

「トチノキ?ぼくは…トチノキじゃないよ」

少年は自分とは違う名前を言われ戸惑いをおぼえているが、心配そうに近づいてくる。

「いや…大丈夫だ。心配してくれてありがとう」

トキノキに似ている少年の頭に手をのせながら優しく微笑む。普段ではこのようなことをすることはないが、つい自分の子供のように接してしまった。

「あ~!どこ行ってたのよ!探したわよ!」

少女が声をかけながらトチノキ似の少年に近づく。彼女はブレザーを着ておりハイスクールかジュニアハイスクールの学生だろう。その胸は平坦だった。


「速くこっち来なさい!」

少女は手を取って少年を引きずるように歩き、ニンジャスレイヤーから遠ざかっていくどうやらあの少年の姉のようだ。
その様子を見たニンジャスレイヤーはあのクリスマスの日を思い出していた。

(((そうだトチノキが居るわけがないのだ…あの日マルノウチスゴイタカイビルで!)

平坦な少女は両手に大量の荷物が入ったビニール袋歩きながら、少年に説教をしていた


「全く!知らない人に声をかけたらダメって言ったじゃない!もし誘拐されていたら…」

「ごめんなさい……」


少年は自分の身を心配してくれる少女を見て、声をかけたことを少しだけ反省していた。


「そうですよ。お姉さまの言いつけは守りなさい!」「そうだよ!」


黒髪の少女もそう言って少年を叱責した。年齢的には小学校低学年ぐらいであり、平坦な少女の妹のようだ。アトモスフィアから年齢以上に聡明そうだ。茶髪の少女も深く考えず黒髪の少女に同調した。彼女も平坦な少女の妹であり、そのアトモスフィアから活発そうだ


そんな会話をしているとつい前方への注意が疎かになってしまう。案の定平坦な少女が持っていたビニール袋が前方の男性集団の一人の膝に当たってしまった。ウカツ!

「あ、ごめんなさい」

もしここがマッポー都市ネオサイタマであれば、この後イチャモンをつけられて金は強奪。女性ならばその後はファック&サヨナラされることはチャメシ・インシデントだ

しかしここはネオサイタマではない、普通ならば荷物をぶつけられた相手も自分にも非が有ると感じ、日本人特有の奥ゆかしさを見せての過剰なまでの謝罪、そしてオジギ。その後は何事もなく歩いていく。普通ならば

「痛てえ!膝が痛てえよ!」

体格の良い男は過剰に痛たがり、地面に打ち上げられたバイオマグロめいて飛び跳ねる。それほどまでに強烈に荷物が当たっていたのか?いや違う!これは恐喝の一つアタリヤ・メゾット!ワザとぶつかり過剰に痛がることによって、相手の罪悪感を促して謝礼金を合法的に奪い取る!ネオサイタマのヤクザクランのレッサーヤクザがシノギとしてよく使う方法だ。だが彼らはヤクザではないがヤンク、こちらの世界では不良とよばれる無軌道少年なのだ

「おいおい大丈夫か?」「あ~あこれ再起不能だわ」「こいつの夢はサッカー選手なのに」


ダメージを強調することによって相手に罪悪感を与えている、次第に平坦な少女と兄妹を取り囲む男性集団。よく見ると全員体格はよく危険なアトモスフィアを漲らせていた


「ちょっとあちらで相談しませんか?」

今日はここまでです。

次の投稿は5日ぐらいを予定しています

続きを投稿します

日はまだ完全に落ちていないのもかかわらず、両脇の建物の高さのせいか日差しの陽気はまるで感じられない。そして日当たりが悪さのせいか、湿気が多く湿った空気が充満していた。そのせいか地面に苔が生えている。その路地は狭く横幅はタタミ二三枚ほどであり、集団で並んで歩くには狭そうだ。男達は平坦な少女と兄妹達の前に二人後ろに二人立ち周りから見えないように巧妙に隠していた。


しかし平坦な少女はこのような何が起こってもおかしくない場に何故ついて行ってしまったのか?彼女もあの場において危険なアトモスフィアは感じており、全速力で逃げることは可能だった。しかしそうなると兄妹達を置いていくことになり男たちが兄妹達に危害を加えることも十分に考えられる。彼女には男達と一緒についていくしか選択肢はなかった

「こいつ、膝に爆弾抱えていましてね。さっき荷物が当たって膝がボカン!かわいそうだな~コイツと一緒に病院に行かなきゃいけないな~」


頭に剃りこみが入っている男はそう言っているが病院に行くつもり全くない、欺瞞!怪我した男は膝に古傷すらないのだ。病院に行くという単語を使うことで暗に治療費という名目の金を請求している。しかし直接金銭を要求していない高等な話術。これはニンジャスレイヤーが住む世界でも
「誠意」という単語を使った恐喝メゾット通じるものがある。

「私達に今お金持ってないわよ」

彼女は言葉の裏に含まれている意味を察知して、男たちの要求を端的に断った。


「そんな!お金なんて一言も言っていないのに!奥ゆかしくないですね~」

カブキじみた大げさな態度を取って驚いて見せるが、頭の中ではニューロンを高速回転させ、いかにして金を奪い取るかを考えている。


「金なんてどうでもいい!それより今から俺と付き合ってくれよ!お前みたいな平坦なのはタイプなんだよ!」

そう言いながら膝を怪我したと主張しているスキンヘッドの長身の男は平坦な少女に歩み寄り右手首を掴んで自分のもとに手繰りよせた。

「お前、趣味変わっているよな」「女はボン!キュッ!ボン!だろ」「豊満重点!」

周りから男の嗜好に茶々が飛んでいたが、「ッセエゾ!コラ!」と茶々に対して一喝。

「ちょっと!あんた!今普通に歩いてるじゃない!ケガはどうしたのよ!?」

少女は指摘するが

「気合で我慢してる!キスしなきゃ膝は治らん!だからキスしろ!」

なんというワガママ!もちろんキスで膝を治すという治療法は存在しない。

「離しなさいよ!」

少女はスキンヘッドの男に抗おうと暴れ、その時反射的にビンタをスキンヘッドの男に喰らわす。男は怒りを露わにして

「ザッケンナコラー!」

手の甲で少女の顔を払った!

「キャッ!」

男は少女の右手首を手から放しており、その払われた勢いで少女は態勢を崩し尻もちをつく。

「大人しくしてれば調子に乗りやがって!もうこいつをファ…」

スキンヘッドの男が喋ろうとした時、剃りこみの男が言葉を遮る。

「その言葉は奥ゆかしくないですね。ここは「前後」または「上下」で」

「……なるほど奥ゆかしいな! 今からお前を前後してやる!」

スキンヘッドの男は意味を理解したのかゲスな笑顔を浮かべながら少女に近寄る。少女は自分に襲い掛かる出来事を理解してしまい恐怖の目を浮かべていた。

「やめろ!」「お姉さまから離れなさい」「やめろハゲ!」

平坦な少女の兄妹達は決断的にスキンヘッドの男の脚にパンチやケリ・キックをくりだす! 今までミニバイオ牛めいて怯えた姉の様子を見ていたが、スキンヘッドの頭の男から漂う危険なアトモスフィアを感じて姉を救うために攻撃したのだ!しかし三人の脆弱なカラテではダメージを与えることはできず、逆にスキンヘッドの男の怒りは増長!


「スッゾコラー!」「ウワーッ!」

男の蹴りが兄妹を吹き飛ばす! 幸い三人ダメージはないが地面に這いつくばる結果に。

「目下が目上に反抗する。これは元体育会系としては見過ごせないっすね~」

今まで様子を静観していた坊主頭の三人が兄妹達に近づいてきた。

「これは教育しないといかんね。かわいがっていいっすか?」「好きにしろ」

スキンヘッドの男は興味無さそうに答えた。

体育会系とはこの世界独自のシステムである。ジョックの中でネンコと呼ばれる明確な上下関係があり、コウハイはセンパイに絶対服従しなければならないのだ。その一環としてカワイガリと呼ばれるセンパイがコウハイをトレーニングの名を借りてリンチする儀式がある。コウハイはそれにも耐えなければいけないのだが、この坊主頭の三人はコウハイでありながらセンパイを殴ってしまった。その結果ムラハチにあいハイスクールを退学! その恨みから年下をリンチすることを生きがいとする歪んだ嗜好になってしまったのだ!


「やめなさい!兄妹達は関係ないでしょ! やるなら私だけにしなさいよ……」

少女はせめて兄妹達に危害がおよばないように懇願する。しかし

「泣かせるね……でもダメ! まずそのハナタレ小僧からだ! 」

坊主頭の一人が左手で少年の口を手で塞ぎ、右手の拳を今にも殴りかからんと振り上げていた。少女はその蛮行を阻止すべく駆け寄ろうとするが、スキンヘッドの男の力で地面に組み敷かれてしまう。

「こっちも楽しもうぜ」

おお!ブッダよ! 酷過ぎる! このまま少女は強制前後され、兄妹はカワイガリにあってしまうのか! ここもやはりマッポーの世界なのか!

「イヤーッ!」「グワーッ!」

坊主頭の左手の肘の付け根付近に棒状の何かが刺さっておりキリタンポめいた状態になっていた!その投げられた方向に目をむけるとハンチング帽とトレンチコートを着た男が!

「てめえ何だコラー!」痛みを堪えながら坊主頭の男は叫んだ

「ただの通りすがりだ」

おお! この姿はニンジャスレイヤー! この地にもブッダはおられたのか! しかし何故ニンジャスレイヤーがこの場にあらわれたのか。トチノキ似の少年が離れた後そのニンジャ視力を生かし遠い距離から何気なく様子を見ており、路地裏につれられたのを確認し、後を追っていたのだ。

「お主ら今すぐ消えろ。そうすれば見逃してやる」

「テメエ、調子くれんなよコラ!」スキンヘッドの男は少女から手を離し、顔に怒りを滲ませながらニンジャスレイヤーを殴りかかりに行く! 男の拳が当たる瞬間

「イヤーッ!」掛け声を発した瞬間男は糸が切れたジュルリ人形めいて崩れ落ちる。

「え?」その場にいた全員は何がおこったか理解できなかった。ニンジャスレイヤーは何もしていないはず?この場にニンジャ動体視力を持っている方がいれば見えただろう。ニンジャスレイヤーは拳が当たる瞬間。スキンヘッドの男の顎先にジャブパンチを放ち、拳を引き戻していた。このジャブパンチで相手の脳は高速で揺らされ失神! また拳を引き戻すことでモータルにはニンジャスレイヤーは何もしてない様に見えたのだ

(((カラテ、カラテだ!)))いや唯一人トチノキの少年は目では何が起こったが見えなかったが感覚でニンジャスレイヤーのカラテを感じ取っていた。

「まだやるか?次は顎の骨を砕く」「もうしません!」「ではその男を連れて消えろ」「はいヨロコンデ―!」

不良集団はスキンヘッドの男を抱えながらメキシコライオンに襲われたウサギめいて逃げて行った。

「お姉ちゃん!」兄妹達は姉のもとに駆け寄り抱き着いていた。「ごめんね……怖い思いさせて……」姉は涙を零しながら兄妹を強く抱きしめた。

ニンジャスレイヤーはその様子を一瞥して立ち去ろうとするが、膝から崩れ落ちて落ちていた。「ちょっと!?大丈夫!?」平坦な少女は様子を心配して駆け寄ってくる。

(((ここまで衰弱していたのか……)))

「なにか……食べ物……」

ニンジャスレイヤーは少女に物乞いのように食べ物を要求することに躊躇を覚えていたが、このままでは死ぬことは避けられない。恥を忍び薄れいく意識の中で言葉を紡いでいく

「え?何か食べたいの」

少女は意思をくみ取って返答し、ニンジャスレイヤーも肯定の意味で首を僅かながら縦に振った

「スシを……」

ニンジャ回復力を増幅させる完全栄養食のスシ。これさえ食せばニンジャスレイヤーの体調は見違えるように回復するはずだ

「寿司? なんで寿司なのよ? とりあえずスシを買ってくるから! あんた達はその人の様子を見ておいて」

何故スシなのか疑問に思いながらも少女は兄妹達に留守番を頼み、スシを求め街に溶け込んでいった。


少女が飛び出してから時間はどれぐらい経ったのだろう?五分?十分?それとも一時間か?ニンジャスレイヤーの意識は混濁しており時間の経過がまるで分らなかった。次第に、そしてソウカイヤ、ザイバツとの戦いの記憶、フユコとトチノキとの思い出が蘇っていた。これはソーマト・リコール! このままフユコとトチノキの仇も取れず、モータルを踏みにじる悪しきニンジャを根絶やしにすることもできずに死んでしまうのか!


「寿司!ほら寿司持ってきたわよ!」

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「実際助かった。感謝する」

ニンジャスレイヤーはスシと彼女が気を利かせて買ってくれたお茶を摂取することで体力は一気に回復した。スシとチャによる相乗効果だ

「こっちだって私や兄妹を助けてくれてありがとう……」

彼女は少し照れくさそうにしながらも礼を述べた

「しかしこのスシ、かなり高額であっただろう?」

食したマグロ、イカ、アナゴ、イクラなどは全部オーガニックな天然ものであった、オーガニックスシと粉末成形スシでは味、栄養価ともに段違いである

「高額?こんなの千円ちょいで帰るわよ」

千円という単位はネオサイタマでの価値はわからないが普通の女子学生が手軽に買えるのであれば相当な安値であることが感じ取れる!この地は楽園なのか!?

「そういえばアイサツが遅れていました。ドーモ、イチロー・モリタです」

「えっと、私の名前は矢澤にこ」


ニンジャ&アイドル・ミーツ・ワン・ナイト・スタンド #1 終わり

今日はこれで終わらせてもらいます。

#2は作成中ですので、できるだけ早く投稿するつもりです

>66さん

個人的感想ですが、合う人合わないの落差が激しく、ハマる人はとことんハマる作品だと思います。

http://wikiwiki.jp/njslyr/ こちらのサイトで最新の話まで読めますので、興味があれば是非!

今から投稿します。#2からはニンジャアトモスフィアを再現するため、
ツイッタ―で連載している感じにさせてもらいます。

「私の名前は矢澤にこ、助けてくれてありがとう」改めてお辞儀をする。
そのお辞儀の角度は偶然にも45度になっていた。これは最敬礼と呼ば
れるものでお辞儀の中で最も丁寧なものとされている。それだけニンジ
ャスレイヤーに感謝しているということだろう。


「おじさま、ありがとうございます」「ありがとう、おっさん」「ありが
とう」にこに続いて兄妹達が次々に嬉しそうにお礼を言ってきた。「あ、
この子達はにこの弟と妹達で。こころ、ここあ、虎太郎よ」「ドーモ、
ココロ=サン、ココア=サン、コタロウ=サン、イチロー・モリタです」


ニンジャスレイヤーは手を合わせて深々とお辞儀。ネオサイタマは礼を重
んじる国である。仮にオジギせず、名前の後=サンをつけなければ
シツレイに値する行為になり、ムラハチである。ムラハチとは陰湿な
社会的リンチのことだ。

「空手!空手!さっきの空手?」虎太郎は正拳突きの真似事のようなカラテ
ムーブを繰り返しながら尋ねる。(((見えていたのか?)))ニンジャスレ
イヤーは少し驚いた様子を見せながら、正直に答える。「カラテだ」「空手!」


空手であったことが嬉しかったのか、正拳突きにさらにチョップを交えなが
らのカラテムーブを熱心におこなっていた。その様子を微笑ましく見ながら、
にこはニンジャスレイヤーにある疑問をぶつけたところで、「そんな行き倒れ
寸前までお腹を空かして何があったの?」


最もな疑問である。ネオサイタマならよくあるインシデントであるが、この
世界の日本で人が空腹で死にかけるということは非常に珍しい。ニンジャ
スレイヤー数秒沈黙した後に答えた「それが……気づけばここに居まして
……自分の名前しか覚えておらず……」

もちろん嘘である。ニンジャスレイヤーはこの町はネオサイタマとは別の
世界ではないかと考えていた。ここで今まで起こったことを正直に話した
としても狂人と怪しまれる。人に怪しまれるということは巡り巡って自分
の害になることがおこることを知っていた。嘘を並べて乗り切ることも
考えたが、


嘘をつくにも情報が足りな過ぎる。ならば何も知らないということで乗り
切るしかない。「記憶喪失?本当?」にこは疑いの目をニンジャスレイヤー
に向ける。カトゥーンなどではよくある話だが、実際記憶喪失見たのは初
めてだが疑いを持ちながらもとりあえず信じることにした。


「何か自分のことを思い出すようなモノは持ってないの?身分証明者とか
財布とか?」通常なら自分の身分を証明するものを持っているが、ニンジャ
スレイヤーは直前までパンクラスと戦闘していた為そういったものは持って
いない、所有物はお守りタリスマン、メンポ、フックロープ、ブレーサー。

大概はもし見せたらこの世界のマッポに捕まってしまう危険物ばかりだ。
「そうですね、こんなものしかありませんでした」ニンジャスレイヤーはこれ
らのものは見せず、コートのポケットにあるトークンを見つけ出しこれをにこ
に見せた。「なにこれ?ゲーセンのメダル?」


それらの金属製の何かはにこにとって全く見たことないものであった。
(((やはりか…)))ニンジャスレイヤーはその反応を見て、このトークンは
全く使用できないことを理解する。「財布も持ってないの?」「そうみたい
です」「ということは記憶喪失で一文無しってことじゃない。あんたこれから
どうするの?」


ニンジャスレイヤーはにこの心配にありがたみを感じながらも答える。「なんと
かします。では私はこれでサヨナラ」ニンジャスレイヤーはこれからのことを
思案しながら秋葉原の町に向かおうとした時「ちょっと待ちなさい!泊まると
ころがないなら!にこの家に泊まっていきなさい!」

にこは反射的ニンジャスレイヤーを呼び止めていた(((何言っているのよ私?
別にほっとけばいいのに?)))記憶喪失で一文無しの人間がこの世界に生きて
いく。にこは無意識にそれがどれだけツライことか想像してしまった。


何より自分のウカツで不良に絡まれ、自分の身だけではなく大切な兄妹達をも
危険な目に合わせてしまったことに深く後悔し、まだその窮地を助けてくれた
ニンジャスレイヤーに深く感謝していた。その恩人を放っておくことに良心が
痛み何とか助けになりたいと思っていたのだ。


「ニュースであんたが野垂れ死んでいることを知ったら、に……にこの夢見が
悪いわ!」思いとは裏腹に自分の為という建前で恥ずかしそうにニンジャスレ
イヤーを誘っていた。ニンジャスレイヤーは戸惑いを覚えながらもこの提案
を断ろうとしていた。自分は多くのニンジャや組織に追われる身だ。

私が家に訪れることで自分と関わりがあると勘違いされこの仲良き姉妹達の
幸せな日常を壊してしまう。「しかし……私がお主の家に来たら迷惑がかか
……」「是非家にいらしてください」「家に来いよ!おっさん!」「空手~空手
もっと見せて~」突然のインターラプト!


ニンジャスレイヤーが断る前にココロとココアと虎太郎も姉に賛同してニン
ジャスレイヤーを家に誘う。彼らも自分の身を助けてくれたこと、何より大
好きな姉を助けてくれたことに深く感謝していた。「だが……」ニンジャスレ
イヤーは兄妹の思わぬ提案に慌てるがそれを見たにこはさらなる追撃をはかる。


「こんな小さい子供たちの誘いを断るの?それはちょっと失礼なんじゃない?」
「それは!」にこは短い会話でニンジャスレイヤーは礼儀を重んじ、子供が好き
なのではないかとスクールアイドルで鍛えた洞察力で察知。子供とシツレイと
いう単語を含ませニンジャスレイヤーを責める見事な一言!


この話術は江戸時代において巧みな話術を用いて政治闘争で百人の要人をカマ
ユデに追い込んだ。カンベ・クロダのようだ!サラリマン時代の名残か、ニホン
人の本能か、シツレイを避ける為にこの提案を飲もうとするニンジャスレイヤー。
しかし「親には何と言う?」


ニンジャスレイヤーは続ける。「このような不審人物が家に来るのは心思わないの
では?」親に心配させてはならないという良心をついた返しの一言!「今親は出張し
ていて家にいないわよ」「そうか……だが……」


ニンジャスレイヤーは一呼吸した後「親が居ないのに私のような者を家に誘うという
のはいささか不用心ではないか?私が先ほどのヤンクであったらどうするのだ?」
ニンジャスレイヤーは少しだけ語気を強めて告げた。彼女たちの気持ちはありがたい
が、不用心すぎる。

その不用心さが幸せな家族に不幸な目にあうことを懸念したのだ「アンタはそ
んなことするの?」質問を質問で返す。シツレイ!しかし、にこはニンジャス
レイヤーがそのようなことをする人物とは微塵も思っていなかった。自分のこ
とを信じきっている。その思いを感じ取ったのか「わかった……世話になろう」



ニンジャスレイヤーはこの世界に自分を襲ってくるニンジャは居ないだろうという
漠然とした予感があった。何よりここまで真剣に誘われた願いを無下にはできない。
平安時代に活躍した稀代の哲学剣士であるミヤモト・マサシもこう言っていた
「出されたチャを飲まなければシツレイ」と

私用で中断させてもらいます。今日の夜ぐらいからまた再開します。

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カツ、カツ、カツ、一歩ずつ階段を登っていく矢澤にことその兄妹、そして
その後をついていくニンジャスレイヤー。日はすっかり沈みかかり、ふと外
の街並みを見てみるとその夕焼けがコンクリートのビル群を赤く染めていた。
その光景に目を奪われているとカア、カアという鳴き声が聞こえてきた。


カラスだ。その黒い鳥は円を描きながら空を旋回している。日本人はカラス
と夕焼けにノスタルジーを感じると言われているがニンジャスレイヤーこの
光景を見て何を思うのか。


「ただいま」鍵のロックを解除し、ドアノブを回す。にこは「ただいま」と
言ったが家には誰もいない。しかし大概の日本人は誰も居なくても「ただい
ま」と言うだろう。何故かは分からないが儀式めいたものなのかもしれない。

「ただいま~」ココロ、ココア、虎太郎も声を揃えてあいさつをする。その後
に続いてハンチング帽をかぶりトレンチコートを着込んだ男が低い声で「おじ
ゃまします」というアイサツした。ニンジャスレイヤーだ。


「じゃあ夕食でも作ろうかしらね」そう言いながら制服のブレザーとピンク
色のカーディガンを脱ぎエプロンを身につけた。リビングの中に設置されて
いる台所に向かい、兄妹達は荷物を置きに自室に向かう。四人が目を離して
いる隙に身につけていたドグウ社のブレーサーや足甲などを素早く外す。


その後荷物をコートの中に入れて、丸めて玄関先に置いた。これでニンジャ
アイテムを見られて不審がられる心配はない。にこが夕食を作っている間コ
コロとココアは自室で宿題をしている。そして虎太郎はニンジャスレイヤー
にカラテを教わっていた。

「私はセンセイでも無いし、教える資格もない」ニンジャスレイヤーも
最初は教えることに躊躇い断ろうとしたが、虎太郎が今にも泣きそうな
顔で駄々をこね、近所迷惑だから教えて大人しくさせてくれとにこに頼
まれたので仕方なく教えることにした。


「コタロウ=サン、掛け声を出しながらチョップを打つのだ」「それだけ?」
「それだけだ」虎太郎はもっと凄い技を教えてくれると期待していたようで
明らかに落胆していた。しかしチョップはニンジャの戦いでは非常に重要だ。
チョップはカラテの基本動作でもあるが、また奥義でもある。



ニンジャスレイヤーはサラマンダ―の暗殺拳チャド―の奥義タツマキケンを
チョップを打ち続けるねじ伏せたこともあった。ニンジャスレイヤーは構わ
ずレクチャーを続ける。「私の真似をするのだ、イヤーッ!」最大限威力を
抑えたチョップを繰り出すニンジャスレイヤー。



だがそのチョップは風切音を鳴らし、普通の人間には十分なダメージの威力だ。
そのチョップを見た途端に虎太郎は目を輝かせニンジャスレイヤーの真似をし
始めた。「イヤー」しかしそのチョップは波打っている。


「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤ
ー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イ
ヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ!」「イヤー」「イヤーッ
!」二人はチョップを打ち続ける。


「ご飯できたわよ」にこの呼びかけともにココロとココアは勉強を中断する。
虎太郎もお腹が空いているのかチョップのムーブを止めて食卓に走って行く。
(((いずれトチノキにもカラテを教えることがあったのかもな……)))
少し感傷的な気分になりながら食卓に向かうニンジャスレイヤー。

「ねえ、今日のご飯は何お姉ちゃん?」ココアは目を輝かせながら聞いてきた。
「天ぷらよ」ニンジャスレイヤーの目に驚きが見える(((テンプラ……)))
にこは食卓にエビやかき揚げなどの天ぷらとご飯を皆の前に配った。


なんということだ!ニンジャスレイヤーの過去を知っている方はお気づきだと
思うが、ニンジャスレイヤーとなる前のフジキド・ケンジがマルノウチスゴイ
タカイビルで妻フユコと息子トチノキとの最後の晩餐の料理がテンプラだ!
トチノキに似ている少年虎太郎がいる上に出された料理がテンプラ!


(((フユコ……トチノキ……)))ニンジャスレイヤーは自然と涙が落ちていた。
あの日に枯れ果てたはずの涙が。「ちょっと大丈夫!? 」「おっさん大丈夫か?」
「大丈夫ですかおじ様? 」「どこかいたいの? 」それぞれニンジャスレイヤー
を心配する声をかけるなかで「スゥー、ハァー」チャド―の呼吸だ。


ヘイキンテキを保つべくチャド―の呼吸を一回、「心配ない大丈夫だ」皆は少し
心配しながらも食事を開始した。
 

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「「「ごちそうさまー!」」」3人は元気よく言った後、食器を片づけにキッチン
に向う。「美味いてんぷらでした」ニンジャスレイヤーは本心からそう言った。
「そう、ありがとう」にこは少し照れくさそうに答える。「ところでにこ=サン
頼みがあるのだが」


「どうしたの?」「この国の地図を見たいのだが」にこは一瞬考え、その質問の
意味を理解した「地図見れば何か思い出すかもしれないわね、ちょっと待って
なさい」そう言って本棚の本を探し始めた。(((これですべてが分かるはずだ)))


にこは本棚から地図らしきものを持ってきた「これが日本の地図よ」ページを開い
て見るとそれはニンジャスレイヤーが知っているニホンとはそこまで違いはなかった。
「ネオサイタマはどこですか?」「ネオサイタマ?埼玉ならここよ」

指をさしたところは予想より小さかった。(((ネオサイタマの領地はもっと
広いはず?)))「中国地方はどこですか?」「中国地方はここよ?」指を
さした先を見てニンジャスレイヤーは驚いた! (((これで決定的だ。ここ
は私が知る日本ではない)))


本来ならネオサイタマの北の隣にあるはずの中国地方だが指を指した先は
全く別の場所だった。「どう何か思い出した?」「いや何も…」「そっか」
にこは残念そうに呟いた。「しかし記憶喪失、住所不定、一文無し、これから
どうするの?」最もな疑問である。


この疑問に対してニンジャスレイヤーは何も答えられなかった。実際この世界
で金銭を得る方法は全くない。「しょうがないわね~」にこはIRC通信機め
いたモノを取りだした。携帯電話だ。「今からツテを当たってみるわ、もしか
して就職先が見つかるしれないわ。でもあまり期待しないでね」

ニンジャスレイヤーは申し訳なさそうに言う「そこまで世話をしてもらわなく
ても大丈夫です。金ぐらい自分で……」喋りきる前にニンジャスレイヤーの前
に親指を曲げ四本の指を突き立てる。「寿司を奢った分」人差し指を曲げる「今
日、家に泊めた分」中指を曲げる。「就職先を探してあげる分」薬指を曲げる。


「私とココロとココアと虎太郎、四人分助けてもらったわ。そして私はアンタを
三回助けた。まだ一つ借りがある。だから遠慮するんじゃないわよ」「それに……
借りを作るのは好きじゃないの」にこはニンジャスレイヤーから視線を外し、照れ
臭そうに言った。「わかりました」


ニンジャスレイヤーは椅子から立ち上がり玄関に向かった。自分が居ては電話しに
くいだろうと思っての行動だ。「もしもし真姫ちゃん、今大丈夫?実は……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おはよう」「おはよう」「昨日のA-RISE見た?凄かったよね!」大量の葉っぱ
が落ちる地面を踏みしめながら生徒が次々と校門を通り抜けていく、中には急い
でいるのか走りながら通り抜けている生徒もいるようだ。ここは秋葉原と神田と
神保町という三つの街のはざまにある伝統校、音ノ木坂学院。


生徒達が登校していく中で一際大きい青い色のつなぎを着た人物が居る。その
人物はひたすら地面に落ちている葉っぱを箒で掃除しており、ときおり自分に
挨拶する生徒に「ドーモ」「ドーモ」と挨拶を返していた。そんな中一人の
少女がそのつなぎを着た人物に近づいてくる。


その少女はピンクのカーディガンの上にブレザーを着て、赤いリボンを左右に
つけ髪をまとめており、その髪型が幼いアトモスフィアを醸し出していた。
「ちゃんと仕事している?モリタ」「ドーモ、にこ=サン」彼は音ノ木坂学院
の用務員の仕事をしていた。


ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #2 終わり

次の#3は水曜ぐらいに投稿するつもりです。

今から投稿します。

ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #3

そこは地平線の果てまで砂浜が広がっているようだった。海は黒色であり、波
の音はイカジャーキーを焼くプレス機めいて規則的だった。波の音はリラック
スの効果があるといわれているが何故か不安を掻き立てられる。空を見上げる
と黒い空の中で一際目立つものがある。黄金色の球体?


いや立方体が回っていた。黄金の立方体はゆっくりと回り続いている。「おや、
またまた珍客だね。ドーモ、バーバヤガです」その声の主は10フィートほど
の非人間じみた大きさでまるでボロ布を積み上げ山にしたような姿だった。声
色から推測すると老婆のようだ。


アイサツされたその人物の姿はぼやけていて外見的特徴はまるでわからない
「ドーモ、……」「あンた、名前を思い出せないのかい?」少し驚いたよう尋ね
る。「ニンジャだった……ネオサイタマで……誰かに殺されて……爆発四散した
……それは覚えている……」自分の記憶を絞り出すように言葉を出した。

「ネオサイタマで爆発四散したニンジャがここに来る。ケジメニンジャといい
最近は珍しいこと続きだねえ。ソウルの力か、憑依されたあンたの力か、もし
かして再び憑依するかもね」「これから…どうすれば…」その名無しのニンジャ
は不安げに尋ねる。「こんなことは滅多におきないよ。ロスタイムを楽しみな」


バーバヤガはそのニンジャを上から値踏みするように見ながら「そうだね、ま
ず自分の名前を思い出すことだ」「名前?」「そう名前。名前は重要だよ。」バー
バヤガはその名無しのニンジャから背を向け「名前を思い出せたら迎えに来て
やるよ」そう言うと霧のように霧散して姿を消していた。


その名無しのニンジャは砂浜を当てもなくひたすら歩きづけた。特に意味はな
い、ニューロンの気まぐれだ。時間の経過を忘れるほど歩いていると、砂浜に
ぽっかりと穴が開いている箇所があった。中を覗くと下に降りることしかでき
ない螺旋階段があり、下は暗黒空間でまるで見えない。

「フェフェ、これは初めて見るね」突如、老婆のような声がする「バーバヤガ
=サン?」「ドーモ、と言っても特に害があるわけでは無さそうだね。ノイズか
何か…」バーバヤガが喋り終る前に名無しのニンジャは螺旋階段で下に降りよ
うとしていた。「そこに行くのかい?」「何となく下に降りた方がいい気がして」


バーバヤガは少し考え込んだ後に「コトダマに包まれてあれ」「ありがとう」名
無しのニンジャは言葉の意味はわからないが何故か温かみを感じ自然と礼を述
べていた。


カツ、カツ、カツ。自分の足音だけが反響する暗黒の世界。出口が見えないが
マグロめいて止まらず歩き続けた。自分は誰か? そのような疑問を自問自答
しているうちに、一筋の明かりが見える。出口らしきものが見え安堵しながら
その光に向かって歩を進める。

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パラーパラパラパラーパラパラ―…太陽の心地よい光が降り注ぐ昼下がり、P
Cのスピーカーからポップな感じの明るいメロディーが部屋に響きわたる。そ
の部屋の中央には折り畳みテーブルと九個のパイプ椅子が設置されており、部
屋の右側には棚が壁一面に設置されている。


その棚には本、CD、DVD、BDなどの様々なものがスシパックめいて隙間
なく詰まっていた。それらのものをよく見てみると統一性があることがわかる。
すべてアイドル関係のものだ。そしてアイドルに精通している人物ならばこれ
らのものは非常に価値が有るものだと分かるだろう。


もしこれらの部屋の存在がアイドルファンに知られれば、アイテムを求め大量
のファンがハック&スラッシュを行うかもしれない。今現在、この部屋には九
人の学生が存在し、七人は中央のパイプ椅子に腰かけ談笑。残りの二人はPC
に映っているアイドルの姿を食い入るように見ていた。

「にこっち、今朝用務員さんに話しかけていたけど知り合い?」その少女は薄
い紫の色の髪に二つのシュシュを付けその体からはスピリチュアルアトモスフ
ィアを発していた。彼女は三年生東條希。音ノ木坂学園スクールアイドルμ'sの
メンバーの一人。彼女の胸は豊満だ。


「ちょっとね。就職の世話してやったのよ」そっけなく答えるのは同じくμ's
のメンバーの一人、三年生矢澤にこ。彼女の胸は平坦だ。


「あ~あ!だからにこちゃん、電話で穂むらでバイト募集してないかって聞い
たんだ」その少女の髪は明度が高い茶髪だ。その喋りから明るい性格アトモス
フィアを感じ取れる。彼女は高坂穂乃果、二年生。μ'sのメンバーの一人であ
りリーダー的存在。彼女の胸は標準だ。

「私にもそんな電話来たわね。にこちゃんは何時からハローワーク職員になっ
たのよ?」赤い髪を手でクルクルと弄りながら答える少女は西木野真姫、一年
生。そのアトモスフィアから勝気な印象だ。μ'sのメンバーの一人だ。彼女の
胸は標準だ。


「私にも電話が来てたよっ」その鷹揚なアトモスフィアを出しながら答える少
女は南ことり、二年生。μ'sのメンバーの一人だ。彼女の胸は少しだけ豊満だ。
「ことりに電話したら途中から理事長が電話に出るなんて思ってなかったわよ
。あれは緊張したわね」その時を思い出したのか少し鼓動が速くなる。



「最初は断ろうと思ったけど、にこちゃんの熱意に負けてとりあえず仮採用し
たって、おかあさん言ってたよぉ」「そう。自分で頼んどいてなんだけど、理事
長もあんな住所不定の男を雇うなんて、この学園大丈夫?」普通なら住所不定
の者は雇わない。預金口座もなく給料を振り込めないからだ。

「今、丁度人が足りなくて、試しに働かせてみたら物凄い仕事量でしかも仕事
が丁寧だからすぐ採用したって」ことりは母との会話を思い出しながら食事を
摂る。「ふ~ん。そんな仕事できるんだモリタ」にこも紙パックジュースを飲み
ながら相槌をうつ。


ニンジャスレイヤーは用務員になってから一週間経つが、ニンジャ器用さで修
繕、補修。ニンジャ体力で力仕事。デスクワークはサラリマン時代で培ったも
のを生かして仕事をそつなくこなしていた。その仕事ぶりから教員からの評価
は高い。


「熱心に頼んだってことりが言っていたけど、何でそんなにその用務員に肩入
れするの?何か弱みでも握られているの?」真姫は怪訝そうな顔していた。「そ
うなの!? にこちゃん!」穂乃果は驚いたように聞くが、「違うわよ!」にこ
は穂乃果の考えを訂正する。

「ただ……借りがあるのよ……」「どんな借りなん?にこっち?」希は興味深そ
うに、にこを見ている「言わないわよ」「ならワシワシや!」希はアマレス選手
めいたスピードでにこの後ろを取り、しめやかに胸をワシワシ。つまり胸を揉
んでいた。


「やめなさい!絶対言わないわよ!」「強情やね。でもいつまで我慢できるかな
~」希はワシワシを強くする!にこはこのまま口を割ってしまうのか!?「ちょ
っと希。ふざけるのはその辺にして、本題に入るわよ」そういって二人の間に
割って入る人物がいた。


彼女は綾瀬絵里。μ'sのメンバーの一人で三年生だ。金色の髪でコーガソイド
の血が入っており、彼女の胸は豊満だ。「新曲を作ることはみんな知っていると
思うけど、他にも既存の曲のクオリティーを高めるために練習量を増やすべき
だと思うの……」絵里はそう提案した。

「私もそれに賛成です」賛同するのは園田海未。μ'sのメンバーの一人で一年
生だ。その黒水晶めいた黒髪を持ち、その振る舞いから厳格なアトモスフィア
を感じられる。彼女の胸はやや平坦だった。


「え~やだ~このままでいいにゃ~」PCから海未達に顔を向け反論する少女。
彼女は星空凛、μ'sのメンバーの一人で一年生だ。オレンジ色のショートカッ
トの少女からはネコめいたアトモスフィアを感じる。彼女の胸は平坦だ「そう
思うよね!かよちん!」


「え!?うん……そう思うな……」凛の勢いに押されたのか少女は反射的に返
事を返してしまった。彼女は小泉花陽。μ'sのメンバーの一人で一年生だ。髪
の色は明度が高い茶色で、その様子から小動物めいたアトモスフィアを感じる。
彼女の胸は結構豊満だ。

凛と花陽が反対意見にまわったことで「練習を増やすなんて海未ちゃんヒド
イ!」「にこ達を再起不能に追い込むつもり! 」「私も反対」と場は一気に反
対論調に傾き、部室は騒がしくなる。そんな中海未は深呼吸した後「成せば成る!」


おお!これは!平安時代に活躍した稀代の哲学剣士であるミヤモ
ト・マサシのコトワザ「成せば成る!」ではないか!同一の意味か
は分からない。しかしいかなる偶然かは分からないが、このコト
ワザはこの世界にも存在していた。


「練習量は増やします。いいですね」表情は笑顔だったが目は笑
っていなかった。コワイ!ミヤモト・マサシのパワーワードとそ
のオニめいたアトモスフィアに圧され「あ、はい」全員は反射的
に肯定。

「海未、無理時はダメよ」「しかし絵里……」海未は不満そうな
態度を見せる。「みんな、私達は現状ではまだまだA-RISEのパフォ
ーマンスに追いついていないわ……追いつくためには練習しかないと思うの
」絵里は自分が思っている意見を率直にメンバーにぶつけた。


「……」それぞれ本心ではA-RISEに追いついていないことはわかっており、
図星を突かれたため沈黙する。沈黙が場を包む中「エリちと海未ちゃんならう
ちらの限界を見極めて体調管理してくれるから怪我なんてしない。だから少し
だけ頑張ってみない?」希は皆に諭すような優しい口調で言った。


「皆!海未ちゃんと絵里ちゃんを信じて頑張ろうよ!」穂乃果が希に意見に同
調する。「まあ、ヤバかったら自分で止めればいいだけだしね」「ことりもがん
ばってみるね」真姫とことりも賛同する「真姫ちゃん!ことりちゃん!」穂乃
果は嬉しそうに二人の手を取った。

「にこもやってやるわよ!「にこちゃん!」「そうだよね……頑張らなきゃダメ
だよね。ごめんなさい海未ちゃん、ワガママ言って」花陽が申し訳なさそう言
う。「いえ、私も自分の意見を押し付けすぎました。こちらもすみません」海未
も申し訳なさそうに言う。


「凛も自分が楽したいからってだけで反対してた……ごめんなさい絵里ちゃん」
「いや、誰だって厳しい練習はしたくないものよ凛……」穂乃果は一段と明る
い口調で言う。「よし!今日の放課後もがんばろう!」「おお!」メンバーも穂
乃果の思いをくみ取り明るい返事をした。


「疲れたにゃ~!」「もう動けない~!」「これ明日は筋肉痛ね……」放課後の
練習は通常の練習の倍というメニューが組まれ、普段からトレーニングをして
いるμ'sのメンバーの身体も悲鳴をあげていた。「明日は……軽めのメニューに
しましょう絵里」「そうね……海未」


お互い息を切らしながら今後の練習メニューについて考えながら息を整えてい
る。「みんな体を冷やさないように中に入るわよ……」「了解……」にこを先頭
にメンバーは息を切らしながら校内に入っていく。


μ'sの練習は屋上でしており、秋から冬にかけてのこの季節は風が吹き特に寒
い。下に降りるためにこが階段に足をかけた時にそれはおきた。激しい練習に
よる脚の疲れ、汗が靴の裏に付着、掃除当番が階段を掃除していなかったなど
様々な要因が重なり。「キャッ!」にこは階段から足を踏み外した。


態勢を整えようと試みたがうまくできず。体は無情にも転がり落ちる。「にこち
ゃん!」「にこっち!」彼女は薄れゆく意識の中、自分を心配するメンバーの声
を聞いていたがその声も遠のいてゆき意識は完全に途絶えた。


「にこちゃんの様子は!」穂乃果達は息を切らしながら病室に駆け込んだ。「と
りあえず外傷など命に関わる怪我はないわ……ただ……」絵里は続けて悲痛な
表情で言った「頭を打った影響で意識はまだ戻っていなくて……いつ意識が戻
るかわからないみたい……」「そんな!」


にこが階段から落ちた後、救急車を呼び付添いで絵里と希が同乗し病院に搬送。
他のメンバーは他の交通手段を使い急いで病院に向かっていた。「私が……私が
あんな練習メニューを組まなければ!」自責の念を感じてか海未はその場で崩
れ落ちる。


「海未ちゃんのせいじゃないよ……」「海未ちゃんのせいでもないし、誰もせい
でもない……あれは事故だよ……」ことりと穂乃果は海未を優しく抱きしめる。
「ことり……穂乃果……」海未は今まで我慢していたが、ついに我慢できず涙
が零れた。


(((ここは、ライブ会場?)))にこの目の前には数多くの客席が設置されてお
り、自身もスポットライトの光を感じていた。(((確か階段から落ちたはず……
何でライブ会場に居るの?)))(((……ーモ)))(((うん?)))(((ドーモ、ヤザ
ワ・ニコ=サン)))


にこは声が聞こえた舞台袖の暗闇を見てみるとそこにはメンポで顔を覆い、忍
び装束を着た人物が立っていた。ニンジャ!?(((ドーモ、ヤザワ・ニコ=サ
ン、私の名前は……名前は……アイドルニンジャ!アイドルニンジャです)))


ゴウランガ!何という事か!ネオサイタマの世でもないのに何故ニンジャソウ
ルが存在しているのか!?原因は分からない、だが!確かに存在している。(((
忍者?しかもアイドルの忍者って何よ?というかここどこ?)))にこは不審な目
でアイドルニンジャを注視


(((ここはアンタのニューロンが作り出した世界、でもまさかアタイがニンジ
ャソウルになるなんてね、とんだロスタイムだわ)))アイドルニンジャは自嘲
気味に笑う(((ニンジャソウル?意味わかんないわ。で?何の用?)))にこは
警戒を解かず質問をする。


(((アンタこのままじゃ死ぬわよ)))(((死ぬ!?)))にこは明らかに動揺した
様子で聞き返す。(((階段から落ちたでしょ、それが原因ですぐ死ぬわよ)))
(((冗談じゃないわよ!まだやりたいことが一杯あるっていうのに!どうすれ
ば生き返るの!?)))何故かこのニンジャが嘘を言っていないことを理解した。


(((じゃあアタイを受け入れてニンジャになりなさい)))アイドルニンジャは
笑顔を見せながら提案(((よよく分からないけどアンタを受け入れるわ!だから
早く生き返らせなさい!)))(((アイアイ)))アイドルニンジャは粒子状になり
、にこの体に入り込んでいく。そしてライブ会場はボロボロと崩れ落ちて行った。


「う……ここは……」にこは目を覚まし、ぼやけた視界のなか目を凝らすとμ's
のメンバーの姿が見えた。「にこちゃん!」真っ先に花陽が飛び込んできた。そ
の顔は大量の涙で濡れている。「にこちゃんのくせに心配かけないでよね!」「ほ
んとだニャ!」真姫と凛も悪態をつきながらもにこの元に飛び込む。


その目には涙が流れていた。にこは悪態に怒ろうと思ったがやめた。「みんな心
配かけてごめんね」そう言いながら自分の元に飛び込んできた三人の頭を撫で
た。「本当に心配したんよ。にこっち」「本当によかったわ」絵里と希もにこの
元に近づく。「たぶん二人が救急車を手配してくれたんでしょ。ありがとう」


「恐らくは軽い脳震盪だったのでしょう。症状は軽いみたいですし、今日は帰
宅しても大丈夫です」医者からそのような診断を受けたので、にこはすぐに家
に帰宅することにする。家族に心配をかけたくないからだ。家に帰る際に半ば
強引にμ'sのメンバーが付いてきたので一緒に帰ることにした。


「真姫ちゃんが泣いているところ初めて見たよぉ」「写真に撮っておけばよかっ
たよ」「本当だニャ」「ちょっと!もし撮っていたらすぐに消しなさい!」風が
強く吹いている夜の街中。μ'sのメンバーはそんな他愛のない会話をしながら
にこと一緒に帰路についていた。そんな会話を聞きながら歩くにこ。


にこの心は嬉しさに満ちていた。自分の身を本気で心配してくれる仲間がこん
なにもいることに。昔は自分一人。たったひとりのアイドル研究会部長。そん
な昔を思い出しながらも今仲間と一緒に歩いているこの幸せを噛みしめていた。
しかし(((ニンジャになったなんて信じられないわね)))


にこはアイドルニンジャとの出会いは夢だと思っていたが、時間が経つにつれ
て自分はニンジャになったという確信があった。今までの自分の身体の感覚と
は何かが決定的に違っていたのだ。そして空を見ると月が何故か邪悪な笑みを
浮かんでいる人の顔に見えた。



ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #3 終わり

以上で終わりです。#4は今週末ぐらい投稿予定です。

ドーモ、>>143=サン。>>1です。
トリップという便利な機能があるとは知らなかったです。>>143=サンから知識を授けてもらった格好だ。
あと海未は二年生ですね。しめやかにケジメしておきます。

今から投稿します。

ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #4



にこが階段から落ちて脳震盪を起こした翌日。μ'sのメンバーは再び屋上に集
まって練習をしていた。「今日も練習張り切ってやるニャー」凛は威勢よく言う。
「にこ……体の方は本当に大丈夫なのですか……」海未は心配そうに尋ねるが。
「にっこにっこにー!むしろ調子が良いぐらいにこ!」


にこは海未が必要以上に責任を感じない様に少し声色を明るくして答えた。
「で?そのマスクは何?風邪なら大人しくしなさいよ」真姫は鼻から下を全て
覆い隠すようなマスクを指差す。「いや別に風邪ってわけじゃないんだけど、何か
無性にマスクを着けたいのよね」「何それ?意味分かんない」


このマスクの意味についてニンジャ学に精通している方ならお分かりだろう。
これはメンポである。ニンジャは本能的に顔を隠したい衝動にかられる。ニン
ジャになったにこはメンポの代用品として家にあったマスクを使っているのだ。


「マスクを着けての練習は体力強化には良さそうね。でも病み上がりなんだか
ら気を付けてよ」絵里もにこの体調を心配していた。「わかってるわよ」絵里の
話を聞きながら準備体操を続ける。他のメンバーも談笑しながら準備運動をお
こなっていた。

アイドルの練習は実際ハードである。体を大きく動かし踊りながら息を切らさ
ず歌う。それを何曲もやり続けるのだ。練習の後の後の消費カロリーはスシ何
十貫分にもなるだろう。さらに新曲発表も控えているので練習は厳しい。そし
て数時間後、その厳しい練習も終わりを迎える。


「疲れたー!」「疲れたよ……」それぞれが疲れた様子を見せていたが一人だけ
平然としている人物が一人。「にこ、あなた疲れていないのですか」「いや、別
に」にこは疲れた様子を全く見せていない。「凄いねぇ、にこちゃん……」「ス
タミナオバケだ……」「しかもマスク着けて練習していたよね……」


ことりと凛と穂乃果は驚いた様子を見せながらにこの姿を眺めていた「あと…
マスク着けていたのにいつもより声が透き通って聞こえた……」真姫も息を切
らしている。「何よ真姫ちゃん!いつもは汚い声みたいじゃない!……でも何か
体の調子が良いのよね。例えば、ホッ!」


バク転。「ヨッ!」バク宙、「さらに」にこは三メートルほどスプリントしたあ
と側転、後方バク転、さらにコマめいたひねり回転を加えたバク宙を決める。
ワザマエ!これはシライと呼ばれる超高難易度の技なのだ!「にこちゃん凄
い!凄いよ!」花陽は目に尊敬の念を滲ませながら拍手する。


(((やばい!やりすぎた)))これは今までのにこなら絶対に不可能な技だ。「で
もこんなに身体能力が急激に上がるなんておかしい……」絵里は不可解そうな
顔だ。その問いに、にこは「きっと……あれよ!頭を打った箇所が運動能力を
司る箇所でそこが刺激されて身体能力が上がったのよ!」


「そうなのか~」「凄いね人体!」穂乃果と凛はその意見に納得していたが、他
のメンバーは明らかに納得していなかった。「おかしいです」「うちの病院に連
れて行く?」海未と真姫は不可解なものを見るように眺めるが、「でも体に害が
あるわけじゃなさそうだし、いいんやない」希は気にしてなさそうだ。


「きっと今までにこちゃん一人で練習していたんだよ」ことりも特に気にし
ている素振りを見せずスモウトリめいた柔軟さで練習のクールダウンをおこなっ
ている。「まあ、とりあえず様子見でいいんじゃないエリち?」「そうね……」
絵里は渋々納得したようだが、その顔は明らかに怪訝そうである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一週間この厳しい練習は続いた。その甲斐あってか発表した新曲は素晴らしい
出来になった。「見て!ワタシ達の新曲凄い評価されているよ」ことりは嬉しそ
うにしている。昼休みμ'sはアイドル研究会の部室に集まっていた。自分達の
新曲がどのような評価を受けているか見る為だ。


「なになに、『期待のホープμ'sが更なる高みに登る』『新曲は素晴らしい出来
であり、そのパフォーマンスはA-RISEに匹敵している』だって!」この
評価を聞いて穂乃果の顔は緩む。「練習頑張った甲斐があったね。かよちん!」
「うん!ワタシ達がA-RISEに匹敵しているだなんて……」


凛と花陽もお互い手を取りあり嬉しそうにしている。「他には『特に矢澤にこの
パフォーマンスは特筆するものが有り、圧倒的存在感を放っていた』だって、
すごいよぉにこちゃん!」「まあ、確かにここ一週間のにこちゃんのダンスや歌
はもの凄かったからね」真姫も納得の表情をしながらPCの画面に目を移す。


「時代がやっとにこに追いついたのよ!ふぁ~」にこは目を擦りながら欠伸。
「ずいぶん眠そうね、にこ。寝不足は肌の大敵って私達いつも言っているのに」
「いやね……何か夢のせいでよく眠れないのよ」「どんな夢?」絵里は続きを促
す。(((まあ、これは言ってもいいか)))


「病院で寝ていた時も同じ夢を見たのよね。何かアイドルニンジャっていうの
が、にこの目の前にいて日に日にその距離が近づいているのよ」「それで?」「後
は特にないわ。それだけよ」「何かスピリチュアルね」希は興味深そうに、にこ
と絵里の会話に参加する。


「しかし同じ夢を何度も見るなんて、何か意味があるのでは……」海未も興味
深そうに話を聞いている。「まあ、いずれこの夢もいずれ治まると思うわ」(((仲
間なんていらない!)))「うん?誰かにこに話しかけた」「いや何も」「そう」何
か声が聞こえたような気がしたが気のせいと思うことにした。


「さあ、新曲の評価は良かったけど、気を抜かずに練習に励もうよ!」「そうで
すね勝って兜の緒を締めろと言いますからね」その日の放課後も練習は始まっ
た。「ではまずステップの練習からです」八人は横に並び、海未が手拍子を打ち
ながら皆のリズムをチェックする。


「1、2、3,4……」スシを握るスシマシーンめいてメンバー規則的なステ
ップを刻む。「ちょっと花陽。リズムがずれているわよ」にこは花陽に注意。「確
かにちょっとリズムがずれていたような気がしましたね」「凛も横にいたけどわ
からなかったよ」「0.5秒ずれていたわ。にこには分かるのよ」


「もう一回やるわよ。いいわね。海未」「はい。もう一度です」海未はもう一度
手拍子でリズムを刻む。「1、2、3、4」「花陽!またリズムがずれているわ
よ!」にこの叱責「ご、ごめんなさい……」花陽はきつく注意されたせいか、
少し怯えていた。「にこちゃん。ちょっと厳しいんじゃない?」


「私もリズムのズレは感じなかったわ」真姫と絵里も反論するが、「今度は0.
4秒ずれていたわ!」「まあまあにこっち。そんなに細かく気にせんでも」希は
にこを窘める。「まあいいわ……次はしっかりね花陽!」「うん……」花陽は完
全に委縮。


「では……改めてステップ練習を再開しましょう。1、2、3」海未は手拍子
でリズムをとるが、「花陽!ずれてる!」にこは今までにないほど声を張り上げ
た。「ひぃ……」花陽は反射的に、にこの顔を向けて見て感じてしまった!その
いつもと違う青い瞳と人ならざる禍々しいアトモスフィアを!


「ごめんなさい!ごめんなさい!」花陽は壊れたモーターヤブめいて泣きなが
らにこに謝り続ける。「にこちゃん!そんなに強く言う必要はないニャ!」凛は
目に怒気を滲ませながらにこに詰め寄る。「今の花陽のリズムは正確でした」海
未は花陽に怒鳴ったことに怒りを覚えながら否定する。


「にこには分るの!0.1秒ずれていたの!」実際花陽のリズムは0.1秒ず
れていた。だがその違いはニンジャ感覚を持っているにこだからこそ分かるの
であり、他のメンバーには分からないは当然である。そしてニンジャにとって
の0.1秒は決定的な違いだ。


「もう!非ニンジャのクズが足を引っ張らないで!」この瞬間屋上は水を打っ
たようなに場は静かになる。「あ……ちょっと……頭冷やしてくる……」にこは
そう言うと。敗走する兵士めいて屋上から出る扉に走って行った。「にこちゃん」
穂乃果はにこを静止しようとするが、「ほっときなさい!」真姫がとめる。


「今日のにこちゃん。どうかしてるわ!」真姫はにこが階段を駆け下りる音を
聞きながら怒りを露わにする。「にこ……どうしたのかしら……」「にこっち…
…」絵里と希は信じられないものを見たという顔しながら呆然とし、他のメン
バーは花陽を慰めている。


階段を駆け下り、校門を通過し、我武者羅に街中を走りながらにこは先ほどの
ことを思い出していた。(((どうしたのよワタシ!?何であんなこと言った
の!?非ニンジャのクズだなんて!)))にこは気づいていたら無意識に「非ニ
ンジャのクズ」と言っていたのだ。まるで誰かに操られたように。



(((非ニンジャのクズにクズと言って何が悪い)))(((誰?)))にこは急停止し
て辺りを見回すが誰もいない。(((ニンジャになって!歌唱力やダンスが上手く
なったと思ったら、花陽にあんなヒドイこと言って!さらに幻聴まで聞こえる
ようになった!私はどうなっているの!?)))




「家に帰ろう……」兄妹達の姿を見れば気が紛れるかもしれない。にこは外気
の肌寒さを感じながら足取り重く駅に向かっていく。だが道中明日は皆とどう
接したらよいかということばかり考え、収穫間近のバイオ稲めいて頭を下に向
けていた。

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翌日、にこは授業を受けるがまるで内容が入ってこない。昨日の件を引きずっ
ているからだ。授業も終わっての中休み、そんな中「にこちゃん……」花陽が
にこの教室の扉の前にいた。(((なんで!?花陽なんで!?)))様々な思考が頭
を駆け巡りながら花陽の前に立つにこ。


「えっと…あの……」言葉が出てこない。このままでいいのか?しかし昨日の
花陽の泣き顔がハッキリと思い浮かんできて意を決して謝罪する。「花陽……昨
日はどうかしてた……いや言い訳ね……ごめんなさい」「ううん……こっちもご
めんなさい」


おお!ほとんど非がなかったといえる花陽が非を認めて謝る!これが日本人の
奥ゆかしさなのか!「これで仲直りやね」「良かったわ……」廊下の影から希と
絵里が二人の元に駆け寄る。「あんた達ずっと見てたの!?」「ええ。ばっちり」



「花陽ちゃん。にこっちは体重が増えたせいで気が立っていたんよ。だから許
してあげて」希はおどけた様子を見せる。「体重増えたのは希のほうでしょ」
「あ!にこっち。そんなこと言う娘はこうや!」「ちょっと!ワシワシは止めな
さい」そんなふざける二人を絵里と花陽は笑いながら眺めていた。



「安いよ、安いよ、ジャンバラヤ」やけに陽気なメロディーにのせて非人間的
な機械音が鳴り響く、辺りを見回すと狭い通路の左右にはヒューズ、基盤など
電子機器の部品がぎっしりと並ぶ、大半の人間には只のジャンクに見えるだろ
うが一部に人には宝の山に見えるかもしれない。


通路の奥に進むにつれて「たぶん合法」「安い」「自己責任」商品を告知するノ
ボリが見えるのが、明らかに胡散臭く、商品は実際非合法である。そんな異様
なアトモスフィアを醸し出しているこの場には分不相応な女子高生がいた。少
女は店に入り気難しそうな店長に金を渡し、何かを四つ受け取った。


店を出た後、少女は表に待たせていた三人にそれを渡す。これはクレープだ。
少女は他の三人にクレープを渡す。三人は明らかに訝しみながらそれを口に含
む「「「美味しい」」」三人は一斉に声をあげる。にこと凛と真姫と花陽は秋葉原
の街にいた。


(((これはしばらく節約ね……)))にこが花陽に謝ったその日。日頃の疲れを
癒すためにその日の練習は中止、放課後暇になり、にこは花陽にお詫びの一環
として美味しいと評判のクレープをご馳走しようとしていたが花陽のそばに凛
と真姫もいたので二人にもご馳走することにした。


「かよちん美味しい?」「うん!美味しいよおはぎクレープ。真姫ちゃんも食べ
る?」「スゴイ組み合わせね……」それぞれクレープを頬張りながら町を歩く。
ちなみに花陽が食べているおはぎはあの薬物のオハギではない。安心していた
だきたい。


「にこちゃんも食べるおはぎクレープ?」花陽は見る限り機嫌が良さそうで、
にこは誘った甲斐があったと感じていた。これで期限が直ってくれればまた明
日にはいつも通りの楽しいアイドル活動ができると願っていた。「しかしあんな
場所に美味しいクレープ屋があるなんてよく分からない街ね」


他愛もない会話をしながら四人は当てもなく秋葉原をぶらつく。クレーンゲー
ムで遊んだり、にこに強引に連れられてスクールアイドルのグッズを専門店に
入り自分たちのグッズを物色するなどして放課後を楽しんだ。四人は歩いてい
るうちにいつの間にUTX学園前にたどり着く。


「見て。A-RISEだよ」UTX学園前にはそこには大画面の液晶が設置さ
れてあり。ラブライブの予選が始まっていることもあり新曲の映像が常に流れ
ている。この映像を見たものは「今回のラブライブもA-RISEだ」「やっぱ
り凄い!」「ツバサちゃんカワイイ」と見ている群衆は賛辞の声を送っている。


人通りの多いこの時間に大画面と大音量で新曲を流す宣伝活動は非常に効果的
である。これは圧倒的資本があるUTX学園だからできる戦略で音ノ木坂高校
には逆立ちしてもできないだろう。この資本にものを言わせた宣伝活動はスケ
ールが違えどネオサイタマの暗黒メガコーポを思い出してしまう。


だがUTX高校は健全であり断じて暗黒メガコーポのような経済活動はしてい
ないと言っておく。「やっぱりA-RISEは凄いな~」花陽は食い入るように
画面を凝視する。「予選決勝ではA-RISEとぶつかるかもしれないのよね…
…」真姫も相手の強さに熾烈な争いを予感していた。


「でも今の凛達なら大丈夫……」しかしその後の言葉は続かなかった。「「「いや
ー!!」」」三人が落としたクレープが道路に染みを作った瞬間、それが合図のように
一斉に、にこから逃げるように走り去った。三人は見てしまったのだ!


その青い瞳でA-RISEを汚らしい何かを見るような侮蔑な目で見た後「所
詮は非ニンジャのクズか……」そのジゴクめいた声はこの世のものとは思えな
かった!彼女達は心の底から恐怖した。にこが尊敬したA-RISEにあんな
言葉を吐くとは思えない!三人はにこは変わってしまったと確信してしまう。


にこは悲鳴をあげながら走りゆく三人を呆然と見送る。(((私はまた何かした
の!?)))自分が「所詮非ニンジャのクズか……」と発言したことに驚く、花
陽の時と同じようにいつの間に喋っていたのだ。


「あら、あなたはμ'sの矢澤にこさん」立ちすくんでいるにこに声をかけて
くる人物がいる。茶髪のショートヘアで活発なアトモスフィアを感じる。彼女は
綺羅ツバサ。A-RISEのリーダーである。「新曲良かったわよ」ツバサは友
好的に声をかける。「そう……ありがとう……」にこは興味なさげに返答。


「……予選の決勝で会いましょう」彼女は少しだけ表情を引き攣らせながらU
TX学園の校内に入って行った。(((前会った時はあんな感じではなかったの
に?さっきの不快感はなに?)))ツバサは言いようのない不快感に襲われてい
た。その不快感の正体は侮蔑である。


ツバサはA-RISEのメンバーとして数々の賞賛や憧れ、ライバルからの嫉
妬や敵意は受けたことはあったが侮蔑はなかった。アッパーガイオンの人間が
アンダーガイオンの最下層の人間を見るような侮蔑の目を向けられて、この感
覚は初めてであり彼女は分からなかったのだ。


(((ツバサってあんな感じだっけ?)))にこはA-RISEに強い尊敬を抱い
ておりファンだった。しかし急速に尊敬が失せていくのを感じていた。A-R
ISEのパフォーマンスはスクールアイドルのトップであるが、にこ、ニン
ジャの目から見ては児戯めいたものだ。


(((そう、アンタが尊敬したアイドルも非ニンジャのクズ。そしてアンタの仲
間も非ニンジャのクズ)))(((誰よ!)))にこはこの声に聞き覚えがあった。階
段から落ちてから聞こえてくる謎の声。(((自己紹介したじゃない。アタイはア
イドルニンジャ)))

なんとアイドルニンジャがにこに語りかけたのだ!このソウルはナラク・ニン
ジャのように明確な意識を持っていた!(((あんな非ニンジャのクズなんか只
の足手まとい。あんなのは見捨てて一人でアイドルをやりましょう)))(((黙り
なさい!)))


(((アンタは私を一人にさせたいみたいだけど、絶対にメンバーを見捨てない
し、アイツらも私を見捨てない!)))ひとりだった自分がやっと得た仲間。そ
してその仲間が自分を切り捨てることはあり得ない!にこは己のニューロンに
語りかける声に抗いながら街中に溶け込んでいく。


このUTX高校前の一件からにこの環境、そしてμ'sの環境は変わっていく。
にこのニューロンに語りかけるアイドルニンジャの声は大きくなり、語りかけ
る頻度が飛躍的に上がった。その声に抗いながらもアイドルニンジャが自分
の意識の中徐々に溶け込んでいるような不快な感覚に襲われていた。


それでもにこは必死に抗う。もしアイドルニンジャの声に従ったら、忽ち自分
の自我は無くなってしまう、そんな予感。そして何よりも自分があのニンジャ
に飲み込まれることにより、大切な仲間を失ってしまうことを恐れていた。


そしてμ'sの一年生組がにこを明らかに避けていた。彼女達はあの時の姿がニ
ューロンに奥底に刻み込まれており、本当のにこちゃんは違う。そう思い込も
うとしてもあの時の恐怖がフラッシュバックしてそれを拒む。そしてにこへの
恐怖は練習にも影響が及ぶ。


一年生組の動きは精彩を欠き、その不穏なアトモスフィアが伝染し全員の動き
も精彩を欠いていた。さらに、にこの日に日に増すニンジャ存在感も全員に圧
力をかけ悪影響を促している。このままではラブライブ予選を勝ち抜くのは絶
望的だろう。


「今日の練習は終わりです……」「まだ始まったばかりだよぉ絵里ちゃん」ことり
は不可解な表情をしている。「このままでは時間の無駄よ。二三日休みにしま
すのでみんなしっかりリフレッシュして。いいわね穂乃果?」穂乃果もこのま
まではマズイと感じ取っていたので絵里の意見に賛成する。


一年生組とにこが屋上から出るなか、残りのメンバーは屋上に留まっていた。
「穂乃果、明日の昼に話し合いをしたいから生徒会室を貸してくれない?」「良
いけど、何の話?」「大切な話よ……みんなも生徒会室に来てちょうだい。にこ
と一年生には伏せておいて」切迫したアトモスフィアに圧され無言で頷いた。


翌日の昼休み、絵里は何時にも増して真剣な顔をしている。窓の外を見てみる
と空は鉛色に曇っているのが絵里の話があまり良くないことを暗示しているよ
うな感覚を集まったメンバーは感じていた。絵里は気が進まない様子ながらも
口を開く。


「え!?にこちゃんをμ'sから脱退させる!?」「落ち着いて穂乃果。あくまで
最後の手段よ」絵里は穂乃果に落ち着くように促す。「一年生達がにこに対して
様子が明らかにおかしいのは分かるわよね?」全員頷く。「このままでは一年生
はつぶれてしまうわ……」


「一応うちも真姫ちゃん達に、にこっちと何があったか探りを入れたんやだけ
ど「にこちゃんは変わった」の一点張り」「私もにこに色々と聞いたけど何も喋
ってくれなかった……」絵里と希は沈んだ顔を浮かべる。「そのせいか私達の動
きも精彩を欠いています」海未も目を伏せながら言う。

「そうだね……」穂乃果とことりも思い当たる節があるようだ。「このままでは
ラブライブ予選は負けます」海未は断言するが「それでにこっちを切り捨てる
のは乱暴じゃない」希が否定し「そうだよ!」穂乃果達もその意見に賛同する。
「私もそう思います」


海未もラブライブで結果を残したいが、誰かを切り捨ててまで勝ちたいとは思
っていない。「私もそれは避けたいわ。でも最悪、にこを切り捨てる事態もある
ことを頭に入れておいてと言っておきたかったの……」穂乃果はもちろん、他
のメンバーもこの考えは思いついてはいないだろう。


最悪の状況になってからでは遅い。だから自分が言い出して最悪の状況を想定
させなくてはならない。そしてそんなの状況になってしまったら自分がにこに
脱退勧告を……。そんな自分のことを恨むだろうがμ'sの為には汚れ仕事は厭
わない。そんな悲痛な思いを絵里は抱えていた。


全員がにこを切り捨てる状況を想像してしまい生徒会室は沈黙。場は気まずい
アトモスフィアに包みこまれた。外は何時の間に雨が降り雷の音が鳴り響く。
それはμ'sの今後を占っているようだ。


「にこ……μ'sから脱退させる……」「……にこっちを切り捨てる……」「……
最悪にこを切り捨てる……」にこは閉じていた目を開いた。「フッハハハ!アハ
ハハハ!」その笑い声はアイドル研究会の部室に反響していた。(((にこはとん
だピエロね!)))


(((皆を見捨てない様に必死にアイドルニンジャに抗っていたのに、皆は私を
切り捨てる算段していたなんて!)))なんということだ!穂乃果達の会話は
にこのニンジャ聴力で聞こえていたのだ!さらに未熟なニンジャ聴力では会話の
すべてを聞き取れず断片的にしか聞こえていなかった!


この瞬間自分の守っていた何かが粉々に崩れるのを感じた。(((そう非ニンジャ
のクズとは分かり合えない)))(((そうね!)))(((アンタの頑張りを無駄にし
たアイツらは許せないよね?)))(((許せない!)))「にこはニンジャ……アタ
イはニンジャ……アタイはアイドルニンジャ!」その瞳は青く輝いていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜の学校は昼の学校のアトモスフィアとはまるで別であると言われている。し
かしこの空間は変わらない。大量の椅子が将棋盤めいて規則的に並び床は入口
からステージまで下りの階段になっている。これは背が小さい者の前の客の背
が大きい者の時ステージが見えないことが無いようにするためだ。


電気はついておらず出口の非常灯の緑の光源だけが頼りだ。かつてここは穂乃果
、ことり、海未が初めてライブをおこなった講堂。μ's始まりの地と呼んで
いいだろう。赤色の階段を一歩ずつ歩きステージ前を目指す八人の少女。音ノ
木坂学園スクールアイドルμ'sのメンバーである。


「急に講堂に集まれって言われたけど、にこちゃん何をするんだろう?」メン
バーは携帯のメールで「講堂のステージ前の座席に集合」これだけ書かれたメ
ールを読み集まったのである。メンバーは集まったが、言いようのない不安を
抱えていた。また決意を持ってここに来たメンバーもいる。


凛、花陽、真姫だ。三人はにこからUTXの一件以来意図的に避けていた。し
かしこのメールが来たことで、にこに今まで避けていたことを謝罪し、にこの
身に何が起こったかを尋ね、腹を割って話し合いをするつもりでいた。八人が
座席に座った直後にステージの明かりがついた。


ステージの上には制服姿でマスクを着けたにこが立っている。「ここで何をする
の、にこちゃん?」メンバーを代表して穂乃果が聞くが、にこの青い瞳はメン
バーに侮蔑の眼差しを向けている。(((あの時と同じ目……)))凛、花陽、真姫
は青い瞳を見てあの時の恐怖が蘇ってきた。


「ドーモ、μ'sの追悼ライブへようこそ」「え?にこちゃんの知り合いが亡くな
ったの?」「アンタ達が死ぬのよ」メンバーは自分の耳を疑う。自分たちが死ぬ?
「冗談はよして、何の用事で私達を呼んだの?」「アンタ達を殺すためよ」驚く
ほど抑揚がなく冷たい声だった。


この声を聞いた瞬間メンバーは彼女が本気で殺すつもりであることを悟った。
急いで逃げようとするが脚がニューロンからの命令をまるで受け付けない!
「アタイのジツでしばらくは動かないようにしているわ」彼女はステージか
ら降りると「ドーモ、μ'sのみなサン。アイドルニンジャです」彼女は嗤う。


「アイドルニンジャなんてキャラはウケないわよ。にこっち」希は必死に平静
を装うが、「にこならニューロンの奥底でメソメソ泣いているわ」希の姿が滑稽
なのかニヤニヤと嗤う。「アンタ達を見ているとニューロンがチリチリと痛むか
ら殺すことにしたの」何と言う横暴!彼女たちが何をしたというのか!


「まずはそこの赤髪の女からにするわ」アイドルニンジャは真姫を米俵めいて
担ぎ上げ、ステージ中央に乱雑に投げ捨てた。「ステージで死ねるなんてアイド
ル冥利ね。サヨナラ」「あ……にこちゃん……なんで……」真姫は金縛りにあっ
たように動けず涙すら流すことができない。


アイドルニンジャは真姫の上から首を絞め、自分の口を開ける。ジツを放つつ
もりだ。真姫は肌に水分を感じながらソーマト・リコールが始まっていた。小
学校、中学校、高校、そしてμ'sの思い出。気づけばμ'sの思い出が頭の中で
埋め尽くされていた。


おお!ブッタよ!いつまで寝ていられるのですか!このままではμ'sは邪悪な
アイドルニンジャに殺されて、始まりの地である講堂はμ'sのオブツダンにな
ってしまうのか!


KRAAAAAASH!無慈悲なカイシャクをしようとするアイドルニンジャ
の目の前に猛スピードでフスマめいたものが向かってくる。「イヤーッ!」ブリ
ッジ回避!「WASSHOI!」その直後赤黒の何かがアイドルニンジャの目
の前に降り立った。


その者は赤黒のシノビ装束を身に包んでいた。顔の下半分を覆い尽くす鋼鉄の
メンポの右には「忍」左には「殺」と禍々しい文字が刻まれている。アイドル
ニンジャを見た目は驚きの様子を覗かせるが、それは一瞬にして消え憎悪の声
を吐いた。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」その目は相手を見据えていた。



ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #4 終わり

#5の投稿はまだ未定です。できる限り早く投稿します。

◆○◆~ 18:00

18時から投稿します

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ニンジャ&アイドル・ミーツ・ワン・ナイト・スタンド ♯5

数時間前!


ニンジャスレイヤーはこの世界での日常である用務員の仕事をしている際に突
如ニンジャソウルを感知していた。そのソウルの残滓をアイドル研究会の部室
から探知し、ソウルの痕跡が新しいものを追跡。追跡を続けるうちに講堂にた
どり着く。


たどり着いたところでアイドルニンジャが真姫にカイシャクしようとする様子
が聞こえてきたので、決断的にドアを蹴破り、そのドアをアイドルニンジャに
飛ばすことを選択。その結果、真姫へのカイシャクをインターラプトすること
に成功した。しかしエントリーした瞬間に驚きを隠せなかった。


(((にこ=サン!?)))様々な思いが錯綜するが、その思いを押しとどめ一人
のニンジャを見据えた。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、アイドルニンジ
ャです」アイドルニンジャも自分以外のニンジャが居たことに驚くがニンジャ
の本能でアイサツを返す。


「なに……あれ?」μ'sのメンバーはまるで状況を飲み込めていなかった。に
こがアイドルニンジャと名乗り自分たちを殺そうとする事実で頭が混乱してい
る状態で、さらに謎のニンジャの格好をした狂人がエントリーしてきた!?彼
女たちは発狂寸前である。


「まさか……ネオサイタマ以外でニンジャ出会うなんてね……」彼女は驚きな
がらもこの赤黒のニンジャから目を離さない。「……何故この娘らを殺そうとす
る?にこ=サン、……いやアイドルニンジャ=サン」いつもなら即スレイ対象
のニンジャに何故このような質問をした自分に驚いていた。


インターラプター、レべナント、ランペイジ、かつてイチロウ・モリタとして
言葉を交わし、ニンジャとして敵対した者はいた。だがにこ=サンは未成年の
女性。それが人の親だったニンジャスレイヤーにスレイさせることを躊躇させ
た。


「ムカつくからよ。そしてこいつ等を殺して、ネオサイタマで出来なかった…
…ちゃんとしたアイドルとしてデビューするのよ!」アイドルニンジャのニュ
ーロンにはあの暗黒メガコーポの圧力とネコネコカワイイの前に活動を圧殺さ
れた屈辱の日々が蘇える。


「ならば地獄で踊っておれ、その児戯めいた踊りもエンマ・ニンジャの前で見
せれば憐れんでサンズ・リバーへの六文も貰えるかもしれぬぞ」シンラツ!出
会って間もない人間にここまで言われる謂れはない!しかしニンジャの戦いに
おいて罵倒で相手の心理を乱すことは常套手段だ!


「児戯ですって!?」アイドルニンジャは青筋を立てるが、ニンジャスレイヤ
ーはさらに言葉を続ける「どうせオムラのブリキ人形に屈したのだろう。ブリ
キ人形以下のお主の活動を児戯と言わず何と言えばよいのだ?」「ワタシは……
ネコネコカワイイより劣っていない!」


(((彼女はにこ=サンでは無くなった……)))ニンジャスレイヤーは戦いの
日々でソウルに呑み込まれた多くのニンジャを見てきた。そして彼女は身勝手
な理由でモータルを殺そうとするニンジャに変わってしまったのだ!迷う必要
はない!「ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構えた。


アイドルニンジャも構えを作り、ニンジャスレイヤーの一挙手一投足を観察す
る。いつの間に体が動くことに気付いた真姫はイモムシめいて動きステージ下
に転がった。その動きにアイドルニンジャは気づいていたが無視する。自分を
侮辱したニンジャスレイヤーを殺すのが先だからだ。


このステージで繰り広げられるのはニンジャ二人の死闘。観客はたったの八人。
お互い致命的なカラテを叩き込むために隙を伺う。二人の間のキリングフィー
ルドは膨れ上がる。ネオサイタマの住人ならニンジャ・リアリティ・ショック
で死んでいるだろう。


「イヤーッ!」先に仕掛けたのはニンジャスレイヤー!スリケンを三枚投擲「イ
ヤーッ!」アイドルニンジャはブリッジで回避「イヤーッ!」アイドルニンジ
ャはスリケンを5枚投擲「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケン5枚を
全部ブリッジで回避。


その間にアイドルニンジャは小柄な体を生かしサブマリンめいた低い姿勢のス
プリントでワン・インチの距離まで接近!「イヤーッ!」その勢いで顔面にジ
ャブパンチ、「イヤーッ」ジャブパンチを手の甲で腕先を逸らしながら右フック
を放つニンジャスレイヤー!「イヤーッ!」右フックを下に潜り回避!


「イヤーッ!」さらに死神の鎌めいた切れ味のローキックを放ち、脚を破壊し
にいくアイドルニンジャ。このキックを受けるのは危険と判断したニンジャス
レイヤーはジャンプで回避、そのまま空中で後ろ回し蹴りを放つ。「イ
ヤーッ!」アイドルニンジャはこれをダッキングでかわす!


しかしそこに二段目の空中回し蹴り!これは南米の暗黒カラテの一つアルマー
ダ・マテーロではないか!「ンアーッ!」ワイヤーアクションめいて客席上方
まで飛ばされるアイドルニンジャ。これは直撃か!?しかし読者の中にニンジ
ャ動体視力の持ち主を持っている方がいたら見えただろう。


ニンジャスレイヤーのキックが側頭部に当たる前に腕をクロスして直撃を防ぎ、
インパクトの瞬間に体を脱力、さらに自分から後ろに飛ぶことによりダメージ
を最小限に抑えた。ワザマエ!しかしアイドルニンジャは驚愕の表情をうかべ
ていた。


(((なによあのキック!今回は上手くできたけど、脱力や後ろへのジャンプの
タイミングを間違っていたら腕が粉々になっていたわ……))))アイドルニンジ
ャは自分と相手とのカラテに相当の差が有ることを実感していた。実際今の攻
防で爆発四散していないことはトミクジに当たるぐらいの幸運なことだ。


相手はラオモト・カン、ザイバツグランドマスターのサラマンダ―、ダークド
メインなどの強敵を屠ってきたニンジャスレイヤー!真っ向勝負のカラテで勝
てるニンジャは数少ない。しかしニンジャスレイヤーのカラテはこの世界に来
てからは以前より錆びついていた。


絶え間なくニンジャをスレイすることにカラテを研ぎ澄ましていたがこの世界
に来てから数週間、一切ニンジャと戦っていないニンジャスレイヤーの実戦感
覚は若干鈍っていた。これもアイドルニンジャが爆発四散しなかった理由と言
える。


(((ここは一旦距離を取って……!)))しかしニンジャスレイヤーは決断的な
スプリントで距離を詰めていた。「イヤーッ!」右のアッパーカット!アイドル
ニンジャのガードを崩す!頭部が完全に無防備になっておりここでニンジャス
レイヤーが首にチョップを叩きこめばスレイすることができる!


しかしその時に過ってしまった!アイドルニンジャになる前の矢澤にこの姿
を!にこの幼い妹の姿を、そしてトチノキと似ている虎太郎の姿を! 「イヤー
ッ!」時間にしては一瞬の躊躇だがニンジャの戦いにおいてはその一瞬が致命
的な隙なのだ!ウカツ!


「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのチョップを掻い潜ったアイドルニンジャ
はボディへの右ショートフック!「イヤーッ!」「グアーッ!」左ショートフッ
ク「イヤーッ!」「グアーッ!」右ショートフック「イヤーッ」「グアーッ!」
左ショートフック「イヤーッ!」「グアーッ!」


その小柄な体格故にそこまでの威力ではないが、このまま攻撃を受け続ければ
重篤なダメージを受けてしまう!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはバク転
の勢いを利用した膝攻撃、アイドルニンジャは攻撃を中断して膝攻撃を避ける。
続けざまニンジャスレイヤーはバク転を10連続で決めエスケープ!


なんとかタタミ10枚分の間合いを取ったニンジャスレイヤーだが、この無様
なカラテを見ていたらニューロンの同居人であるナラクはありとあらゆる罵倒
を述べていただろう。(((グググ…なんという無様なカラテだフジキド!)))
((((ナラク!))))


(((トドメの際に躊躇して反撃を喰らうなど愚の極み!しかもあの様なマイ
コ・ニンジャに一撃を貰うなど恥を知れ!)))(知っておるのかナラク?)(((奴
はゲイシャ・ニンジャクラウンのアーチニンジャ、マイコ・ニンジャ?なにか
別のモノが混じっておるがおそらくそうだ)))


(((カラテを鍛えずにニンジャに見せる芸を磨くウジムシにも劣るニンジャク
ラウンよ!そのウジムシにも劣るニンジャの攻撃を受けるお前は…)))(((黙れ
ナラク)))ニンジャスレイヤーは無視してジュー・ジツを構え直す。


ダメージを受けたがカラテの実力はこちらが上、接近戦に持ち込んで次こそ爆
発四散させる!間合いを詰めるために脚に力を込めるニンジャスレイヤー!だ
が、「グアーッ!頭グワーッ!」突如の頭痛がニンジャスレイヤーを襲う!耳
から血を流して、膝をつく、何が起こったというのだ!?


これはアイドルニンジャのユニークジツのオト・ジツの一つ!特殊な発声法に
より超音波を放ちことにより相手の脳を揺さぶり、身体を内から破壊する恐ろ
しいジツ!マイコ・ニンジャはかつてこのジツで演技中に劇場に居るモータル
を皆殺しにしたこともある!サツバツ!


(((カラテはウジムシ以下だが、ジツは耳障りだったわ))今のジツは対ニンジ
ャ用の超音波でモータルにはダメージは無い。だがこのジツを受け続けるのは
実際マズイ!(((何か対処法はないのかナラク?)))(((耳障りであったの
で即縊り殺したがな)))


ニンジャスレイヤーの視界はぼやけ、アイドルニンジャが2人に見え始める。
構わず2人にスリケンを投げるがアイドルニンジャはスリケンを人差し指と中
指で掴み取る。「スリケンのキレがないな!ニンジャスレイヤー=サン!」


ニンジャスレイヤーの視界はぼやけ、アイドルニンジャが4人に見え始める。
構わず4人にスリケンを投げるがアイドルニンジャはスリケンを人差し指と中
指で掴み取る。「スリケンのキレがないな!ニンジャスレイヤー=サン!」


ニンジャスレイヤーの視界はぼやけ、アイドルニンジャが8人に見え始める。
構わず8人にスリケンを投げるがアイドルニンジャはスリケンを人差し指と中
指で掴み取る。「スリケンのキレがないな!ニンジャスレイヤー=サン!」


アイドルニンジャはさらにニンジャスレイヤーとの間合いをタタミ20枚分取
り椅子の上に立ちながら突然のカラテシャウト!「イヤーッ!」「グワーッ!」
バイオ水牛の全速力の体当たりめいた衝撃を受けニンジャスレイヤーの体は吹
き飛ばされる! 「グワーッ!」


今の攻撃を受けニンジャスレイヤーはかつて戦った相手、ソニックブームのソ
ニックカラテを思い出すが実際違う。これもアイドルニンジャのオト・ジツの
一つ!大音量のシャウトをニンジャ器用さによって一つに収束させ相手にぶつ
ける恐るべきジツ!


その威力はアイドルニンジャのカラテパンチを完全に上回っていた!「講堂
なだけあって実際音がよく響くわね」ただでさえ厄介なジツが講堂という閉鎖空
間によりその威力は何倍にも増している!

だか>>222のクランがクラウンになっているという致命的なミス!


「イヤーッ!」「イヤーッ!」アイドルニンジャのカラテシャウト!「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは衝撃波を避けるために側転
回避。だが超音波による影響か動きがニブイ!こうしているうちにニンジャス
レイヤーの視界はぼやけアイドルニンジャの姿が16人に増えていた。


アイドルニンジャは衝撃波を出しながら超音波攻撃を出すことが可能。さらに
客席の椅子の上を飛び回ることで的を絞らせないようにしている。今は何とか
避けているがこのまま受けに徹していてもいずれは動きが鈍り衝撃波を受けて
しまい爆発四散させられる。まさにジリー・プア―(徐々に不利)


「死ね!ニンジャスレイヤー=サン!ここがオブツダンだ!あんたを爆発四散
させたら追悼コンサートでも開催してやる!」勝利の予感を感じたかアイドル
ニンジャの攻撃はますます強まるニンジャスレイヤーもこのままではジリー・
プア―(徐々に不利)と感じていた。(((ならば攻撃に移るのみ!)))


だが視界がぼやけ16人に見えるアイドルニンジャのどれか本物か見分けがつ
かず、ニンジャソウルを検知するにも超音波により集中できない。ならヤバレ
カバレで16人の一人に向かって決断的にスプリントして接近戦に持ち込む
か?否!全力スプリントができる体力は限られている。


スプリントして向かった先が実体でなかった場合は衝撃波を回避する力すら残
らず、集中砲火を受ける。ならばスリケン!しかしスリケンのキレがなくアイ
ドルニンジャに易々と受け止められていた。どうする!?その時ニンジャスレ
イヤーにかつての師ドラゴン・ゲンドーソーの言葉が過った。


(((インストラクション・ワン!「百発のスリケンで倒せぬ相手だからといっ
て、一発の力に頼ってはならぬ。一千発のスリケンを投げるのだ」)))


「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは視界がぼやけ32人に見えるアイドルニ
ンジャに32枚のスリケンを投げる!「バカが!スリケンが通じないのが分か
らないの」アイドルニンジャはスリケンを人差し指と中指で挟んで後ろに逸ら
す。

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは視界がぼやけ32人に見えるアイドルニ
ンジャに64枚のスリケンを投げる!「バカが!スリケンが通じないのが分か
らないの」アイドルニンジャはスリケンを人差し指と中指で挟んで後ろに逸ら
す。

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは視界がぼやけ32人に見えるアイドルニ
ンジャに96枚のスリケンを投げる!「バカが!スリケンが通じないのが分か
らないの!?」アイドルニンジャはスリケンを人差し指と中指で挟んで後ろに
逸らすがスリケンの一枚が二の腕を掠る!


「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは両腕を殺人
ピッチングマシーンめいてスリケンを投げ続ける!側転などでスリケンを避け
続けるアイドルニンジャ、しかし(((これじゃ連続して超音波を放てない!)))
大量のスリケンの前に回避に比重を置かざるえないアイドルニンジャ!


超音波による攻撃は多大なニンジャ集中力を必要とする技であり、今の状態で
は出すことができない!ニンジャスレイヤーの視界のぼやけは軽減されており。
32人以上には映っていない!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ス
リケンはねずみ講めいて数が増える!


「イヤーッ!」アイドルニンジャはカラテシャウトによる衝撃波をぶつけるつ
もりだ!このまま衝撃波を受ければダメージでスリケンの投擲は強制中断!超
音波攻撃は再開され、あとはコンポシッド・ショウギ・プロブレムめいて追い
詰められて王が詰められる!王とはニンジャスレイヤーの命だ!


スリケンを弾き飛ばしながら飛んでくる衝撃波!どうするニンジャスレイヤ
ー!?「イイイヤアアアーッッッ!」ニンジャスレイヤーはジゴクめいた特大
カラテシャウトを出す!その声は大気を震わし、天井の照明ガラスを割るほど
だ!


「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーはダメージを受け唸り声をあげるが「イヤー
ッ!」スリケンの投擲は止まらない!((なんで?なんで?スリケン投げが止
まらないのよ!?))ニンジャスレイヤーは自分で特大カラテシャウトを放つこ
とにより、アイドルニンジャの衝撃波を弱めていた!


その前に弾幕めいたスリケンによっても衝撃波を弱めており、ダメージは受け
たがスリケン投げを中断するまでには至らなかった!ニンジャスレイヤーのぼ
やけた視界からアイドルニンジャの数は32人から16人から8人と徐々に減
っていき、スリケンの密度は増していく!


(((このままでは押し切られる!)))アイドルニンジャが的を絞らせないよう
にしていた移動を止め、地に足をつけ衝撃波での攻撃に専念する。この判断は
正しい。移動しながら衝撃波を放てばたちまちニンジャスレイヤーのスリケン
を防ぎきれずサボテンめいた姿になってしまうだろう!


「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤ
ーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤ
ーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」


スリケンと衝撃波の攻防はお互いにダメージを与えられない!ゴジュッポ・ヒ
ャッポ!しかしこの攻防は徐々に崩れる。ニンジャスレイヤーのスリケンがど
んどん近づく!「クッ」アイドルニンジャに肌をスリケンが斬りつけた!スリ
ケンが届き始めたのだ!衝撃波でスリケンの弾幕を防ぐが防御に精一杯!


(((スリケンでニンジャスレイヤーの姿が見にくい……)))突如ニンジャスレ
イヤーはドウグ社製の巻き上げ機構付きのフックロープを天井に投げる!「イ
ヤーッ!」そして跳んだ!巻き上げ機構とニンジャ脚力が重なり合ってロケッ
トめいた勢いで天井にたどり着くニンジャスレイヤー!


「イヤーッ!」フックロープをアイドルニンジャの後ろの放送席に投げて、そ
して天井から跳んだ!巻き上げ機構とニンジャ脚力が重なり合ってロケットめ
いた勢いで放送席に向かうニンジャスレイヤー!放送席にぶつかる直前にフ
ックロープを離し「イヤーッ!」後ろの壁を蹴る!


ニンジャスレイヤーの向かう先はアイドルニンジャの背後!このフックロープ
を使った多角的高速移動にアイドルニンジャは辛うじて目で追うことが出来て
も体が反応できない!その無防備な背中に「イイヤアアーッッ!」強烈な踏込
から繰り出される肩と背中を用いた体当たり!暗黒カラテボディチェック!


「ンンアアアーッッッ!」アイドルニンジャはピンポン球めいてステージ下ま
で吹き飛ばされる!「にこちゃん!」穂乃果達の悲痛な叫びが講堂にこだまし
た。(((ワタシのジツが敗れるなんて!)))一瞬視界が遮られたことを見越して
の多角的高速移動からのニンジャスレイヤーのカラテがさく裂した!


ニンジャの戦いにはこのような格言がある「ノーカラテ・ノーニンジャ」アイ
ドルニンジャのジツは確かに強力だった。しかしいくらジツが凄かろうがカラ
テを鍛えていないものは勝てない。これはニンジャの戦いにおいて真理であり、
この結果は当然である!


(((手応えが甘い…)))しかしニンジャスレイヤーも超音波と衝撃波によるダ
メージ、殺人ピッチングマシーンめいてスリケンを投げた疲労により完全なボ
ディチェックではなくアイドルニンジャも爆発四散していなかった!(((ならば
カイシャクするまでだ!)))


「スゥーッ!ハァーッ!」「スゥーッ!ハァーッ!」これは太古の暗殺拳チャド
―の呼吸!この呼吸法によりニンジャ新陳代謝はさらに活発化!アイドルニン
ジャに無慈悲なカイシャクをする体力を完全に取り戻しつつある!


ニンジャスレイヤーのボディチェックを受けたアイドルニンジャの体は偶然に
もμ'sのメンバーの前に飛んできた。「にこちゃん!」「にこちゃん!」「にこっ
ち!」皆がアイドルニンジャの前の名前、矢沢にこの名前を呼ぶが返事はない。


その間にもニンジャスレイヤーは一歩ずつ確実にアイドルニンジャの元へ歩を
進めていた。無慈悲なカイシャクをおこなう為に!コワイ!「どうしよ……あの
人こっちにくる……」「こわいよ……」凛と花陽の二人は携帯電話のバイブレー
ションめいて震えていた。

矢澤にこ=サン
これはケジメ案件


「とりあえず!にこちゃんを外に運ぶんだよ!手当しないと」今にこを逃さな
いとあの死神めいたニンジャに殺されると穂乃果は本能的に悟っていた。「……
そうだねぇ」「そうやね」ことりと希も同様のアトモスフィアを感じ取り賛同し
た。にこを一歩でも遠くにあのニンジャから離さなければ!


「待って…私達も速く逃げないと殺さるわ……、にこを担いで逃げる暇はない
…」ナムアミダブツ!なんという非情なる決断!にこを見捨てようと考えてい
るのだ!「エリち!」希は絵里の真意に気付き語気を荒げる。しかしこの絵里
の判断を非難するのは酷と言えよう。


ニンジャスレイヤーはモータルを極力殺さないが、絵里にはそんなことは知る
由もない。ただ自分達を殺そうとするアクマめいたニンジャにしか見えずアイ
ドルニンジャをカイシャクした後は自分達を殺すと思い込んでしまっている!


「私も賛成です」「海未ちゃん!」「もうにこは死んでしまったのです!真姫を
見ている目を見ましたか!?あんな目をする人間がにこなわけありません!に
こは目を覚ましたら私達を殺すなら……いっそのことあの忍者に…」「海未ち
ゃん!にこちゃんはそんなことしないよ!」「そんな保証がどこにあるのですか!」


おお!ここがマッポーの世なのか!?先日まで幸せな生活を送っていたμ'sの
メンバーがこんな殺伐とした会話しなければならない!彼女たちが何をしたと
いうのか!?(((にこちゃんがワタシの…ワタシを殺そうとした…)))真姫は
ニンジャの暴力性を最も近くで感じ取りNRSに近い状態になっていた。


(((なんで?なんで?なんで?なんで?)))「うう」その時真姫はにこが寝言め
いて何か喋っているのを聞こえていた「穂乃果…小鳥…海未…希…絵里…凛…
花陽…真姫ちゃん…助けて」おお!ゴウランガ!ニンジャソウルに飲み込まれ
たはずの矢澤にこの意識が戻ったというのか!?


(((にこちゃん……そうだあの時!)))その時ニューロンから記憶を遡り思い
出したのだ。にこは真姫を殺そうとした時、確かに涙を流していたことを!
(((にこちゃんのまだ意識がある!でなきゃ涙なんて流すわけない!なら今
にこちゃんにあの赤黒の忍者を近づけさせてはダメ!)))


真姫は立ち上がった後、決断的に走りだし、あろうことか迫りくるニンジャ
スレイヤーの前に両手を広げて立ちふさがったのだ!「にこちゃんを殺させな
いわ化け物!」

ニンジャ&アイドル・ミーツ・ワン・ナイト・スタンド ♯5

最終セクション#6に続く

今日はこれで終了です。
>>227=サン、>>238=サンの指摘通り、誤字がありました。
今後こんなことがないようにケジメしておきます。

次は24日までには投稿する予定してます。

◆○◆~ 14:00

14時から投稿します

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ニンジャ&アイドル・ミーツ・ワン・ナイト・スタンド ♯6


「真姫ちゃん!」「何考えているの!?殺されるわよ」これは無謀!今のニンジ
ャスレイヤーの前に立ちふさがることは竜巻の前にモータルが立ちふさがるこ
とに等しい!まさにモスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアだ!その
間にも赤黒の殺戮者は確実に、アイドルニンジャの元へ迫っている!


真姫も無謀は百も承知だった。しかしわずかでもにこが正気に戻る可能性があ
るならば守る!その決意が真姫を奮い立たせた。「にこちゃんは泣いていた……
私を殺そうとしていた時に涙を流していた……きっとまだにこちゃんの意識は
ある……だから……」真姫の身体は生まれたてのウマめいて震えていた。


凛と花陽もアイドルニンジャとニンジャスレイヤーの前に間に立ちふさがる。
「凛……花陽……」真姫は心底驚いた表情をしながら二人を見つめる。「凛達も
……」二人も後悔していた、あの時にこを見て逃げ出したことを、あの時逃げ
たからにこは傷ついて豹変してしまったのかもしれない。


何よりにこにあの時のことを謝ることもせずに見殺しにすることは一生後悔す
る!その思いが二人を立たせていた。「真姫!凛!花陽!早くそこから退きなさ
い!」絵里が叫ぶが三人はピクリとも動かない。その間にも穂乃果とことりも
立ちふさがっていた。


「絵里ちゃんと海未ちゃんと希ちゃんはにこちゃんを安全な場所に……」穂乃
果は震えていた。「どうして逃げないのですか!怖くないのですか!?」海未は
声を震わせながら叫ぶ。「だって真姫ちゃんがにこちゃんは正気に戻るって言っ
てるんだよ。それに穂乃果達がにこちゃんを信じなきゃ……」


穂乃果は必死に作り笑いをしながら絵里達に答えた。希はへたり込んでいる海
未と絵里の前に座りつぶやく。「エリちと海未ちゃんがウチ達の身を案じて逃げ
てと言っていることも怖いのもわかるよ……ウチだって怖い……でもにこっち
を失うのはもっと怖いから」


「ふ……にこが言っていたわね、『アイドルたるもの普段からアイドルらしい行
動を取れって……』」絵里はそう呟くとアイドルニンジャの前に立つ。「希と海
未でにこを少しでもあの忍者から離して……時間稼ぎは私達がするから」希は
絵里の表情を見てその覚悟を感じ取る。


仲間を見捨てるような人間の歌が人を感動させることはない。そんなのはアイ
ドルではない!その思いが絵里を奮い立たせた。希は海未の手をとってにこの
元へ向かった。少しでもあの忍者から離さなくては!しかし無情にもニンジャ
スレイヤーは真姫達の目の前に立っていた。「オヌシらそのニンジャから離れよ」


その声を聞いた瞬間全員は凍りつく。希もにこを運ぼうとしていたが体が動か
ない!椅子に座って見ていた時には気づかなかったが、相対して初めてわかる
この圧倒的なアトモスフィア!μ'sのメンバーは蛇に睨まれたカエルのように
固まっている。


「あ……あなたはにこちゃんと知り合いみたいだけど、なんでにこちゃんを殺
そうとするの?」穂乃果はすべての力を振り絞ってニンジャスレイヤーに質問
した。この行為は時間稼ぎという意味なら正しい。もしヤバレカバレで襲い掛
かれば即全員無力化されてアイドルニンジャはカイシャクされているだろう。


「ニンジャだからだ」即答。その短い言葉にμ'sのメンバーは強大な意志を感
じ取った。「……にこちゃんは私を殺そうとした時に涙を流した……まだにこち
ゃんの意識は死んでいない……だから元のにこちゃんに戻るかも……」真姫は
考えていたにこが戻ればこのニンジャは殺さないかもしれないと。


しかしその考えは甘かった。「それはない。にこ=サンはソウルに呑まれた。ソ
ウルに呑まれた人間はニンジャとなり、オヌシ達を殺そうとしたようにムシケ
ラを殺すようにモータルを殺していく、故に殺す。」ニンジャスレイヤーの目に
は一切の躊躇はない。


(((マズイ……)))ニューロンに危険信号が過る。このままでは殺されてしま
う!μ'sのメンバーはニューロンをフル稼働して方法を考える。「でもにこはま
だ私達に害を与えていない。人を捌くのは司法の仕事。あなたににこを捌く権
利も殺す権利はない……」絵里は恐怖を押し殺し振り絞るように喋った。


普通の人間ならこの論理で手を止めるだろう。しかし彼は怒りを押し殺して喋
る。「確かに私にニンジャを殺す権利はない。だが殺す。この行為は私のエゴだ
。決めるのは私のエゴだ。悪しきニンジャはすべて殺す!慈悲はない!」その憎
悪に満ちた瞳を見て彼女達は思い知らされた。このニンジャを止められないと。


エゴで人を殺す。彼女達にはこの狂人の考えを全く理解することができなかっ
た。「モンドウは終わりか?ならば退け」この一言で彼女たちの意志とは関係な
く、海を渡ったモーゼめいてアイドルニンジャへの道を作ってしまった。止め
ようとしても身体が自分の意志に反して全く動かない!もはやこれまでか!?

「イヤーッ!」その時ニンジャスレイヤーの前にスリケンが飛んできた!だが
それを人差し指と中指で難なく掴むニンジャスレイヤー、「みんなに手を出せな
いわ!」そこには膝立ちで構えをとるアイドルニンジャが!ニンジャスレイヤ
ーはスリケンを投げ返そうとするがその手を止めた。


「にこ=サンか?」ニンジャスレイヤーはアイドルニンジャと相対した時は違
うアトモスフィアを感じ取っていた。「ええそうよ。にこよ……ウッ!」にこは
突如頭を抱え蹲ると「調子に乗るなモータル!」頭をあげた途端に邪悪な声を
発するにこ。


「にこの身体よ、どきなさい!」「さっさと明け渡せ!」交互に声色を変える寸
劇めいた様子を見て、μ'sのメンバーは困惑していた。「にこちゃん……どうな
っているの?」しかしニンジャスレイヤーはにこに何が起こっているかうっす
らと分かっていた。(((これはソウルに抗っているのか?)))


ニンジャスレイヤーも邪悪なるナラク・ニンジャに体を乗っ取られない様に抗
っていた時期があった。にこも自分の中にあるニンジャソウルと抗っているの
ではという仮説を立て、そしてニンジャスレイヤーは以前のことを思い出して
いた。

ダークニンジャと初めて対峙したあの日。センセイの最後のインストラクショ
ンが無ければ自分はナラクに呑み込まれていただろう。私はセンセイが居たか
らよかったが彼女はどうなるのだ?このまま呑み込まれるのか?その時アイド
ルニンジャは糸が切れたジュルリ人形めいて倒れ込んだ。


その時、自然と大声でにこに語りかけていた。「インストラクション。ニンジャ
ソウルに呑み込まれるなかれ。手綱を握るのはオヌシ自身だ!」人にモノを語
る資格はない。だがセンセイの教えならにこ=サンを救ってくれるかもしれな
い。ニンジャスレイヤーはセンセイの教えと彼女の精神力に掛けたのだ!

すみません。今日はここで中断させてもらいます。
続きは26日に投稿させてもらいます。申し訳ないです。

◆○◆~ 18:00

18時に投稿します

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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「退け!」「退かない!」音ノ木坂学院の講堂とは違うステージ、ここはアイド
ルニンジャとにこが初めて出会った場所だ。そのステージの中央でアイドルニ
ンジャと、にこは手四つの態勢をとって押し合っていた。


互いの手の位置はハカイシめいてピクリとも動かない、この力比べは矢澤にこ
の体を賭けた主導権争いだ!この争いに負けた方の意識は奥底に沈み込み二度
と表に出ることはない!しかしこの均衡も崩れ始めた。にこの体がブリッジの
態勢に強いられそうになっている!アイドルニンジャ有利!


このままにこは意識を乗っ取られてしまうのか!?その時突如謎の声が聞こえ
てくる、「インストラクション。ニンジャソウルに呑み込まれるなかれ。手綱を
握るのはオヌシ自身だ!」この声を聞いた途端ににこは態勢を元の状態に戻し
始める。「そうだ。手綱を握るのは私よ!あんたじゃない!」


そして態勢を戻し、にことアイドルニンジャの力比べは五分の状態に戻す。「さ
っさと諦めなさい!」にこの手が押され始める、「ここで私が負けたらμ'sのメ
ンバーを殺すんでしょ、ならなおさら負けられないわ!」アイドルニンジャの
手を押し返す。


「なんでみんなを殺そうとするのよ?」アイドルニンジャの手が押され始める。
「ムカつくからよ!アンタが仲間と楽しいそうにしているのがムカつくから
よ!そしてアンタの身体で再びアイドルをやり直す!」アイドルニンジャの力
は一気に増してにこの手を押し返す。


(((マズイ……)))にこの体はアイドルニンジャに押されてブリッジの態勢を
強いられそうになる!もはやこれまでか!?にこの脳内にソーマト・リコール
が見えていた。だがその映像を見てみるとにこの姿ではない別の姿だ!(((こ
れは誰?)))その人物はオブシダン色の長い髪をしていた。


四畳半の小さな部屋の中「ねえ!おばあちゃんこの人誰?ネコネコカワイイよ
り凄い!」少女は古い映像の中で踊っている人物の真似をしながら問いかける。
「この人はルウコ=サン。おばあちゃんが若い頃に活躍していたオーガニック
アイドルよ」その少女の祖母らしき人物が答える。


「アタイもなれるかな?ルウコ=サンみたいに?」「今はネコネコカワイイがい
るから無理かもね」「ふ~ん」その少女は映像に映るアイドルの真似を続けた。
(((アタイもいつかこんなアイドルになれるかな)))

(((これは誰の記憶?)))


あるハイスクールの教室。「ねえ、昨日のライブ見た?」「見たよカワイイヤッ
ター」「くだらない……」彼女は静かに呟いた。「え?」「ネコネコカワイイなん
てくだらないって言ったのよ!ルウコ=サンのほうが凄い……」「ネコネコカワ
イイがくだらないなんて嘘ですよね?」「そんな人なんてムラハチです」


彼女の姿はボロボロだった。(((あんな魂のないアイドルが好きと言うぐらいな
らムラハチされたほうがマシよ!)))「ドーモ、ボタン=サン、アンコです」「ド
ーモ、アンコ=サン、ボタンです。アタイに話しかけたらムラハチされるよ、
アンコ=サン」「あの時聞きました。ワタシもルウコ=サンが好きです」


「ネコネコカワイイよりルウコ=サンのほうが素敵です!」「そうだよね!」「ワ
タシの家でルウコ=サンの映像見ますか?」「はい!」「ユウジョウ!」「ユウジ
ョウ!」二人は談笑しながら帰り道を歩いていく。


(((これは日本の高校生?でも何か違うわね)))


「ドーモ、ヨウカンです」「ドーモ、アラレです」「ドーモ、オカキです」「ド
ーモ、ヨウカン=サン、アラレ=サン、オカキ=サン、オハギです。アンコ=サ
ンこの娘達は?」「みんなルウコ=サンのファンなんです。」「「「ワタシ達もネコ
ネコカワイイよりルウコ=サンのほうが好き」」」


ボタンは涙の頬には涙が流れていた。「ボタン=サン大丈夫?」「大丈夫……た
だネコネコカワイイしかアイドルとして認めないこの世の中でルウコ=サンの
ファンがこんなに居たのが嬉しくて……」ボタンは深呼吸した後提案する。「ね
え、みんなでアイドルやらない?」「アイドル?」


「ネコネコカワイイみたいな偽物じゃなくてアタイ達がルウコ=サンみたいな
アイドルになって本物アイドルをネオサイタマに見せるのよ!」「それいいで
すよ」「早速曲を作りましょう」「じゃあワタシは衣装作ります」「じゃあワタシは
振付け考える」


(((高校生のアイドルって何だかにこ達みたい)))


「「「「「できたー!」」」」「衣装もできたし、曲も振付けもオリジナル!」「大分ル
ウコ=サンの影響受けているけどね」「もーそれは言わないでよアンコ=サン」
「「「「「ハハハハ」」」」」「この曲でみんなを幸せな気持ちにしたいね。ルウコ=サ
ンみたいに」「はい」


「何で歌わしてくれないんですか?」「ネコネコカワイイ以外のアイドル活動
はダメ!禁止!」「そんな……一曲だけでも聞いてください!」「ダメ重点!」「ど
この会場でも歌わしてくれない……」「あきらめないで!」「そうだよ。ボタン
=サンの言うとおりです。会場がダメなら路上で歌いましょう」


「お前らがネコネコカワイイをリスペクトしてない奴だな」「あれ誰?」「あれ
は同じハイスクールのサトウ=サン、オムラの重役の息子だよ」「くだらないア
イドルの真似事をしているヤツはお前らかと聞いている?」「あ?」「そんな奴
らは囲んで棒で叩く!やれ!」「「「「ヨロコンデ―!」」」」「「「「「アイエエエ!」」」」」


(((何これ……酷すぎる……)))


「どうしてサトウ=サンが無罪なんですか!?みんなアイツに殺されたんです
よ!」「落ち着いてくださいボタン=サン、何でもキミたちが好きなアイドルを
侮辱されて逆上。それを正当防衛重点の事故だった。いいね」「そんな……」


(((ルウコ=サンのファンというだけで殺されるなんてここはマッポーな
の!?真実が捻じ曲げられたのはサトウ=サンがオムラの重役の息子だから!
皆を殺したオムラ!そしてアイドル活動の場さえ奪ったネコネコカワイイ!許
さない!)))「ンアーッ!」「アイエエ!女子高生がトラックに轢かれた何で!?」


(((ドーモ)))(((誰?)))(((ドーモ、ボタン=サン、マイコ・ニンジャです)))
(((マイコ・ニンジャ?)))(((今からあなたはニンジャになるのです)))(((ニ
ンジャになって何をすればいいの?)))(((好きに生きなさい)))


(((まさか……この記憶は?……)))


「スゴイカワイイ!」「ネコネコカワイイより凄い!」「カワイイヤッター」(((凄
い!ニンジャの力を使えば歌を聞いてくれる!喜んでくれる!オムラに復讐し
ようと思ったけどやめよう。アンコ=サン達で作った曲でみんなを幸せにでき
るんだ!みんなにアタイ達の曲を聞かせるんだ)))


「「「「「ボタン=サン、カワイイヤッター!」」」」」(((アタイのファンは増え続け
ている。そしてネコネコカワイイのファンは減っている!この調子でニンジャ
の力を使えばファンの数は逆転する!あのボロ屑にガラクタの烙印を押してや
る!次はファンでも扇動してオムラ関連施設でも襲撃させるか……)))


(((ファンなんてただの駒!ただの道具!こいつらは曲のメッセージ性や歌い
手の思いなんて気にもしてない!ニンジャの力を使えば勝手にファンになる。
そしてこの力でオムラを潰してやる!)))


「ドーモ、フロストバイトです」「ドーモ、セイレーンです」「あばよセイレー
ン=サン!貴様の死因は歌の練習中の不運の転倒死だ!」(((これは避けられな
い……何がいけなかったの?ニンジャの力でアタイやみんなで作った曲で皆を
笑顔にできると思ったのに)))「サヨナラ!」


そこでこのソーマト・リコールめいた映像は終了した。にこが映像を見始めて
から意識が戻るまで一秒に満たなかっただろう。にこはブリッジ気味の態勢で
押し倒されそうになりながらもアイドルニンジャに話しかける「アイドルニン
ジャ、いやボタン」


「なんでその名前を!」アイドルニンジャは明らかに狼狽していた。押し返す
力も緩む!「あんたの過去を見させてもらったわ……アンタ……アイドルを復
讐の方法にすんじゃないわよ!ファンを復讐の道具にすんじゃないわよ!アン
タはアイドル失格だわ!私の身体でアイドルやっても意味ないわ!」


確かに悲惨な過去だった。しかしにこはボタンが許せなかった!アイドルは
人々に夢を与え楽しませる最高の仕事。だからこそ、にこは心の底から憧れて
いた。しかしボタンは自分の復讐の方法としてアイドルをしていた!そしてフ
ァンをニンジャの力で扇動して利用し、復讐の道具にしようとしていた!


にこは、μ'sは多くのファンに支えられたからこそここまで成長できたと思っ
ており、ファンがあってのアイドルと実感していた。そのファンをボタンは自
分の為に利用とすることは許しがたかった。アイドルとは皆のためにするもの。
だがボタンは自分の欲望のためにアイドルをしていた。


にこにはそれがアイドルへの侮辱としか見えなかったのだ!「アタイがアイド
ル失格……そうね……」アイドルニンジャの力は一気に緩み、にこに組み伏せ
られている。彼女は思い出した。幼少期に見たルウコの輝きを、ルウコみたい
に他人を幸せにするアイドルになりたかったことを。


しかしその思いはネオサイタマの社会の構造、仲間たちの不条理な死、ニンジ
ャソウルの影響によって歪んでしまう。アイドル活動で復讐。復讐とは他人を
不幸にする行動であり、アイドルとは真逆だ。それに気づいてしまった。「どこ
で間違ったのかな……」ボタンはいつの間にかに大粒の涙を流している。


「でもネオサイタマじゃなかったら……にこ=サンが住んでいる世界に生まれ
ていたら……みんなとちゃんとしてアイドル活動できたかもね……」ボタンは
嗚咽で言葉を詰まらしながら喋る。「アンタがμ'sのメンバーを殺そうとした理
由って……」


「アンタが羨ましくて憎かった!アタイ達はあんなマッポーめいたところで理
不尽に友達を奪われて、アンタはこんな幸せな世界で仲間と楽しそうにアイド
ルをしている!それが許せなかった!だからアンタの仲間を奪おうとしたのよ」
「……」にこは言葉がでなかった。


身勝手な理由で仲間を殺そうとしたのは許せない。だがもし自分がネオサイタ
マに居たらどうなっていたのか?もしボタンと同じ立場ならムラハチされてで
も好きなアイドルを好きと言えただろうか?分からないがボタンの意志の強さ
に、にこは尊敬の念を抱いていた。そして彼女の境遇にも憐れみを感じていた。


自分にはたった一人の自分を救ってくれた仲間がいたがボタンには居ない。と
もに楽しい日々を過ごすはずだった仲間は社会の理不尽さに奪われた。社会と
ニンジャの力で自分の意志を捻じ曲げられた。もしかしたらあのボタンの姿が
ネオサイタマに居た場合の自分かもしれない。


「アンタはアイドルとしての心構えがまるでなってない!……だからアンタを
μ'sに入れて鍛え直してあげるわ!」「え?」ボタンは何を言われたのか分から
ないのか少し間を空けてから答えた。「だから!アンタをμ'sに入れて鍛え直し
てあげるわ!」


皆がワタシを助けてくれたように今度は自分がボタンを助ける番であるとにこ
は考えていた。「なんで?アタイはアンタの仲間を殺そうとしたのよ?アンタが
その気になればアタイの意識は一生封じ込めることができるのよ?」自分の仲
間を殺そうとした者を生かす、ボタンには理解できなかった。


少し考えて、にこは喋る。「確かにそのことはムカついたけど許すわ、情状酌量。
それに未熟な者を指導するのも部長の役目だから」笑顔をボタンに向けながら
話を続ける。「にこの姿を見て学びなさい!そしてアンタがアイドルとしての心
構えが備わったら私の身体を使って歌わしてあげる。でもちゃんと返してよ」


「アイドル失格のアタイがまた歌っていいの?「ええ」「アタイはまた仲間とユ
ニットを組めるの」「そうよ」ボタンはまた泣いた。大声で泣いた。にこはボタ
ンを優しく抱きしめながらボタンが泣きやむのを待った。


それから暫くして、「大丈夫……もう泣き止んだから……」ボタンはにこの胸か
ら自分の頭を離した。「にこ=サン、アンタをμ'sに誘ってくれてありがとう。
でもインガオホー。にこ=サンの仲間を傷つけようとしたし、ニンジャの力で
μ'sのメンバーの心も傷つけた。アタイにそんな資格はない……だから消える」


「消えるって?」「にこ=サンに溶け込んで自我が無くなるわ」ボタンは安らか
な顔でにこに告げる。「そこまでしなくても別にいいのよ」「今意識があること
事態がロスタイム、そのロスタイムで何でアイドルになりたかったかを思い出
せただけで充分。それに……」「それに?」


「μ'sはにこ=サンのユニット。アタイのユニットはアンコ=サン、ヨウカン
=サン、アラレ=サン、オカキ=サンの五人だから」ボタンは今まで一番の笑
顔をにこに見せる。「そう」にこはボタンの意志は固いと感じそれ以上引き止め
なかった。


「じゃあこれでアタイは消えるわね。サヨナラ……いやユウジョウ」「ユウジョ
ウ」にこは言葉の意味が分からなかったが自然とユウジョウと言っていた。ボ
タンの身体は粒子状になり、にこの身体に溶け込む。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「イヤーッ!」にこは倒れた状態からネックスプリングで跳ね起きる。ニンジ
ャスレイヤーはいつでもカイシャクできるように油断なくジュー・ジツを構え
る。「みんな心配かけたわね、もう大丈夫」にこがそう言うと八人は雪崩めいた
勢いでにこに抱き着いた。


「もう心配かけないでよ!」「にこちゃん、あの時はゴメンね!」それぞれ思い
思いの言葉をにこにかける。しかし八人はニンジャスレイヤーのことを忘れて
いた!「ニンジャスレイヤー=サン」にこは構えを取る。八人も赤黒の殺戮者
に敵意をぶつける。場は恐ろしいほどの緊張のアトモスフィアが満ちていた。


ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを解き、にこ達に背を向け非常口のほうに
歩きは始める。「にこを殺さなくていいの?ニンジャスレイヤー=サン」にこは
構えながら問う。「ニンジャを殺すことは私のエゴ、殺すのを決めるのも私のエ
ゴだ。にこ=サンは邪悪なニンジャではないと判断した」


その瞬間μ'sのメンバーの心が緩む。「ただし。モータルを虐げるような行動を
取ったら殺す。必ず殺す」この発言を聞いてにこを含め全員が心臓を手で握ら
れたような錯覚に陥る。「肝に銘じておくわ……」にこは冷や汗をかきながら
答える。


「アンタのインストラクション聞こえたわよ、ニンジャスレイヤー=サン、い
やイチロー・モリタさん」ニンジャスレイヤーは驚いた表情になる。「にこのニ
ンジャ音感を舐めないでよ、声を聞いてすぐにモリタだって分ったわ」にこは
少し自慢げに答えた。「モリタって確か用務員の?」ことりは聞き返す。


「そう」にこは返事を返す。「というかこのニンジャスレイヤー?とか、にこ
ちゃんがアイドルニンジャとか名乗っていたのはなん…」真姫はにこに質問し
ようとしたその時!

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ステージの上に突如人影の形をした光が出現した。ニンジャスレイヤーと
、にこは構えを取る!μ'sのメンバーもステージ上の人影を凝視していた。その
人影はピンク色のニンジャ装束、顔は未知の金属で作られたメンポで覆い尽くし
ていた。「ふ~ミーミーから逃げ切ったぞ。よしゲームでもするか!」


その正体不明のニンジャは辺りを見渡すと「うん?ニンジャスレイヤー=サン
か?ここはネオサイタマ……ではないか、そこの小さい女性もニンジャか?
ドーモ、ザ・ヴァ―ティゴです」「ドーモ、ザ・ヴァ―ティゴ=サン、ニンジャス
レイヤーです」


ニンジャスレイヤーはこのニンジャに見覚えがあった。以前会った時と同じく
敵意は感じない。「ドーモ、ザ・ヴァ―ティゴ=サン……アイドルニンジャです」
にこは何と名乗ろうかと悩んだがアイドルニンジャと名乗ることにした。この
名前がボタンとの唯一の繋がりのような気がしたからだ。


「なんですか…あの変態は……もう何が何だか分からなくて眩暈がします穂乃果」
「海未ちゃんしっかりして!」「そこの女の子達オレは変態じゃない!」「そん
な格好しているのはヘンタイしかいないよ!」凛がザ・ヴァ―ティゴに反論した
後にあることに気付く「あれ?今回言葉が通じている」


ザ・ヴァ―ティゴは振り返りニンジャスレイヤーを見た。「なんでニンジャスレ
イヤー=サンはここに居るんだ?」どのように答えるか悩むが正直に答えるこ
とにした。「ネオサイタマでパンクラス=サンというニンジャを爆発四散させた
らここに居た」


ザ・ヴァ―ティゴは手を叩いて答える。「あ~それはアイツのジツが原因だよ。
どんなジツかは忘れたけど」「あやつを知っているのか?そしてネオサイタマに
帰るすべはあるのか?」ニンジャスレイヤーの問いにザ・ヴァ―ティゴは少し
考え込んだ後「ある。オレと一緒に次元を突破していればいずれたどり着く」


「ただ、ネオサイタマにたどり着くのはすぐかもしれないし、体感時間で何万
年後になるかもしれない。そうなったら発狂しちまうぜニンジャスレイヤー=
サン、天空の城で戦ったりとイベントはより取り見取りだがな」ニンジャスレ
イヤーはあまりにも突拍子のない答えに衝撃を受ける。しかし


「だがこのままでは一生ネオサイタマに帰れぬのだろう」「まあそうだな」「な
らば行く」ニンジャスレイヤーは決断的に答えた。「ネオサイタマにニンジャス
レイヤー=サンが居ないのは困るからな」ザ・ヴァ―ティゴは手をかざすと空
間に穴が開いた。ニンジャスレイヤーはその穴に飛び込もうとするが。


「待ちなさい!」にこが大声でニンジャスレイヤーを呼び止める。「アンタ、ア
イドルを児戯と言っていたわよね!アイドルを侮辱することは許さないわ!」
ニンジャスレイヤー足を止めて振り返った。確かにアイドルニンジャと対峙し
た時に児戯と言ったことは覚えていた。


「μ'sのライブを見せてあげる!そしたら児戯だなんて口が裂けても言えなく
なるわ!」児戯と言う言葉はアイドル、そしてボタンを侮辱されたような気が
して何としてでも訂正させたかった。


「ヴァ―ティゴ=サンもそれまで待ちなさい」名前を間違えるとはなんという
シツレイ!だがザ・ヴァ―ティゴは寛容なニンジャなので咎めない。「わかった
よ、ニンジャスレイヤー=サンもいいよな」そう言うと空間の穴は閉じる。仕
方ないのでニンジャスレイヤーはライブを見ることにした。


「もしかして今……ここで?……」花陽はまさかと思いながら尋ねる。「そうよ」
にこは即答。「衣装とか放送器具はあるからできることはできるけど……にこち
ゃん……身体の方は大丈夫なの?」「あ」その瞬間にこは膝をついて苦しそうな
様子を見せる。


不完全とはいえニンジャスレイヤーのボディチェックを受けたのだ、無傷なわ
けはない!「にこちゃん無理だよ……その体じゃ……」花陽は心配そうにして
駆け寄る。「大丈夫よ……ウッ」にこは立ち上がろうとするが再び膝をつく。「に
こ……その状態じゃ無理よ……ライブは止めましょう……」


「ダメよ!ライブはやるわ!お願い!やらせて……」にこは絵里に懇願する。
「みんなライブしようよ!にこちゃんの頼みを聞いたあげようよ!」「穂乃果…
…」絵里は周りを見渡すとみんなは絵里に対して頷いた。「いいじゃない、にこ
ちゃんのわがままを聞いてあげても」「たまには部長をたてないとね」


周りの意見を聞いた後、絵里は観念したように呟く。「わかったわ……でも歌う
のは一曲。怪我の影響でパフォーマンスが少しでもダメだったら即刻中止。そ
れでいいわね?」「ありがとう絵里」「じゃあ皆準備を始めようよ!」穂乃果の
号令でメンバーはライブの準備を始めた。


「体がもてばいいけど……」にこは必死に体調を整えていたが体の様々な場所
が悲鳴をあげている。座り込んでいるにこの前にニンジャスレイヤーが声をか
ける。「その傷では動くのは無理だ、大人しくフートンで寝ておれ」ニンジャ観
察力で見てもにこの身体は限界だった。


「いやよ」「何故そこまでする」ニンジャスレイヤーにはライブをすることがこ
こまで無理をしてでもやることだとは思えなかった。「アンタにライブを見せて、
アイドルの素晴らしさを分からせる。ただそれだけ。これはワタシのエゴよ」
その言葉を聞いてニンジャスレイヤーは納得する。


「ならばアグラの姿勢を取って目を閉じて精神を集中させよ。スシとチャを持
ってくる」ニンジャスレイヤーはにこから背を向けるとシンカンセンめいたス
プリントであっという間に講堂から姿を消した。(((にこ=サンは只エゴを貫き
たいだけなのか、では私と同じだな)))


一分後 ニンジャスレイヤーはにこにスシとチャを渡した。「これを食べよ。
ニンジャ回復力が増幅される」にこはスシとチャを摂取してアグラの姿勢を維持
する。「あの時と逆の立場ね」「気にするな」にこは目を閉じる。スシ、チャ、
アグラの相乗効果か体力が急速に回復しているのをにこが感じていた。


「にこちゃん」にこが目を開けると真姫がステージ衣装を着て目の前に立って
いる。どうやら準備は終わったようだ。「準備ありがとう真姫ちゃん」「身体の
方は大丈夫なの?」にこはアグラを解いて立ち上がる。節々が痛みニンジャと
の戦闘は無理だが一曲ぐらいは踊れそうだ「うん。大丈夫」


ステージ上にはμ'sのメンバー九人全員が立っていた。にこがマイクを手に持
って喋る。「ニンジャスレイヤー=サン、今日はあなただけの為に歌います、聞
いてください『Snow halation』」

『Snow halation』 https://www.youtube.com/watch?v=tg-seM7TVGU


9人は全身全霊で歌い切る。にこも怪我の影響を微塵も感じさせないパフォー
マンスを見せた。「どう?感想は?」にこは壇上からニンジャスレイヤーに感想
を求める。「私は実際音楽に疎い……ただオヌシ達の想いなどは伝わってきた。
あの時は児戯と言ってすまなかった」


「そう。分かればいいのよ」にこは嬉しそうな顔をしながら答えた。「ではザ・
ヴァ―ティゴ=サン頼む」「アイアイ」ザ・ヴァ―ティゴは手をかざすと空間に
穴が開く。「にこ=サン、色々と世話になった。センセイの教えをゆめゆめ忘れ
ぬように」「ええ、こっちもアンタには本当に世話になったわ……」



路地裏で自分と兄妹を。そしてソウルに呑みこまれて仲間を殺しそうだった自
分を助けてくれた。にこは感謝の気持ちで胸が一杯だった。「サヨナラ」そう言
うと二人のニンジャはしめやかにこの空間から消えていた。

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「みんな、いよいよだね……」「ええ……」「凄く緊張しているよぉ……」μ's
のメンバーは自分たちの出番を待っている。ここはラブライブ東京最終予選会
場。彼女たちは身震いしていた。それは緊張か、寒さか、それとも武者震いな
のかは分からない。


「しかしここまで色々なことがあったよね」「そうですね穂乃果」「ええ本当に
……」μ'sのメンバー其々が今までの出来事を振り返っていた。「私はにこちゃ
んがニンジャになったことが印象的ね、ニンジャって」真姫は笑いながら喋る。
「しょうがないでしょ実際にニンジャになっちゃったんだから」


あの日の講堂での出来事の後、にこは自分に起きた出来事をすべて話した。ニ
ンジャ、ニンジャソウル、ネオサイタマ、最初はにこの気が狂ってしまったの
かと思っていたが、結局信じるしかなかった。あの豹変、人間離れしたカラテ
などそれでしか説明できないことが多すぎる。


「まああれ以降はいつものにこっちやし、いいやん」その後はにこのニンジャ
の邪悪性は消え失せ一年生達とのにこのわだかまりも解けていた。「でも……あ
の時は生きた心地がしなかったわね……」「ほんとうだよ……」絵里と花陽は身
震いしていた。「悪かったわよ……」にこはバツが悪そうにしている。


「凛はあのニンジャスレイヤー?って人のほうが怖かったな。オニってああい
うのを言うんだろうね……」全員はそのオニめいた姿を思い出したのかさらに
身震いしていた。


「μ'sのみなさん準備お願いします~」係員の呼び出しを聞いたメンバーはス
イッチを切り替えたように真剣な表情になった。「みんな今日は最高のステージ
にしようね」穂乃果の掛け声にメンバーは頷く。そんな中でにこは自分のニン
ジャソウル、いやボタンと今後について考えていた。


彼女はネオサイタマ社会とニンジャソウルのせいによって彼女が目指したかっ
たアイドルになれなかった。私は自分がなりたいアイドルを目指せている。な
んて幸せなことだろうか。そしてにこは高校を卒業してもアイドルを目指そうと
心に決めていた。


自分はμ'sという枠を飛び出したら通用しないのではという不安がある。しか
しアイドルを目指せない人が居るのにそんな理由でアイドルをやらないのはボ
タン達への冒涜と捉えており、ボタン達の分までアイドル活動をしなければと
いう思いがあった。


何よりあんなマッポーの地でも夢や希望を与えられるアイドルという存在が本
当に好きだから。そしてアイドルがやりたいから!「じゃあみんな円陣を組も
うよ」穂乃果の呼びかけとともにメンバーはそれぞれピースのサインを作り、
その指が重なり合い円になっていた。「μ'sミュージックスタート!」


その掛け声とともに円陣が解かれる。みんなテンションが高まり最高の状態で
臨めそうだ。「待って」にこが皆を呼び止める。「何、にこちゃん?」この提案
を言おうか迷っていた。しかしにこは言うことにした。「もう一回円陣をしたい
の、この掛け声で」皆の耳にその掛け声を伝える。


「ええ~」「にこちゃんそれはちょっと……」「ダサいにゃ」予想していたがや
はり否定的な意見が多い。しかし「私は良いけどな、その掛け声」真姫は賛成
した。「真姫ちゃん正気?」「真姫が賛成するなんて意外です」海未と凛が意外
そうな顔をしている。


「しょっ正気って何よ!ただあの時……あの言葉を聞いて後から自分を奮い立
たせることが出来たの……だからアイツの前に立つことが出来た気がするの…
…」真姫は少し恥ずかしそうに呟く。「私も実は……」絵里しめやかに挙手をし
て賛成の意を示す。


「私がロシアに居た時、日本人は困難に立ち向かう時はこの言葉を言うと聞い
ていたわ、私もあの時以降時々一人で言っているわ……」絵里に続いて希も手
をあげる。「ウチもこの言葉には相当なスピリチュアルパワーが宿っていると
前々から思っていたの」


残りのメンバーは立て続けに三人が賛成したのを見て論調が変わる。「そんなに
言うなら」「ワタシもこの掛け声いいかもって思えてきた……」穂乃果は手を伸
ばしてピースサインを作る。「じゃあその掛け声で円陣しようよ」それがきっか
けでメンバーはピースサインを作り、その指で円を作る。


にこは思っていた。アイドルをやろうと決めたが芸能界はスクールアイドルと
は比べ物にならないほど厳しいだろう。もし私が挫けそうになったらあのエゴ
と意志に満ち溢れていた赤黒のニンジャのカラテを思い出そう。そしてこの言
葉で自分を鼓舞して困難に立ち向かっていこうと。

「「「「「「「「「μ's~」」」」」」」」」そして深呼吸した後に、にこはその言葉を発した。
ネオサイタマに届かんばかりの大声で。

           「「「「「「「「「WASSHOI!!」」」」」」」」」


ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド 終


現在ツイッタ―で連載中の「ニンジャスレイヤー」のアカウント

https://twitter.com/NJSLYR

ニンジャスレイヤーの公式ホームページ
http://ninjaslayer.jp/

以上でこの話は終わりです。
この話を見てくれた方、レスをくれた方、誤字を指摘してくれた方、ありがとうございました。

思いつきで考えたクロスSSですが、何とか完結させることができてよかったです。

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